(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
用紙に断裁予定領域を設けつつ画像形成領域に画像を形成する画像形成装置で生成される画像形成に関する画像形成情報と、前記用紙に形成された画像を読み取る読み取り装置で読み取りに応じて生成される読み取り画像情報とを参照して、前記用紙に形成された画像の異常の有無を判断すると共に、前記画像形成装置の画像形成を制御する制御情報を生成する制御装置であって、
前記画像形成領域に異常が検知された場合に、当該異常が前記断裁予定領域に移動するように前記画像形成領域と前記断裁予定領域との位置を調整する制御情報を生成して前記画像形成装置に通知し、
前記画像形成領域や前記用紙の位置を調整する前後で、前記画像形成装置における同じ座標で前記異常が検知される場合には、前記画像形成装置における機械的要因であることを報知する、
ことを特徴とする制御装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上の特許文献1では、欠陥発生状況を考慮して、欠陥発生率を算出し、算出された欠陥発生率に基づき、実行中の印刷処理が所定の再印刷回数以内で完了する確率である完了可能確率を算出し、画像形成ジョブを継続するか、停止するかを判断することで、ヤレ紙の発生を減らすように工夫している。
【0006】
しかしながら、上記先行技術では、ヤレが継続する場合には印刷停止を余儀なくされてしまっていた。すなわち、画像形成を続行できず、ダウンタイムが増大する問題が新たに発生している。
本発明はこのような課題を鑑みてなされたものであり、印刷物上の欠陥や異常が継続する場合であっても、最終的に不良印刷物を出すことを回避し、画像形成のダウンタイムを抑制することが可能な、制御装置、読み取り装置、画像形成装置及び画像形成システム並びに制御プログラムを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、前記した課題を解決すべく、本発明の一側面が反映された制御装置、読み取り装置、画像形成装置及び画像形成システム並びに制御プログラムは、以下に説明するものである。
(1)本発明の一側面が反映された制御装置は、用紙に断裁予定領域を設けつつ画像形成領域に画像を形成する画像形成装置で生成される画像形成に関する画像形成情報と、前記用紙に形成された画像を読み取る読み取り装置で読み取りに応じて生成される読み取り画像情報とを参照して、前記用紙に形成された画像の異常の有無を判断すると共に、前記画像形成装置の画像形成を制御する制御情報を生成する制御装置であって、前記画像形成領域に異常が検知された場合に、当該異常が前記断裁予定領域に移動するように前記画像形成領域と前記断裁予定領域との位置を調整する制御情報を生成して前記画像形成装置に通知
し、
前記画像形成領域や前記用紙の位置を調整する前後で、前記画像形成装置における同じ座標で前記異常が検知される場合には、前記画像形成装置における機械的要因であることを報知する、ことを特徴とする。
また、本発明の一側面が反映された制御装置は、用紙に断裁予定領域を設けつつ画像形成領域に画像を形成する画像形成装置で生成される画像形成に関する画像形成情報と、前記用紙に形成された画像を読み取る読み取り装置で読み取りに応じて生成される読み取り画像情報とを参照して、前記用紙に形成された画像の異常の有無を判断すると共に、前記画像形成装置の画像形成を制御する制御情報を生成する制御装置であって、前記画像形成領域に異常が検知された場合に、当該異常が前記断裁予定領域に移動するように前記画像形成領域と前記断裁予定領域との位置を調整する制御情報を生成して前記画像形成装置に通知し、前記画像形成領域や前記用紙の位置を調整する前後で、前記読み取り装置における同じ座標で前記異常が検知される場合には、前記読み取り装置における読み取り不良であることを報知する、ことを特徴とする。
さらに、本発明の一側面が反映された制御装置は、用紙に断裁予定領域を設けつつ画像形成領域に画像を形成する画像形成装置で生成される画像形成に関する画像形成情報と、前記用紙に形成された画像を読み取る読み取り装置で読み取りに応じて生成される読み取り画像情報とを参照して、前記用紙に形成された画像の異常の有無を判断すると共に、前記画像形成装置の画像形成を制御する制御情報を生成する制御装置であって、前記画像形成領域に異常が検知された場合に、当該異常が前記断裁予定領域に移動するように前記画像形成領域と前記断裁予定領域との位置を調整する制御情報を生成して前記画像形成装置に通知し、前記画像形成領域や前記用紙の位置を調整する前後で、前記画像形成領域における同じ座標で前記異常が検知される場合には、画像処理又は画像形成プロセスに起因する要因であることを報知する、ことを特徴とする。
【0008】
(2)以上の(1)において、画像形成後の前記用紙にパンチ又はステイプルの後処理を施す予定である場合に、当該後処理が施される後処理位置、及び、前記断裁予定領域と前記後処理位置との中間の領域を、前記断裁予定領域と同等に扱う、ことを特徴とする。
(3)以上の(1)〜(2)において、前記画像形成領域に異常が検知された場合であって前記画像形成領域と前記断裁予定領域との位置の調整が可能であれば、前記制御情報に基づく調整の後に同一画像を再び画像形成するように前記画像形成装置に通知する、ことを特徴とする。
【0009】
(4)以上の(1)〜(3)において、前記画像形成装置において前記画像形成領域と前記断裁予定領域とを区別する識別マークが前記用紙に画像形成されており、前記読み取り画像情報に含まれる前記識別マークを基準にして、前記画像形成領域と前記断裁予定領域とを判断する、ことを特徴とする。
【0010】
(5)以上の(1)〜(4)において、前記画像形成装置の画像形成において、前記用紙の搬送方向を副走査方向、前記用紙上で前記副走査方向と直交する方向を主走査方向とした場合に、前記用紙内で前記画像形成領域を主走査方向又は副走査方向の少なくとも一方に移動させて前記異常が前記断裁予定領域に移動するように調整する制御情報を生成して前記画像形成装置に通知する、ことを特徴とする。
【0011】
(6)以上の(1)〜(5)において、前記画像形成装置の画像形成において、前記用紙の搬送方向を副走査方向、前記用紙上で前記副走査方向と直交する方向を主走査方向とした場合に、前記画像形成装置における画像形成時の前記用紙の位置を主走査方向に移動させて前記異常が前記断裁予定領域に移動するように調整する制御情報を生成して前記画像形成装置に通知する、ことを特徴とする。
【0012】
(7)以上の(1)〜(6)において、前記画像形成装置の画像形成において、前記用紙の搬送方向を副走査方向、前記用紙上で前記副走査方向と直交する方向を主走査方向とした場合に、前記画像形成装置で前記用紙に画像形成する副走査方向のタイミングを移動させて前記異常が前記断裁予定領域に移動するように調整する制御情報を生成して前記画像形成装置に通知する、ことを特徴とする。
【0014】
(
8)本発明の一側面が反映された読み取り装置は、用紙に形成された画像を読み取って読み取り画像情報を生成する読み取り装置であって、用紙に断裁予定領域を設けつつ画像形成領域に画像を形成する画像形成装置から断裁予定領域と画像形成の情報を含む画像形成情報を得て、前記画像形成情報と前記読み取り画像情報とを参照して、前記用紙に形成された画像の異常の有無を判断すると共に、前記画像形成装置の画像形成を制御する制御情報を生成する、上記(1)〜(
7)の制御装置を有し、前記画像形成領域に異常が検知された場合に、当該異常が前記断裁予定領域に移動するように前記画像形成領域と前記断裁予定領域との位置を調整する制御情報を生成して前記画像形成装置に通知する、
ことを特徴とする。
【0015】
(
9)本発明の一側面が反映された画像形成装置は、用紙に断裁予定領域を設けつつ画像形成領域に画像を形成する画像形成装置であって、用紙に形成された画像を読み取って読み取り画像情報を生成する読み取り装置と、画像形成に関する画像形成情報と前記読み取り画像情報とを参照して、前記用紙に形成された画像の異常の有無を判断し、画像形成を制御する制御情報を生成する、上記(1)〜(
7)の制御装置と、を有し、前記画像形成領域に異常が検知された場合に、当該異常が前記断裁予定領域に移動するように前記画像形成領域と前記断裁予定領域との位置を調整する、ことを特徴とする。
【0016】
(
10)以上の(
9)において、前記画像形成領域に異常が検知された場合であって前記画像形成領域と前記断裁予定領域との位置の調整が可能であれば、前記制御情報に基づく調整の後に同一画像を再び画像形成する、ことを特徴とする。
(
11)以上の(
9)〜(
10)において、前記画像形成領域と前記断裁予定領域とを区別する識別マークを前記用紙に画像形成する、ことを特徴とする。
【0017】
(
12)以上の(
9)〜(
11)において、前記画像形成装置の画像形成において、前記用紙の搬送方向を副走査方向、前記用紙上で前記副走査方向と直交する方向を主走査方向とした場合に、前記制御情報に基づいて、前記用紙内で前記画像形成領域を主走査方向又は副走査方向の少なくとも一方に移動させて前記異常が前記断裁予定領域に移動するように調整する、ことを特徴とする。
【0018】
(
13)以上の(
9)〜(
12)において、前記画像形成装置の画像形成において、前記用紙の搬送方向を副走査方向、前記用紙上で前記副走査方向と直交する方向を主走査方向とした場合に、前記制御情報に基づいて、前記画像形成装置における画像形成時の前記用紙の位置を主走査方向に移動させて前記異常が前記断裁予定領域に移動するように調整する、ことを特徴とする。
【0019】
(
14)以上の(
9)〜(
13)において、前記画像形成装置の画像形成において、前記用紙の搬送方向を副走査方向、前記用紙上で前記副走査方向と直交する方向を主走査方向とした場合に、前記制御情報に基づいて、前記画像形成装置で前記用紙に画像形成する副走査方向のタイミングを移動させて前記異常が前記断裁予定領域に移動するように調整する、ことを特徴とする。
【0020】
(
15)以上の(
9)〜(
14)において、前記調整を実行する場合には、当該調整に基づいて形成する画像の位置や向きを修正する、ことを特徴とする。
(
16)以上の(
9)〜(
15)において、前記調整を実行した場合には、次の調整があるまでは当該調整後の状態を保持する、ことを特徴とする。
【0021】
(
17)本発明の一側面が反映された画像形成システムは、用紙に断裁予定領域を設けつつ画像形成領域に画像を形成する際に、前記画像形成領域に異常が検知された場合には当該異常が前記断裁予定領域に移動するように前記画像形成領域と前記断裁予定領域との位置を調整する、上記(
9)〜(
16)の画像形成装置と、前記画像形成装置で画像形成された前記用紙の前記断裁予定領域を調整に応じて断裁する断裁装置と、有することを特徴とする。
【0022】
(
18)本発明の一側面が反映された制御プログラムは、用紙に断裁予定領域を設けつつ画像形成領域に画像を形成する画像形成装置で生成される画像形成に関する画像形成情報と、前記用紙に形成された画像を読み取る読み取り装置で読み取りに応じて生成される読み取り画像情報とを参照して、前記用紙に形成された画像の異常の有無を判断すると共に、前記画像形成装置の画像形成を制御する制御情報を生成する制御装置の制御プログラムであって、前記画像形成領域に異常が検知された場合に、当該異常が前記断裁予定領域に移動するように前記画像形成領域と前記断裁予定領域との位置を調整する制御情報を生成するように制御装置のコンピュータを制御
し、
前記画像形成領域や前記用紙の位置を調整する前後で、前記画像形成装置における同じ座標で前記異常が検知される場合には、前記画像形成装置における機械的要因であることを報知する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明の一側面が反映された制御装置、読み取り装置、画像形成装置及び画像形成システム並びに制御プログラムでは、以下のような効果を奏することができる。
(1)本発明の一側面が反映された制御装置では、画像形成情報と読み取り画像情報とを参照して用紙に形成された画像の異常の有無を判断し、画像形成領域に異常が検知された場合に、当該異常が断裁予定領域に移動するように、画像形成領域と断裁予定領域との位置を調整する制御情報を生成して画像形成装置に通知する。これにより、この通知を受けた画像形成装置では、通知に応じて、画像形成領域と断裁予定領域との位置を調整することで、異常を断裁予定領域に移動させる。この結果、画像形成によって用紙上の異常が継続する場合であっても、当該異常は画像形成領域から断裁予定領域に移動することになり、断裁予定領域の異常は後処理で断裁されることで印刷物に含まれないため、最終的に不良印刷物を出すことを回避し、画像形成のダウンタイムを抑制することが可能になる。
また、本発明の一側面が反映された制御装置は、画像形成領域や用紙の位置を調整する前後で、画像形成装置における同じ座標で異常が検知される場合には、画像形成装置における機械的要因であることを報知する。この結果、異常に対する対策が容易になる。これにより、画像形成のダウンタイムを抑制することが可能になる。
また、本発明の一側面が反映された制御装置は、画像形成領域や用紙の位置を調整する前後で、読み取り装置における同じ座標で異常が検知される場合には、読み取り装置における読み取り不良であることを報知する。この結果、異常に対する対策が容易になる。これにより、画像形成のダウンタイムを抑制することが可能になる。
さらに、本発明の一側面が反映された制御装置は、画像形成領域や用紙の位置を調整する前後で、画像形成領域における同じ座標で異常が検知される場合には、画像処理又は画像形成プロセスに起因する要因であることを報知する。この結果、異常に対する対策が容易になる。これにより、画像形成のダウンタイムを抑制することが可能になる。
【0024】
(2)以上の(1)において、画像形成後の用紙にパンチ又はステイプルの後処理を施す場合に、後処理位置、及び、断裁予定領域と後処理位置との中間の領域、すなわち、後処理近傍領域を断裁予定領域と同等に扱う。これにより、この通知を受けた画像形成装置では、通知に応じて、後処理近傍領域を除いた画像形成領域と後処理近傍領域を含めた断裁予定領域との位置を調整することで、異常を後処理近傍領域を含めた断裁予定領域に移動させる。この結果、画像形成によって用紙上の異常が継続する場合であっても、当該異常は画像形成領域から断裁予定領域に移動することになり、断裁予定領域の異常は後処理で断裁されることで印刷物に含まれないため、最終的に不良印刷物を出すことを回避し、画像形成のダウンタイムを抑制することが可能になる。また、後処理近傍領域を断裁予定領域に含めることで、用紙の品位を落とすことなく、異常の移動が容易になる。
【0025】
(3)以上の(1)〜(2)において、通知を受けた画像形成装置では、画像形成領域と断裁予定領域との位置の調整が可能であれば、制御情報に基づく調整の後に同一画像を再び画像形成する。これにより、断裁予定領域の異常は後処理で断裁されることで印刷物に含まれなくなり、最終的に不良印刷物を出すことを回避し、画像形成のダウンタイムを抑制することが可能になる。
【0026】
(4)以上の(1)〜(3)において、画像形成時に画像形成領域と断裁予定領域とを区別するトンボ等の識別マークが用紙に画像形成されているため、読み取り画像情報に含まれる識別マークを基準にして画像形成領域と断裁予定領域との確実な判断が可能になる。
【0027】
(5)以上の(1)〜(4)において、用紙内で画像形成領域を主走査方向又は副走査方向の少なくとも一方に移動させて異常が断裁予定領域に移動するように調整する制御情報を生成して画像形成装置に通知する。これにより、通知を受けた画像形成装置では、用紙内で画像形成領域を主走査方向又は副走査方向の少なくとも一方に移動させることで、異常が断裁予定領域に移動するように調整する。この結果、断裁予定領域の異常は後処理で断裁されることで印刷物に含まれないため、最終的に不良印刷物を出すことを回避し、画像形成のダウンタイムを抑制することが可能になる。
【0028】
(6)以上の(1)〜(5)において、画像形成装置における画像形成時の用紙の位置を主走査方向に移動させて異常が断裁予定領域に移動するように調整する制御情報を生成して画像形成装置に通知する。これにより、通知を受けた画像形成装置では、画像形成時の用紙の位置を主走査方向に移動させて、異常が断裁予定領域に移動するように調整する。この結果、断裁予定領域の異常は後処理で断裁されることで印刷物に含まれないため、最終的に不良印刷物を出すことを回避し、画像形成のダウンタイムを抑制することが可能になる。
【0029】
(7)以上の(1)〜(6)において、画像形成装置で用紙に画像形成する副走査方向のタイミングを移動させて異常が断裁予定領域に移動するように調整する制御情報を生成して画像形成装置に通知する。これにより、通知を受けた画像形成装置では、用紙に画像形成する副走査方向のタイミングを移動させて、異常が断裁予定領域に移動するように調整する。この結果、断裁予定領域の異常は後処理で断裁されることで印刷物に含まれないため、最終的に不良印刷物を出すことを回避し、画像形成のダウンタイムを抑制することが可能になる。
【0033】
(
8)本発明の一側面が反映された読み取り装置では、以上の(1)〜(
7)の制御装置を有し、画像形成領域に異常が検知された場合に、当該異常が断裁予定領域に移動するように画像形成領域と断裁予定領域との位置を調整する制御情報を生成して画像形成装置に通知する。これにより、この通知を受けた画像形成装置では、通知に応じて、画像形成領域と断裁予定領域との位置を調整することで、異常を断裁予定領域に移動させる。この結果、画像形成によって用紙上の異常が継続する場合であっても、当該異常は画像形成領域から断裁予定領域に移動することになり、断裁予定領域の異常は後処理で断裁されることで印刷物に含まれないため、最終的に不良印刷物を出すことを回避し、画像形成のダウンタイムを抑制することが可能になる。
【0034】
(
9)本発明の一側面が反映された画像形成装置は、以上の(1)〜(
7)の制御装置を有し、画像形成領域に異常が検知された場合に、当該異常が断裁予定領域に移動するように画像形成領域と断裁予定領域との位置を調整することで、異常を断裁予定領域に移動させる。この結果、画像形成によって用紙上の異常が継続する場合であっても、当該異常は画像形成領域から断裁予定領域に移動することになり、断裁予定領域の異常は後処理で断裁されることで印刷物に含まれないため、最終的に不良印刷物を出すことを回避し、画像形成のダウンタイムを抑制することが可能になる。
【0035】
(
10)以上の(
9)において、画像形成領域に異常が検知された場合であって画像形成領域と断裁予定領域との位置の調整が可能であれば、制御情報に基づく調整の後に同一画像を再び画像形成する。これにより、断裁予定領域の異常は後処理で断裁されることで印刷物に含まれなくなり、最終的に不良印刷物を出すことを回避し、画像形成のダウンタイムを抑制することが可能になる。
【0036】
(
11)以上の(
9)〜(
10)において、画像形成時に画像形成領域と断裁予定領域とを区別するトンボ等の識別マークが用紙に画像形成されているため、読み取り画像情報に含まれる識別マークを基準にして画像形成領域と断裁予定領域との確実な判断が可能になる。
【0037】
(
12)以上の(
9)〜(
11)において、画像形成装置の画像形成において、用紙内で画像形成領域を主走査方向又は副走査方向の少なくとも一方に移動させて異常が断裁予定領域に移動するように調整する制御情報に基づいて、用紙内で画像形成領域を主走査方向又は副走査方向の少なくとも一方に移動させて異常が断裁予定領域に移動するように調整する。これにより、用紙内で画像形成領域を主走査方向又は副走査方向の少なくとも一方に移動させることで、異常が断裁予定領域に移動するように調整する。この結果、断裁予定領域の異常は後処理で断裁されることで印刷物に含まれないため、最終的に不良印刷物を出すことを回避し、画像形成のダウンタイムを抑制することが可能になる。
【0038】
(
13)以上の(
9)〜(
12)において、画像形成装置における画像形成時の用紙の位置を主走査方向に移動させて異常が断裁予定領域に移動するように調整する。この結果、断裁予定領域の異常は後処理で断裁されることで印刷物に含まれないため、最終的に不良印刷物を出すことを回避し、画像形成のダウンタイムを抑制することが可能になる。
【0039】
(
14)以上の(
9)〜(
13)において、制御情報に基づいて、画像形成装置で用紙に画像形成する副走査方向のタイミングを移動させて異常が断裁予定領域に移動するように調整する。この結果、断裁予定領域の異常は後処理で断裁されることで印刷物に含まれないため、最終的に不良印刷物を出すことを回避し、画像形成のダウンタイムを抑制することが可能になる。
【0040】
(
15)以上の(
9)〜(
14)において、調整を実行する場合には、当該調整に基づいて形成する画像の位置や向きを修正する。この結果、画像
形成領域内では異常が除去された画像が形成され、断裁予定領域の異常は後処理で断裁されることで印刷物に含まれないため、最終的に不良印刷物を出すことを回避し、画像形成のダウンタイムを抑制することが可能になる。
【0041】
(
16)以上の(
9)〜(
15)において、調整を実行した場合には、次の調整があるまでは当該調整後の状態を保持することで、不良印刷物を出すことを回避し、画像形成のダウンタイムを抑制することが可能になる。
(
17)本発明の一側面が反映された画像形成システムでは、以上の(
9)〜(
16)の画像形成装置と、画像形成装置で画像形成された用紙の断裁予定領域を調整に応じて断裁する断裁装置と、有する。この結果、画像形成によって用紙上の異常が継続する場合であっても、当該異常は画像形成領域から断裁予定領域に移動することになり、断裁予定領域の異常は後処理で断裁されることで印刷物に含まれないため、最終的に不良印刷物を出すことを回避し、画像形成のダウンタイムを抑制することが可能になる。
【0042】
(
18)本発明の一側面が反映された制御プログラムは、画像形成情報と読み取り画像情報とを参照して用紙に形成された画像の異常の有無を判断し、画像形成領域に異常が検知された場合に、当該異常が断裁予定領域に移動するように、画像形成領域と断裁予定領域との位置を調整する制御情報を生成して画像形成装置に通知する。これにより、この通知を受けた画像形成装置では、通知に応じて、画像形成領域と断裁予定領域との位置を調整することで、異常を断裁予定領域に移動させる。この結果、画像形成によって用紙上の異常が継続する場合であっても、当該異常は画像形成領域から断裁予定領域に移動することになり、断裁予定領域の異常は後処理で断裁されることで印刷物に含まれないため、最終的に不良印刷物を出すことを回避し、画像形成のダウンタイムを抑制することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、図面を参照して、印刷物上の欠陥や異常が継続する場合であっても、最終的に不良印刷物を出すことを回避し、画像形成のダウンタイムを抑制することが可能な、制御装置、読み取り装置、画像形成装置及び画像形成システム並びに制御プログラムの実施形態を詳細に説明する。
【0045】
〔構成(1)〕
制御装置、読み取り装置、画像形成装置を含む画像形成システム1の第1構成例を、
図1と
図2に基づいて詳細に説明する。なお、
図1は画像形成システム1に含まれる各装置の各部の機能を示す機能ブロック図、
図2は画像形成システム1に含まれる各装置の各部の機械的構成要素を示す説明図である。
【0046】
本実施形態の画像形成システム1は、画像形成装置100と、読み取り装置200と、後処理装置300とが、用紙の搬送方向に沿って接続された状態で配置されている。
ここで、画像形成装置100は、画像形成装置100内の各部を制御する制御部101と、接続されている他の装置と通信するための通信部102と、利用者による操作入力と画像形成装置100の状態表示とを行う操作表示部103と、各種設定を記憶する記憶部104と、給紙トレイに収容された用紙を給紙可能な給紙部105と、装置内で用紙を搬送する搬送部107と、原稿をプラテン上で読み取る原稿読取部110と、画像形成する際の画像データや各種データを記憶する画像データ記憶部130と、画像形成に必要な各種画像処理を実行する画像処理部140と、画像形成命令と画像データとに基づいて用紙上に画像を形成する画像形成部150と、用紙上に形成されたトナーによる画像を熱と圧力とで安定させる定着部160と、を備えて構成されている。なお、画像形成部150は、
図2に示されるように、帯電された像担持体に形成される静電潜像が現像されてトナー像となり、中間転写体上で各色のトナー像が重ね合わされてから用紙に転写される、いわゆる電子写真方式の画像形成部である。但し、画像形成部150の具体的構成は、
図2に示すものに限られない。
【0047】
読み取り装置200は、読み取り装置200内の各部を制御する制御部201と、他の装置と通信する通信部202と、搬送中の用紙の画像を読み取る出力物読取部210と、基準画像データと読み取り画像データとを一時保存する画像データ記憶部230と、を備えて構成されている。
【0048】
後処理装置300は、後処理装置300内の各部を制御する制御部301と、他の装置と通信する通信部302と、用紙に断裁やパンチやステイプル等の各種後処理を施す後処理部330と、用紙を排出する排紙部390と、を備えて構成されている。
ここで、後処理部330の処理内容については特に限定しないが、少なくとも断裁と、更にステイプルやパンチや折り等の各種後処理を、用紙1枚単位、又は、複数枚の用紙からなる束(冊子)を単位として実行可能とする。なお、画像形成装置100での画像形成時に、画像形成領域と断裁予定領域とを区別するトンボ等の識別マークが用紙に画像形成されていれば、後処理部330はこの識別マークを参照して断裁予定領域の断裁を実行する。また、排紙部390は、一例として、排紙トレイ390a,390b,390cを備えて構成される。なお、
図1〜
図2に示した画像形成システム1の構成は一例であり、更に多くの読み取り装置や後処理装置が連結されていても良い。
【0049】
なお、
図3に示すように、画像形成システム1を画像形成装置100と読み取り装置200とで構成し、読み取り装置200の排紙部290に排紙された用紙を、画像形成システム1とは接続されていない後処理装置300の給紙部305に運び、後処理装置300により後処理を施すことも可能である。この場合も、画像形成装置100での画像形成時に、画像形成領域と断裁予定領域とを区別するトンボ等の識別マークが用紙に画像形成される。そして、後処理装置300では、この識別マークを参照して、断裁予定領域の断裁を実行する。
【0050】
そして、この第1構成例では、読み取り装置200内の制御部201が、用紙に断裁予定領域を設けつつ画像形成領域に画像を形成する画像形成に関する画像形成情報と、用紙に形成された画像の読み取りに応じて生成される読み取り画像情報とを参照して、用紙に形成された画像の異常の有無を判断すると共に、画像形成装置の画像形成を制御する制御情報を生成し、画像形成領域に異常が検知された場合に、当該異常が断裁予定領域に移動するように画像形成領域と断裁予定領域との位置を調整する制御情報を生成する制御装置を構成する。なお、この制御装置としての動作は、制御プログラムにより実現される。
【0051】
〔構成(2)〕
制御装置、読み取り装置、画像形成装置を含む画像形成システム1の第2構成例を、
図4と
図5に基づいて詳細に説明する。なお、
図4は画像形成システム1に含まれる各装置の各部の機能を示す機能ブロック図、
図5は画像形成システム1に含まれる各装置の各部の機械的構成要素を示す説明図である。なお、この画像形成システム1の第2構成例において、
図1と
図2に示した第1構成例と同一物には同一番号を付すことで重複した説明を省略する。画像形成システム1には、用紙上に画像形成された画像を読み取る読み取り装置としての出力物読取部170が画像形成装置100内に設けられている。そのため、画像形成システム1において読み取り装置200は接続されていない。なお、読み取り装置200の代わりに中間装置を設け、反転部などを配置することが可能である。なお、出力物読取部170は、用紙上に画像形成された画像を読み取るもので、画像形成部150と定着部160の下流側に配置されており、用紙搬送中に画像を読み取る構成となっている。なお、
図4〜
図5に示した画像形成システム1の構成は一例であり、更に多くの読み取り装置や後処理装置が連結されていても良い。
【0052】
この第2構成例では、制御部101が、用紙に断裁予定領域を設けつつ画像形成領域に画像を形成する画像形成に関する画像形成情報と、用紙に形成された画像の読み取りに応じて生成される読み取り画像情報とを参照して、用紙に形成された画像の異常の有無を判断すると共に、画像形成装置の画像形成を制御する制御情報を生成し、画像形成領域に異常が検知された場合に、当該異常が断裁予定領域に移動するように画像形成領域と断裁予定領域との位置を調整する制御情報を生成する制御装置を構成する。なお、この制御装置としての動作は、制御プログラムにより実現される。
【0053】
〔構成(3)〕
制御装置、読み取り装置、画像形成装置を含む画像形成システム1の第3構成例を、
図6に基づいて詳細に説明する。なお、
図6は画像形成システム1に含まれる各装置の各部の機能を示す機能ブロック図である。なお、この画像形成システム1の第3構成例において、
図1と
図2に示した第1構成例と同一物には同一番号を付すことで重複した説明を省略する。
【0054】
この画像形成システム1では、画像形成装置100と読み取り装置200と通信可能な制御装置500が設けられている。なお、この制御装置500は、画像形成装置100と読み取り装置200とに直接接続されていても良いし、ネットワーク経由で画像形成装置100と読み取り装置200とに対して通信可能に構成されていても良い。
【0055】
そして、この制御装置500は、用紙に断裁予定領域を設けつつ画像形成領域に画像を形成する画像形成に関する画像形成情報と、用紙に形成された画像の読み取りに応じて生成される読み取り画像情報とを参照して、用紙に形成された画像の異常の有無を判断すると共に、画像形成装置の画像形成を制御する制御情報を生成する制御装置であって、画像形成領域に異常が検知された場合に、当該異常が断裁予定領域に移動するように画像形成領域と断裁予定領域との位置を調整する制御情報を生成するものである。なお、この制御装置としての動作は、制御プログラムにより実現される。
【0056】
〔動作〕
以下、
図7のフローチャートを参照し、基本となる実施形態の動作説明を行う。なお、ここでは、
図1と
図2の画像形成システム1の第1構成例における動作を具体例にする。なお、以下の動作は、制御部における制御プログラムにより実現される。
【0057】
画像形成装置100では、画像形成に関する指示を、操作表示部103を介してユーザから受け付けるか、あるいは、通信部102を介して外部機器から受け付ける(
図7中のステップS100)。この画像形成に関する指示としては、画像形成の開始の指示と、画像形成する画像データの指定、断裁予定領域と画像形成領域との指定、後処理の指定、などである。
【0058】
画像形成する画像データが指定されると、制御部101は、指定された画像データについて画像形成するための画像データを画像データ記憶部130から呼び出し、画像処理部140で画像形成に必要な画像処理を施し、画像処理を施された画像データを画像形成部150に送る。
【0059】
また、制御部101は、画像形成の処理と並行して、画像形成用に画像処理が施された画像データを、異常検知の比較の基準となる基準画像データや、断裁予定領域と画像形成領域との領域指定に関する情報など各種の情報を画像形成に関する画像形成情報として、読み取り装置200に送信する(
図7中のステップS101)。なお、基準画像データは、画像形成部150の画像形成用画像データであるため、画像
形成領域内の画像、画像
形成領域と断裁予定領域とを区切る識別マーク、断裁予定領域の空白画像、などが含まれる。
【0060】
読み取り装置200の制御部201は、画像形成装置100から送られて来た基準画像データや断裁予定領域と画像形成領域との領域指定に関する情報など各種の情報を含む画像形成情報を受信し、画像データ記憶部230に一時記憶する(
図7中のステップS201)。
【0061】
ここで、画像形成装置100の制御部101は、操作表示部103や外部接続機器から指示された画像形成を実行するよう、給紙部105、搬送部107、画像データ記憶部130、画像処理部140、画像形成部150、定着部160を制御する(
図7中のステップS102)。すなわち、画像形成開始の指示を受けた制御部101は、給紙部105から用紙を画像形成部150に向けて給紙させ、画像データ記憶部130から読み出した画像データに対して画像処理部140において画像処理を実行し、画像形成部150において用紙に画像を形成し、用紙上の画像を定着部160で熱と圧力とによって安定させるよう、各部を制御する。
【0062】
なお、この画像形成では、用紙上に断裁予定領域と画像形成領域とが設定されており、画像形成領域と断裁予定領域とを区別するトンボ等の識別マークが用紙に画像形成される。
そして、制御部101は、このように画像形成された用紙を、画像形成装置100から読み取り装置200に向けて搬送するように搬送部107を制御する(
図7中のステップS103)。
【0063】
画像形成装置100から用紙の搬送を受けた読み取り装置200では、制御部201の制御により、断裁予定領域と画像形成領域とを含めた用紙全面を出力物読取部210で読み取って読み取り画像データを生成し、画像データ記憶部230に記憶させる(
図7中のステップS202)。
【0064】
ここで、制御部201は、画像形成装置100から送信されてきた画像形成情報中の基準画像データと読み取り画像データとを画像データ記憶部230から読み出して、比較照合する(
図7中のステップS203)。具体的には、読み取り画像データ内の識別マーク、識別マーク内側(画像
形成領域)の画像、識別マーク外側(断裁予定領域)の空白を、基準画像データに含まれる識別マーク、識別マーク内側(画像
形成領域)の画像、識別マーク外側(断裁予定領域)の空白と比較して、汚れや画像の欠けなどによる不一致(異常)が発生していないかを確認する。
【0065】
制御部201は、読み取り画像データと基準画像データとの比較が一致しており異常を認めない場合(
図7中のステップS204でNO)、正常を画像形成装置100の制御部101に通知する(
図7中のステップS209)。
制御部201からの正常の通知を受けた制御部101は(
図7中のステップS104、S105で「正常」)、指定された画像形成を最終ページまで繰り返し実行する(
図7中のステップS110〜S101、S110〜エンド)。
【0066】
また、制御部201は、読み取り画像データ内の画像形成領域の部分と基準画像データとの比較によりいずれかの部分で不一致(異常)を認めた場合(
図7中のステップS204でYES)、画像形成情報を参照して断裁が指定されているか、あるいは、読み取り画像データを参照して識別マークが存在しているか、すなわち後処理で断裁の予定があるかを確認する(
図7中のステップS205)。
【0067】
断裁の予定が確認出来なければ(
図7中のステップS205でNO)、画像
形成領域内の異常を断裁予定領域に移動させて逃がすことができないため、制御部201は画像
形成領域内の異常発生によるエラーを画像形成装置100の制御部101に通知する(
図7中のステップS211)。
【0068】
制御部201からの異常によるエラーの通知を受けた制御部101は(
図7中のステップS104、S105で「異常」)、画像形成を停止するように、給紙部105、搬送部107、画像データ記憶部130、画像処理部140、画像形成部150、定着部160の各部を停止させるよう制御する(
図7中のステップS108)。また、制御部101は、異常により画像形成を停止する旨を操作表示部103に表示し、必要に応じて通信部102を介して外部機器に停止を報知する(
図7中のステップS109)。
【0069】
一方、制御部201は、読み取り画像データと基準画像データとの比較で何らかの異常を認めた場合(
図7中のステップS204でYES)であって、画像形成情報や読み取り画像データを参照して後処理で断裁の予定があるかを確認できた場合(
図7中のステップS205でYES)には、異常が検知された位置が断裁予定領域であるか画像
形成領域であるかを確認する(
図7中のステップS206)。
【0070】
なお、画像
形成領域内にパンチ又はステイプルの後処理を施す予定である場合に、当該後処が施される後処理位置、及び、断裁予定領域と後処理位置との中間の領域を、断裁予定領域に含めて扱うことにする。
検知された異常が断裁予定領域に存在していれば(
図7中のステップS206でYES)、断裁後の最終的な印刷物には異常が現れてこないため、上述した正常と同等に扱い、正常を画像形成装置100の制御部101に通知する(
図7中のステップS209)。なお、上述したように、後処理位置、及び、断裁予定領域と後処理位置との中間の領域に異常が存在する場合にも、印刷物の使用状態では異常が現れてこないため、正常を画像形成装置100の制御部101に通知する(
図7中のステップS209)。制御部201からの正常の通知を受けた制御部101は(
図7中のステップS104、S105で「正常」)、指定された画像形成を最終ページまで繰り返し実行する(
図7中のステップS110〜S101、S110〜エンド)。
【0071】
検知された異常が断裁予定領域ではなく画像
形成領域に存在していれば(
図7中のステップS206でNO)、制御部201は、画像形成領域内の異常を断裁予定領域に移動させて逃がすように、画像形成領域と断裁予定領域との位置を調整するよう計算する(
図7中のステップS207)。
【0072】
制御部201は、計算の結果、画像形成領域と断裁予定領域との位置を調整しても画像形成領域内の異常を断裁予定領域に移動させて逃がすことができないと判明した場合には(
図7中のステップS208でNO)、画像
形成領域内の異常発生によるエラーを画像形成装置100の制御部101に通知する(
図7中のステップS211)。制御部201からの異常によるエラーの通知を受けた制御部101は(
図7中のステップS104、S105で「異常」)、画像形成を停止させるよう制御し(
図7中のステップS108)、異常により画像形成を停止する旨を操作表示部103に表示し、必要に応じて通信部102を介して外部機器に停止を報知する(
図7中のステップS109)。
【0073】
一方、制御部201は、計算の結果、画像形成領域と断裁予定領域との位置を調整することで画像形成領域内の異常を断裁予定領域に移動させて逃がすことが可能であると判断した場合には(
図7中のステップS208でYES)、異常が断裁予定領域に移動するように画像形成領域と断裁予定領域との位置を調整してする制御情報を生成して、画像形成装置100の制御部101に通知する(
図7中のステップS210)。なお、位置の調整の手法としては、例えば、用紙内で画像形成領域を主走査方向又は副走査方向の少なくとも一方に移動させる、用紙内で画像形成領域を回転させる、画像形成装置における画像形成時の用紙の位置を主走査方向に移動させる、画像形成装置で用紙に画像形成する副走査方向のタイミングを移動させる、などがある。
【0074】
上述した制御情報を制御部201から通知された制御部101は(
図7中のステップS104、S105で「制御情報」)、異常が検知されたものと同一の画像データに対して制御情報に示される画像形成領域と断裁予定領域との位置調整を画像処理部140で実行し(
図7中のステップS106)、位置調整された画像データを用いて画像形成を実行するよう各部を制御する(
図7中のステップS107)。
【0075】
また、異常が検出されたものと同一の画像データではなく、次の画像データから制御情報に従って調整して画像形成を実行するようにしても良い。
なお、これ以後は、次の新たな制御情報の通知があるまで、制御部101は、位置調整の状態を保持し、異常が出現する位置が断裁予定領域になるよう画像処理部140を制御しつつ、指定された画像形成を最終ページまで繰り返し実行する(
図7中のステップS110〜S101、S110〜エンド)。なお、保持する状態としては、後述するように、位置の移動、位置の回転、用紙の搬送タイミング、用紙の主走査方向位置など、各種の状態が含まれる。
【0076】
また、以上のようにして正常通知(
図7中のステップS209)、制御情報通知(
図7中のステップS210)、異常通知(
図7中のステップS211)をした制御部201は、画像形成装置100から新たな用紙の処理を最終ページまで繰り返し実行する(
図7中のステップS212〜S201、S212〜エンド)。
【0077】
〔位置調整の具体例〕
以下、画像形成領域内の異常を断裁予定領域に移動させて逃がすようにする画像形成領域と断裁予定領域との位置調整について、図面を参照しつつ具体例を用いて説明する。
図8(a)では、L字を2つ組み合わせた識別マークを4箇所配置して、用紙P上で画像形成領域(白色部分)と断裁予定領域(灰色部分)とが識別可能になっている、基準画像データ、あるいは、正常な読み取り画像データを例示している。ここで、
図8(b)は、読み取り画像データにおいて、用紙P上で画像形成領域(白色部分)に、異常の原因となる汚損dが検出された様子を示している。この
図8(b)のような汚損dが存在する場合に、
図8(c)のように用紙P内で画像
形成領域を汚損dの存在位置と反対方向に移動させることで、汚損dの位置を断裁予定領域(灰色部分)に逃がすことが可能になる。
【0078】
図9(a)は、L字を2つ組み合わせた識別マークを4箇所配置して、用紙P上で画像形成領域(白色部分)と断裁予定領域(灰色部分)とが識別可能になっている、基準画像データ、あるいは、正常な読み取り画像データを例示している。ここで、
図9(b)は、読み取り画像データにおいて、用紙P上で画像形成領域(白色部分)に、異常の原因となる汚損dが検出された様子を示している。
図9(b)のような汚損dが図中の右下付近に存在する場合に、
図9(c)のように用紙P内で画像
形成領域を図中左側に移動させることで、汚損dの位置を断裁予定領域(灰色部分)に逃がすことが可能になる。また、
図9(b)のような汚損dが図中の右下付近に存在する場合に、
図9(d)のように用紙P内で画像
形成領域を図中上側に移動させることで、汚損dの位置を断裁予定領域(灰色部分)に逃がすことが可能になる。更に、
図9(b)のような汚損dが図中の右下付近に存在する場合に、
図9(e)のように用紙P内で画像
形成領域を右回転させることで、右下部分の汚損dを断裁予定領域(灰色部分)に逃がすことが可能になる。なお、画像処理の負荷を考慮し、
図9(c)(d)の水平移動を第1候補とし、
図9(e)の回転移動を第2候補とすることが望ましい。
【0079】
図10(a)では、L字を2つ組み合わせた識別マークを4箇所配置して、用紙P上で画像形成領域(白色部分)と断裁予定領域(灰色部分)とが識別可能になっている、基準画像データ、あるいは、正常な読み取り画像データを例示している。ここで、後処理として、断裁以外に、パンチ穴h1〜h3の穿孔が予定されている。ここで、
図10(b)では、読み取り画像データにおいて、用紙P上で画像形成領域(白色部分)であって、パンチ穴h1〜h3の近傍に異常の原因となる汚損dが検出された様子を示している。この
図10(b)のようなパンチ穴h1〜h3近傍の汚損dが存在する場合に、
図10(c)のように用紙P内で画像
形成領域を汚損dの存在位置と反対方向に移動させることで、パンチ穴h1〜h3の延長線と当該延長線に最も近い断裁予定領域との間の領域(
図10中のハッチング部分:後処理近傍領域)に汚損dを位置させることが可能になる。すなわち、後処理近傍領域を断裁予定領域と同等に扱って、汚損dを移動させている。この後処理近傍領域は画像が形成されることがないため、不良印刷物にはならない。
【0080】
図11(a)では、L字を2つ組み合わせた識別マークを4箇所配置して、用紙P上で画像形成領域(白色部分)と断裁予定領域(灰色部分)とが識別可能になっている、基準画像データ、あるいは、正常な読み取り画像データを例示している。ここで、後処理として、断裁以外に、ステイプルs1〜s3の打刻が予定されている。ここで、
図11(b)では、読み取り画像データにおいて、用紙P上で画像形成領域(白色部分)であって、ステイプルs1〜s3の近傍に異常の原因となる汚損dが検出された様子を示している。この
図11(b)のようなステイプルs1〜s3近傍の汚損dが存在する場合に、
図11(c)のように用紙P内で画像
形成領域を汚損dの存在位置と反対方向に移動させることで、ステイプルs1〜s3の延長線と当該延長線に最も近い断裁予定領域との間の領域(
図11中のハッチング部分:後処理近傍領域)に汚損dを位置させることが可能になる。すなわち、後処理近傍領域を断裁予定領域と同等に扱って、汚損dを移動させている。
【0081】
図12(a)では、L字を2つ組み合わせた識別マークを4箇所配置して、用紙P上で画像形成領域(白色部分)と断裁予定領域(灰色部分)とが識別可能になっている、基準画像データ、あるいは、正常な読み取り画像データを例示している。ここで、後処理として、断裁以外に、ステイプルs1の打刻が予定されている。ここで、
図12(b)では、読み取り画像データにおいて、用紙P上で画像形成領域(白色部分)であって、ステイプルs1の近傍に異常の原因となる汚損dが検出された様子を示している。この
図12(b)のようなステイプルs1近傍の汚損dが存在する場合に、
図12(c)のように用紙P内で画像
形成領域を汚損dの存在位置と反対方向に移動させることで、ステイプルs1の延長線と当該延長線に最も近い断裁予定領域との間の領域(
図12中のハッチング部分:後処理近傍領域)に汚損dを位置させることが可能になる。すなわち、後処理近傍領域を断裁予定領域と同等に扱って、汚損dを移動させている。
【0082】
図13(a)は、L字を2つ組み合わせた識別マークを4箇所配置して、用紙P上で画像形成領域(白色部分)と断裁予定領域(灰色部分)とが識別可能になっている、基準画像データ、あるいは、正常な読み取り画像データを例示している。ここで、
図13(b)は、読み取り画像データにおいて、用紙P上で画像形成領域(白色部分)に、異常の原因となる汚損dが検出された様子を示している。この
図13(b)の場合には、汚損dの位置の関係で、画像
形成領域の水平移動や垂直移動では対処することができない。そこで、
図13(c)のように、用紙P内で画像
形成領域を90°回転させて、かつ図中で上方に移動させることで、用紙Pの図中下側に断裁予定領域(灰色部分)を大きく取り、この断裁予定領域に汚損dを逃がすことが可能になる。なお、画像処理の負荷を考慮し、今まで説明した水平移動や垂直移動を第1候補とし、
図13(c)の回転移動を第2候補とすることが望ましい。
【0083】
図14(a)では、L字を2つ組み合わせた識別マークを4箇所配置して、用紙P上で画像形成領域(白色部分)と断裁予定領域(灰色部分)とが識別可能になっている、基準画像データ、あるいは、正常な読み取り画像データを例示している。ここで、後処理として、断裁以外に、パンチ穴h1〜h3の穿孔が予定されている。ここで、
図14(b)では、読み取り画像データにおいて、用紙P上で画像形成領域(白色部分)であって、パンチ穴h1〜h3とは反対側に異常の原因となる汚損dが検出された様子を示している。この
図14(b)のようなパンチ穴h1〜h3近傍の汚損dが存在する場合に、パンチ穴h1〜h3の穿孔位置が変更可能である場合には、
図14(c)のように用紙P内で画像
形成領域を回転させて、汚損dの存在位置に後処理近傍領域(ハッチング部分)が位置するようにする。すなわち、後処理近傍領域を断裁予定領域と同等に扱い、画像
形成領域を180°回転させることで、汚損dを移動させている。この後処理近傍領域は画像が形成されることがないため、不良印刷物にはならない。
【0084】
図15(a)では、L字を2つ組み合わせた識別マークを4箇所配置して、用紙P上で画像形成領域(白色部分)と断裁予定領域(灰色部分)とが識別可能になっている、基準画像データ、あるいは、正常な読み取り画像データを例示している。ここで、後処理として、断裁以外に、ステイプルs1の打刻が予定されている。ここで、
図15(b)では、読み取り画像データにおいて、用紙P上で画像形成領域(白色部分)であって、ステイプルs1とは180°反対側に異常の原因となる汚損dが検出された様子を示している。この
図15(b)のようなステイプルs1近傍の汚損dが存在する場合に、ステイプルs1の打刻位置が変更可能である場合には、
図15(c)のように用紙P内で画像
形成領域を回転させて、汚損dの存在位置に後処理近傍領域(ハッチング部分)が位置するようにする。すなわち、後処理近傍領域を断裁予定領域と同等に扱い、画像
形成領域を180°回転させることで、汚損dを移動させている。この後処理近傍領域は画像が形成されることがないため、不良印刷物にはならない。
【0085】
図16(a)は、L字を2つ組み合わせた識別マークを4箇所配置して、用紙P上で画像形成領域(白色部分)と断裁予定領域(灰色部分)とが識別可能になった読み取り画像データにおいて、用紙P上で画像形成領域(白色部分)に、異常の原因となる汚損dが検出された様子を示している。
【0086】
ここでは、汚損dは、画像形成時の用紙搬送方向(副走査方向)の後端側に存在している。そこで、
図16(c)のように、画像形成時に用紙の搬送タイミング(位相)を早めて、用紙P内の後端側の断裁予定領域に汚損dが位置するように調整する。この手法によっても、汚損dを断裁予定領域(灰色部分)に逃がすことが可能になる。
【0087】
また、ここで、汚損dは、画像形成時の主走査方向の左端側に存在している。そこで、
図16(c)のように、画像形成時に用紙の主走査方向位置を右側にずらし、用紙P内の左端側の断裁予定領域に汚損dが位置するように調整する。この手法によっても、汚損dを断裁予定領域(灰色部分)に逃がすことが可能になる。ここで、このように用紙を主走査方向に移動させる場合には、用紙の移動と共に画像形成用画像データ(感光体での露光位置)も同量だけ移動させる必要がある。なお、このように用紙を主走査方向に移動させる場合には、用紙への画像転写を調整するレジストローラの直前に、用紙の位置や向きを調整するステアリングローラを配置することで実現が可能である。
【0088】
〔異常報知の具体例〕
以下、画像に異常が生じた場合の報知の具体例を説明する。
画像に異常が生じて、画像
形成領域の移動によっても対処できない場合には、通常の場合と同様にエラー表示を行えば良い。
【0089】
また、画像に異常が生じて、画像
形成領域の移動によって、異常を断裁予定領域に逃がすことができた場合には、制御部201からの通知を受けた制御部101の指示により、その旨を、
図17の表示画面103G1aのメッセージm1のように操作表示部103に表示することが可能である。
【0090】
また、画像
形成領域や用紙の位置を調整する前後で、画像形成装置100内における同じ座標で異常が検知される場合には、制御部201からの通知を受けた制御部101の指示により、画像形成装置100における機械的要因であることを、
図18の表示画面103G1bのメッセージm2のように操作表示部103に表示することが可能である。この場合は、この報知により、異常に対する対策が容易になる。
【0091】
また、画像
形成領域や用紙の位置を調整する前後で、読み取り装置200の読み取り位置の同じ座標で異常が検知される場合には、制御部201からの通知を受けた制御部101の指示により、読み取り装置200における出力物読取部210のセンサの読み取り不良が原因と予想されることを、操作表示部103に表示することが可能である。この場合は、この報知により、異常に対する対策が容易になる。
【0092】
同様に、画像
形成領域や用紙の位置を調整する前後で、画像
形成領域内における同じ座標で異常が検知される場合には、制御部201からの通知を受けた制御部101の指示により、画像処理部140の画像処理又は画像形成部150の画像形成プロセスに起因する要因であると予想されることを、操作表示部103に表示することが可能である。この場合は、この報知により、異常に対する対策が容易になる。
【0093】
なお、異常のような異常原因の報知については、操作表示部103での表示だけでなく、通信部102を介して外部機器に通知することも可能である。
〔その他の実施形態〕
以上の説明では、読み取り装置200内に本実施形態の特徴部分の制御装置が存在するものとして説明してきたが、
図6に示すように、画像形成装置100と読み取り装置200と通信可能な制御装置500が、上述した画像の異常有無判断と異常を断裁予定領域に移動させる制御情報の生成を行うことも可能である。この場合、この制御装置500は、ネットワーク経由で上述した制御を遠隔実行することも可能である。
【0094】
また、
図4と
図5に示すように、画像形成装置100内の制御部101が上述した特徴的な制御を全て実行するようにしても良い。
また、以上の実施形態では、説明を簡単にするために異常(汚損d)を1つである状態で図示している。実際には、このような汚損が複数箇所発生することも予想されるため、複数の汚損をできるだけ断裁領域に移動させるように画像
形成領域の位置や用紙搬送タイミング等を調整することが望ましい。
【0095】
また、以上の画像
形成領域の位置の調整と、用紙搬送タイミングの調整と、用紙の主走査方向位置調整とを個別に使用するだけでなく、組み合わせることで、汚損を効果的に断裁領域に移動させるようにして使用することも可能である。