(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
積層された複数のセラミックグリーンシートと、前記セラミックグリーンシート間の複数の界面に沿ってそれぞれ配置された内部電極パターンとを含む、マザーブロックを作製する工程と、
前記マザーブロックを互いに直交する第1方向の切断線及び第2方向の切断線に沿って切断することによって、未焼成の状態にある複数のセラミック層と複数の内部電極とをもって構成された積層構造を有し、かつ前記第1方向の切断線に沿う切断によって現れた切断側面に前記内部電極が露出した、複数のグリーンチップを得る切断工程と、
前記切断側面にセラミック保護層用グリーンシートを貼付することによって、未焼成の部品本体を得る貼付工程と、
前記未焼成の部品本体を焼成する工程と、を備える積層セラミック電子部品の製造方法であって、
前記貼付工程では、貼付弾性体上に置かれた前記セラミック保護層用グリーンシートに前記切断側面を押し付けた後、前記セラミック保護層用グリーンシートを前記切断側面に付着させた状態で、前記グリーンチップを前記貼付用弾性体から離隔し、
前記セラミック保護層用グリーンシートの厚みは、15μm以上、30μm以下であり、
前記セラミック保護層用グリーンシートの破断歪をx[%]、前記セラミック保護層用グリーンシートの破断荷重をy[N]としたとき、
y≧1.303であり、かつ、−0.0962x+2.277≦y≦−0.1172x+3.489を満たすことを特徴とする積層セラミック電子部品の製造方法。
積層された複数のセラミックグリーンシートと、前記セラミックグリーンシート間の複数の界面に沿ってそれぞれ配置された内部電極パターンとを含む、マザーブロックを作製する工程と、
前記マザーブロックを第1方向の切断線に沿って切断することによって、未焼成の状態にある複数のセラミック層と複数の内部電極とをもって構成された積層構造を有し、かつ前記第1方向の切断線に沿う切断によって現れた切断側面に前記内部電極が露出した、複数の棒状のグリーンブロック体を得る第1切断工程と、
前記切断側面にセラミック保護層用グリーンシートを貼付する貼付工程と、
前記セラミック保護層用グリーンシートが貼付された前記棒状のグリーンブロック体を、前記第1方向に直交する第2方向の切断線に沿って切断することによって、複数の未焼成の部品本体を得る第2切断工程と、
前記未焼成の部品本体を焼成する工程と、を備える積層セラミック電子部品の製造方法であって、
前記貼付工程では、貼付弾性体上に置かれた前記セラミック保護層用グリーンシートに前記切断側面を押し付けた後、前記セラミック保護層用グリーンシートを前記切断側面に付着させた状態で、前記棒状のグリーンブロック体を前記貼付用弾性体から離隔し、
前記セラミック保護層用グリーンシートの厚みは、15μm以上、30μm以下であり、
前記セラミック保護層用グリーンシートの破断歪をx[%]、前記セラミック保護層用グリーンシートの破断荷重をy[N]としたとき、
y≧1.303であり、かつ、−0.0962x+2.277≦y≦−0.1172x+3.489を満たすことを特徴とする積層セラミック電子部品の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の積層セラミック電子部品の製造方法について説明する。
しかしながら、本発明は、以下の構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。なお、以下において記載する個々の望ましい構成を2つ以上組み合わせたものもまた本発明である。
【0021】
本発明の積層セラミック電子部品の製造方法の一実施形態として、積層セラミックコンデンサの製造方法を例にとって説明する。なお、本発明の製造方法は、積層セラミックコンデンサ以外の積層セラミック電子部品にも適用することができる。
【0022】
まず、本発明の積層セラミック電子部品の製造方法によって得られる積層セラミックコンデンサについて説明する。
図1は、本発明の積層セラミック電子部品の製造方法によって得られる積層セラミックコンデンサの一例を模式的に示す斜視図である。
図2は、
図1に示す積層セラミックコンデンサを構成する部品本体の一例を模式的に示す斜視図である。
【0023】
図1に示す積層セラミックコンデンサ11は、部品本体12を備えている。
図2に示すように、部品本体12は、直方体状又は略直方体状をなしており、互いに対向する1対の主面13及び14と、互いに対向する1対の側面15及び16と、互いに対向する1対の端面17及び18とを有している。
【0024】
図3は、
図2に示す部品本体を作製するために準備されるグリーンチップの一例を模式的に示す斜視図である。
後述するように、
図2に示す部品本体12は、
図3に示すグリーンチップ19の互いに対向する1対の側面(以下、切断側面という)20及び21上に、未焼成のセラミック保護層22及び23をそれぞれ形成したものを焼成することにより得られる。以後の説明において、焼成後の部品本体12におけるグリーンチップ19に由来する部分を積層部24と呼ぶことにする。
【0025】
図2及び
図3に示すように、部品本体12における積層部24は、主面13及び14の方向に延びかつ主面13及び14に直交する方向に積層された複数のセラミック層25と、セラミック層25間の界面に沿って形成された複数対の内部電極26及び27とをもって構成された積層構造を有している。部品本体12は、その側面15及び16をそれぞれ与えるように積層部24の切断側面20及び21上に配置される1対のセラミック保護層22及び23を有している。セラミック保護層22及び23の厚みは、互いに同じであることが好ましい。
【0026】
なお、
図1及び
図2においては、説明の便宜のために、積層部24とセラミック保護層22及び23の各々との境界が明瞭に図示されているが、このような境界は明瞭に現れなくてもよい。
【0027】
図2及び
図3に示すように、内部電極26と内部電極27とは、セラミック層25を介して互いに対向する。内部電極26と内部電極27とが対向することによって、電気的特性が発現する。すなわち、
図1に示す積層セラミックコンデンサ11においては、静電容量が形成される。
【0028】
内部電極26は、部品本体12の端面17に露出する露出端を持ち、内部電極27は、部品本体12の端面18に露出する露出端を持っている。一方、上述したセラミック保護層22及び23が配置されているため、内部電極26及び27は、部品本体12の側面15及び16には露出しない。
【0029】
図1に示すように、積層セラミックコンデンサ11は、さらに、内部電極26及び27の各々の露出端にそれぞれ電気的に接続されるように、部品本体12の少なくとも1対の端面17及び18上にそれぞれ形成された、外部電極28及び29を備えている。
【0030】
外部電極28及び29は、部品本体12の少なくとも1対の端面17及び18上にそれぞれ形成されており、
図1では、主面13及び14並びに側面15及び16の各一部にまで回り込んだ部分を有している。
【0031】
内部電極を構成する導電材料としては、例えば、Ni、Cu、Ag、Pd、Ag−Pd合金、Au等の金属材料を用いることができる。
【0032】
セラミック層及びセラミック保護層を構成するセラミック材料としては、例えば、BaTiO
3、CaTiO
3、SrTiO
3、CaZrO
3等を主成分とする誘電体セラミックを用いることができる。
【0033】
セラミック保護層を構成するセラミック材料は、セラミック層を構成するセラミック材料と少なくとも主成分が同じであることが好ましい。この場合、同じ組成のセラミック材料がセラミック層とセラミック保護層との双方に用いられることが特に好ましい。
【0034】
上述のとおり、本発明の製造方法は、積層セラミックコンデンサ以外の積層セラミック電子部品にも適用することができる。例えば、積層セラミック電子部品が圧電部品の場合には、PZT系セラミック等の圧電体セラミック、サーミスタの場合には、スピネル系セラミック等の半導体セラミックが用いられる。
【0035】
外部電極は、下地層と下地層上に形成されるめっき層とで構成されることが好ましい。下地層を構成する導電材料としては、例えば、Cu、Ni、Ag、Pd、Ag−Pd合金、Au等を用いることができる。下地層は、導電性ペーストを未焼成の部品本体上に塗布して部品本体と同時焼成するコファイア法を適用することによって形成されてもよく、導電性ペーストを焼成後の部品本体上に塗布して焼き付けるポストファイア法を適用することによって形成されてもよい。あるいは、下地層は、直接めっきにより形成されてもよく、熱硬化性樹脂を含む導電性樹脂を硬化させることにより形成されてもよい。
【0036】
下地層上に形成されるめっき層は、Niめっき、及び、その上のSnめっきの2層構造であることが好ましい。
【0037】
次に、本発明の積層セラミック電子部品の製造方法の一実施形態として、
図1に示す積層セラミックコンデンサ11の製造方法について説明する。
【0038】
まず、積層部を構成するセラミック層となるべきセラミックグリーンシートが準備される。例えば、上述した誘電体セラミック等のセラミック粉末、バインダ樹脂及び溶剤を含むセラミックスラリーが準備され、このセラミックスラリーが、キャリアフィルム上で、ダイコータ、グラビアコータ、マイクログラビアコータ等を用いてシート状に成形されることにより、セラミックグリーンシートが得られる。上記セラミックスラリーには、可塑剤、分散剤、帯電防止剤等の種々の添加剤が含まれていてもよい。
【0039】
セラミックグリーンシートに含まれるバインダ樹脂としては、例えば、セルロース系、アクリル系、ポリビニルアルコール(PVA)系、ポリビニルブチラール(PVB)系の樹脂等を用いることができる。また、セラミックグリーンシートに含まれる可塑剤としては、例えば、フタル酸ジオクチル(DOP)等のフタル酸エステル系等を用いることができる。
【0040】
セラミックグリーンシートの厚みは、通常3μm以下であり、1μm以下であることが好ましく、0.6μm以下であることがより好ましい。
【0041】
次に、セラミックグリーンシート上に、所定のパターンをもって導電性ペーストが印刷される。導電性ペーストは、例えば、スクリーン印刷法、インクジェット法、グラビア印刷法等を用いてセラミックグリーンシート上に塗布される。
【0042】
図4は、
図3に示すグリーンチップを作製するために準備される内部電極パターンが形成されたセラミックグリーンシートの一例を模式的に示す平面図である。
図4に示すように、セラミック層25となるべきセラミックグリーンシート31上に、所定のパターンをもって導電性ペーストが印刷されることによって、内部電極26及び27の各々となるべき内部電極パターン32が形成される。具体的には、セラミックグリーンシート31上に、帯状の内部電極パターン32が複数列形成される。
【0043】
内部電極パターンの厚みは特に限定されないが、1.5μm以下であることが好ましい。
【0044】
その後、内部電極パターンが形成されたセラミックグリーンシートをずらしながら所定枚数積層し、その上下に内部電極パターンが形成されていないセラミックグリーンシートを所定枚数積層する積層工程が行われる。
【0045】
図5(a)は、
図4に示すセラミックグリーンシートを積層する工程を説明するための斜視図である。
図5(a)に示すように、内部電極パターン32が形成されたセラミックグリーンシート31を、内部電極パターン32の幅方向に沿って所定間隔、すなわち内部電極パターン32の幅方向寸法の半分ずつずらしながら所定枚数積層する。さらに、その上下に内部電極パターンが印刷されていないセラミックグリーンシートを所定枚数積層する。
【0046】
図5(b)及び
図5(c)は、
図4に示すセラミックグリーンシートを積層する工程を説明するための平面図である。
図5(b)及び
図5(c)は、それぞれ1層目及び2層目のセラミックグリーンシートが拡大して示されている。
図5(b)及び
図5(c)には、帯状の内部電極パターン32が延びる方向と直交する第1方向(
図5(b)及び
図5(c)における上下方向)の切断線33、及び、これに対して直交する第2方向(
図5(b)及び
図5(c)における左右方向)の切断線34の各一部が示されている。帯状の内部電極パターン32は、2つ分の内部電極26及び27が各々の引出し部同士で連結されたものが、第2方向に沿って連なった形状を有している。
図5(b)及び
図5(c)では、切断線33及び34が共通して示されている。
【0047】
積層工程の結果、積層された複数のセラミックグリーンシートと、セラミックグリーンシート間の複数の界面に沿ってそれぞれ配置された内部電極パターンとを含む、マザーブロックが得られる。得られたマザーブロックは、静水圧プレス等の手段により積層方向にプレスされる。
【0048】
プレスされたマザーブロックを互いに直交する第1方向の切断線及び第2方向の切断線に沿って切断することによって、複数のグリーンチップが得られる。この切断には、例えば、ダイシング、押切り、レーザカット等の方法が適用される。
【0049】
図6は、マザーブロックを切断する工程を説明するための斜視図である。
図6において、マザーブロック35は、互いに直交する第1方向の切断線33及び第2方向の切断線34に沿って切断され、行及び列方向に配列された複数のグリーンチップ19が得られる。
図6では、マザーブロック35の内部に位置する最上の内部電極パターン32が破線で示されている。なお、
図6では、1個のマザーブロック35から6個のグリーンチップ19が取り出されているが、実際には、より多数のグリーンチップ19が取り出される。また、
図6に示すマザーブロック35はあくまでも一例であり、実際には、セラミックグリーンシート31及び内部電極パターン32を積層する枚数、及び、帯状の内部電極パターン32を形成する列の個数はより多くなる。
【0050】
図3に示したように、各グリーンチップ19は、未焼成の状態にある複数のセラミック層25と複数の内部電極26及び27とをもって構成された積層構造を有している。グリーンチップ19の切断側面20及び21は、第1方向の切断線33に沿う切断によって現れた面であり、切断端面36及び37は第2方向の切断線34の切断によって現れた面である。切断側面20及び21には、内部電極26及び27のすべてが露出している。また、一方の切断端面36には、内部電極26のみが露出し、他方の切断端面37には、内部電極27のみが露出している。
【0051】
なお、
図6に示すように、複数のグリーンチップ19が行及び列方向に配列されるように、マザーブロック35が拡張性のある粘着シート38上に貼り付けられた状態で切断されることが好ましい。この場合、図示しないエキスパンド装置によって、粘着シート38を拡張することができる。
【0052】
図7は、行及び列方向に配列された複数のグリーンチップの互いの間隔を広げた状態を示す斜視図である。
図6に示す粘着シート38を拡張することによって、
図7に示すように、行及び列方向に配列された複数のグリーンチップ19は、互いの間隔を広げた状態とされることが好ましい。
【0053】
その後、複数のグリーンチップを転動させることによって、複数のグリーンチップの各々の切断側面を揃って開放面とする転動工程が行われることが好ましい。
【0054】
図8(a)、
図8(b)及び
図8(c)は、転動工程の一例を説明するためにグリーンチップの端面方向から示した図である。
【0055】
図8(a)に示すように、粘着シート38上に貼り付けられたグリーンチップ19が、粘着シート38とともに支持台40上に置かれ、他方、転動作用板41がグリーンチップ19に対して上から作用し得る状態に置かれる。支持台40及び転動作用板41は、好ましくは、シリコーンゴムから構成される。
【0056】
支持台40を転動作用板41に対して矢印の方向へ移動させることによって、
図8(b)及び
図8(c)に示すように、グリーンチップ19が90度回転し、一方の切断側面20を上方へ向けた状態とされる。この状態で転動作用板41を除去すれば、切断側面20が開放面となる。
【0057】
なお、グリーンチップの転動をより円滑にするため、粘着シートから粘着性ゴムシート上へグリーンチップを移し替えてから転動操作を行ってもよい。
【0058】
続いて、切断側面にセラミック保護層用グリーンシートを貼付する貼付工程が行われる。
【0059】
セラミック保護層用グリーンシートは、セラミックシートを含み、好ましくは、セラミックシートのみからなる。セラミック保護層用グリーンシートは、1層のセラミックシートを含んでもよいし、2層以上のセラミックシートを含んでもよい。セラミック保護層用グリーンシートが2層以上のセラミックシートを含む場合、例えば、切断側面に接触させる面と、グリーンチップ(部品本体)の外側になる面とで、樹脂の量、種類又は分子量等を変更することができる。
【0060】
セラミック保護層用グリーンシートを構成するセラミックシートは、積層部を構成するセラミック層となるべきセラミックグリーンシートと同様、上述した誘電体セラミック等のセラミック粉末、バインダ樹脂及び溶剤を含むセラミックスラリーが準備され、このセラミックスラリーが、キャリアフィルム上で、ダイコータ、グラビアコータ、マイクログラビアコータ等を用いてシート状に成形されることによって得られる。上記セラミックスラリーには、可塑剤、分散剤、帯電防止剤等の種々の添加剤が含まれていてもよい。
【0061】
セラミック保護層用グリーンシートを構成するセラミックシートに含まれるバインダ樹脂としては、例えば、セルロース系、アクリル系、ポリビニルアルコール(PVA)系、ポリビニルブチラール(PVB)系の樹脂等を用いることができる。また、セラミック保護層用グリーンシートを構成するセラミックシートに含まれる可塑剤としては、例えば、フタル酸ジオクチル(DOP)等のフタル酸エステル系等を用いることができる。
【0062】
バインダ樹脂の分子量は特に限定されないが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定により求めたポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)として、10000以上、150000以下であることが好ましい。
【0063】
バインダ樹脂等の樹脂と可塑剤との重量比率は特に限定されないが、可塑剤に対する樹脂の重量比率は、2以上、8以下であることが好ましい。
【0064】
セラミック保護層用グリーンシートを構成するセラミックシートに含まれるセラミック材料は、積層部を構成するセラミック層となるべきセラミックグリーンシートに含まれるセラミック材料と主成分が同じであることが好ましい。この場合、同じ組成のセラミック材料が双方に用いられることが特に好ましい。
【0065】
セラミック保護層用グリーンシートを構成するセラミックシートは、セラミック材料を30重量%以上含有することが好ましい。また、セラミック保護層用グリーンシートを構成するセラミックシートは、セラミック材料を70重量%以下含有することが好ましい。
【0066】
セラミック保護層用グリーンシートの破断歪をx[%]、セラミック保護層用グリーンシートの破断荷重をy[N]としたとき、y≧1.303であり、かつ、−0.0962x+2.277≦y≦−0.1172x+3.489を満たすことを特徴としている。ここで、y>−0.1172x+3.489の場合には、セラミック保護層用グリーンシートが硬く、歪みやすいことから、切断が困難となる。一方、y<−0.0962x+2.277の場合には、セラミック保護層用グリーンシートが柔らかく、歪みにくいことから、容易に破断する。
【0067】
セラミック保護層用グリーンシートの破断歪及び破断荷重は、引張試験により測定される。測定サンプルとして、セラミック保護層用グリーンシートをダンベル形状(狭い平行部の幅5mm、該平行部の長さ13mm)に打ち抜いたものが用いられる。引張試験機を用いて、引張速度10mm/分で引張試験を行い、測定サンプルが切断したときの応力を測定し、それを破断荷重[N]とする。また、上記切断時における測定サンプルの伸び率を測定し、それを破断歪[%]とする。引張試験は3回行い、その平均値を用いる。なお、破断荷重を測定サンプルの断面積で除すことにより、破断強度を求めることができる。
【0068】
セラミック保護層用グリーンシートの破断荷重yは、y≧1.303である。破断荷重yの上限値は特に限定されないが、例えばy≦3.000であり、好ましくはy≦2.218である。
【0069】
セラミック保護層用グリーンシートの破断歪xの下限値は特に限定されないが、例えばx≧6.721であり、好ましくはx≧8.602である。セラミック保護層用グリーンシートの破断歪xの上限値も特に限定されないが、例えばx≦12.826であり、好ましくはx≦10.846である。
【0070】
セラミック保護層用グリーンシートの破断歪及び破断荷重は、セラミック保護層用グリーンシートに含まれる樹脂の量、種類又は分子量、可塑剤の量又は種類、樹脂と可塑剤との重量比率等を変更することによって調整することができる。
【0071】
セラミック保護層用グリーンシートの厚みは、30μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましい。また、セラミック保護層用グリーンシートの厚みは、5μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましい。
本発明の積層セラミック電子部品の製造方法では、セラミック保護層用グリーンシートのハンドリング性及び加工性に優れるため、セラミック保護層用グリーンシートを薄くすることができる。
【0072】
図9(a)、
図9(b)及び
図9(c)は、貼付工程の一例を説明するためにグリーンチップの端面方向から示した図である。
【0073】
図9(a)に示すように、グリーンチップ19の切断側面20と対向するように、セラミック保護層用グリーンシート42が配置される。
図9(a)では、セラミック保護層用グリーンシート42は、貼付用弾性体43上に置かれている。セラミック保護層用グリーンシート42は、グリーンチップ19の切断側面20より大きい寸法を有している。また、
図9(a)では、セラミック保護層用グリーンシート42の搬送は、巻出しロール44及び巻取りロール45を用いて行われている。貼付用弾性体43は、好ましくは、シリコーンゴム又はNRBゴムから構成される。
【0074】
グリーンチップ19がセラミック保護層用グリーンシート42に対して近接され、セラミック保護層用グリーンシート42をグリーンチップ19の切断側面20に接触させる。
図9(b)では、貼付用弾性体43が弾性変形する程度の力で、グリーンチップ19の切断側面20がセラミック保護層用グリーンシート42に押し付けられる。このとき、セラミック保護層用グリーンシート42が、グリーンチップ19の切断側面20の周縁からのせん断力によって、切断側面20の寸法分だけ打ち抜かれることが好ましい。
【0075】
グリーンチップ19でセラミック保護層用グリーンシート42を打ち抜く場合、特に加熱は必要ではないが、加熱される場合には、セラミック保護層用グリーンシート42が打ち抜かれずにつぶれてしまうことを防止するため、セラミック保護層用グリーンシート42が軟化する転移点以下の温度に設定されることが好ましい。
【0076】
グリーンチップ19でセラミック保護層用グリーンシート42を打ち抜く場合、1回のみの押し込みではなく、セラミック保護層用グリーンシート42の弾性変形域での押し込みを複数回繰り返してもよい。このような方法により、セラミック保護層用グリーンシート42の塑性変形を抑制することができ、その結果、この後に実施される、
図9(c)に示したグリーンチップ19を貼付用弾性体43から離隔する工程において、セラミック保護層用グリーンシート42の不要部分の除去が容易になる。
【0077】
その後、
図9(c)に示すように、セラミック保護層用グリーンシート42のうちセラミック保護層22となる部分を切断側面20に付着させた状態で、グリーンチップ19が貼付用弾性体43から離隔される。このとき、打ち抜き後のセラミック保護層用グリーンシート42の不要部分は、貼付用弾性体43側に残される。
【0078】
図9(c)に示すように、セラミック保護層用グリーンシート42の搬送が巻出しロール44及び巻取りロール45を用いて行われる場合、セラミック保護層用グリーンシート42の不要部分は、セラミック保護層用グリーンシート42の一方の端部をロール状に巻き取りながら、グリーンチップ19から除去される。したがって、セラミック保護層用グリーンシート42の不要部分を容易に除去することができる。
【0079】
以上より、粘着シート38を介して支持台40によって支持されたグリーンチップ19が、切断側面20に未焼成のセラミック保護層22を形成した状態とされる。
【0080】
なお、セラミック保護層用グリーンシート42は、グリーンチップ19の切断側面20より大きい寸法を有するのではなく、切断側面20と同じ寸法を有するように予めカットしておいてから貼付工程を行うようにしてもよい。
【0081】
未焼成のセラミック保護層22を形成した後、必要に応じて、乾燥工程が行われる。乾燥工程では、未焼成のセラミック保護層22が形成されたグリーンチップ19が、例えば、120℃に設定されたオーブンに5分間入れられる。
【0082】
次に、
図8(a)、
図8(b)及び
図8(c)を参照して説明した工程と同様の転動工程が行われることが好ましい。すなわち、複数のグリーンチップを転動させることによって、複数のグリーンチップの各々の切断側面を揃って開放面とする転動工程が行われることが好ましい。この場合、グリーンチップを180度回転させることによって、反対側の切断側面が上方へ向いた開放面とすることができる。
【0083】
反対側の切断側面に対しても、
図9(a)、
図9(b)及び
図9(c)を参照して説明した工程と同様の貼付工程が行われた後、必要に応じて、乾燥工程が行われる。以上により、グリーンチップ19の切断側面20に未焼成のセラミック保護層22が形成され、グリーンチップ19の切断側面21に未焼成のセラミック保護層23が形成された、未焼成の部品本体12が得られる。
【0084】
得られた未焼成の部品本体12は、脱脂処理が行われた後、焼成される。脱脂温度は、例えば200℃以上、700℃以下の範囲である。焼成温度は、未焼成の部品本体12に含まれるセラミック材料や金属材料にもよるが、例えば900℃以上、1300℃以下の範囲である。
【0085】
未焼成の部品本体12は、焼成されることによって、
図2に示す部品本体12となる。セラミック保護層用グリーンシートを構成するセラミックシートは、セラミック保護層となり、積層部を構成するセラミックグリーンシートとともにセラミック層の一部となる。したがって、焼成により得られる部品本体12においては、積層部24とセラミック保護層22及び23の各々との境界が明瞭に現れなくてもよい。
【0086】
焼成後の部品本体12の両端面17及び18に導電性ペーストを塗布し、焼き付け、さらに、必要に応じて、めっきが施されることによって、外部電極28及び29が形成される。なお、導電性ペーストの塗布は、未焼成の部品本体12に対して実施されてもよく、未焼成の部品本体12の焼成時に、導電性ペーストの焼付けを同時に行なうようにしてもよい。
【0087】
このようにして、
図1に示す積層セラミックコンデンサ11が製造される。
【0088】
上述した実施形態では、マザーブロックを第1方向の切断線及び第2方向の切断線に沿って切断して複数のグリーンチップを得てから、切断側面にセラミック保護層用グリーンシートを貼付していたが、以下のように変更することも可能である。
【0089】
すなわち、マザーブロックを第1方向の切断線のみに沿って切断することによって、第1方向の切断線に沿う切断によって現れた切断側面に内部電極が露出した、複数の棒状のグリーンブロック体を得てから、切断側面にセラミック保護層用グリーンシートを貼付した後、第2方向の切断線に沿って切断して複数の未焼成の部品本体を得て、その後、未焼成の部品本体を焼成してもよい。焼成後は、上述の実施形態と同様の工程を行うことによって、積層セラミック電子部品を製造することができる。
【実施例】
【0090】
以下、本発明の積層セラミック電子部品の製造方法をより具体的に開示した実施例を示す。なお、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
【0091】
[セラミック保護層用グリーンシートの作製]
セラミックシートを成形することにより、セラミック保護層用グリーンシート全体が表1に示す厚み及び組成となるように、セラミック保護層用グリーンシートA、B、C、D、E、F、G、H、I及びJを作製した。
表1中、PVBはポリビニルブチラール、DOPはフタル酸ジオクチルを表している。樹脂の分子量は、重量平均分子量を意味している。また、セラミック材料としてBaTiO
3を用いた。
【0092】
【表1】
【0093】
セラミック保護層用グリーンシートA、B、C、D、E、F、G、H、I及びJの他にも、組成を変更したセラミック保護層用グリーンシートを作製した。
【0094】
[セラミック保護層用グリーンシートの破断歪及び破断荷重の測定]
作製したセラミック保護層用グリーンシートについて、測定サンプルを作製し、引張試験を行った。測定サンプルが切断したときの応力を測定し、それを破断荷重y[N]とした。また、上記切断時における測定サンプルの伸び率を測定し、それを破断歪x[%]とした。各セラミック保護層用グリーンシートの破断歪及び破断荷重の測定結果を表2〜表5に示す。
【0095】
[セラミック保護層用グリーンシートの評価]
作製したセラミック保護層用グリーンシートを用いて、以下のように積層セラミックコンデンサを作製することにより、セラミック保護層用グリーンシートのハンドリング性及び加工性を評価した。
【0096】
[積層セラミックコンデンサの作製方法]
セラミック原料としてのBaTiO
3に、バインダ樹脂、可塑剤、分散剤、帯電防止剤及び有機溶剤を加え、これらをボールミルにより湿式混合し、セラミックスラリーを作製した。次いで、このセラミックスラリーをリップ方式によりシート成形し、矩形のセラミックグリーンシートを得た。次に、上記セラミックグリーンシート上に、Ni、セルロース系のバインダ樹脂、分散剤及び溶剤を含有する導電性ペーストをスクリーン印刷し、Niを主成分とする内部電極パターンを形成した。
【0097】
内部電極パターンが形成されたセラミックグリーンシートを幅方向にずらしながら複数枚積層し、その上下に内部電極パターンが印刷されていないセラミックグリーンシートを積層することにより、マザーブロックを得た。得られたマザーブロックを、静水圧プレスにより積層方向にプレスした。
【0098】
プレスされたマザーブロックをチップ形状に切断することにより、個々の内部電極が両端面及び両側面に露出したグリーンチップを得た。マザーブロックは、粘着シート上に貼り付けられた状態で切断された。
【0099】
グリーンチップが粘着シート上に貼り付けられた状態で、後述するセラミック保護層用グリーンシートを切断側面に貼付する貼付工程を行った。貼付工程では、貼付弾性体上に置かれたセラミック保護層用グリーンシートに切断側面を押し付けることによって、セラミック保護層用グリーンシートを打ち抜いた。なお、セラミック保護層用グリーンシートの搬送は、巻出しロール及び巻取りロールを用いて行った。
【0100】
グリーンチップの他方の切断側面に対しても、上記と同様に、セラミック保護層用グリーンシートを貼付する貼付工程を行った。これにより、未焼成の部品本体を得た。
【0101】
得られた未焼成の部品本体を窒素雰囲気中にて脱脂した後、水素/窒素混合雰囲気中にて焼成した。焼成後、導電性ペーストの塗布及び焼付けによって、外部電極を形成し、積層セラミックコンデンサを作製した。
【0102】
[ハンドリング性の評価方法]
以下の基準により、セラミック保護層用グリーンシートのハンドリング性を評価した。
ハンドリング性×(不良):セラミック保護層用グリーンシートの巻取り及び巻出しができず、セラミック保護層用グリーンシートが破れる場合。
ハンドリング性〇(良):上記以外の場合。
【0103】
[加工性の評価方法]
ハンドリング性が〇であるセラミック保護層用グリーンシートに対しては、以下の基準により、セラミック保護層用グリーンシートの加工性を評価した。
加工性×(不良):セラミック保護層用グリーンシートが切断側面の形状に打ち抜けていない場合、又は、打ち抜いたセラミック保護層用グリーンシートによってグリーンチップが粘着シートから脱離する場合。
加工性△(可):セラミック保護層用グリーンシートは打ち抜けているものの、所定の位置で破断できていない場合。この場合、品質不良となる可能性がある。
加工性〇(良):上記以外の場合。
【0104】
セラミック保護層用グリーンシートA、B、C、D、E、F、G、H、I及びJについて、ハンドリング性を評価したところ、セラミック保護層用グリーンシートA及びBはハンドリング性が×であり、セラミック保護層用グリーンシートC、D、E、F、G、H、I及びJはハンドリング性が〇であった。
【0105】
ハンドリング性が〇であるセラミック保護層用グリーンシートC、D、E、F、G、H、I及びJについて、加工性を評価したところ、セラミック保護層用グリーンシートCは加工性が×であり、セラミック保護層用グリーンシートDは加工性が△であり、セラミック保護層用グリーンシートE、F、G、H、I及びJは加工性が〇であった。
【0106】
その他のセラミック保護層用グリーンシートについても、ハンドリング性及び加工性を評価した。ハンドリング性が×であるものを表2、加工性が×であるものを表3、加工性が△であるものを表4、加工性が〇であるものを表5に分類し、それぞれのセラミック保護層用グリーンシートの破断歪及び破断荷重と合わせて示した。
表2〜表4に示すNo.1〜10が比較例であり、表5に示すNo.11〜51が実施例である。
【0107】
【表2】
【0108】
【表3】
【0109】
【表4】
【0110】
【表5】
【0111】
図10は、セラミック保護層用グリーンシートの破断歪x及び破断荷重yと評価結果との関係を示すグラフである。
【0112】
図10には、点E及び点Hを結ぶ直線の式:y=−0.0962x+2.277、点F及び点Jを結ぶ直線の式:y=−0.1172x+3.489、並びに、点Iを通りx軸に平行な直線の式:y=1.303を示している。さらに、
図10では、y≧1.303であり、かつ、−0.0962x+2.277≦y≦−0.1172x+3.489を満たす領域を網掛け部分(直線上を含む)で表示している。
【0113】
図10より、セラミック保護層用グリーンシートの破断歪をx、セラミック保護層用グリーンシートの破断荷重をyとしたとき、y≧1.303であり、かつ、−0.0962x+2.277≦y≦−0.1172x+3.489を満たす場合に、セラミック保護層用グリーンシートのハンドリング性及び加工性をバランス良く確保できることが確認された。