特許第6972685号(P6972685)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6972685DINレール取付構造、アタッチメントおよび装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6972685
(24)【登録日】2021年11月8日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】DINレール取付構造、アタッチメントおよび装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/12 20060101AFI20211111BHJP
【FI】
   H05K7/12 S
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-117540(P2017-117540)
(22)【出願日】2017年6月15日
(65)【公開番号】特開2019-4041(P2019-4041A)
(43)【公開日】2019年1月10日
【審査請求日】2020年3月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長野 昌明
(72)【発明者】
【氏名】小川 伊彦
(72)【発明者】
【氏名】久保 正彦
(72)【発明者】
【氏名】石井 寛明
(72)【発明者】
【氏名】岡田 啓
(72)【発明者】
【氏名】河良 葵魁
【審査官】 赤穂 州一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−026506(JP,A)
【文献】 特表2010−506554(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のフランジ部および第2のフランジ部を有するDINレールに装置を取付けるためのDINレール取付構造であって、
前記DINレールの前記第1のフランジ部に嵌合する溝部が形成された係合部と、
前記第1のフランジ部と反対側に位置する前記DINレールの前記第2のフランジ部に係合する固定部とを備え、
前記係合部は、
前記DINレールの前記第1のフランジ部の前記溝部への挿入を妨げず、かつ、前記第1のフランジ部が前記溝部内で動く際に前記第1のフランジ部に干渉するように、前記溝部に設けられた干渉部を含み、
前記干渉部によって規定される前記溝部の最小幅は、前記DINレールの規格で定められた最小厚さ以下であり、
前記溝部は、
前記第1のフランジ部の挿入を規制するための終端部と、
前記終端部の第1の端部および第2の端部にそれぞれ形成された第1のコーナー部および第2のコーナー部と、
前記第1のコーナー部につながる第1の側部と、
前記第1の側部につながるテーパー部と、
前記第2のコーナー部につながる第2の側部とを含み、
前記終端部の前記第1の端部は、前記DINレール取付構造における、前記装置に取付けられる側に対して遠い側にあり、
前記終端部の前記第2の端部は、前記DINレール取付構造における、前記装置に取付けられる側に対して近い側にあり、
前記干渉部は、前記溝部の前記第2の側部と前記溝部の入口とにより形成され、
前記第2の側部は、前記溝部の前記入口に対して鋭角を成し、
前記干渉部は、前記第2の側部に印加される力により、前記溝部の前記入口の側に変形可能である、DINレール取付構造。
【請求項2】
前記終端部に対して前記テーパー部が成す角度は、鈍角であり、かつ、前記終端部に対して前記第2の側部が成す角度よりも大きい、請求項に記載のDINレール取付構造。
【請求項3】
前記第1の側部と前記終端部とが成す角度は、前記テーパー部と前記終端部とが成す角度よりも小さい、請求項1または請求項2に記載のDINレール取付構造。
【請求項4】
装置に装着可能に構成され、かつ前記装置をDINレールに取付けるアタッチメントであって、
請求項1から請求項のいずれか1項に記載のDINレール取付構造を備える、アタッチメント。
【請求項5】
請求項1から請求項のいずれか1項に記載のDINレール取付構造を備える、装置。
【請求項6】
請求項に記載のアタッチメントを備える、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DINレール取付構造、アタッチメントおよび装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器などの取付対象物を計装盤などに取り付けるための構造として、レールマウント式の取付構造が提案されている。そのようなレールとして一般的にはDIN(ドイツ工業規格)レールが用いられる。
【0003】
たとえば特開2005−64114号公報(特許文献1)は、振動による機器の内部構造あるいは内部回路の破損、および、振動によるレール係合手段の破損を未然に防ぐことを目的としたDINレ一ル取付構造を開示する。DINレ一ル取付構造は、電源機器に振動が加わった場合にDINレールに干渉して振動を吸収する振動吸収部を有する。
【0004】
たとえば特開2014−13860号公報(特許文献2)は、金属板を折り曲げることにより形成された取付金具を開示する。取付金具の一端にはレールの一方のフランジ部が嵌め合う係合部が設けられる。取付金具の他端には、ばねの弾性力により付勢駆動されてレールの他方のフランジ部に係止される係止機構が組み込まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−64114号公報
【特許文献2】特開2014−13860号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
DINレールの厚さに関しては、少なくとも2種類の規格がある。欧州では、厚いDINレール(厚さ1.5mm)が用いられるのが一般的である。一方、日本では、薄いDINレール(厚さ1.0mm)が用いられるのが一般的である。
【0007】
従来のDINレール取付構造は、厚いDINレールまたは薄いDINレールのどちらかに係合可能なように設計されていた。このため、薄いDINレールに適合された取付構造は、厚いDINレールには装着できなかった。一方、厚いDINレールに適合した取付構造の場合には、その取付構造を薄いDINレールに装着した際に、取付構造とレールとの間に隙間が生じやすい。このような取付構造は、振動試験に合格できるものであっても、実際の使用場面においては、ガタツキがユーザーに不安感をもたらす可能性がある。ユーザの不安感を無くすためには、DINレールの厚みの違いによらず、DINレールに装着してもガタツキを発生させない取付構造が求められる。
【0008】
本発明の目的は、DINレールの厚みの違いによらず、DINレールに装着してもガタツキを発生させない取付構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る、第1のフランジ部および第2のフランジ部を有するDINレールに装置を取付けるためのDINレール取付構造は、DINレールの第1のフランジ部に嵌合する溝部が形成された係合部と、第1のフランジ部と反対側に位置するDINレールの第2のフランジ部に係合する固定部とを備える。係合部は、DINレールの第1のフランジ部の溝部への挿入を妨げず、かつ、第1のフランジ部が溝部内で動く際に第1のフランジ部に干渉するように、溝部に設けられた干渉部を含む。干渉部によって規定される溝部の最小幅は、DINレールの規格で定められた最小厚さ以下である。
【0010】
好ましくは、溝部は、第1のフランジ部の挿入を規制するための終端部と、終端部の第1の端部および第2の端部にそれぞれ形成された第1のコーナー部および第2のコーナー部と、第1のコーナー部につながる第1の側部と、第1の側部につながるテーパー部と、第2のコーナー部につながる第2の側部とを含む。終端部の第1の端部は、DINレール取付構造における、装置に取付けられる側に対して遠い側にあり、終端部の第2の端部は、DINレール取付構造における、装置に取付けられる側に対して近い側にある。干渉部は、溝部の第2の側部と溝部の入口とにより形成される。第2の側部は、溝部の入口に対して鋭角を成す。
【0011】
好ましくは、干渉部は、第2の側部に印加される力により変形可能である。
好ましくは、終端部に対してテーパー部が成す角度は、鈍角であり、かつ、終端部に対して第2の側部が成す角度よりも大きい。
【0012】
好ましくは、第1の側部と終端部とが成す角度は、テーパー部と終端部とが成す角度よりも小さい。
【0013】
本発明の一態様に係るアタッチメントは、装置に装着可能に構成され、かつ装置をDINレールに取付けるアタッチメントであって、上記のいずれかに記載のDINレール取付構造を備える。
【0014】
本発明の一態様に係る装置は、上記のいずれかのDINレール取付構造を備える。
本発明の一態様に係る装置は、上記のアタッチメントを備える。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、DINレールの厚みの違いによらず、DINレールに装着してもガタツキを発生させない構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係るDINレール取付構造によってDINレールに取り付けられた装置の斜視図である。
図2図1に示した装置をDINレールに取り付ける途中の状態を示した概略図である。
図3図1に示した装置をDINレールに取り付けた状態を示した概略図である。
図4】本発明の一実施形態に係るDINレール取付構造を第1の方向から見た分解斜視図である。
図5】本発明の一実施形態に係るDINレール取付構造を第2の方向から見た分解斜視図である。
図6】レール取付部の有する係合部を詳細に説明した部分拡大図である。
図7】本発明の一実施形態に係るDINレール取付構造を厚いDINレール(厚さ:大)に取り付ける動きを説明した第1の部分拡大図である。
図8】本発明の一実施形態に係るDINレール取付構造を厚いDINレール(厚さ:大)に取り付ける動きを説明した第2の部分拡大図である。
図9】本発明の一実施形態に係るDINレール取付構造を薄いDINレール(厚さ:小)に取り付ける動きを説明した部分拡大図である。
図10】レール取付部の有する係合部の比較例を示した部分拡大図である。
図11図10に示した比較例に係るDINレール取付構造をDINレールに取り付ける動きを説明した部分拡大図である。
図12】本発明の別の実施形態を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係るDINレール取付構造によってDINレールに取り付けられた装置の斜視図である。
【0019】
図1を参照して、DINレール1は、レール本体1Aと、フランジ部1B,1Cとを有する。フランジ部1B,1Cは、レール本体1Aの一方の側および他方の側にそれぞれ配置される。DINレール1は、たとえば、制御盤(図示せず)内に設けられる。レール本体1Aは、ネジ等の締結具(図示せず)により、制御盤の壁に固定される。
【0020】
装置2は、アタッチメント3によってDINレール1に係脱可能に取付けられる。なお、装置2の種類は限定されない。アタッチメント3は、ネジ5によって装置2に取り付けられる。したがって、アタッチメント3は、装置2に着脱可能である。
【0021】
アタッチメント3は、DINレール1に装置2を取り付けるためのDINレール取付構造4を有する。DINレール取付構造4は、ネジ6によってアタッチメント3に固定される。アタッチメント3は、ネジ6を通す貫通孔を有し、装置2の筐体は、ネジ6と螺合するための穴を有してもよい。この場合、ネジ6は、その貫通孔を通して装置2の筐体に固定されることができる。
【0022】
DINレール取付構造4は、金属製の部材(金具)により構成される。具体的にはDINレール取付構造4は、レール取付部10と、レール固定部20とを有する。レール取付部10は、DINレール1のフランジ部1Bに係合するための係合部11,12を有する。レール固定部20は、DINレール1のフランジ部1Cに係合するための係合部21A,22Aを有する。
【0023】
図2は、図1に示した装置をDINレールに取り付ける途中の状態を示した概略図である。図3は、図1に示した装置をDINレールに取り付けた状態を示した概略図である。図2および図3を参照して、レール取付部10の係合部11および係合部12(係合部12は示されていない)を、DINレール1のフランジ部1Bに係止させる。この状態で、装置2を回転させて、レール固定部20をDINレール1のフランジ部1Cに近づける。そして、レール固定部20の係合部21Aおよび係合部22A(係合部22Aは示されていない)をDINレール1のフランジ部1Cに係合させる。
【0024】
図4は、本発明の一実施形態に係るDINレール取付構造を第1の方向から見た分解斜視図である。図5は、本発明の一実施形態に係るDINレール取付構造を第2の方向から見た分解斜視図である。図4および図5を参照して、レール取付部10は、係合部11,12と、取付部13A,13B,14と、折曲部15A,15B,15C,15Dと、主平面16と、係合部17A,17Bとを有する。
【0025】
係合部11,12は、取付部14の両側に、取付部14に対して垂直に配置される。取付部14は平面状であり、ネジを挿入するための複数(この実施の形態では、たとえば2つ)の取付穴14Aが取付部14に形成される。係合部11,12には、DINレール1のフランジ部1Bに係合するための溝部11A,12がそれぞれ形成される。溝部11A,12の形状については後に詳細に説明する。
【0026】
主平面16は、折曲部15Aによって取付部14につながる。折曲部15Aは、係合部11,12の突出する方向と同じ方向に突出するように折り曲げられ、さらに、主平面16と取付部14とが実質的に平行になるように折り曲げられている。
【0027】
さらに主平面16は、折曲部15C,15Dによって、取付部13A,13Bにそれぞれつながっている。折曲部15C,15Dは、係合部11,12の突出する方向と同じ方向に突出するように取付部13A,13Bから折り曲げられた形状を有する。取付部13A,13Bは平面状であり、ネジを挿入するための取付穴18A,18Bが取付部13A,13Bにそれぞれ形成される。
【0028】
折曲部15Bは、係合部11,12の突出する方向とは逆方向に、主平面16の端部から折り曲げられた形状を有する。係合部17Aは、折曲部15Bと折曲部15Cとの間に形成される。係合部17Bは、折曲部15Bと折曲部15Dとの間に形成される。
【0029】
レール固定部20は、折曲部21,22と、主平面23と、突出部24とを有する。折曲部21,22は、主平面23の両側に、主平面23に対して垂直に配置される。折曲部21,22には、それぞれ、係合部21A,22Aが形成される。係合部21A,22Aは、溝部21B,22Bをそれぞれ有する。レール取付部10の係合部17A,17Bにそれぞれ係止されるように溝部21B,22Bが形成される。溝部21B,22Bが係合部17A,17Bにそれぞれ係合された状態において、DINレール1のフランジ部1Cを挿入するための隙間が、溝部21Bと係合部17Aとの間、および、溝部22Bと係合部17Bとの間に形成される。係合部21A,22Aは、その隙間に挿入されたDINレール1のフランジ部1Cを固定する役割を担う。
【0030】
突出部24は、係合部11,12の突出する方向と同じ方向に突出するように折り曲げられている。さらに、主平面23には、穴25が形成される。レール取付部10とレール固定部20とを係合させたときに、突出部24は、レール取付部10の主平面16および折曲部15A,15B,15C,15Dによって囲まれた空間内に収容されることができる。一方、レール取付部10の折曲部15Bは、レール固定部20の穴25に挿入されることができる。
【0031】
レール取付部10とレール固定部20とが組み合わされた状態で、レール固定部20は、紙面上下方向にスライドすることができる。レール固定部20を下方にスライドさせた状態において、レール取付部10の係合部11,12をDINレール1のフランジ部1Bに係合させる。次に、レール固定部20を上方にスライドさせてレール固定部20の係合部21Aおよび係合部22AをDINレール1のフランジ部1Cに係合させることができる。
【0032】
レール固定部20の主平面23には、複数の穴26が形成されてもよい。複数の穴26は本発明の実施の形態の任意付加的要素である。穴26の数は特に限定されるものではない。
【0033】
図6は、レール取付部10の有する係合部を詳細に説明した部分拡大図である。図6では、代表的に係合部11を説明する。係合部12の構成は係合部11の構成と同じであるので以後の説明は繰り返さない。図6に示すように、係合部11の溝部11Aは、終端部31と、終端部31の両端に形成されたコーナー部32,33と、コーナー部32につながる側部34(第1の側部)と、側部34につながるテーパー部35と、コーナー部33につながる側部36(第2の側部)と、干渉部37とを含む。
【0034】
終端部31は、溝部11AにDINレール1のフランジ部1Bが挿入される際に、フランジ部1Bの挿入を規制する部分である。すなわち、フランジ部1Bは、入口部38から終端部31までの深さDの長さの分だけ溝部11Aに挿入されることができる。
【0035】
コーナー部32は、本実施の形態に係るDINレール取付構造において、装置2に取付けられる側に対して遠い側にある。コーナー部33は、本実施の形態に係るDINレール取付構造において、装置2に取付けられる側に対して近い側にある。
【0036】
図2に示されるように、DINレール1のフランジ部1BにDINレール取付構造4を係合するために、DINレール取付構造4が傾けられる。終端部31に対してテーパー部35がなす角度は、鈍角である。終端部31に対してテーパー部35が成す角度は、終端部31に対して側部36(第2の側部)が成す角度よりも大きい。したがって、干渉部37による干渉を避けながら溝部11Aにフランジ部1Bを挿入することができる。
【0037】
さらに、終端部31に対して側部34(第1の側部)が成す角度は、終端部31に対してテーパー部35が成す角度よりも小さい。これにより、DINレール1のフランジ部1Bをコーナー部32において支持しつつ、DINレール1を回転させることができるので、図2および図3に示すように、レール固定部20の係合部21Aおよび係合部22A(係合部22Aは示されていない)をDINレール1のフランジ部1Cに係合させることができる。
【0038】
干渉部37は、DINレール1のフランジ部1Bの溝部11Aへの挿入を妨げず、かつ、フランジ部1Bが溝部11A内で動く際にフランジ部1Bに干渉するように、溝部11Aに設けられる。干渉部37は、入口部38と側部36とがつながる部分に相当する。図6に示すように、干渉部37は、入口部38に対して鋭角を成している。
【0039】
深さDの方向に直交する方向を幅方向と定義すると、干渉部37の先端と、コーナー部32との間の幅方向の距離Wが、溝部11Aの最小幅である。溝部11Aの最小幅は、DINレールの規格で定められた最小厚さ以下である。たとえば、幅Wは、薄いDINレールの厚さ(たとえば1.0mm)以下の長さ(たとえば0.59±0.1mm)に設定される。
【0040】
図7は、本発明の一実施形態に係るDINレール取付構造4を厚いDINレール1(厚さ:大)に取り付ける動きを説明した第1の部分拡大図である。なお、図7から図9では、DINレール取付構造4に対するDINレール1の相対的な動きにより、DINレール1へのDINレール取付構造4の取付けを説明する。
【0041】
図7に示されるように、DINレール1のフランジ部1Bが、終端部31の付近まで溝部11Aに挿入される。次に、DINレール取付構造4が回転させられる。これにより、DINレール1のフランジ部1Bがコーナー部32に当接する。さらに、DINレール取付構造4の回転途中において、干渉部37がフランジ部1Bに干渉する。
【0042】
図7には示されていないが、DINレール1を固定するため、DINレール1のフランジ部1Cをレール固定部20の係合部21A,22A(図4および図5を参照)に係合させる。この場合、たとえばDINレール1にはDINレール1をDINレール取付構造4に押し付ける力(DINレール1からDINレール取付構造4に向かう力)が加えられる。フランジ部1Bは、コーナー部32および干渉部37によって固定されるので、フランジ部1Bと係合部11との間には隙間が発生しない。したがって、DINレール取付構造4をDINレール1に取り付けた後に、DINレール取付構造4にガタツキが生じるのを防ぐことができる。
【0043】
干渉部37は鋭角を成しているため、DINレール1がレール取付部10よりも柔らかい場合には、干渉部37がDINレール1に食い込むことができる。したがって、フランジ部1Bは、コーナー部32および干渉部37によって、より確実に固定される。上記の場合とは、たとえばDINレール1の素材がアルミニウムであり、レール取付部10の素材がステンレスの場合である。
【0044】
図8は、本発明の一実施形態に係るDINレール取付構造4を厚いDINレール1(厚さ:大)に取り付ける動きを説明した第2の部分拡大図である。図8に示したDINレール1の動きは、図7に示した動きと同じである。DINレール取付構造4の回転途中において、干渉部37がフランジ部1Bに干渉する。干渉部37は鋭角を成しているため、DINレール1とレール取付部10とが同程度の硬さを持つ場合には、DINレール1の動きにより、干渉部37が入口部38側に変形させることができる。このような場合には、たとえばDINレール1の素材およびレール取付部10の素材がともにステンレスの場合が挙げられる。この場合にも、DINレール1のフランジ部1Bは、コーナー部32および干渉部37によって挟まれたままになるため、フランジ部1Bと係合部11との間には隙間が発生しない。したがって、DINレール取付構造4をDINレール1に取り付けた後に、DINレール取付構造4にガタツキが生じるのを防ぐことができる。
【0045】
図9は、本発明の一実施形態に係るDINレール取付構造4を薄いDINレール1(厚さ:小)に取り付ける動きを説明した部分拡大図である。図9に示したDINレール1の動きは、図7および図8に示した動きと同じである。図6に示した通り、干渉部37の先端と、コーナー部32との間の幅(図6に示した幅方向の距離W)は、薄いDINレールの厚み以下に設定される。したがって、フランジ部1Bは、干渉部37に接し、さらに、干渉部37によってコーナー部32に押し付けられる。これにより、DINレール1が厚い場合と同じく、フランジ部1Bは、コーナー部32と干渉部37によって固定される。したがってDINレール1が薄い場合にも、DINレール取付構造4をDINレール1に取り付けた後に、DINレール取付構造4にガタツキが生じるのを防ぐことができる。
【0046】
本発明の一実施形態に係るDINレール取付構造4について、比較例と対比しながら説明する。図10は、レール取付部10の有する係合部の比較例を示した部分拡大図である。図10を参照して、比較例の場合においては、側部36は、終端部31に対してほぼ垂直に形成されている。さらに、溝部11Aには、側部36に対してほぼ垂直の方向(終端部31とほぼ平行な方向)に突出した突起部37Aが形成されている。
【0047】
図11は、図10に示した比較例に係るDINレール取付構造4をDINレール1に取り付ける動きを説明した部分拡大図である。図11に示されるように、突起部37Aは、厚いDINレールの回転途中において、フランジ部1Bとは干渉しない。厚いDINレールへのDINレール取付構造4の取り付けが完了した状態において、突起部37AがDINレールに接するように、側部36から突起部37Aの先端までの長さが定められる。すなわち、突起部37Aの先端と、コーナー部32との間の幅方向の距離Wは、厚いDINレールの厚さにほぼ一致するように定められる。このため、薄いDINレールにDINレール取付構造4を取り付けた場合には、突起部37Aとフランジ部1Bとの間に隙間が発生する。したがってDINレール1にDINレール取付構造4取り付けた状態において、装置のがたつきが発生しやすい。
【0048】
これに対して、本発明の一実施形態に係るDINレール取付構造4では、係合部11の溝部11Aに干渉部37を設ける(係合部12の溝部12Aにおいても同様)。したがって、厚いDINレールおよび薄いDINレールのいずれにおいても、DINレール1にDINレール取付構造4取り付けた後に、ガタツキを防ぐことができる。
【0049】
さらに、干渉部37の先端の角度が鋭角となるように、干渉部37が形成される。これにより、厚いDINレール1にDINレール取付構造4取り付けた状態において、干渉部37が変形あるいはDINレール1に食い込むので、DINレール1のフランジ部1Bをより確実に押さえることができる。がたつきをより確実に防ぐことができる。
【0050】
なお、以上説明した実施の形態においては、DINレール取付構造4を装置2に取り付けるためにアタッチメント3が必要であった。しかし、本発明の実施の形態は、そのように限定されるものではない。図12は、本発明の別の実施形態を示した斜視図である。図12に示されるように、DINレール取付構造4は、装置2の筐体に直接取り付け可能であってもよい。
【0051】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0052】
1 DINレール、1A レール本体、1B,1C フランジ部、2 装置、3 アタッチメント、4 DINレール取付構造、5,6 ネジ、10 レール取付部、11,12,17A,17B,21A,22A 係合部、11A,12A,21B,22B 溝部、13A,13B,14 取付部、14A,18A,18B 取付穴、15A,15B,15C,15D,21,22 折曲部、16,23 主平面、20 レール固定部、24 突出部、25,26 穴、31 終端部、32,33 コーナー部、34,36 側部、35 テーパー部、37 干渉部、37A 突起部、38 入口部、D 深さ、W 距離(幅)。
図1
図2
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図5
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図10
図11
図12