(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記世界座標系で表現された地磁気データは、前記世界座標系における水平面を構成する第1の軸上の地磁気の大きさ、前記水平面を構成する第2の軸上の地磁気の大きさ、および鉛直方向に対応する第3の軸上の地磁気の大きさを含み、
前記伏角は、前記第1の軸上の地磁気と前記第2の軸上の地磁気の合力の大きさに対する前記第3の軸上の地磁気の大きさのアークタンジェントで表現される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
前記進行軸算出部は、前記世界座標系で表現された加速度データのうちの、水平方向成分の加速度データを解析することにより、前記進行軸を算出する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0016】
また、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素を、同一の符号の後に異なるアルファベットを付して区別する場合もある。例えば、実質的に同一の機能構成または論理的意義を有する複数の構成を、必要に応じて歩行者10Aおよび10Bのように区別する。ただし、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素の各々を特に区別する必要がない場合、複数の構成要素の各々に同一符号のみを付する。例えば、歩行者10Aおよび10Bを特に区別する必要が無い場合には、各歩行者を単に歩行者10と称する。
【0017】
<1.進行方向推定方法の概略>
図1は、本発明の実施形態による進行方向推定方法の概略を示す説明図である。
図1は、歩行者10と進行方向推定装置20の関係を示している。歩行者10が進行方向推定装置20を携帯して歩行することにより、進行方向推定装置20が歩行者10の進行方向を推定することが可能である。本発明の実施形態において、進行方向推定装置20の携帯方法は特に制限されない。
図1に示した例では、歩行者10Aは進行方向推定装置20Aを体に装着しており、歩行者10Bは進行方向推定装置20Bを手に持った状態で歩行している。各歩行者10が進行方向推定装置20を携帯した状態で歩行すると、進行方向推定装置20に搭載された複数のセンサが、進行方向推定のための情報を取得し、取得された情報に基づき進行方向推定装置20が進行方向を推定する。
【0018】
歩行者10は、進行方向推定装置20を携帯して歩行するユーザであり、かつ進行方向推定装置20の進行方向推定対象である。本発明の実施形態における進行方向の推定において、推定結果は歩行者10が進行方向推定装置20を携帯する部位(携帯部位)および姿勢による影響を受けないため、歩行者10は進行方向推定装置20の携帯方法、携帯部位、姿勢等に関して制限を受けない。よって、歩行者10は進行方向推定装置20の状態を意識することなく歩行してよい。例えば、歩行者10は、進行方向推定装置20を手に持って歩行、鞄に入れて歩行、または衣類のポケットに入れて歩行してもよい。
【0019】
進行方向推定装置20は、進行方向推定装置20の進行方向を推定する情報処理装置である。進行方向推定装置20が歩行者10に携帯される場合、進行方向推定装置20の進行方向は歩行者10の進行方向と等しいので、進行方向推定装置20は歩行者10の進行方向を推定することが可能である。また、進行方向推定装置20は、スマートフォン、携帯端末、またはウェアラブル端末等であってもよい。
【0020】
また、進行方向推定装置20は、複数のセンサが取得した情報に基づき、進行方向推定装置20の進行方向を推定する機能を有する情報処理装置である。例えば、進行方向推定装置20は、複数のセンサが取得した情報を端末座標系から世界座標系に変換する。次に、進行方向推定装置20は、世界座標系に変換された加速度データから対象の進行軸を算出し、世界座標系に変換された地磁気データから伏角の変動を算出する。ここで、進行軸とは、進行方向推定装置20の速度変化を分析することにより推定した、進行方向推定装置20が移動している方向を示す軸である。伏角とは、地磁気が水平面に対して傾いている角度のことである。進行方向推定装置20は、算出した進行軸、伏角の変動に基づき、進行方向を推定する。
【0021】
<2.進行方向推定装置の構成>
以上、本発明の実施形態による進行方向推定方法の概略を説明した。続いて、本発明の実施形態による進行方向推定装置20の構成をより具体的に説明する。
【0022】
図2は、本発明の実施形態による進行方向推定装置20の構成を示す説明図である。
図2に示したように、本発明の実施形態による進行方向推定装置20は、加速度センサ220、角速度センサ230、地磁気センサ240、進行方向推定部250、バッテリ270を備える。
【0023】
加速度センサ220は、物体の加速度を取得する機能を備える慣性センサである。加速度センサ220は、一定の時間に物体が移動した際の速度の変化量を求めるための機器である。加速度センサ220の種類には、ばねにつながれた錘の位置変化から加速度を得る方式のセンサ、または錘をつけたばねに振動を加えた際の周波数の変化から加速度を得る方式のセンサ等があるが、加速度センサ220の種類については特に限定せず、MEMS(Micro Electro Mechanical System)技術を応用してもよい。本発明の実施形態において、例えば、加速度センサ220は、歩行者10の移動に応じて変化する、進行方向推定装置20の移動速度の変化量を計測し、計測した値を進行方向推定装置20の端末座標系加速度データとして世界座標系変換部252へ出力する。
【0024】
角速度センサ230は、物体の角速度を取得する機能を備える慣性センサである。角速度センサ230は、一定の時間に物体が回転した際の角度の変化量を求めるための機器である。角速度センサ230の種類には、回転する物体に加わる慣性力から角速度を得る機械式のセンサ、または流路中の気体の流れの変化より角速度を得る流体式のセンサ等があるが、角速度センサ230の種類については特に限定せず、MEMS(Micro Electro Mechanical System)技術を応用してもよい。本発明の実施形態において、例えば、上述の角速度センサ230は、歩行者10の移動に応じて変化する、進行方向推定装置20の姿勢の変化量を計測し、計測した値を進行方向推定装置20の端末座標系角速度データとして世界座標系変換部252へ出力する。
【0025】
地磁気センサ240は、地磁気から磁北を基準とする方位に関する情報を取得する機能を備えるセンサである。地磁気は磁北を向くという性質があることから、地磁気センサ240は電子コンパス等に使用されている。電子コンパスは、地磁気センサ240が検出した地磁気の方向より磁北を検出可能である。本発明の実施形態において、歩行者10の進行方向を推定する際に、この性質を利用する。また、本発明の実施形態において、例えば、地磁気センサ240は、進行方向推定装置20を携帯した歩行者10の位置における地磁気データを計測し、計測した値を進行方向推定装置20の端末座標系地磁気データとして世界座標系変換部252へ出力する。
【0026】
進行方向推定部250は、進行方向推定装置20に搭載された各センサの情報に基づき、物体の進行方向の推定に必要な情報の算出、および算出された情報に基づき物体の進行方向を推定する機能を有する。例えば、進行方向推定部250は、加速度センサ220、角速度センサ230、および地磁気センサ240が取得した進行方向推定装置20の情報に基づき、進行方向推定装置20の進行軸の算出、および伏角の算出を行い、算出した進行軸と伏角から進行方向推定装置20の進行方向を推定する。
【0027】
上記機能を実現するために、本実施形態による進行方向推定部250は、
図2に示したように、世界座標系変換部252、伏角算出部254、世界座標系加速度記憶部256、伏角記憶部258、進行軸算出部260、変動算出部262、進行方向判定部264を備える。
【0028】
世界座標系変換部252は、各センサが取得したデータを、端末座標系から世界座標系へ変換する機能を有する。例えば、世界座標系変換部252は、加速度センサ220が取得した端末座標系加速度データ(a
x、a
y,a
z)を、角速度センサ230が取得した端末座標系角速度データに基づき、世界座標系加速度データ(A
x、A
y,A
z)に変換し、世界座標系加速度記憶部256へ出力する。なお、本発明の実施形態における世界座標系とは、磁北の水平成分の方向をx軸に合わせたときの座標系(X、Y、Z)のことである。
【0029】
また、世界座標系変換部252は、地磁気センサ240が取得した端末座標系地磁気データ(m
x、m
y,m
z)を、
図3に示すように世界座標系地磁気データ(M
x、M
y,M
z)に変換する。なお、本発明の実施形態において、世界座標系変換部252は世界座標系にて端末座標系地磁気データの傾斜誤差の補正を行うことで、世界座標系で表現された地磁気データ(M
x、M
y,M
z)を得ることができ、その得られた地磁気データを世界座標系地磁気データと呼ぶ。
【0030】
世界座標系変換処理では、まず、世界座標系変換部252は、世界座標系の軸とは異なる方向を向いている端末座標系地磁気データの水平方向成分(m
x、m
y)を、地面に対して水平にする。端末座標系地磁気データの水平方向成分(m
x、m
y)を水平にする際、世界座標系変換部252は、加速度センサ220が取得した端末座標系加速度データ、および角速度センサ230が取得した端末座標系角速度データに基づき、端末座標系地磁気データの垂直方向成分m
zと世界座標系Z軸が一致するように、端末座標系地磁気データを回転させる。次に、世界座標系変換部252は、端末座標系地磁気データの水平方向成分(m
x、m
y)のどちらか一方と世界座標系X軸が一致するように、端末座標系地磁気データを回転させる。例えば、
図3に示すように、世界座標系変換部252は、端末座標系地磁気データの水平方向成分m
xと世界座標系X軸が一致するように、端末座標系地磁気データを回転させる。世界座標系変換部252は、その結果を世界座標系にて傾斜誤差補正された世界座標系地磁気データ(M
x、M
y,M
z)とし、伏角算出部254へ出力する。
【0031】
伏角算出部254は、世界座標系にて傾斜誤差補正された地磁気データから進行方向推定装置20の磁北に対する伏角Iを算出する機能を有する。例えば、伏角算出部254は、世界座標系変換部252より取得した世界座標系地磁気データ(M
x、M
y,M
z)から、磁北に対する伏角Iを算出する。
図4に示しているfは、地磁気データの水平方向成分(M
x、M
y)の合力からなる地磁気の水平成分fであり、
図4に示しているFは、地磁気の水平成分fと地磁気データM
zの合力からなる地磁気Fであり、地磁気の水平成分fと地磁気Fがなす角は、地磁気が地球の水平面に対して傾いている角度を示しているため、その角度を伏角Iとすることができる。伏角算出部254は、伏角Iを下記の数式1より算出することが可能である。
【0033】
伏角算出部254は、数式1より算出した伏角Iを、伏角記憶部258に出力する。
【0034】
世界座標系加速度記憶部256は、世界座標系変換部252が変換した進行方向推定装置20の世界座標系加速度データを時系列順に記憶する。なお、世界座標系加速度記憶部256は、記憶した情報の全てを残しておく必要はないため、設定された期間分のデータのみを記憶してもよい。世界座標系加速度記憶部256は、
図5に示すように、時刻ごとに世界座標系加速度データを記憶する。世界座標系加速度記憶部256が記憶した情報は、進行軸算出部260が進行方向推定装置20の進行軸を算出する際に使用される。
【0035】
伏角記憶部258は、伏角Iと進行方向を時系列順に記憶する。なお、伏角記憶部258は、記憶した情報の全てを残しておく必要はないため、設定された期間分のデータのみを記憶してもよい。伏角記憶部258は、
図6に示すように、時刻ごとに伏角Iを記憶する。伏角記憶部258が記憶した情報は、変動算出部262が伏角Iの変動dIを算出する際に使用される。また、伏角記憶部258は、進行方向判定部264によって判定された時刻ごとの進行方向も記憶する。進行方向判定部264が進行方向を判定する際に、伏角Iに変動がない場合、進行方向判定部264は伏角記憶部258に記憶されている直近の進行方向に基づき、進行方向を判定する。
【0036】
進行軸算出部260は、世界座標系加速度の水平成分加速度データを解析することにより、進行方向推定装置20の進行軸を算出する機能を有する。例えば、進行軸算出部260は、世界座標系加速度記憶部256に記憶された世界座標系加速度の水平成分加速度データ(A
x、A
y)の時系列データに対して、主成分分析等を行うことで、進行方向推定装置20の進行軸を算出する。主成分分析を行った場合、
図7に示すように、水平成分加速度データ(A
x、A
y)の時系列データの分布より、進行方向推定装置20の進行軸を算出することができる。進行軸算出部260は、算出した進行軸の情報を、進行方向判定部264へ出力する。なお、主成分分析により得られる結果は、取得する時系列データの量に依存する。本発明の実施形態では、取得する時系列データの期間については限定しないため、必要に応じて取得する時系列データの期間を変更してもよい。
【0037】
変動算出部262は、伏角算出部254が算出した伏角Iの変動dIを算出する機能を有する。例えば、変動算出部262は、伏角記憶部258に記憶された伏角Iを取得し、伏角Iの変動dIを算出する。算出にあたり、1歩行動作の周期をTとした場合、変動算出部262は、伏角Iの変動dIを下記の数式2により算出することが可能である。
【0039】
変動算出部262は、上記数式2より算出した伏角Iの変動dIを、進行方向判定部264へ出力する。
【0040】
進行方向判定部264は、進行軸算出部260が算出した進行方向推定装置20の進行軸と、変動算出部262が算出した伏角Iの変動dIに基づき、進行方向推定装置20の進行方向を判定する。伏角Iは、赤道付近で0°に近くなり、北半球では高緯度になるにつれて正に大きくなり、南半球では高緯度になるにつれて負に大きくなる特徴がある。よって、
図8に示すように、伏角Iの変動dIより、進行方向を判定するための基準方向を算出することができる。
【0041】
例えば、北半球、および南半球のどちらにおいても、伏角Iの変動dI>0の場合は北方向(第一、第二象限)、伏角Iの変動dI<0の場合は南方向(第三、第四象限)を基準方向と判定できる。上述の条件により判定した基準方向と進行軸算出部260が算出した進行軸を比較し、進行軸に沿う第1の方向および第2の方向のうち、基準方向と同じ象限側の方向を進行方向と判定する。なお、歩行者10が東西方向のみへ移動した場合、伏角Iは変動しないためdI=0となり、基準方向を判定することができない。よって、伏角Iの変動がdI=0の場合は、伏角記憶部258より直近の進行方向を取得し、進行軸に沿う第1の方向および第2の方向のうちで直近の進行方向に近い方向を進行方向と判定する。なお、東西方向のみの移動であっても、誤差の影響でdI=0とならない可能性もある。よって、変動dIが、dI=0を含む特定の範囲の値である場合に、伏角記憶部258より直近の進行方向を取得し、進行軸に沿う第1の方向および第2の方向のうちで直近の進行方向に近い方向を進行方向と判定する処理としてもよい。
【0042】
進行方向判定後、進行方向判定部264は、進行方向と世界座標系東西軸の東方向がなす角θを、進行方向を示す角度として伏角記憶部258に記憶する。
【0043】
バッテリ270は、進行方向推定装置20に搭載される機器に電源を供給する電源部であり、例えば、汎用的な2次電池等を適用できる。
【0044】
<3.動作>
以上、本発明の実施形態による進行方向推定装置20の構成を説明した。続いて、
図9および
図10を参照して、本発明の実施形態による進行方向推定装置20の動作を整理する。
【0045】
図9は、本発明の実施形態による進行方向推定装置20の動作を示すフローチャートである。まず、進行方向推定装置20に搭載されている加速度センサ220、角速度センサ230、および地磁気センサ240は、進行方向推定装置20の端末座標系データを取得する(ステップS101)。各センサは、取得した端末座標系データを世界座標系変換部252へ出力する。世界座標系変換部252は、加速度センサ220から取得した端末座標系加速度データを世界座標系加速度データに、地磁気センサ240から取得した端末座標系地磁気データを世界座標系地磁気データに変換する(ステップS103)。世界座標系変換部252は、世界座標系加速度データを世界座標系加速度記憶部256へ出力する。また、世界座標系変換部252は、世界座標系に変換された地磁気データを伏角算出部254へ出力する。
【0046】
ステップS105以降の処理は並列での処理が可能である。1つ目の並列処理として、まず、世界座標系加速度記憶部256は、世界座標系変換部252から取得した世界座標系加速度データを記憶する(ステップS105)。進行軸算出部260は、世界座標系加速度記憶部256に記憶された世界座標系加速度データに対する主成分分析等を実施し、進行軸を算出する(ステップS107)。
【0047】
2つ目の並列処理として、伏角算出部254は、世界座標系変換部252から取得した世界座標系に変換された地磁気データに基づき、伏角Iを算出し、伏角記憶部258へ出力する(ステップS109)。伏角記憶部258は、伏角算出部254から取得した伏角Iを記憶する(ステップS111)。変動算出部262は、伏角記憶部258に記憶された伏角Iに基づき、1歩行動作における伏角Iの変動dIを算出する(ステップS113)。
【0048】
進行方向判定部264は、進行軸算出部260が算出した進行軸と、変動算出部262が算出した1歩行動作における伏角Iの変動dIの関係に基づき、進行方向推定装置20の進行方向を判定する(ステップS115)。
【0049】
図10は、
図9のステップS115における、進行方向を判定する際の進行方向判定部264の具体的な動作を示すフローチャートである。
図10に示すように、まず、進行方向判定部264は、伏角Iの変動dIがdI>0を満たすかどうかを判定する(ステップS301)。ステップS301にてdI>0である場合、進行方向判定部264は北方向(第一、第二象限)を基準方向と判定する(ステップS303)。ステップS301にてdI>0でなかった場合、進行方向判定部264は、dI<0を満たすかどうかを判定する(ステップS305)。ステップS305にてdI<0である場合、進行方向判定部264は南方向(第三、第四象限)を基準方向と判定する(ステップS307)。進行方向判定部264は、進行軸に沿う第1の方向および第2の方向うち、ステップS303またはステップS307で判定した基準方向と同じ象限側の方向を進行方向と判定する(ステップS309)。
【0050】
ステップS305にてdI<0でない場合、すなわちdI=0である場合、進行方向判定部264は、進行軸に沿う第1の方向および第2の方向うち、直近の進行方向に近い方向を進行方向と判定する(ステップS311)。進行方向判定後、進行方向判定部264は、進行方向と世界座標系東軸がなす角θを、進行方向を示す角度として、伏角記憶部258に記憶する(ステップS313)。以上で
図9のステップS115の処理を終了する。
【0051】
<4.小括>
以上説明したように、本発明の実施形態による進行方向推定装置20は、鉛直方向加速度成分を用いずに、進行方向を推定することができるため、進行方向の推定において進行方向加速度成分と鉛直方向加速度成分の時系列変化の関係性に対する装置の携帯位置の依存性に起因する誤りが生じることはない。したがって、本実施形態によれば、ユーザの進行方向をより高精度に推定することが可能である。
【0052】
<5.ハードウェア構成>
以上、本発明の実施形態および変形例を説明した。上述した世界座標系変換処理、進行軸の算出、伏角の算出、および進行方向の推定などの情報処理は、ソフトウェアと、以下に説明する進行方向推定装置20のハードウェアとの協働により実現される。
【0053】
図11は、進行方向推定装置20のハードウェア構成を示したブロック図である。進行方向推定装置20は、CPU(Central Processing Unit)201と、ROM(Read Only Memory)203と、RAM(Random Access Memory)205を備える。また、進行方向推定装置20は、入力部207と、表示部209と、音声出力部211と、ストレージ装置213と、ネットワークインタフェース215とを備える。
【0054】
CPU201は、演算処理装置および制御装置として機能し、各種プログラムに従って進行方向推定装置20内の動作全般を制御する。また、CPU201は、マイクロプロセッサであってもよい。ROM203は、CPU201が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。RAM205は、CPU201の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶する。これらはCPUバスなどから構成されるホストバスにより相互に接続されている。CPU201、ROM203およびRAM205は、ソフトウェアとの協働により
図2を参照して説明した進行方向推定部250の機能を実現し得る。
【0055】
入力部207は、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、マイクロフォン、センサ、スイッチおよびレバーなどユーザが情報を入力するための入力手段と、ユーザによる入力に基づいて入力信号を生成し、CPU201に出力する入力制御回路などから構成されている。進行方向推定装置20のユーザは、該入力部207を操作することにより、進行方向推定装置20に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりすることができる。
【0056】
表示部209は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ装置、液晶ディスプレイ(LCD)装置、プロジェクター装置、OLED(Organic Light Emitting Diode)装置およびランプなどの表示部を含む。また、音声出力部211は、スピーカおよびヘッドホンなどの音声出力部を含む。
【0057】
ストレージ装置213は、本実施形態にかかる進行方向推定装置20の世界座標系加速度記憶部256と伏角記憶部258で構成されるデータ格納用の装置である。ストレージ装置213は、記憶媒体、記憶媒体にデータを記録する記録装置、記憶媒体からデータを読み出す読出し装置および記憶媒体に記録されたデータを削除する削除装置などを含んでもよい。ストレージ装置213は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid Strage Drive)、あるいは同等の機能を有するメモリ等で構成される。このストレージ装置213は、ストレージを駆動し、CPU201が実行するプログラムや各種データを格納する。
【0058】
ネットワークインタフェース215は、例えば、ネットワークに接続するための通信デバイス等で構成された通信インタフェースである。また、ネットワークインタフェース215は、無線LAN(Local Area Network)対応通信装置であっても、有線による通信を行うワイヤー通信装置であってもよい。
【0059】
<6.補足>
なお、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0060】
例えば、本明細書の進行方向推定装置20の処理における各ステップは、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はない。例えば、進行方向推定装置20の処理における各ステップは、フローチャートとして記載した順序と異なる順序で処理されても、並列的に処理されてもよい。
【0061】
また、進行方向推定装置20に内蔵されるCPU、ROMおよびRAMなどのハードウェアに、上述した進行方向推定装置20の各構成と同等の機能を発揮させるためのコンピュータプログラムも作成可能である。また、該コンピュータプログラムを記憶させた記憶媒体も提供される。