特許第6972690号(P6972690)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日立工機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6972690-電気機器 図000002
  • 特許6972690-電気機器 図000003
  • 特許6972690-電気機器 図000004
  • 特許6972690-電気機器 図000005
  • 特許6972690-電気機器 図000006
  • 特許6972690-電気機器 図000007
  • 特許6972690-電気機器 図000008
  • 特許6972690-電気機器 図000009
  • 特許6972690-電気機器 図000010
  • 特許6972690-電気機器 図000011
  • 特許6972690-電気機器 図000012
  • 特許6972690-電気機器 図000013
  • 特許6972690-電気機器 図000014
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6972690
(24)【登録日】2021年11月8日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】電気機器
(51)【国際特許分類】
   B25F 5/00 20060101AFI20211111BHJP
   H02K 11/30 20160101ALI20211111BHJP
【FI】
   B25F5/00 A
   B25F5/00 G
   H02K11/30
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-119158(P2017-119158)
(22)【出願日】2017年6月16日
(65)【公開番号】特開2019-959(P2019-959A)
(43)【公開日】2019年1月10日
【審査請求日】2020年3月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】工機ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079290
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100136375
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 弘実
(72)【発明者】
【氏名】山口 勇人
(72)【発明者】
【氏名】西河 智雅
【審査官】 山村 和人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−113664(JP,A)
【文献】 特開2015−162629(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25F 5/00 − 5/02
H02K 11/00 − 11/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力軸と、前記出力軸と一体に回転するロータコアと、ステータコアと、前記ステータコアの表面に設けられる絶縁性のインシュレータと、前記インシュレータを介して前記ステータコアに設けられた複数のコイルと、を有するモータと、
前記インシュレータに取り付けられ、略中央に前記出力軸が貫通する中央貫通穴を有する基板と、
前記出力軸に一体に設けられるファンと、
を備えた電気機器であって、
前記基板の方側にのみ、前記複数のコイルがそれぞれ接続される複数の端子部と、前記複数の端子部を介して前記複数のコイルのそれぞれに通電するよう構成された複数の通電用パターンと、が設けられ
前記基板の少なくとも他方側には、前記中央貫通穴よりも径方向外側に開口部または切欠き部が設けられたことを特徴とする電気機器。
【請求項2】
前記開口部または前記切欠き部と、前記複数の端子部を、前記基板の円周方向で見て異なる位置に配置したことを特徴とする請求項1に記載の電気機器。
【請求項3】
前記基板を前記インシュレータに取り付けた状態において、前記開口部または前記切欠き部は前記モータの内部と連通することを特徴とする請求項2に記載の電気機器。
【請求項4】
前記モータを収容するハウジングを備え、
前記ハウジングは、前記ハウジング外部の空気を前記ハウジング内部に取り込む吸気口と、前記ハウジング外部に排出する排気口と、を有し、
前記吸気口から前記ハウジング内部に取り込まれた空気は、前記基板、及び/または、前記モータを冷却した後、前記排気口から排出されることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の電気機器。
【請求項5】
前記基板の前記方側において、前記吸気口から前記ハウジング内部に取り込まれた空気の一部は、前記基板の表面に沿って流れた後、前記モータの内部へ流れ、前記排気口から排出されることを特徴とする請求項4に記載の電気機器。
【請求項6】
前記基板の前記方側において、前記吸気口から前記ハウジング内部に取り込まれた空気の一部は、前記中央貫通穴、前記開口部または前記切欠き部から前記モータの内部へ流れ、前記排気口から排出されることを特徴とする請求項4または5に記載の電気機器。
【請求項7】
前記基板の前記方側には、前記モータの回転位置を検出するためのセンサ素子が設けられていることを特徴とする請求項1から6の何れか一項に記載の電気機器。
【請求項8】
前記基板の前記方側には、前記センサ素子を駆動するための導体パターンが設けられていることを特徴とする請求項7に記載の電気機器。
【請求項9】
前記通電パターン及び前記導体パターンは、前記基板の表面に加工されるものであることを特徴とする請求項8に記載の電気機器。
【請求項10】
前記基板を前記インシュレータに取り付けた状態において、前記端子部は、モータ駆動電流供給用の導線の端末を電気的に接続かつ機械的に固定するための固定部により覆われることを特徴とする請求項1から9の何れか一項に記載の電気機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータの回転位置を検出するためのセンサ素子を搭載した基板を備える電気機器に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1の電気機器は、インシュレータを介してモータのステータに固定されたインバータ回路基板を備え、このインバータ回路基板にはホールIC等の回転位置検出素子が配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−76179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の電気機器では、モータの軸方向から見てインバータ回路基板がインシュレータの開口部を覆うため、モータの内側に流れる冷却風の風量が少ないという課題があった。また、インバータ回路基板は、単一の機械進角にしか対応していないため、機械進角の異なる製品には使用できないという課題があった。
【0005】
本発明はこうした状況を認識してなされたものであり、その第1の目的は、モータの冷却効率を高めることの可能な電気機器を提供することにある。
【0006】
本発明の第2の目的は、異なる2種類の機械進角に対応した汎用性の高い基板を用いた電気機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様は、電気機器である。この電気機器は、
出力軸と、前記出力軸と一体に回転するロータコアと、ステータコアと、前記ステータコアの表面に設けられる絶縁性のインシュレータと、前記インシュレータを介して前記ステータコアに設けられた複数のコイルと、を有するモータと、
前記インシュレータに取り付けられ、略中央に前記出力軸が貫通する中央貫通穴を有する基板と、
前記出力軸に一体に設けられるファンと、
を備えた電気機器であって、
前記基板の方側にのみ、前記複数のコイルがそれぞれ接続される複数の端子部と、前記複数の端子部を介して前記複数のコイルのそれぞれに通電するよう構成された複数の通電用パターンと、が設けられ
前記基板の少なくとも他方側には、前記中央貫通穴よりも径方向外側に開口部または切欠き部が設けられたことを特徴とする。
【0008】
前記開口部または前記切欠き部と、前記複数の端子部を、前記基板の円周方向で見て異なる位置に配置してもよい。
【0009】
前記基板を前記インシュレータに取り付けた状態において、前記開口部または前記切欠き部は前記モータの内部と連通してもよい
【0010】
前記モータを収容するハウジングを備え、
前記ハウジングは、前記ハウジング外部の空気を前記ハウジング内部に取り込む吸気口と、前記ハウジング外部に排出する排気口と、を有し、
前記吸気口から前記ハウジング内部に取り込まれた空気は、前記基板、及び/または、前記モータを冷却した後、前記排気口から排出されてもよい。
【0011】
前記基板の前記方側において、前記吸気口から前記ハウジング内部に取り込まれた空気の一部は、前記基板の表面に沿って流れた後、前記モータの内部へ流れ、前記排気口から排出されてもよい。
【0012】
前記基板の前記方側において、前記吸気口から前記ハウジング内部に取り込まれた空気の一部は、前記中央貫通穴、前記開口部または前記切欠き部から前記モータの内部へ流れ、前記排気口から排出されてもよい。
【0013】
前記基板の前記方側には、前記モータの回転位置を検出するためのセンサ素子が設けられてもよい。
【0014】
前記基板の前記方側には、前記センサ素子を駆動するための導体パターンが設けられてもよい。
【0015】
前記通電パターン及び前記導体パターンは、前記基板の表面に加工されるものであってもよい。
【0016】
前記基板を前記インシュレータに取り付けた状態において、前記端子部は、モータ駆動電流供給用の導線の端末を電気的に接続かつ機械的に固定するための固定部により覆われてもよい。
【0018】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法やシステムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0019】
本発明の第1から第3の態様によれば、モータの冷却効率を高めることの可能な電気機器を提供することができる。
【0020】
本発明の第4の態様によれば、異なる2種類の機械進角に対応した汎用性の高い基板を用いた電気機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施の形態1に係る電気機器1Aの側面図。
図2】電気機器1Aの側断面図。
図3図2の要部拡大図。
図4図3において冷却風の流れを矢印で示した要部拡大図。
図5図3のセンサ基板10をモータ3側から見た場合における、第1機械進角に対応した磁気センサH1〜H3の配置説明図。
図6】同場合における、第2機械進角に対応した磁気センサH4〜H6の配置説明図。
図7】同場合における、通電用パターン17u,17v,17wと磁気センサH1〜H6の配置説明図。
図8図3のステータコア3e、ステータコイル3f及びインシュレータ11をセンサ基板10側から見た背面図。
図9】センサ基板10をモータ3の反対側から見た背面図。
図10】インシュレータ11に取り付けられたセンサ基板10をモータ3の反対側から見た背面図。
図11】センサ基板10に設けられた導体パターンの説明図。
図12】センサ基板10の回路図。
図13】本発明の実施の形態2に係る電気機器1Bの側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態を詳述する。なお、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は発明を限定するものではなく例示であり、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0023】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る電気機器1Aの側面図である。図1により、上下及び前後方向を定義する。図2は、電気機器1Aの側断面図である。図3は、図2の要部拡大図である。図4は、図3において冷却風の流れを矢印で示した要部拡大図である。
【0024】
電気機器1Aは、着脱可能に装着した電池パック50の電力で動作するコードレスタイプのインパクトドライバである。ハウジング2は、筒状部2a、ハンドル部2b及び電池パック装着部2cを有する。筒状部2aの前後方向中央部から、ハンドル部2bが下方に延びる。筒状部2aには、吸気口2e及び排気口2fが設けられる。排気口2fは、吸気口2eよりも前方に位置する。ハンドル部2bの上端部に、使用者がモータ3の駆動、停止を切り替えるためのトリガスイッチ8が設けられる。ハンドル部2bの下端部に、電池パック装着部2cが設けられる。電池パック装着部2cに、電池パック50が着脱可能に装着される。電池パック装着部2c内には、制御基板13が設けられる。制御基板13には、モータ3の駆動を制御するマイクロコントローラ等の制御部や、モータ3に駆動電流を供給するインバータ回路が設けられる。
【0025】
モータ3は、インナーロータ型のブラシレスモータであり、ハウジング2の筒状部2aに収容される。モータ3は、出力軸3aの周囲に設けられて出力軸3aと一体に回転するロータコア3bと、ロータコア3bに挿入保持されたロータマグネット3cと、ロータコア3bの外周を囲むステータコア3eと、インシュレータ11を介してステータコア3eに設けられたステータコイル3fと、を有する。
【0026】
ステータコア3eの後端面には、インシュレータ11を介して、センサ基板10がネジ止め等により固定される。センサ基板10は、モータ3の出力軸と略垂直に設けられる。ステータコア3eの前方には、モータ3を冷却する冷却風を発生されるファン9が設けられる。ファン9は、ここでは遠心ファンであり、モータ3と共に回転する。ファン9の径方向外側に、排気口2fが位置する。図3及び図4に示すように、ファン9の発生する気流は、モータ3及びセンサ基板10よりも後方に位置する吸気口2eから吸い込まれてハウジング2内に入り、モータ3の内部(隣り合うステータコイル3f間である図4及び図8に示すスロットや、ロータコア3bとステータコア3eとの間のエアギャップ)を通り抜けてファン9に吸い込まれ、排気口2fから排気される。一部の気流は、モータ3を冷却する前に、図7に示す通電用パターン17u,17v,17wを冷却し、モータ3の内部に入る。
【0027】
モータ3の回転は、遊星歯車機構等の減速機構4によって減速されてスピンドル5に伝達され、スピンドル5がハンマ6を回転駆動し、ハンマ6がアンビル7を回転打撃する。アンビル7には、ドライバビット等の先端工具が着脱可能に装着される。モータ3の回転からアンビルの回転打撃までの構成は周知なので、これ以上の詳細な説明は省略する。
【0028】
図5は、図3のセンサ基板10をモータ3側から見た場合における、第1機械進角に対応した磁気センサH1〜H3の配置説明図である。図6は、同場合における、第2機械進角に対応した磁気センサH4〜H6の配置説明図である。図7は、同場合における、通電用パターン17u,17v,17wと磁気センサH1〜H6の配置説明図である。図5及び図6において、図7に示す通電用パターン17u,17v,17wの図示は省略している。図7において、6つの磁気センサH1〜H6を基板10上に示しているが、実際には、第1機械進角に対応した第1群の磁気センサH1〜H3と、第2機械進角に対応した第2群の磁気センサH4〜H6と、のいずれか一方のみが基板10に搭載される(後述の図9及び図12においても同様)。磁気センサH1〜H3、及び磁気センサH4〜H6は、それぞれモータ3の軸周り方向において60度間隔で配置される。また、各磁気センサは、センサパッケージ15(図5)の長手方向がモータ3の径方向と略平行となるように配置される。
【0029】
センサ基板10は、異なる2種類の機械進角に対応しており、磁気センサの配置を図5及び図6の間で変更することで、モータ3の駆動制御における機械進角を変更することができる。センサ素子としての磁気センサH1〜H6はそれぞれ、ここではホールICであり、図5に示すように、感磁部を内蔵した直方体形状のセンサパッケージ15、並びに、センサパッケージ15から延出する電源端子(Vcc)、グランド端子(GND)、及び出力端子(OUTPUT)を有し、モータ3のロータマグネット3cの発生する磁界を検出する。感磁部は、センサパッケージ15の中心部に存在する。コンデンサC1〜C3は、磁気センサH1〜H3(又は磁気センサH4〜H6)の電源端子とグランド端子との間に設けられる。
【0030】
図7に示す通電用パターン17u,17v,17wは、U相、V相、W相の各ステータコイル3fに通電するための導体パターンであり、抵抗値が低くなるように広い面積の導体パターンとなっている。通電用パターン17u,17v,17wは、基板10を仮想的に二分割する図7及び図10に示す仮想境界線Bの一方側(図7中の右側、図10中の左側)の領域に限定して配置される。磁気センサH1〜H6及びコンデンサC1〜C3は、仮想境界線Bの他方側の領域に限定して配置される。端子部U、V、W、MU、MV、MWは、ステータコイル3fの端部及び制御基板13から延びるモータ駆動電流供給用の導線の端末を半田付け等により電気的に接続かつ機械的に固定するために設けられる。
【0031】
図8は、図3のステータコア3e、ステータコイル3f及びインシュレータ11をセンサ基板10側から見た背面図である。図9は、センサ基板10をモータ3の反対側から見た背面図である。図10は、インシュレータ11に取り付けられたセンサ基板10をモータ3の反対側から見た背面図である。図8及び図10において、モータ3のロータの図示は省略している。
【0032】
図8に示すように、インシュレータ11は、ステータコア3eの後方の部分(ステータコア3eの後端面とセンサ基板10との間に介在する部分)が、モータ3の軸方向と略平行に延びる筒状部(円筒状部)となっている。図10に示すように、センサ基板10を後方(ステータコア3eの反対側)から見た場合にインシュレータ11の前記筒状部の内側に位置する通風路19が、センサ基板10の外縁と、インシュレータ11の筒状部の内縁と、の間に設けられる。センサ基板10は、外周部に凹部又は切欠部10bを有し、当該凹部又は切欠部10bが、センサ基板10を後方から見た場合に、インシュレータ11の筒状部の内縁よりも径方向内側に延在し、通風路19を成す。すなわち、通風路19は、センサ基板10を後方から見た場合におけるセンサ基板10の外縁のうちインシュレータ11の筒状部の内縁よりも径方向内側に位置する部分と、当該部分と径方向外側において対向するインシュレータ11の筒状部の内縁と、によって囲まれた部分である。なお、センサ基板10の中央貫通穴10aも通風路となるが、以下の通風路面積の説明では中央貫通穴10aは除外する。仮想境界線Bの他方側(図10中の右側)の領域に存在する通風路19の面積は、仮想境界線Bの一方側の領域に存在する通風路の面積よりも大きい。ここで、大きいとは、仮想境界線Bの一方側の領域に通風路が存在しない場合も含む。図10において、ステータコイル3fの端部及び制御基板13から延びるモータ駆動電流供給用の導線の端末を半田付け等により固定していない状態では、端子部U、V、W、MU、MV、MWがインシュレータ11の前記筒状部の内側に連通するが、半田付け等により固定した状態では、端子部U、V、W、MU、MV、MWは半田等によって埋められて、通風路として機能しないか、機能したとしても面積としては僅かである。
【0033】
図11は、センサ基板10に設けられた導体パターンの説明図である。図12は、センサ基板10の回路図である。図11において、磁気センサH1〜H6の図示は省略している。図11に示すように、センサ基板10上の導体パターンは、第1機械進角に対応する第1導体パターンと、第2機械進角に対応する第2導体パターンと、を有する。図11中の破線P1で囲まれた内側にある導体パターン及びそこから延びる導体パターンは、3つある第1導体パターンのうちの1つであり、磁気センサH2が接続される導体パターンである。図11中の破線P2で囲まれた内側にある導体パターン及びそこから延びる導体パターンは、3つある第2導体パターンのうちの1つであり、磁気センサH5が接続される導体パターンである。具体的には、第1及び第2導体パターンの内、磁気センサH2及びH5の信号端子(図12に示すOUTPUT端子)に接続される信号用パターン10c(図11)は、センサ基板10の一方の面に設けられて、磁気センサの信号端子が接続されるセンサ基板上の接続部(図11のOUTPUT)と端子部18の信号端子(図11に示すINT2端子)とを電気的に接続する。同様に、磁気センサH2及びH5のグランド端子(図12に示すGND端子)に接続されるグランド用パターンは、センサ基板10の他方の面に設けられて、磁気センサのグランド端子が接続される接続部(図11に示すGND)と端子部18のグランド端子(図11のGND端子)を接続する。磁気センサH2及びH5の電源用端子(図12に示すVDD端子)に接続される電源用パターンは、センサ基板10の他方の面に設けられて、磁気センサのVDDが接続される接続部(図11のVDD)と端子部18の電源端子(図11のVDD端子)を接続する。
【0034】
本実施の形態によれば、下記の効果を奏することができる。
【0035】
(1) センサ基板10を後方(ステータコア3eの反対側)から見た場合に、センサ基板10の外縁と、インシュレータ11の筒状部の内縁と、に囲まれる通風路19が存在するため、センサ基板10が前記筒状部の開口部を全体的に覆う場合と比較して、前記筒状部の内側、すなわちモータ3の内側に供給できる冷却風の風量を増大でき、モータ3の冷却効率が高められる。
【0036】
(2) 通風路19により、センサ基板10の中央貫通穴10aを大きくしなくてもモータ3の内側に供給できる冷却風の風量を増大できるため、中央貫通穴10aが大きくなることにより配線(センサ基板10上の導体パターンの配置)が困難になることを抑制できる。
【0037】
(3) 仮想境界線Bの他方側(図10中の右側)の領域に存在する通風路19の面積を、仮想境界線Bの一方側の領域(通電用パターン17u,17v,17wを形成する領域)に存在する通風路の面積よりも大きくしているため、通風路19を設けるために通電用パターン17u,17v,17wの面積が小さくなることを抑制できる。仮想境界線Bの他方側にのみ通風路19を設けること(通電用パターン17u,17v,17w側に通風路を設けないこと)により、通電用パターン17u,17v,17w側では、吸気口2eより吸気した冷却風は通電用パターン17u,17v,17wを冷却した後、通風路19よりモータ3の冷却を行うことが可能であり、通電用パターン17u,17v,17wの冷却も可能である。
【0038】
(4) 磁気センサH1〜H3(又はH4〜H6)は、センサパッケージ15の長手方向がモータ3の径方向と略平行になるように配置されるため、センサ基板10の中央貫通穴10aを大きくした場合に配線が困難になることを抑制できる。
【0039】
(5) 仮想境界線Bの一方側の領域に通電用パターン17u,17v,17wを形成し、他方側の領域に磁気センサH1〜H3(又はH4〜H6)を配置するため(モータ3への通電用領域とセンサ領域とを分けているため)、磁気センサH1〜H3(又はH4〜H6)の出力信号に通電用パターン17u,17v,17wからのノイズが乗ることを抑制できる。
【0040】
(6) センサ基板10は、異なる2種類の機械進角に対応しているため、機械進角の異なる他の製品にも使用でき、汎用性が高い。
【0041】
(7) センサ基板10に設けられる第1及び第2機械進角に対応する第1及び第2導体パターンが、磁気センサのグランド端子(GND)と接続する接続部及び導体パターンを共有するため、異なる2種類の機械進角に対応した構成としながら導体パターンの面積増加を抑制できる。なお、導体パターンの形状を変えることにより、出力端子(OUTPUT)や電源端子(VDD)と接続する接続部及び導体パターンを共有することも可能である。
【0042】
(8) 特開2017-7068号公報のようにセンサ基板と通電とを分離する必要が無く、コンパクトであると共に、部品が少なくて済み低コストである。
【0043】
(実施の形態2)
図13は、本発明の実施の形態2に係る電気機器1Bの側断面図である。図13により前後方向を定義する。電気機器1Bは、着脱可能に装着した電池パック50の電力で動作するコードレスタイプのグラインダである。電気機器1Bにおいても、実施の形態1と同構成のセンサ基板10が、モータ3の後方に設けられる。ファン9は、ここでは前方に向かう気流を発生させる軸流ファンである。ハウジング2の前方には、減速機構33を収容したギヤケース31が取り付けられる。モータ3の回転は、減速機構33によって減速されると共に回転軸が90度変換され、スピンドル35に伝達される。砥石(回転具)37が、スピンドル35と共に回転する。本実施の形態も、実施の形態1と同様の効果を奏することができる。
【0044】
以上、実施の形態を例に本発明を説明したが、実施の形態の各構成要素や各処理プロセスには請求項に記載の範囲で種々の変形が可能であることは当業者に理解されるところである。以下、変形例について触れる。
【0045】
本発明の電気機器は、実施の形態で例示したインパクトドライバやグラインダ以外の他の種類の電動工具であってもよいし、電動工具以外の電気機器、例えば扇風機、ブロア、集塵機、高圧洗浄機などであってもよい。本発明の電気機器は、コードレスタイプにも限定されず、外部の交流電源からの供給電力で動作するAC駆動(コード付きタイプ)であってもよい。磁気センサH1〜H3(又はH4〜H6)を搭載したセンサ基板と、通電用パターン17u,17v,17wを形成したコイル接続部とは、別部材であってもよい。この場合、センサ基板とコイル接続部とをモータ3の軸方向で略重なるように配置することで全長を短縮することができる。
【符号の説明】
【0046】
1A,1B 電気機器、2 ハウジング、2a 筒状部、2b ハンドル部、2c 電池パック装着部、2e 吸気口、2f 排気口、3 モータ(電動モータ)、3a 出力軸(回転軸)、3b ロータコア、3c ロータマグネット、3e ステータコア、3f ステータコイル、4 減速機構、5 スピンドル、6 ハンマ、7 アンビル、8 トリガスイッチ、9 ファン、10 センサ基板、10a 中央貫通穴、10b 凹部又は切欠部、10c 信号用パターン、11 インシュレータ、13 制御基板、15 センサパッケージ、17u,17v,17w 通電用パターン、18 端子部、19 通風路、31 ギヤケース、33 減速機構、35 スピンドル、37 砥石(回転具)、50 電池パック
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13