(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、図中同一又は相当する部分には同一符号を付す。
【0010】
(実施形態1)
<熱膨張性シート100>
図1に、本発明の実施形態1に係る製造方法によって製造される熱膨張性シート100の構成を示す。熱膨張性シート100は、予め選択された部分が膨張することによって立体画像が形成される媒体である。立体画像とは、2次元状のシートにおいて、シートのうちの一部分がシートに垂直な方向に膨張することによって形成される3次元状の画像である。
【0011】
図1に示すように、熱膨張性シート100は、基材101と、熱膨張層102と、インク受容層103とを、この順に備えている。なお、
図1は、立体画像が形成される前、すなわちどの部分も膨張していない状態における熱膨張性シート100の断面を示している。
【0012】
基材101は、熱膨張性シート100の元となるシート状の媒体である。基材101は、熱膨張層102とインク受容層103とを支持する支持体であって、熱膨張性シート100の強度を保持する役割を担う。基材101として、例えば、一般的な印刷用紙を用いることができる。或いは、基材101の材質は、合成紙、キャンバス地等の布、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のプラスチックフィルムであっても良く、特に限定されるものではない。
【0013】
熱膨張層102は、基材101の上側に積層されており、加熱によって膨張する層である。熱膨張層102は、バインダと、バインダ内に分散配置された熱膨張剤と、を含む。バインダは、酢酸ビニル系ポリマー、アクリル系ポリマー等の熱可塑性樹脂である。熱膨張剤は、プロパン、ブタン等の低沸点で気化する物質を、熱可塑性樹脂の外殻に内包した、粒径が約5〜50μmの熱膨張性のマイクロカプセルである。熱膨張剤は、熱を加えられると、内包している物質が気化し、その圧力によって発泡及び膨張する。このようにして、熱膨張層102は、吸収した熱量に応じて膨張する。熱膨張剤は、発泡剤とも呼ぶ。
【0014】
インク受容層103は、熱膨張層102の上側に積層された、インクを吸収して受容する層である。インク受容層103は、インクジェット方式のプリンタに用いられる印刷用のインク、レーザー方式のプリンタに用いられる印刷用のトナー、ボールペン又は万年筆のインク、鉛筆の黒鉛等を受容する。インク受容層103は、これらを表面に定着させるための好適な材料によって形成される。インク受容層103の材料として、例えば、インクジェット用紙に用いられている汎用的な材料を用いることができる。
【0015】
一例として、インク受容層103は、無機顔料を材料とし、形成皮膜が白くなるマットタイプの受容層である。或いは、インク受容層103は、水溶性樹脂によって形成され、形成皮膜が透明で光沢がある膨潤タイプであっても良い。このように、インク受容層103の材料は、用途に応じて適宜選択することができる。
【0016】
図2に、熱膨張性シート100の裏面を示す。熱膨張性シート100の裏面とは、熱膨張性シート100の基材101側の面であって、基材101の裏面に相当する。これに対して、熱膨張性シート100の表面とは、熱膨張性シート100のインク受容層103側の面であって、インク受容層103の表面に相当する。
【0017】
図2に示すように、熱膨張性シート100の裏面には、バーコードBが付されている。バーコードBは、熱膨張性シート100を識別するための識別情報(識別子)であって、熱膨張性シート100が立体画像を形成するための専用のシートであることを示す情報である。バーコードBは、後述する立体画像形成システム1の膨張ユニット20によって読み取られる識別子であって、膨張ユニット20において正常に処理されるシートであることを判別するための機能を担う。言い換えると、バーコードBは、膨張ユニット20において熱膨張性シート100の使用の可否を判定するための識別子である。
【0018】
バーコードBは、膨張ユニット20が熱膨張性シート100の搬入時にバーコードBを読み取ることができるように、熱膨張性シート100の搬送方向における前方側の縁部に付されている。搬送方向とは、膨張ユニット20において熱膨張性シート100が搬送される方向である。また、読み取り易さを向上させるため、熱膨張性シート100には、搬送方向における前方側の縁部に沿って複数のバーコードBが付されている。
【0019】
<立体画像形成システム1>
次に、
図3(a)〜(c)を参照して、熱膨張性シート100に立体画像を形成するための立体画像形成システム1について説明する。
【0020】
図3(a)は、立体画像形成システム1の正面図である。
図3(b)は、天板30を閉じた状態における立体画像形成システム1の平面図である。
図3(c)は、天板30を開いた状態における立体画像形成システム1の平面図である。
図3(a)〜(c)において、X方向は、印刷ユニット10と膨張ユニット20とが並ぶ方向に相当し、Y方向は、印刷ユニット10及び膨張ユニット20における熱膨張性シート100の搬送方向に相当し、Z方向は、鉛直方向に相当する。X方向とY方向とZ方向とは、互いに直交する。
【0021】
図3(a)〜(c)に示すように、立体画像形成システム1は、印刷ユニット10と、膨張ユニット20と、天板30と、表示ユニット40と、制御ユニット50と、フレーム60と、を備える。
【0022】
<印刷ユニット10>
印刷ユニット10は、インクジェット方式の印刷装置である。
図3(c)に示すように、印刷ユニット10は、熱膨張性シート100を搬入するための搬入部11と、熱膨張性シート100を排出するための排出部12と、を備える。印刷ユニット10は、搬入部11から搬入された熱膨張性シート100の表面又は裏面に指示された画像を印刷し、画像が印刷された熱膨張性シート100を排出部12から排出する。
【0023】
図4に、印刷ユニット10の詳細な構成を示す。
図4に示すように、印刷ユニット10は、熱膨張性シート100が搬送される方向である副走査方向D1(Y方向)に直交する主走査方向D2(X方向)に往復移動可能なキャリッジ41を備える。
【0024】
キャリッジ41には、印刷を実行する印刷ヘッド42と、インクを収容したインクカートリッジ43(43k,43c,43m,43y)が取り付けられている。インクカートリッジ43k,43c,43m,43yには、それぞれ、ブラックK、シアンC、マゼンタM、及びイエローYの色インクが収容されている。各色のインクは、印刷ヘッド42の対応するノズルから吐出される。
【0025】
キャリッジ41は、ガイドレール44に滑動自在に支持されており、駆動ベルト45に狭持されている。キャリッジ41は、モータ45mの回転により駆動ベルト45が駆動することで、印刷ヘッド42及びインクカートリッジ43と共に、主走査方向D2に移動する。
【0026】
フレーム47の下部には、印刷ヘッド42と対向する位置に、プラテン48が設けられている。プラテン48は、主走査方向D2に延在しており、熱膨張性シート100の搬送路の一部を構成している。熱膨張性シート100の搬送路には、給紙ローラ対49a(下のローラは不図示)と排紙ローラ対49b(下のローラは不図示)とが設けられている。給紙ローラ対49aと排紙ローラ対49bとは、プラテン48に支持された熱膨張性シート100を副走査方向D1に搬送する。
【0027】
印刷ユニット10は、フレキシブル通信ケーブル46を介して制御ユニット50と接続されている。制御ユニット50は、フレキシブル通信ケーブル46を介して、印刷ヘッド42、モータ45m、給紙ローラ対49a及び排紙ローラ対49bを制御する。具体的に説明すると、制御ユニット50は、給紙ローラ対49a及び排紙ローラ対49bを制御して、熱膨張性シート100を搬送させる。また、制御ユニット50は、モータ45mを回転させてキャリッジ41を移動させ、印刷ヘッド42を主走査方向D2の適切な位置に搬送させる。
【0028】
印刷ユニット10は、制御ユニット50から画像データを取得し、取得した画像データに基づいて印刷を実行する。具体的に説明すると、印刷ユニット10は、画像データとして、カラー画像データと表面発泡データと裏面発泡データとを取得する。カラー画像データは、熱膨張性シート100の表面に印刷するカラー画像を示すデータである。印刷ユニット10は、印刷ヘッド42に、シアンC、マゼンタM及びイエローYの各インクを熱膨張性シート100に向けて噴射させて、カラー画像を印刷する。
【0029】
これに対して、表面発泡データは、熱膨張性シート100の表面において発泡及び膨張させる部分を示すデータである。また、裏面発泡データは、熱膨張性シート100の裏面において発泡及び膨張させる部分を示すデータである。印刷ユニット10は、印刷ヘッド42に、カーボンブラックを含むブラックKの黒色インクを熱膨張性シート100に向けて噴射させて、黒色による濃淡画像(濃淡パターン)を印刷する。カーボンブラックを含む黒色インクは、光を熱に変換する材料の一例である。
【0030】
<膨張ユニット20>
膨張ユニット20は、熱膨張性シート100を加熱して膨張させる膨張装置である。
図3(c)に示すように、膨張ユニット20は、熱膨張性シート100を搬入するための搬入部21と、熱膨張性シート100を排出するための排出部22と、を備える。膨張ユニット20は、搬入部21から搬入された熱膨張性シート100に熱を加えて膨張させ、膨張した熱膨張性シート100を排出部22から排出する。
【0031】
図5に、膨張ユニット20の詳細な構成を示す。
図5に示すように、膨張ユニット20は、筐体23と、筐体23の内部に設けられた照射部24と、を備える。搬入部21から搬入された熱膨張性シート100は、搬送ガイド21b,23bによってガイドされながら、搬送ローラ対21a,23aによって搬送される。
【0032】
照射部24は、例えばハロゲンランプであって、熱膨張性シート100に対して、近赤外領域(波長750〜1400nm)、可視光領域(波長380〜750nm)、又は、中赤外領域(波長1400〜4000nm)の光を照射する。カーボンブラックを含む黒色インクが印刷された熱膨張性シート100に光を照射すると、黒色インクが印刷された部分では、黒色インクが印刷されていない部分に比べて、より効率良く光が熱に変換される。そのため、熱膨張層102のうちの、黒色インクが印刷された部分が主に加熱されて、その結果、熱膨張層102は、黒色インクが印刷された部分が膨張する。
【0033】
膨張ユニット20は、図示しないケーブルを介して制御ユニット50と接続されている。制御ユニット50は、搬送ローラ対21a,23aを駆動させて熱膨張性シート100を搬送させながら、照射部24によって熱膨張性シート100に向けて光を照射させる。これによって、制御ユニット50は、熱膨張性シート100を膨張させる。
【0034】
また、膨張ユニット20は、搬入部21において、バーコードリーダ26と、リフレクタ27と、を備える。バーコードリーダ26は、熱膨張性シート100の裏面に付されたバーコードBを読み取る読み取り手段として機能する。リフレクタ27は、光を反射するミラーであって、バーコードリーダ26に対して熱膨張性シート100の搬送路を挟んで反対側に設置されている。
【0035】
バーコードリーダ26は、搬入部21にセットされた熱膨張性シート100の前端部がバーコードリーダ26の位置に達すると、そこに付されたバーコードBを読み取る。具体的に説明すると、表面が上側を向いて熱膨張性シート100が膨張ユニット20に挿入された場合、バーコードリーダ26は、熱膨張性シート100の裏面に付されたバーコードBを、リフレクタ27を介さずに読み取る。これに対して、裏面が上側を向いて熱膨張性シート100が膨張ユニット20に挿入された場合、バーコードリーダ26は、熱膨張性シート100の裏面に付されたバーコードBを、リフレクタ27を介して読み取る。
【0036】
膨張ユニット20は、バーコードリーダ26によってバーコードBを読み取ることができたか否かに応じて、搬入部21にセットされた媒体が、熱膨張性シート100であるか否か(膨張ユニット20で使用可能か否か)を判別する。これは、立体画像を形成するための専用のシートではない媒体が膨張ユニット20に搬入されると、膨張ユニット20が正常に動作しない可能性があるためである。
【0037】
具体的に説明すると、膨張ユニット20は、熱膨張性シート100に付されたバーコードBをバーコードリーダ26によって読み取ることができた場合、熱膨張性シート100を筐体23の内部に搬入する。これに対して、膨張ユニット20は、熱膨張性シート100に付されたバーコードBをバーコードリーダ26によって読み取ることがでなかった場合、熱膨張性シート100を筐体23の内部に搬入しない。これにより、膨張ユニット20の誤動作を抑制することができる。
【0038】
図3(a)に戻って、天板30は、印刷ユニット10と膨張ユニット20との上方を覆うように設けられている。天板30には、印刷ユニット10又は膨張ユニット20に関する情報を表示する表示ユニット40が設けられている。
【0039】
表示ユニット40は、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の表示装置と、表示装置に画像を表示させる表示駆動回路と、を備える。表示ユニット40は、例えば
図3(b)に示すように、印刷ユニット10によって熱膨張性シート100に印刷される画像を表示する。また、表示ユニット40は、必要に応じて、印刷ユニット10又は膨張ユニット20の現在の状態を示す情報を表示する。
【0040】
なお、図示していないが、立体画像形成システム1は、ユーザによって操作される操作ユニットを備えていても良い。操作ユニットは、ボタン、スイッチ、ダイヤル等を備え、印刷ユニット10又は膨張ユニット20に対する操作を受け付ける。或いは、表示ユニット40は、表示装置と操作装置とが重ねられたタッチパネル又はタッチスクリーンを備えていても良い。
【0041】
制御ユニット50は、印刷ユニット10、膨張ユニット20及び表示ユニット40を制御する。また、制御ユニット50は、印刷ユニット10、膨張ユニット20、及び表示ユニット40に電源を供給する。
図6に示すように、制御ユニット50は、制御部51と、記憶部52と、入力部53と、通信部54と、記録媒体駆動部55と、を備える。これら各部は、信号を伝達するためのバスによって接続されている。
【0042】
制御部51は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を備える。制御部51では、CPUが、ROMに記憶されている制御プログラムを読み出して、RAMをワークメモリとして用いながら、立体画像形成システム1全体の動作を制御する。なお、制御部51は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の専用の制御回路であっても良い。
【0043】
記憶部52は、フラッシュメモリ、ハードディスク等であって、制御部51によって実行されるプログラム又はデータを記憶している。例えば、記憶部52は、印刷ユニット10によって印刷されるカラー画像データ、表面発泡データ及び裏面発泡データを記憶している。入力部53は、キーボード、マウス等であって、ユーザから操作を受け付ける。通信部54は、印刷ユニット10、膨張ユニット20及び表示ユニット40を含む外部の装置と通信するためのインタフェースである。
【0044】
記録媒体駆動部55は、可搬型の記録媒体に記録されているプログラム又はデータを読み出す。可搬型の記録媒体とは、CD(Compact Disc)−ROM、DVD(Digital Versatile Disc)−ROM、USB(Universal Serial Bus)規格のコネクタが備えられているフラッシュメモリ等である。例えば、記録媒体駆動部55は、印刷ユニット10によって印刷されるカラー画像データ、表面発泡データ及び裏面発泡データを、可搬型の記録媒体から読み出して取得する。
【0045】
<立体画像形成処理>
次に、
図7に示すフローチャート及び
図8(a)〜(e)に示す熱膨張性シート100の断面図を参照して、立体画像形成システム1によって熱膨張性シート100に立体画像が形成される処理の流れを説明する。
【0046】
第1に、ユーザは、立体画像が形成される前の熱膨張性シート100を準備し、入力部53を介して、カラー画像データ、表面発泡データ及び裏面発泡データを指定する。そして、熱膨張性シート100を、その表面を上側に向けて印刷ユニット10に挿入する。印刷ユニット10は、挿入された熱膨張性シート100の表面に光熱変換層104を印刷する(ステップS1)。光熱変換層104は、光を熱に変換する材料、具体的にはカーボンブラックを含む黒色インクで形成された層である。印刷ユニット10は、指定された表面発泡データに従って、熱膨張性シート100の表面に、カーボンブラックを含む黒色インクを吐出する。その結果、
図8(a)に示すように、インク受容層103上に光熱変換層104が形成される。
【0047】
第2に、ユーザは、光熱変換層104が印刷された熱膨張性シート100を、その表面を上側に向けて膨張ユニット20に挿入する。膨張ユニット20は、挿入された熱膨張性シート100を表面から加熱する。具体的に説明すると、膨張ユニット20は、熱膨張性シート100の表面に照射部24によって光を照射させる(ステップS2)。熱膨張性シート100の表面に印刷された光熱変換層104は、照射された光を吸収することによって発熱する。その結果、
図8(b)に示すように、熱膨張性シート100のうちの光熱変換層104が印刷された部分が盛り上がって膨張する。
【0048】
第3に、ユーザは、表面が加熱されて膨張した熱膨張性シート100を、その表面を上側に向けて印刷ユニット10に挿入する。印刷ユニット10は、挿入された熱膨張性シート100の表面にカラーインク層105(カラー画像)を印刷する(ステップS3)。具体的に説明すると、印刷ユニット10は、指定されたカラー画像データに従って、熱膨張性シート100の表面に、シアンC、マゼンタM及びイエローYの各インクを吐出する。その結果、
図8(c)に示すように、インク受容層103及び光熱変換層104の上にカラーインク層105が形成される。
【0049】
なお、印刷ユニット10は、カラーインク層105において黒又はグレーの色の画像を印刷する場合には、シアンC、マゼンタM及びイエローYの3色のインクを混色して形成するか、或いはカーボンブラックを含まない黒色のインクを更に使用することによって形成する。これによって、カラーインク層105が形成された部分が膨張ユニット20において加熱されることを回避する。
【0050】
第4に、ユーザは、カラーインク層105が印刷された熱膨張性シート100を裏返して、その裏面を上側に向けて膨張ユニット20に挿入する。膨張ユニット20は、挿入された熱膨張性シート100の裏面に照射部24によって光を照射させ、熱膨張性シート100を裏面から加熱する。これにより、膨張ユニット20は、カラーインク層105中に含まれる溶媒を揮発させて、カラーインク層105を乾燥させる(ステップS4)。このようにカラーインク層105を乾燥させるのは、カラーインク層105が十分に乾燥しないと、後の工程で熱膨張性シート100の裏面に印刷される光熱変換層106が必要な高さに膨張し難くなるからである。
【0051】
第5に、ユーザは、カラーインク層105が印刷された熱膨張性シート100を、その裏面を上側に向けて印刷ユニット10に挿入する。印刷ユニット10は、挿入された熱膨張性シート100の裏面に光熱変換層106を印刷する(ステップS5)。光熱変換層106は、熱膨張性シート100の表面に印刷された光熱変換層104と同様に、光を熱に変換する材料、具体的にはカーボンブラックを含む黒色インクで形成された層である。印刷ユニット10は、指定された裏面発泡データに従って、熱膨張性シート100の裏面に、カーボンブラックを含む黒色インクを吐出する。その結果、
図8(d)に示すように、基材101の裏面に光熱変換層106が形成される。
【0052】
第6に、ユーザは、光熱変換層106が印刷された熱膨張性シート100を、その裏面を上側に向けて膨張ユニット20に挿入する。膨張ユニット20は、挿入された熱膨張性シート100を裏面から加熱する。具体的に説明すると、膨張ユニット20は、熱膨張性シート100の裏面に照射部24によって光を照射させる(ステップS6)。熱膨張性シート100の裏面に印刷された光熱変換層106は、照射された光を吸収することによって発熱する。その結果、
図8(e)に示すように、熱膨張性シート100のうちの光熱変換層106が印刷された部分が盛り上がって膨張する。
【0053】
なお、
図8(a)〜(e)では、理解を容易にするため、光熱変換層104及びカラーインク層105は、インク受容層103の上に形成されているように示されている。しかしながら、より正確には、カラーインク及び黒色インクは、インク受容層103の内部に吸収されるため、インク受容層103の中に形成される。
【0054】
以上のように、熱膨張性シート100のうちの光熱変換層104,106が形成された部分が膨張することによって、熱膨張性シート100にカラーの立体画像が形成される。光熱変換層104,106は、その濃度が濃い部分ほど大きく加熱されるため、より大きく膨張する。そのため、目標となる高さに応じて光熱変換層104,106の濃淡を調整することで、様々な形状の立体画像を得ることができる。
【0055】
なお、熱膨張性シート100を表面から加熱する処理と裏面から加熱する処理とのうちのどちらか一方を省略しても良い。例えば、熱膨張性シート100の表面のみを加熱して膨張させる場合には、
図7におけるステップS5,S6は省略される。これに対して、熱膨張性シート100の裏面のみを加熱して膨張させる場合には、
図7におけるステップS1,S2は省略される。また、ステップS3におけるカラー画像の印刷は、ステップS6における熱膨張性シート100を裏面から加熱する処理の後で実行されても良い。
【0056】
また、モノクロの立体画像を形成する場合には、印刷ユニット10は、ステップS3において、カラー画像の代わりにモノクロ画像を印刷しても良い。この場合、インク受容層103及び光熱変換層104の上には、カラーインク層105の代わりに黒インクによる層が形成される。
【0057】
<熱膨張性シート100の製造方法>
次に、以上のような熱膨張性シート100を製造する方法について説明する。
図9に、熱膨張性シート100を製造するための製造システム200の構成を示す。
図9に示すように、製造システム200は、印刷装置210と、塗布装置220と、断裁装置230と、を備える。
【0058】
印刷装置210は、識別情報であるバーコードBを基材101に印刷する。
図10に、印刷装置210の構成を示す。
図10に示すように、印刷装置210は、長尺状の基材101を保持する保持部211と、長尺状の基材101を搬送する搬送機構212と、長尺状の基材101にバーコードBを印刷する印刷機構213と、を備える。
【0059】
長尺状の基材101は、熱膨張性シート100を製造するための元になる媒体である。保持部211は、バーコードBが印刷される前の長尺状の基材101を、ロール状に巻いた状態で保持する。搬送機構212は、長尺状の基材101を搬送するためのローラ及びローラ対(
図10では一部を省略)を含んでおり、ロール状に巻かれて保持部211に保持された長尺状の基材101を巻き出して搬送する。
【0060】
印刷機構213は、搬送機構212によって搬送される長尺状の基材101の裏面に、バーコードBを印刷する。印刷機構213は、レーザー方式、熱転写方式、インクジェット方式、スクリーン印刷方式、グラビア印刷方式等の公知の印刷方式で印刷を実行する。
【0061】
印刷装置210は、印刷機構213を介して、製造後の熱膨張性シート100における裏面の縁部にバーコードBが設けられるように、バーコードBを印刷する。そのために、印刷装置210は、長尺状の基材101の縁部と、長尺状の基材101における断裁装置230によって断裁される断裁位置と、の少なくとも一方にバーコードBを印刷する。
【0062】
図11(a),(b)に、それぞれA4サイズ及びA3サイズの熱膨張性シート100を製造する場合におけるバーコードBの印刷例を示す。
図11(a),(b)において、断裁線C1は、断裁装置230によって長尺状の基材101がその長手方向に垂直な方向に断裁される断裁位置を示している。これに対して、断裁線C2は、断裁装置230によって長尺状の基材101がその長手方向に断裁される断裁位置を示している。
【0063】
断裁線C1,C2は、製造すべき熱膨張性シート100の大きさ及び形状によって設定される。例えば、
図11(a)に示すようにA4サイズの熱膨張性シート100を製造する場合には、
図11(b)に示すようにA3サイズの熱膨張性シート100を製造する場合よりも、長手方向により多くの断裁線C2が設定される。その際、一例として、断裁線C1,C2は、立体画像形成システム1における熱膨張性シート100の搬送方向が、長尺状の基材101の長手方向に対して垂直になるように、設定される。
【0064】
図11(a),(b)に示すように、印刷装置210は、このように設定された断裁線C1,C2のうちの長手方向に延びる断裁線C2と、長尺状の基材101の長手方向に垂直な方向における縁部と、に沿って長手方向に長い領域に、複数のバーコードBを印刷する。これにより、断裁装置230によって長尺状の基材101が断裁された後、搬送方向における前方側の縁部に沿って複数のバーコードBが設けられた熱膨張性シート100を得ることができる。
【0065】
なお、印刷機構213は、常温では光学的に識別可能であるが、加熱されると消えるインクによって、バーコードBを印刷することができる。この場合、長尺状の基材101に印刷されたバーコードBは、膨張ユニット20において加熱される前は光学的に識別可能であるが、加熱によって消失する。そのため、不要になったバーコードBを消すことができる。
【0066】
塗布装置220は、印刷装置210によってバーコードBが印刷された基材101に熱膨張層102とインク受容層103とを塗布する。バーコードBが印刷された後で熱膨張層102とインク受容層103とを塗布するのは、熱膨張層102とインク受容層103とを塗布すると、基材101の重量及び厚みが増加するため、バーコードBを印刷し難くなるからである。
【0067】
図12に、塗布装置220の構成を示す。
図12に示すように、塗布装置220は、長尺状の基材101を保持する保持部221と、長尺状の基材101を搬送する搬送機構222と、長尺状の基材101に熱膨張層102とインク受容層103とを塗布する塗布機構223と、を備える。
【0068】
保持部221は、バーコードBが印刷された長尺状の基材101を、ロール状に巻いた状態で保持する。搬送機構222は、長尺状の基材101を搬送するためのローラ及びローラ対(
図12では一部を省略)を含んでおり、ロール状に巻かれて保持部221に保持された長尺状の基材101を巻き出して搬送する。
【0069】
塗布機構223は、搬送機構222によって搬送される長尺状の基材101の、バーコードBが印刷された面とは逆側の面に、熱膨張層102とインク受容層103とを塗布する。塗布機構223は、バーコータ方式、ロールコータ方式、スプレー方式、スクリーン印刷方式等の公知の方式で塗料を塗布する。
図12は、一例として、均一な厚塗りに好適なバーコータ方式で塗料を塗布する塗布機構223の構成を示している。
【0070】
具体的に説明すると、塗布機構223は、
図12に示すように、塗料を溜める塗料槽224と、塗料槽から塗料をすくい上げるローラ225と、塗布された塗料の厚みを均一化させるため均一化部材226と、を備える。塗料とは、熱膨張層102又はインク受容層103を塗布するための材料である。塗布機構223は、塗料槽224内の塗料をローラ225によってすくい上げ、搬送機構222によって搬送される長尺状の基材101の表面に塗布する。塗布された塗料は、均一化部材226によって均一化され、それによって基材101の表面上に滑らかな層が形成される。
【0071】
均一化部材226として、一例として、バーに複数のワイヤーを巻き付けたワイヤーバー(メイヤーバー)を用いることができる。この場合、均一化部材226は、基材101の表面に塗布された塗料のうち、隣り合うワイヤーの隙間に入った塗料以外を削ぎ落とすことで、目標となる厚さの層を形成する。このようにして、塗布機構223によって熱膨張層102又はインク受容層103が塗布される。
【0072】
更に、塗布装置220は、長尺状の基材101に熱膨張層102又はインク受容層103を塗布した後、長尺状の基材101を予め規定された距離搬送させて、熱膨張層102又はインク受容層103を乾燥させる。搬送機構222は、
図12では省略しているが、塗布機構223の後に、塗布された塗料を乾燥させるため、予め規定された距離の搬送経路を備えている。予め規定された距離は、例えば数メートルから10メートル程度である。
【0073】
断裁装置230は、長尺状の基材101を断裁する断裁機構を備える。断裁装置230は、塗布装置220によって熱膨張層102とインク受容層103とが塗布された長尺状の基材101を、予め設定された断裁位置で断裁する。予め設定された断裁位置とは、製造すべき熱膨張性シート100の大きさ及び形状に応じた断裁位置であって、具体的には、
図11(a),(b)に示した断裁線C1,C2に相当する。
【0074】
例えば、A4サイズの熱膨張性シート100を製造する場合、断裁装置230は、
図11(a)に示した断裁線C1,C2に沿って、長尺状の基材101を断裁する。これに対して、A3サイズの熱膨張性シート100を製造する場合、断裁装置230は、
図11(b)に示した断裁線C1,C2に沿って、長尺状の基材101を断裁する。このように、断裁装置230は、製造すべき熱膨張性シート100の大きさ及び形状に応じて、長尺状の基材101を、その長手方向、及び、長手方向に垂直な方向に断裁する。これにより、様々な大きさ及び形状の熱膨張性シート100を得ることができる。
【0075】
次に、
図13に示すフローチャートを参照して、熱膨張性シート100の製造処理の流れについて説明する。
【0076】
まず、ユーザは、長尺状の基材101を準備し、準備した長尺状の基材101をロール状に巻いた状態で、印刷装置210の保持部211に設置する。そして、ユーザは、印刷装置210の操作部を操作して、印刷装置210に印刷を開始させる。これにより、印刷装置210は、ロール状に巻かれた長尺状の基材101を巻き出して、バーコードBを印刷する(ステップS11)。ステップS11は、印刷ステップの一例である。
【0077】
具体的に説明すると、印刷装置210は、
図11(a),(b)に示したように、長尺状の基材101の幅方向における縁部と、長手方向に延びる断裁線C2と、に沿って、複数のバーコードBを印刷する。これは、長尺状の基材101を断裁して得られる熱膨張性シート100の、搬送方向における前方側の縁部にバーコードBを設けるためである。このような印刷ステップを経た後の長尺状の基材101は、巻き取り装置によってロール状に巻き取られる。
【0078】
バーコードBの印刷が完了すると、ユーザは、バーコードBが印刷された長尺状の基材101に熱膨張層102を塗布するための準備をする。具体的に説明すると、ユーザは、バーコードBが印刷された長尺状の基材101をロール状に巻いて塗布装置220の保持部221に設置し、且つ、塗料槽224に熱膨張層102の材料を注入する。このとき、ユーザは、バーコードBが印刷された面とは逆側の面が塗布面となるように、長尺状の基材101を設置する。そして、ユーザは、塗布装置220の操作部を操作して、塗布装置220に塗布を開始させる。これにより、塗布装置220は、バーコードBが印刷された長尺状の基材101に熱膨張層102を塗布する(ステップS12)。ステップS12は、膨張層塗布ステップ(形成ステップ)の一例である。
【0079】
具体的に説明すると、塗布装置220は、塗料槽224に溜められた熱膨張層102の材料を、搬送される長尺状の基材101の表面に塗布する。これにより、長尺状の基材101の表面に熱膨張層102が形成される。また、塗布装置220は、熱膨張層102を塗布した後、均一化部材226によって、塗布された熱膨張層102の厚さを均一化させる。
【0080】
ステップS12において、塗布装置220は、熱膨張層102を塗布した後、長尺状の基材101を予め規定された距離搬送させる。これにより、塗布された熱膨張層102を乾燥させる。このような乾燥ステップを経た後の長尺状の基材101は、巻き取り装置によってロール状に巻き取られる。なお、熱膨張層102は、目標となる厚さの層が形成されるまで、重ね塗りされる。そのため、ステップS12の処理は、必要に応じて繰り返される。
【0081】
熱膨張層102の塗布が完了すると、ユーザは、長尺状の基材101に更にインク受容層103を塗布するための準備をする。具体的に説明すると、ユーザは、熱膨張層102が塗布された長尺状の基材101をロール状に巻いて塗布装置220の保持部221に再び設置し、且つ、塗料槽224にインク受容層103の材料を注入する。このとき、ユーザは、熱膨張層102の表面が塗布面となるように、長尺状の基材101を設置する。そして、ユーザは、塗布装置220の操作部を操作して、塗布装置220に塗布を開始させる。これにより、塗布装置220は、熱膨張層102の上から更にインク受容層103を塗布する(ステップS13)。ステップS13は、インク受容層形成ステップの一例である。
【0082】
具体的に説明すると、塗布装置220は、塗料槽224に溜められたインク受容層103の材料を、熱膨張層102の上に重ねて塗布する。これにより、熱膨張層102の上に更にインク受容層103が形成される。また、塗布装置220は、インク受容層103を塗布した後、均一化部材226によって、塗布されたインク受容層103の厚さを均一化させる。
【0083】
ステップS13において、塗布装置220は、インク受容層103を塗布した後、長尺状の基材101を予め規定された距離搬送させる。これにより、塗布されたインク受容層103を乾燥させる。このような乾燥ステップを経た後の長尺状の基材101は、巻き取り装置によってロール状に巻き取られる。なお、インク受容層103は、目標となる厚さの層が形成されるまで、重ね塗りされる。そのため、ステップS13の処理は、必要に応じて繰り返される。
【0084】
インク受容層103の塗布が完了すると、ユーザは、長尺状の基材101を断裁するための準備をする。具体的に説明すると、ユーザは、インク受容層103が塗布された長尺状の基材101をロール状に巻いて断裁装置230の保持部に設置する。ユーザは、断裁装置230の操作部を操作して、断裁装置230に断裁を開始させる。これにより、断裁装置230は、熱膨張層102とインク受容層103とが塗布された長尺状の基材101を断裁する(ステップS14)。ステップS14は、断裁ステップの一例である。
【0085】
具体的に説明すると、断裁装置230は、製造すべき熱膨張性シート100の大きさ及び形状に応じて設定された断裁線C1,C2に沿って、長尺状の基材101を断裁する。以上によって、
図13に示した熱膨張性シート100の製造処理は終了する。これにより、
図1及び
図2に示したような、裏面にバーコードBが印刷された熱膨張性シート100が完成する。
【0086】
以上説明したように、実施形態1に係る熱膨張性シート100の製造方法では、基材101の裏面にバーコードBを印刷した後、基材101の表面に熱膨張層102とインク受容層103とを塗布する。これにより、基材101の重量及び厚みが増加する前にバーコードBを印刷することができるため、バーコードBが印刷された熱膨張性シート100を容易に製造することができる。
【0087】
特に、長尺状の基材101から熱膨張性シート100を製造する場合、長尺状の基材101に熱膨張層102とインク受容層103とを塗布すると、重量が非常に増加する。また、長尺状の基材101をロール状に巻いた際のロールの径が大きくなる。そのため、長尺状の基材101に熱膨張層102とインク受容層103とを塗布した後では、バーコードBを円滑に印刷することが難しくなる。また、熱膨張層102を塗布した後にバーコードBを印刷すると、インクを乾燥させる工程で熱膨張層102が膨張するおそれもある。これに対して、実施形態1に係る熱膨張性シート100の製造方法によれば、長尺状の基材101に熱膨張層102とインク受容層103とを塗布する前にバーコードBを印刷するため、長尺状の基材101からバーコードBが印刷された熱膨張性シート100を容易に製造することができる。
【0088】
(実施形態2)
次に、本発明の実施形態2について説明する。
【0089】
実施形態1に係る熱膨張性シート100は、基材101の裏面に層を備えていなかったため、基材101の裏面に直に光熱変換層106が印刷された。そのため、特に基材101がPETのようにインクが定着し難い材料で形成されている場合、熱膨張性シート110を裏面から加熱するための光熱変換層106を印刷することが難しい。このような課題を解決するため、実施形態2に係る熱膨張性シート110は、基材101の裏面に、インクを受容するためのインク受容層113を備える。以下、説明する。
【0090】
図14に、実施形態2に係る製造方法によって製造される熱膨張性シート110の構成を示す。
図14に示すように、熱膨張性シート110は、立体画像が形成される前において、第2のインク受容層であるインク受容層113と、基材101と、熱膨張層102と、第1のインク受容層であるインク受容層103とを、この順に備えている。
【0091】
熱膨張性シート110における基材101、熱膨張層102及びインク受容層103は、実施形態1において熱膨張性シート100に備えられていたものと同様である。言い換えると、実施形態1における熱膨張性シート100は、基材101の裏面には何の層も備えていなかったのに対して、実施形態2における熱膨張性シート110は、基材101の裏面にインク受容層113を備えている。
【0092】
インク受容層113は、基材101の裏側に積層された、インクを吸収して受容する層である。インク受容層113は、印刷用のインクを表面に定着させるための好適な材料によって形成され、具体的には、インク受容層103と同様に、インクジェット用紙に用いられている汎用的な材料によって形成される。このように、熱膨張性シート110は、表面だけでなく裏面にもインク受容層113を備えることにより、熱膨張性シート110の裏面に光熱変換層106を容易に印刷することができる。
【0093】
基材101の裏面には、バーコードBが付されている。バーコードBは、熱膨張性シート100を識別するための識別情報(識別子)であって、膨張ユニット20において熱膨張性シート100の使用の可否を判定するための識別子である。実施形態1と同様に、熱膨張性シート110の搬送方向における前方側の縁部に沿って複数のバーコードBが付されている。
【0094】
基材101の裏面において、インク受容層113は、バーコードBの上から塗布されており、基材101の裏面に付されたバーコードBを覆うように形成されている。このようにバーコードBがインク受容層113によって覆われていても、バーコードBは、膨張ユニット20のバーコードリーダ26によって正常に読み取られる必要がある。そのため、バーコードBがインク受容層113を通して視認できるように、インク受容層113の透明度及びバーコードBを印刷するインクの濃さに応じて、インク受容層113の厚みが調整される。例えば、インク受容層113をマットタイプの受容層で形成した場合、バーコードBを印刷するインク濃度を濃くし、且つ、インク受容層113を薄く形成することで、バーコードBが視認できなくならないようにすることができる。
【0095】
実施形態2に係る熱膨張性シート110は、実施形態1に係る熱膨張性シート100と同様に、立体画像形成システム1によって立体画像が形成される。立体画像の形成処理において、熱膨張性シート110の裏面に印刷される光熱変換層106は、実施形態1では基材101の裏面に直に印刷されていたのに対して、実施形態2ではインク受容層113の表面に印刷される。それ以外の処理については実施形態1と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0096】
次に、
図15に示すフローチャートを参照して、熱膨張性シート110の製造処理の流れについて説明する。
【0097】
図15におけるステップS21からステップS23の処理は、
図12におけるステップS11からステップS13の処理と同様である。具体的に説明すると、印刷装置210によって、長尺状の基材101の裏面にバーコードBを印刷し(ステップS21)、バーコードBが印刷された長尺状の基材101の表面に、塗布装置220によって熱膨張層102を塗布し(ステップS22)、熱膨張層102が塗布された長尺状の基材101の表面に、塗布装置220によって第1のインク受容層103を塗布する(ステップS23)。
【0098】
第1のインク受容層103の塗布が完了すると、ユーザは、長尺状の基材101に更に第2のインク受容層113を塗布するための準備をする。具体的に説明すると、ユーザは、第1のインク受容層103が塗布された長尺状の基材101をロール状に巻いて、基材101の裏面が塗布面となるように、塗布装置220の保持部221に再び設置する。そして、ユーザは、塗布装置220の操作部を操作して、塗布装置220に塗布を開始させる。これにより、塗布装置220は、基材101の裏面に第2のインク受容層113を塗布する(ステップS24)。これにより、基材101の裏面に第2のインク受容層113が形成される。
【0099】
第2のインク受容層113を塗布した後、塗布装置220は、均一化部材226によって、塗布された第2のインク受容層113の厚さを均一化させる。そして、塗布装置220は、第2のインク受容層113を塗布した後、長尺状の基材101を予め規定された距離搬送させることによって、塗布された第2のインク受容層113を乾燥させる。ステップS24の処理は必要に応じて繰り返され、第2のインク受容層113は、目標となる厚さの層が形成されるまで重ね塗りされる。
【0100】
2つのインク受容層103,113の塗布が完了すると、ユーザは、2つのインク受容層103,113が塗布された長尺状の基材101をロール状に巻いて断裁装置230の保持部に設置する。断裁装置230は、熱膨張層102と2つのインク受容層103,113とが塗布された長尺状の基材101を、断裁線C1,C2に沿って断裁する(ステップS25)。ステップS25は、断裁ステップの一例である。
【0101】
以上によって、
図15に示した熱膨張性シート110の製造処理は終了する。これにより、
図14に示したような、裏面にバーコードBが印刷され、且つ、表面と裏面との双方にインク受容層103,113が形成された熱膨張性シート110が完成する。
【0102】
以上説明したように、実施形態2に係る熱膨張性シート110の製造方法では、基材101の裏面にバーコードBを印刷した後、基材101の表面に熱膨張層102と第1のインク受容層103とを塗布し、更に基材101の裏面に第2のインク受容層113を塗布する。これにより、基材101の重量及び厚みが増加する前にバーコードBを印刷することができる。
【0103】
特に、長尺状の基材101から熱膨張性シート110を製造する場合には、第2のインク受容層113を塗布した後にバーコードBを印刷すると、第2のインク受容層113によって基材101の重量及び厚みが増しているため、バーコードBを円滑に印刷することが難しくなる。また、第2のインク受容層113を均一に塗布できていない場合には、バーコードBをきれいに印刷することが難しくなり、膨張ユニット20でバーコードBを正常に読み取れないおそれがある。更に、熱膨張層102を塗布した後にバーコードBを印刷すると、インクを乾燥させる工程で熱膨張層102が膨張するおそれもある。これに対して、実施形態2に係る熱膨張性シート110の製造方法によれば、基材101に熱膨張層102とインク受容層103,113とを塗布する前にバーコードBを印刷するため、裏面にバーコードBが印刷され、且つ、表面と裏面との双方にインク受容層103,113が形成された熱膨張性シート110を、容易に製造することができる。
【0104】
なお、実施形態2において、第1のインク受容層形成ステップであるステップS23と、第2のインク受容層形成ステップであるステップS24とは、逆の順序で実行しても良い。言い換えると、基材101の裏面に第2のインク受容層113を塗布してから、熱膨張層102の表面に第1のインク受容層103を塗布することによっても同様に、熱膨張性シート110を製造することができる。
【0105】
(変形例)
以上に本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は一例であり、本発明の適用範囲はこれに限られない。すなわち、本発明の実施形態は種々の応用が可能であり、あらゆる実施の形態が本発明の範囲に含まれる。
【0106】
例えば、上記実施形態1では、長尺状の基材にバーコードBを印刷し、熱膨張層102とインク受容層103とを塗布した後、長尺状の基材101を断裁することによって熱膨張性シート100を製造した。また、上記実施形態2では、長尺状の基材にバーコードBを印刷し、熱膨張層102と第1のインク受容層103と第2のインク受容層113とを塗布した後、長尺状の基材101を断裁することによって熱膨張性シート110を製造した。しかしながら、本発明において、熱膨張性シート100,110を製造するための元になる基材101は、長尺状であることに限らない。例えば、基材101は、製造すべき熱膨張性シート100,110の大きさ及び形状に予め断裁されていても良い。この場合、熱膨張性シート100,110の製造方法において、基材101を断裁する断裁ステップは不要になる。基材101が長尺状でなくても、基材101に熱膨張層102とインク受容層103,113とを塗布すると重量及び厚みが増加する。そのため、熱膨張層102とインク受容層103,113とを塗布する前にバーコードBを印刷することによって、バーコードBを容易に印刷することができる。
【0107】
上記実施形態1では、熱膨張性シート100は、基材101と熱膨張層102とインク受容層103とを備えていた。しかしながら、熱膨張性シート100は、インク受容層103を備えていなくても良い。熱膨張性シート100がインク受容層103を備えていない場合、印刷ユニット10は、熱膨張層102に直接、光熱変換層104及びカラーインク層105を印刷する。この場合、熱膨張性シート100の製造方法において、インク受容層103を塗布する受容層塗布ステップは不要になる。
【0108】
また、熱膨張性シート100,110は、基材101と熱膨張層102との間、熱膨張層102とインク受容層103との間、基材101とインク受容層113との間、又は、インク受容層103,113の外側に、他の任意の材料による層を備えていても良い。この場合、熱膨張性シート100,110の製造方法において、上記他の任意の材料による層を塗布するためのステップが必要になる。
【0109】
また、実施形態1において、基材101の裏面に、予めインクの受容性が高い層が形成されていても良い。言い換えると、第2のインク受容層113に相当する層を予め裏面に備えている基材101を最初に準備し、基材101の裏面にバーコードBを印刷し、基材101の表面に熱膨張層102とインク受容層103とを塗布することによって、実施形態1に係る熱膨張性シート100を製造しても良い。このように、インクを受容するための層が予め裏面に形成された基材101を用いることによって、実施形態2のように、第2のインク受容層113をバーコードBの上から塗布しなくても、裏面にインクを定着させ易い熱膨張性シート100を得ることができる。
【0110】
上記実施形態1,2では、印刷装置210は、識別情報として、熱膨張性シート100,110が立体画像を形成するための専用のシートであることを示すバーコードBを印刷した。しかしながら、本発明において、基材101に印刷される識別情報は、バーコードBのような識別子であることに限らない。例えば、印刷装置210は、文字、記号、図形等の人間が識別できる情報を識別情報として印刷しても良い。
【0111】
また、印刷装置210は、識別情報として、熱膨張性シート100,110に関する任意の情報を印刷しても良い。例えば、印刷装置210は、識別情報として、印刷ユニット10又は膨張ユニット20における熱膨張性シート100,110の搬送方向を示す情報(例えば矢印等)を印刷しても良い。また、印刷装置210は、識別情報として、熱膨張性シート100,110の表裏又は厚みを示す情報を印刷しても良い。或いは、印刷装置210は、識別情報として、熱膨張性シート100,110の製造元を示すロゴマークを印刷しても良いし、膨張ユニット20で処理する際の設定情報を印刷しても良い。
【0112】
上記実施形態1では、塗布装置220は、印刷装置210によってバーコードBが印刷された基材101の、バーコードBが印刷された面とは逆側の面に、熱膨張層102及びインク受容層103を塗布した。しかしながら、本発明において、塗布装置220は、バーコードBを避けて熱膨張層102及びインク受容層103を塗布することが可能であれば、バーコードBが印刷された面と同じ面に、熱膨張層102及びインク受容層103を塗布しても良い。言い換えると、印刷装置210は、基材101の裏面ではなく表面にバーコードBを印刷し、塗布装置220は、基材101の表面のうちのバーコードBが印刷された領域以外の領域に、熱膨張層102及びインク受容層103を塗布しても良い。
【0113】
上記実施形態1,2では、立体画像形成システム1は、印刷ユニット10と膨張ユニット20と表示ユニット40と制御ユニット50とを1つの装置の中に備えていた。しかしながら、これらの各ユニットは、それぞれ独立の装置であっても良い。その場合、これらの各ユニットは互いに離れた場所に設置されていても良く、必要に応じて有線又は無線で通信しても良い。
【0114】
上記実施形態1,2では、膨張ユニット20は、熱膨張性シート100,110を搬送する搬送ローラ対21a,23aを備えており、搬送される熱膨張性シート100,110に対して、位置が固定された照射部24から光を照射する方式で、熱膨張性シート100,110を加熱した。しかしながら、膨張ユニット20は、照射部24を移動させる移動機構を備えており、位置が固定された熱膨張性シート100,110に対して、照射部24を移動させながら光を照射する方式で、熱膨張性シート100,110を加熱しても良い。言い換えると、膨張ユニット20は、熱膨張性シート100,110と照射部24とを相対的に移動させることができれば、どのような方式で熱膨張性シート100,110を加熱しても良い。
【0115】
また、印刷ユニット10の印刷方式は、インクジェット方式に限らない。例えば、印刷ユニット10は、レーザー方式の印刷装置であって、トナーと現像剤とによって画像を印刷しても良い。また、光熱変換層104,106は、光を熱に変換しやすい材料であれば、カーボンブラックを含む黒インク以外の材料によって形成されても良い。この場合、光熱変換層104,106は、印刷ユニット10以外の手段によって形成されるものであっても良い。
【0116】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明には、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲とが含まれる。以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
(付記1)
基材に識別情報を印刷する印刷ステップと、
前記印刷ステップにおいて予め前記識別情報が印刷された前記基材に、加熱により膨張する熱膨張層を形成する形成ステップと、
を含むことを特徴とする熱膨張性シートの製造方法。
(付記2)
前記形成ステップにおいて形成された前記熱膨張層の上に、インクを受容するインク受容層を形成するステップ、を更に含む、
ことを特徴とする付記1に記載の熱膨張性シートの製造方法。
(付記3)
前記形成ステップでは、前記印刷ステップにおいて前記識別情報が印刷された前記基材の、前記識別情報が印刷された面とは逆側の面に、前記熱膨張層を形成する、
ことを特徴とする付記1又は2に記載の熱膨張性シートの製造方法。
(付記4)
前記形成ステップでは、前記印刷ステップにおいて前記識別情報が印刷された前記基材の、前記識別情報が印刷された面とは逆側の面に、前記熱膨張層を形成し、
前記形成ステップにおいて形成された前記熱膨張層の上に、インクを受容する第1のインク受容層を形成するステップと、
前記印刷ステップにおいて前記識別情報が印刷された前記基材の、前記識別情報が印刷された面に、インクを受容する第2のインク受容層を形成するステップと、を更に含む、
ことを特徴とする付記1に記載の熱膨張性シートの製造方法。
(付記5)
前記基材は、長尺状の基材であり、
前記印刷ステップでは、ロール状に巻かれた前記長尺状の基材を巻き出して前記長尺状の基材に前記識別情報を印刷する、
ことを特徴とする付記1から4のいずれか1つに記載の熱膨張性シートの製造方法。
(付記6)
前記形成ステップでは、前記識別情報の印刷後にロール状に巻き取られた前記長尺状の基材を巻き出して当該長尺状の基材に前記熱膨張層を形成する、
ことを特徴とする付記5に記載の熱膨張性シートの製造方法。
(付記7)
前記形成ステップでは、前記長尺状の基材に前記熱膨張層を形成した後、前記長尺状の基材を予め規定された距離搬送して、前記熱膨張層を乾燥させる、
ことを特徴とする付記5又は6に記載の熱膨張性シートの製造方法。
(付記8)
前記形成ステップでは、前記基材に前記熱膨張層を形成する際に前記基材に前記熱膨張層を塗布した後、前記熱膨張層の厚みを均一化させる、
ことを特徴とする付記1から7のいずれか1つに記載の熱膨張性シートの製造方法。
(付記9)
前記形成ステップにおいて前記熱膨張層が形成された前記基材を、前記熱膨張性シートの大きさ及び形状に応じた断裁位置で断裁する断裁ステップ、を更に含む、
ことを特徴とする付記1から8のいずれか1つに記載の熱膨張性シートの製造方法。
(付記10)
前記印刷ステップでは、前記識別情報を前記断裁位置に印刷する、
ことを特徴とする付記9に記載の熱膨張性シートの製造方法。
(付記11)
前記印刷ステップでは、前記識別情報を前記基材の縁部に印刷する、
ことを特徴とする付記1から10のいずれか1つに記載の熱膨張性シートの製造方法。
(付記12)
前記識別情報は、前記熱膨張層を膨張させる膨張ユニットにおいて読み取られる識別子であって、
前記印刷ステップでは、前記識別情報を、前記膨張ユニットにおける前記熱膨張性シートの搬送方向における前記縁部に印刷する、
ことを特徴とする付記11に記載の熱膨張性シートの製造方法。
(付記13)
基材の一方の面上に加熱により膨張する熱膨張層が形成された熱膨張性シートの製造方法であって、
所定の装置が、当該装置での前記熱膨張性シートの使用の可否を判定するための識別子を、前記熱膨張層を形成するのに先立って前記基材の他方の面に印刷することを特徴とする熱膨張性シートの製造方法。