(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
エマルジョン塗料がゲル化膜でカプセル化された少なくとも1色以上の着色ゲル状粒子(A)と、水性樹脂(B)と、樹脂エマルジョン(C)とを含む多彩塗料組成物であって、
前記着色ゲル状粒子(A)は、濃色系エマルジョン塗料が前記ゲル化膜でカプセル化された濃色系ゲル状粒子(A1)と、非濃色系エマルジョン塗料が前記ゲル化膜でカプセル化された非濃色系ゲル状粒子(A2)とからなり、
前記濃色系ゲル状粒子(A1)をなす濃色系エマルジョン塗料を板状体の表面に塗布し、乾燥してなる濃色系塗膜に、100Wの人工太陽光照明灯の光を20cmの距離から30分照射した際の前記濃色系塗膜の表面温度TA1と、前記非濃色系ゲル状粒子(A2)をなす非濃色系エマルジョン塗料を板状体の表面に塗布し、乾燥してなる非濃色系塗膜に、100Wの人工太陽光照明灯の光を20cmの距離から30分照射した際の前記非濃色系塗膜の表面温度TA2との差ΔT=TA1−TA2の値が20℃以下であり、
前記水性樹脂(B)が、親水性基及びエチレン性不飽和結合を有するモノマー(b1)由来の構成単位と、架橋基及びエチレン性不飽和結合を有するモノマー(b2)由来の構成単位と、前記モノマー(b1)及び前記モノマー(b2)以外のエチレン性不飽和結合を有するモノマー(b3)由来の構成単位からなり、
前記水性樹脂(B)中の全構成単位の合計質量に対する、前記モノマー(b1)由来の構成単位の割合が40〜95質量%、前記モノマー(b2)由来の構成単位の割合が0.01〜20質量%であり、
前記水性樹脂(B)の重量平均分子量が50000〜150000であり、
前記樹脂エマルジョン(C)が、前記水性樹脂(B)に含まれる前記架橋基と反応し得る官能基を有し、
前記水性樹脂(B)の質量を前記樹脂エマルジョン(C)の質量で除した値が0.03以上0.11未満であり、
前記水性樹脂(B)の前記架橋基が、グリシジル基、カルボキシル基、アルコキシシリル基及びケト基からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、
前記樹脂エマルジョン(C)の前記官能基が、グリシジル基、カルボキシル基、アルコキシシリル基及びヒドラジド基からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、
前記水性樹脂(B)の前記架橋基と、前記樹脂エマルジョン(C)の前記官能基とが、下記(1)〜(5)の何れかに示す組み合わせで用いられてなることを特徴とする多彩塗料組成物。
(1)[水性樹脂(B)の架橋基]カルボキシル基及びケト基:[樹脂エマルジョン(C)の官能基]カルボキシル基及びヒドラジド基、
(2)[水性樹脂(B)の架橋基]カルボキシル基及びアルコキシシリル基:[樹脂エマルジョン(C)の官能基]カルボキシル基及びアルコキシシリル基、
(3)[水性樹脂(B)の架橋基]カルボキシル基:[樹脂エマルジョン(C)の官能基]カルボキシル基及びグリシジル基、
(4)[水性樹脂(B)の架橋基]グリシジル基:[樹脂エマルジョン(C)の官能基]カルボキシル基、
(5)[水性樹脂(B)の架橋基]ケト基:[樹脂エマルジョン(C)の官能基]カルボキシル基及びヒドラジド基。
前記親水性基が、アミノ基、アミド基、水酸基、スルホン酸基、リン酸基、4級アンモニウム基、硫酸基、モルホリノ基及びポリ(オキシアルキレン)基からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の多彩塗料組成物。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る多彩塗料組成物について詳述する。
なお、本実施形態で説明する「水性樹脂」とは、水に分散または溶解が可能な樹脂を意味する。
【0016】
本発明の多彩塗料組成物は、エマルジョン塗料がゲル化膜でカプセル化された少なくとも1色以上の着色ゲル状粒子(A)(以下、「(A)成分」と称する場合がある)と、水性樹脂(B)(以下、「(B)成分」と称する場合がある)と、樹脂エマルジョン(C)(以下、「(C)成分」と称する場合がある)とを含む。
【0017】
そして、本発明の多彩塗料組成物は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分が、それぞれ、以下に説明する組成を有し、(A)成分に含まれる、濃色系ゲル状粒子(A1)をなす濃色系エマルジョン塗料と、非濃色系ゲル状粒子(A2)をなす非濃色系エマルジョン塗料との、塗膜化後に所定の条件で人工太陽照明灯による光照射を行った際の表面温度の差が所定の範囲とされ、さらに、(B)成分の質量を(C)成分の質量で除した値が所定の範囲とされる。
【0018】
即ち、本発明の多彩塗料組成物は、上記の(A)成分が、濃色系エマルジョン塗料がゲル化膜でカプセル化された濃色系ゲル状粒子(A1)と、非濃色系エマルジョン塗料がゲル化膜でカプセル化された非濃色系ゲル状粒子(A2)とからなる。これら濃色系ゲル状粒子(A1)と非濃色系ゲル状粒子(A2)とは、濃色系ゲル状粒子(A1)をなす濃色系エマルジョン塗料を板状体の表面に塗布し、乾燥してなる濃色系塗膜に、100Wの人工太陽光照明灯の光を20cmの距離から30分照射した際の濃色系塗膜の表面温度T
A1と、非濃色系ゲル状粒子(A2)をなす非濃色系エマルジョン塗料を板状体の表面に塗布し、乾燥してなる非濃色系塗膜に、100Wの人工太陽光照明灯の光を20cmの距離から30分照射した際の非濃色系塗膜の表面温度T
A2との差ΔT=T
A1−T
A2の値が20℃以下の関係とされる。
【0019】
さらに、本発明の多彩塗料組成物は、上記の(B)成分が、親水性基及びエチレン性不飽和結合を有するモノマー(b1)由来の構成単位と、架橋基及びエチレン性不飽和結合を有するモノマー(b2)由来の構成単位と、モノマー(b1)及びモノマー(b2)以外のエチレン性不飽和結合を有するモノマー(b3)由来の構成単位からなり、(B)成分中の全構成単位の合計質量に対する、モノマー(b1)由来の構成単位の割合が40〜95質量%、モノマー(b2)由来の構成単位の割合が0.01〜20質量%とされ、且つ、(B)成分の重量平均分子量が50000〜150000である。
また、本発明の多彩塗料組成物は、上記の(C)成分が、(B)成分に含まれる前記架橋基と反応し得る官能基を有する。
そして、本発明の多彩塗料組成物は、(B)成分の質量を(C)成分の質量で除した値が0.03以上0.11未満である。
【0020】
なお、本発明の多彩塗料組成物は、通常、水をさらに含み、典型的には、水中に(A)成分、(B)成分、及び(C)成分が分散または溶解している。
【0021】
<着色ゲル状粒子(A)>
本発明において、(A)成分(着色ゲル状粒子(A))は、エマルジョン塗料がゲル化膜でカプセル化されたものであり、少なくとも1色以上で着色されたものである。
(A)成分は、上記のように、濃色系ゲル状粒子(A1)と非濃色系ゲル状粒子(A2)とを含んでなる。
また、(A)成分は、さらに、着色顔料と、樹脂エマルジョンと、親水性コロイド形成物質とを含む。
【0022】
[濃色系ゲル状粒子(A1)]
濃色系ゲル状粒子(A1)は、上記のように、濃色系エマルジョン塗料がゲル化膜でカプセル化されたものであり、マンセル値による明度が4以下であるゲル状粒子である。
濃色系エマルジョン塗料は、濃色系顔料と、樹脂エマルジョンと、親水性コロイド形成物質とを含む。
【0023】
(濃色系顔料)
濃色系顔料は、樹脂エマルジョン、親水性コロイド形成物質とともに、濃色系ゲル状粒子のマンセル値を4以下にすることができるものであればよい。このような濃色系顔料としては、例えば、カーボンブラック等の非遮熱顔料、及び遮熱顔料が挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合せて用いることができる。ここで、遮熱顔料とは、近赤外波長域(波長:780nm〜2500nm)の光を吸収しないか、又は近赤外波長域(波長:780nm〜2500nm)の光の吸収率が小さい顔料を指す。
【0024】
上記遮熱顔料は、無機系遮熱顔料及び有機系遮熱顔料を含む。
無機系遮熱顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化バリウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化イットリウム、酸化インジウム、チタン酸ナトリウム、酸化ケイ素、酸化ニッケル、酸化マンガン、酸化クロム、酸化鉄、酸化銅、酸化セリウム、酸化アルミニウム等の金属酸化物系顔料;酸化鉄−酸化マンガン、酸化鉄−酸化クロム(例えば、大日精化株式会社製の「ダイピロキサイドカラーブラック#9595」、アサヒ化成工業株式会社製の「Black6350」)、酸化鉄−酸化コバルト−酸化クロム(例えば、大日精化株式会社製の「ダイピロキサイドカラーブラウン#9290」、「ダイピロキサイドカラーブラック#9590」)、酸化銅−酸化マグネシウム(例えば、大日精化株式会社製の「ダイピロキサイドカラーブラック#9598」)、酸化マンガン−酸化ビスマス(例えば、アサヒ化成工業株式会社製の「Black6301」)、酸化マンガン−酸化イットリウム(例えば、アサヒ化成工業株式会社製の「Black6303」)等の複合酸化物顔料;シリコン、アルミニウム、鉄、マグネシウム、マンガン、ニッケル、チタン、クロム、カルシウムなどの金属系顔料;さらに鉄−クロム、ビスマス−マンガン、鉄−マンガン、マンガン−イットリウム等の合金系顔料が挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合せて用いることができる。
【0025】
有機系遮熱顔料としては、例えば、アゾ系顔料、アゾメチン系顔料、レーキ系顔料、チオインジゴ系顔料、アントラキノン系顔料(アントアンスロン顔料、ジアミノアンスラキノニル顔料、インダンスロン顔料、フラバンスロン顔料、アントラピリミジン顔料等)、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ジオキサジン系顔料、フタロシアニン系顔料、キニフタロン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、等が挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合せて用いることができる。
【0026】
また濃色系エマルジョン塗料は、濃色系ゲル状粒子のマンセル値が4以下になるのであれば、酸化チタン、フタロシアニン銅などの非濃色系顔料を含有してもよい。
【0027】
ここで、濃色系顔料中の遮熱顔料の含有率は、特に限定されるものではないが、33質量%以上であることが好ましい。
この場合、光による濃色系ゲル状粒子の表面温度の上昇が特に十分に抑制されるため、多彩模様塗料は、多彩模様塗膜における不均一な劣化を特に十分に抑制できる。
濃色系顔料中の遮熱顔料の含有率は、より好ましくは50質量%以上であり、さらに好ましくは70質量%以上であり、100質量%であることが最も好ましい。
【0028】
濃色系エマルジョン塗料中の濃色系顔料の含有量は、特に限定されるものではないが、通常は、樹脂成分100質量部に対して10〜200質量部であり、好ましくは50〜150質量部である。ここで、樹脂成分とは、樹脂エマルジョン中の樹脂固形分のことを指す。
【0029】
(樹脂エマルジョン)
樹脂エマルジョンとしては、例えば、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、ポリスチレン、アクリロニトリル、べオパ(分岐脂肪酸ビニルエステル)、天然ゴム、合成ゴムのエマルジョン及びこれらの樹脂の共重合体のエマルジョン等が挙げられる。また、これらの樹脂エマルジョンは、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。また、濃色系エマルジョン塗料中における樹脂エマルジョンとしては、上記の中でも、特に、アクリル樹脂のエマルジョンが好ましい。
【0030】
また、濃色系エマルジョン塗料中における樹脂エマルジョンの含有率は、特に限定されるものではないが、通常は20〜70質量%であり、好ましくは30〜50質量%である。
【0031】
(親水性コロイド形成物質)
親水性コロイド形成物質としては、例えば、セルロース誘導体、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール、カゼイン、デンプン、ガラクトマンノン、グアルゴム、ローカストビーンゴム等の天然高分子を含有する水溶液が挙げられる。また、これらの親水性コロイド形成物質は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。また、濃色系エマルジョン塗料中における親水性コロイド形成物質としては、上記の水溶液の中でも、特に、グアルゴムの水溶液が特に好ましい。
【0032】
また、これら水溶液の濃度は、特に限定されるものではなく、例えば、0.5〜5.0質量%であればよい。
また、濃色系エマルジョン塗料中におけるエマルジョン塗料中における親水性コロイド形成物質の含有量についても、特に限定されるものではないが、通常は樹脂エマルジョン100質量部に対して0.05〜5.0質量部であり、好ましくは0.1〜3.0質量部である。
【0033】
(その他の成分)
上記の濃色系エマルジョン塗料には、必要に応じて、さらに、含水ケイ酸マグネシウム等の体質顔料、増粘剤、分散剤、消泡剤、防腐剤及びレベリング剤等の添加剤を含まれていてもよい。
【0034】
(ゲル化膜によるカプセル化)
本発明において、上記の濃色系エマルジョン塗料は、ゲル化膜でカプセル化されたものである。即ち、濃色系ゲル状粒子(A1)は、濃色系エマルジョン塗料をゲル化膜によって閉じ込め、カプセル化したものである。
ゲル化膜は、例えば、親水性コロイド形成物質を含む濃色系エマルジョン塗料と、ゲル化剤を含む分散媒とを混合し、ディソルバ等の分散機で撹拌しながら塗料を分散させて、分散媒中のゲル化剤と親水性コロイド形成物質とを反応させることにより得られる。
【0035】
上記の分散媒としては、ゲル化剤を含む水性の分散媒が用いられる。このゲル化剤としては、例えば、マグネシウムモンモリロナイト粘土、ナトリウムペンタクロロフェノール、重ホウ酸アンモニウム等のホウ酸塩、タンニン酸、乳酸チタン、塩化カルシウム等を含有する水溶液が挙げられる。また、分散媒は1種類のゲル化剤のみを含むものであっても、2種類以上のゲル化剤を含むものであってもよい。これらの中でも、特に、重ホウ酸アンモニウム等のホウ酸塩を分散媒に用いることが好ましい。また、分散媒には、必要に応じて、さらに、含水ケイ酸マグネシウム等の体質顔料、ナトリウムカルボキシメチルセルロース等の水溶性高分子化合物が含まれてもよい。
【0036】
上記のような分散媒は、例えば、ゲル化剤並びに必要に応じて体質顔料の水溶液及び水溶性高分子化合物の水溶液を撹拌混合した後に、水を加えて希釈することにより得ることができる。分散媒中のゲル化剤の含有率は、特に限定されるものではなく、例えば、分散媒100質量%中0.05〜5.0質量%である。
【0037】
[非濃色系ゲル状粒子(A2)]
非濃色系ゲル状粒子(A2)は、上記のように、非濃色系エマルジョン塗料がゲル化膜でカプセル化されたものであり、マンセル値による明度が4よりも大きなゲル状粒子である。
非濃色系エマルジョン塗料は、非濃色系顔料と、樹脂エマルジョンと、親水性コロイド形成物質とを含む。
【0038】
(非濃色系顔料)
非濃色系顔料は、樹脂エマルジョン及び親水性コロイド形成物質とともに、非濃色系ゲル状粒子(A2)のマンセル値を4よりも大きくするものであればよい。このような非濃色系顔料としては、例えば、酸化チタン等の白色顔料、フタロシアニン銅等のブルー顔料が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を組み合せて用いることができる。また、濃色系エマルジョン塗料中の非濃色系顔料の含有量は、特に限定されるものではないが、通常は樹脂成分100質量部に対して10〜200質量部であり、好ましくは50〜150質量部である。ここで、樹脂成分とは、樹脂エマルジョン中の樹脂固形分のことを指す。
【0039】
(樹脂エマルジョン)
非濃色系エマルジョン塗料において、樹脂エマルジョンとしては、濃色系エマルジョン塗料中に含まれる樹脂エマルジョンと同様のものを用いることができる。非濃色系エマルジョン塗料中の樹脂エマルジョンの含有率は特に限定されるものではないが、通常は20〜70質量%であり、好ましくは30〜50質量%である。
【0040】
(親水性コロイド形成物質)
非濃色系エマルジョン塗料においては、親水性コロイド形成物質としても、濃色系エマルジョン塗料中に含まれる親水性コロイド形成物質と同様のものを用いることができる。非濃色系エマルジョン塗料中の親水性コロイド形成物質の含有率は、特に限定されるものではないが、例えば、0.5〜5.0質量%であればよい。
【0041】
(その他の成分)
上記の非濃色系エマルジョン塗料には、濃色系エマルジョン塗料の場合と同様、必要に応じて、さらに、含水ケイ酸マグネシウム等の体質顔料、増粘剤、分散剤、消泡剤、防腐剤及びレベリング剤等の添加剤を含まれていてもよい。
【0042】
(ゲル化膜によるカプセル化)
本発明において、上記の非濃色系エマルジョン塗料は、濃色系エマルジョン塗料の場合と同様、ゲル化膜でカプセル化されたものである。即ち、非濃色系ゲル状粒子(A2)は、濃色系エマルジョン塗料をゲル化膜によって閉じ込め、カプセル化したものである。
ゲル化膜は、例えば、親水性コロイド形成物質を含む非濃色系エマルジョン塗料と、上記のようなゲル化剤を含む分散媒とを混合し、ディソルバ等の分散機で撹拌しながら塗料を分散させて、分散媒中のゲル化剤と親水性コロイド形成物質とを反応させることにより得られる。
【0043】
<水性樹脂(B)>
本発明において、(B)成分(水性樹脂(B))は、親水性基及びエチレン性不飽和結合を有するモノマー(b1)由来の構成単位と、架橋基及びエチレン性不飽和結合を有するモノマー(b2)由来の構成単位と、前記モノマー(b1)及び前記モノマー(b2)以外のエチレン性不飽和結合を有するモノマー(b3)由来の構成単位とからなる共重合体である。
【0044】
モノマー(b1)における親水性基としては、アミノ基、アミド基、水酸基、スルホン酸基、リン酸基、4級アンモニウム基、硫酸基、モルホリノ基及びポリ(オキシアルキレン)基からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
アミノ基としては、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基等が挙げられ、−NR
1R
2(ここで、R
1及びR
2はそれぞれ独立に水素原子またはアルキル基を示す。)が好ましい。
ポリ(オキシアルキレン)基としては、ポリ(オキシエチレン)基が好ましい。
【0045】
モノマー(b1)の具体例としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノメチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、N−ビニルピロリドン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、アルキルアリルスルホコハク酸ナトリウム、アリルスルホン酸、スルホエトキシ(メタ)アクリレート、スチレンスルホン酸ナトリウム、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートメチルクロライド塩、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドメチルクロライド塩、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートベンジルクロライド塩等が挙げられる。
「(メタ)アクリレート」はアクリレート及びメタクリレートの総称であり、「(メタ)アクリル」はアクリル及びメタクリルの総称であり、「(メタ)アクリロイル」はアクリロイル及びメタクリロイルの総称である。
【0046】
モノマー(b2)における架橋基としては、グリシジル基、カルボキシル基、酸無水物基、アルコキシシリル基、ケト基及びアルデヒド基からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
【0047】
モノマー(b2)の具体例としては、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、クロトン酸、イタコン酸、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリプロポキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジプロポキシシラン、アクロレイン、クロトンアルデヒド、2−アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、ジアセトンアクリルアミド、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルブチルケトンが挙げられる。
なお、ジアセトンアクリルアミドのケト基は架橋基として機能するが、アミド基は親水性基として機能しない。そのため、ジアセトンアクリルアミドはモノマー(b2)に該当する。
【0048】
モノマー(b3)としては、例えば、以下のモノマーが挙げられる。
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルn−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、等の(メタ)アクリル酸エステル類;
スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、ビニルナフタレン、ビニルピリジン、等の芳香族ビニル化合物;
ジビニルベンゼン、ジビニルエーテル、アリル(メタ)アクリレート、フタル酸ジアリル、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、等の多官能重合性モノマー;
その他、(メタ)アクリロニトリル等のビニル化合物;等。
【0049】
(B)成分中のモノマー(b1)由来の構成単位、モノマー(b2)由来の構成単位、モノマー(a3)由来の構成単位は、それぞれ1種でもよく2種以上でもよい。
【0050】
(B)成分中の全構成単位の合計質量(100質量%)に対するモノマー(b1)由来の構成単位の割合は、40〜95質量%であり、50〜90質量%が好ましい。モノマー(b1)由来の構成単位の割合が前記範囲の下限値以上であると、親水化効果が充分に発揮され、塗膜の耐汚染性に優れ、また、多彩塗料組成物の貯蔵安定性にも優れる。モノマー(b1)由来の構成単位の割合が前記範囲の上限値以下であると、塗膜の耐水性、耐候性に優れる。
【0051】
(B)成分中の全構成単位の合計質量に対するモノマー(b2)由来の構成単位の割合は、0.01〜20質量%であり、0.1〜10質量%が好ましい。モノマー(b2)由来の構成単位の割合が前記範囲の下限値以上であると、屋外暴露下において塗膜表面の親水性が経時で低下しにくく、耐汚染性が長期間にわたって維持される。モノマー(b2)由来の構成単位の割合が前記範囲の上限値以下であると、塗膜の造膜性に優れ、平滑な塗膜が得られやすい。
【0052】
(B)成分中の全構成単位の合計質量に対するモノマー(b3)由来の構成単位の割合は、5.0〜59.99質量%が好ましく、5.0〜49.9質量%がより好ましい。
なお、(B)成分中の全構成単位の合計質量に対する、モノマー(b1)由来の構成単位とモノマー(b3)由来の構成単位とモノマー(b3)由来の構成単位との合計質量の割合は100質量%である。
【0053】
(B)成分の重量平均分子量は、50000〜150000であり、80000〜120000が好ましい。(B)成分の重量平均分子量が前記範囲の下限値以上であると、屋外暴露下において塗膜表面の親水性が経時で低下しにくく、耐汚染性が長期間にわたって維持される。(B)成分の重量平均分子量が前記範囲の上限値を超えると、(B)成分を溶剤重合により製造する際に粘度が上がり過ぎて合成が難しくなる。
なお、本実施形態で説明する(B)成分の重量平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定される標準ポリスチレン換算の値である。
【0054】
(B)成分は、典型的には、水分散体又は水溶液の状態で多彩塗料組成物に配合される。
(B)成分の水分散体又は水溶液の固形分(水分散体又は水溶液の総質量に対する(B)成分の固形分換算の含有量)は、水分散体又は水溶液の総質量に対し、5〜15質量%が好ましい。固形分が前記範囲の下限値未満の場合には、塗料化した際の塗料の粘度が低すぎて塗装作業性が低下するおそれがある。また、固形分が前記範囲の上限値を超えると、水分散体が不安定になってゲル化するおそれがある。
【0055】
(B)成分の水分散体中、(B)成分の粒子径は、0.01〜0.10μmが好ましい。(B)成分の粒子径が上記範囲であれば、塗膜の耐水性が良好となる。
なお、本実施形態で説明する(B)成分の粒子径とは、走査型電子顕微鏡により測定される平均粒子径である。
【0056】
((B)成分の製造方法)
(B)成分は、モノマー(b1)と、モノマー(b2)と、モノマー(b3)とからなるモノマー混合物を重合して得られる。
モノマー混合物の総質量に対する各モノマーの割合(質量%)は、(B)成分を構成する全構成単位の合計質量に対する各モノマー由来の構成単位の割合と同様である。
また、重合方法は特に限定されず、溶液重合、乳化重合、懸濁重合等の公知の重合法を用いることができる。
【0057】
(B)成分の製造方法の一例として、モノマー(b1)と、モノマー(b2)と、モノマー(b3)とからなるモノマー混合物を有機溶媒に溶解して加熱し、重合開始剤を用いて反応(重合反応)させ、冷却し、必要に応じて中和し、水を加え、前記有機溶媒を除く方法が挙げられる。これにより、微細な(B)成分の粒子が水に均一分散した半透明液体状の水分散体が得られる。この水分散体は、そのまま多彩塗料組成物の調製に用いることができる。
前記モノマー混合物を反応させる際の温度は、例えば、60〜90℃とすることができる。また、反応させる時間は、例えば、3〜10時間とすることができる。
【0058】
有機溶媒としては、水溶性の有機溶媒が望ましい。具体例としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−ブタノール、2−メチル−2−プロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、等が挙げられる。(B)成分の製造においては、上記の有機溶媒を、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、有機溶媒としては、重合安定性、溶媒の水置換性、溶媒除去性の点から、1−プロパノール又は2−プロパノールが好ましい。
【0059】
重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、tert−ブチルヒドロパーオキシド、tert−ブチル−α−クミルパーオキシド等の有機過酸化物、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の無機過酸化物等が挙げられる。(B)成分の製造においては、上記の重合開始剤を、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、上記重合開始剤と還元剤とを組み合わせることで、反応を速めることもできる。
【0060】
中和剤としては、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、アミノメチルプロパノール等が挙げられる。なお、中和剤としては、塗膜の耐水性、耐汚染性の点から、アンモニアが好ましい。
【0061】
<樹脂エマルジョン(C)>
本発明において、(C)成分(樹脂エマルジョン(C))は、上記の(B)成分が有する構成単位(b2)の架橋基と反応し得る官能基を有する。
このような官能基としては、グリシジル基、カルボキシル基、酸無水物基、アルコキシシリル基、ヒドラジド基、カルボジイミド基、オキサゾリン基及びアジリジン基からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
【0062】
(C)成分が有する官能基は、(B)成分が有する架橋基に応じて適宜選択される。
(B)成分が有する架橋基がグリシジル基の場合、(C)成分が有する官能基は、カルボキシル基及び酸無水物基の何れか一方又は両方が好ましい。
(B)成分が有する架橋基がカルボキシル基及び酸無水物基の何れか一方、又は両方の場合、(C)成分が有する官能基は、グリシジル基、カルボジイミド基、オキサゾリン基及びアジリジン基からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
(B)成分が有する架橋基がアルコキシシリル基の場合、(C)成分が有する官能基は、アルコキシシリル基が好ましい。
(B)成分が有する架橋基がケト基及びアルデヒド基の何れか一方、又は両方の場合、(C)成分が有する官能基は、ヒドラジド基が好ましい。
【0063】
(C)成分としては、前記官能基を有していればよく、種々の樹脂骨格組成を有する水性樹脂を用いることができる。
(C)成分の具体例としては、例えば、水性アクリル共重合樹脂、水性ウレタン共重合樹脂、水性アクリルシリコン共重合樹脂、水性アクリルウレタン共重合樹脂、水性フッ素アクリル共重合樹脂、水性フッ素ビニル共重合樹脂等が挙げられる。(C)成分としては、上記のうちの何れか1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用しても構わない。
なお、(C)成分中の前記官能基の含有量は、官能基の構造によって適宜規定される。
【0064】
(C)成分のガラス転移温度(Tg)は、0〜50℃が好ましく、20〜30℃がより好ましい。(C)成分のTgが上記温度範囲であれば、耐雨筋汚染性が良好となる。
なお、本実施形態で説明するガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量計により測定される。
【0065】
(C)成分が粒状である場合、(C)成分の粒子径は、多彩塗料組成物の安定性、塗膜の耐水性及び促進耐候性の観点から0.1〜0.25μmが好ましい。
なお、本実施形態で説明する(C)成分の粒子径は、例えば、大塚電子社製・濃厚系粒径アナライザーにより測定される平均粒子径である。
【0066】
((C)成分の製造方法)
(C)成分の製造方法としては、例えば、前記官能基を有するモノマーを含むモノマー成分を重合する方法が挙げられる。なお、ヒドラジド基を導入するに当たっては、通常、まずヒドラジド基と反応し得るケト基を有するモノマーを重合し、これにヒドラジド基を有する化合物を反応させる、という工程を経る。ケト基を有するモノマーとしては、例えば、ジアセトンアクリルアミドが挙げられ、ヒドラジド基を有する化合物としては、例えば、アジピン酸ジヒドラジドが挙げられる。
【0067】
前記官能基を有するモノマーとしては、例えば、前記モノマー(b2)のうち、前記官能基を有するモノマー等の、前記官能基及びエチレン性不飽和結合を有するモノマーが挙げられる。
この際、モノマー成分は、前記官能基を有するモノマー以外の他のモノマーをさらに含んでもよい。他のモノマーとしては、前記官能基を有するモノマーと共重合可能なモノマーであればよく、塗料用樹脂に用いられるモノマーとして公知のモノマーのなかから(C)成分の所望の樹脂骨格組成に応じて適宜選択できる。
また、モノマー成分の重合方法は、特に限定されず、溶液重合、乳化重合、懸濁重合等の公知の重合法を用いることができる。
【0068】
<(B)成分と(C)成分との固形分比率>
本発明の多彩塗料組成物においては、(B)成分の質量を(C)成分の質量で除した値、即ち、固形分比率(B)/(C)が0.03以上0.11未満である。
多彩塗料組成物中における固形分比率(B)/(C)が上記範囲の下限値以上であれば、(B)成分による親水化効果が充分に発揮され、得られる塗膜の耐汚染性に優れる。また、固形分比率(B)/(C)が上記範囲の上限値以下であることで、得られる塗膜の耐汚染性、耐水性、耐候性に優れる。
また、上記効果を得る観点から、上記の固形分比率(B)/(C)は、0.04以上0.1以下がより好ましく、0.06以上0.1以下が最も好ましい。
【0069】
<多彩塗料組成物中の任意成分>
本発明の多彩塗料組成物は、上記の成分に加えて、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、さらに、上記以外の樹脂エマルジョン、並びに、含水ケイ酸マグネシウム等の体質顔料、増粘剤、分散剤、消泡剤、防腐剤及びレベリング剤等の添加剤を含んでいてもよい。これらの成分としては、それぞれ、公知のものを用いることができる。
【0070】
<多彩塗料組成物の製造方法>
本発明の多彩塗料組成物は、上記のような(A)成分(着色ゲル状粒子(A):濃色系着色ゲル状粒子(A1)と非濃色系ゲル状粒子(A2))と、(B)成分(水性樹脂(B))と、(C)成分(樹脂エマルジョン(C))とを、例えば、ディソルバ等の分散機を用いて撹拌することによって調整することができる。この際、上記の(A)成分、(B)成分及び(C)成分に加え、さらに、必要に応じて、上述したその他の任意成分を混合することができる。この際、多彩塗料組成物中の(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計の含有量は、当該多彩塗料組成物の用途によって適宜規定される。
【0071】
なお、上記各成分の混合方法は、各材料を均一に混合できる方法であれば、特に制限されない。また、上記各成分を混合する際の混合順序についても、特に限定されない。
【0072】
<多彩塗料組成物の塗膜>
本発明の多彩塗料組成物から得られる塗膜は、多彩塗料組成物を被塗装物に塗布し、乾燥させることによって形成できる。
本発明の多彩塗料組成物の被塗装物としては、特に限定されず、例えば、サイディングボードやフレキシブル板等が挙げられる。また、これらの被塗装物には、多彩塗料組成物の塗布される前に、予め、下塗塗膜が形成されていてもよい。この下塗塗膜は、公知の下塗塗料を用いて形成できる。
【0073】
多彩塗料組成物の塗布方法としても、特に限定されず、例えば、刷毛、ローラー、ガン等を用いた方法が挙げられる。
また、塗布後の多彩塗料組成物の乾燥条件としては、例えば、23℃で14日間放置する条件が挙げられる。
また、多彩塗料組成物の塗膜の厚さは、特に限定されないが、例えば、乾燥後の厚さを50〜500μmとすることができる。
【0074】
<作用効果>
以上説明したように、本発明の多彩塗料組成物によれば、エマルジョン塗料がゲル化膜でカプセル化された少なくとも1色以上の着色ゲル状粒子(A)、水性樹脂(B)、及び樹脂エマルジョン(C)を、それぞれ特有の範囲で最適化された組成で含み、且つ、着色ゲル状粒子(A)において、濃色系エマルジョン塗料と非濃色系エマルジョン塗料との、塗膜化後に所定条件で人工太陽照明灯による光を照射した際の塗膜表面温度の差を所定範囲に規定している。これにより、長期間にわたって屋外に暴露された場合においても、不均一な劣化が生じるのが十分に抑制され、且つ、優れた耐汚染性を維持可能な、複数色を有する塗膜が得られる。
【0075】
また、(B)成分は、モノマー(b1)由来の構成単位及びモノマー(b2)由来の構成単位を有するため、親水性基及び架橋基を有する。(B)成分が親水性基を有することで、塗膜表面が親水性を有し、得られる塗膜の耐汚染性に優れる。また、(B)成分が架橋基を有し、(C)成分が、前記架橋基と反応し得る官能基を有することで、塗膜中で(B)成分と(C)成分とが反応し強固に化学結合するため、塗膜表面の親水性が失われにくく、塗膜の耐汚染性が長期間持続する。
【0076】
従って、本発明の多彩塗料組成物によれば、長期間にわたって屋外に暴露された場合においても、不均一な劣化が生じるのが十分に抑制され、且つ、優れた耐汚染性を維持することが可能な、複数色を有する塗膜が得られる。
また、本発明の多彩塗料組成物から形成される塗膜は、耐水性、耐候性にも優れる。
【実施例】
【0077】
以下、実施例により本発明の多彩塗料組成物をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の説明においては、特に説明の無い限り、「部」及び「%」は、「質量部」及び「質量%」を意味する。
【0078】
<水性樹脂(B)の製造>
以下に、製造例B1〜B13における水性樹脂(B)の合成例を示す。
【0079】
[製造例B1]
攪拌機を備えた内容量3Lの丸底フラスコに、2−プロパノール500g、メチルメタクリレート30g、ジメチルアミノエチルメタクリレート150g、メタクリル酸4g、ジアセトンアクリルアミド16gを仕込み、攪拌しながら昇温し、75℃にて2,2’−アゾビスイソブチロニトリル2gを仕込み、反応を開始した。内温75℃にて5時間反応させ冷却し、40℃以下にて25%−アンモニア水15g、水1800gを仕込み、均一になるまで攪拌し、固形分8%の液体を得た。そして、ロータリーエバポレーターを用いて、この液体から2−プロパノールを留去し、固形分10%、重量平均分子量11万の水性樹脂(B1)を得た。
【0080】
[製造例B2〜B13]
製造例B1と同様の方法により、使用する原料の仕込み量(g)を下記表1〜3に示すように変更した点以外は、製造例B1と同様の方法で水性樹脂(B2)〜(B13)を得た。各製造例B1〜B13における固形分、粒子径、重量平均分子量について、下記表1〜3に示す。
【0081】
【表1】
【0082】
【表2】
【0083】
【表3】
【0084】
なお、製造例B11(※)で得られた水性樹脂(B11)については、共重合体がアンモニア水添加時に均一化されず、高粘度の状態であったため、固形分、粒子径は測定できなかった。但し、重量平均分子量については、アンモニア水添加前の未中和時に測定できた。
【0085】
<樹脂エマルジョン(C)の製造>
以下に製造例C1からC5の樹脂エマルジョン(C)の合成例を示す。
【0086】
[製造例C1]
攪拌機を備えた内容量3Lのセパラブル丸底フラスコに、水520部、アデカリアソープ(登録商標)SR10(ADEKA社製)10部を仕込み、撹拌しつつ60℃に昇温した。
次に、内容量2Lのビーカーに水210部を仕込み、これに、アデカリアソープSR10(ADEKA社製)10部を加え溶解させ、撹拌しつつ、メチルメタクリレート520部、2−エチルヘキシルアクリレート400部、ジアセトンアクリルアミド30部、メタクリル酸50部を仕込み、乳化させてモノマー乳化液を得た。次いで、内容量100mLのビーカーに水50部を仕込み、これに、過硫酸カリウム3部を溶解させて開始剤水溶液を得た。
次に、60℃となった前記セパラブル丸底フラスコに、前記モノマー乳化液及び前記開始剤水溶液のそれぞれの全量のうちの10%を加え、さらに、水30部に溶解させた亜硫酸水素ナトリウム1部を添加した。次いで、発熱と色調変化(青白色)を確認した後、このセパラブル丸底フラスコ中に、前記モノマー乳化液及び前記開始剤水溶液のそれぞれの残りを4時間かけて滴下した。この際の反応温度は65℃を維持した。次いで、滴下終了後、2時間反応させて冷却し、40℃以下にて、アンモニア60部、アジピン酸ジヒドラジド20部を水150部に添加した水分散液と、防腐剤5部とを加え、蒸発残分50%のアクリルポリマーエマルジョンを得た。そして、このエマルジョンに、テキサノール100部と水100部を添加し、蒸発残分50%、Tg20℃、最低造膜温度0℃、粒子径0.10μm、pH8の樹脂エマルジョン(C1)を得た。
なお、アデカリアソープSR10(ADEKA社製)は、下記化学式で表される化合物であり、下記式中、Rはアルキル基を示す。
【0087】
【化1】
【0088】
[製造例C2]
攪拌機を備えた内容量3Lのセパラブル丸底フラスコに、水670g、アデカリアソープSR10(ADEKA社製)10gを仕込み、撹拌しつつ60℃に昇温した。
次に、内容量1Lのビーカーに水105gを仕込み、これにアデカリアソープSR10(ADEKA社製)5gを加えて溶解させ、撹拌しつつ、メチルメタクリレート270g、2−エチルヘキシルアクリレート205g、グリシジルメタクリレート25gを仕込み、乳化させてモノマー乳化液Iを得た。次いで、内容量100mLのビーカーに水50gを仕込み、これに過硫酸カリウム3gを溶解させて開始剤水溶液を得た。
次に、60℃となった前記セパラブル丸底フラスコに、前記モノマー乳化液Iの全量のうちの20%と、前記開始剤水溶液の全量のうちの10%とを加え、さらに、水30gに溶解させた亜硫酸水素ナトリウム1gを添加した。次いで、発熱と色調変化(青白色)を確認した後、このセパラブル丸底フラスコ中に前記モノマー乳化液Iの残り全量と、前記開始剤水溶液の残りのうちの45%とを2時間かけて滴下した。この際の反応温度は65℃を維持した。そして、滴下終了後、1時間反応させた。
次に、内容量1Lのビーカーに水105gを仕込み、これに、アデカリアソープSR10(ADEKA社製)5gを加えて溶解させ、撹拌しつつ、メチルメタクリレート270g、2−エチルヘキシルアクリレート205g、メタクリル酸25gを仕込み、乳化させてモノマー乳化液IIを得た。次いで、このモノマー乳化液IIの全量と、前記開始剤水溶液の残りのうちの45%とを、前記1時間反応させた後のセパラブル丸底フラスコ中に2時間かけて滴下した。この際の反応温度は65℃を維持した。滴下終了後、2時間反応させて冷却し、40℃以下にてアンモニア30g、防腐剤5gを加え、蒸発残分50%のアクリルポリマーエマルジョンを得た。このエマルジョンにテキサノール100gと水100gを添加し、蒸発残分50%、Tg20℃、最低造膜温度0℃、粒子径0.20μm、pH8の樹脂エマルジョン(C2)を得た。
【0089】
[製造例C3]
攪拌機を備えた内容量3Lのセパラブル丸底フラスコに、水670g、アデカリアソープSR10(ADEKA社製)5gを仕込み、撹拌しつつ60℃に昇温した。
次に、内容量2Lのビーカーに水210gを仕込み、これに、アデカリアソープSR10(ADEKA社製)15gを加えて溶解させ、撹拌しつつ、メチルメタクリレート580g、2−エチルヘキシルアクリレート360g、Z6030(東レダウコーニング社製)10g、メタクリル酸50gを仕込み、乳化させてモノマー乳化液を得た。次いで、内容量200mLのビーカーに水100gを仕込み、これに過硫酸カリウム3gを溶解させて開始剤水溶液を得た。
次に、60℃となった前記セパラブル丸底フラスコに、前記モノマー乳化液及び前記開始剤水溶液のそれぞれの全量のうち10%を加え、さらに、水60gに溶解させた亜硫酸水素ナトリウム1gを添加した。発熱と色調変化(青白色)を確認した後、このセパラブル丸底フラスコ中に前記モノマー乳化液及び前記開始剤水溶液の残りを3時間かけて滴下した。この際の反応温度は65℃を維持した。滴下終了後、2時間反応させて冷却し、40℃以下にてアンモニア60g、防腐剤5gを加え、蒸発残分50%のアクリルシリコンポリマーエマルジョンを得た。これにテキサノール120gと水180gを添加し、蒸発残分50%、Tg30℃、最低造膜温度0℃、粒子径0.15μm、pH8の樹脂エマルジョン(C3)を得た。
なお、Z6030(東レダウコーニング社製)は、下記化学式で表される化合物である。
【0090】
【化2】
【0091】
[製造例C4]
攪拌機を備えた内容量3Lのセパラブル丸底フラスコに、水670g、アデカリアソープSR10(ADEKA社製)5gを仕込み、撹拌しつつ60℃に昇温した。
次に、内容量2Lのビーカーに水210gを仕込み、これにアデカリアソープSR10(ADEKA社製)15gを加え溶解させ、撹拌しつつ、メチルメタクリレート540g、2−エチルヘキシルアクリレート410g、メタクリル酸50gを仕込み乳化させてモノマー乳化液を得た。そして、内容量100mLのビーカーに水50gを仕込み、これに過硫酸カリウム3gを溶解させて開始剤水溶液を得た。
次に、60℃となった前記セパラブル丸底フラスコに、前記モノマー乳化液及び前記開始剤水溶液それぞれの全量のうちの10%を加え、さらに、水30gに溶解させた亜硫酸水素ナトリウム1gを添加した。次いで、発熱と色調変化(青白色)を確認した後、このセパラブル丸底フラスコ中に前記モノマー乳化液及び前記開始剤水溶液の残りを4時間かけて滴下した。この際の反応温度は65℃を維持した。滴下終了後、2時間反応させて冷却し、40℃以下にてアンモニア60g、防腐剤5gを加え、蒸発残分50%のアクリルポリマーエマルジョンを得た。これにテキサノール100gと水100gを添加し、蒸発残分50%、Tg20℃、最低造膜温度0℃、粒子径0.20μm、pH8の樹脂エマルジョン(C4)を得た。
【0092】
[製造例C5]
攪拌機を備えた内容量3Lのセパラブル丸底フラスコに、水670gを仕込み、撹拌しつつ60℃に昇温した。
また、内容量2Lのビーカーに水210gを仕込み、これにアデカリアソープSR10(ADEKA社製)20gを仕込み、溶解させ、撹拌しつつメチルメタクリレート520g、2−エチルヘキシルアクリレート380g、ブレンマー(登録商標)PE350(日油社製)100gを仕込み乳化させてモノマー乳化液を得た。
次に、内容量200mLのビーカーに水100gを仕込み、これに過硫酸カリウム3gを溶解させて開始剤水溶液を得た。
次に、60℃となった前記セパラブル丸底フラスコに、前記モノマー乳化液及び前記開始剤水溶液それぞれの全量のうち10%を加え、さらに水60gに溶解させた亜硫酸水素ナトリウム1gを添加した。次いで、発熱と色調変化(青白色)を確認した後、このセパラブル丸底フラスコ中に前記モノマー乳化液及び前記開始剤水溶液の残りを3時間滴下した。この際の反応温度は65℃を維持した。滴下終了後、2時間反応させて冷却し、40℃以下にてアンモニア20g、防腐剤5gを加え、蒸発残分50%のアクリルポリマーエマルジョンを得た。これにテキサノール120gと水180gを添加し、蒸発残分50%、Tg20℃、最低造膜温度0℃、粒子径0.25μm、pH8の樹脂エマルジョン(C5)を得た。
なお、ブレンマーPE350(日油社製)は、下記化学式で表される化合物である。
【0093】
【化3】
【0094】
下記表4に、樹脂エマルジョン(C1)〜(C5)の樹脂骨格組成、蒸発残分、ガラス転移温度(Tg)、最低像膜温度、粒子径、pH、官能基の種類を示す。
【0095】
【表4】
【0096】
<エマルジョン塗料(E)の調整>
下記に示すアクリル樹脂エマルジョン、及び、親水性コロイド形成物質を、下記表5に示す配合割合で配合し、攪拌混合することにより、混合溶液(a)を得た。一方、下記(D−1)〜(D−7)の着色顔料、下記に示す分散剤及び水を、下記表5に示す配合割合で配合し、攪拌混合することにより、混合溶液(b)を得た。そして、混合溶液(a)に混合溶液(b)を加えて攪拌混合することにより、下記表5に示すような、単色エマルジョン塗料(E−1)〜(E−7)を得た。なお、下記表5において、各成分の配合割合の単位は質量部である。
【0097】
[アクリル樹脂エマルジョン]
アニオン性高分子アクリル樹脂エマルジョン(「プライマルAC−38(登録商標)」日本アクリル化学社製)
[親水性コロイド形成物質]
非イオン性グアルゴム誘導体の1.5%水溶液
[着色顔料]
(D−1)遮熱顔料ブラック(「ダイピロキサイドカラーブラック9595(登録商標)」、大日精化社製、鉄−クロム複合酸化物)
(D−2)遮熱顔料ブラウン(「ダイピロキサイドカラーブラウン9290(登録商標)」、大日精化社製、鉄−コバルト−クロム複合酸化物)
(D−3)ブラック(「三菱カーボンブラックMA−100(登録商標)」、三菱化学社製、カーボンブラック)
(D−4)ブラウン(「T−10」、チタン工業社製、鉄−亜鉛複合酸化物)
(D−5)ブルー(「シアニンブルー5187(登録商標)」、大日精化社製、フタロシアニン銅)
(D−6)イエロー(「LLXLO」、チタン工業社製、酸化鉄)
(D−7)ホワイト(「R−930」、石原産業社製、酸化チタン)
[分散剤]
アニオン性高分子分散液(「オロタン731(登録商標)」、日本アクリル化学社製)
【0098】
【表5】
【0099】
そして、得られた単色エマルジョン塗料(E−1)〜(E−7)を、下記表6及び表7に示す配合割合で配合し、攪拌混合することにより、下記表6及び表7に示すような、エマルジョン塗料(F−1)〜(F−19)を得た。なお、下記表6及び表7において、単色エマルジョン塗料の配合割合の単位は質量部である。
【0100】
(表面温度の測定)
上記のようにして得られた濃色系のエマルジョン塗料(F−1)〜(F−16)を、ドクターブレードにて塗膜の厚さが50μmになるように、厚さ5mmの透明なポリ塩化ビニルの板上に塗布し、乾燥させることにより、試験体を作製した。そして、この試験体を、100Wの人工太陽照明灯(「XC−100A」、セリック株式会社製)から20cmの距離に配置し、この状態で光を30分間照射した。そして、試験体における表面の温度をサーモメーター(「IT−540」、株式会社堀場製作所製)によって測定し、この値をT
A1(℃)とした。一方、エマルジョン塗料として、非濃色系のエマルジョン塗料である(F−17)〜(F−19)を用いて上記と同様の方法で作製した試験体についても、上記同様に表面温度を測定し、この値をT
A2(℃)とした。これらの結果を下記表6及び表7中に示す。
【0101】
【表6】
【0102】
【表7】
【0103】
<ゲル状粒子の作製>
含水ケイ酸マグネシウムの4質量%水中分散液からなる体質顔料25質量部に、重ホウ酸アンモニウムの5質量%水溶液からなるゲル化剤5質量部と、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの1質量%水溶液からなる水溶性高分子化合物25質量部を加えて攪拌混合した後、水45質量部を加えて希釈し、分散媒を得た。次に、この分散媒40質量部に、上記エマルジョン塗料(F−1)〜(F−19)60質量部を加え、ディゾルバで攪拌し、粒径が10mmになるまでエマルジョン塗料を分散させて、ゲル状粒子(G−1)〜(G−19)を得た。ここで、(G−X)は、エマルジョン塗料として(F−X)を用いたゲル状粒子(X:通し番号)である。
なお、表6及び表7において、ゲル状粒子(G−1)〜(G−19)の明度(マンセル値)は、それぞれ、エマルジョン塗料(F−1)〜(F−19)の欄に記載している。
【0104】
<多彩模様塗料の調整:実施例1〜13、比較例1〜3>
樹脂エマルジョンC−1を18.5質量部、下記表8及び表9に示す配合割合で上記濃色系ゲル状粒子(G−1)〜(G−16)及び非濃色系ゲル状粒子(G−17)〜(G−19)を配合してなるゲル状粒子を70質量部、アルカリ増粘剤(「SNシックナー636(登録商標)」サンノプコ社製)からなる増粘剤を1質量部、25質量%アンモニア水を0.1質量部、水性樹脂B−1を6.5質量部、及び水3.9質量部をディゾルバで攪拌することにより、実施例1〜13及び比較例1〜3の多彩模様塗料を得た。
【0105】
<性能評価>
上記で得られた各実施例の多彩模様塗料について、以下に説明する評価を行った。これらの評価結果を下記表8及び表9に示す。なお、下記表8及び表9において、ゲル状粒子の配合割合の単位は質量部である。
【0106】
[遮熱性評価]
各実施例及び比較例の多彩模様塗料について、表6及び表7中に示した表面温度T
A1(℃)及びT
A2(℃)から、次式{ΔT
A=T
A1−T
A2}に基づき、表面温度の差ΔT
Aを算出し、結果を下記表8及び表9に示した。この際、T
A1、T
A2が複数存在するときは、ΔT
Aが最大となる値を用いた。
【0107】
[耐候性評価]
まず、多彩模様塗料をスレート板に塗装し、評価用試験体を作製した。
上記の試験体を、紫外線照射機(「アイスーパーUVテスターW−151(登録商標)」岩崎電気社製)の試験槽内に設置し、ブラックパネル温度が63℃、湿度が50%RH、塗面の照射強度が1000mW/cm
2となるように紫外線を4時間にわたって照射した。その後、試験槽内の温度を約30℃、湿度を98%RH以上に設定して、試験槽内を結露させ、この状態で4時間にわたって保持した。そして、この照射と結露を1サイクルとし、1000時間後、即ち125サイクル終了後に試験体を取り出し、評価用試験体の表面を目視で観察して、評価用試験体において不均一な劣化が抑制されているかどうかを評価した。この際の評価基準は以下の通りとした。
◎:濃色系ゲル状粒子周辺でクラックが全く見られず、且つ艶が消えていない
○:濃色系ゲル状粒子周辺でクラックが全く見られないが、艶がやや消えている
△:濃色系ゲル状粒子周辺でごく細かいクラックが見られる
×:大きいクラックが濃色系ゲル状粒子に沿って散見される
耐候性評価試験においては、上記評価基準のうち、◎、○、△のものを合格とし、×のものを不合格とした。
【0108】
[耐雨筋汚染性]
アルミ板(大きさ225×100×1mm)を、長辺方向の一端から3分の1の位置で、短辺方向に沿って内角135°に折り曲げ、凸面に溶剤型ウレタン系下塗塗料(二液)を塗布し、室温下で1日間乾燥し、次いで、水系下塗塗料(一液)を塗布し、室温下で4時間乾燥して下塗塗膜を形成した。この下塗塗膜上に、上記の多彩模様塗料を0.5mmの厚さとなるように塗布し、室温下で1週間乾燥させたものを試験体とした。この試験体を、埼玉県久喜市桜田の藤倉化成(株)敷地内(屋外)で南面に垂直暴露した。そして、1年後の試験体における雨筋汚れを目視観察し、以下の基準で塗膜の耐雨筋汚染性を評価した。
○:雨筋汚れ小
△:雨筋汚れ中
×:雨筋汚れ大
耐雨筋汚染性評価試験においては、上記評価基準のうち、○のものを合格とし、△、×のものを不合格とした。
【0109】
[汚染後の遮熱機能]
上述した表面温度測定方法に基づき、上記の耐雨筋汚染性評価で用いた塗板の表面温度を測定した。この測定は、耐雨筋汚染性評価試験の前後に行い、汚染前の表面温度をT
B0(℃)、汚染後の表面温度をT
B1(℃)として、次式{ΔT
B=T
B1−T
B0}に基づいて表面温度の差ΔT
Bを算出した。
【0110】
[耐水性]
スレート板(大きさ40×75×3mm)の片面に溶剤型ウレタン系下塗塗料(二液)を塗布し、室温下で1日間乾燥し、次いで、水系下塗塗料(一液)を塗布し、室温下で4時間乾燥して下塗塗膜を形成した。次いで、この下塗塗膜上に、多彩模様塗料を、乾燥後の厚さが0.5mmとなるように塗布し、室温下で1週間乾燥して塗膜を形成した。その後、塗膜を形成したスレート板の裏面と側面にエポキシ系塗料(二液)を塗布し、1日乾燥した後、さらに、エポキシ系塗料の上にフッ素系塗料(二液)を塗布し、3日間乾燥して試験体とした。
この試験体を40℃純水に1週間浸漬した後、試験体の塗膜の状態を目視で観察し、以下の基準で塗膜の耐水性を評価した。
○:異常なし
△:わずかにフクレあり
×:フクレあり
耐水性評価試験においては、上記評価基準のうち、○のものを合格とし、△、×のものを不合格とした。
【0111】
【表8】
【0112】
【表9】
【0113】
<実施例1〜13及び比較例1〜3の評価結果>
表8及び表9に示す結果のように、着色ゲル状粒子(A)、水性樹脂(B)、及び樹脂エマルジョン(C)を、それぞれ特有の範囲で最適化された組成で含み、且つ、着色ゲル状粒子(A)において、濃色系エマルジョン塗料と非濃色系エマルジョン塗料との、塗膜化後に所定条件で人工太陽照明灯による光を照射した際の塗膜表面温度の差が所定範囲とされた多彩塗料組成物を調整し、この組成物を用いて塗膜を形成した実施例1〜13においては、耐雨筋汚染性及び耐水性の評価が「○」(合格)であり、また、耐候性(不均一な劣化の抑制効果)の評価が◎、○又は△(合格)である結果となった。即ち、実施例1〜13の多彩模様塗料を用いて形成された多彩模様塗膜は、何れも、全ての評価項目において合格基準に達していた。
【0114】
これに対して、比較例1〜3の多彩模様塗料を用いて形成された多彩模様塗膜は、耐雨筋汚染性及び耐水性の評価は「○」(合格)であったものの、塗膜化後に所定条件で人工太陽照明灯による光を照射した際の塗膜表面温度の差が大きすぎることから、耐候性(不均一な劣化の抑制効果)の評価が全て「×」(不合格)となり、合格基準に達していなかった。
上記結果より、本発明の規定を満たす実施例1〜13の多彩模様塗料によれば、濃色系ゲル状粒子と非濃色系ゲル状粒子とを含む多彩模様塗料から形成される塗膜において、不均一な劣化を十分に抑制でき、耐候性に優れていることが確認できた。
【0115】
<多彩模様塗料の調整:実施例14〜21、比較例4〜13>
各組成を下記表10〜13に示すような組成に変更した点を除き、上記の実施例12と同様の方法により、多彩模様塗料を調整した。この際、多彩模様の調整を行なう際に用いた水性樹脂B−1及び樹脂エマルジョンC−1を、下記表10〜13に示すような水性樹脂に変更するとともに、添加部数も変更した。
【0116】
そして、実施例14〜21、比較例4〜13についても、上記同様の評価試験を行い、結果を下記表10〜13に示した。
【0117】
【表10】
【0118】
【表11】
【0119】
【表12】
【0120】
【表13】
【0121】
<実施例14〜21及び比較例4〜13の評価結果>
表10〜13に示す結果のように、着色ゲル状粒子(A)、水性樹脂(B)、及び樹脂エマルジョン(C)を、それぞれ特有の範囲で最適化された組成で含み、且つ、着色ゲル状粒子(A)において、濃色系エマルジョン塗料と非濃色系エマルジョン塗料との、塗膜化後に所定条件で人工太陽照明灯による光を照射した際の塗膜表面温度の差が所定範囲とされた多彩塗料組成物を調整し、この組成物を用いて塗膜を形成した実施例14〜21においては、耐候性(不均一な劣化の抑制効果)の評価が◎(合格)であり、また、耐雨筋汚染性及び耐水性の評価が「○」(合格)である結果となった。即ち、実施例1〜13の多彩模様塗料を用いて形成された多彩模様塗膜は、何れも、全ての評価項目において合格基準に達していた。
【0122】
これに対して、比較例4〜13は、水性樹脂(B)又は樹脂エマルジョン(C)の少なくとも何れかの組成が、本発明で規定する組成の範囲外であるか、これらの固形分比率(B)/(C)が本発明の規定範囲外となっている例、あるいは、塗膜化後に所定条件で人工太陽照明灯による光を照射した際の塗膜表面温度の差が本発明の規定範囲外となっている例である。
【0123】
比較例4は、上記の固形分比率(B)/(C)が本発明で規定する上限を超えていることから、特に、耐候性及び耐水性が劣っている。
比較例5は、耐候性及び耐水性は良好であったものの、上記の固形分比率(B)/(C)が本発明で規定する下限未満であることから、耐雨筋汚染性が劣っている。
比較例6は、耐候性は良好であったものの、樹脂エマルジョン(C)に官能基が無いことから、水性樹脂(B)と樹脂エマルジョン(C)とが架橋せず、特に、耐雨筋汚染性が劣っている。
比較例7は、耐候性は良好であったものの、親水成分であるモノマー(b1)が少なすぎることから、特に、耐雨筋汚染性が劣っている。
比較例8は、耐候性は良好であったものの、水性樹脂(B)の重量平均分子量が、本発明で規定する下限を下回っていることから、特に、耐雨筋汚染性が劣っている。
【0124】
比較例9は、耐候性及び耐水性は良好であったものの、水性樹脂(B)を含んでいないため、特に、耐雨筋汚染性が劣っている。
比較例10は、耐候性及び耐水性は良好であったものの、水性樹脂(B)が有する官能基と、樹脂エマルジョン(C)が有する官能基とが、互いに架橋するものではないことから、これらが架橋せず、特に、耐雨筋汚染性が劣っている。
比較例11は、塗膜形成時に割れが入り、評価不可能だった例だが、これは、水性樹脂(B)の架橋官能基が多すぎたために造膜不良が生じたものと考えられる。
比較例12は、耐候性は良好であったものの、水性樹脂(B)及び樹脂エマルジョン(C)の何れもが官能基を有していないため、これらが架橋せず、特に、耐雨筋汚染性が劣っている。
比較例13は、水性樹脂(B)の重量平均分子量が本発明で規定する上限を超えている例であり、重合体自体は得られ、また、重量平均分子量の測定も可能であったものの、アンモニア水の添加時に重合体が均一化されず、高粘度の状態のため、塗料組成物として用いることができなかった。
【0125】
以上説明した実施例の結果より、本発明の多彩塗料組成物は、塗膜形成後の耐候性、耐雨筋汚染性及び耐水性に優れており、長期間にわたって屋外に暴露された場合においても、不均一な劣化が生じるのが十分に抑制され、且つ、優れた耐汚染性を維持することが可能な、複数色を有する塗膜が得られることが明らかである。