(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記表示制御部(20)は、前記移動処理(S7)後の前記第1の虚像(V1)の表示位置を、前記移動処理(S7)前の前記第1の虚像(V1)の表示位置と前記注視情報取得部(40)が取得した前記注視範囲(GZ)との間に設定する、
ことを特徴とする請求項1に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
前記表示制御部(20)は、前記注視情報取得部(40)が取得した前記注視範囲(GZ)と前記実オブジェクト(300)の位置との間の距離が所定の閾値未満である場合、前記第1の虚像(V1)を非表示にする、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
前記表示制御部(20)は、前記特定表示範囲(102)を、前記ヘッドアップディスプレイ装置が前記表示可能な表示可能範囲(101)の上下方向の中央より上側の位置に、左右方向が上下方向より長くなるように設定する、
ことを特徴とする請求項4に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
前記ヘッドアップディスプレイ装置は、視認者から見て上下左右方向にそれぞれ辺を有する実質的に矩形の範囲であり、前記虚像(V)を表示可能な表示可能範囲(101)を有し、
前記表示制御部(20)は、前記表示可能範囲(101)外に前記注視情報取得部(40)が取得した前記注視範囲(GZ)がある場合、前記注視範囲(GZ)に最も近い前記表示可能範囲(101)の前記辺の近傍に前記第1の虚像(V1)を表示させる、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のヘッドアップディスプレイ装置。
前記表示制御部(20)は、第2の虚像(V2)の一端が指示する実オブジェクト(300)の位置、又は実オブジェクト(300)近傍に表示される第3の虚像(V3)上に、注視範囲(GZ)がある場合、前記第1の虚像(V1)の視認性を低下させる、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のヘッドアップディスプレイ装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、表示情報が視線から外れている場合、対象物の位置、対象物に関する情報を視認者に認識させることができないばかりか、対象物の存在も認識させることができないおそれがある。
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、前景に存在する実オブジェクトの存在を認識しやすいヘッドアップディスプレイ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するため、以下の手段を採用した。
本発明のヘッドアップディスプレイ装置は、前景に存在する実オブジェクトから離れた位置に配置され、実オブジェクトの存在を報知する第1の虚像と、第1の虚像と実オブジェクトの位置とを結ぶ線状の第2の虚像と、を表示し、視認者の注視範囲が、実オブジェクト又は第1の虚像から離れていた場合、第1の虚像を注視範囲に近づけることで、実オブジェクトの存在を認識させやすくする、ことをその要旨とする。
【0007】
本発明のヘッドアップディスプレイ装置の第1の態様は、車両の前景に虚像(V)を重畳して表示可能なヘッドアップディスプレイ装置であって、前記前景に存在する実オブジェクト(300)から離れた位置に配置され、前記実オブジェクト(300)の存在を報知する第1の虚像(V1)と、前記第1の虚像(V1)と前記実オブジェクト(300)の位置とを結ぶ線状の第2の虚像(V2)と、を表示させる表示制御部(20)と、視認者の注視範囲(GZ)を取得する注視情報取得部(40)と、を備え、前記表示制御部(20)は、前記実オブジェクト(300)又は前記第1の虚像(V1)上に、前記注視情報取得部(40)が取得した前記注視範囲(GZ)及び前記注視範囲(GZ)を囲む周辺範囲(GZa)がないことを少なくとも含む第1の条件を満たした場合、前記第1の虚像(V1)を前記注視範囲(GZ)に近づけて表示する移動処理(S7)を実行する、ものである。
【0008】
第1の態様によれば、視認者の注視範囲を囲む周辺範囲が、実オブジェクト又は実オブジェクトを報知する第1の虚像上にない場合(言い換えると、注視範囲と、実オブジェクト又は実オブジェクトを報知する第1の虚像とが所定の距離以上離れている場合)、視認者が実オブジェクトを認識できない(あるいは認識しづらい)状態であると判定し、第1の虚像を注視範囲に近づける処理(移動処理)を実行する。『第1の虚像を注視範囲に近づける』とは、第1の虚像V1を注視範囲の周辺の所定の範囲(周辺範囲)まで近づけること、第1の虚像を元々表示されていた位置から予め定められた又は所定のパラメータで算出された距離だけ注視範囲に近づけること、実オブジェクトの位置を基準として第1の虚像が配置される左右方向の位置を、注視範囲が位置する方に変えること、変えることで、第1の虚像を注視範囲に近づけること、のうち少なくとも1つを含む。これにより、第1の虚像が視認者の視線に入りやすくなるため、第1の虚像が認識しやすくなる。なお、第1の虚像と実オブジェクトとを結ぶ第2の虚像を表示するため、第1の虚像から第2の虚像に沿って視線を移動させることで実オブジェクトの位置も認識しやすくすることができる。
【0009】
また、第1の態様に従属する第2の態様では、前記表示制御部(20)は、前記移動処理(S7)後の前記第1の虚像(V1)の表示位置を、前記移動処理(S7)前の前記第1の虚像(V1)の表示位置と前記注視情報取得部(40)が取得した前記注視範囲(GZ)との間に設定してもよい。
【0010】
第2の態様では、第1の虚像が元々表示されていた位置に最も近い注視範囲の端部よりも、左右方向において、第1の虚像が元々表示されていた位置に近い位置まで、第1の虚像を近づける。具体的に例えば、注視範囲が第1の虚像の右方向に離れて位置する場合(すなわち、注視範囲の左側に第1の虚像が配置される場合)、移動処理後の第1の虚像の表示位置を、注視範囲の左端より左側に設定する。これによって、最短あるいは最短に近い距離の移動で、第1の虚像を、注視範囲の近傍に接近させることが可能となる。よって、第1の虚像の移動に伴う煩わしさを軽減することができる。
【0011】
また、第1又は第2の態様に従属する第3の態様では、前記表示制御部(20)は、前記注視情報取得部(40)が取得した前記注視範囲(GZ)と前記実オブジェクト(300)の位置との間の距離が所定の閾値未満である場合、前記第1の虚像(V1)を非表示にしてもよい。
【0012】
第3の態様では、注視範囲と、実オブジェクトとが所定の閾値未満である場合、視認者が実オブジェクトを認識したと判定し、実オブジェクトを報知する目的である第1の虚像を非表示にする。これによって、視認者が実オブジェクトを認識した後でも、第1の虚像が表示され続ける煩わしさを軽減することができる。
【0013】
また、第1乃至3のいずれかに従属する第4の態様では、前記表示制御部(20)は、前記移動処理(S7)を実行する際、前記第2の虚像(V2)の少なくとも一部の視認性を、前記移動処理(S7)を実行する前と比べて、低下させてもよい。
【0014】
第4の態様では、第1の虚像を通常の位置から注視範囲に近づけた位置に移動させる場合に、第1の虚像に連結される第2の虚像の視認性を低下させることで、第2の虚像により前景の視認性が低下することを抑制することが可能となる。特に、頻繁に視認者が視認する範囲に重なる第2の虚像の一部の視認性を少なくとも低下させることで、車両運行を妨げない表示が可能となる。
【0015】
また、第1乃至4の態様に従属する第5の態様では、前記表示制御部(20)は、前記移動処理(S7)の前後それぞれにおける前記第1の虚像(V1)の表示位置を予め定めた特定表示範囲(102)内に設定してもよい。
【0016】
第5の態様では、第1の虚像が表示される位置を特定表示範囲内に限定することになり、これによって、第1の虚像V1の移動範囲が狭くなるため、移動範囲が自由である場合と比べて、視認者の視線が散漫になりにくい。
【0017】
また、第5の態様に従属する第6の態様では、前記表示制御部(20)は、前記特定表示範囲(102)を、前記ヘッドアップディスプレイ装置が前記表示可能な表示可能範囲(101)の上下方向の中央より上側の位置に、左右方向が上下方向より長くなるように設定してもよい。
【0018】
また第6の態様では、第1の虚像の移動は、上下方向が抑えられ、概ね左右方向となるため、移動方向が上下左右方向で自由である場合と比べて、視認者の視線が散漫になりにくい。
【0019】
また、第1乃至6の態様に従属する第7の態様では、前記ヘッドアップディスプレイ装置は、視認者から見て上下左右方向にそれぞれ辺を有する実質的に矩形の範囲であり、前記虚像(V)を表示可能な表示可能範囲(101)を有し、前記表示制御部(20)は、前記表示可能範囲(101)外に前記注視情報取得部(40)が取得した前記注視範囲(GZ)がある場合、前記注視範囲(GZ)に最も近い前記表示可能範囲(101)の前記辺の近傍に前記第1の虚像(V1)を表示させてもよい。
【0020】
第7の態様では、視認者の注視範囲が、ヘッドアップディスプレイ装置の表示可能範囲外であっても、視認者の注視範囲に近い位置に第一の虚像を移動させることが可能となる。
【0021】
また、第1乃至7の態様に従属する第8の態様では、前記表示制御部(20)は、第2の虚像(V2)の一端が指示する実オブジェクト(300)の位置、又は実オブジェクト(300)近傍に表示される第3の虚像(V3)上に、注視範囲(GZ)がある場合、前記第1の虚像(V1)の視認性を低下させてもよい。
【0022】
第8の態様では、注視範囲が、実オブジェクトの位置又はその近傍に表示される第3の虚像にある場合、視認者が実オブジェクトを認識したと判定し、実オブジェクトを報知する目的である第1の虚像の視認性を低下させる(非表示も含む)。これによって、視認者が実オブジェクトを認識した後でも、第1の虚像が表示され続ける煩わしさを軽減することができる。
【0023】
また、第8の態様に従属する第9の態様では、前記表示制御部(20)は、前記第1の虚像(V1)を、前記実オブジェクト(300)に近づけながら徐々に視認性を低下させてもよい。
【0024】
第9の態様では、視認性が低下しながら第1の虚像が徐々に実オブジェクトに接近していくので、より視認者の視線を実オブジェクトが存在する位置に向けることができるため、実オブジェクトを認識させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。なお、本発明は下記の実施形態(図面の内容も含む。)によって限定されるものではない。下記の実施形態に変更(構成要素の削除も含む)を加えることができるのはもちろんである。また、以下の説明では、本発明の理解を容易にするために、公知の技術的事項の説明を適宜省略する。
【0027】
図1は、本実施形態におけるヘッドアップディスプレイ装置(以下、HUD装置と呼ぶ)100の全体構成を示す模式図である。同図に示すように、HUD装置100は、虚像Vを表示する画像表示部10、画像表示部10の表示を制御する表示制御部20、オブジェクト情報取得部30、注視情報取得部40、及び車両状態取得部50によって構成される。
【0028】
画像表示部10は、虚像Vを視認者に視認させる表示光を出射するものであり、例えば、
図2に示すように、表示光を車両のウインドシールドガラスWSやコンバイナなどの被投影部に投影することで、被投影部を介して視認される車両の前景200に重ねて虚像Vを視認させる。なお、画像表示部10は、表示可能範囲101内に虚像Vを表示することができる。画像表示部10は、後述する表示制御部20から画像データを取得し、この取得した画像データを表示光に変換して出力する。
【0029】
表示制御部20は、入出力インターフェース(オブジェクト情報取得部30、注視情報取得部40、車両状態取得部50、及び通信インターフェース70)を介して、外部機器(前方検出部31、視線検出部41、位置検出部51、方角検出部52、姿勢検出部53、及びクラウドサーバー(外部サーバー)500及び車両ECU600)と通信可能に連結されている。入出力インターフェースは、例えば、USBポート、シリアルポート、パラレルポート、OBDII、及び/又は他の任意の適切な有線通信ポートなどの有線通信機能を含むことができる。車両からのデータケーブルは、通信インターフェース70を介して、表示制御部20に連結される。なお、他の実施形態では、入出力インターフェースは、例えば、Bluetooth(登録商標)通信プロトコル、IEEE802.11プロトコル、IEEE802.16プロトコル、共有無線アクセスプロトコル、ワイヤレスUSBプロトコル、及び/又は他の任意の適切な無線電信技術を用いた無線通信インターフェースを含むことができる。HUD装置100は、外部機器から入出力インターフェースを介して、各種情報、及び虚像Vの元となる画像要素データを取得し、表示制御部20が定めた位置に虚像Vを表示する。なお、画像要素データの一部又は全部は、後述する表示制御部20の記憶部22に記憶され、表示制御部20は、前方検出部31、クラウドサーバー500、及び車両ECU600などから得られる情報に応じて、記憶部22に記憶された画像要素データを読み出して虚像Vを表示する形態であってもよい。
【0030】
オブジェクト情報取得部30は、前景200に存在する特定の実オブジェクト300の位置情報を含むデータ(オブジェクト情報)を取得する入力インターフェースであり、例えば、車両に搭載されたカメラやセンサなどからなる前方検出部31からオブジェクト情報を取得し、表示制御部20に出力する。
【0031】
また、オブジェクト情報取得部30は、前方検出部31が前景200を観測し、図示しない解析部で解析した結果である前景200上の実オブジェクト300の種類を識別した種類情報を取得してもよい。実オブジェクト300の種類とは、例えば、障害物、道路標識、路面、及び、建物などであるが、前景200に存在し、識別可能であればこれらに限定されない。すなわち、オブジェクト情報取得部30は、オブジェクト情報(実オブジェクト300の位置情報、種類情報)を取得し、表示制御部20に出力可能である。
【0032】
(オブジェクト情報取得部の他の例)
また、他の例としては、外部機器と通信可能な通信インターフェース70が、オブジェクト情報取得部30として機能してもよい。言い換えると、通信インターフェース70が、車両に設けられた図示しないナビゲーションシステムやクラウドサーバー500や車両ECU600からオブジェクト情報を取得してもよい。例えば、図示しないナビゲーションシステムやクラウドサーバー500や車両ECU600は、地図情報とともに、道路や建物等の実オブジェクト300の位置情報、種類情報等を記憶しており、表示制御部20は、後述する車両又はHUD装置100の位置情報及び方角情報を、通信インターフェース70を介して、ナビゲーションシステム又は/及びクラウドサーバー500又は/及び車両ECU600に出力し、ナビゲーションシステム又は/及びクラウドサーバー500又は/及び車両ECU600は、入力した車両又はHUD装置100の位置情報、方角情報に基づき、車両の前景200に存在する実オブジェクト300の位置情報、種類情報を含むオブジェクト情報を通信インターフェース70に出力する。
【0033】
注視情報取得部40は、視認者が注視している範囲(注視範囲GZ)に関する注視情報を取得する入力インターフェースであり、例えば、車両に搭載されたカメラなどからなる視線検出部41から注視範囲GZを取得し、表示制御部20に出力する。視認者の注視範囲GZは、視認者が目視(注視)している領域であり、目視点(注視点)を含み、人が通常注視可能とされる一定範囲である。なお、視認者の注視範囲GZの設定方法は、これに限定されるものではなく、視線検出部41は、例えば、特開2015−126451号公報に記載されているように、所定の時間(例えば、1秒)内に測定される複数の目視点(注視点)を含む矩形領域を、注視範囲GZに設定してもよい。
【0034】
車両状態取得部50は、車両の状態(位置、方角、姿勢)に関する情報を取得する。車両状態取得部50は、GNSS(全地球航法衛星システム)等からなる位置検出部51により検出された車両又はHUD装置100の位置情報を取得し、方角センサからなる方角検出部52により検出された車両又はHUD装置100の向きを示す方角情報を取得し、ハイトセンサや加速度センサからなる姿勢検出部53により検出された車両の路面からの高さ又は/及び路面に対する角度を示す姿勢情報を取得し、表示制御部20に出力する。
【0035】
表示制御部20は、外部データベース(クラウドサーバー500又は/及び車両ECU600)から入力するあるいは記憶部22から読み出した画像要素データが示す画像要素(第1の虚像V1、第2の虚像V2、及び第3の虚像V3の元となる画像)の配置(表示位置)を調整する表示位置調整部21と、画像要素データを記憶する記憶部22と、後述する移動処理の要否を判定する表示移動判定部23と、を備える。
【0036】
表示制御部20は、位置情報取得部50が取得した車両又はHUD装置100の位置情報、及び方角情報取得部60が取得した車両又はHUD装置100の方角情報を、通信インターフェース70を介して、クラウドサーバー500又は/及び車両ECU600に出力する。続いて、クラウドサーバー500と車両ECU600は、入力した車両又はHUD装置100の位置情報、方角情報に基づき、HUD装置100に表示させる虚像Vの画像要素データを、通信インターフェース70を介して、表示制御部20に出力する。なお、他の例としては、クラウドサーバー500と車両ECU600は、入力した車両又はHUD装置100の位置情報、方角情報に基づき、HUD装置100に表示させるべき虚像Vを指示する指示データを、通信インターフェース70を介して、表示制御部20に出力し、表示制御部20は、入力した指示データに基づき、記憶部22に記憶された画像要素データを読み出してもよい。また、他の例としては、クラウドサーバー500と車両ECU600は、車両又はHUD装置100の位置情報、方角情報とは異なる他の情報に基づき、虚像Vの画像要素データ又は表示させるべき虚像Vを指示する指示データを、表示制御部20に出力してもよい。なお、表示制御部20は、オブジェクト情報取得部30が取得した実オブジェクト300のオブジェクト情報に基づき、記憶部22に記憶された画像要素データを読み出してもよく、あるいは、オブジェクト情報を、通信インターフェース70を介して、クラウドサーバー500又は/及び車両ECU600に出力し、クラウドサーバー500と車両ECU600が、入力したオブジェクト情報に基づき、HUD装置100に表示させる虚像Vの画像要素データを、通信インターフェース70を介して、表示制御部20に出力してもよい。
【0037】
次に、
図2を用いて、HUD装置100が表示する虚像Vを説明するとともに、表示制御部20(表示位置調整部21)の表示位置調整方法について説明する。表示位置調整部21は、前景200内の特定の実オブジェクト300に関連する第1の虚像V1、第2の虚像V2、及び第3の虚像V3の表示位置を設定する。表示位置調整部21は、オブジェクト情報取得部30が取得した実オブジェクト300の位置情報に基づき、画像要素を配置(表示可能範囲101内での表示位置を決定)し、具体的には、実オブジェクト300から離れた位置に第1の虚像V1を配置し、第1の虚像V1と第1の虚像V1が関連する実オブジェクト300が存在する位置とを連結する位置に線状の第2の虚像V2を配置し、実オブジェクト300に重畳する位置あるいは実オブジェクト300の近傍に第3の虚像V3を配置する。
図2の例では、実オブジェクト300は、人物301と、駐車場302であり、表示位置調整部21は、人物301に対して、実オブジェクト300(人物301)から離れた位置に、注意を促すエクスクラメーションマークを表示する第1の虚像V1と、第1の虚像V1と人物301との間を結ぶ直線状の第2の虚像V2と、人物301を囲むように配置される第3の虚像V3と、そして、駐車場302に対して、実オブジェクト300(駐車場302)から離れた位置に、駐車場を示す『P』を表示する第1の虚像V1と、第1の虚像V1と駐車場302が存在する位置との間を結ぶ直線状の第2の虚像V2と、を表示する画像データを生成する。また、表示制御部20(表示位置調整部21)は、注視範囲GZに近付くように、虚像V(第1の虚像V1、第2の虚像V2)を移動させることができる。具体的には、表示制御部20(表示位置調整部21)は、後述する表示移動判定部23が虚像Vの移動(移動処理)が必要と判定した場合、第1の虚像V1を、注視範囲GZを囲む領域である周辺範囲GZa内に移動させる。言い換えると、表示制御部20(表示位置調整部21)は、視認者の注視範囲GZが実オブジェクト300又は第1の虚像V1から離れていた場合、第1の虚像V1を注視範囲GZに近づける。
【0038】
表示移動判定部23は、注視情報取得部40が取得した注視範囲GZ、画像表示部10が既に表示している画像要素(虚像V)の座標系、及びオブジェクト情報取得部30が取得した実オブジェクト300の位置情報(オブジェクト情報)などを入力し、注視範囲GZを囲む領域である周辺範囲GZa内に第1の虚像V1又は実オブジェクト300が含まれるかを判定し、含まれていなければ、第1の虚像V1を移動させる判定結果を表示位置調整部21に出力する。例えば、表示移動判定部23は、
図4に示すように、前景200を左右方向に5分割、上下方向に5分割したグリッド座標系400を有しており、注視情報取得部40が取得した注視範囲GZが属するグリッド領域(グリッド線で囲まれた領域)周辺のグリッド領域を周辺範囲GZaに設定する。なお、周辺範囲GZaの設定方法は、これに限定されるものではなく、周辺範囲GZaは、注視範囲GZを中心とする予め設定された矩形状の領域に設定されてもよい。なお、周辺範囲GZaに対して、注視範囲GZが偏心した位置に配置されてもよい。
【0039】
次に、この本実施形態の特徴部分に係わるHUD装置100の処理について、
図3に示すフローチャートを用いて説明する。なお、本処理は、車両又はHUD装置100が起動され、かつ、表示可能範囲101内に特定の実オブジェクト300が位置する際に繰り返し実行される。
【0040】
まず、ステップS1において、表示制御部20は、オブジェクト情報取得部30を介して、実オブジェクト300の位置情報を少なくとも含むオブジェクト情報を取得する。これらオブジェクト情報は、カメラやセンサなどからなる前方検出部31が前景200から特定の実オブジェクト300を検出することで生成される、又は、車両の位置情報、方角情報に基づき、クラウドサーバー500又は/及び車両ECU600により生成される。
【0041】
ステップS2において、表示制御部20は、ステップS1にて入力した実オブジェクト300の位置が、HUD装置100の表示可能範囲101内に含まれるかを判定する。表示制御部20は、ステップS1で取得した実オブジェクト300の位置情報に基づき、表示可能範囲101内のどの位置に実オブジェクト300が位置するかを把握する。なお、視認者のアイポイントによって、HUD装置100の表示可能範囲101における実オブジェクト300の位置が異なるため、視認者のアイポイントを推定して、このアイポイントから表示可能範囲101を注視したときの実オブジェクト300の位置を特定するとよい。例えば、運転席に着座する視認者の体格、体形、運転姿勢、及び標準的な視線方向等に基づいて標準的なアイポイントを推定してもよいし、さらに、運転席のシートスライド位置、リクライニング角度等を検出し、これら検出したデータを用いて標準的なアイポイントを補正してもよい。そして、この推定したアイポイントと実オブジェクト300との相対的な位置関係から、表示可能範囲101における実オブジェクト300の位置を把握してもよい。
【0042】
HUD装置100の表示可能範囲101内に実オブジェクト300の位置が含まれる場合(ステップS2でYES)、ステップS3において、表示制御部20は、表示可能範囲101内に実オブジェクト300の存在を強調する虚像Vを表示する。
図4(a)に示すように、表示制御部20は、前景200の特定の実オブジェクト300である人物301に対して、実オブジェクト300(人物301)から離れた位置に配置される第1の虚像V1と、第1の虚像V1と人物301との間を結ぶ直線状の第2の虚像V2と、人物301を囲む第3の虚像V3を表示させ、そして、駐車場302に対して、実オブジェクト300(駐車場302)から離れた位置に配置される第1の虚像V1と、第1の虚像V1と駐車場302が存在する位置との間を結ぶ直線状の第2の虚像V2と、を表示させる。第2の虚像V2は、一端が第1の虚像V1であり、他端が実オブジェクト300の位置を示すものであり、第3の虚像V3は、実オブジェクト300の位置に表示されなくてもよい。
【0043】
なお、ステップS3における虚像Vの表示に際して、表示制御部20は、実オブジェクト300との距離に関する情報を、位置情報取得部50又は及び通信インターフェース70を介して車両ECU600から取得し、実オブジェクト300との距離が所定の閾値未満であった場合、実オブジェクト300の存在を強調する第1の虚像V1及び第1の虚像V1と実オブジェクト300とを結ぶ第2の虚像V2の表示を不要と判断し、第1の虚像V1及び第2の虚像V2を非表示としてもよい。但し、表示制御部20は、実オブジェクト300との距離が所定の閾値未満であった場合であっても、後述するステップS7の移動処理中であれば、第1の虚像V1及び第2の虚像V2の非表示を保留としてもよい。
【0044】
ステップS4において、表示制御部20は、注視情報取得部40を介して、視線検出部41から視認者の注視範囲GZを取得し、取得した注視範囲GZを中心とする矩形状の領域を周辺範囲GZaとする(ステップS5)。
【0045】
ステップS6において、表示制御部20(表示移動判定部23)は、周辺範囲GZaに、虚像Vが含まれていないか判定する。表示制御部20(表示位置調整部21)は、表示移動判定部23が周辺範囲GZa内に第1の虚像V1が含まれていると判定した場合(ステップS6でNO)、第1の虚像V1又は第1の虚像V1が指示する実オブジェクト300を視認者が認識できていると判定し、ステップS7の第1の虚像V1の移動処理を実行することなく、すなわち、第1の虚像V1の表示位置を変更することなく処理を終了する。
【0046】
一方、表示制御部20(表示位置調整部21)は、表示移動判定部23が周辺範囲GZa内に第1の虚像V1が含まれていないと判定した場合(ステップS6でYES)、第1の虚像V1が指示する実オブジェクト300を視認者が認識できていないと判定し、ステップS7の第1の虚像V1の移動処理を実行する。ステップS7では、表示制御部20(表示位置調整部21)は、第1の虚像V1を、視認者の注視範囲GZ付近の周辺範囲GZaに向けて徐々に移動させる。具体的には、所定の時間(例えば3秒)以内に、第1の虚像V1が元々表示されていた位置から周辺範囲GZa内まで移動させる。なお、ステップS7では、表示制御部20(表示位置調整部21)は、第1の虚像V1を、視認者の注視範囲GZ付近の周辺範囲GZaに瞬時に移動させてもよい。
【0047】
なお、表示制御部20(表示位置調整部21)は、注視範囲GZ内に、第2の虚像V2が一端で指示する実オブジェクト300の位置あるいは実オブジェクト300近傍に表示される第3の虚像V3が所定時間(例えば、3秒)以上含まれていた場合、視認者が実オブジェクト300を認識できていると判定し、第1の虚像V1及び第2の虚像V2を非表示としてもよい。
【0048】
次に、
図4を参照し、注視範囲GZの変化に伴う虚像Vの推移を説明する。
図4(a)は、
図3のステップS1、S2を実行した後、表示制御部20(表示位置調整部21)がステップS3を実行し、表示可能範囲101に存在する実オブジェクト300(人物301、及び駐車場302)に対して虚像Vを表示した例を示す。なお、車両走行に伴い、表示可能範囲101内における実オブジェクト300の位置は連続的に変化するため、表示制御部20は、実オブジェクト300の位置を指示する第2の虚像V2の一端の位置、及び実オブジェクト300と重畳する位置あるいは実オブジェクト300の近傍に表示される第3の虚像V3の位置を、実オブジェクト300の位置変化に応じて変化させる。一方、表示制御部20は、
図3のステップS7を実行する以外、実オブジェクト300の位置変化に依らず、第1の虚像V1の位置を固定とすることが好ましい。これにより、第2の虚像V2の一端又は/及び第3の虚像V3により、実オブジェクト300の位置を確認することができ、かつ視認者に注意を促す第1の虚像V1を視認しやすくすることができる。
【0049】
図4(b)は、ステップS4で取得された視認者の注視範囲GZと、ステップS5で決定された周辺範囲GZaと、視認者が視認する虚像Vとの位置関係を示す図である。
図4(b)の状態において、表示制御部20(表示移動判定部23)が、ステップS6の周辺範囲GZa内に虚像Vがないかを判定した場合、周辺範囲GZa内に人物301に対して表示される第1の虚像V1がないと判定し(ステップS6でYES)、ステップS7に移行する。
【0050】
図4(c)は、ステップS7が実行された後の虚像Vを示す図である。表示制御部20は、ステップS7の移動処理を実行すると、
図4(b)に示す人物301に対して表示されていた第1の虚像V1の表示位置を、注視範囲GZ付近の周辺範囲GZaまで徐々に移動させ、第1の虚像V1の表示位置の変更に伴い、第2の虚像V2の表示位置及び形状も徐々に変化させる。なお、ステップS7の移動処理によって、複数の第1の虚像V1の表示位置が重なった場合、ステップS7の移動処理により表示位置が変更になった人物301に対して表示される第1の虚像V1を、移動処理が実行されていない駐車場302に対して表示される第1の虚像V1よりも前面側(視認者側)に配置されるように、レイヤー表示を行ってもよい。これにより、移動処理された第1の虚像V1をより視認者に強く認識させることができる。
【0051】
表示制御部20は、ステップS7の虚像Vの移動処理の前後において、第1の虚像V1を表示する位置を、表示可能範囲101であれば(移動処理するに際しては、表示可能範囲101であり、かつ周辺範囲GZa内であれば)、任意の位置に設定可能であるが、表示可能範囲101の上部の横長(左右方向に長い)の特定表示範囲102に限定してもよい。すなわち、
図3のステップS3で第1の虚像V1が表示される位置も、ステップS7の移動処理後に第1の虚像V1が表示される位置も、特定表示範囲102内となるので、ステップS7における第1の虚像V1の移動は、上下方向が抑えられ、概ね左右方向となるため、移動方向が上下左右方向で自由である場合と比べて、視認者の視線が散漫になりにくい。
[変形例]
【0052】
なお、本発明は、以上の実施形態及び図面によって限定されるものではない。本発明の要旨を変更しない範囲で、適宜、実施形態及び図面に変更(構成要素の削除も含む)を加えることが可能である。以下に、変形例の一例を記す。
【0053】
上記実施形態では、第1の虚像V1を注視範囲GZの周辺の周辺範囲GZaまで移動させていたが、第1の虚像V1が注視範囲GZに近づけばいいので、第1の虚像V1が元々表示されていた位置から予め定められた又は所定のパラメータで算出された距離だけ注視範囲GZに向けて移動させてもよい。また、典型的には、実オブジェクト300の位置を基準とした左右どちらかに第1の虚像V1が表示されることになるが、実オブジェクト300の位置を基準とした第1の虚像V1が表示される位置が、注視範囲GZがある位置と左右逆方向にある場合(例えば、実オブジェクト300の位置を基準として、第1の虚像V1が左側にあり、注視範囲GZが右側にある場合)、実オブジェクト300の位置を基準として第1の虚像V1が配置される左右方向の位置を変えることで、第1の虚像V1を注視範囲GZに近づけてもよい。