(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記1つまたは2つの中空糸膜エレメントは、複数の前記中空糸膜が中心軸の周りに螺旋状に巻回されてなる中空糸膜巻上げ体を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の中空糸膜モジュール。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の中空糸膜モジュールは、1つの圧力容器と、圧力容器内に装填された少なくとも1つの中空糸膜エレメントと、を備える。
【0014】
少なくとも1つの中空糸膜エレメントの各々は、両端に開口部を有する複数の中空糸膜と、バイパス管と、長手方向の一方端側に設けられた供給口および排出口と、を含む。
【0015】
供給口は、複数の中空糸膜の流入側開口部に連通し、
バイパス管は、中空糸膜エレメントの長手方向に設けられており、中空糸膜の流出側開口部側の端部にバイパス管流入口を有し、中空糸膜の流入側開口部側の端部にバイパス管流出口を有し、
複数の中空糸膜の流出側開口部は、バイパス管流入口に連通し、バイパス管流出口は、排出口に連通する。
【0016】
前記少なくとも1つの中空糸膜エレメントは、2つの中空糸膜エレメントであり、
前記2つの中空糸膜エレメントの各々において、前記供給口および前記排出口が、他方の中空糸膜エレメントの反対側に設けられていることが好ましい。
【0017】
以下、本発明の中空糸膜モジュールについて図面を参照して説明する。なお、図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表すものである。また、長さ、幅、厚さ、深さなどの寸法関係は図面の明瞭化と簡略化のために適宜変更されており、実際の寸法関係を表すものではない。
【0018】
(実施形態1)
図1を参照して、本実施形態の中空糸膜モジュールは、1つの圧力容器1に、1つの中空糸膜エレメントが装填されたシングルエレメント型中空糸膜モジュールである。
図1では、フィードソリューション(FS)は中空糸膜41の外側31を流れ、ドローソリューション(DS)は中空糸膜41の内部(中空部)を流れる。これにより、FS中の淡水をDSへ取出すことで、DSを希釈したり、FSを濃縮したりすることができる。
【0019】
中空糸膜エレメントは、中心に配置された複数の孔21aを有する多孔分配管21と、その周囲に配置された複数の中空糸膜41と、多孔分配管21および複数の中空糸膜41をそれらの両端で固定する樹脂壁61とを備える。なお、複数の中空糸膜41の各々はその両端に開口部を有している。
【0020】
中空糸膜エレメントにおいて、中空糸膜の開口部は、独立して供給口および排出口に接続されている。すなわち、中空糸膜エレメントは、複数の中空糸膜41の内部および中空糸膜モジュールの外部に連通するDS供給口11aおよび排出口11bを有し、中空糸膜41の流入側開口部41aはDS供給口11aに接続され、流出側開口部41bはDS排出口11bに連通している。
【0021】
なお、多孔分配管21は、複数の孔を有する管状体であれば特に限定されない。多孔分配管21により、例えば、FS供給口10aから中空糸膜モジュール内に供給されたFSを中空糸膜の外側31へ分配することができる。孔は、放射状に各方向に設けられていることが好ましい。また、多孔分配管は、中空糸膜エレメントの略中心部に位置させることが好ましい。
【0022】
多孔分配管21の径は大きすぎると、膜モジュール内の中空糸膜が占める領域が減少し、結果として中空糸膜エレメントまたは膜モジュールの膜面積が減少するため容積あたりの透水量が低下することがある。また、多孔分配管の径が小さすぎると、供給流体が多孔分配管内を流動する際に圧力損失が大きくなり、結果として中空糸膜にかかる有効差圧が小さくなり処理効率が低下することがある。また、強度が低下して、供給流体が中空糸膜層を流れる際に受ける中空糸膜の張力により多孔分配管が破損する場合がある。これらの影響を総合的に考慮し、最適な径を設定することが重要である。中空糸膜エレメントの断面積に対して多孔分配管の断面積(バイパス管の断面積を除く)の占める面積割合は、4〜20%が好ましい。
【0023】
バイパス管81は、中空糸膜エレメント内においてその長手方向に設けられた配管であり、中空糸膜の流出側開口部側の端部にバイパス管流入口81aを有し、中空糸膜の流入側開口部側の端部にバイパス管流出口81bを有する。バイパス管流入口81aはディストリビューター51の流路51a(
図5参照)に連通しており、バイパス管流出口81bはディストリビューター53の内側の流路53a(
図6参照)に連通している。なお、ディストリビューター51の流路51cは、プラグ55によって流体が通過できないように封止されている。
【0024】
なお、バイパス管81は、中空糸膜エレメントの長手方向に平行である必要はなく、中空糸膜エレメントを長手方向に通過するような配管であればよい。また、本実施形態では、バイパス管81は多孔分配管の内部に設置されているが、このような形態に限定されず、中空糸膜エレメント内の他の部分を通過していてもよい。
【0025】
図7を参照して、スラストパイプ91は、開口91bを有する2枚の円盤状の部材91aが、4本の円柱を介して接合された構造体である。スラストパイプ91は、中空糸膜モジュールにおいて、中空糸膜エレメントと壁部材13,14の間に設置されている。スラストパイプ91は、開口91bを有しているため、FSがFS供給口10aより流入した際にその流れを妨げずに、2枚の円盤状の部材91aによって中空糸膜エレメントを固定することができる。このため、中空糸膜モジュールの中が流体で満たされた際に、中空糸膜エレメントが浮遊して中空糸膜モジュール内で不安定になることを防ぐことができる。
【0026】
図1を参照して、DS供給口11aより供給されたDSは、中空糸膜エレメント内の中空糸膜41の流入側開口部41aから中空糸膜41の内部に流入し、他端側の流出側開口部41bから流出する。流出したDSは、ディストリビューター51の流路51bから51aに流れ(
図5参照)、バイパス管81のバイパス管流入口81aからバイパス管81の内部に流入する。その後、バイパス管流出口81bが接続されたディストリビューター53の内側の流路53a(
図6参照)を通って、DS排出口11bから外部に取り出される。
【0027】
図5、6に示すように、ディストリビューターの構造がシンプルであるため、低コストかつ高精度で中空糸膜モジュールを作製することができる。これにより中空糸膜エレメントの交換等における作業効率(装脱着の容易さ、組立て精度等)を向上させることが可能となる。
【0028】
FSは、FS供給口10aよりディストリビューター53の外側の流路53cを介して(
図6参照)、中空糸膜エレメントの多孔分配管21とバイパス管81との間隙に入り、孔21aから流出して、中空糸膜41の外側31に供給される。中空糸膜41の外側31を通過したFSは、FS排出口10bから外部に取り出される。
【0029】
実施形態1においては、DS供給口11aおよびDS排出口11bの両方が中空糸膜エレメントの長手方向の一方端側に設けられている。このため、中空糸膜エレメントの装填、交換等の作業の際に、中空糸膜モジュールの長手方向の一方端側(中空糸膜モジュール配列群が組み込まれたラックの片側)のみで作業をすればよく、作業効率を向上させることができる。
【0030】
なお、
図1ではFS供給口10aの一方(下側)およびFS排出口10bの一方(下側)は閉栓されているが、複数の中空糸膜モジュールを並列的に接続する場合、これらを開栓すればよい。また、
図1において、FS供給口10aおよびFS排出口10bは、圧力容器1の外周部に設けられているが、このような形態に限定されず適宜変更することができる。例えば、
図2に示すように、FS供給口10aおよびFS排出口10bは、壁部材13,14に設けてもよい。
【0031】
複数の中空糸膜は、多孔分配管の周りに中空糸膜または中空糸膜の束を螺旋状に巻上げることによって、中空糸膜が半径方向に積層されることにより形成された中空糸膜巻上げ体であることが好ましい。中空糸膜巻上げ体では、中空糸膜は交差状に配置される場合もある。一般的に、交差配置を取ることにより、中空糸膜の交差部に空隙が規則的に形成される。この規則的な空隙が存在するため、中空糸膜の外側を流れる流体中の非溶解成分や粒子成分等が、中空糸膜間に捕捉されることが少なく、圧力損失の増大が生じにくくなる。
【0032】
中空糸膜巻上げ体は、従来公知の方法により製造することができる。例えば、特許4412486号公報、特許4277147号公報、特許3591618号公報、特許3008886号公報などに記載されているように、中空糸膜を45〜90本またはそれ以上を集めて1つの中空糸膜集合体とし、さらにこの中空糸膜集合体を複数横に並べて偏平な中空糸膜束として、多数の孔を有する有孔分配管にトラバースさせながら巻き付ける。このときの有孔分配管の長さおよび回転速度、中空糸膜束のトラバース速度を調節することによって、巻き上げ体の特定位置の周面上に交差部が形成するように巻き上げる。
【0033】
また、中空糸膜エレメントは、例えば、中空糸膜および多孔分配管の両端を樹脂で封止した後、樹脂の一部を切断し中空糸膜の両端部を開口させることで製造できる。例えば、上記の中空糸膜巻上げ体を、長さと交差部の位置を調整し、所定の位置で切断し、この巻き上げ体の両端部を接着した後、両側を切削して、中空糸膜の両端に開口部を有する中空糸膜エレメントを作製することができる。
【0034】
中空糸膜を構成する半透膜としては、例えば、逆浸透膜(RO膜:Reverse Osmosis Membrane)、正浸透膜(FO膜:Forward Osmosis Membrane)、ナノろ過膜(NF膜:Nanofiltration Membrane)、限外ろ過膜(UF膜:Ultrafiltration Membrane)と呼ばれる半透膜が挙げられる。半透膜は、好ましくは逆浸透膜または正浸透膜、ナノろ過膜である。なお、半透膜として逆浸透膜または正浸透膜、ナノろ過膜を用いる場合、対象溶液の圧力は、好ましくは0.5〜10.0MPaである。
【0035】
通常、RO膜およびFO膜の孔径は約2nm以下であり、UF膜の孔径は約2〜100nmである。NF膜は、RO膜のうちイオンや塩類の阻止率が比較的低いものであり、通常、NF膜の孔径は約1〜2nmである。半透膜としてRO膜またはFO膜、NF膜を用いる場合、RO膜またはFO膜、NF膜の塩除去率は好ましくは90%以上である。
【0036】
半透膜を構成する材料としては、特に限定されないが、例えば、セルロース系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリアミド系樹脂などが挙げられる。半透膜は、セルロース系樹脂およびポリスルホン系樹脂の少なくともいずれかを含む材料から構成されることが好ましい。
【0037】
セルロース系樹脂は、好ましくは酢酸セルロース系樹脂である。酢酸セルロース系樹脂は、殺菌剤である塩素に対する耐性があり、微生物の増殖を抑制できる特徴を有している。酢酸セルロース系樹脂は、好ましくは酢酸セルロースであり、耐久性の点から、より好ましくは三酢酸セルロースである。
【0038】
ポリスルホン系樹脂は、好ましくはポリエーテルスルホン系樹脂である。ポリエーテルスルホン系樹脂は、好ましくはスルホン化ポリエーテルスルホンである。
【0039】
中空糸膜は、例えば、特許3591618号公報に記載されているように、三酢酸セルロース、エチレングリコール(EG)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)よりなる製膜溶液を3分割ノズルより吐出し、空中走行部を経て、水/EG/NMPよりなる凝固液中に浸漬させて中空糸膜を得、次いで中空糸膜を水洗した後、熱処理することにより酢酸セルロース系中空糸膜を製造することができる。また、テレフタル酸ジクロリドおよび4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、ピペラジンより低温溶液重合法で得た共重合ポリアミドを精製した後、CaCl
2およびジグリセリンを含むジメチルアセトアミド溶液に溶解して製膜溶液とし、この溶液を3分割ノズルより空中走行部を経て凝固液中に吐出させ、得られた中空糸膜を水洗した後、熱処理することによりポリアミド系中空糸膜を製造することができる。
【0040】
中空糸膜の外径は、浸透処理等に用いられるものであれば特に限定されないが、例えば、160〜320μmである。外径が前記範囲より小さいと、必然的に内径も小さくなるため、中空糸膜の中空部を流れる流体の流動圧損が大きくなり問題が生じうる。一方、外径が前記範囲より大きいと、モジュールにおける単位容積あたりの膜面積を大きくすることができなくなり、中空糸膜モジュールのメリットの一つであるコンパクト性が損なわれる。
【0041】
中空糸膜の中空率は、浸透処理等に用いられるものであれば特に限定されないが、例えば、15〜45%である。中空率が前記範囲より小さいと、中空部の流動圧損が大きくなり、所望の透過水量が得られない可能性がある。また、中空率が前記範囲より大きいと、浸透処理の際に十分な耐圧性を確保できない可能性がある。なお、中空率(%)は下記式:
中空率(%)=(内径/外径)
2×100
により求めることができる。
【0042】
なお、本実施形態の中空糸膜エレメントは、スパイラル型の平膜と比べてエレメント当たりの膜面積を多くとることができる。中空糸膜の大きさにもよるが、ほぼ同サイズのエレメントの場合、スパイラル型のおよそ10倍の膜面積を得ることができる。従って、中空糸膜は、同じ透水量を得る際に単位膜面積あたりの処理量が極めて少なくて良く、スパイラル型に比べて供給水が膜を透水する際に生じる膜面の汚れを減少でき、膜の洗浄までの運転時間を長くとることができる。さらに、エレメント内の偏流が生じにくいため、浸透効率を高めることができる点で有利である。
【0043】
本実施形態の中空糸膜モジュールは、特に限定されず、正浸透処理、逆浸透処理などの水処理(膜分離処理)に使用することができる。本実施形態の中空糸膜モジュールは、好ましくは等張加圧膜分離(ブラインコンセントレーション)用のモジュールであり、例えば、大型の等張加圧膜分離用プラント等に好適に使用することができる。
【0044】
等張加圧膜分離法は、分離膜の両側に同じ濃度の対象液(同じ浸透圧を有する液)を流して、分離膜の一方側の対象液(FS)を加圧することにより、その分離膜の一方側の対象液(FS)中の水を分離膜を介して分離膜の他方側の対象液(DS)側に浸透させて、分離膜の一方側の対象液(FS)を濃縮する方法である。この方法によれば、対象液(FS,DS)の濃度が高くなっても、分離膜の両側での浸透圧差が基本的に生じないため、低圧力で濃縮を進行させることができ、より高濃度の対象液に対して低エネルギーで膜分離を行うことが可能となる。
【0045】
なお、本実施形態では、FSが、中空糸膜の外側に連通する供給口(FS供給口10a)から供給されて、中空糸膜の外側に連通する排出口(FS排出口10b)から排出され、DSが、中空糸膜の内部に連通する供給口(DS供給口11a)から供給されて、中空糸膜の内部に連通する排出口(DS排出口11b)から排出される形態について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、反対に、DSが、中空糸膜の外側に連通する供給口(DS供給口10a)から供給されて、中空糸膜の外側に連通する排出口(DS排出口10b)から排出され、FSが、中空糸膜の内部に連通する供給口(FS供給口11a)から供給されて、中空糸膜の内部に連通する排出口(FS排出口11b)から排出される形態も、本発明の範囲に包含される。
【0046】
(実施形態2)
図3を参照して、本実施形態の中空糸膜モジュールは、1つの圧力容器1に、2つの中空糸膜エレメント(第1中空糸膜エレメントおよび第2中空糸膜エレメント)が直列的に装填されたダブルエレメント型中空糸膜モジュールである点で、主に実施形態1と相違している。
【0047】
中空糸膜モジュール配列群を大型プラントとして用いる場合、中空糸膜モジュールの本数が多くなり、必要な配管も複雑になって、中空糸膜モジュールの設置面積が大きくなるという問題が生じるため、プラント全体をコンパクト化し、効率化することが望まれる。
【0048】
プラントをコンパクト化する方法の1つとしては、1本の中空糸膜エレメントの長さを長くして中空糸膜モジュール当たりの中空糸膜の比率を高め、モジュール当たりの膜面積を大きくする方法が考えられる。しかし、中空糸膜の中空部内を流れる液体は中空部の一方の端部から他方の端部に亘る全長を流れるため、中空糸膜が長くなると中空部内での圧力損失が大きくなってしまうという問題がある。
【0049】
このため、1つの圧力容器に2つの中空糸膜エレメントが直列的に装填された所謂ダブルエレメント型の中空糸膜モジュールの使用が検討されている(例えば、特許文献1:国際公開第2004/069391号、特許文献2:特開2015−160157号公報)。ダブルエレメント型の中空糸膜モジュールは、1つの圧力容器に対して1つの中空糸膜エレメントが装填された所謂シングルエレメント型の中空糸膜モジュールよりも、中空糸膜エレメント1本当たりの圧力容器の容積が減少するとともに、中空糸膜モジュール間の接続配管も少なくなるため、処理プラントのコンパクト化が可能となる利点を有している。
【0050】
以下、図面を参照して、本実施形態の中空糸膜モジュールについて具体的に説明する。なお、実施形態1と重複する説明はここでは省略する。
【0051】
本実施形態において、第1中空糸膜エレメントは、中心に配置された複数の孔21aを有する多孔分配管21と、その周囲に配置された複数の中空糸膜41と、多孔分配管21および複数の中空糸膜41をそれらの両端で固定する樹脂壁61とを備える。なお、複数の中空糸膜41の各々はその両端に開口部を有している。
【0052】
同様に、第2中空糸膜エレメントは、中心に配置された複数の孔22aを有する多孔分配管22と、その周囲に配置された複数の中空糸膜42と、多孔分配管22および複数の中空糸膜42をそれらの両端で固定する樹脂壁62とを備える。なお、複数の中空糸膜42の各々はその両端に開口部を有している。
【0053】
本実施形態では、各々の中空糸膜エレメントにおいて、中空糸膜の開口部は、各々の中空糸膜エレメントに対応した独立の供給口および排出口に接続されている。すなわち、各々の中空糸膜エレメントは、複数の中空糸膜41,42の内部と中空糸膜モジュールの外部との両方に連通するDS供給口11a,12aおよび排出口11b,12bを有している。中空糸膜41,42の流入側開口部41a,42aはDS供給口11a,12aにそれぞれ接続され、流出側開口部41b,42bはDS排出口11b,12bにそれぞれ接続されている。
【0054】
バイパス管81,82は、中空糸膜エレメント内においてその長手方向に設けられた配管であり、中空糸膜の流出側開口部41b,42b側の端部にバイパス管流入口81a,82aを有し、中空糸膜の流入側開口部41a,42a側の端部にバイパス管流出口81b,82bを有する。バイパス管流入口81a,82aはディストリビューター51,52の内側の流路51a,52a(
図5参照)にそれぞれ連通しており、バイパス管流出口81b,82bはディストリビューター53,54の内側の流路53a,54a(
図6参照)にそれぞれ連通している。なお、ディストリビューター54の流路54cはプラグ55によって、液体が通過できないように封止されている。
【0055】
中間コネクター71は、中空糸膜モジュール内の2つの中空糸膜エレメントを接続する部材である。本実施形態において、中間コネクター71は、第1中空糸膜エレメントの多孔分配管21とバイパス管81との間を通る流路と、第2中空糸膜エレメントの多孔分配管22とバイパス管82との間を通る流路とを連通させるための流路を有している。
【0056】
なお、第1中空糸膜エレメントと壁部材13との間にはスラストパイプ91(
図7参照)が設置され、第2中空糸膜エレメントと壁部材14との間にはスラストパイプ92(
図7参照)が設置されている。
【0057】
図3を参照して、DS供給口11a,12aより供給されたDSは、中空糸膜エレメント内の中空糸膜41,42の流入側開口部41a,42aから中空糸膜41,42の内部に流入し、他端側の流出側開口部41b,42bからそれぞれ流出する。流出したDSは、ディストリビューター51,52の流路51b,52bから流路51a,52aを通って(
図5参照)、バイパス管81,82のバイパス管流入口81a,82aからバイパス管の内部にそれぞれ流入する。その後、DSはバイパス管流出口81b,82bに接続されたディストリビューター53,54の流路53a,54a(
図6参照)を介して、DS排出口11b,12bから外部に取り出される。
【0058】
FSは、FS供給口10aよりディストリビューター53の外側の流路53c(
図6参照)を介して、第1中空糸膜エレメントの多孔分配管21とバイパス管81との間隙に入り、一部は孔21aから流出して、中空糸膜41の外側31に供給される。FSの残りの一部は、ディストリビューター51の外側の流路51c(
図5参照)を介して中間コネクター71を通り、ディストリビューター52の外側の流路52c(
図5参照)を介して第2中空糸膜エレメントの多孔分配管22とバイパス管82の間隙に入り、孔22aから流出して、中空糸膜42の外側32に供給される。第1中空糸膜エレメントの中空糸膜41の外側31を通過したFSと、第2中空糸膜エレメントの中空糸膜42の外側32を通過したFSとが合流して、FS排出口10bから取り出される。
【0059】
実施形態2においても、実施形態1と同様に、DS供給口11aとDS排出口11bとの両方が第1中空糸膜エレメントの長手方向の一方端側(第2中空糸膜エレメントと反対側)に設けられ、DS供給口12aとDS排出口12bとの両方が第2中空糸膜エレメントの長手方向の一方端側(第1中空糸膜エレメントと反対側)に設けられ、且つ、それぞれの供給口および排出口は、ダブルエレメント型中空糸膜モジュールの外側に連通している。このため、例えば、1つの中空糸膜エレメントの装填、交換等の作業を行う際には、中空糸膜モジュールの長手方向の一方端側(中空糸膜モジュール配列群が組み込まれたラックの片側)のみで作業をすればよく、作業効率を向上させることができる。
【0060】
また、実施形態2によれば、各々の中空糸膜エレメントを通過したDSは、独立してDS排出口11bまたは12bから排出されるため、2つの中空糸膜エレメントの性能を個別に評価することができる。これにより、中空糸膜エレメントの交換時期を個々の中空糸膜エレメントごとに判断して交換することができるため、コストの削減および作業効率の向上が可能となる。
【0061】
また、従来のダブルエレメント型の中空糸膜モジュール(例えば、特開2015−160157号公報参照)では、1つのDS供給口から流入したDSは2つの中空糸膜エレメントに流れ込むところ、第1中空糸膜エレメントと第2中空糸膜エレメントへのDSの供給量を均等にすることが難しいという問題があった。本発明によれば、2つの中空糸膜エレメントに対して独立にDSを供給するため、第1中空糸膜エレメントと第2中空糸膜エレメントへのDSの供給量を均等に制御することが容易であり、エレメントの性能を効率よく発現させることが可能となる。
【0062】
なお、
図3ではFS供給口10aの一方(下側)およびFS排出口10bの一方(下側)は閉栓されているが、複数の中空糸膜モジュールを接続する場合、これらを開栓すればよい。また、
図3において、FS供給口10aおよびFS排出口10bは、圧力容器1の外周部に設けられているが、このような形態に限定されず適宜変更することができる。例えば、
図4に示すように、FS供給口10aおよびFS排出口10bは、壁部材13,14に設けてもよい。
【0063】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。