(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第7半導体層の一部と接し、前記第1トレンチの底部全面と接し、前記第7半導体層よりも前記第2電極側に浅い第2導電型の第8半導体層を備えることを特徴とする請求項1に記載の炭化珪素半導体装置。
【背景技術】
【0002】
従来、パワー半導体素子においては、素子のオン抵抗の低減を図るため、トレンチ構造を有する縦型MOSFET(Metal Oxied Semiconductor Field Effect Transistor:絶縁ゲート型電解効果トランジスタ)が作製(製造)されている。縦型MOSFETでは、チャネルが基板表面に対して平行に形成されるプレーナー構造よりも基板表面に対して垂直に形成されるトレンチ構造の方が単位面積当たりのセル密度を増やすことができるため、単位面積当たりの電流密度を増やすことができ、コスト面から有利である。
【0003】
しかしながら、縦型MOSFETにトレンチ構造を形成するとチャネルを垂直方向に形成するためにトレンチ内壁全域をゲート絶縁膜で覆う構造となり、ゲート絶縁膜のトレンチ底部の部分がドレイン電極に近づくため、ゲート絶縁膜のトレンチ底部の部分に高電界が印加されやすい。特に、ワイドバンドギャップ半導体(シリコンよりもバンドギャップが広い半導体、例えば、炭化珪素(SiC))では超高耐圧素子を作製するため、トレンチ底部のゲート絶縁膜への悪影響は、信頼性を大きく低下させる。
【0004】
このような問題を解消する方法として、ストライプ状の平面パターンを有するトレンチ構造の縦型MOSFETにおいて、トレンチとトレンチの間、トレンチと平行にストライプ状にp
+型ベース領域を設ける技術が提案されている(例えば、下記特許文献1参照)。さらに、トレンチ底に、トレンチと平行にストライプ状にp
+型ベース領域を設ける技術が提案されている。
【0005】
図29および
図30は、従来の炭化珪素半導体装置の構造を示す断面図である。
図29に示す従来の炭化珪素半導体装置は、炭化珪素からなる半導体基体(以下、炭化珪素基体とする)100のおもて面(p型ベース層6側の面)側に一般的なトレンチゲート構造のMOSゲートを備える。炭化珪素基体(半導体チップ)100は、炭化珪素からなるn
+型支持基板(以下、n
+型炭化珪素基板とする)1上にn
-型ドリフト層2、電流拡散領域であるn型領域5およびp型ベース層6となる各炭化珪素層を順にエピタキシャル成長させてなる。
【0006】
n型領域5には、トレンチ18の底面全体を覆うように第1p
+型領域3が選択的に設けられている。第1p
+型領域3は、n
-型ドリフト層2に達しない深さで設けられている。また、n型領域5には、隣り合うトレンチ18間(メサ部)に、下側第2p
+型ベース領域4aと上側第2p
+型ベース領域4bが選択的に設けられている。下側第2p
+型ベース領域4aと第1p
+型ベース領域3は同時に形成されてもかまわない。上側第1p
+型ベース領域4bは、p型ベース層6に接するように設けられている。符号7〜12は、それぞれn
+型ソース領域、p
+型コンタクト領域、ゲート絶縁膜、ゲート電極、層間絶縁膜およびソース電極である。
【0007】
図29の構成の縦型MOSFETにおいて、第1p
+型領域3とn型領域5とのpn接合がトレンチ18よりも深い位置にある。このため、第1p
+型領域3とn型領域5との境界に電界が集中し、トレンチ18の底部の電界集中を緩和することが可能となる。類似構造として
図30の構成の縦型MOSFETにおいて、第1p
+型領域3の代わりにトレンチ下側の酸化膜19をトレンチ側壁の酸化膜9よりも厚くすることでもトレンチ18の底部の電界集中を緩和することが可能となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述した従来構造では、セルピッチを4.0μmより小さくしようとすると、第1p
+型領域3および下側第2p
+型領域4a、上側第2p
+型領域4bの寸法を1.0μmより狭くしなければならない。このため、より精度の高いフォトリソグラフィが必要となり、製造難易度が向上する。一方、第1p
+型領域3および下側第2p
+型領域4a、上側第2p
+型領域4bを設けないと、トレンチの底部の電界集中を緩和できず、目標とする耐圧を実現することができない。
【0010】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、セルピッチを4.0μmより小さくした場合でも、目標とする耐圧の実現を、従来と同程度の製造難易度で製造可能な炭化珪素半導体装置および炭化珪素半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、本発明の目的を達成するため、この発明にかかる炭化珪素半導体装置は、次の特徴を有する。第1導電型の炭化珪素基板のおもて面に設けられた第1導電型の第1半導体層と、前記第1半導体層の表面に設けられた前記第1半導体層よりも不純物濃度が高い第1導電型の第2半導体層と、前記第2半導体層の表面に設けられた第2導電型の第3半導体層と、前記第3半導体層の表面に選択的に設けられた第1導電型の第4半導体層と、前記第3半導体層の表面に選択的に設けられた第2導電型の第5半導体層と、前記第4半導体層および前記第3半導体層を貫通して前記第2半導体層に達する
ストライプ形状の第1トレンチと、前記第1トレンチの内部にゲート絶縁膜を介して設けられたゲート電極と、前記第4半導体層および前記第5半導体層に接する第1電極と、前記炭化珪素基板の裏面に設けられた第2電極と、前記第2半導体層の内部に選択的に前記第1トレンチの側壁および前記第3半導体層に接するように配置された第2導電型の第6半導体層と、前記第6半導体層に接し前記第1トレンチの一部に接し、前記第1トレンチ
の長手方向と直交する方向に前記第1トレンチを横断するように設けられた第2導電型の第7半導体層と、を備える。上面から見た際
、前記第7半導体層で前記第6半導体層を含まない面積は前記第6半導体層を含む面積に対して2倍以上広い。
前記第6半導体層は前記第1トレンチの長手方向と並行な線上の前記第7半導体層の上側の面の前記第1トレンチ間に選択的に配置される。
【0012】
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置は、上述した発明において、前記第7半導体層の一部と接し、前記第1トレンチの底部全面と接し、前記第7半導体層よりも前記第2電極側に浅いことを特徴とする第2導電型の第8半導体層を備えることを特徴とする。
【0014】
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置は、上述した発明において、前記第6半導体層は前記第1トレンチの側壁に対して菱型状に前記第7半導体層の上側の面に選択的に配置されることを特徴とする。
【0015】
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置は、上述した発明において、前記第6半導体層は前記第1トレンチの側壁に対して斜め状に前記第7半導体層の上側の面に選択的に配置されることを特徴とする。
【0016】
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置は、上述した発明において、前記第6半導体層は前記第1トレンチの垂直方向に10μm以上間隔を空けて繰り返し配置されることを特徴とする。
【0017】
また、上述した課題を解決し、本発明の目的を達成するため、この発明にかかる炭化珪素半導体装置は、次の特徴を有する。第1導電型の炭化珪素基板のおもて面に設けられた第1導電型の第1半導体層と、前記第1半導体層の表面に設けられた前記第1半導体層よりも不純物濃度が高い第1導電型の第2半導体層と、前記第2半導体層の表面に設けられた第2導電型の第3半導体層と、前記第3半導体層の表面に選択的に設けられた第1導電型の第4半導体層と、前記第3半導体層の表面に選択的に設けられた第2導電型の第5半導体層と、前記第4半導体層および前記第3半導体層を貫通して前記第2半導体層に達する
ストライプ形状の第1トレンチと、前記第1トレンチの側壁に接し、前記第3半導体層に接する第1絶縁膜と、前記第1トレンチの内部に第1絶縁膜を介して設けられたゲート電極と、前記第5半導体層および前記第4半導体層に接する第1電極と、前記炭化珪素基板の裏面に設けられた第2電極と、前記第2半導体層の内部に選択的に前記第1トレンチの側壁および前記第3半導体層に接するように配置された第2導電型の第6半導体層と、前記第6半導体層に接し前記第1トレンチの一部に接し、前記第1トレンチ
の長手方向と直交する方向に前記第1トレンチを横断するように設けられた第2導電型の第7半導体層と、前記第1トレンチの底部の少なくとも一部に接し、前記第1絶縁膜よりも少なくとも1.1倍以上厚い第2絶縁膜と、を備える。上面から見
た際、前記第7半導体層で前記第6半導体層を含まない面積は前記第6半導体層を含む面積に対して2倍以上広い。
前記第6半導体層は前記第1トレンチの長手方向と並行な線上の前記第7半導体層の上側の面の前記第1トレンチ間に選択的に配置される。
【0019】
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置は、上述した発明において、前記第6半導体層は前記第1トレンチの側壁に対して菱型状に前記第7半導体層の上側の面に選択的に配置されることを特徴とする。
【0020】
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置は、上述した発明において、前記第6半導体層は前記第1トレンチの側壁に対して斜め状に前記第7半導体層の上側の面に選択的に配置されることを特徴とする。
【0021】
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置は、上述した発明において、前記第6半導体層は前記第1トレンチの垂直方向に10μm以上間隔を空けて繰り返し配置されることを特徴とする。
【0022】
また、上述した課題を解決し、本発明の目的を達成するため、この発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法は、次の特徴を有する。第1導電型の炭化珪素基板のおもて面に第1導電型の第1半導体層を形成する工程と、前記第1半導体層の表面に前記第1半導体層よりも不純物濃度が高い第1導電型の第2半導体層を形成する工程と、前記第2半導体層の表面に第2導電型の第3半導体層を形成する工程と、前記第3半導体層の表面に選択的に第1導電型の第4半導体層を形成する工程と、前記第3半導体層の表面に選択的に第2導電型の第5半導体層を形成する工程と、前記第4半導体層および前記第3半導体層を貫通して前記第2半導体層に達する
ストライプ形状の第1トレンチを形成する工程と、前記第1トレンチの内部にゲート絶縁膜を介してゲート電極を形成する工程と、前記第4半導体層および前記第5半導体層に接する第1電極を形成する工程と、前記炭化珪素基板の裏面に第2電極を形成する工程と、前記第2半導体層の内部に選択的に前記第1トレンチの側壁および前記第3半導体層に接するように配置された第2導電型の第6半導体層を形成する工程と、前記第6半導体層に接し前記第1トレンチの一部に接し、前記第1トレンチ
の長手方向と直交する方向に前記第1トレンチを横断するように第2導電型の第7半導体層を形成する工程と、を含む。前記第6半導体層を形成する工程は、上面から見た際
、前記第7半導体層で前記第6半導体層を含まない面積を、前記第6半導体層を含む面積に対して2倍以上広く形成
し、前記第6半導体層を前記第1トレンチの長手方向と並行な線上の前記第7半導体層の上側の面の前記第1トレンチ間に選択的に形成する。
【0023】
また、上述した課題を解決し、本発明の目的を達成するため、この発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法は、次の特徴を有する。第1導電型の炭化珪素基板のおもて面に第1導電型の第1半導体層を形成する工程と、前記第1半導体層の表面に前記第1半導体層よりも不純物濃度が高い第1導電型の第2半導体層を形成する工程と、前記第2半導体層の表面に第2導電型の第3半導体層を形成する工程と、前記第3半導体層の表面に選択的に第1導電型の第4半導体層を形成する工程と、前記第3半導体層の表面に選択的に第2導電型の第5半導体層を形成する工程と、前記第4半導体層および前記第3半導体層を貫通して前記第2半導体層に達する
ストライプ形状の第1トレンチを形成する工程と、前記第1トレンチの側壁に接し、前記第3半導体層に接する第1絶縁膜を形成する工程と、前記第1トレンチの内部に第1絶縁膜を介してゲート電極を形成する工程と、前記第5半導体層および前記第4半導体層に接する第1電極を形成する工程と、前記炭化珪素基板の裏面に第2電極を形成する工程と、前記第2半導体層の内部に選択的に前記第1トレンチの側壁および前記第3半導体層に接するように配置された第2導電型の第6半導体層を形成する工程と、
前記第6半導体層に接し前記第1トレンチの一部に接し、前記第1トレンチの長手方向と直交する方向に前記第1トレンチを横断するように第2導電型の第7半導体層を形成する工程と、第1トレンチの底部の少なくとも一部に接し、前記第1絶縁膜よりも少なくとも1.1倍以上厚い第2絶縁膜を形成する工程と、を含む。前記第6半導体層を形成する工程は、上面から見た際
、前記第7半導体層で前記第6半導体層を含まない面積を、前記第6半導体層を含む面積に対して2倍以上広く形成
し、前記第6半導体層を前記第1トレンチの長手方向と並行な線上の前記第7半導体層の上側の面の前記第1トレンチ間に選択的に形成する。
【0024】
上述した発明によれば、下側第2p
+型領域4aをトレンチの幅方向と垂直に配置することで、上側第2p
+型領域4bを形成した後、トレンチを形成することができる。これにより、上側第2p
+型領域4bおよびトレンチと下側第2p
+型領域4aで合わせずれが生じることを防ぐことができる。また、上側第2p
+型領域4bをトレンチ側壁に接するように配置することでセルピッチを4.0μmより小さくしても、従来と同じ精度のフォトリソグラフィで、下側第2p
+型領域4aをソース電極に接続することが容易になる。さらに、トレンチと下側第2p
+型領域4aに接しないトレンチ部はトレンチとセルフアラインで形成される第1p
+型領域3、もしくはトレンチ底部の酸化膜を厚くすることでトレンチの底に高電界が印加されることを抑制することが可能となり、目標とする耐圧を実現した炭化珪素半導体装置を提供できる。ここで、セルピッチとは、隣り合うトレンチにおけるトレンチの中心間の距離である。
【0025】
また、上述した発明によれば、p型ベース層6と下側第2p
+型領域4aとの間に上側第2p
+型領域4bが設けられていない領域の面積を、p型ベース層6と下側第p
+型領域4aとの間に上側第2p
+型領域4bが設けられている領域の面積の2倍以上大きくしている。p型層ベース6と下側第2p
+型領域4aとの間に上側第2p
+型領域4bが設けられていない領域は、オン時に電流が流れる領域であるため、オン時に電流が流れる領域を十分に確保でき、炭化珪素半導体装置の性能が劣化することを防止できる。
【発明の効果】
【0026】
本発明にかかる炭化珪素半導体装置および炭化珪素半導体装置の製造方法によれば、セルピッチを4.0μmより小さくした場合でも、目標とする耐圧
を実現
する炭化珪素半導体装置が、従来と同程度の製造難易度で製造できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す
図6、7のA−A’部分の断面図である。
【
図2】実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す
図6、7のB−B’部分の断面図である。
【
図3】実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す
図6、7のC−C’部分の断面図である。
【
図4】実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す
図6、7のD−D’部分の断面図である。
【
図5】実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す
図6、7のE−E’部分の断面図である。
【
図6】実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す
図1〜4のa−a’部分の上面図である。
【
図7】実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す
図1〜4のb−b’部分の上面図である。
【
図8】実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の上側第2p
+型領域の配置の他の例を示す上面図である。
【
図9】実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である(その1)。
【
図10】実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である(その2)。
【
図11】実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である(その3)。
【
図12】実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である(その4)。
【
図13】実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である(その5)。
【
図14】実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である(その6)。
【
図15】実施の形態2にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す
図6、7のA−A’部分の断面図である。
【
図16】実施の形態2にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す
図6、7のB−B’部分の断面図である。
【
図17】実施の形態2にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す
図6、7のC−C’部分の断面図である。
【
図18】実施の形態2にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す
図6、7のD−D’部分の断面図である。
【
図19】実施の形態2にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
【
図20】実施の形態3にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す
図6、7のA−A’部分の断面図である。
【
図21】実施の形態3にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す
図6、7のB−B’部分の断面図である。
【
図22】実施の形態3にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す
図6、7のC−C’部分の断面図である。
【
図23】実施の形態3にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す
図6、7のD−D’部分の断面図である。
【
図24】実施の形態3にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
【
図25】実施の形態4にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す
図6、7のA−A’部分の断面図である。
【
図26】実施の形態4にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す
図6、7のB−B’部分の断面図である。
【
図27】実施の形態4にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す
図6、7のE−E’部分の断面図である。
【
図28】実施の形態1〜4にかかる炭化珪素半導体装置のセルピッチとオン抵抗の関係を示すグラフである。
【
図29】従来の炭化珪素半導体装置の構造を示す断面図である(その1)。
【
図30】従来の炭化珪素半導体装置の構造を示す断面図である(その2)。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる炭化珪素半導体装置および炭化珪素半導体装置の製造方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。本明細書および添付図面においては、nまたはpを冠記した層や領域では、それぞれ電子または正孔が多数キャリアであることを意味する。また、nやpに付す+および−は、それぞれそれが付されていない層や領域よりも高不純物濃度および低不純物濃度であることを意味する。なお、以下の実施の形態の説明および添付図面において、同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0029】
(実施の形態1)
本発明にかかる半導体装置は、シリコンよりもバンドギャップが広い半導体(以下、ワイドバンドギャップ半導体とする)を用いて構成される。ここでは、ワイドバンドギャップ半導体として例えば炭化珪素(SiC)を用いた半導体装置(炭化珪素半導体装置)の構造を例に説明する。
図1〜
図4は、実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す断面図である。
図1は、炭化珪素半導体装置の上面図である
図6、7のA−A’部分の断面図である。また、
図2は、
図6、7のB−B’部分の断面図であり、
図3は、
図6、7のC−C’部分の断面図であり、
図4は、
図6、7のD−D’部分の断面図である。
図1〜
図4には、2つの単位セル(素子の機能単位)のみを示し、これらに隣接する他の単位セルを図示省略する(
図15〜18、
図20〜23においても同様)。
図1〜4に示す実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置は、炭化珪素からなる半導体基体(炭化珪素基体:半導体チップ)100のおもて面(p型ベース層6側の面)側にMOSゲートを備えたMOSFETである。
【0030】
炭化珪素基体100は、炭化珪素からなるn
+型支持基板(n
+型炭化珪素基板)1上にn
-型ドリフト層(第1半導体層)2およびp型ベース層(第
3半導体層)6となる各炭化珪素層を順にエピタキシャル成長させてなる。MOSゲートは、p型ベース層6と、n
+型ソース領域(第
4半導体領域)7、p
+型コンタクト領域8、トレンチ18、ゲート絶縁膜9およびゲート電極10で構成される。具体的には、n
-型ドリフト層2のソース側(ソース電極12側)の表面層には、p型ベース層6に接するようにn型領域5が設けられている。n型領域5は、キャリアの広がり抵抗を低減させる、いわゆる電流拡散層(CurrentSpreadingLayer:CSL)である。このn型領域5は、例えば、基体おもて面(炭化珪素基体100のおもて面)に平行な方向(以下、横方向とする)に一様に設けられている。
【0031】
n型領域5の内部には、第1p
+型領域3、下側第2p
+型領域4a、上側第2p
+型領域4bがそれぞれ選択的に設けられている。第1p
+型領域3は、後述するトレンチ18の底面に接するように設けられている。第1p
+型領域3は、p型ベース層6とn型領域5との界面よりもドレイン側に深い位置から、n型領域5とn
-型ドリフト層2との界面に達しない深さで設けられている。第1p
+型領域3を設けることで、トレンチ18の底面付近に、第1p
+型領域3とn型領域5との間のpn接合を形成することができる。第1p
+型領域3は、p型ベース層6よりも不純物濃度が高い。
【0032】
また、第1p
+型領域3の幅は、トレンチ18の幅以下である。このため、第1p
+型領域3は、セルフアライン、つまり、トレンチ18を形成する際のマスクを使用することで形成することができる。このように、同じマスクで形成されるため、第1p
+型領域3とトレンチ18は、形成される位置のずれ(合わせずれ)が生じることがなくなる。
【0033】
下側第2p
+型領域4aは、n
-型ドリフト層2と離して、上側第2p
+型領域4bと接するように選択的に設けられている。下側第2p
+型領域4aと上側第2p
+型領域4bの界面は、トレンチ18の底面より、上側に設けられている。なお、上側とは、ソース電極12側である。また、下側第2p
+型領域4aは、トレンチ18の幅方向と垂直にストライプ状に配置されている。
図6は、実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す
図1〜4のa−a’部分の上面図である。
図6において、符号T1が示す位置が、下側第2p
+型領域4aが設けられる領域である。このため、
図1、
図3では、下側第2p
+型領域4aは存在しないが、
図2、
図4では、下側第2p
+型領域4aが存在する。
【0034】
上側第2p
+型領域4bは、p型ベース層6と下側第2p
+型領域4aと接するように設けられている。このように、上側第2p
+型領域4bは、トレンチ18の深さ方向と垂直に設けられている。
上側第2p+型領域4bは、トレンチ18の深さ方向と垂直方向に10μm以上間隔を空けて繰り返し配置されていてもよい。このため、上側第2p
+型領域4bを形成した後、トレンチ18を形成することができ、上側第2p
+型領域4bとトレンチ18の合わせずれが生じることがなくなる。
【0035】
また、上側第2p
+型領域4bは、トレンチ18と接している。このため、p型ベース層6と第1p
+型領域3との間に上側第2p
+型領域4bが設けられている領域S2(
図6参照)は、チャネル領域が形成されず、オン状態でも電流が流れなくなる領域となる。このため、p型ベース層6と第1p
+型領域3との間に上側第2p
+型領域4bが設けられていない、つまり、n型領域5が設けられている領域S1(
図6参照)が設けられる。
【0036】
上面から見た際の領域S2の面積が大きいとオン時に電流が流れない領域が多くなるため、性能が劣化する。このため、上面から見た際の領域S1の面積は、上面から見た際の領域S2の面積の2倍以上であることが好ましい。例えば、
図6のように、上面から見た際の領域S1の面積が、上面から見た際の領域S2の面積の4倍である。ここで、上面から見た際の領域S1、S2の面積とは、炭化珪素基体100のおもて面から見た領域S1、S2の面積である。なお、これ以降の説明で、面積について言及するとき、「上面から見た際」を省略する。
【0037】
また、領域S1と領域S2の配置は、
図6のように領域S2を斜め状に配置することに限らない。
図8は、実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の上側第2p
+型領域の配置の他の例を示す上面図である。
図8(a)は、トレンチ18の側壁と垂直な方向(x軸方向)では、領域S1と領域S2とを1つおきに配置して、トレンチ18の側壁と平行な方向(y軸方向)では、領域S1と領域S2とを連続して配置している。
図8(a)では、領域S1の面積は領域S2の面積の2倍である。
図8(b)は、トレンチ18と垂直な方向(x軸方向)では、領域S2を2つおきに配置して、トレンチ18の側壁と平行な方向(y軸方向)では、領域S1と領域S2とを連続して配置している。
図8(b)では、領域S1の面積は領域S2の面積の4倍である。
【0038】
図8(c)は、トレンチ18の側壁と垂直な方向(x軸方向)では、領域S1と領域S2とを1つおきに配置して、トレンチ18の側壁と平行な方向(y軸方向)でも、領域S1と領域S2とを1つおきに配置することで、領域S2を千鳥格子状に配置している。
図8(c)では、領域S1の面積は領域S2の面積の2倍である。
図8(d)は、トレンチ18と垂直な方向(x軸方向)およびトレンチ18の側壁と平行な方向(y軸方向)で、領域S1と領域S2とを1つおきに配置することと、領域S2を3つおきに配置することを交互に繰り返すことで、領域S2を大きい千鳥格子状に配置している。
図8(d)では、領域S1の面積は領域S2の面積の4倍である。
【0039】
p型ベース層6の内部には、互いに接するようにn
+型ソース領域7およびp
+型コンタクト領域8がそれぞれ選択的に設けられている。p
+型コンタクト領域8の深さは、例えばn
+型ソース領域7と同じ深さでも良いし、より深くてもよい。
【0040】
図7は、実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す
図1〜4のb−b’部分の上面図である。
図7に示すように、p
+型コンタクト領域8は、トレンチ18の側壁と平行な方向(y軸方向)に部分的に設けられている。
【0041】
なお、
図1は、実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す
図6、7のA−A’部分の断面図である。このため、
図1の断面図には、下側第2p
+型領域4aおよび上側第2p
+型領域4bは、存在していなく、p
+型コンタクト領域も存在していない。また、
図2は、実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す
図6、7のB−B’部分の断面図である。このため、
図2の断面図には、下側第2p
+型領域4aおよび上側第2p
+型領域4bが、存在しているが、p
+型コンタクト領域8は存在していない。また、
図3は、実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す
図6、7のC−C’部分の断面図である。このため、
図3の断面図には、下側第2p
+型領域4aおよび上側第2p
+型領域4bは、存在していないが、p
+型コンタクト領域8は存在している。また、
図4は、実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す
図6、7のD−D’部分の断面図である。このため、
図4の断面図には、下側第2p
+型領域4aおよび上側第2p
+型領域4bが存在し、p
+型コンタクト領域8も存在している。また、
図5は、実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す
図6、7のE−E’部分の断面図である。
図5は、トレンチ18が存在する部分の断面図であり、
図5の3つの上側第2p
+型領域4bは、
図6のT1で示される領域の上から3つに対応する。
【0042】
トレンチ18は、基体おもて面からn
+型ソース領域7およびp型ベース層6を貫通してn型領域5および下側第2p
+型領域4aに達する。トレンチ18の内部には、トレンチ18の側壁に沿ってゲート絶縁膜9が設けられ、ゲート絶縁膜9の内側にゲート電極10が設けられている。ゲート電極10のソース側端部は、基体おもて面から外側に突出していてもいなくてもよい。ゲート電極10は、図示省略する部分でゲートパッド(不図示)に電気的に接続されている。層間絶縁膜11は、トレンチ18に埋め込まれたゲート電極10を覆うように基体おもて面全面に設けられている。
【0043】
ソース電極(第1電極)12は、層間絶縁膜11に開口されたコンタクトホールを介してn
+型ソース領域7およびp
+型コンタクト領域8に接するとともに、層間絶縁膜11によってゲート電極10と電気的に絶縁されている。ソース電極12と層間絶縁膜11との間に、例えばソース電極12からゲート電極10側への金属原子の拡散を防止するバリアメタルを設けても良い。ソース電極12上には、ソース電極パッド(不図示)が設けられている。炭化珪素基体10の裏面(n
+型ドレイン領域となるn
+型炭化珪素基板1の裏面)には、ドレイン電極(第2電極)13が設けられている。
【0044】
次に、実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法について説明する。
図9〜14は、実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。まず、n
+型ドレイン領域となるn
+型炭化珪素基板1を用意する。次に、n
+型炭化珪素基板1のおもて面に、上述したn
-型ドリフト層2をエピタキシャル成長させる。例えば、n
-型ドリフト層2を形成するためのエピタキシャル成長の条件を、n
-型ドリフト層2の不純物濃度が3×10
15/cm
3程度となるように設定してもよい。ここまでの状態が
図9に記載される。
【0045】
次に、n
-型ドリフト層2の上に、下側n型領域5aをエピタキシャル成長させる。例えば、下側n型領域5aを形成するためのエピタキシャル成長の条件を、下側n型領域5aの不純物濃度が1×10
17/cm
3程度となるように設定してもよい。この下側n型領域5aは、n型領域5の一部である。次に、フォトリソグラフィおよびp型不純物のイオン注入により、下側n型領域5aの表面層に、下側第2p
+型領域4aを選択的に形成する。例えば、下側第2p
+型領域4aを形成するためのイオン注入時のドーズ量を、不純物濃度が5×10
18/cm
3程度となるように設定してもよい。ここまでの状態が
図10に記載される。
【0046】
次に、下側n型領域5a、下側第2p
+型領域4aの上に、上側n型領域5bをエピタキシャル成長させる。例えば、上側n型領域5bを形成するためのエピタキシャル成長の条件を、下側n型領域5aの不純物濃度と同程度となるように設定してもよい。この上側n型領域5bは、n型領域5の一部であり、下側n型領域5aと上側n型領域5bを合わせて、n型領域5となる。次に、フォトリソグラフィおよびp型不純物のイオン注入により、上側n型領域5bの表面層に、上側第2p
+型領域4bを選択的に形成する。例えば、上側第2p
+型領域4bを形成するためのイオン注入時のドーズ量を、不純物濃度が下側第2p
+型領域4aと同程度となるように設定してもよい。ここまでの状態が
図11に記載される。
【0047】
次に、上側n型領域5bおよび上側第2p
+型領域4bの上に、p型ベース層6をエピタキシャル成長させる。例えば、p型ベース層6を形成するためのエピタキシャル成長の条件を、p型ベース層6の不純物濃度が4×10
17/cm
3程度となるように設定してもよい。
【0048】
次に、フォトリソグラフィおよびn型不純物のイオン注入により、p型ベース層6の表面層にn
+型ソース領域7を選択的に形成する。例えば、n
+型ソース領域7を形成するためのイオン注入時のドーズ量を、不純物濃度が3×10
20/cm
3程度となるように設定してもよい。ここまでの状態が
図12に記載される。
【0049】
次に、フォトリソグラフィおよびp型不純物のイオン注入により、p型ベース層6の表面層に、n
+型ソース領域7に接するようにp
+型コンタクト領域8を選択的に形成する。例えば、p
+型コンタクト領域8を形成するためのイオン注入時のドーズ量を、不純物濃度が3×10
20/cm
3程度となるように設定してもよい。n
+型ソース領域7とp
+型コンタクト領域8との形成順序を入れ替えてもよい。イオン注入が全て終わった後に、活性化アニールを施す。ここまでの状態が
図13に記載される。
【0050】
次に、フォトリソグラフィおよびエッチングにより、n
+型ソース領域7およびp型ベース層6を貫通して、n型領域5および下側第2p
+型領域4aに達するトレンチ18を形成する。次に、トレンチ形成時のマスクを用いて、p型不純物のイオン注入により、トレンチ18の底に、第1p
+型領域3を選択的に形成する。この際、第1p
+型領域3が下側n型領域5aに接しないように第1p
+型領域3を形成する。例えば、第1p
+型領域3を形成するためのイオン注入時のドーズ量を、不純物濃度が下側第2p
+型領域4aと同程度となるように設定してもよい。また、トレンチ形成時のマスクには酸化膜を用いる。また、トレンチエッチング後に、トレンチ18のダメージを除去するための等方性エッチングや、トレンチ18の底部およびトレンチ18の開口部の角を丸めるための水素アニールを施してもよい。等方性エッチングと水素アニールはどちらか一方のみを行ってもよい。また、等方性エッチングを行った後に水素アニールを行ってもよい。ここまでの状態が
図14に記載される。
【0051】
次に、炭化珪素基体100のおもて面およびトレンチ18の内壁に沿ってゲート絶縁膜9を形成する。次に、トレンチ18に埋め込むように例えばポリシリコンを堆積しエッチングすることで、トレンチ18の内部にゲート電極10となるポリシリコンを残す。その際、エッチバックしてポリシリコンを基体表部より内側に残すようにエッチングしてもよく、パターニングとエッチングを施すことでポリシリコンが基体表部より外側に突出していてもよい。
【0052】
次に、ゲート電極10を覆うように、炭化珪素基体100のおもて面全面に層間絶縁膜11を形成する。層間絶縁膜11は、例えば、NSG(None−doped Silicate Glass:ノンドープシリケートガラス)、PSG(Phospho Silicate Glass)、BPSG(Boro Phospho Silicate Glass)、HTO(High Temperature Oxide)、あるいはそれらの組み合わせで形成される。次に、層間絶縁膜11およびゲート絶縁膜9をパターニングしてコンタクトホールを形成し、n
+型ソース領域7およびp
+型コンタクト領域8を露出させる。
【0053】
次に、層間絶縁膜11を覆うようにバリアメタルを形成してパターニングし、n
+型ソース領域7およびp
+型コンタクト領域8を再度露出させる。次に、n
+型ソース領域7に接するように、ソース電極12を形成する。ソース電極12は、バリアメタルを覆うように形成されてもよいし、コンタクトホール内にのみ残してもよい。
【0054】
次に、コンタクトホールを埋め込むようにソース電極パッドを形成する。ソース電極パッドを形成するために堆積した金属層の一部をゲートパッドとしてもよい。n
+型炭化珪素基板1の裏面には、ドレイン電極13のコンタクト部にスパッタ蒸着などを用いてニッケル(Ni)膜、チタン(Ti)膜などの金属膜を形成する。この金属膜は、Ni膜、Ti膜を複数組み合わせて積層してもよい。その後、金属膜がシリサイド化してオーミックコンタクトを形成するように、高速熱処理(RTA:Rapid Thermal Annealing)などのアニールを施す。その後、例えばTi膜、Ni膜、金(Au)を順に積層した積層膜などの厚い膜を電子ビーム(EB:Electron Beam)蒸着などで形成し、ドレイン電極13を形成する。
【0055】
上述したエピタキシャル成長およびイオン注入においては、n型不純物(n型ドーパント)として、例えば、炭化珪素に対してn型となる窒素(N)やリン(P)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)などを用いればよい。p型不純物(p型ドーパント)として、例えば、炭化珪素に対してp型となるホウ素(B)やアルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、タリウム(Tl)などを用いればよい。このようにして、
図1〜4に示すMOSFETが完成する。
【0056】
以上、説明したように、実施の形態1によれば、上側第2p
+型領域をトレンチの幅方向と垂直に配置することで、上側第2p
+型領域を形成した後、トレンチを形成することができる。これにより、上側第2p
+型領域とトレンチの合わせずれが生じることを防ぐことができる。このため、セルピッチを4.0μmより小さくしても、従来と同じ精度のフォトリソグラフィで、上側第2p
+型領域を形成することが可能になる。この上側第2p
+型領域により、トレンチの底に高電界が印加されることを抑制することが可能となり、目標とする耐圧を実現した炭化珪素半導体装置を提供できる。
【0057】
また、実施の形態1によれば、p型ベース層と第1p
+型領域との間に上側第2p
+型領域が設けられていない領域の面積を、p型ベース層と第1p
+型領域との間に上側第2p
+型領域が設けられている領域の面積の2倍以上大きくしている。これにより、p型ベース層と第1p
+型領域との間に上側第2p
+型領域が設けられていない領域は、オン時に電流が流れる領域であるため、オン時に電流が流れる領域を十分に確保でき、炭化珪素半導体装置の性能が劣化することを防止できる。
【0058】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2にかかる炭化珪素半導体装置の構造について説明する。
図15〜
図18は、実施の形態2にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す断面図である。実施の形態2にかかる炭化珪素半導体装置の上面図は、実施の形態1の上面図(
図6、7参照)と同様であるため、省略する。
図15は、炭化珪素半導体装置の上面図である
図6、7のA−A’部分の断面図である。また、
図16は、
図6、7のB−B’部分の断面図であり、
図17は、
図6、7のC−C’部分の断面図であり、
図18は、
図6、7のD−D’部分の断面図である。
【0059】
実施の形態2にかかる炭化珪素半導体装置が実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置と異なる点は、
図16および
図18に示すように第1p
+型領域3が下側第2p
+型領域4aと離れている点である。これにより、実施の形態2では、下側第2p
+型領域4aとn型領域5とのpn接合が、実施の形態1より深い位置になる。
【0060】
次に、実施の形態2にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法について説明する。
図19は、実施の形態2にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。まず、実施の形態1と同様に、n
+型炭化珪素基板1を用意し、p
+型コンタクト領域8を形成する形成工程までの工程を順に行う(
図9〜
図13参照)。
【0061】
次に、フォトリソグラフィおよびエッチングにより、n
+型ソース領域7およびp型ベース層6を貫通して、n型領域5および上側第2p
+型領域4bに達するトレンチ18を形成する。次に、トレンチ形成時のマスクを用いて、p型不純物のイオン注入により、トレンチ18の底に、第1p
+型領域3を選択的に形成する。この際、第1p
+型領域3が下側第2p
+型領域4aに接しないように第1p
+型領域3を形成する。ここまでの状態が
図19に記載される。その後、実施の形態1と同様に、ゲート絶縁膜9を形成する形成工程以降の工程を順に行うことで、
図15〜
図18に示すMOSFETが完成する。
【0062】
以上、説明したように、実施の形態2によれば、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。さらに、実施の形態2では、第1p
+型領域が下側第2p
+型領域と離れている。これにより、下側第2p
+型領域とn型領域とのpn接合が、実施の形態1より深い位置になり、トレンチの底からさらに離れることになる。このため、トレンチの底に高電界が印加されることをさらに抑制することが可能となる。また、トレンチを短くすることにより、チャネル長が短くなり、炭化珪素半導体装置のオン抵抗を減少させることができる。
【0063】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3にかかる炭化珪素半導体装置の構造について説明する。
図20〜
図23は、実施の形態3にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す断面図である。実施の形態3にかかる炭化珪素半導体装置の上面図は、実施の形態1の上面図(
図6、7参照)と同様であるため、省略する。
図20は、炭化珪素半導体装置の上面図である
図6、7のA−A’部分の断面図である。また、
図21は、
図6、7のB−B’部分の断面図であり、
図22は、
図6、7のC−C’部分の断面図であり、
図23は、
図6、7のD−D’部分の断面図である。
【0064】
実施の形態3にかかる炭化珪素半導体装置が実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置と異なる点は、
図20〜
図23に示すように第1p
+型領域3が、トレンチ18の底面および底面コーナー部を覆うように設けられ、第1p
+型領域3の幅が、トレンチ18の幅より広いことである。トレンチ18の底面コーナー部とは、トレンチ18の底面と側壁との境界である。
【0065】
次に、実施の形態3にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法について説明する。
図24は、実施の形態3にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。まず、実施の形態3と同様に、n
+型炭化珪素基板1を用意し、下側第2p
+型領域4aを形成する形成工程までの工程を順に行う(
図9〜
図10参照)。
【0066】
次に、フォトリソグラフィおよびp型不純物のイオン注入により、下側第2p
+型領域4aの表面層に、第1p
+型領域3を選択的に形成する。例えば、第1p
+型領域3を形成するためのイオン注入時のドーズ量を、不純物濃度が5×10
18/cm
3程度となるように設定してもよい。
【0067】
その後、実施の形態1と同様に、上側n型領域5bを形成する形成工程から、n
+型ソース領域7を形成する形成工程までの工程を順に行う。次に、フォトリソグラフィおよびエッチングにより、n
+型ソース領域7およびp型ベース層6を貫通して、n型領域5および下側第2p
+型領域4aに達するトレンチ18を形成する。その後、実施の形態1と同様に、ゲート絶縁膜9を形成する形成工程以降の工程を順に行うことで、
図20〜
図23に示すMOSFETが完成する。
【0068】
以上、説明したように、実施の形態3によれば、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。さらに、実施の形態3では、トレンチの幅よりも幅の広い第1p
+型ベース領域を設けることで、トレンチの底部の電界が集中するコーナー部の電界を緩和させることができる。このため、炭化珪素半導体装置の耐電圧をさらに高くすることができる。
【0069】
(実施の形態4)
次に、実施の形態4にかかる炭化珪素半導体装置の構造について説明する。
図25〜
図27は、実施の形態4にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す断面図である。
図27は、実施の形態4にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す
図6、7のE−E’部分の断面図である。
図25は、炭化珪素半導体装置の上面図である
図6、7のA−A’部分の断面図である。また、
図26は、
図6、7のB−B’部分の断面図である。
【0070】
実施の形態4にかかる炭化珪素半導体装置が実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置と異なる点は、
図25〜
図27に示すように第1p
+型領域3が無く、トレンチ18の底面の酸化膜厚がトレンチ18の側壁の酸化膜厚に対して
少なくとも1.1倍以上厚くなっていることである。
【0071】
次に、実施の形態4にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法について説明する。トレンチ18を形成後にトレンチ底に酸化膜を堆積しエッチバックを行う。その後にゲート酸化膜を形成することでトレンチ底の酸化膜をトレンチ側壁の酸化膜に対して厚く形成することができる。
【0072】
以上、説明したように、実施の形態4によれば、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。さらに、実施の形態4では、トレンチの底の酸化膜を厚くすることでトレンチ底部の電界を緩和させることができる。このため、炭化珪素半導体装置の耐電圧をさらに高くすることができる。
【0073】
図28は、実施の形態1〜4にかかる炭化珪素半導体装置のセルピッチとオン抵抗の関係を示すグラフである。
図28は、n
+型炭化珪素基板1の厚さを150μm、ドレイン電流密度Jcを300A/cm
2とし、順方向電圧Vthを5Vにしてシミュレーションした結果である。横軸は、炭化珪素半導体装置のセルピッチを示し単位はμmであり、縦軸は、単位活性面積当たりのオン抵抗(RonA)を示し、単位はmΩcm
2である。
図28によると、従来技術で実現可能なセルピッチ4μm以上の場合、および本発明により実現可能となるセルピッチ4μmより小さい場合に、セルピッチが縮小するにつれてオン抵抗が減少することが分かる。本発明により、セルピッチ4μmより小さい炭化珪素半導体装置を提供できるため、オン抵抗がより少ない炭化珪素半導体装置を提供できる。
【0074】
以上において本発明は本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であり、上述した各実施の形態において、例えば各部の寸法や不純物濃度等は要求される仕様等に応じて種々設定される。また、上述した各実施の形態では、MOSFETを例に説明しているが、これに限らず、所定のゲート閾値電圧に基づいてゲート駆動制御されることで電流を導通および遮断する種々な炭化珪素半導体装置にも広く適用可能である。ゲート駆動制御される炭化珪素半導体装置として、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)などが挙げられる。また、上述した各実施の形態では、ワイドバンドギャップ半導体として炭化珪素を用いた場合を例に説明しているが、炭化珪素以外の例えば窒化ガリウム(GaN)などのワイドバンドギャップ半導体にも適用可能である。また、各実施の形態では第1導電型をn型とし、第2導電型をp型としたが、本発明は第1導電型をp型とし、第2導電型をn型としても同様に成り立つ。