(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6972718
(24)【登録日】2021年11月8日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】水精製器および燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
C02F 1/42 20060101AFI20211111BHJP
B01J 47/022 20170101ALI20211111BHJP
B01J 47/026 20170101ALI20211111BHJP
B01J 47/028 20170101ALI20211111BHJP
H01M 8/04 20160101ALI20211111BHJP
H01M 8/0612 20160101ALI20211111BHJP
H01M 8/0662 20160101ALI20211111BHJP
【FI】
C02F1/42 A
B01J47/022
B01J47/026
B01J47/028
H01M8/04 Z
H01M8/04 N
H01M8/0612
H01M8/0662
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-135969(P2017-135969)
(22)【出願日】2017年7月12日
(65)【公開番号】特開2019-18120(P2019-18120A)
(43)【公開日】2019年2月7日
【審査請求日】2020年6月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】特許業務法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】薮谷 元彦
【審査官】
目代 博茂
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−235586(JP,A)
【文献】
特開昭55−134689(JP,A)
【文献】
特開2014−207061(JP,A)
【文献】
特開2011−029144(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F1/42
B01J39/00−49/90
H01M8/04−8/0668
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換により凝縮された水を精製する水精製器であって、
上部に水の流入口を有すると共に下部に水の流出口を有し、側壁が筒状の収容容器と、 前記収容容器内に上下に重なるように充填され、イオン交換樹脂の種類または複数種類のイオン交換樹脂の混合比率が異なる少なくとも二層のイオン交換樹脂層と、
を備え、
前記収容容器は、最上層の前記イオン交換樹脂層と前記流入口との間に水を貯留可能な空間を有し、
前記空間内に配置され、前記流入口から流入した水が最上層の前記イオン交換樹脂層まで流れる流路を形成すると共に該流路の流量を絞る絞りが形成されたスペーサを備える
水精製器。
【請求項2】
請求項1に記載の水精製器であって、
前記スペーサは、上面視において前記絞りの中心が前記流入口の中心とずれた位置となるように形成される
水精製器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の水精製器であって、
前記イオン交換樹脂層は、いずれも水よりも比重の大きいイオン交換樹脂で形成され、
前記スペーサは、水よりも比重の小さい材料で形成される
水精製器。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の水精製器であって、
最上層の前記イオン交換樹脂層は、カチオン樹脂のみで形成されており、
他の前記イオン交換樹脂層は、カチオン樹脂よりも耐熱性の低いアニオン樹脂を少なくとも含んで形成される
水精製器。
【請求項5】
水素を含む改質ガスと酸素を含む酸化剤ガスとに基づいて発電する燃料電池を備える燃料電池システムであって、
原燃料ガスを改質して前記改質ガスを生成する改質器と、
前記改質ガスの生成に用いられる水を貯留する水タンクと、
前記燃料電池から排出される排気ガスと冷媒との熱交換により凝縮された水を前記水タンクに供給する熱交換器と、
前記熱交換器から前記水タンクへの水の供給路に設けられる請求項1ないし4のいずれか1項に記載の水精製器と、
を備える燃料電池システム。
【請求項6】
請求項5に記載の燃料電池システムであって、
前記燃料電池と前記改質器と前記水タンクと前記熱交換器と前記水精製器とを内部に収容する筐体を備え、
前記燃料電池と前記改質器と前記熱交換器とは、前記筐体の底部から離れた位置に設けられ、
前記水タンクは、前記筐体の底部に設けられ、
前記水精製器は、前記水タンクの近傍に設けられる
燃料電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水精製器および燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の燃料電池システムとしては、原燃料ガスを水を用いて改質して水素含有ガスを生成する改質器および水素含有ガスと酸化剤ガスとを用いて発電する燃料電池を有する燃料電池モジュールと、燃料電池モジュールから発生する燃焼排気ガスとの熱交換により温められた温水を貯める貯湯タンクと、燃料電池モジュールに水を供給する水供給部と、燃料電池モジュールに空気を供給する空気供給部と、燃料電池モジュールに原燃料ガスを供給するガス供給部と、燃焼排気ガス中の水蒸気から凝縮されて水供給部に貯留される水をイオン交換樹脂により浄化する水精製器(浄化器)とを同一筐体内に備えるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この燃料電池システムでは、筐体内の最上部に燃料電池モジュールを配置すると共にその下に貯湯タンクを配置し、筐体内の最下部に水精製器を配置する。そして、貯湯タンクと水精製器との間に、水供給部と空気供給部とガス供給部とを配置することで、貯湯タンクから水精製器への熱伝達を遮るものとしている。これにより、燃料電池モジュールや貯湯タンクの温度上昇により水精製器内のイオン交換樹脂が熱劣化するのを抑制してイオン吸着効率が低下するのを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−182927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した燃料電池システムでは、イオン交換樹脂の熱劣化を抑制するために筐体内における水精製器や各部の配置については考慮しているものの、水精製器が浄化する水の水温については考慮されていない。水精製器が浄化する水は、燃焼排気ガスから凝縮されたものであり、比較的高温の水を処理することがあるため、イオン交換樹脂の熱劣化を招く場合がある。
【0005】
本発明は、水精製器内のイオン交換樹脂の劣化を抑制することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の水精製器は、熱交換により凝縮された水を精製する水精製器であって、上部に水の流入口を有すると共に下部に水の流出口を有し、側壁が筒状の収容容器と、前記収容容器内に上下に重なるように充填され、イオン交換樹脂の種類または複数種類のイオン交換樹脂の混合比率が異なる少なくとも二層のイオン交換樹脂層と、を備え、前記収容容器は、最上層の前記イオン交換樹脂層と前記流入口との間に水を貯留可能な空間を有することを要旨とする。
【0008】
本発明の水精製器では、上部に水の流入口を有すると共に下部に水の流出口を有し側壁が筒状の収容容器が、最上層のイオン交換樹脂層と流入口との間に水を貯留可能な空間を有する。水精製器のイオン交換樹脂層には通水抵抗があるため、イオン交換樹脂層で処理される水の通過に時間を要する。このため、最上層のイオン交換樹脂層と流入口との間の空間に貯留された水は、イオン交換樹脂層内に流れるまでの間に雰囲気温度で冷却されるから、熱交換により凝縮された比較的高温の水がイオン交換樹脂層に直接到達するのを防止してイオン交換樹脂層の熱劣化を抑制することができる。また、空間に貯留した水の水頭圧がイオン交換樹脂層の上面に作用するため、イオン交換樹脂層の横断面における単位面積当りの通水量のバラツキを抑えることができるから、イオン交換樹脂層の通水の偏りを抑制してイオン交換樹脂を有効に活用することができる。これらのことから、水精製器内のイオン交換樹脂の劣化を抑制し、且つイオン交換樹脂の有効利用率の向上ができる。
【0009】
本発明の水精製器において、前記空間内に配置され、前記流入口から流入した水が最上層の前記イオン交換樹脂層まで流れる流路を形成すると共に該流路の流量を絞る絞りが形成されたスペーサを備えるものとしてもよい。こうすれば、流入口から流入した水がスペーサ内の流路を通ってイオン交換樹脂層に到達するまでの時間を長くして水温を下げることができるから、イオン交換樹脂層の熱劣化をより抑制することができる。また、輸送中に水精製器が横倒れになった場合でも、上部のイオン交換樹脂層から空間内にイオン交換樹脂が入り込むのを抑えると共に各イオン交換樹脂層のイオン交換樹脂が混ざり合うのを抑えることができるから、イオン交換効率を適切に発揮させることができる。
【0010】
本発明の水精製器において、前記スペーサは、上面視において前記絞りの中心が前記流入口の中心とずれた位置となるように形成されるものとしてもよい。こうすれば、空間内に水が十分に貯留されていない状態でも、流入口から流入した比較的高温の水がイオン交換樹脂層に直接到達するのを防止することができるから、イオン交換樹脂層の熱劣化をさらに抑制することができる。
【0011】
本発明の水精製器において、前記イオン交換樹脂層は、いずれも水よりも比重の大きいイオン交換樹脂で形成され、前記スペーサは、水よりも比重の小さい材料で形成されるものとしてもよい。こうすれば、水精製器の経年使用により、スペーサがイオン交換樹脂層に埋もれたり、上部のイオン交換樹脂層のイオン交換樹脂がスペーサ内に流入したりするのを抑制することができるから、イオン交換効率を適切に維持することができる。
【0012】
本発明の水精製器において、最上層の前記イオン交換樹脂層は、カチオン樹脂のみで形成されており、他の前記イオン交換樹脂層は、カチオン樹脂よりも耐熱性の低いアニオン樹脂を少なくとも含んで形成されるものとしてもよい。こうすれば、比較的高温の水が到達する最上層のイオン交換樹脂層における耐熱性を高めることができ、また、最上層のイオン交換樹脂層を通過する間に温度が下がった水が他のイオン交換樹脂層を通過することになる。このため、イオン交換樹脂層の各層の熱劣化をより一層抑制することができる。
【0013】
本発明の燃料電池システムは、水素を含む改質ガスと酸素を含む酸化剤ガスとに基づいて発電する燃料電池を備える燃料電池システムであって、原燃料ガスを改質して前記改質ガスを生成する改質器と、前記改質ガスの生成に用いられる水を貯留する水タンクと、前記燃料電池から排出される排気ガスと冷媒との熱交換により凝縮された水を前記水タンクに供給する熱交換器と、前記熱交換器から前記水タンクへの水の供給路に設けられる上述したいずれかの水精製器と、を備えることを要旨とする。
【0014】
本発明の燃料電池システムは、燃料電池と、改質器と、水タンクと、熱交換器と、上述したいずれかの水精製器とを備える。このため、上述したように、熱交換により凝縮された比較的高温の水が、水精製器のイオン交換樹脂層に直接到達するのを防止してイオン交換樹脂層の熱劣化を抑制することができる。また、水精製器の空間に貯留した水の水頭圧によりイオン交換樹脂層の通水の偏りを抑制することができる。これらのことから、水精製器内のイオン交換樹脂の劣化を抑制することができるから、燃料電池システムのメンテナンス工数の削減や寿命延長、コスト低減を図ることができる。
【0015】
本発明の燃料電池システムにおいて、前記燃料電池と前記改質器と前記水タンクと前記熱交換器と前記水精製器とを内部に収容する筐体を備え、前記燃料電池と前記改質器と前記熱交換器とは、前記筐体の底部から離れた位置に設けられ、前記水タンクは、前記筐体の底部に設けられ、前記水精製器は、前記水タンクの近傍に設けられるものとしてもよい。こうすれば、筐体内で比較的雰囲気温度の低い箇所に水精製器を配置することができるから、水精製器の熱劣化をより抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】燃料電池システム10の構成の概略を示す構成図である。
【
図2】水精製器60の構成の概略を示す構成図である。
【
図3】水精製器60における水の流れの様子を示す説明図である。
【
図4】水精製器60における劣化の進行の様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明を実施するための形態について説明する。
【0018】
図1は燃料電池システム10の構成の概略を示す構成図であり、
図2は水精製器60の構成の概略を示す構成図である。燃料電池システム10は、
図1に示すように、発電を行う発電ユニット20や、発電ユニット20からの熱により加熱された湯水を貯留する貯湯タンク70、システム全体を制御する制御装置80などを備え、これらが直方体状の燃料電池ケース12に収容されている。なお、燃料電池システム10は、発電ユニット20により発電された電力を図示しない住宅の家電製品などに供給可能であり、貯湯タンク70に貯留された湯水を図示しない住宅の浴槽などに供給可能である。
【0019】
発電ユニット20は、
図1に示すように、発電モジュール30と、原燃料ガス供給装置40と、エア供給装置45と、改質水供給装置50と、排熱回収装置55とを備える。
【0020】
発電モジュール30は、改質水を気化して水蒸気を生成する気化器32と、天然ガスやLPガスなどの原燃料ガスを水蒸気改質により改質する改質器34と、改質ガスと酸化剤ガスとの供給を受けて発電する燃料電池スタック36などを有する。気化器32と改質器34と燃料電池スタック36は、断熱性材料により形成された箱型のモジュールケース31内に収容されている。モジュールケース31内には、燃料電池スタック36の起動や、気化器32における水蒸気の生成、改質器34における水蒸気改質反応に必要な熱を供給するために、燃料電池スタック36を通過した燃料オフガス(アノードオフガス)と酸化剤オフガス(カソードオフガス)とを燃焼させる燃焼部38が設けられている。
【0021】
原燃料ガス供給装置40は、ガス供給源1と気化器32とを接続する原燃料ガス供給管41を有する。原燃料ガス供給管41には、ガス供給源1側から順に、ガス供給弁42やガスポンプ43、図示しない脱硫器などが設けられており、ガス供給弁42を開弁した状態でガスポンプ43を駆動することにより、ガス供給源1からの原燃料ガスを脱硫して気化器32へ供給する。
【0022】
エア供給装置45は、外気と連通するフィルタ47と燃料電池スタック36とを接続するエア供給管46を有する。エア供給管46には、エアブロワ48が設けられており、エアブロワ48を駆動することにより、フィルタ47を介して吸入したエアを燃料電池スタック36へ供給する。
【0023】
改質水供給装置50は、改質水を貯蔵する改質水タンク52と気化器32とを接続する改質水供給管51を有する。改質水供給管51には、改質水ポンプ53が設けられており、改質水ポンプ53を駆動することにより、改質水タンク52内の改質水を気化器32へ供給する。改質水タンク52は、燃料電池ケース12の底部に配置されている。なお、発電モジュール30(改質器34、燃料電池スタック36)や排熱回収装置55(熱交換器57)、貯湯タンク70は、燃料電池ケース12内の上部や中央部など、底部から離れた位置に配置されている。このため、改質水タンク52は、発電モジュール30や排熱回収装置55、貯湯タンク70から離れた位置となる。
【0024】
排熱回収装置55は、循環ポンプ56aの駆動により貯湯タンク70の貯湯水を循環させる循環配管56と、循環配管56内の貯湯水と燃焼部38からの燃焼排ガスとの間で熱交換を行う熱交換器57とを有する。なお、燃焼部38からの燃焼排ガスは、熱交換により水蒸気成分が凝縮され、凝縮された水(凝縮水)が凝縮水供給管58を介して改質水タンク52に回収される。凝縮水供給管58には水精製器60が設けられており、水精製器60により精製(浄化)された水が改質水タンク52に回収される。また、残りの排気ガス(ガス成分)は、排気ガス排出管59を介して外気へ排出される。
【0025】
水精製器60は、燃料電池ケース12の底部に配置された改質水タンク52に隣接するように配置されている。水精製器60は、
図2に示すように、水精製材としてイオン交換樹脂層65が内部に形成された円筒状の収容容器61と、収容容器61の上部に収容容器61よりも大きな外径に形成されたフランジ部62と、フランジ部62の上面にフランジ部62の中心から偏心した位置に設けられた流入口63と、収容容器61の底部の中心に設けられた流出口64とを備える。水精製器60は、上方の流入口63から流入した水がイオン交換樹脂層65を通過して下方の流出口64から流出することにより、水に含まれる不純物をイオン交換樹脂層65で吸着除去して純水化する。なお、流出口64は、底部の中心でなくてもよく、収容容器61の下端部の側面に形成されていてもよい。
【0026】
また、水精製器60は、イオン交換樹脂層65として、陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂との混合比率の異なる上部樹脂層65aおよび下部樹脂層65bとの二層の樹脂層を有する。上部樹脂層65aは、下部樹脂層65bよりも陽イオン交換樹脂としてのカチオン樹脂の混合比率が高くなっており、本実施形態ではカチオン樹脂が100%となっている。下部樹脂層65bは、上部樹脂層65aよりも陰イオン交換樹脂としてのアニオン樹脂の混合比率が高くなっており、本実施形態ではカチオン樹脂とアニオン樹脂との混合比率が略1:1〜略2:3程度となっている。カチオン樹脂は、アニオン樹脂よりも耐熱性が高いものであり、例えばアニオン樹脂の耐熱温度が60℃程度であるのに対し、カチオン樹脂は120℃程度となっている。このため、上部樹脂層65aは、下部樹脂層65bよりも耐熱性が高いものとなる。また、上部樹脂層65aと下部樹脂層65bの厚みの比は、カチオン樹脂とアニオン樹脂の必要量を確保できるように適宜定めるものとすればよく、本実施形態では略1:4〜略1:6程度となっている。ここで、水精製器60は、収容容器61内に上部樹脂層65aの上部に所定高さの空間61aが形成されている。空間61aの所定高さは数十mm程度であり、一例として30mm程度とすることができる。なお、カチオン樹脂とアニオン樹脂は比重が異なりカチオン樹脂の方がアニオン樹脂よりも若干比重が大きいものであり、また、いずれも水よりも比重が大きいものとなっている。このため、収容容器61が上部に空間61aを有していても、収容容器61内に水(凝縮水)が流入した場合にカチオン樹脂やアニオン樹脂の樹脂粒が空間61a内に浮かぶように流入することは殆どない。
【0027】
さらに、水精製器60は、空間61a内にスペーサ66が配置されている。スペーサ66は、上下方向に貫通した流路が内部に形成された樹脂製の部材である。このスペーサ66は、上方から下方に向かうにつれて径(内径および外径)が小さくなるように略逆円錐状に形成された逆円錐状部66aと、逆円錐状部66aと同様にに形成されて上下を反転させた略円錐状の円錐状部66bと、逆円錐状部66aの下端と円錐状部66bの上端とを繋ぐ略円筒状の円筒状部66cとにより構成されている。このため、スペーサ66の流路の断面積は、逆円錐状部66a内を下方に向かうにつれて徐々に小さくなって円筒状部66cで最小面積となり、円錐状部66bを下方に向かうにつれて徐々に大きくなる。即ち、スペーサ66は、高さ方向の中央部に絞りを有する砂時計状に形成されている。なお、円筒状部66cの内径即ちスペーサ66の流路の最小面積は、イオン交換樹脂層65における処理で発生するガスを上方に抜くのに必要なサイズに定めることができる。また、逆円錐状部66aと円錐状部66bの円錐の底部の形状は、外周縁が部分的に(例えば周方向に90度間隔となる四箇所で)直線状に切り欠かれた非円形状となっており、空間61a内に配置された状態で収容容器61の円形状の内壁面との間に若干の隙間が形成される。また、スペーサ66は、水よりも比重の小さな材料、例えばポリプロピレン樹脂やポリエチレン樹脂などの樹脂材料により形成されている。
【0028】
ここで、
図3は水精製器60における水の流れの様子を示す説明図であり、
図4は水精製器60における劣化の進行の様子を示す説明図である。
図3に示すように、凝縮水供給管58から流入口63を介して収容容器61内に流入した水(凝縮水)は、スペーサ66内の流路を通って上部樹脂層65aに到達する。スペーサ66は、高さ方向の中央部に絞りを有するから、収容容器61内に流入した水は逆円錐状部66aで貯留されながら、円筒状部66cを通って円錐状部66bで径方向の全体に広がるように流れてイオン交換樹脂層65(上部樹脂層65a)の上面全体に到達する。また、スペーサ66の上端および下端と、収容容器61の内壁との間の隙間から水が空間61a内に流入して貯留される。このように、スペーサ66内を含む空間61a内に水が貯留された状態で、イオン交換樹脂層65(上部樹脂層65aと下部樹脂層65b)内を水が通過していくことになる。したがって、空間61a内に貯留した水の水頭圧が、イオン交換樹脂層65の上面に略均等に作用するため、イオン交換樹脂層65の横断面における単位面積当りの通水量のバラツキ(偏り)を抑えることができる。これにより、イオン交換樹脂層65の通水が偏るのを防止することができるから、
図4に示すように、通水の偏りが少なく劣化が満遍なく現れるものとなる(
図4中の点線参照)。これにより、劣化が偏ることによりイオン交換樹脂の利用効率が低下するのを防止することができる。
【0029】
また、上述したように、流入口63はフランジ部62の中心から偏心した位置に設けられており、スペーサ66の円筒状部66cの中心(絞りの中心)から上面視で外れた位置から水が流入する。このため、スペーサ66内に水が殆ど貯留されていない状態でも、収容容器61内に流入した水がイオン交換樹脂層65(上部樹脂層65a)に直接到達するのを防止することができる。また、スペーサ66の上端および下端の縁から空間61a内に流入した水は、空間61a内に滞留するため、その間に雰囲気温度で冷却されて水温が低下する。このため、スペーサ66は、水温が低下した水に囲まれることになり、スペーサ66内の流路を通る間に水を冷却する効果を高めることができる。これらのことからも、収容容器61内に流入した比較的高温の水(凝縮水)が上部樹脂層65aに直接到達するのを防止して熱劣化を抑制することができる。もとより、本実施形態では、上部樹脂層65aは耐熱性の高いカチオン樹脂のみを含み、耐熱性の低いアニオン樹脂は下部樹脂層65bのみに含まれるものとして、上部樹脂層65aの耐熱性を下部樹脂層65bよりも高めるからイオン交換樹脂層65全体の熱劣化をより抑制することができる。さらに、水精製器61は燃料電池ケース12の底部に配置された改質水タンク52に隣接して配置され、発電モジュール30や排熱回収装置55、貯湯タンク70から離れているから、水精製器61が高温雰囲気に晒されるのを防止して、イオン交換樹脂層65の熱劣化をより一層抑制することができる。
【0030】
以上説明した実施形態の水精製器60は、収容容器61が流入口63と上部樹脂層65aとの間に水を貯留可能な空間61aを有しており、流入口63から流入した凝縮水の水温を空間61aに貯留した水で下げることができるから、イオン交換樹脂層65の熱劣化を抑制することができる。また、空間61aに貯留した水の水頭圧によりイオン交換樹脂層65の横断面における単位面積当りの通水量のバラツキを抑えて、イオン交換樹脂層65の劣化が偏るのを抑制することができる。
【0031】
また、水精製器60は、絞りを有するスペーサ66が空間61a内に配置され、スペーサ66を通る間に水を冷却することができるから、イオン交換樹脂層65の熱劣化をより抑制することができる。また、スペーサ66の周りに滞留した水によって、スペーサ66内を通る水を効率よく冷却することができる。また、輸送中に水精製器60が横倒れになった場合でも、スペーサ66によって空間61a内にイオン交換樹脂が入り込むのを抑えることができる。このため、上部樹脂層65aおよび下部樹脂層65bのイオン交換樹脂同士が混ざり合うのを抑えてイオン交換効率を適切に発揮させることができる。
【0032】
また、水精製器60は、上面視でスペーサ66の絞り(円筒状部66c)の中心が流入口63の中心とずれた位置となっているから、空間61a内に水が十分に貯留されていない状態でも流入口63から流入した水がイオン交換樹脂層65(上部樹脂層65a)に直接到達するのを防止して、イオン交換樹脂層65の熱劣化を抑制することができる。
【0033】
また、水精製器60は、上部樹脂層65aおよび下部樹脂層65bがいずれも水よりも比重の大きいイオン交換樹脂で形成され、スペーサ66が水よりも比重の小さい材料で形成されている。このため、水精製器60の経年使用により、スペーサ66がイオン交換樹脂層65内に埋もれたり、イオン交換樹脂層65のイオン交換樹脂がスペーサ内66に流入したりするのを抑制して、イオン交換効率を適切に維持することができる。
【0034】
また、水精製器60は、上部樹脂層65aが耐熱性の高いカチオン樹脂のみで形成され、下部樹脂層65bがカチオン樹脂とアニオン樹脂との混合により形成されている。このため、比較的高温の水を精製する上部樹脂層65aの耐熱性を高めて、上部樹脂層65aの熱劣化を抑制することができる。また、上部樹脂層65aを通過している間に水の温度が下がっていくから、耐熱性の低い下部樹脂層65bが高温の水を精製するのを抑えて、下部樹脂層65bの熱劣化を抑制することができる。
【0035】
また、水精製器60は、発電モジュール30(燃料電池スタック36)や貯湯タンク70から遠ざけるように燃料電池ケース12の底部に配置されるから、水精製器60が高温雰囲気に晒されるのを防止して、イオン交換樹脂層65の熱劣化をより抑制することができる。
【0036】
上述した実施形態では、スペーサ66の絞りの中心(円筒状部66cの中心)と流入口63の中心とがずれているものとしたが、これに限られず、絞りの中心と流入口63の中心とが一致していてもよい。
【0037】
実施形態では、空間61a内にスペーサ66を備えたが、これに限られず、スペーサ66を備えなくてもよい。このようにしても、流入口63から流入した水が空間61a内に貯留した状態となると、その後に流入する水の水温を貯留した水で下げることができるから、イオン交換樹脂層65の熱劣化を抑制することができる。また、空間61a内に貯留した水の水頭圧により通水量のバラツキを抑えて、イオン交換樹脂層65の劣化が偏るのを抑制することができる。
【0038】
実施形態では、イオン交換樹脂層65のイオン交換樹脂の比重が水よりも大きいものとしたが、これに限られず、イオン交換樹脂の比重が水よりも小さいものとしてもよい。その場合、スペーサ66内へのイオン交換樹脂の流入を防止するための部材として、例えばスペーサ66の円錐状部66bの下端に流入防止用の網状部材を取り付けるものなどとしてもよい。
【0039】
実施形態では、スペーサ66が水よりも比重の小さい部材で形成されたが、これに限られず、水よりも比重の大きい材料で形成されてもよい。その場合、スペーサ66がイオン交換樹脂層65内に埋もれるのを防止するため、収容容器61の内壁面にスペーサ66の下端位置を位置決めする突起(位置決め部)などを設けてもよい。
【0040】
実施形態では、上部樹脂層65aがカチオン樹脂100%で構成されたが、これに限られず、カチオン樹脂とアニオン樹脂とで構成されてもよい。その場合、下部樹脂層65bよりもカチオン樹脂の混合比率を高くすればよい。また、下部樹脂層65bがカチオン樹脂とアニオン樹脂とで構成されたが、これに限られず、アニオン樹脂100%で構成されてもよい。
【0041】
実施形態では、イオン交換樹脂層65が上部樹脂層65aと下部樹脂層65bの二層で構成されたが、これに限られず、三層以上の複数層で構成されてもよい。
【0042】
実施形態では、空間61aに一のスペーサ66が配置されているが、これに限られず、複数のスペーサが配置されていてもよい。
【0043】
実施形態では、水精製器60が燃料電池ケース12の底部に設けられたが、これに限られず、燃料電池ケース12内で比較的温度の低い場所に設けられるものであればよい。例えば、発電モジュール30や貯湯タンク70から離れた場所であって、燃料電池ケース12内に外気が流入する流入口の近傍などに設けてもよい。
【0044】
本実施形態の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。本実施形態では、水精製器60が「水精製器」に相当し、収容容器61が「収容容器」に相当し、流入口63が「流入口」に相当し、流出口64が「流出口」に相当し、イオン交換樹脂層65(上部樹脂層65aと下部樹脂層65b)が「イオン交換樹脂層」に相当し、空間61aが「空間」に相当する。また、スペーサ66が「スペーサ」に相当する。また、燃料電池システム10が「燃料電池システム」に相当し、燃料電池スタック36が「燃料電池」に相当し、改質器34が「改質器」に相当し、改質水タンク52が「水タンク」に相当し、熱交換器57が「熱交換器」に相当する。また、燃料電池ケース12が「筐体」に相当する。
【0045】
なお、本実施形態の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、本実施形態が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、本実施形態は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
【0046】
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、水精製器の製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0048】
1 ガス供給源、10 燃料電池システム、12 燃料電池ケース、20 発電ユニット、30 発電モジュール、31 モジュールケース、32 気化器、34 改質器、36 燃料電池スタック、38 燃焼部、40 原燃料ガス供給装置、41 原燃料ガス供給管、42 ガス供給弁、43 ガスポンプ、45 エア供給装置、46 エア供給管、47 フィルタ、48 エアブロワ、50 改質水供給装置、51 改質水供給管、52 改質水タンク、53 改質水ポンプ、55 排熱回収装置、56 循環配管、56a 循環ポンプ、57 熱交換器、58 凝縮水供給管、59 排気ガス排出管、60 水精製器、61 収容容器、61a 空間、62 フランジ部、63 流入口、64 流出口、65 イオン交換樹脂層、65a 上部樹脂層、65b 下部樹脂層、66 スペーサ、66a 逆円錐状部、66b 円錐状部、66c 円筒状部、70 貯湯タンク、80 制御装置。