(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記細分化された地域間の結び付きに影響を与える要素の情報は、前記地域間の往来を阻害する要素の情報を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の地域特性予測方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
《第1の実施形態》
以下、地域特性予測装置の第1の実施形態について、
図1〜
図11に基づいて詳細に説明する。
【0011】
図1には、地域特性予測装置10のハードウェア構成が概略的に示されている。地域特性予測装置10は、例えばPC(Personal Computer)であり、
図1に示すように、CPU(Central Processing Unit)90、ROM(Read Only Memory)92、RAM(Random Access Memory)94、記憶部(ここではHDD(Hard Disk Drive))96、ネットワークインタフェース97、表示部93、入力部95、及び可搬型記憶媒体用ドライブ99等を備えている。これら地域特性予測装置10の構成各部は、バス98に接続されている。地域特性予測装置10では、ROM92あるいはHDD96に格納されているプログラム(地域特性予測プログラムを含む)、或いは可搬型記憶媒体用ドライブ99が可搬型記憶媒体91から読み取ったプログラム(地域特性予測プログラムを含む)をCPU90が実行することにより、
図2に示す、各部の機能が実現される。なお、
図2においては、HDD96等に格納されている各種DB、データについても図示されている。
【0012】
図2は、地域特性予測装置10のCPU90がプログラムを実行することにより実現される機能を示す機能ブロック図である。
図2に示すように、CPU90がプログラムを実行することで、生成部としての空間重み行列生成部12、補正部14、及び予測部16としての機能が実現されている。
【0013】
空間重み行列生成部12は、第1格納部としてのメッシュ地
図DB22に格納されているメッシュデータを参照して、空間重み行列を生成する。ここで、メッシュ地
図DB22には、
図3(a)に示すようなメッシュデータが格納されている。メッシュデータは、地図上に配置された、例えば縦横が1kmの矩形状のメッシュに関する情報であり、各メッシュの寸法や、各メッシュの中心座標(X,Y)を含む。なお、各メッシュにより地図に含まれる領域が複数の地域に細分化されている。空間重み行列生成部12は、メッシュデータから、
図3(b)に示すような各メッシュの中心座標を取得する。そして、中心座標間の距離に基づいて、各メッシュの隣接関係を特定し、特定した隣接関係(隣接しているかどうか)に基づいて空間重み行列を生成する。
【0014】
補正部14は、第2格納部としての路線DB24を参照して、空間重み行列を補正する。ここで、路線DB24には、
図4(a)に示すような路線重ね合わせメッシュデータと、
図4(b)に示すような路線データと、が含まれている。路線重ね合わせメッシュデータは、
図4(a)に示すように、メッシュデータと路線の配置とを重ね合わせたデータである。なお、
図4(a)では、2本の路線がメッシュデータに重ね合わされている。路線データは、
図4(a)の路線重ね合わせメッシュデータから生成されるデータであり、
図4(b)に示すように、「路線名」のフィールドと「メッシュID」のフィールドを有している。路線データでは、路線の名称と、路線が通過するメッシュの識別子(メッシュID)とが関連付けられている。
【0015】
補正部14では、2つの隣接するメッシュを同一の路線が通過している場合に、これら2つの隣接するメッシュに対応する空間重み行列の要素を補正する。例えば、2つのメッシュに対応する空間重み行列の要素をα倍(αは1よりも大きい値)する。このような補正を行うことで、路線の存在によるメッシュ間の結び付きの大きさ(強さ)を、空間重み行列において表現することができる。
【0016】
予測部16は、補正部14により補正された空間重み行列と、属性データ26とに基づいて、各地域の特性(例えば、各メッシュにおけるひとり世帯数)に関するデータの予測を行う。ここで、
図5には、属性データ26の一例として、各年における各メッシュのひとり世帯数のデータが示されている。予測部16は、
図5の属性データ26を用いて、例えば次の年の各メッシュにおけるひとり世帯数を予測する。なお、属性データ26は、予測部16が予測する特性(予測対象の特性)に関する情報を地図情報(各メッシュ)と対応付けたデータであるといえる。
【0017】
(地域特性予測装置10の処理について)
次に、地域特性予測装置10の処理について、
図6のフローチャートに沿って、その他図面を適宜参照しつつ詳細に説明する。なお、
図6の処理が行われる前提として、メッシュ地
図DB22及び路線DB24には、特性を予測したい地域に関する情報が格納されているものとする。また、属性データ26についても、入力部95を介して、ユーザにより入力済みか、メッシュ地
図DB22内にdbfファイルとして含まれているものとする。なお、本処理の説明においては、説明の簡素化のため、メッシュデータが
図7(a)のようなデータであり、路線重ね合わせメッシュデータが
図8(a)のようなデータであるものとする。
【0018】
図6の処理では、まずステップS12において、空間重み行列生成部12が、メッシュの中心座標を取得する。具体的には、
図7(a)のメッシュデータから、各メッシュの識別子であるメッシュIDと、中心座標(X,Y)とを取得する(
図3(b)参照)。
【0019】
次いで、ステップS14では、空間重み行列生成部12が、メッシュ間の隣接関係を決定する。本実施形態では、2つのメッシュの中心座標間の距離がメッシュの寸法と一致する場合に2つのメッシュが隣接していると判断する。例えば、
図7(a)に示すように9つのメッシュ1〜9がある場合、メッシュ5と隣接するメッシュは、2,4,6,8となる。また、メッシュ1と隣接するメッシュは、2,4となる。なお、上記説明では、空間重み行列生成部12は、メッシュ間の隣接関係を2つのメッシュの中心座標間の距離に基づいて判断する場合について説明したが、これに限られるものではない。例えば、空間重み行列生成部12は、2つのメッシュが線で接しているか否かを判断し、線で接している場合に隣接すると判断してもよい。
【0020】
次いで、ステップS16では、空間重み行列生成部12が、空間重み行列を生成する。具体的には、空間重み行列生成部12は、ステップS14において決定したメッシュ間の隣接関係を行列として表す。
図7(a)の場合であれば、空間重み行列生成部12は、
図7(b)に示すような空間重み行列を生成する。
図7(b)の空間重み行列では、例えば、行「1」については、メッシュ1と隣接するメッシュの番号の列「2」、「4」にある行列要素の値を1とし、その他を0としている。また、例えば、行「2」については、メッシュ2と隣接するメッシュの番号の列「1」、「3」、「5」にある行列要素の値を1とし、その他を0としている。以下、同様にして、各行列要素の値が設定されている。
【0021】
なお、ステップS16の処理が終了すると、以降のステップS18〜S30において、補正部14により、空間重み行列を補正する処理が実行される。
【0022】
ステップS18に移行すると、補正部14は、未特定のメッシュを特定する。例えば、補正部14は、
図7(a)のメッシュ1を特定したものとする。
【0023】
次いで、ステップS20では、補正部14が、特定したメッシュに路線が通っているか否かを判断する。この場合、補正部14は、
図8(a)の路線重ね合わせメッシュデータを参照し、メッシュ1に路線が通っているか否かを判断する。
図8(a)の例では特定されているメッシュ1に路線が通っていないため、このステップS20の判断は否定され、ステップS30に移行する。ステップS30に移行すると、補正部14は、全てのメッシュを特定済みか否かを判断する。このステップS30の判断が否定された場合には、ステップS18に戻る。ステップS18に戻ると、未特定のメッシュを特定する。ここでは、例えば、メッシュ2を特定したものとする。
【0024】
次いで、ステップS20に移行すると、特定したメッシュ2に路線が通っているか否かを判断する。
図8(a)の例では、メッシュ2に路線が通っているため、ステップS20の判断は肯定され、ステップS22に移行する。
【0025】
ステップS22に移行すると、補正部14は、未選択の隣接メッシュを選択する。ここでは、メッシュ2に隣接するメッシュ1,3,5のうちの1つ(例えばメッシュ1)を選択する。
【0026】
次いで、ステップS24では、補正部14は、選択した隣接メッシュに同一の路線が通っているか否かを判断する。ここで、現時点で選択されている隣接メッシュ1にはステップS18で特定したメッシュ2と同一の路線が通っていないため、ステップS24の判断は否定されて、ステップS28に移行する。ステップS28では、補正部14が、全ての隣接メッシュを選択済みか否かを判断するが、ここでは、メッシュ1,3,5のうちのメッシュ1を選択したのみであるので、判断は否定され、ステップS22に戻る。
【0027】
ステップS22に戻ると、補正部14は、未選択の隣接メッシュとして、例えば、メッシュ3を選択する。次いで、ステップS24では、補正部14は、選択した隣接メッシュ3にステップS18で特定したメッシュ2と同一の路線が通っているか否かを判断する。ここで、現時点で選択されている隣接メッシュ3にはメッシュ2と同一の路線が通っている。したがって、この場合にはステップS24の判断が肯定され、ステップS26に移行する。
【0028】
ステップS26に移行した場合、補正部14は、対応する行列要素にα(α>1)を積算する。すなわち、補正部14は、
図7(b)の上から2行目、左から3列目の行列要素「1」をα(=1×α)とする(
図8(b)参照)。
【0029】
次いで、ステップS28では、補正部14が、全ての隣接メッシュを選択済みか否かを判断するが、ここでは、メッシュ1,3,5のうちのメッシュ1,3を選択したのみであるので、判断は否定され、ステップS22に戻る。
【0030】
ステップS22に戻ると、補正部14は、未選択の隣接メッシュとして、例えば、メッシュ5を選択する。次いで、ステップS24では、補正部14は、選択した隣接メッシュ5にメッシュ2と同一の路線が通っているか否かを判断する。ここで、現時点で選択されている隣接メッシュ5にはメッシュ2と同一の路線が通っている。したがって、この場合にはステップS24の判断が肯定され、ステップS26に移行する。
【0031】
ステップS26に移行した場合、補正部14は、対応する行列要素にα(α>1)を積算する。すなわち、補正部14は、
図7(b)の上から2行目、左から5列目の行列要素「1」をα(=1×α)とする(
図8(b)参照)。
【0032】
その後はステップS28に移行するが、全ての隣接メッシュを選択済みであるので、ステップS28の判断は肯定され、ステップS30に移行する。ステップS30に移行すると、前述したように、補正部14は、全てのメッシュを特定済みか否かを判断するが、ここでの判断が否定されると、ステップS18に戻る。
【0033】
以降、補正部14は、メッシュ3〜9を順次特定し(S18)、特定したメッシュに隣接するメッシュを順次選択しつつ(S22)、特定したメッシュと選択した隣接メッシュとに同一の路線が通っているか否かを判断する(S24)。そして、同一の路線が通っていた場合には、対応する行列要素にαを積算すること(S26)で、空間重み行列を補正する。
【0034】
なお、
図8(a)の例の場合、
図8(b)に示すように空間重み行列が補正されるようになっている。
【0035】
上述したように全てのメッシュが特定済みとなり、ステップS30の判断が肯定されると、ステップS32に移行し、予測部16が、属性データ26と補正後の空間重み行列を用いて地域の特性を予測する。予測部16は、例えば、統計モデリングのためのプログラミング言語(例えばStan)を用いたベイズ推定を実施する機能を有し、属性データ26と補正後の空間重み行列に基づいて、地域の特性の予測を実行する。例えば、属性データ26が、過去における各メッシュでのひとり世帯数の推移を示すデータである場合には、予測部16は、属性データ26と補正後の空間重み行列とから、例えば各メッシュにおける翌年のひとり世帯数を予測する。この場合、2つの隣接するメッシュ間を同一の路線が通っている場合に、2つのメッシュに対応する空間重み行列の行列要素の値を大きく補正しているので、予測部16は、補正後の空間重み行列を用いることで、路線の存在によるメッシュ間の影響(例えば人の分布が路線に沿って広がる傾向にあること)を考慮して地域の特性を予測することができるようになっている。
【0036】
以上のように、ステップS32までの処理が終了すると、
図6の全処理が終了する。
【0037】
なお、
図4(a)に示すように、分析対象の複数のメッシュの中に、複数の路線が通っている場合もある。このような場合には、着目する路線を異ならせて、
図6のステップS18〜S30の処理を路線分だけ繰り返すこととすればよい。このとき、路線ごとにαを異ならせてもよい。例えば、在来線ほどαを大きくし、新幹線のような地域間に影響を及ぼす可能性の低い路線ほどαを小さくすることとしてもよい。
【0038】
図9(a)には、
図3(a)のようにある自治体に設定したメッシュそれぞれにおけるひとり世帯数の平成7年(1995年)から平成17年(2005年)までのデータ(
図5の属性データ26)と、空間重み行列(補正せず)を用いて、平成22年(2010年)の各メッシュにおけるひとり世帯数を予測した結果(平成22年のみ予測結果、その他は属性データ26に含まれる実測値)が示されている。また、
図9(b)には、第1の実施形態のように補正した空間重み行列を用いて、
図9(a)と同様に平成22年(2010年)の各メッシュにおけるひとり世帯数を予測した結果が示されている。さらに、
図10には、各メッシュのひとり世帯数の実測値が示されている。
【0039】
図11には、
図9(a)の予測値と
図10の実測値との差(差:比較例)、及び
図9(b)の予測値と
図10の実測値との差(差:本願)を示している。
図11の表から、差:比較例の絶対値の平均を求めると、78.8となり、差:本願の絶対値の平均を求めると27.0となった。この結果、第1の実施形態のように補正した空間重み行列を用いることで、ひとり世帯数を精度よく予測することができることが分かった。
【0040】
以上、詳細に説明したように、第1の実施形態によると、空間重み行列生成部12は、メッシュ地
図DB22を参照して、細分化された地域(メッシュ)間の隣接関係を示す空間重み行列を生成し(S16)、補正部14は、路線DB24を参照して、空間重み行列を補正する(S18〜S30)。そして、予測部16は、補正した空間重み行列と、属性データとに基づいて、地域の特性を予測する。これにより、第1の実施形態では、メッシュ間の隣接関係のみならず、隣接するメッシュ間の結び付きに路線が与える影響(非対称性)を考慮して、属性データから地域の特性を予測することができる。したがって、地域の特性を精度よく予測することが可能である。
【0041】
また、第1の実施形態では、路線が通るメッシュ間の結びつきが強くなるように、すなわち路線が通るメッシュ間の重みが大きくなるように、空間重み行列を補正するため、人の分布が路線沿いに広がる傾向にあること等を考慮して、地域の特性を精度よく予測することができる。
【0042】
なお、上記第1の実施形態では、メッシュ間を同一の路線が通るか否かに基づいて、行列要素を補正する場合について説明したが、これに限らず、その他の交通網(例えばバスの運行経路や幹線道路など)がメッシュ間を通るか否かに基づいて行列要素を補正することとしてもよい。また、複数の交通網に基づいて行列要素を補正してもよく、その場合には、交通網の種別ごとに補正値(α)を変更することとしてもよい。さらに、路線に沿って人の分布が広がる傾向は都心ほど高く、幹線道路に沿って人の分布が広がる傾向は郊外ほど高いなどの地域性があるため、このような地域性を考慮して補正値(α)を調整することとしてもよい。
【0043】
なお、例えばメッシュを通る路線の長さを特定し、路線がわずかにしか通っていないメッシュの予測結果の精度が低いような場合には、予測結果の精度が上がるように、路線の長さに応じてαを調整してもよい。また、メッシュを通る路線の長さが所定の長さ未満である場合に補正を行わないようにしてもよい。
【0044】
《第2の実施形態》
次に、第2の実施形態について、
図12〜
図14に基づいて説明する。
【0045】
上記第1の実施形態では、同一の路線が通っている隣接するメッシュの結び付きが強くなるように、空間重み行列を補正する場合について説明したが、第2の実施形態では、河川による地域の分断(往来を阻害する要素)による影響を加味して、空間重み行列を補正する例について説明する。
【0046】
第2の実施形態では、補正部14は、隣接する2つのメッシュの間に川が流れている場合に、その2つのメッシュに対応する行列要素の値をβ倍(β<1)するように補正する。例えば、
図12に示すような川が重ね合わせられたメッシュデータにおいて、メッシュ5に隣接するメッシュは2,4,6,8となるが、メッシュ5とメッシュ2,6との間に川が存在し、メッシュ間を分断している。したがって、メッシュ5、2及びメッシュ5,6に対応する行列要素の値をβ倍する。また、その他のメッシュについても同様に補正を行う。そして、予測部16は、補正後の空間重み行列を用いて、地域の特性(例えば完全失業者数)を予測する。
【0047】
図13(a)には、ある自治体に設定したメッシュそれぞれにおける完全失業者数(平成7年から平成17年)のデータと、空間重み行列(補正せず)を用いて平成22年の完全失業者数を予測した結果(比較例)が示されている。また、
図13(b)には、
図13(a)の場合と同様のデータと、補正した空間重み行列とを用いて、平成22年の完全失業者数を予測した結果(第2の実施形態)が示されている。さらに、
図14には、平成7年から平成22年までの完全失業者数の推移(実測値)が示されている。
【0048】
これらの結果から、第1の実施形態と同様、比較例の予測値と実測値との差の絶対値の平均値を求めると、10.0となり、第2の実施形態の予測値と実測値との差の絶対値の平均値を求めると、9.6となった。すなわち、第2の実施形態のように空間重み行列を補正することで、予測精度に4%の向上が見られた。
【0049】
以上、説明したように、第2の実施形態によると、メッシュ間の結び付きに影響を与える要素として、メッシュ間の往来を阻害する要素(例えば川)の情報を用い、メッシュ間に川がある場合にメッシュ間の結び付きを弱めるように行列要素を補正するので、メッシュ間の往来を阻害する要素を考慮して、地域の特性を精度よく予測することができる。
【0050】
なお、上記実施形態では、地域の特性として、完全失業者数を予測する場合について説明したが、これに限らず、例えば、地域の特性として、植生や生物の生息域などを予測することとしてもよい。
【0051】
なお、上記実施形態では、メッシュ間の往来を阻害する要素が川である場合を例にとり説明したが、これに限らず、メッシュ間の往来を阻害する要素は、例えばダムや飛行場、基地などであってもよい。
【0052】
なお、上記第1、第2の実施形態では、予測部16がベイズ推定により地域の特性を予測する場合について説明したが、これに限らず、その他の方法により地域の特性を予測することとしてもよい。
【0053】
なお、上記第1、第2の実施形態を組み合わせてもよい。すなわち、メッシュ間を交通網がつなぐ場合には、行列要素の値が大きくなるように補正し、メッシュ間に川などの往来を阻害する要素がある場合には、行列要素の値が小さくなるように補正してもよい。
【0054】
なお、上記第1、第2の実施形態では、地域特性予測装置10が、
図2の各機能を有する場合について説明したが、これに限られるものではない。例えば、
図2の各機能を、
図15に示すような、インターネットなどのネットワーク80に接続されたクラウドサーバ110が有していてもよい。この場合、利用者端末70から入力されたデータをクラウドサーバ110が受信し、クラウドサーバ110において
図6の処理を実行することとしてもよい。そして、クラウドサーバ110から利用者端末70に処理結果(予測結果)を送信し、利用者端末70にて受信した処理結果を利用する。なお、クラウドサーバ110は、国内、海外のいずれに設置されてもよい。
【0055】
なお、上記の処理機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、処理装置が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体(ただし、搬送波は除く)に記録しておくことができる。
【0056】
プログラムを流通させる場合には、例えば、そのプログラムが記録されたDVD(Digital Versatile Disc)、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)などの可搬型記録媒体の形態で販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0057】
プログラムを実行するコンピュータは、例えば、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。また、コンピュータは、サーバコンピュータからプログラムが転送されるごとに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。
【0058】
上述した実施形態は本発明の好適な実施の例である。但し、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施可能である。
【0059】
なお、以上の第1、第2の実施形態の説明に関して、更に以下の付記を開示する。
(付記1) 地図情報を格納する第1格納部を参照して、前記地図情報に含まれる細分化された地域間の隣接関係を示す空間重み行列を生成し、
地図情報と対応付けて前記細分化された地域間の結び付きに影響を与える要素の情報を格納する第2格納部を参照して、前記空間重み行列を補正し、
補正した前記空間重み行列と、地図情報と対応付けられた予測対象の特性に関するデータとに基づいて、前記予測対象の特性を予測する、
処理をコンピュータが実行することを特徴とする地域特性予測方法。
(付記2) 前記細分化された地域間の結び付きに影響を与える要素の情報は、交通網に関する情報を含むことを特徴とする付記1に記載の地域特性予測方法。
(付記3) 前記補正する処理では、前記交通網が通る地域間の重みが大きくなるように前記空間重み行列を補正する、ことを特徴とする付記2に記載の地域特性予測方法。
(付記4) 前記細分化された地域間の結び付きに影響を与える要素の情報は、前記地域間の往来を阻害する要素の情報を含むことを特徴とする付記1〜3のいずれかに記載の地域特性予測方法。
(付記5) 前記補正する処理では、往来が阻害されている地域間の重みが小さくなるように前記空間重み行列を補正する、ことを特徴とする付記4に記載の地域特性予測方法。
(付記6) 地図情報を格納する第1格納部を参照して、前記地図情報に含まれる細分化された地域間の隣接関係を示す空間重み行列を生成する生成部と、
地図情報と対応付けて前記細分化された地域間の結び付きに影響を与える要素の情報を格納する第2格納部を参照して、前記空間重み行列を補正する補正部と、
補正した前記空間重み行列と、地図情報と対応付けられた予測対象の特性に関するデータとに基づいて、前記予測対象の特性を予測する予測部と、
を備える地域特性予測装置。
(付記7) 前記細分化された地域間の結び付きに影響を与える要素の情報は、交通網に関する情報を含むことを特徴とする付記6に記載の地域特性予測装置。
(付記8) 前記補正部は、前記交通網が通る地域間の重みが大きくなるように前記空間重み行列を補正する、ことを特徴とする付記7に記載の地域特性予測装置。
(付記9) 前記細分化された地域間の結び付きに影響を与える要素の情報は、前記地域間の往来を阻害する要素の情報を含むことを特徴とする付記6〜8のいずれかに記載の地域特性予測装置。
(付記10) 前記補正部は、往来が阻害されている地域間の重みが小さくなるように前記空間重み行列を補正する、ことを特徴とする付記9に記載の地域特性予測装置。
(付記11) 地図情報を格納する第1格納部を参照して、前記地図情報に含まれる細分化された地域間の隣接関係を示す空間重み行列を生成し、
地図情報と対応付けて前記細分化された地域間の結び付きに影響を与える要素の情報を格納する第2格納部を参照して、前記空間重み行列を補正し、
補正した前記空間重み行列と、地図情報と対応付けられた予測対象の特性に関するデータとに基づいて、前記予測対象の特性を予測する、
処理をコンピュータに実行させるための地域特性予測プログラム。