特許第6972746号(P6972746)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6972746
(24)【登録日】2021年11月8日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】流量制御弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 47/02 20060101AFI20211111BHJP
   F01P 7/16 20060101ALI20211111BHJP
   F16K 1/00 20060101ALN20211111BHJP
【FI】
   F16K47/02 A
   F01P7/16 503
   !F16K1/00 E
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-150015(P2017-150015)
(22)【出願日】2017年8月2日
(65)【公開番号】特開2019-27556(P2019-27556A)
(43)【公開日】2019年2月21日
【審査請求日】2020年7月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 秀幸
【審査官】 橋本 敏行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−132607(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0326991(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01P 1/00−11/20
F16K 1/00−1/54
39/00−51/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流入ポートと、前記流入ポートに連通する流出ポートとを有するハウジングと、
前記ハウジング内に収容され、軸芯方向に移動することで前記流入ポートと前記流出ポートとの間で流体を流通させ又は遮断する円筒状の弁体と、
前記弁体を前記軸芯方向に移動させるアクチュエータと、
前記弁体と前記流入ポートとの間に設けられ、前記流入ポートから前記弁体に向かう流路を前記弁体の外周側に向けて分岐させる隔壁と、を備え
前記弁体は、前記軸芯方向の両端面のうち、前記流出ポートと対向する側にある第1端面に前記弁体の外径よりも小径の環状の第1面シールを備え、前記流出ポートとは反対の側にある第2端面に環状の第2面シールを備え、
前記弁体が前記第1面シールにより前記流出ポートを遮断した状態で、前記弁体の前記第1端面と前記第2端面とに流体が流れ込む流路が形成されている流量制御弁。
【請求項2】
流入ポートと、前記流入ポートに連通する流出ポートとを有するハウジングと、
前記ハウジング内に収容され、軸芯方向に移動することで前記流入ポートと前記流出ポートとの間で流体を流通させ又は遮断する円筒状の弁体と、
前記弁体を前記軸芯方向に移動させるアクチュエータと、
前記弁体と前記流入ポートとの間に設けられ、前記流入ポートから前記弁体に向かう流路を前記弁体の外周側に向けて分岐させる隔壁と、を備え、
前記隔壁と前記弁体の外周面との間に形成される第1隙間と、
前記第1隙間に対して前記弁体の軸芯を挟んで対称となる位置であって、前記弁体の外周面と前記ハウジングの内面との間に形成される第2隙間を有し、
前記第1隙間及び前記第2隙間は、径方向長さ及び周方向長さが等しくなるように構成されている流量制御弁。
【請求項3】
前記弁体は、前記第1端面において前記第1面シールよりも径方向外側に位置する環状部分の面積が、前記第2端面の面積と等しくなるように構成されている請求項に記載の流量制御弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流量制御弁に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両に搭載されるエンジンを冷却する装置として、ラジエータを用い、ラジエータで冷却した冷却水をエンジンに循環させるようにした水冷式のエンジン冷却装置が知られている。冷却水は例えばウォータポンプを用いて循環され、冷却水の流量は、流路に配置される流量制御弁によって制御される。
【0003】
特許文献1には、エンジンを冷却する冷却水の流量を制御する流量制御弁が開示されている。この流量制御弁は、円筒状の弁体を有し、当該弁体が上下方向に移動することで、ハウジングに設けられた複数のポートを流れる冷却水の流量を制御する。円筒状の弁体は、例えばモータ等によって駆動される。
【0004】
一般的に、円筒状の弁体を有する流量制御弁では、閉状態から開状態になるまでの間に、弁体の外周面に向けてウォータポンプから高圧の冷却水が供給されることがあり、弁体を移動させる上で冷却水の水圧が大きな負荷になることがある。そのため、アクチュエータは水圧による負荷に対抗して弁体を移動させるための推進力や駆動トルクを有することが必要となり、例えばアクチュエータを大型化する等、弁体の駆動機構を構成する上でコスト高になる問題が生じる。
【0005】
このような問題に対して、特許文献2に記載の流量制御弁では、円筒状の弁体の軸芯方向の両側を同一の圧力とする圧力調整通路を備えている。これにより、円筒状の弁体が軸芯方向に移動する際においてアクチュエータの駆動負荷を最小限にして、アクチュエータの小型化を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−286311号公報
【特許文献2】特開2006−29113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2に記載される流量制御弁では、ハウジング内に円筒状の弁体を2つ(ラジエータ流量制御用弁体、バイパス流量制御用弁体)備えており、2つの弁体は移動方向が互いに直交するよう構成されている。このため、弁体の移動方向の両側に圧力調整通路を備える上で構成が複雑になる。また、ハウジング内に移動方向が直交する2つの弁体を備えることから、流量制御弁はアクチュエータ以外の部分が大型化する。さらに、特許文献2の流量制御弁は、円筒状の弁体の外周面がハウジングの内面に摺動する構成であるため、長期の使用によって両者の間に配置されたシール体が摩耗して漏れが発生するおそれがある。
【0008】
上記実情に鑑み、簡単な構成によって弁体を移動させる上で負荷となる流体圧を低減することができる流量制御弁が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の流量制御弁の特徴構成は、流入ポートと、前記流入ポートに連通する流出ポートとを有するハウジングと、前記ハウジング内に収容され、軸芯方向に移動することで前記流入ポートと前記流出ポートとの間で流体を流通させ又は遮断する円筒状の弁体と、前記弁体を前記軸芯方向に移動させるアクチュエータと、前記弁体と前記流入ポートとの間に設けられ、前記流入ポートから前記弁体に向かう流路を前記弁体の外周側に向けて分岐させる隔壁と、を備え、前記弁体は、前記軸芯方向の両端面のうち、前記流出ポートと対向する側にある第1端面に前記弁体の外径よりも小径の環状の第1面シールを備え、前記流出ポートとは反対の側にある第2端面に環状の第2面シールを備え、前記弁体が前記第1面シールにより前記流出ポートを遮断した状態で、前記弁体の前記第1端面と前記第2端面とに流体が流れ込む流路が形成されている点にある。
【0010】
本構成によれば、弁体と流入ポートとの間に隔壁が設けられ、当該隔壁が流入ポートから弁体に向かう流路を弁体の外周側に向けて分岐させる。こうすると、流入ポートから弁体に向かう流体は、弁体に向けて直接当たらず、隔壁によって分岐されて弁体の外周側に行き渡るようになる。これにより、流入ポートからの流体によって弁体が受ける流体圧を低減することができ、弁体を移動させる上での負荷を低減することができる。その結果、アクチュエータにおいて必要となる駆動トルクを小さくすることができ、アクチュエータを小型化することができる。また、弁体と流入ポートとの間に隔壁を設けるという簡単な構成によって、弁体を移動させる上での負荷を低減することができる。
【0011】
また、本構成によれば、弁体において、軸芯方向の両端面の一方に第1面シールが設けられ、他方に第2面シールが設けられている。このため、第1面シール及び第2面シールは、弁体の移動に伴ってハウジングの内面に当接または離間することになり、ハウジングの内面を摺動しない。これにより、第1面シール及び第2面シールは、摩耗し難くなるため、面シールの耐久性が向上する。
【0012】
【0013】
本発明の別の流量制御弁の特徴構成は、流入ポートと、前記流入ポートに連通する流出ポートとを有するハウジングと、前記ハウジング内に収容され、軸芯方向に移動することで前記流入ポートと前記流出ポートとの間で流体を流通させ又は遮断する円筒状の弁体と、前記弁体を前記軸芯方向に移動させるアクチュエータと、前記弁体と前記流入ポートとの間に設けられ、前記流入ポートから前記弁体に向かう流路を前記弁体の外周側に向けて分岐させる隔壁と、を備え、前記隔壁と前記弁体の外周面との間に形成される第1隙間と、前記第1隙間に対して前記弁体の軸芯を挟んで対称となる位置であって、前記弁体の外周面と前記ハウジングの内面との間に形成される第2隙間を有し、前記第1隙間及び前記第2隙間は、径方向長さ及び周方向長さが等しくなるように構成されている点にある。
【0014】
本構成によれば、弁体と流入ポートとの間に隔壁が設けられ、当該隔壁が流入ポートから弁体に向かう流路を弁体の外周側に向けて分岐させる。こうすると、流入ポートから弁体に向かう流体は、弁体に向けて直接当たらず、隔壁によって分岐されて弁体の外周側に行き渡るようになる。これにより、流入ポートからの流体によって弁体が受ける流体圧を低減することができ、弁体を移動させる上での負荷を低減することができる。その結果、アクチュエータにおいて必要となる駆動トルクを小さくすることができ、アクチュエータを小型化することができる。また、弁体と流入ポートとの間に隔壁を設けるという簡単な構成によって、弁体を移動させる上での負荷を低減することができる。
【0015】
また、本構成によれば、弁体の外周側のうち、隔壁との間に形成される第1隙間の径方向長さ及び周方向長さと、第1隙間に対して軸芯を挟んで対称となる位置に形成される第2隙間の径方向長さ及び周方向長さとが等しい。これにより、弁体の外周側において対向する領域の流体圧を均等にすることができる。その結果、弁体を移動させるためのアクチュエータの駆動力を小さくすることができる。
【0016】
【0017】
本発明の他の特徴構成は、前記弁体は、前記第1端面において前記第1面シールよりも径方向外側に位置する環状部分の面積が、前記第2端面の面積と等しくなるように構成されている点にある。
【0018】
本構成によれば、第1端面において第1面シールよりも径方向外側に位置する環状部分の面積が、第2端面の面積と等しいので、弁体において第1端面の環状部分に付与される流体圧と第2端面に付与される流体圧を相殺することができる。これにより、弁体を移動させるためのアクチュエータの駆動力を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】流量制御弁の閉状態を示す断面図である。
図2】流量制御弁の開状態を示す断面図である。
図3】流量制御弁の分解斜視図である。
図4図1のIV−IV矢視断面図である。
図5図1のV−V矢視断面図である。
図6】流量制御弁の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
図1図4に示される流量制御弁1は、例えば、自動車等の車両に搭載されるエンジンを冷却する水冷式のエンジン冷却装置に用いられ、ウォータポンプによって冷却水(流体の一例)が循環する流路に配置されて冷却水の流量を制御する。
【0022】
流量制御弁1は、モータ部2(アクチュエータの一例)と、バルブ部3とを備える。モータ部2は、例えばステッピングモータによって構成されている。バルブ部3は、ハウジング10と、ハウジング10に収容される弁体30とを備える。ハウジング10は、第1ハウジング11と第2ハウジング12とによって構成されている。
【0023】
第1ハウジング11はモータ部2に隣接して設けられ、第2ハウジング12は第1ハウジング11に対してモータ部2の反対の側に取付けられる。弁体30は、円筒状に形成され、第1ハウジング11と第2ハウジング12との間で移動可能に構成されている。第1ハウジング11は、シャフト収容部14と鍔部15とを有する。シャフト収容部14には、流量制御弁1が開状態にあるときに円筒状の弁体30が退避する環状の溝部16が形成されている。シャフト収容部14において、溝部16の内周側には、モータ部2から延設されるシャフト21を回転可能に保持するシャフト保持部14aが設けられ、シャフト保持部14aの軸芯部分にシャフト21が挿通される貫通孔17が形成されている。貫通孔17とシャフト21との間には、Oリング22、オイルシール23、すべり軸受24が配置される。シャフト保持部14aには、蒸気や水抜き用の孔部18が貫通孔17からモータ部2の側に向けて延設されている。
【0024】
第2ハウジング12には、流量制御弁1が閉状態にあるときに弁体30が収容される収容部41と、収容部41に対して側方から連通して接続される管状部42とを備えている。第2ハウジング12には、流入ポート25と収容部41を介して流入ポート25に連通する流出ポート26が設けられている。流入ポート25は管状部42の内部に設けられ、流出ポート26は収容部41の底部41aに形成された開口43によって構成されている。
【0025】
弁体30は、軸芯方向に移動することで流入ポート25と流出ポート26との間で冷却水を流通させ又は遮断する。弁体30は、軸芯Xの方向の両端面のうち、流出ポート26と対向する側にある第1端面31を有し、流出ポート26とは反対の側に第2端面32を有する。図1及び図2に示すように、第1端面31の側には、中央部分に小径の環状部33を有する。図5に示すように、環状部33と弁体30の円筒状部分34の下部とは直線状の接続部35によって接続されている。接続部35は、環状部33から円筒状部分34に向けて4つ設けられており、隣接する接続部35の間は開放されている。モータ部2から延設されたシャフト21は、弁体30に接続されている。環状部33は、内周面に雌ネジが形成され、シャフト21の端部21aには雄ネジが形成されている。シャフト21の端部21aの一部は、弁体30の環状部33の内面の雌ネジに螺合されている。
【0026】
図3及び図4に示すように、円筒状の弁体30は、外周面30aにおいて第2端面32近くに軸芯Xを挟んで対向する位置に凸部36を2つ有しており、第1ハウジング11の溝部16には凸部36に対応する凹部16aが形成されている。弁体30は、凸部36が凹部16aに当接することで周方向の回転が規制されて回り止めされる。これにより、モータ部2のシャフト21を回転駆動させると端部21aの雄ネジが回転しても螺合している環状部33の雌ネジは回転せずに軸芯Xに沿う直線運動に変換されるので、弁体30が軸芯Xの方向に沿って直線運動する。
【0027】
流量制御弁1を閉状態(図1)から開状態(図2)にするには、モータ部2を駆動してシャフト21を例えば正回転させる。そうすると、環状部33がシャフト21の端部21aの基端側に向けて螺合するようになり、弁体30が開方向に移動する。これにより、流量制御弁1は開状態(図2参照)になり、流入ポート25と流出ポート26とが連通し、流入ポート25から流出ポート26に向けて冷却水が流れる。また、流量制御弁1は、開状態の弁体30の位置を変更して流入ポート25と流出ポート26との間の流路面積を調整することで、容易に冷却水の流量を制御することができる。
【0028】
流量制御弁1を開状態(図2)から閉状態(図1)に切換えるには、モータ部2を駆動してシャフト21を正回転とは逆向きに回転させる。これにより、環状部33がシャフト21の端部21aの先端側に向けて螺合するようになり、弁体30が閉方向に移動する。
その後、弁体30が第2ハウジング12の収容部41の底部41aに当接することで流入ポート25と流出ポート26との間の流路が閉じられて、流量制御弁1は閉状態となる。
【0029】
円筒状の弁体を有する流量制御弁では、閉状態から開状態になるまでの間に、弁体の外周面に向けてウォータポンプから高圧の冷却水が供給されることがあり、弁体を移動させる上で冷却水の水圧が大きな負荷になることがある。そこで、本実施形態の流量制御弁1では、弁体30と流入ポート25との間に隔壁50が設けられている。隔壁50は、第2ハウジング12の収容部41の底部41aから立設されている。隔壁50は、平面視において弁体30の外周面30aに沿う形状であり、流入ポート25から弁体30に向かう流路を弁体30の外周側に向けて分岐させている。
【0030】
このように、流量制御弁1において隔壁50を設けることで、流入ポート25から弁体30に向かう冷却水は、弁体30に直接当たらず、隔壁50によって分岐されて弁体30の外周側に行き渡るようになる。これにより、流入ポート25からの冷却水の供給によって弁体30が受ける水圧を低減することができ、弁体30を移動させる上での冷却水の水圧による負荷を低減することができる。その結果、モータ部2において必要となる駆動トルクを小さくすることができ、モータ部2を小型化することができる。また、弁体30と流入ポート25との間に隔壁50を設けるという簡単な構成によって、弁体30を移動させる上での負荷を低減することができる。
【0031】
図5に示すように、本実施形態では、平面視において、隔壁50は、流入ポート25から流入する冷却水の流れ方向に直交する方向の幅が流入ポート25の流路幅よりも長く形成されている。これにより、流入ポート25からの冷却水の水圧は、弁体30の外周面30aに対して直接的に影響しなくなる。なお、隔壁50の前記幅は、流入ポート25の流路幅と同じでもよく、流入ポート25の流路幅よりも短くてもよい。
【0032】
隔壁50によって分岐される流路は、弁体30の外周面30aとハウジング10の内面10aとの間に第1流路61及び第2流路62として形成される。第1流路61と第2流路62は軸芯Xを挟んで対象となる位置に形成されている。流量制御弁1(弁体30)が閉状態にあるときの第1流路61及び第2流路62は、流路面積及び流路長さが等しくなるように構成されている。これにより、第1流路61を流れる冷却水により弁体30の外周面30aに作用する水圧と第2流路62を流れる冷却水により弁体30の外周面30aに作用する水圧は相殺される。
【0033】
ここで、弁体30が開状態であるとき、第1流路61の流路面積S1と第2流路62の流路面積S2との和が、流入ポート25の流路面積S以上であると好適である。ここで定義される流路面積S1,S2は、隔壁50における左右両側の壁部51,52とハウジング10の内面10aとの間に形成される領域の流路の断面積である。上記のように流路面積S1,S2が設定されると、第1流路61及び第2流路62に対して流入ポート25から冷却水が淀みなく流れるようになり、弁体30の外周側において冷却水の圧力損失が生じ難くなる。
【0034】
第2ハウジング12は、隔壁50と弁体30の外周面30aとの間に第1隙間63を有し、第1隙間63に対して弁体30の軸芯Xを挟んで対称となる位置であって、弁体30の外周面30aとハウジング10の内面10aとの間に第2隙間64を有する。第2ハウジング12は、収容部41の周方向の一部に、弁体30の外周面30aに近接する方向に切り欠かれた切欠部44を有しており、第2隙間64は切欠部44によって形成されている。ここで、第1隙間63及び第2隙間64は、径方向長さ及び周方向長さが等しくなるように構成されている。これにより、第1隙間63に流入する冷却水により弁体30の外周面30aに作用する水圧と第2隙間64に流入する冷却水により弁体30の外周面30aに作用する水圧は相殺される。従って、弁体30の外周面30aの任意の箇所で冷却水による水圧は相殺されるので、流量制御弁1を閉状態から開状態にするために弁体30を移動させる際に、冷却水の水圧により弁体30が軸芯Xに対して傾くことがなく、弁体30を適正に移動させることができる。
【0035】
図6に示すように、弁体30は、軸芯Xの方向の両端面のうち、流出ポート26と対向する側にある第1端面31に弁体30の外径よりも小径かつ、軸芯Xと同軸芯の環状の第1面シール71を備え、流出ポート26とは反対の側にある第2端面32に環状の第2面シール72を備えている。第1面シール71は、弁体30が閉じた状態で弁体30の第1端面31と第2ハウジング12の収容部41の底部41aとの間を密閉し、流出ポート26を閉じる。第2面シール72は、弁体30の第2端面32と第1ハウジング11のシャフト保持部14aに設けられたフランジ部14bとの間を密閉する。流量制御弁1には、弁体30が第1面シール71により流出ポート26を遮断した状態で、弁体30の外周面30a、及び、弁体30と対向する第1ハウジング11の内面との間に、弁体30の第2端面32に冷却水が流れ込む流路65が形成されている。また、シャフト保持部14aのフランジ部14bの外周面と第1面シール71の外周面とは、軸芯Xからの径方向長さが等しい。これにより、弁体30が閉じた状態で、冷却水は流路65を流通し、溝部16の内部に充填され、第2面シール72に水圧を作用させる。
【0036】
本構成のように、弁体30において、第1端面31に第1面シール71が設けられ、第2端面32に第2面シール72が設けられていると、第1面シール71及び第2面シール72は、ハウジング10の内面10aに当接または離間するだけで、ハウジング10の内面10aを摺動しない。これにより、第1面シール71及び第2面シール72は、摩耗し難くなるため、耐久性が向上する。
【0037】
弁体30は、第1端面31において第1面シール71よりも径方向外側に位置する環状部分37の径方向長さL1が、第2端面32の径方向長さL2と等しくなるように構成されている。これにより、環状部分37の面積と第2端面32の面積とが等しくなるので、弁体30において第1端面31に作用する水圧と第2端面32に作用する水圧とを相殺することができる。その結果、弁体30を閉状態から開状態にするときに弁体30の移動を妨げる水圧が低減され、又は、作用しないので、モータ部2の駆動力を小さくすることができる。
【0038】
〔別実施形態〕
上記の実施形態では、ハウジング10に対して円筒状の弁体30を回り止めする構成として、弁体30の外周面30aに凸部36を設け、ハウジング10の側に凸部36に対応する凹部16aを設ける構成を示したが、弁体30を回り止めする構成は本構成に限定されない。例えば、弁体30の外周面30aに凹部を設けて、ハウジング10の側に当該凹部に対応する凸部を設けてもよく、他の構成を採用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、冷却水等の流量制御弁として広く利用することができる。
【符号の説明】
【0040】
1 :流量制御弁
2 :モータ部(アクチュエータ)
3 :バルブ部
10 :ハウジング
10a :内面
21 :シャフト
21a :端部
25 :流入ポート
26 :流出ポート
30 :弁体
30a :外周面
31 :第1端面
32 :第2端面
37 :環状部分
41 :収容部
41a :底部
42 :管状部
43 :開口
50 :隔壁
61 :第1流路
62 :第2流路
63 :第1隙間
64 :第2隙間
65 :流路
71 :第1面シール
72 :第2面シール
S :流路面積
S1 :流路面積
S2 :流路面積
X :軸芯
図1
図2
図3
図4
図5
図6