特許第6972677号(P6972677)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6972677
(24)【登録日】2021年11月8日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】磁気シールドルーム
(51)【国際特許分類】
   H05K 9/00 20060101AFI20211111BHJP
   A61B 6/00 20060101ALN20211111BHJP
【FI】
   H05K9/00 N
   !A61B6/00 390E
【請求項の数】3
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2017-112733(P2017-112733)
(22)【出願日】2017年6月7日
(65)【公開番号】特開2018-207012(P2018-207012A)
(43)【公開日】2018年12月27日
【審査請求日】2020年3月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079290
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100136375
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 弘実
(72)【発明者】
【氏名】澁谷 朝彦
【審査官】 赤穂 州一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−051177(JP,A)
【文献】 特開昭53−123360(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 9/00
A61B 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気シールドされた内部空間を形成するシールド体を備え、
前記シールド体の少なくとも一部は、磁性材料層及び高導電率材料層を含む磁気シールド層を2つ有し、かつ当該2つの磁気シールド層の間にX線遮断材料層を有する、磁気シールドルーム。
【請求項2】
前記X線遮断材料層は、石膏、バリウム、及び鉛の少なくともいずれかを含む、請求項に記載の磁気シールドルーム。
【請求項3】
可搬型である請求項1又は2に記載の磁気シールドルーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種磁気計測に用いられる磁気シールドルームに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1の磁気シールドルームは、外側に位置する高導電材料層と内側に位置する磁性体材料層とを1つの単位層とし、単位層を3層(多層)用いた壁構造を有する。単位層と単位層との間には、電磁シールド効果を高めるために、空気層その他の、高導電材料や磁性体材料以外からなる層が設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5104024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、磁気シールドルーム内でX線照射装置を使用することがある。この場合、従来の磁気シールドルームの構造では、X線の外部漏洩を防ぐために、磁気シールドルームの外側もしくは内側にX線遮断壁を追加で設ける必要がある。そうすると、磁気シールドルームの外形サイズの拡大もしくは内部空間の縮小が避けられなかった。
【0005】
本発明はこうした状況を認識してなされたものであり、その目的は、外形サイズの拡大及び内部空間の縮小を抑制しながらX線の外部漏洩を抑制可能な磁気シールドルームを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様は、磁気シールドルームである。この磁気シールドルームは、
磁気シールドされた内部空間を形成するシールド体を備え、
前記シールド体の少なくとも一部は、磁性材料層及び高導電率材料層を含む磁気シールド層を2つ有し、かつ当該2つの磁気シールド層の間にX線遮断材料層を有する
【0008】
前記X線遮断材料層は、石膏、バリウム、及び鉛の少なくともいずれかを含んでもよい。
【0009】
前記磁気シールドルームは、可搬型であってもよい。
【0010】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法やシステムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、外形サイズの拡大及び内部空間の縮小を抑制しながらX線の外部漏洩を抑制可能な磁気シールドルームを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態1に係る磁気シールドルーム1を正面左上方向から見た斜視図。
図2】同じく正面右上方向から見た斜視図。
図3】同じく背面左上方向から見た斜視図。
図4】同じく背面右上方向から見た斜視図。
図5】磁気シールドルーム1のシールド体の積層構造の一例を示す断面図。
図6】磁気シールドルーム1のシールド体の積層構造の他の例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態を詳述する。なお、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は発明を限定するものではなく例示であり、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0014】
図1図5を参照し、本発明の実施の形態に係る磁気シールドルーム1を説明する。磁気シールドルーム1は、上部シールド体11、側周部シールド体12、下部シールド体13、及び側面開口を開閉する扉20を有する。扉20は、一枚の扉でもよいが、本実施の形態では左扉21と右扉22とからなる観音開き扉であり、図示しないヒンジで側周部シールド体12の左右の開口縁部に開閉自在に連結される。上部シールド体11、側周部シールド体12、及び下部シールド体13の少なくともいずれかには、図示しない測定器具に接続する配線や、図示しない付帯設備の電源コード、ケーブルを通すための貫通穴50が形成される。
【0015】
下部シールド体13の下側(下面)に、下部シールド体13よりも高剛性で下部シールド体13の底面と同寸法の台座70が設けられ、台座70上に下部シールド体13が載置固定される。台座70は、例えばステンレス鋼からなる。台座70の底面に、床面上を移動させるための移動手段としてのキャスター75が少なくとも3個以上取り付けられる。磁気シールドルーム1は、ここでは可搬型であり、キャスター75を設けたことで移動の際に便利である。キャスター75のうち少なくとも1つ、好ましくは2つ以上は、ストッパ付きであるとよい。上部シールド体11、側周部シールド体12、及び下部シールド体13は、好ましくは台座70と導通接続される(同電位となるように電気的に接続される)。なお、台座70は高剛性で非導電性の非磁性材であってもよい。
【0016】
上部シールド体11、側周部シールド体12、下部シールド体13、及び扉20は、磁場ノイズ及び電磁波ノイズを遮蔽できる磁気シールド体であるとともに、X線を遮蔽できるX線遮蔽体であり、図5又は図6に示す層構造を有する積層パネルである。以下、上部シールド体11、側周部シールド体12、下部シールド体13、及び扉20を、それぞれ単に「シールド体」とも表記する。図5及び図6は、共に隣接する壁面を成すシールド体同士で形成される角部の断面構造を示す。図5は、隣接する壁面を成すシールド体同士が一体である例を示し、図6は、隣接する壁面を成すシールド体同士が別体である例(平板と平板との組合せにより角部を形成した例)を示す。図5及び図6に示すように、各シールド体は、磁性材料層61及び高導電率材料層62からなる磁気シールド層を2つ有し、かつ当該2つの磁気シールド層の間にX線遮断材料層63を有する。
【0017】
磁性材料層61は、例えば高透磁率磁性体かつ導体としてのパーマロイ板である。高導電率材料層62は、例えば導体としてのアルミニウム板である。X線遮断材料層63は、例えば、石膏、バリウム、及び鉛の少なくともいずれかを含む板体である。パーマロイ板は、磁場ノイズの遮蔽に有効である。アルミニウム板は、高周波の電磁波ノイズの遮蔽に有効である。石膏、バリウム、及び鉛は、いずれもX線の遮断に有効である。
【0018】
貫通穴50の内周面の少なくとも一部には図示しないパイプ状貫通導体が設けられる。当該パイプ状貫通導体により、磁気シールドルーム1の内部側の磁性材料層61及び高導電率材料層62と、外面側の磁性材料層61及び高導電率材料層62と、を互いに導通させて同電位にしている。パイプ状貫通導体の材質は、例えばアルミニウム、銅、パーマロイ等である。なお、上部シールド体11、側周部シールド体12、及び下部シールド体13は、それらを構成する磁気シールド体の導体同士が相互に電気的に接続されることが好ましい。
【0019】
本実施の形態によれば、下記の効果を奏することができる。
【0020】
(1) 磁性材料層61及び高導電率材料層62からなる磁気シールド層を2つ有し、かつ当該2つの磁気シールド層の間にX線遮断材料層63を有するため、X線の外部漏洩防止用に磁気シールドルーム1の外側もしくは内側にX線遮断壁を追加で設ける必要がない。ここで、X線遮断材料層63は、従来は磁気シールド効果を高めるために空気層や木材等の非高導電率かつ非磁性の層としていた場所に設けられるため、磁気シールドルーム1は、外形サイズの拡大及び内部空間の縮小を抑制しながらX線の外部漏洩を抑制でき、X線照射装置の使用にも適合する。特に、磁気シールドルーム1は可搬型であって、小型化が求められると共に狭さを感じさせないだけの広い内部空間の確保が重要であることから、外形サイズの拡大及び内部空間の縮小を抑制できる効果の有意性は顕著である。
【0021】
(2) 上部シールド体11、側周部シールド体12、及び下部シールド体13、のいずれかに、1個又は複数個の貫通穴50が設けられるため、各種配線作業に便利である。また、貫通穴50の内面の少なくとも一部に図示しないパイプ状貫通導体を設けて、上部シールド体11、側周部シールド体12、又は下部シールド体13の導体板(磁性材料層61及び高導電率材料層62)と導通させることで、貫通穴50からの電磁波ノイズの漏洩を少なくできる。
【0022】
(3) 上部シールド体11、側周部シールド体12、及び下部シールド体13、を含む磁気シールドルーム1の本体部を、高剛性の台座70の上に載置、固定することで、前記本体部の底面の重量が分散、安定し、可動時の磁気シールドルーム1の歪みを少なくできる。
【0023】
(4) 台座70が導体である場合、上部シールド体11、側周部シールド体12、及び下部シールド体13(つまり磁気シールドルーム1の本体部)と台座70とを電気接続することで、磁気シールドルーム1を設置した際のアースが取りやすくなる。つまり、台座70を外部のアース接続端子に接続すればよい。
【0024】
以上、実施の形態を例に本発明を説明したが、実施の形態の各構成要素や各処理プロセスには請求項に記載の範囲で種々の変形が可能であることは当業者に理解されるところである。以下、変形例について触れる。
【0025】
上部シールド体11、側周部シールド体12、下部シールド体13、及び扉20は、いずれも全面的にX線遮断材料層63を有することが好ましいが、1つのシールド体がX線遮断材料層63を部分的に有するだけでも、X線遮断材料層63が無い場合と比較してX線の外部漏洩を抑制できる。台座70及びストッパ付きキャスター75が無く、下部シールド体13を例えばコンクリート面に直接載置するような場合は、下部シールド体13がX線遮断材料層63を有さなくても、X線の外部漏洩への影響はほとんど無い。
【0026】
各シールド体の層構造において、少なくとも一方の磁気シールド層は、磁性材料層61及び高導電率材料層62の積層順を逆にしてもよい。例えば、X線遮断材料層63よりも磁気シールドルーム1の内部空間側の磁気シールド層は、高導電率材料層62が前記内部空間側で、磁性材料層61がX線遮断材料層63側となるように積層されてもよい。X線遮断材料層63と少なくとも一方の磁気シールド層との間に、空気層や木材層その他の、高導電材料や磁性体材料、X線遮断材料以外からなる層が設けられてもよい。磁気シールド層は3層以上あってもよく、この場合、X線遮断材料層63は2層以上あってもよい。磁気シールド層は、高導電率材料層62を有さなくてもよい。
【0027】
本発明の磁気シールドルームの外観は、直方体形状に限定されず、円筒形状等の他の形状であってもよい。扉20は、回転式に限定されず、スライド式であってもよく、内部空間の開口を開閉可能な構造であればよい。
【符号の説明】
【0028】
1 磁気シールドルーム、11 上部シールド体、12 側周部シールド体、13 下部シールド体、50 貫通穴、61 磁性材料層、62 高導電率材料層、63 X線遮断材料層、70 台座、75 キャスター
図1
図2
図3
図4
図5
図6