特許第6972778号(P6972778)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6972778
(24)【登録日】2021年11月8日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】衛生洗浄装置およびトイレ装置
(51)【国際特許分類】
   E03D 9/08 20060101AFI20211111BHJP
   E03D 11/02 20060101ALI20211111BHJP
【FI】
   E03D9/08 A
   E03D11/02 Z
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-162427(P2017-162427)
(22)【出願日】2017年8月25日
(65)【公開番号】特開2019-39228(P2019-39228A)
(43)【公開日】2019年3月14日
【審査請求日】2020年6月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川田 賢志
(72)【発明者】
【氏名】山川 剛志
【審査官】 神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−213876(JP,A)
【文献】 特開2006−241945(JP,A)
【文献】 特開平10−113309(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0114530(US,A1)
【文献】 韓国登録実用新案第20−0396293(KR,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 9/08
E03D 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器の上面に取り付けられる本体と、
前記本体の後端上部を前記便器の上面における第1の位置に係止させることで、前記本体を前記便器の上面に保持する第1係止部と
前記本体の後端下部を前記便器の上面における前記本体の取り付け位置の前方に設定された第2の位置に係止させることで、前記本体を前記便器の上面に保持する第2係止部と
を備えること
を特徴とする衛生洗浄装置。
【請求項2】
前記本体は、前記便器の上面に設けられた固定プレートに取り付けられることで、該便器の上面に取り付けられ、
前記第1係止部および前記第2係止部は、前記固定プレートに設けられること
を特徴とする請求項に記載の衛生洗浄装置。
【請求項3】
前記第2係止部は、上面視において前記本体の前記取り付け位置よりも左右のいずれかにずれた位置に設けられること
を特徴とする請求項またはに記載の衛生洗浄装置。
【請求項4】
請求項1〜のいずれか1つに記載の衛生洗浄装置と、
前記衛生洗浄装置が取り付けられる便器と
を備えること
を特徴とするトイレ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、衛生洗浄装置およびトイレ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、便器の上面に取り付けられ、たとえば、便座に座った人の局部を洗浄する衛生洗浄装置がある。
【0003】
近年は、衛生洗浄装置から延びた給水ホースや給電コードなどの管状部材が外部に露出しないように、管状部材を隠蔽することが望まれている。一例としては、衛生洗浄装置と便器との間において便器の上面に形成された貫通孔から便器の内部空間に管状部材を収容して隠蔽する構造がある(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−183429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、便器の清掃時、衛生洗浄装置が取り付けられている場合は、衛生洗浄装置を便器から取り外して便器の上面および、衛生洗浄装置の裏面などを清掃する。
【0006】
しかしながら、上記したような従来の衛生洗浄装置では、管状部材が便器の内部空間に収まる長さであるため、便器の清掃時、便器から本体を取り外しても管状部材の長さが足りないことから、本体を便器から距離的に離して床に置いたりすることができない。また、管状部材が便器上面にかかり、清掃の妨げとなる。このため、使用者が本体を保持したまま清掃作業を行う必要があるなど、清掃性について改善の余地があった。
【0007】
実施形態の一態様は、清掃性を向上させることができる衛生洗浄装置およびトイレ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の一態様に係る衛生洗浄装置は、便器の上面に取り付けられる本体と、前記本体の後端上部を前記便器の上面における第1の位置に係止させることで、前記本体を前記便器の上面に保持する第1係止部と、前記本体の後端下部を前記便器の上面における前記本体の取り付け位置の前方に設定された第2の位置に係止させることで、前記本体を前記便器の上面に保持する第2係止部とを備えることを特徴とする。
【0009】
かかる構成によれば、本体の後端上部を便器の上面に係止させることで、便器から取り外した本体を便器の上面に立てた状態で保持することができる。清掃時には本体を便器の上面に保持することができるため、便器の清掃が容易となり、清掃性を向上させることができる。また、本体の後端下部を便器の上面に係止させることで、便器から取り外した本体を便器の上面に寝かせた状態で保持することができる。清掃時には本体を便器の上面に保持することができるため、便器の清掃がさらに容易となり、清掃性をさらに向上させることができる。
【0012】
また、上記した衛生洗浄装置では、前記本体は、前記便器の上面に設けられた固定プレートに取り付けられることで、該便器の上面に取り付けられ、前記第1係止部および前記第2係止部は、前記固定プレートに設けられることを特徴とする。
【0013】
かかる構成によれば、便器の上面において第1係止部および第2係止部を固定プレートに設けるため、第1係止部および第2係止部をいずれも容易に設けることができる。すなわち、製造容易でありながら、清掃性を向上させることができる。
【0014】
また、上記した衛生洗浄装置では、前記第2係止部は、上面視において前記本体の前記取り付け位置よりも左右のいずれかにずれた位置に設けられることを特徴とする。
【0015】
かかる構成によれば、清掃後、衛生洗浄装置の取り付け忘れを防止することができる。
【0016】
さらに、実施形態の一態様に係るトイレ装置は、前記衛生洗浄装置と、前記衛生洗浄装置が取り付けられる便器とを備えることを特徴とする。
【0017】
かかる構成によれば、衛生洗浄装置の本体の後端上部を便器の上面に係止させることで、便器から取り外した衛生洗浄装置を便器の上面に保持することができる。清掃時には衛生洗浄装置を便器の上面に保持することができるため、便器の清掃が容易となり、清掃性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0018】
実施形態の一態様によれば、清掃性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、実施形態に係る衛生洗浄装置およびトイレ装置を示す概略斜視図(その1)である。
図2図2は、実施形態に係る衛生洗浄装置およびトイレ装置を示す概略斜視図(その2)である。
図3図3は、実施形態に係る衛生洗浄装置の取り付け状態を示す概略側面図である。
図4A図4Aは、第1係止部の説明図(その1)である。
図4B図4Bは、第1係止部の説明図(その2)である。
図4C図4Cは、第1係止部の説明図(その3)である。
図5A図5Aは、第2係止部の説明図(その1)である。
図5B図5Bは、第2係止部の説明図(その2)である。
図5C図5Cは、第2係止部の説明図(その3)である。
図6図6は、係止部の変形例(その1)の説明図である。
図7図7は、係止部の変形例(その2)の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する衛生洗浄装置およびトイレ装置の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0021】
<1.トイレ装置>
図1および図2を参照して実施形態に係るトイレ装置1について説明する。図1および図2は、実施形態に係る衛生洗浄装置10およびトイレ装置1を示す概略斜視図である。なお、図2には、衛生洗浄装置10の取り付け(または、取り外し)状態を示している。
【0022】
図1および図2において、説明の便宜上、鉛直上向きを正方向とするZ軸を含む3次元の直交座標系を図示している。かかる3次元の直交座標系は、他の図においても図示している場合がある。
【0023】
かかる直交座標系は、X軸の正方向側を「前」、負方向側を「後」と規定し、Y軸の正方向側を「右」、負方向側を「左」と規定し、Z軸の正方向側を「上」、負方向側を「下」と規定している。このため、以下の説明においては、X軸方向を前後方向、Y軸方向を左右方向、Z軸方向を上下方向という場合がある。
【0024】
図1に示すように、トイレ装置1は、便器部2と、衛生洗浄装置10とを備える。なお、便器部2は、図示のような床置き式に限らず、壁掛け式でもよい。また、図示の例では、トイレ装置1は、洗浄水を貯留する洗浄水タンク3を備える。洗浄水タンク3は、たとえば、便器部2の後部に設置される。なお、トイレ装置1は、洗浄水タンク3が便器部2の後部に設置されない、いわゆるタンクレス式でもよい。
【0025】
便器部2は、たとえば陶器製の便器本体(以下、便器という)21を備える。便器21の上面21aには、汚物を受ける凹部(以下、ボウルという)22が形成される。また、便器部2は、洗浄水タンク3に貯留された洗浄水をボウル22へ導く導水路(図示省略)や、ボウル22の底部に接続されるトラップ管路(図示省略)などをさらに備える。
【0026】
便器21は、内部空間を有する。たとえば、便器21の後部にカバーが取り付けられ、便器21の外周面とカバーとの間に形成された空間を「内部空間」としてもよい。便器21の内部空間には、後述する管状部材4が収納される。
【0027】
トイレ装置1は、たとえば、サイホン作用を利用してボウル22内の汚物を引き込んで、引き込んだ汚物を、トラップ管路を通じて排水管路へ排出する、いわゆるサイホン式である。なお、トイレ装置1は、サイホン式に限らず、たとえば、ボウル22内の洗浄水の落差による流水作用で汚物を押し流す、いわゆる洗い落し式でもよい。
【0028】
<2.衛生洗浄装置>
次に、実施形態に係る衛生洗浄装置10について説明する。衛生洗浄装置10は、本体11が便器21の上面21a後部に取り付けられ、後述する便座12に座った人(使用者)の局部に向けて洗浄水を噴射して、使用者の局部を洗浄する。
【0029】
図1に示すように、衛生洗浄装置10は、本体11と、便座12と、便蓋13とを備える。便座12は、後端部が本体11に保持され、取り付け状態(すなわち、衛生洗浄装置10を便器21の上面21aに設置した状態)において、本体11の前方に配置される。便座12は、取り付け状態で上下方向に回動する。
【0030】
便蓋13は、後端部が本体11に保持され、取り付け状態において、本体11の前方、かつ、便座12の上方に配置される。便蓋13は、取り付け状態で上下方向に回動する。なお、便蓋13は、衛生洗浄装置10において必要に応じて設けられ、省略可能である。
【0031】
衛生洗浄装置10は、本体11として、ケーシング11aと、機能部(図示省略)とを備える。機能部は、ケーシング11aに収容され、衛生洗浄装置10への給水、給電に供する装置の他、たとえば、便座12に座った人(使用者)の局部を洗浄する衛生洗浄ノズルや、ボウル22内の臭いを除去する脱臭装置などを備える。
【0032】
ここで、衛生洗浄装置10と外部との間には、管状部材4が介在している。管状部材4としては、たとえば、給水源(図示省略)から延びた給水ホース41や、電源(いわゆる電源コンセント)52に接続される電源コード42がある。また、管状部材4としては、本体11側のジャックに接続される便器洗浄コード(図示省略)などがある。
【0033】
便器洗浄コードは、たとえば、ボウル22内の洗浄時に操作される回動レバーをリモコンによる操作で行う場合に、回動レバーの駆動モータと衛生洗浄装置10とを電気的に接続して電力を供給する。
【0034】
衛生洗浄装置10は、便器21に設置される場合、意匠性の向上の観点から、管状部材4が使用者の視界に入らないように、すなわち、管状部材4がトイレ装置1の外部に露出しないように管状部材4が隠蔽される、いわゆる給水給電隠蔽で設置される。
【0035】
図2に示すように、衛生洗浄装置10は、便器21に設置される場合に、管状部材4が便器21の上面21a後部における左右いずれか一側部(図示の例では、左側部)の貫通孔21bに挿通され、貫通孔21bを介して、便器21の内部空間に収納される。これにより、管状部材4を、トイレ装置1の外部にできるだけ露出させることなく、トイレ室のたとえば壁面5に設けられた止水栓51や電源コンセント52に接続することができる。
【0036】
また、図2に示すように、衛生洗浄装置10は、便器21の上面21aに設けられた固定プレート23を介して、便器21の上面21aに取り付けられる。固定プレート23は、便器21の上面21a後部において、上面(平面)視における中央部に設けられ、便器21の上面21aと衛生洗浄装置10の本体11との間において、本体11を固定する。固定プレート23は、衛生洗浄装置10(本体11)を、前後方向にスライド移動させることで、着脱させる。
【0037】
固定プレート23は、本体11を前方から後方(X軸の負方向)に所定量だけスライド移動させることで、本体11の取り付けを可能とする。また、固定プレート23は、本体11を後方から前方(X軸の正方向)に所定量だけスライド移動させることで、本体11の取り外しを可能とする。このように、固定プレート23は、衛生洗浄装置10を固定するとともに、衛生洗浄装置10を介して、便器21に便座12や便蓋13を連結する。
【0038】
ここで、図3を参照して衛生洗浄装置10を便器部2(便器21)に取り付けた状態について説明する。図3は、実施形態に係る衛生洗浄装置10の取り付け状態(この状態を正規の取り付け状態という場合がある)を示す概略側面図である。
【0039】
図3に示すように、衛生洗浄装置10は、固定プレート23を介して、便器21の上面21aに固定された状態では、本体11の後端部に形成された凹部11bに固定プレート23の本体23aが挿入されている。
【0040】
フレキシブルホースなどの給水ホース41は、従来、衛生洗浄装置10の本体11に一体的に接続される。たとえば、トイレ装置1の施工時、専門の業者が工具を用いて本体11に接続させた給水ホース41は、損傷などが発生しない限り本体11から取り外すことはない。また、損傷などが発生して給水ホース41を本体11から取り外す場合も、専門の業者が工具を用いて取り外すため、使用者が給水ホース41を取り外すことはない。
【0041】
このように、従来、本体11に接続された給水ホース41は、本体11から取り外せないように構成されており、たとえば、便器21の清掃時、便器21から衛生洗浄装置10を取り外す場合、便器21から本体11を取り外しても、給水ホース41が本体11と繋がったままである。また、図2に示すように、給水ホース41などの管状部材4は便器21の貫通孔21bを挿通させているため、便器21から取り外した本体11を便器21から距離的に離せない。このため、使用者は、たとえば、本体11を手に持ったまま便器21の清掃を行う。
【0042】
実施形態に係る衛生洗浄装置10は、便器21から取り外した衛生洗浄装置10を便器21の上面21aに保持することで、便器21の清掃を容易に行えるものである。
【0043】
<3.保持構造>
次に、図4A図5Cを参照して衛生洗浄装置10の保持構造について説明する。衛生洗浄装置10は、便器21の上面21aにおける所定の位置(第1の位置A1および第2の位置A2)においてそれぞれ第1係止部61および第2係止部62で保持される。以下では、まず、図4A図4Cを用いて第1係止部61について説明し、次いで、図5A図5Cを用いて第2係止部62について説明する。
【0044】
<3−1.第1係止部>
図4A図4Cは、第1係止部61の説明図である。なお、図4Aには、便器21の上面(平面)を示すとともに、便器21の上面21aにおける第1の位置A1を示している。また、図4Bには、側面視(左側面視)において衛生洗浄装置10が保持された状態を示し、図4Cには、図4BにおけるB1部を拡大して示している。
【0045】
図4Aに示すように、便器21の上面21aには、衛生洗浄装置10が正規の取り付け状態以外で係止される第1の位置A1が設けられる。図示の例では、第1の位置A1は、固定プレート23の上方(Z軸の正方向)に設定されている。図4Bに示すように、衛生洗浄装置10は、第1の位置A1において、立った状態、すなわち、長手方向がZ軸方向を向いた状態で保持される。衛生洗浄装置10は、固定プレート23に本体11の凹部11bを係止する係止部(第1係止部)61(図4C参照)を備える。
【0046】
図4Cに示すように、衛生洗浄装置10の本体11に形成された凹部11bには、本体11の後端部において凹部11bの開口範囲を規制する規制部11cが設けられる。固定プレート23は、本体23aから前方(X軸の正方向)に突出している凸部23bを備える。そして、第1係止部61は、衛生洗浄装置10の本体11の凹部11bと、規制部11cと、固定プレート23の本体23aの凸部23bとを備える。
【0047】
第1係止部61は、第1の位置A1において、規制部11cで開口範囲が規制された凹部11bに固定プレート23の凸部23bが嵌り込むことで、衛生洗浄装置10を便器21の上面21aに立てた状態で保持する。
【0048】
<3−2.第2係止部>
図5A図5Cは、第2係止部62の説明図である。なお、図5Aには、便器21の上面(平面)を示すとともに、便器21の上面21aにおける第2の位置A2を示している。また、図5Bには、側面視(左側面視)において衛生洗浄装置10が保持された状態を示し、図5Cには、図5BにおけるB2部を拡大して示している。
【0049】
図5Aに示すように、便器21の上面21aには、衛生洗浄装置10が正規の取り付け状態以外で係止される第2の位置A2が設けられる。図示の例では、第2の位置A2は、正規の取り付け位置の前方となる固定プレート23の前方(X軸の正方向)に設定されている。図5Bに示すように、衛生洗浄装置10は、第2の位置A2において、寝た状態、すなわち、長手方向がX軸方向を向いた状態で保持される。衛生洗浄装置10は、上記した第1係止部61の他、固定プレート23に本体11の凹部11bを係止する係止部(第2係止部)62(図5C参照)を備える。
【0050】
第2係止部62は、第2の位置A2において、第1係止部61と同様に規制部11cで開口範囲が規制された凹部11bに固定プレート23の凸部23bが嵌り込むことで、衛生洗浄装置10を便器21の上面21aに寝かせた状態で保持する。
【0051】
なお、衛生洗浄装置10は、第1係止部61および第2係止部62の双方を備える必要はなく、第1係止部61および第2係止部62のいずれか一方のみを備えるものでもよい。
【0052】
上記した実施形態に係る衛生洗浄装置10によれば、第1係止部61によって本体11の後端上部を便器21の上面21aに係止させることで、便器21から取り外した本体11を便器21の上面21aに立てた状態で保持することができる。清掃時には本体11を便器21の上面に保持することができるため、便器21の清掃が容易となり、清掃性を向上させることができる。
【0053】
また、第2係止部62によって本体11の後端下部を便器21の上面21aに係止させることで、便器21から取り外した本体11を便器21の上面21aに寝かせた状態で保持することができる。この場合、本体11は、正規の取り付け位置とは異なる位置(第2の位置A2)で保持される。清掃時には本体11を便器21の上面21aに保持することができるため、便器21の清掃がさらに容易となり、清掃性をさらに向上させることができる。
【0054】
また、便器21の上面21aにおいて、第1係止部61および第2係止部62を固定プレート23に設けるため、第1係止部61および第2係止部62をいずれも容易に設けることができる。たとえば、便器21の上面21aに直接設ける場合は便器21が陶器製であるため、容易ではない。すなわち、製造容易でありながら、清掃性を向上させることができる。
【0055】
また、実施形態に係るトイレ装置1によれば、上記した衛生洗浄装置10を備えることで、衛生洗浄装置10において、第1係止部61によって本体11の後端上部を便器21の上面21aに係止させることで、便器21から取り外した本体11を便器21の上面21aに立てた状態で保持することができる。また、第2係止部62によって本体11の後端下部を便器21の上面21aに係止させることで、便器21から取り外した本体11を便器21の上面21aに寝かせた状態で保持することができる。第1係止部61および第2係止部62のいずれによっても、清掃時には本体11を便器21の上面に保持することができるため、便器21の清掃が容易となり、清掃性を向上させることができる。
【0056】
<3−3.係止部の変形例>
次に、図6および図7を参照して係止部の変形例について説明する。図6および図7は、係止部の変形例の説明図である。なお、図6には、便器21の上面(平面)を示すとともに、便器21の上面21aにおける第3の位置A3を示している。図6に示すように、たとえば第2係止部62(図5C参照)が、上面視において衛生洗浄装置10(本体11)の正規の取り付け位置よりも左右方向のいずれか、すなわち、Y軸の正方向または負方向にずれた第3の位置A3で本体11が係止されてもよい。
【0057】
かかる構成によれば、本体11が正規の取り付け位置からずれた第3の位置A3で係止されるため、清掃後、衛生洗浄装置10の取り付け忘れを防止することができる。
【0058】
図7には、便器21および衛生洗浄装置10の側面(左側面)を示している。図7に示すように、便器21の上面21aに、たとえば、衛生洗浄装置10の本体11との間に摩擦を生じさせるような板状のゴム材などの係止部23Aを設けてもよい。かかるゴム材を係止部23Aとして用いる場合、たとえば、便器21の上面21aに貼り付けるだけで係止部23Aを容易に設置することがきる。
【0059】
また、便器の上面に突起などを設けて衛生洗浄装置10を便器21の上面21aに保持する係止部とすることも可能である。また、便器21の上面21aに平坦面を形成して、かかる平坦面を、衛生洗浄装置10を便器21の上面21aに保持する係止部とすることも可能である。
【0060】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0061】
1 トイレ装置
10 衛生洗浄装置
11 本体
21 便器
21a 上面
61 第1係止部
62 第2係止部
A1 第1の位置
A2 第2の位置
A3 第3の位置
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6
図7