(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、注出具付きパウチ(袋、容器)は、例えば、ジュース類、スポーツドリンク、栄養ドリンク剤、飲料水、お茶、コーヒー飲料、スープ類、麺つゆ類、調味料、ゼリー状飲料等の比較的粘性の低い液状物等を充填する用途や、レトルト殺菌処理した内容物、例えば、栄養剤ドリンク、コーヒー飲料、お粥、ゼリー状食品、液体スープ、調味料、カレー、シチュー、ミートソース等の液状食品を充填する用途に用いられている。このような注出具付き容器は、軽量で持ち運びやすく、しかも変形自在で取り扱い易いことから、紙製容器やプラスチックを主体としたフレキシブル包材からなる自立袋、カゼット袋、その他等の種々の形態からなる袋状容器(パウチ)や紙製容器が使用され、さらには、開封が簡単であり、かつ、内容物を注ぎ易くし、あるいは、内容物の飲料を容易に飲用するために、容器の一部に注出具を取り付けた構成であり、取り扱いや持ち運びが簡単であり、近年、益々、その需要が高まっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、通常の注出具は注出筒を備えた注出具本体と注出筒の注出口部に螺合するキャップとからなり、内容物を完全に密封包装することが困難であった。さらに、内容物を殺菌するために、ボイル殺菌処理、熱水や蒸気などによる加圧加熱殺菌(レトルト殺菌)処理等が施される用途には、例えば、JAS規格等に定められる密封性が要求され、特許文献1の液体充填容器を用いることは困難であった。
【0004】
このような用途には、注出筒を備えた注出具本体と注出筒の注出口部に螺合するキャップとからなり、注出具本体の注出筒の注出口部を密封シール材で密封した包装体が用いられる(例えば、特許文献2参照)。特許文献2の包装体(注出口組合体)では、飲用に際し、先ず、キャップを周回させ注出口本体の注出筒から螺合を解除してキャップのみが取り外される。そして、キャップを外した後、注出筒の注出口部を密封した密封シール材が取り除かれる。しかしながら、密封シール材は、キャップを注出口本体に螺合しやすくするために開口部より外側に延出された摘み部が小さく形成されており、摘み部が摘まみにくく開封しにくいという問題がある。さらに、密封シール材を剥離する際に、大きな力を要し、子供や高齢者には開封しにくく、また、開封した勢いで内容物をこぼしたりすることがある。
【0005】
さらに重要なことは注出口部がバリア性を有する密封シールで密封されているものの密封シールから下方の注出筒はパウチより外側に露出しているために内容物が例えば、ビタミン入り栄養ドリンク剤のような酸化により変色しやすい内容物が充填される場合、パウチより外側に露出している注出筒のバリア性が十分でないために注出筒を透して酸素等がパウチ内に侵入するため、内容物が酸化され、変色するという問題がある。
【0006】
図10は従来の注出具付きパウチ100Aの要部の説明図であって、パウチ本体100Cの上部接合部154tに注出具100Bが接合さている状態を示し、注出具100Bは分解図で示したものである。注出具100Bは、キャップ110と注出筒支持本体130で構成され、注出筒支持本体130は注出筒120とパウチ接合部133が一体の成形品であり、パウチ接合部133と注出筒120の間にフランジ部132を2条備え、パウチ接合部133はパウチ本体100Cの上部に内容物を注出可能に上部接合部154tで接合されている。注出筒120の上端の開口は密封シール140で密封されている。そして飲み口となる注出筒120の周縁のネジ部にキャップ110の周壁内面に備えるネジ部(図示しない)が螺合されている。注出具付きパウチ100Aは注出筒120がパウチ本体100Cより外側上部にあり、注出筒120の上端に密封シール140を備えるためにパウチ本体100Cより外側に露出した注出筒120の外周面より主に空気中の酸素が侵入し内容物を酸化させるという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで本発明は、上記問題を解決すべくなされたものであり、本発明者等は、鋭意、研究の結果、密封シールの位置をパウチ側に位置させるために注出筒を注出口本体から分離し、開封時に分離した注出筒を注出口本体と一体化する手段を発見し、発明に至ったものであり、その目的とするところは注出口(飲み口)を有するパウチの当該注出口(飲み口)を完全に密封でき、レトルト殺菌処理が可能であり、バリア性があり、且つ、容易に開封できる注出具および注出具付きパウチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を達成するためになされたものであり、請求項1記載の本発明は、注出具とパウチ本体からなる注出具付きパウチの注出具において、注出筒と、前記注出筒の上端口の側が嵌入されるキャップと、
前記注出筒の下端口の側が嵌入される注出筒案内部と、前記注出筒案内部の下方に連接する前記パウチ本体に接合するためのパウチ接合部を備え、連接する前記注出筒案内部と前記パウチ接合部の中央に連通する中空の導管部を備え、前記導管部の
下端周縁に前記導管部の中心方向に突出した環状鍔部を備えた注出筒支持本体と、を備えた注出具であって、前記注出筒は、内周面には突条部、外周面の下部には第一ネジ部、
下端には前記注出筒の中心方向に張り出した環状の張り出し部、および、
前記張り出し部の内側から下方に垂下する突き刺し部を備え、
前記注出筒支持本体は、前記環状鍔部
の上面には前記導管部を封止するために接合された密封シールを備え、前記導管部の内周面には前記環状鍔部の上方に前記注出筒の前記第一ネジ部と螺合する第二ネジ部を備え、前記キャップは、天部と、前記天部の周縁から垂下する外周壁
と、前記注出筒の上端口の側に嵌入し周方向に回したとき、前記注出筒の前記突条部と係合し前記注出筒を周回させるための係合片を前記キャップの前記天部に備え
、開栓の際、前記キャップを開栓方向に回転したとき、前記注出筒のみが下降することを特徴とする注出具である。
【0010】
また、請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の注出具において、
前記キャップの前記係合片は、前記天面側が曲面状の短辺とされ下方に垂下する側が長辺とする板状であり、下部には傾斜部を備え、前記注出筒の前記突条部は、前記注出筒の内周面から内側に向かう側が短辺とされ上下方向が長辺とする板状であり、前記突条部が内周面と接する接点において、その接線と法線を引いたとき、前記突状部の短辺が法線に対して傾斜していることを特徴とするものである。
【0011】
また、請求項3に記載の本発明は、請求項1または請求項2に記載の注出具において、前記導管部の内周面に備える前記第二ネジ部が前記環状鍔部と連接または近接していることを特徴とするものである。
【0012】
また、請求項4に記載の本発明は、内容物を収容する前記パウチ本体と、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の注出具と、を備え、前記注出具の前記パウチ接合部が前記パウチ本体の周縁接合部に前記内容物を注出可能に接合されており、前記注出具が備える前記密封シールが前記パウチ本体の前記周縁接合部の外縁よりも内側に位置することを特徴とする注出具付きパウチである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の注出具および注出具付きパウチによれば、注出口(飲み口)を有するパウチの当該注出口(飲み口)を完全に密封でき、レトルト殺菌処理が可能であり、バリア性があり、且つ、容易に開封できる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
上記の本発明について、図面等を用いて以下に詳述する。
図1は本発明に係る注出具の一実施形態を示す斜視図、
図2は本発明に係る注出具の分解説明図、
図3は本発明の注出具を構成するキャップの断面図と底面図、
図4は本発明の注出具を構成する注出筒の断面図、平面図および底面図、
図5は本発明の注出具を構成する注出筒支持本体の断面図、平面図、底面図と密封シールの斜視図、
図6は
図1のA−A線断面図、
図7は本発明の注出具付きパウチの一実施形態を示す正面図、および注出具を取り付ける前のパウチ本体の一実施例を示す正面図、
図8は本発明に係る注出具付きパウチのパウチ本体の積層構成例を示す断面図、
図9は本発明に係る注出具付きパウチの開封方法を説明する断面説明図、
図10は従来の注出具付きパウチの要部を示す説明図であり、図中のA、100Aは注出具付きパウチ、B、100Bは注出具、C、100Cはパウチ本体、10はキャップ、11は天部、12は周壁部、13は係合片、13aは傾斜部、14は凸部、20、120は注出筒、20aは飲み口、20bは嵌入部、21は上端口、22は下端口、23は突条部、24は第一ネジ部、25は張り出し部、26は突き刺し部、26aは尖端、27は段部、30、130は注出筒支持本体、31は注出筒案内部、31aは凹部、32、132はフランジ部、33、133はパウチ接合部、34は導管部、35は環状鍔部、35aは環状鍔部上面、35bは開口、36は第二ネジ部、40、140は密封シール、50は積層体、51は外層、52は中間層、53は内層、54は周縁接合部、54sは側部接合部、54bは底部接合部、54t、154tは上部接合部、54Pはポイントシール部をそれぞれ示す。
【0016】
図1は本発明に係る注出具の一実施形態を示す斜視図である。
図2は本発明に係る注出具の断面で示した分解説明図である。本発明の注出具Bは、
図1、
図2に示すようにキャップ10と注出筒20と注出筒支持本体30を備え、注出筒支持本体30の開口35bは密封シール40で封止されており、注出具Bとパウチ本体C(
図7参照)からなる注出具付きパウチA(
図7参照)に用いられる。
【0017】
つぎに
図3、
図4、
図5を参照しながら本発明の注出具Bを構成する各パーツについて説明する。
図3は本発明の注出具Bを構成するキャップの断面図と底面図である。
キャップ10は、
図3に示すように天部11と、天部11の周縁から垂下する外周壁12を備え、天部11と対向する側が開口とされている。天部11には内面から垂下する係合片13を4個備えている。係合片は板状で外周の円弧に沿った曲面状の短辺と下方に垂下する長辺からなり、下部には傾斜部13aを備え、下端は尖っている。4個の係合片13は所定の間隔をおいて形成されている。係合片13の数は後述する注出筒20の内周面に設けられた突条部23の数に合わせて設けられ、4個に限定されるものではない。短辺の長さ及び係合片13の厚みは注出筒20を回転させる強度に耐えればよく、適宜設定される。係合片13の位置は突条部23に係合する位置に設けられる。外周壁12の内面の下端には内方に膨れた凸部14を備える。凸部14は後述するが設ける方が好ましい。また、外周壁12の外面には上部から下部に延びる多数の溝部が設けられており、溝部はキャップ10を指で摘まんで周回させるとき滑り止めになるのでこのましい。
【0018】
図4は本発明の注出具Bを構成する注出筒20を示し、(イ)は断面図、(ロ)は平面図および(ハ)は底面図である。
注出筒20は、
図4に示すように上端口21と下端口22を備えた円筒状でその中間に傾斜面からなる段部27備え、段部27から上端口21の間の外径に対して段部27から下端口22の間の外径が小さくなっている。段部27から下端口22の側が注出筒支持本体30に嵌入される嵌入部20bであり、段部27から上端口21の側が飲み口20aとされる。飲み口20aは、注出具Bにセットアップされ、注出具付きパウチA(
図7参照)とされた後、キャップ10を周回させて注出筒20を注出筒支持本体30に組み付け開栓した後、キャップ10を外し開口したとき、外部に露出される部分である。また、注出筒20の内周面には上部から下部に亘る板状の突条部23を4個備え、外周面には下部に第一ネジ部24を備え、下端には円筒の中心方向に張り出した環状の張り出し部25を介して突き刺し部26を備える。
【0019】
突条部23は、上端口21の近傍から下端の張り出し部25に至る板状で注出筒20の内周面と張り出し部25の上面と一体となって形成されている。突条部23は内面から内側に向かう方向の短辺と上下方向の長辺からなる板状であり、突条部23が内周面と接する接点において、その接線と法線を引いたとき、短辺が法線に対して傾斜している。鋭角を成すように傾斜する方向が、キャップ10を周方向に回転したとき、キャップ10の係合片13と突条部23が係合し、第一ネジ部24が第二ネジ部36と螺合し、注出筒20が下降するようになっている。
【0020】
突き刺し部26は、下端の張り出し部25の内側から下方に垂下する樋状で下端は尖端26aとなっている。尖端26aは、注出筒20が下降したとき、密封シール40を突き破り破断し易くするものであり、破断により開栓される。突き刺し部26は張り出し部25から突き刺し部26の尖端26aに向かって傾斜面とされている例を示しており、これに限定されるものではないが開栓しやすく好ましい形態である。4個の突条部23は所定の間隔をおいて形成されている。突条部23の数はキャップ10の天部11に設けられた係合片13の数に合わせて設けられ、4個に限定されるものではない。突条部23の短辺の長さや傾斜角度は係合片13と係合するように設定すればよい。また突条部23の厚みは、キャップ10を周回させ注出筒20を回転させ下降させる強度に耐える程度でよい。
【0021】
図5は、本発明の注出具Bを構成する注出筒支持本体30の(イ)断面図、(ロ)平面図、(ハ)底面図と(ニ)密封材の斜視図である。
注出筒支持本体30は、
図5に示すように上方に注出筒案内部31と下方にパウチ接合部33が連接されており、連接された注出筒案内部31とパウチ接合部33の中央に連通する中空の略円筒状の導管部34を備え、導管部34の下端には導管部34の中心方向に突出した環状鍔部35を備えている。環状鍔部35の形成位置は導管部34の上下方向においてパウチ接合部33上部より下方に位置するのが好ましく、下端に位置するのがより好ましい。そうすることにより注出具Bをパウチ本体Cに取り付けたとき、密封シール40の位置が上部接合部54tの上端より内側になるのでバリア性が向上し好ましい。
【0022】
注出筒案内部31は注出筒20の下端口22の側が嵌入される導入部であり、導管部34に設けられた環状鍔部35に至る間に注出筒20の嵌入部20bが嵌入される。パウチ接合部33はパウチ本体C(
図7参照)の開口部に挿入し、例えばヒートシールにより接合されるためのものである。
パウチ接合部33の上部の注出筒案内部31側の外側には2条のフランジ部32を備えており、フランジ部32は注出具Bの組み立てが完成した後、注出具Bを機械搬送する際、首吊り搬送できるので好ましいものである。注出筒案内部31の上部にはキャップ10の凸部14が係合する凹部31aを備えており、後述するが開栓のためにキャップ10を周方向に安定して回転させる設ける方が好ましい。
導管部34の内周面には第二ネジ部36を備える。第二ネジ部36は環状鍔部35の上方に位置するが連接して設けてもよい。第二ネジ部36は注出筒20の第一ネジ部24と螺合するものである。第一ネジ部24をおねじ、第二ネジ部36をめねじとする構成が好ましい。
【0023】
また、
図5(ハ)に示すようにパウチ接合部33は紡錘形であり、パウチ本体Cと接合したとき、確実に密封できるので好ましい。
【0024】
図5(ニ)は密封シール40の一例を示す斜視図であり、密封シール40は環状鍔部35の開口35bを覆い、環状鍔部上面35aに接合され導管部34を封止するためのものである。
密封シール40はアルミニウム箔層と熱融着性樹脂層が積層された積層体で構成される。また、アルミニウム箔層の熱融着性樹脂層と反対側の面に表面保護層を設けてもよい。熱融着性樹脂層側が環状鍔部35にヒートシール等により接合される。環状鍔部35の下面は内容物と接する側であり、密封シール40は環状鍔部上面35aに接合することが好ましく、アルミニウム箔の端面が内容物と接することが防止できる。
【0025】
図6は注出具Bを示し、
図1のA−A線断面図である。今まで説明してきたキャップ10、注出筒20、注出筒支持本体30、密封シール40を組み立てることにより完成させる注出具Bについて
図6を参照しながら説明する。
注出筒20の飲み口20aにキャップ10を嵌着させ、キャップ10の天部11の内面に注出筒20の上端口21を当接させる。
つぎにキャップ10がセットアップされた注出筒20の突き刺し部26側より注出筒支持本体30の注出筒案内部31側の導管部34に嵌入し、キャップ10を開栓側の周方向に回転させると、キャップ10の係合片13と注出筒20の突条部23とを相互に係合させることができ、回転力を注出筒20に伝達でき、さらにキャップ10と注出筒20を共に回転させると注出筒支持本体30の第二ネジ部36と注出筒20の第一ネジ部24の螺合が進み、キャップ10と注出筒20が共に下降しキャップ10の凸部14が注出筒支持本体30の凹部31aに係合し各部品がセットアップされ、注出具Bの組み立てが完成する。このとき、突き刺し部26の尖端26aは密封シール40と離間している。キャップ10の高さ、注出筒20の高さ、注出筒支持本体30の上端から環状鍔部上面35aに位置する密封シール40に至る高さの関係を突き刺し部26の尖端26aが密封シール40と離間するように設定することが肝要である。また、第一ネジ部24及び第二ネジ部36は2条ネジにすることが好ましく、セットアップ作業が効率的に行える。
【0026】
注出具Bのキャップ10、注出筒20、注出筒支持本体30は、それぞれ樹脂を成形金型内に射出して形成するインジェクション成形法により成形品として形成される。
キャップ10、注出筒20に用いる樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)が挙げられる。レトルト殺菌処理を行う場合にはポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体が好ましい。
注出筒支持本体30に用いる樹脂は、後述するパウチ本体Cを構成する積層体50の内層53(
図8参照)の樹脂とヒートシールによって相互に熱融着する樹脂が用いられ、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)が挙げられる。レトルト殺菌処理を行う場合にはポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体が好ましい。
【0027】
パウチ本体Cは、
図8に示すように表面の外層51、中間層52、内面に熱融着性樹脂層からなる内層53を備えた積層体50からなり、例えば、
図7(イ)に示すように積層体50からなるシートの対向する一方の端を内層53同士が対面するように重ね側部接合部54sでヒートシールし筒状体とする。そして筒状体を両側より内側に折り込みガセット部を形成し、
一方の開口を底部接合部54bでヒートシールし接合する。他方の開口の両端にはポイントシール部54Pが設けられている。
ポイントシール部54Pは例えばガセット部に切り欠きを設け表裏の対向する積層体50の内層53同士が直接ヒートシールされる構成が好ましい。
側部接合部54sはガセット部の外側折部寄りに設けたガセットパウチである。
図7(イ)に示すガセットパウチの上部の開口より内容物を充填し、その後、上部の開口に注出具Bを挿入し、積層体50のシート間に注出具Bのパウチ接合部33を挟持させヒートシールし上部接合部54tを形成すると共に注出具Bが取り付けられて
図7(ロ)に示す注出具付きパウチAが構成されている。このように注出具Bを取り付けた構成とすることにより内容物が注出可能とされている。
図7にはパウチ本体Cとしてガセット形態のパウチを示したが、これに限定されず、自立性パウチや三方シールパウチ、四方シールパウチ等の平パウチの形態にすることもできる。
【0028】
本発明の注出具付きパウチAは
図7(ロ)に示すように注出具Bのパウチ接合部33がパウチ本体Cの周縁接合部である例えば上部接合部54tに内容物を注出可能に接合されており、注出具Bが備える密封シール40がパウチ本体Cの上部接合部54t(周縁接合部)の外縁よりも内側に位置していることが重要であり、このような構成とすることにより、注出具付きパウチAのバリア性が向上することが一つの特徴である。
【0029】
図8に示すようにパウチ本体Cの積層体50は、外層51、中間層52、内層53を、例えば、ウレタン系等のドライラミネート用接着剤を用いて積層するドライラミネーション法やポリオレフィン系樹脂等を熱溶融押出しして積層する押出しラミネーション法により積層することができる。レトルト殺菌処理がある場合にはドライラミネーション法が好ましい。外層51は、パウチ本体Cを構成する基本素材となることから、機械的、物理的、化学的等において優れた性質を有する合成樹脂製フィルムを用いることができ、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン等の二軸延伸フィルム等を用いることができる。あるいは、上記のフィルムにアルミニウム、または、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化インジウム、酸化錫、酸化ジルコニウム等の無機物を蒸着して蒸着層を設けたものを用いることができる。通常、外層51には印刷が施されることが多く、印刷適性が必要であるから二軸延伸フィルムが好ましい。外層を構成するフィルムの厚さとしては、基本素材としての強度、剛性などについて必要最低限に保持され得る厚さであればよいのであって、コストなどを勘案して決めればよいが、通常、9〜50μm程度である。
【0030】
中間層52には、剛性や遮光性あるいはガスバリア性等が包装条件、輸送条件、内容物の保護機能条件により要求される場合に設けるものであり、上記外層51に用いられるフィルムや上記蒸着層を設けたフィルム、アルミニウム、鉄等の金属箔等が使用できる。また、これらのフィルム等を一種以上組合わせて積層したものでもよい。また、要求品質により中間層52を省略することもできる。
【0031】
内層53としては熱融着性樹脂が用いられ、レトルト殺菌処理の場合には、未延伸のポリプロピレンやポリプロピレンにエラストマー成分をブレンドした未延伸ポリプロピレン(CPP)、高密度ポリエチレン(HDPE)等が使用できる。ボイル処理の場合には低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、アイオノマー、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体等の未延伸フィルムが使用される。内層53の厚さは内容量、殺菌条件、輸送条件、経済性等を勘案して決められるが通常、20μm〜150μmである。パウチ本体Cを構成する積層体50の具体例を示す。
PET/DL/AL/DL/ON/DL/CPPまたはLLDPE
PET/DL/ON/DL/AL/DL/CPPまたはLLDPE
VMPET/DL/ON/DL/CPPまたはLLDPE
PET/DL/VMON/DL/CPPまたはLLDPE
VMPET/DL/CPPまたはLLDPE
VMON/DL/CPPまたはLLDPE
PET/DL/VMPET/DL/ON/DL/CPPまたはLLDPE
PBT/DL/AL/DL/CPPまたはLLDPE
PET:二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム
PBT:二軸延伸ポリブチレンテレフタレートフィルム
ON :二軸延伸ナイロンフィルム
AL :アルミニウム箔
VMPET:酸化珪素または酸化アルミを蒸着したPET
VMON:酸化珪素または酸化アルミを蒸着したON
CPP:未延伸ポリプロピレンフィルム
LLDPE:線状低密度ポリエチレン
DL:接着剤(ドライラミネーション法)
【0032】
つぎに
図9を参照しながら本発明に係る注出具付きパウチAの開封方法を説明する。
キャップ10を開栓側の周方向に回転させると、キャップ10の係合片13と注出筒20の突条部23とが相互に係合させることができ、回転力を注出筒20に伝達でき、さらにキャップ10と注出筒20を共に回転させると注出筒支持本体30の第二ネジ部36と注出筒20の第一ネジ部24の螺合が進み、キャップ10の凸部14は注出筒支持本体30の凹部31aと係合しているのでキャップ10は開栓方向に回転させても下降することなく、注出筒20のみが下降し、突き刺し部26の尖端26aが密封シール40に当接する。さらにキャップ10を開栓方向に周回させると突き刺し部26の尖端26aが密封シール40を突き刺し破断させ、張り出し部25に接合された密封シール40の周縁部分に当接し開栓操作が完了する。密封シール40が破断されたことでパウチ本体Cと注出筒20は連通し、キャップ10を上部に引き上げると凹部31aより凸部14の係合が外れ、キャップ10を取り除く、露出した飲み口20aよりパウチ本体Cの内容物を吸い出すことができる。凸部14と凹部31aを設けることにより、これらを嵌合させることができ、嵌合後はキャップ10の周回が安定してでき、注出筒20のみを下降させることができるので好ましい。このような構成にすることにより、キャップ10を周回させるだけで注出筒支持本体30と注出筒20が一体化と、注出筒20の突き刺し部26で密封シール40が破断される開栓操作が同時に達成され、従来の面倒な密封シールを取り除く動作が省略でき、優れた利便性が得られる。
なお、キャップ10の係合片13に傾斜部13aを設けたこと、注出筒20の突条部23に角度を設けたこと、さらに、傾斜部13aが開栓方向と反対側、突条部23が接線となす角度において鋭角側から鈍角側に回転する方向が開栓方向とすることにより、逆方向にキャップ10を回転すると傾斜部13aと鈍角側が対面する回転となり、空回転するラチェット機構を備えることができ、便利なものとなる。
【0033】
なお、今まで説明してきた実施形態は、本発明に係る注出具および注出具付きパウチの代表的な実施例を挙げたものであって、本発明に係る注出具および注出具付きパウチはこれに限るものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範疇のものは、すべて本発明に含まれるものである。