(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記チューブ本体には、前記ガイドチューブの径方向外方に拡張するバルーンが取り付けられており、該バルーンに液体又は気体を送り込むための流路が形成されている請求項1から3のいずれか一項に記載のガイドチューブ。
前記チューブ本体には、前記内視鏡を通すメインルーメンの他に、前記チューブ本体に前記メインルーメンに連通するサブルーメンが形成されている請求項1から4のいずれか一項に記載のガイドチューブ。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明のガイドチューブの実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、以下に説明する実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。すなわち、以下に説明する部材の形状、寸法、配置等については、本発明の趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
また、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。また、以下において、ガイドチューブの遠位側を先端側、その近位側を基端側ともいう。
【0011】
<全体構成について>
本実施形態に係るガイドチューブ1を含む全体構成について、
図1〜
図4を主に参照して説明する。
図1は、ガイドチューブ1内に内視鏡2を通して、内視鏡2により膵臓82内にある胆管83内を確認している状態を示す図であり、全体構成を説明する説明図である。
図2は、ガイドチューブ1の屈曲部3aの屈曲動作を説明する説明図、
図3は、ガイドチューブ1の先端部の縦断面図である。
図4は、ガイドチューブ1の屈曲部3aの横断面図であり、
図3のIV-IV断面図である。
【0012】
ガイドチューブ1は、内視鏡2をガイドする機能を有する。内視鏡2は、ファーター乳頭83aを通った先にある胆管83内の状態を確認するために用いられるものであり、操作部2aによって、先端部を屈曲可能な構成を備えている。また、内視鏡2は、経鼻用にも用いられる程度の大きさから成るものであり、
図11に示して後述するように、先端部にカメラ2b及びライト2cを備える。
ガイドチューブ1は、具体的には、不図示の口腔及び胃80を通って十二指腸81にあるファーター乳頭83a内に向けて内視鏡2をガイドして送り込むものである。すなわち本実施形態のガイドチューブ1を用いた手技は、経鼻内視鏡である内視鏡2をガイドチューブ1とともに経口的に被験者の体腔内に挿入するものである。
ガイドチューブ1は、軸心方向に連通するメインルーメン20を中心部に備えて、カメラ2b(
図11参照)付きの内視鏡2を内部に挿通可能に構成されている。
【0013】
ガイドチューブ1は、先端側に屈曲部3aを有して柔軟性を有するチューブ本体3と、チューブ本体3の基端部に設けられて、屈曲部3aを屈曲させる後述する屈曲操作部4と、を備える。チューブ本体3には、屈曲部3aの後述する屈曲起点部よりも先端側であって、メインルーメン20の軸心方向の延長上に、外部に連通する開口部3b(
図3参照)が形成されている。
ガイドチューブ1は、チューブ本体3の先端部に次に説明する屈曲部3aを備える。さらに、ガイドチューブ1は、チューブ本体3の基端側に屈曲操作部4を備えることで、ファーター乳頭83aに向けて屈曲部3aを屈曲させ、チューブ本体3の開口部3bから内視鏡2を突出させてファーター乳頭83a内に送り込み可能に構成されている。
【0014】
<チューブ本体について>
チューブ本体3は、主に、ナイロン、ナイロンエラストマー又はポリウレタン等から成る可撓性の樹脂部材と、コイル巻回された金属性の補強ワイヤ32や保持ワイヤ70等の補強部材とから構成されている。なお、補強部材としては、メッシュ状に編組みされたものであってもよく、剛性の高い樹脂材料であってもよい。
また、チューブ本体3は、内部にメインルーメン20が通孔形成された中空管状かつ長尺の部材であり、メインルーメン20を確定する内層24と、ワイヤ補強層30と、操作線60等が配置された外層50と、を備える。
【0015】
内層24は、その内壁面によりメインルーメン20を確定する。メインルーメン20の壁面には、内視鏡2を滑りやすくして、ガイドチューブ1に対する相対的な移動を容易にするための親水性の潤滑性コーティングが施されている。このコーティングに係る潤滑剤の供給方法については後述する。
【0016】
ワイヤ補強層30は、チューブ本体3のうち操作線60よりも内径側に設けられて内層24を保護する保護層である。操作線60の内径側にワイヤ補強層30が存在することで、操作線60が外層50から内層24へと貫通しメインルーメン20に露出することを防止することができる。ワイヤ補強層30は補強ワイヤ32を巻回して形成されている。補強ワイヤ32の材料には、金属材料の他、内層24及び外層50よりも剪断強度が高い樹脂材料を用いることができる。
【0017】
外層50には、2本の操作線60を移動可能にチューブ本体3内に配設するための2本のサブチューブ40、及び保持ワイヤ70が埋設されており、後述するバルーン10を拡張する外側ルーメン10aが形成されている。
【0018】
2本のサブチューブ40は、
図4に示すように、チューブ本体3の軸心を中心として180度対向する位置に配置されている。2本のサブチューブ40は、チューブ本体3の軸心方向に対して平行に延在している。なお、後述するように、3又は4本のサブチューブ40をチューブ本体3の軸心周りに等間隔で配置してもよい。
後述する操作線60は、
図3に示すように、サブチューブ40の中空の空間である副管腔42内に、摺動可能に遊挿されている。
【0019】
本実施形態の保持ワイヤ70はコイルであり、より具体的には複数本の素線が多条に巻回されたコイル(多条コイル)である。
保持ワイヤ70は、メインルーメン20の周囲に対向配置された一対のサブチューブ40の外側を取り囲んで螺旋状に巻回されている。本実施形態の保持ワイヤ70の巻回形状は、サブチューブ40の並び方向を長径方向とする略楕円形または略菱形である。
図4では、巻回形状が略菱形をなす保持ワイヤ70を破線で図示してある。保持ワイヤ70は、サブチューブ40の周面、具体的にはメインルーメン20の軸心とは反対側にあたる外側表面に接している。
保持ワイヤ70が配設されていることで、チューブ本体3は、柔軟性を有しつつ、剛性を備えることとなるため、キンクを防止できる。
【0020】
チューブ本体3は、ガイドチューブ1を体内に挿入する際の外科的侵襲を抑制する機能を有し、軟質である保護部材(フード5)を先端部に備える。フード5は、チューブ本体3よりも軟質である、例えばポリ塩化ビニル等の軟質樹脂から構成されている。
フード5は、チューブ本体3の先端に取り付けられており、チューブ本体3のメインルーメン20と外部とを連通する開口5aを有する。このようにフード5に開口5aが形成されていることにより、メインルーメン20を通る内視鏡2がフード5の開口5aを通って、外部に突出できるように構成されている。
内視鏡2は、フード5がファーター乳頭83aの周囲を囲って十二指腸81の内壁に当接するように配置された状態で、開口5aを通ってファーター乳頭83aから胆管83内に挿入される。
なお、本実施形態に係るフード5は、チューブ本体3と別部材であるものを例に説明しているが、軟質樹脂から成り、外科的侵襲を抑制することができれば、チューブ本体3と一体的に形成されていてもよい。
【0021】
<屈曲部の機能・構造について>
次に、屈曲部3aの機能・構造について説明する。
ガイドチューブ1は、チューブ本体3の内部(厳密には、チューブ本体3の内部に形成された副管腔42内)を通る2本の操作線60を備える。
操作線60は、金属ワイヤからなり、操作線60の基端は、後述する屈曲操作部4に接続されており、操作線60の先端は、チューブ本体3(特に、屈曲部3a)の先端側に埋設されたリング14にハンダ接合によって固定されている。操作線60をリング14に固定する態様は特に限定されず、ハンダ接合、熱融着、接着剤による接着、操作線60とリング14との機械的掛止等によって固定するものであってもよい。
操作線60は、単一の線材により構成されていてもよいが、複数本の細線を互いに撚りあわせることにより構成された撚り線であってもよい。操作線60の一本の撚り線を構成する細線の本数は特に限定されないが、3本以上であることが好ましい。本実施形態の操作線60は、7本の素線を互いに撚り合わせた撚り線である。
【0022】
操作線60としては、低炭素鋼(ピアノ線)、ステンレス鋼(SUS)、耐腐食性被覆した鋼鉄線、チタン若しくはチタン合金、又はタングステンなどの金属線を用いることができる。このほか、操作線60としては、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリ(パラフェニレンベンゾビスオキサゾール)(PBO)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリイミド(PI)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、又はボロン繊維などの高分子ファイバーを用いることができる。
【0023】
屈曲部3aは、
図3に示すように、チューブ本体3における補強ワイヤ32が配置されていないことで、曲げ剛性が低められたワイヤ補強層30の非形成領域からチューブ本体3の先端まで部位である。
本発明に係る屈曲部は、屈曲部ではない部分と比較して曲げ剛性が低められていればよい。したがって、本実施形態に係る補強ワイヤ32が配置されていないことによって、曲げ剛性が低められているものに限定されない。例えば、チューブ本体3が異なる素材からなるもので構成され、チューブ本体3の先端側の素材の曲げ剛性が、基端側の素材の曲げ剛性よりも低いことによって、チューブ本体3の先端側の部位が屈曲部を構成するようにしてもよい。
また、チューブ本体3の先端側における、ワイヤ補強層30の非形成領域の基端部が本発明の実施形態に係る屈曲起点部に相当する。この点についても同様に、上記の素材の曲げ剛性の差異によって屈曲部が構成されるときには、曲げ剛性の低い素材の基端部が屈曲起点に相当するものとなる。
【0024】
屈曲部3aは、後述する屈曲操作部4によって操作線60が引かれる(牽引操作される)ことによって、
図2に示すようにチューブ本体3における基端側の部位に対して屈曲する。具体的には、操作線60が引かれることによる引張力が、チューブ本体3の軸心に重ならない屈曲部3aの先端側にあるリング14に付与されることにより、屈曲部3aが屈曲することとなる。
施術者は、後述する屈曲操作部4の操作によって、内視鏡2をガイドして十二指腸81内を通るガイドチューブ1をファーター乳頭83aに向けて屈曲させることができる。
【0025】
<屈曲操作部の構造について>
次に、屈曲部3aの曲がり具合を操作する屈曲操作部4の構造について、
図5〜
図7を主に参照して説明する。
図5は、屈曲操作部4の内部を模式的に示す説明図、
図6は、屈曲操作部4の内部を示す図であり、
図5のVI-VI断面図、
図7は、ストッパ27を示す斜視図である。
【0026】
屈曲操作部4は、2本の操作線60に引張力を加える作用ドラム15と、複数の屈曲角度で屈曲部3aを段階的に保持可能な角度保持部4Aと、作用ドラム15を回動させる操作ツマミ92と、ハウジング18及びハウジング蓋19と、から主に構成されている。
【0027】
ハウジング18は、上部の空間と下部の空間とを区分けする、上下方向における中央近傍に形成された中板18aを備える。ハウジング18における下部の空間にガイドチューブ1が通されており、上部の空間に、作用ドラム15、角度保持部4A及び操作ツマミ92の一部が配設されている。中板18aには、上下の空間を連通して、操作線60を通す通し孔18cが形成されている。
また、ハウジング18における係合部材25の近傍には、後述するストッパ27を外部から挿し込むための挿込孔18bが形成されている。
ハウジング蓋19は、ハウジング18の上部の空間の開放部を上方から覆っており、操作ツマミ92を回動可能に支持している。
【0028】
作用ドラム15は、操作線60の係合端部60aを牽引する部位であり、ガイドチューブ1の軸心方向に平行な仮想平面内において、2つの挿通孔15aが平行に貫通して形成されている。
【0029】
操作ツマミ92は、後述する歯車部16の上部に嵌合して、回転トルクを伝える丸棒状の嵌合部92aを下部に備える。同様に、歯車部16の下部は、作用ドラム15の上部に嵌合して、回転トルクを伝えている。このような構成により、施術者が操作ツマミ92を回動操作すると、嵌合部92aに嵌合する歯車部16及び作用ドラム15が回動することとなる。
【0030】
ガイドチューブ1の両側面には、操作線60を内部から外部に引き出し可能な引出孔50aが形成されている。
2本の操作線60は、2本のサブチューブ40の内部から引出孔50aを介してそれぞれ引き出され、通し孔18cを介して下部の空間から上部の空間にそれぞれ通されている。そして2本の操作線60は、作用ドラム15の挿通孔15aに通されている。2本の操作線60の基端部には係合端部60aが形成されている。係合端部60aが、作用ドラムの回動状態に応じて、挿通孔15aの基端側にある作用端縁15bに係合可能に配置されている。
【0031】
操作ツマミ92の回動操作によって、作用ドラム15が回動すると、作用端縁15bが2本の操作線60の一方の係合端部60aに当接して基端側に牽引することで、その一方の操作線60に張力を与える。このとき、作用端縁15bが他方の係合端部60aから離間することで、他方の操作線60には張力が生じない。作用端縁15bにより係合端部60aから牽引された一方の操作線60は、その張力によってガイドチューブ1の先端の屈曲部3aを屈曲させる。
【0032】
<角度保持部について>
角度保持部4Aは、歯車部16、係合部材25及びスプリング26から構成されている。
歯車部16は、径方向外側に向かって突出する複数の歯16aをその外周に備える。
係合部材25は、歯車部16の歯16aに係合可能な係合歯25aを、歯16aに対向する位置に本実施形態においては3つ備える。係合部材25は、スプリング26によって、基端側から歯車部16に向かう方向に付勢されている。係合部材25と歯車部16とは、スプリング26が自然状態にあるときに、係合部材25の係合歯25aと歯車部16の歯16aとが噛み合う位置に配置されている。
【0033】
このように構成された角度保持部4Aは、施術者が操作ツマミ92を回動操作すると、歯16aが係合歯25aを基端側に押し込むようにして、スプリング26の付勢力に抗して、
図5に示す二点鎖線の方向に係合部材25を移動させる。このとき、2本の操作線60のうちの一方が作用端縁15bに当接して作用ドラム15によって牽引されることで、屈曲部3aが一方向に屈曲することとなる。
そして、隣接する歯16a間の溝部分が、係合部材25の係合歯25aに対向する部位に移動したときに、スプリング26の復元力によって、係合部材25を元に移動させて係合歯25aと歯16aとが噛み合い、その状態が一時的に保持される。つまり、屈曲部3aが所定角度だけ屈曲した状態が保持されることとなる。
さらに、スプリング26の付勢力以上の力が加わるように施術者が操作ツマミ92を回動操作すれば、上記と同様、係合部材25を移動させて、屈曲部3aが所定量だけ屈曲することとなる。
【0034】
このように、角度保持部4Aにより、開口部3bの延長上にファーター乳頭83aが位置する角度になるように、屈曲部3aの屈曲角度を段階的に調整することができる。このため、施術者は、所望の角度に屈曲部3aを保持して、ファーター乳頭83aに向けてガイドチューブ1から内視鏡2を容易に突き出させることができ、ファーター乳頭83aへのアクセスが容易となる。
【0035】
また、屈曲操作部4には、
図5及び
図7に示す、屈曲部3aの屈曲角度を固定する屈曲固定部(ストッパ27)が設けられている。
ストッパ27は、直線的な溝27aを有してU字状に形成された板片である。ストッパ27は、ハウジング18に形成された挿込孔18bから、ハウジング18の内部に挿し込まれて、係合歯25aと歯16aとの係合状態が維持されるように、係合部材25の移動を制限する。溝27aは、ストッパ27が挿込孔18bからハウジング18の内部に挿し込まれたときに、ストッパ27とスプリング26とが干渉することを回避するためのものである。
ストッパ27が挿し込まれる位置は、溝27a内にスプリング26を収容しつつ、歯16aと係合歯25aとの係合状態を維持して歯車部16から係合部材25が退避することを妨げる位置である。つまり、ストッパ27が挿し込まれる挿込孔18bが、この位置に形成されていることとなる。
【0036】
施術者は、ハウジング18の挿込孔18bにストッパ27を挿込んで、係合部材25を固定し、屈曲部3aの屈曲角度を固定することで、内視鏡2をファーター乳頭83aに挿入する作業が容易となる。
なお、本実施形態の屈曲固定部(ストッパ27)は、係合部材25の移動を制限することで、歯車部16の回動を制限するようにしたが、歯車部16に直接係合するようにして、その回動を制限するようにしてもよい。
なお、角度保持部4Aにより十分に屈曲部3aの屈曲状態を保持できるならば、必ずしもストッパ27は必要ではない。
さらには、屈曲固定部としては、操作線60の移動を制限可能なように、操作線60の一部をチューブ本体3に対して相対的に固定できればよく、必ずしも屈曲操作部4に設けられるものに限定されない。
【0037】
<バルーンについて>
次に、
図3に加えて、
図8及び
図9を主に参照して、バルーン10について説明する。
図8は、バルーン10近傍のガイドチューブ1の横断面図であり、
図3のVIII-VIII断面図、
図9は、脱気防止弁6、クランプ7及びルーメン接続部8を示す部分断面図である。
【0038】
チューブ本体3には、ガイドチューブ1の径方向外方に拡張するバルーン10が取り付けられており、バルーン10に液体(蒸留水10b)又は気体を送り込むための流路(外側ルーメン10a)が形成されている。
バルーン10は、拡張することにより、体腔内(本実施形態においては十二指腸81)の所定位置にガイドチューブ1を留める機能を有する。
【0039】
外側ルーメン10aの基端部は、
図9に示すように、ルーメン接続部8に設けられた不図示のシリンジに接続するためのシリンジ接続部11に、連結チューブ11aを介して接続されている。蒸留水10bが不図示のプランジャから押し込まれてシリンジ接続部11等、及び外側ルーメン10aを介してバルーン10に充填されることで、バルーン10が拡張することとなる。
また、バルーン10は、
図3に示すように、屈曲部3aの屈曲動作に影響しないよう、屈曲部3aから基端側に離れて配設されている。
上記のように、屈曲部3aは、補強ワイヤ32が配置されていないことで曲げ剛性が低められている部位において屈曲することとなる。
本実施形態においては、補強ワイヤ32が配設されていない部位と補強ワイヤ32が配設された部位との境目が、屈曲部3aの曲げの基端となる最も基端側の位置となる。このため、バルーン10は、屈曲部3aの屈曲動作に影響しないために、バルーン10の先端がこの境目位置よりも基端側に位置するように配置されている。
【0040】
上記のように、チューブ本体3に、バルーン10が取り付けられ、バルーン10に液体又は気体を送り込むための流路(外側ルーメン10a)が形成されている。このため、バルーン10を拡張して所定位置にガイドチューブ1を固定することができ、ファーター乳頭83a内に内視鏡2を安定して送り込むことができる。
具体的には、ガイドチューブ1の内面と内視鏡2の外面とが複数箇所で当接していることによる摩擦力によって、内視鏡2を体内に挿し込むようにすると、内視鏡2につれてガイドチューブ1が移動しようとする。この点、バルーン10が拡張して十二指腸81の内壁に押し当たることで、ガイドチューブ1を十二指腸81の所定位置に留めることができる。したがって、バルーン10によって、ガイドチューブ1が内視鏡2につれて動作することを抑制でき、内視鏡2がガイドチューブ1から容易に突出できることとなる。
なお、バルーン10を拡張・収縮できれば、バルーン10内に充填される流体は限定されず、蒸留水10bに限られず、その他の液体、あるいは気体であってもよい。
【0041】
<潤滑剤用のルーメンについて>
次に、潤滑剤用のルーメンについて、
図3、
図9に加えて、
図10を主に参照して説明する。
チューブ本体3には、内視鏡2を通すメインルーメン20の他に、チューブ本体3にメインルーメン20に連通するサブルーメン(内側ルーメン21)が形成されている。
内側ルーメン21は、複数の開口部21aを介して、メインルーメン20内に潤滑剤を導入する機能を有する。
内側ルーメン21の基端部は、
図9に示すように、ルーメン接続部8に設けられた不図示のシリンジに接続するためのシリンジ接続部12に、連結チューブ12aを介して接続されている。不図示の潤滑剤が不図示のプランジャから押し込まれてシリンジ接続部12等、及び内側ルーメン21を介してメインルーメン20内に供給されることとなる。
このように、チューブ本体3にメインルーメン20に連通するサブルーメン(内側ルーメン21)が形成されていることで、サブルーメン(内側ルーメン21)を介して潤滑剤をメインルーメン20に供給することが可能となる。メインルーメン20内に供給された潤滑剤により、ファーター乳頭83a内に内視鏡2を送り込む際に、内視鏡2をガイドチューブ1に対してスムーズに相対移動させることができる。
特に、開口部21aの少なくとも一部は、メインルーメン20のうち、屈曲部3aにあたる位置に形成されている。チューブ本体3が屈曲すると、屈曲部3aにおいて内視鏡2が当接しやすい。このように、屈曲部3aの位置にあるメインルーメン20内に、内側ルーメン21から開口部21aを介して潤滑剤を供給することで、チューブ本体3から内視鏡2をよりスムーズに突出させることが可能となる。
また、開口部21aは、
図10に示された数だけでなく、さらに複数形成されていてもよい。
【0042】
なお、メインルーメン20内に潤滑剤を供給するタイミングは、ファーター乳頭83aに向けてガイドチューブ1から内視鏡2を突出させるときに限られない。例えば、ガイドチューブ1及び内視鏡2を体内に挿し込む際に、メインルーメン20内に潤滑剤を供給するようにしてもよい。このようにすれば、ガイドチューブ1及び内視鏡2を体内に挿し込む際に、ガイドチューブ1と内視鏡2とが相互に干渉することを抑制できる。
【0043】
<内視鏡の固定について>
次に、ガイドチューブ1と内視鏡2とをロック及びロック解除するクランプ7について、
図9に加え、
図11を主に参照して説明する。
図11は、ガイドチューブ1から内視鏡2の先端部を突出させた状態を示す斜視図である。
ガイドチューブ1自体は、カメラを備えていない。このため、ガイドチューブ1単体のみを体内に挿入すると、ガイドチューブ1の先端位置を把握できず、例えば胃80や十二指腸81の内壁に当接する等、外科的侵襲を抑制することが困難である。本実施形態に係るガイドチューブ1は、単体で体内に挿入されるもののではなく、ガイドチューブ1に内視鏡2を取り付けた状態で、内視鏡2に設けられたカメラ2bを利用して体内に挿入するものである。
【0044】
そして、ガイドチューブ1の先端近傍にカメラ2bが配置された状態を維持可能なように、ガイドチューブ1は、内視鏡2に対してロック及びロック解除するロック機構(クランプ7)を備える。
ロック機構(クランプ7)は、カメラ2bがガイドチューブ1から露出した状態でロック可能に設けられている。具体的には、クランプ7は、円弧状に形成された一対の部位から主として構成されており、この一対の部位は、仮想円を構成可能に接続されている。この一対は、対向する一対の端片7aを有し、一対の端片7aには、六角ねじ7bが通されている。そして一対の端片7aの一方には雌ねじ穴が形成されている。
そして、六角ねじ7bを締め込めば、一対の端片7a同士が近づくことで、クランプ7の径が狭まり、ガイドチューブ1に対して中心方向に荷重を加えて変形させ、メインルーメン20を局所的に狭めて、内視鏡2に対してロックできることとなる。
逆に、六角ねじ7bを緩めれば、一対の端片7aが離間することで、クランプ7の径が広がり、ガイドチューブ1に対する中心方向の荷重が弱まって、内視鏡2に対するロックが解除されることとなる。
【0045】
また、カメラ2bがガイドチューブ1から露出した状態とは、完全にガイドチューブ1の外部に露出した状態に限定されない。ガイドチューブ1の外部を映し出すことが可能な状態をいい、例えば、カメラ2bがガイドチューブ1内に位置する状態であって、ガイドチューブ1の開口部3bから外部を映し出すことが可能な状態を含む。
ガイドチューブ1と内視鏡2をロックした状態で体内にガイドチューブ1を挿入することができることとなる。このため、内視鏡2のカメラ2bによってガイドチューブ1及び内視鏡2の挿入位置を確認しながらガイドチューブ1及び内視鏡2を体内に挿入することができることとなる。
具体的な施術方法としては、カメラ2bによる視野にファーター乳頭83aが入ってきたときに、屈曲部3aを屈曲操作部4により屈曲させる。さらに、クランプ7によるロックを解除して、内視鏡2をガイドチューブ1から突出させてファーター乳頭83aに向けて内視鏡2を送り込むようにする。
【0046】
<脱気防止弁について>
チューブ本体3における基端側には、
図9に示すように、脱気防止弁6が設けられている。
脱気防止弁6は、チューブ本体3の先端から基端への気体の流れを防止するものであり、略円筒状の本体6aと、本体6aの内面に取り付けられた封止膜6bと、を備える。
封止膜6bは、径方向中央部に厚さ方向に貫通する孔を有し、径方向において内側に向かうに連れて先端部側と基端部側とにうねるように形成されており、径方向に伸縮性を有するように形成されている。
このように形成された脱気防止弁6を、ガイドチューブ1を封止膜6bの孔に通し、本体6aの内面にガイドチューブ1の基端部の側面を沿わせて、封止膜6bがガイドチューブ1の先端面に当接するように取り付ける。このように取り付けられた脱気防止弁6は、ガイドチューブ1とチューブ本体3との間の空間を封止できることとなる。脱気防止弁6によれば、ガイドチューブ1と脱気防止弁6との間に隙間が生じていたとしても、胃80及び十二指腸81等内に導入されたガスがこの隙間から脱気することを防止できる。このため、胃80等の内臓をガスで膨らんだ状態に保持することができ、ガイドチューブ1を内臓内に挿入しやすくなる。
【0047】
また、ガイドチューブ1における屈曲操作部4よりも先端側には、人の口腔にはめて、ガイドチューブ1を通しやすくするためのマウスピース9が取り付けられている。このマウスピース9によって、ガイドチューブ1の外側からのガスの漏れを防ぐことができる。
【0048】
(第1変形例)
上記実施形態に係るガイドチューブ1は、チューブ本体3の軸心を中心として180度対向する位置に配置された操作線60及び操作線60を遊挿するサブチューブ40を備えるものとして説明した。しかし、本発明はこのような構成に限定されず、
図12に示すガイドチューブ1Xのように、チューブ本体3の軸心を中心として90度ごとに対向する位置に、操作線60及び遊挿するサブチューブ40を備えるものであってもよい。
図12は、第1変形例に係るガイドチューブ1Xの横断面図である。
このような構成のガイドチューブ1Xによれば、屈曲部3aの屈曲方向の自由度をより高めて、ガイドチューブ1Xの操作性を高めることができる。この場合の屈曲操作部は、球体状のものであればよい。
【0049】
(第2変形例)
上記実施形態に係るガイドチューブ1は、メインルーメン20の開口部3bがガイドチューブ1の軸心方向に形成されており、開口部3bから内視鏡2が突出するものとして説明した。しかし、本発明はこのような構成に限定されず、
図13に示すガイドチューブ1Yのように、ガイドチューブ1Yの軸心方向に対して垂直な横穴1Yaが形成されていることによって、横穴1Yaから内視鏡2を突出させる構成であってもよい。
図13は、第2変形例に係るガイドチューブ1Yを模式的に示す縦断面図である。
このような構成のガイドチューブ1Yによれば、屈曲部3aによる屈曲が小さくても、十二指腸81の壁面にあるファーター乳頭83aに容易にアクセス可能となる。また、ガイドチューブ1Yとファーター乳頭83aとの配置関係によっては、屈曲部3aを屈曲操作せずとも、内視鏡2をファーター乳頭83aに挿し込むことが可能となる。
【0050】
上記実施形態は、以下の技術思想を包含するものである。
(1)カメラ付きの内視鏡を内部に挿通可能なガイドチューブであって、
該ガイドチューブは、十二指腸にあるファーター乳頭内に向けて前記内視鏡を送り込むものであり、
先端側に屈曲部を有して柔軟性を有するチューブ本体と、
該チューブ本体の基端部に設けられて、前記屈曲部を屈曲させる屈曲操作部と、を備え、
前記チューブ本体には、前記屈曲部の屈曲起点部よりも先端側に開口部が形成されており、
前記ファーター乳頭に向けて前記屈曲部を屈曲させた前記チューブ本体の前記開口部から前記内視鏡を突出させて前記ファーター乳頭内に送り込み可能に構成されているガイドチューブ。
(2)前記屈曲操作部に接続されて、前記チューブ本体の内部を通る操作線を備え、
該操作線の先端は、前記屈曲部の先端側に固定されており、
前記屈曲部は、前記屈曲操作部の操作により前記操作線が引かれることによって屈曲する(1)に記載のガイドチューブ。
(3)前記内視鏡に対してロック及びロック解除するロック機構を更に備え、
該ロック機構は、前記カメラが前記ガイドチューブから露出した状態でロック可能に設けられている(1)又は(2)に記載のガイドチューブ。
(4)前記チューブ本体には、前記ガイドチューブの径方向外方に拡張するバルーンが取り付けられており、該バルーンに液体又は気体を送り込むための流路が形成されている(1)から(3)のいずれか一項に記載のガイドチューブ。
(5)前記チューブ本体には、前記内視鏡を通すメインルーメンの他に、前記チューブ本体に前記メインルーメンに連通するサブルーメンが形成されている(1)から(4)のいずれか一項に記載のガイドチューブ。
(6)前記屈曲操作部は、複数の屈曲角度で前記屈曲部を段階的に保持可能な角度保持部を更に備える(1)から(5)のいずれか一項に記載のガイドチューブ。
(7)前記屈曲部の屈曲角度を固定する屈曲固定部を更に備える(1)から(6)のいずれか一項に記載のガイドチューブ。
(8)前記チューブ本体における基端側には、脱気防止弁が設けられており、
該脱気防止弁は、前記チューブ本体の先端から基端への気体の流れを防止する(1)から(7)のいずれか一項に記載のガイドチューブ。
(9)前記チューブ本体は、軟質である保護部材を先端部に備える(1)から(8)のいずれか一項に記載のガイドチューブ。