(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の各実施の形態に係るアンテナ装置10について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、図中に示すX方向、Y方向およびZ方向は互いに直交する方向である。ここで、X方向はコア20の長手方向(軸方向C)と平行な方向(アンテナ装置10の長さ方向)であり、Y方向は棒状のコア20の矩形状断面における長辺方向と平行な方向(アンテナ装置10の幅方向)であり、Z方向はコア20の矩形状断面における短辺方向と平行な方向(アンテナ装置10の厚み方向)である。また、X方向において、X1側はX2側に対して逆方向であり、Y方向において、Y1側はY2側に対して逆方向であり、Z方向において、Z1側はZ2側に対して逆方向である。また、周方向Rは、X方向と平行をなすコア20の軸方向Cを基準とした方向である。
【0033】
図1〜
図4は、本実施の形態のアンテナ装置10の一例を示す模式図である。ここで、
図1は、本実施の形態のアンテナ装置10の全体構成の一例を示す斜視図である。
図2は、
図1に示すアンテナ装置10からケース70を除去した状態を示す斜視図である。また、
図3は、アンテナ装置10の断面構造を示す側面断面図である。また、
図4は、
図1に示すアンテナ装置10からケース70、コイル50およびコア20を除去した状態を示す斜視図である。
【0034】
図1に示す本実施形態のアンテナ装置10は、その主要部として、磁性材料から構成され、断面が矩形状の棒状の(長尺状の)コア20と、コア20を収納する断面が矩形状のボビン体30と、導線52を巻回することにより形成されるコイル50とを備えている。
【0035】
ボビン体30は、ボビン部31と、先端嵌合部32と、端子取付部33と、鍔部34と、コネクタ接続部35とを主要な部位としている。ボビン部31は、上述した導線52の巻回により、コイル50が配置されている部分である。また、先端嵌合部32は、ボビン部31に対し長手方向(X方向)の他方側(X2側)で連続している。この先端嵌合部32は、ケース70にボビン体30が挿入された場合に、ケース70の内部で嵌合構造を実現する部分である。
【0036】
また、端子取付部33は、ボビン部31に対し長手方向(X方向)の一方側(X1側)で連続している。この端子取付部33は、接続端子60を取り付けている部分である。なお、接続端子60は、コイル50の導線52の端末等が絡げられる部分となっており、また電子部品等と電気的に接続される部分となっている。また、鍔部34は、ボビン体30のうち長手方向(X方向)と垂直な方向で切断した時の面積(ZY平面の面積)が最も大きい部分である。この鍔部34は、端子取付部33と、コネクタ接続部35とを区切る部分である。鍔部34には、ケース70の一端部が嵌合状態で取り付けられる。また、コネクタ接続部35は、外部のコネクタが接続される部分となっている。
【0037】
また、コア20の一方の端部(X1側)の近傍には接続端子60が設けられている。接続端子60は、ボビン体30の一方の端部(X1側)に設けられた端子取付部33内に取り付けられている。そして、コア20を収納すると共に、外周にコイル50が設けられたボビン体30は、端子取付部33も含めて、
図1に示されるケース70内に収納される。また、鍔部34の一方側(X1側)の端面には、ボビン体30の長手方向(X方向)に延伸するようにコネクタ接続部35が設けられている。
【0038】
なお、アンテナ装置10は、
図1から
図4に示す構成には限られない。
図5に、
図1〜
図4に示したアンテナ装置10と別のタイプのアンテナ装置を示す。
図5に示すアンテナ装置10Sでは、コネクタ接続部35が長手方向(X方向)に直交する幅方向(Y方向)に沿うように設けられている。しかしながら、その他の構成は、
図1から
図4に示すアンテナ装置10と同様となっている。
【0039】
次に、コア20とボビン体30の配置について説明するが、先ず、ボビン体30に設けられているコア保持突起37について説明する。アンテナ装置10では、ボビン体30の内周面36のうちボビン体30の矩形状の周方向Rのうち互いに平行をなす一対の短辺を有する内周面(以下、幅狭内周面36A1,36A2とする)および互いに平行をなす一対の長辺を有する内周面(以下、幅広内周面36A3,36A4とする)から選択される少なくとも一方の一対の内周面に、その周方向Rに沿って、コア20の外周面に当接する突起(コア保持突起37)が設けられている。たとえば、
図2〜
図4に示す例では、ボビン体30の内周面36のうち、幅狭内周面36A1,36A2に、一対のコア保持突起37が設けられている。なお、幅狭内周面36A1,36A2は、第1内周面に対応する。また、幅広内周面36A3,36A4は、第2内周面に対応する。
【0040】
なお、
図2〜
図4では、必要に応じて、アンテナ装置10の幅方向(Y方向)の一方側(Y1側)に位置する内周面36を幅狭内周面36A1、アンテナ装置10の幅方向(Y方向)の他方側(Y2側)に位置する内周面36を幅狭内周面36A2と称呼する。また、幅狭内周面36A1に存在するコア保持突起37をコア保持突起37A1、幅狭内周面36A2に存在するコア保持突起37をコア保持突起37A2と称呼する。また、上側(Z1側)に存在する内周面36を幅広内周面36A3、下側(Z2側)に存在する内周面36を幅広内周面36A4とする。
【0041】
上述したコア保持突起37は、
図6に示すように、コア20の外周面(
図6に示す例では、コア20の外周面のうち、幅狭内周面36A1,36A2と対向する外周面)と当接することで、ボビン体30内にコア20を保持する。このため、アンテナ装置10に衝撃が加わった際に、コア20がコア保持突起37A1、37A2を支点として、ボビン体30内で、
図6中の矢印E1方向あるいは矢印E2方向において微動する(XY面内で微動する)ことで、ボビン体30を介してコア20に伝達される衝撃力を減衰させることができる。また、コア20がコア保持突起37A1,37A2を支点として、XZ面内で微動することで、ボビン体30を介してコア20に伝達される衝撃力を減衰させることもできる。これにより、アンテナ装置10に衝撃が加わっても、コア20が破断してしまう可能性を大幅に低減できる。
【0042】
コア保持突起37は、
図6等に例示したように、互いに平行をなす2つの内周面36のそれぞれに設けられている。いずれか一方の内周面36(
図6に示す例ではたとえば内周面36A1)のみにコア保持突起37A1を設け、他方の内周面36(たとえば、内周面36A2)にコア保持突起37A2を設けない場合、他方の内周面全面をコア20と密着させると微動できなくなり、他方の内周面全面とコア20との間に隙間を設けると、ボビン体30内でコア20を安定して固定保持できなくなるためである。
【0043】
また、幅狭内周面36A1に設けられるコア保持突起37A1と、幅狭内周面36A2に設けられるコア保持突起37A2とは、ボビン体30の長手方向に対して、所定の位置に配置したり、または所定の範囲内に偏在するように配置されることが好ましい。たとえば、ボビン体30のコア20を収納する収納部の長手方向の全長を相対長さで100とし、一方の端(X1側の端)を位置0、他方の端(X2側の端)を位置100とする。
【0044】
このとき、長手方向の中央よりも接続端子60側に位置する位置20にのみコア保持突起37A1,37A2を設けたり、位置40〜位置50の範囲内(相対長さ10の範囲内)にのみコア保持突起37A1,37A2を配置することができる。コア保持突起37A1,37A2を、ボビン体30の長手方向に対して、広く分散させて複数配置した場合(たとえば、コア保持突起37A1を位置20に配置し、コア保持突起37A2を位置80に配置した場合など)、衝撃力が加わった場合でも、コア20の微動が困難になったり、微動できる範囲が大幅に制限されることで、ボビン体30を介してコア20に伝達される衝撃力を大きく減衰させることが困難となる場合があるためである。
【0045】
これらの点を考慮した場合、2つのコア保持突起37A1,37A2は、相対長さ20の範囲内(コア保持突起37A1とコア保持突起37A2とで長手方向の位置が相対長さ20の範囲内でずれた位置)に偏在するようにコア保持突起37A1,37A2を設けることが好ましく、相対長さ10の範囲内に偏在するようにコア保持突起37A1,37A2を設けることがより好ましく、
図6等に例示したように長手方向の同一の位置にコア保持突起37A1,37A2を設けることが特に好ましい。また、コイル50の締付力の影響によってコア20が動き難くなることを避けるためには、コア保持突起37A1,37A2がコイル50の巻線部の一端側(X1側)と端子取付部33の間に設けることが好ましい。
【0046】
また、コア保持突起37は、ボビン体30のコア20を収納する収納部の長手方向における配置位置は、コア20の微動が可能である限り任意の位置に設けることができる。
【0047】
また、コア保持突起37は、ボビン体30の幅狭内周面36A1,36A2以外の位置に設けるようにしても良い。
図8は、コア20の長手方向(X方向)の一端側(X1側)の端面に当接するコア保持突起37(コア支持突起37A3,37A4)を示す斜視図である。
図8に示すように、鍔部34の他端側の端面(X2側の面)には、コア支持突起37A3,37A4が設けられていて、そのコア支持突起37A3,37A4は上下方向に沿うように延伸している。このコア支持突起37A3,37A4は、コア20の一端側の端面(X1側の端面)に当接するが、若干離れていても良い。
【0048】
このように、コア20の一端側の端面(X1側の面)が、鍔部34の端面と全面的には接触せずに、コア支持突起37A3,37A4で当接することで、コア20の一端側の端面(X1側の面)が部分的に接触する状態を実現できる。それにより、アンテナ装置10が落下した場合に、コア20の一端側の端面(X1側の面)においてZ方向に沿って微振動させることができ、落下の衝撃を緩和することができる。言い換えれば、コア支持突起37A3,37A4の存在により、コア20の一端側(X1側)と鍔部34の他端側(X2側)との間に隙間ができる。この隙間の存在により、衝撃を受けた場合、コア20の一端側(X1側)がこれらのコア支持突起37A3,37A4を圧縮しながら、微回転することができるので、瞬間的な衝撃力を緩和・吸収することができる。
【0049】
ここで、
図6〜図8に示す構成では、アンテナ装置10に衝撃が加わった場合、コア保持突起37A1,37A2とコア20とが直接接触する部分(第一接触部)、および、コア支持突起37A3,37A4とコア20とが直接接触する部分(第二接触部)とを介して、ボビン体30からコア20へと衝撃が伝達されることになる。
【0050】
また、現状の技術においては、ボビン体30とケース70との間の空間に、樹脂などの柔軟性を有する材料に配置して、衝撃力を緩和している。しかしながら、本実施の形態では、上述したようなコア保持突起37を利用し、アンテナ装置10の落下等の際の衝撃力を、コア20の比較的強い面、言い換えれば割れ難い面に選択的に誘導し、コア20の割れを低減するようにしている。
【0051】
なお、コア20の中央における割れ等を低減するために、コア保持突起37A1,37A2は、ボビン体30のコア20を収納する収納部の長手方向の中央部近傍ではなく、一方の端部近傍あるいは他方の端部近傍に位置するように設けられることがより好ましい。なお、ボビン体30のコア20を収納する収納部の長手方向の中央部近傍とは、当該収納部を長手方向に3分割した際に、真ん中の領域を意味し、残りの両側2つの領域が一方の端部近傍あるいは他方の端部近傍を意味する。
【0052】
また、コア保持突起37A1,37A2は、(a)
図6等に例示するようにボビン体30のうち、幅狭内周面36A1,36A2に設けてもよいし、(b)幅広内周面36A3,36A4に設けてもよいし、(c)幅狭内周面36A1,36A2および幅広内周面36A3,36A4の双方に設けてもよい。しかしながら、コア20の破断をより抑制できる観点からは、上記(a)〜(c)に示す態様のうち、(a)に示す態様が最も好ましい。その理由は、(a)に示す態様では、(1)アンテナ装置10に衝撃が加わった際に、衝撃力を減衰するためにコア20が微動できる方向が、
図6のXY面内において微動する(XY面内で微動する)成分を多くすることができること、(2)また、機械的耐久性および強度は、コア20の短辺方向(
図6中の紙面と直交する方向(Z方向))よりも長辺側方向(
図6中のY方向)の方が大きいためである。
【0053】
また、コア保持突起37は、内周面36の周方向Rに沿って連続的に設けられていてもよく、離散的に設けられていてもよい。また、コア保持突起37を、周方向Rと直交しかつコア保持突起37の高さ方向とも平行をなす平面(
図6におけるXY平面)で切断した場合におけるコア保持突起37の断面形状は特に限定されるものではない。しかしながら、コア保持突起37の先端部が、内周面36と平行となる平坦面である場合は、平坦面の幅が広がるに従い、コア20の微動が制限されたり、より困難になる傾向にある。同様の理由から、本実施の形態のアンテナ装置10のようにコア保持突起37を内周面36の周方向Rに沿ってではなく、周方向Rに垂直となる長手方向(あるいは軸方向C、またはX方向)に沿って設けた態様は、コア20が微動できなくなるため、好ましくない。
【0054】
したがって、
図7に示すように、コア保持突起37は、その先端部37T近傍において、内周面36側から先端部37T側へと近づくにしたがい幅方向長さW(コア保持突起37の高さ方向Hと直交する方向の長さ)が小さくなる断面形状を有することが好ましい。このような断面形状としては、三角形状の断面形状(
図7(a))や、半楕円状の断面形状(
図7(b))や、先端側が小面積となる台形形状(
図7(c))などが例示できる。
【0055】
また、ボビン体30には、開口部38も設けられている。この開口部38は、落下などにより衝撃が加わった際に、コア20の端部側を自由に移動させるために形成されている。そのため、
図4に示す構成では、開口部38は、ボビン体30の長手方向のうち、コア20の一方側の端部(X1側端部)が位置する部分の上面側が開口する状態で設けられている。しかしながら、開口部38は、コア20の一方側の端部(X1側端部)が位置する部分の下面側が開口する状態で設けても良く、幅狭内周面36A1と幅狭内周面36A2の内の少なくとも一方の面が開口する状態で設けても良い。
【0056】
また、コア20は、端子取付部33に対して、直接置かれてはおらず、若干の隙間を有する状態で配置するようにしても良い。このような構成を、
図9に示す。
図9は、
図3に示すアンテナ装置10のうち、端子取付部33付近を拡大して示す側断面図である。
図9に示すように、端子取付部33の上面33aと、コア20の間には、隙間S1が存在している。すなわち、コア20は、上面33aに直接接触していない。
【0057】
このような隙間S1の存在により、コア20は、上面33a側に向かって移動したり微動させることができる。それにより、上面33aにコア20が直接載置されている場合と比較して、アンテナ装置10の落下の際に、その衝撃がコア20に直接伝達されるのを緩和することができ、コア20が破損するのを低減することができる。
【0058】
また、
図9に示すように、開口部38と隙間S1がZ方向においてコア20を挟んで設けられている。また、上記の隙間S1を形成するために、ボビン体30の幅広内周面36A3のうち端子取付部33の他端側(X2側)の上面33a側には、階段部41が形成されている。この階段部41の存在により、外部からの衝撃力を受けた場合に、コア20は、階段部41の縁部E4、または幅広内周面36A3の縁部E4を支点として、上下方向(Z方向)に開口部38と隙間S1が存在する空間内で微振動することが可能となり、衝撃力を緩和することができる。さらに、後述のように、樹脂等の充填材がこの隙間S1に充填された場合には、その充填材の弾性力により、衝撃力を緩和することができる。
【0059】
なお、隙間S1の寸法としては、0.5mm以上であることが好ましい。隙間S1が0.5mmよりも小さい場合には、アンテナ装置10が落下した場合に、コア20が上面33aに衝突し易くなるためである。なお、アンテナ装置10の寸法が無駄に大きくならないようにするため、隙間S1が1.5mm以下であることが好ましい。
【0060】
次に、ボビン体30とケース70の嵌合構造について説明する。
図10は、ボビン体30の先端側の嵌合突起43付近の構成を示す斜視図である。
図11は、凸部72を有するケース70の構成を示す斜視図である。
図12は、
図11に示すケース70とボビン体30の嵌合構造を示す斜視図である。
【0061】
図11および
図12に示すように、ケース70の内周面71には、それぞれ一対の凸部72(72A1,72A2)が設けられている。一対の凸部72は、
図11および
図12に示す構成では、互いに平行をなす幅の狭い幅狭内周面71A1,71A2および互いに平行をなす幅の広い幅広内周面71A3,71A4から選択される一対の内周面71に存在している。そして、1つの内周面71につき、2つの凸部72が所定の間隔を隔てて配置されている。
【0062】
図11および
図12に示す構成では、それぞれの凸部72は、断面が矩形状の直方体形状に設けられていて、それらが平行に配置されている。ただし、凸部72は、直方体形状以外の形状であっても良い。たとえば、断面が三角形状、半円形状、半楕円形状や、その他の形状であっても良い。また、それぞれの凸部72は、長手方向(X方向)に平行となるように配置されている。また、
図11および
図12に示す構成では、凸部72のうち、幅狭内周面71A1側に位置するものを凸部72A1とし、幅狭内周面71A2側に位置するものを凸部72A2としている。
【0063】
このように配置された一対の凸部72の間には、嵌合凹部73(嵌合凹部73A1,73A2)が設けられている。この嵌合凹部73には、後述する嵌合突起43が嵌め込まれる。すなわち、嵌合凹部73は、一対の凸部72の間に位置している。また、嵌合突起43の突出の先端側は、一対の凸部72と、この一対の凸部72の間に位置する内周面71によって囲まれている。したがって、嵌合突起43は、一対の凸部72や内周面71で囲まれた嵌合凹部73内に位置するので、嵌合突起43の保持性を向上させることができる。
【0064】
また、上述した嵌合凹部73に嵌め込まれる部分として、ボビン体30には、嵌合突起43(嵌合突起43A1,43A2)が設けられている。嵌合突起43は、ボビン体30の長手方向(X方向)における他端側(X2側)に配置されていて、長手方向(X方向)に沿うように設けられている。また、
図10および
図12に示す構成では、嵌合突起43は、断面が矩形状となるように設けられている。以下の説明では、嵌合突起43のうち、ボビン体30の幅方向(Y方向)の一方側(Y1側)に位置するものを嵌合突起43A1とし、ボビン体30の幅方向(Y方向)の他方側(Y2側)に位置するものを嵌合突起43A2とする。
【0065】
図10に示すように、嵌合突起43には、その他端側(X2側)に向かうにつれて
、湾曲した湾曲部44が設けられている。そのため、嵌合凹部73に嵌合突起43を挿入する際には、湾曲部44のガイドによって、その挿入を容易に行うことが可能となっている。しかしながら、嵌合突起43の形状は、
図10に示すような形状には限られず、それ以外の形状であっても良い。たとえば、嵌合突起43が直方体形状であっても良い。また、嵌合突起43の断面は、矩形状以外に、三角形状、半円形状、半楕円形状や、その他の形状であっても良い。
【0066】
また、嵌合突起43の厚み(Z方向の寸法)は、薄い方が好ましい。嵌合突起43の厚みが薄い場合には、嵌合突起43にバネ性を持たせることが可能となるためである。また、嵌合突起43の厚みは、凸部72よりも薄いことが好ましく、さらに凸部72の半分以下であることが特に好ましい。その場合、嵌合突起43の薄さに基づいて、コア20が嵌合凹部73内で上下方向に微振動することができるので、アンテナ装置10の衝突の際の衝撃を緩和することができる。
【0067】
なお、
図11および
図12に示す構成では、凸部72と嵌合突起43の間には、若干の隙間が存在している。これは、ボビン体30は、その一端側(X1側)でケース70に支持されており、他端側(X2側)は自由に微振動が可能な状態で保持されているためである。しかしながら、嵌合突起43は、少なくとも1つの凸部72に直接接触する構成を採用しても良い。
【0068】
また、嵌合突起43の幅方向(Y方向)の外周面は、幅狭内周面71A1,71A2に直接接触している。ただし、嵌合突起43の幅方向(Y方向)の外周面は、幅狭内周面71A1,71A2に直接接触せずに、若干の隙間を有するように構成しても良い。
【0069】
かかる
図10から
図12に示す構成とする場合、ボビン体30は、ケース70の内壁に直接接触する部分が大幅に少なくなる。また、
図3に示すように、ボビン体30に保持されていないコア20の他方側(X2側)の先端は、完全にフリーとなっている。すなわち、ケース70との間に、コア20の他方側(X2側)の先端を支持するための支持体(リブなど)がなく、X方向におけるクリアランスK1、Z方向におけるクリアランスK2とK3などにより、完全にコア20をフリーとする空間が存在している。そのため、アンテナ装置10を落下させた場合でも、その衝撃が直接ボビン体30に加わり難くなり、コア20が割れてしまうのを低減可能となる。
【0070】
また、嵌合突起43と凸部72とが、その全体に亘って嵌合突起43と接触する場合には、ボビン体30とコア20等の一体化物をケース70の内部に装着する場合、それらボビン体30とコア20の他端側(X2側)の位置が固定される。この場合には、嵌合突起43の外周面および嵌合凹部73の内壁面との静摩擦力により、ボビン体30の位置を固定するため、両者の圧力の目的
値を狙って、嵌合突起43の外形寸法を設定すれば良い。たとえば、嵌合突起43の外形寸法を、嵌合凹部73と比べて一回り大きく設計したり、接触面積を増大させるようにしても良い。
【0071】
また、上述したような嵌合状態では、ボビン体30は、ケース70の幅広内周面71A3および幅広内周面71A4に対して、接触面積が少ない状態で、ケース70に保持される。したがって、ボビン体30は、アンテナ装置10が落下した際に、ケース70内で若干の移動が可能となる。このため、コア20は、ケース70およびボビン体30という二段階で衝撃が緩衝されることになるので、コア20の破損を大幅に低減することが可能となる。
【0072】
なお、嵌合突起43と凸部72のうちの少なくとも一方には、嵌合突起43や凸部72よりも幅狭で先端側が潰れやすい突起を設ける構成を採用しても良い。この場合には、ボビン体30を弾性的に支持することができ、それにより、アンテナ装置10の落下等の際にボビン体30を介してコア20に伝達される衝撃力を減衰可能となる。
【0073】
ここで、ボビン体30の先端嵌合部32の外周面(外周側面)と、凸部72の間のクリアランスL1(第1クリアランスに対応)は、コイル50の導線52の直径に鑑みたものとなる。すなわち、たとえば導線52を2層巻回してコイル50を形成した場合には、導線52の直径の2倍と、所定の隙間を合計したものがクリアランスL1となり、導線52を1層巻回してコイル50を形成した場合には、導線52の直径の1倍と、所定の隙間を合計したものがクリアランスL1となる。いずれの場合でも、クリアランスL1は、導線52の直径よりも大きな寸法となる。なお、所定の隙間は、導線52の直径以上であることが好ましいが、それ以下の寸法の隙間でも、それ以上の寸法の隙間でも良い。
【0074】
また、ボビン体30の先端嵌合部32の外周面(外周底面)と幅広内周面71A4との間のクリアランスL2(第2クリアランスに対応)は、上述のクリアランスL1と同程度としても良く、より大きくしても良く、より小さいものとしても良い。
【0075】
次に、ケース70の軽量化構造(肉抜き構造)について説明する。
アンテナ装置10の落下などの衝撃は、一般的に、落下物の質量および速度と関係する。ここで、一定の高さからアンテナ装置10が落下する場合、重力加速度により着地速度がほぼ決まるため、唯一コントロールできるパラメータは落下物の質量である。言い換えると、落下物の質量が少ないほど、運度エネルギーも、衝撃力も少なくなる。この考えから、アンテナ装置10の質量を低減するための一環として、ケース70の軽量化を図る構造が検討された。
【0076】
しかしながら、単純にケース70を軽量化する場合には、その軽量化によって、ケース70の強度が低下する虞がある。したがって、ケース70では、このような軽量化の問題点に鑑みて、ケース70の強度を維持したまま、ケース70の質量を低減する構造を実現している。
【0077】
図13は、ケース70を下方側(Z2側)から見た状態を示す斜視図である。
図13に示すように、ケース70は、収納部75と、側面延伸部76と、外部取付部77と、嵩上げ部78と、梁部79と、を備えている。なお、側面延伸部76、外部取付部77、嵩上げ部78および梁部79は、いずれも、所定の肉厚を有する樹脂の板状部分となっている。
【0078】
これらのうち、収納部75は、コア20、ボビン体30およびコイル50等から構成される一体化物を収納している筒状の部分である。また、側面延伸部76は、筒状をなす収納部75の外周側面から延伸している部分であり、次に述べる外部取付部77や、嵩上げ部78の一部と一体的な状態で連続している。
【0079】
また、外部取付部77は、外部機器への固定を行うための部分である。この外部取付部77を介して、たとえばボルト等によって、車体の一部等のような外部機器に固定される。また、嵩上げ部78は、車体の一部等のような取付部位から、所定距離だけ離間させるための部分である。この嵩上げ部78の存在により、上述した一体化物が適切な距離だけ、車体等の導電部位から離間させることができる。
【0080】
また、梁部79は、一対の嵩上げ部78を連結する部分であり、それによって嵩上げ部78側での強度を向上させている。なお、梁部79の厚みは、嵩上げ部78と同等の厚みとすることが好ましいが、異なる厚みとしても良い。この梁部79の存在により、嵩上げ部78や側面延伸部76の幅方向(Y方向)への反りや変形等を防ぐことができ、ケース70の強度を一層向上させることができる。なお、梁部79を設ける位置としては、嵩上げ部78の幅方向(X方向)の中央部分であることが好ましいが、それ以外の場所であっても良い。
【0081】
なお、嵩上げ部78は、収納部75の外周側面と平行に設けられている。
図13に示す構成では、嵩上げ部78は、収納部75の外周側面と面一となるように設けられている。一方、梁部79は、嵩上げ部78に対して直交するように配置されている。したがって、嵩上げ部78および梁部79を形成する際に必要となる樹脂の分量を低減しながらも、ケース70の強度を一層向上させる構成となっている。
【0082】
ここで、
図13から明らかなように、ケース70の下面側においては、収納部75の下面からケース70の最も下端側(Z2側の端部側)まで亘って存在する樹脂部分は、嵩上げ部78と、梁部79のみとなっている。そして、それ以外の部分は、可能な限り、樹脂の充填による厚肉構造とはせずに、板状の樹脂部分(側面延伸部76、外部取付部77、嵩上げ部78および梁部79)を組み合わせた軽量化構造となっている。したがって、ケース70は、大幅な軽量化が可能となっている。
【0083】
ここで、従来構成では、肉抜き部80に対応する部分には、収納部75から嵩上げ部78の下端側に至るまで、中実状の樹脂部となっていて、その分だけケース70の重量が大きくなっている。このような従来の厚肉構造のケースと、本実施の形態の構成とを、比較すると、本実施の形態のケース70では、長手方向(X方向)において離間している一対の梁部79の間に、大きな肉抜き部80が存在している。また、一対の梁部79の間に位置する側面延伸部76もカットされ、それによってこれらの間に窓部81が存在する状態となっている。したがって、ケース70の大幅な軽量化が図れる。それにより、アンテナ装置10の落下時の運度エネルギーが小さくなり、衝撃力も少なくなるので、コア20の破損を低減することができる。
【0084】
なお、幅方向(Y方向)の他方側(Y2側)における肉抜き部80の上端部には、側面延伸部76を若干残存させた残存部76aが存在している。それにより、ケース70を長手方向(X方向)で湾曲させるような変形等を防ぐことができ、ケース70の強度を一層向上させることができる。
【0085】
なお、
図13に示す構成では、側面延伸部76と一体的な状態の嵩上げ部78も設けられている。しかしながら、側面延伸部76と一体的な状態の嵩上げ部78を省略する構成を採用しても良い。なお、外部機器における取付面は、面一でない場合もある。したがって、側面延伸部76と一体的な状態の嵩上げ部78を設けることにより、外部取付部77は、外部機器の凹凸を避けることも可能となる。また、外部機器への取り付けに際しては、その取り付けの際の応力により、外部取付部77を変形させないことが好ましい。
【0086】
このような外部取付部77の変形を防止するために、
図13に示すような補強部82を設けるようにしても良い。補強部82は、外部取付部77と側面延伸部76とを接続する三角状の部分であり、この補強部82の存在により、取り付けの際に応力が付与されても、外部取付部77の変形等を防ぐことができる。なお、補強部82は、外部取付部77の表面と直交するように設けられていて、しかも収納部75の外周側面とも直交するように設けられている。それにより、必要とされる樹脂の分量を低減しながらも、外部取付部77の変形を良好に防止することが可能となる。また、本実施の形態では、補強部82は、外部取付部77の表面における一対の縁部(長手方向(X方向)における一対の縁部)にそれぞれ設けられている(
図13では、片側の縁部に存在する補強部82のみ図示)。したがって、外部取付部77を変形させ難い構成とすることができる。
【0087】
なお、
図12においては、長手方向(X方向)の他方側(X2側)における、嵌合凹部73と嵌合突起43の嵌合構造を示している。しかしながら、嵌合凹部73と嵌合突起43の嵌合構造は、長手方向(X方向)の一方側(X1側)にも設けられていても良く、長手方向(X方向)の一方側(X2側)のみに設けられていても良
い。
【0088】
次に、樹脂の充填構造について説明する。
図14は、本発明の第2の実施の形態に係るアンテナ装置10の構成を示す模式図である。なお、
図14はアンテナ装置10の模式図であるので、その細部構成は、上述した第1の実施の形態におけるアンテナ装置10と共通であっても良い。
【0089】
本実施の形態のアンテナ装置10では、
図14に示すように、鍔部34が位置するケース70の開口部70a側が硬化樹脂部120によって封止されている。そして、硬化樹脂部120での封止によって、ケース70の内部に水等の液体が浸入するのが防止可能な防水構造を実現可能となる。
【0090】
また、ケース70の内部では、コア20、ボビン体30、コイル50およびコネクタ接続部35等が一体化されたものが、ケース70の長手方向(X方向)の他端側(X1側)で保持されている。なお、以下の説明では、コア20、ボビン体30およびコイル50等が一体化されたものを、一体化物100と称呼する。
【0091】
なお、硬化樹脂部120は、
図14に示すように、鍔部34側において均一に硬化しないことが多い。このような硬化樹脂部120の硬化した形態の一例を、
図15に示す。
図15においては、その液状充填材110が硬化して、硬化樹脂部120が硬化した様子が示されている。
図15に示すように、硬化樹脂部120は、不均一な柱状の硬化部位(ケース70内におけるハッチング部分)を形成している。
【0092】
なお、
図15では、柱状の硬化部位の一部は、他端底部70bと繋がった状態となっている。しかしながら、硬化樹脂部120は、長手方向(X方向)において、主として鍔部34側(X1側)でケース70に固定されている。他端底部70bと繋がっている硬化樹脂部120は、コア20と、ケース70とを固定することもできるので、コア20の自由移動を抑制することができる。また、この部分の硬化樹脂部120は、ケース70の他端底部70bを完全に充満するのではない。言い換えれば、沢山の空間(空洞)を介して、いわゆる木の枝のような形態を有しながら、コア20とケース70(特に他端底部70b)との間を繋がっている。このようにすることで、たとえば落下等の際にケース70の他端底部70bから伝わってきた衝撃力はコア20の端部に直撃するのを防ぐことができ、コア20が割れる虞を低減できる。もちろん、さらにコア20に対する衝撃力を低減したい場合、この部分の空間率(空洞率)をさらに上げると良い。さらに、コア20の端部が完全に自由に揺れるように(自由端となるように)構成しても良い。
【0093】
さらに、ケース70の他端底部70bに存在する少量の硬化樹脂部120と、一端側(すなわち鍔部34側)に存在する硬化樹脂部120との間の硬化樹脂部120は、他端底部70bや一端側(鍔部34)に存在する硬化樹脂部120よりも密度が低く、ほぼコイル50の表面ぐらいしか存在していない。言い換えれば、他端底部70bや一端側(鍔部34)に存在する硬化樹脂部120より、これらの間に存在する硬化樹脂部120とケース70の内壁面との間に、さらに多くの空間(空洞)が存在している。
【0094】
なお、硬化樹脂部120は、長手方向(X方向)の一方側(X1側)や他方側(X2側)において、一体化物100の少なくとも一部をコーティングする態様で覆っていても良い。
【0095】
上述したように、ケース70の内部では、一体化物100は、ケース70の長手方向(X方向)の他端側(X1側)で保持されている。したがって、
図3および
図4等に示すように、ケース70の長手方向(X方向)における他端側(X2側)では保持が不要とすることができる。すなわち、
図11および
図12に示すようなボビン体30とケース70の嵌合構造(宙吊り構造)は不要とすることができ、一体化物100を、いわば片持ち状態で支持することができる。しかしながら、ボビン体30とケース70の嵌合構造を設けて、一体化物100を両持ち状態で支持するようにしても良い。
【0096】
ボビン体30とケース70の嵌合構造が存在しない場合には、一体化物100は、長手方向(X方向)のうち、鍔部34の近傍の一方側(X1側)で、硬化樹脂部120で保持される状態となる。すなわち、一体化物100には、長手方向(X方向)のうち鍔部34側(X1側;一方側)がケース70に対して固定された固定端が存在するものの、その半端側の長手方向(X方向)の他方側(X2側)には、ケース70に対して固定されていない自由端が存在している。そのため、ボビン体30の他方側(X2側;自由端側)は何らの部材によっても保持されていないフリーの状態となり、その他方側(X2側)でのボビン体30およびコア20の微振動によって、アンテナ装置10の落下時の衝撃等を逃がすことが可能となる。
【0097】
なお、以下の説明で
は、アンテナ装置10の製造方法を説
明する。
【0098】
(第1工程:ケース70と一体化物100の準備)
図16は、本実施の形態のアンテナ装置10を製造するためのケース70と一体化物100を示す模式図である。
図16に示すように、本実施の形態のアンテナ装置10を製造するためには、筒状のケース70と、上述したようなコア20、ボビン体30、コイル50およびコネクタ接続部35等の一体化物100を準備する。すなわち、予め、一体化物100を形成しておく(一体化物形成工程に対応)。
【0099】
(第2工程:液状充填材110の注入)
図17は液状充填材110の注入および一体化物100の取り付けの様子を示す模式図であり、(a)はケース70の内部に液状充填材110を注入した状態を示し、(b)は一体化物100をケース70の内部に差し込む途中段階を示し、(c)は一体化物100のケース70の内部への差し込みが完了した状態を示す図である。
図17(a)に示すように、先ず、ケース70について、開口部70aが鉛直方向の上側に位置する状態とする。すなわち、ケース70の長手方向(X方向)の他端側(X2側)に位置する、他端底部70bが鉛直方向の下側に位置する状態とする。
【0100】
ケース70をこのような配置とした後に、
図17(a)に示すように、液状充填材110をケース70の内部に注入する(充填材供給工程に対応)。注入された液状充填材110の量はケース70の内部空間の容積以下の量で良い。すなわち、ケース70の内部空間からあふれ出さないよう、液状充填材110の量を調整する。さらに、ケース70の内部空間の半分以下の量が好ましい。ここでは、液状充填材110は、ケース70の内部に対して、他端底部70bからケース70の内部の全長の約1/5程度の位置まで注入するのが好ましい。なお、液状充填材110は、二液混合タイプでも良いが、熱硬化タイプでも良い。
【0101】
ここで、液状充填材110は、水等と比較して比較的粘度の高いものが好ましい。液状充填材110の粘度が高い場合には、コイル50の隙間やその他の部位に液状充填材110が付着しても、簡単には下方に流れ落ちず、液状充填材110が留まっている間に硬化するからである。しかしながら、液状充填材110は、比較的流動性の高いものであっても良い。
【0102】
このような液状充填材110の材質としては、たとえば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、フラン樹脂、ポリブタジエン樹脂、アイオノマー樹脂、EEA 樹脂、AAS 樹脂(ASA 樹脂)、AS樹脂、ACS 樹脂、エチレン酢ビコポリマー、エチレンビニルアルコール共重合樹脂、ABS 樹脂、塩化ビニル樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、酢酸繊維素樹脂、フッ素樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂6,66やポリアミド樹脂11,12等のポリアミド樹脂、ポリアリレート樹脂、熱可塑性ポリウレタンエラストマー、液晶ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルフォン樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリプロピレン樹脂、メタクリル樹脂、メチルペンテンポリマー等の樹脂を使用することができる。
【0103】
また、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム等のジエン系ゴムや、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、ウレタンゴム、
シリコンゴム等の非ジエン系ゴム等のゴム材料や、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリシロキサン樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等の各種樹脂、ガラス、繊維、紙、木材等を採用することができる。また、環境を配慮した、天然繊維およびポリ乳酸樹脂などの環境負荷が少ない材料も採用することができる。更に、軽量性の点から、発泡スチロールや、空隙率の高いハニカム構造体、コルゲート構造体、格子構造体であっても良い。
【0104】
これらの中でも、弾性を備えるウレタンゴムが最も好適である。このウレタンゴムは、ケース70の材料として、たとえばPBT(ポリブチレンテレフタレート)やその他の各種の樹脂に対して接着性が良好である。したがって、シリコンゴムやフッ素ゴムを用いた場合よりも、硬化樹脂部120が剥離し難くなる。また、ウレタンゴムは弾性を有するので、硬化樹脂部120で一体化物100が保持されている場合に、アンテナ装置10の落下等の際には、一体化物100を比較的ゆっくり振動させることで、落下の衝撃を良好に吸収することもできる。また、ウレタンゴム等の硬化樹脂部120は、一体化物100の少なくとも一部の表面を膜状に覆うこともでき、それによって一体化物100がケース70の内壁に直接衝突するのを防止することもできる。すなわち、液状充填材110が一体化物100を伝って流れ落ちる場合に、一体化物100の少なくとも一部に膜状の硬化樹脂部120が形成され、それによって一体化物100を衝撃から保護することができる。
【0105】
(第3工程:一体化物100の挿入)
次に、
図17(b)に示すように、ケース70の内部に対して、一体化物100を挿入する。このとき、
図17(c)に示すように、鍔部34がケース70の開口部70aを塞ぐまで、一体化物100を挿入すると共に、開口部70aが鍔部34で確実に塞がれる状態とする(一体化物挿入工程に対応)。なお、このとき、液状充填材110がケース70を完全に充満せずに、ケース70の内部空間の半分以下しか液状充填材110が充填されていない。
【0106】
(第4工程:ケース70と一体化物100のひっくり返し)
図18は、ケース70および一体化物100をひっくり返してアンテナ装置10を形成する様子を示す図であり、(a)はひっくり返して液状充填材110が下方に溜まった状態を示し、(b)は液状充填材110が硬化して硬化樹脂部120が形成された状態を示している。
図17(c)に示す状態の後に、
図18(a)に示すように、ケース70と一体化物100とを同時に180度ひっくり返す(回動工程に対応)。すなわち、ケース70の他端底部70bに対して、ケース70の開口部70a側が鉛直方向の下側に位置する状態とする。このように、ケース70と一体化物100とを同時にひっくり返すと、液状充填材110はケース70を充満していないため、下方に流れ落ちようとする。すると、液状充填材110が下方に流れ落ちる過程で、コイル50の一部の隙間に入り込んだり、コイル50やボビン部31(ボビン体30)の一部の表面を覆ったり、コイル50とボビン体30の間やボビン体30とコア20の間の一部の部位に入り込んだりする。このとき、液状充填材110の粘度が高い場合には、液状充填材110は、上述の各部位に留まるものがあり、液状充填材110の全部が下方に流れ落ちない状態となる。それにより、コア20とボビン体30とコイル50の三者間の位置固定を行うこともできる。
【0107】
なお、ケース70と一体化物100をひっくり返す場合、長尺状のケース70の長手方向(X方向)が、鉛直方向に沿う位置まで回動させることが好ましく、その位置で、硬化樹脂部120を形成するようにしても良い。しかしながら、長尺状のケース70の長手方向(X方向)が、鉛直方向に対して若干ずれた位置までケース70と一体化物100を回動させ、その位置で、硬化樹脂部120を形成するようにしても良い。
【0108】
(第5工程:液状充填材110の硬化)
次に、たとえば10分〜60分程度の時間をかけて、液状充填材110を硬化させる(硬化工程に対応)。この液状充填材110が二液混合タイプである場合には、混合した瞬間から硬化が開始される。なお、必要があれば、適切な温度に加熱することで、硬化の過程を加速するようにしても良い。この硬化が完了すると、
図18(b)に示すような、硬化樹脂部120を有するアンテナ装置10が形成される。このアンテナ装置10のケース70では、他端底部70bから約1/5程度が硬化樹脂部120となっているが、その硬化樹脂部120よりも上部側で一体化物100が存在しない部分は、空間部となっている。なお、かかる空間部の存在により、従来構成よりも液状充填材110の充填量を低減することが可能となっている。
【0109】
ところで、
図17および
図18に基づいて説明した上述の製造方法は、
図19から
図22に示すように変更することもできる。これら製造方法の変形例について、以下に説明する。
【0110】
ケース70と一体化物100とを同時にひっくり返す場合、180度ひっくり返さずに、90度から180度の範囲内において任意の角度だけ、ケース70を一体化物100とを傾斜させても良い。
図19(a),(b)は、その一例を示す図である。
図19(a)は、開口部70aが鉛直方向の下方を向く状態で、ケース70およびアンテナ装置10を傾斜させて液状充填材110を注入した状態を示す図であり、
図19(b)は液状充填材110が硬化した状態を示す図である。
【0111】
かかる
図19(a),(b)に示すように、
図17および
図18に対して、ケース70および一体化物100を傾斜させて、液状充填材110を固定させ、
硬化樹脂部120を得るようにしても良い。このように、ケース70および一体化物100を傾斜させることにより、コア20、ボビン体30およびコイル50等が液状充填材110に浸る面積を大きくすることができ、これら各部品の位置固定の機能を高めることができる。ここで、
図19(a),(b)に示すようにケース70および一体化物100を傾斜させる場合、ケース70内部の全長を100とし、その全長の起点を鍔部34の他端側の面(X2側の面)とすると、液状充填材110(
硬化樹脂部120)の6割の体積が、位置20〜30までの部位に位置することが好ましい。しかしながら、ケース70および一体化物100を傾斜させない場合、液状充填材110は、位置20〜40の位置に、体積の全体が位置することが好ましい。
【0112】
また、
図19(a)では、ケース70および一体化物100を傾斜させた状態で、液状充填材110を硬化させている。それにより、ケース70の長手方向(X方向)が鉛直方向に沿うように立てたときに、ケース70内部における硬化樹脂部120の界面は、平面状を維持しつつも、
図19(b)に示すように、水平に対して傾斜している。しかしながら、硬化樹脂部120の界面は、平面状を維持しなくても良い。たとえば、上述した界面が波状のように不規則な面状であっても良い。
【0113】
また、液状充填材110は、ケース70の開口部70aから注入しなくても良い。たとえば、
図20に示すように、ケース70の内部と連通する注入口70cを設け、その注入口70cを介して液状充填材110を注入するようにしても良い。このとき、
図20に示すように、液状充填材110を注入するための専用注入装置としてディスペンサ130を用い、そのディスペンサ130の先端部を注入口70cに挿入し、ケース70の内部に液状充填材110を注入するようにしても良い。
【0114】
ここで、
図20に示す構成では、注入口70cは、ケース70のうち開口部70a側の側面に設けられている。しかしながら、注入口70cは、ケース70の長手方向(X方向)において、開口部70aと他端底部70bの間の任意の位置の側面に設けることができる。また、他端底部70bのいずれかの部位に、注入口70cを設けるようにしても良い。
【0115】
なお、
図20においては、ケース70の長手方向(X方向)が鉛直方向に沿いつつ、液状充填材110の液面が水平面に平行な状態が示されている。しかしながら、液状充填材110の液面は、液状充填材110の粘度や周囲の部材配置によっては、斜めになったり不規則な形になっても良い。
【0116】
また、
図20には、ディスペンサ130の先端部を注入口70cに差し込んで、液状充填材110をケース70の内部に注入する場合が示されている。しかしながら、ディスペンサ130を用いる手法以外の手法を用いて、ケース70の内部に硬化樹脂部120を部分的に形成するようにしても良い。たとえば、射出成形と同様の手法を用いて、ケース70の内部の一部に硬化樹脂部120を形成しても良く、トランスファ成形と同様の手法を用いて、ケース70の内部の一部に硬化樹脂部120を形成しても良い。
【0117】
かかる射出成形やトランスファ成形と同様の手法を用いる場合には、ディスペンサ130を用いず、したがってディスペンサ130の先端部を注入口70cに差し込まないので、注入口70cをケース70に形成する部位や、注入口70cの大きさ等に関して、工夫する必要がある。たとえば、2次成形の技術を用いることもできる。この場合、ディスペンサ130の先端部を挿入する場合よりも大きく形成された注入口70cの付近に、液状充填材110の一部を注入することで、ケース70の内部に液状充填材110が入り込む。その後に、残りの液状充填材110を供給して、注入口70cの開口部を封止する状態とする。かかる2次成形を行った場合、後の(残りの)液状充填材110の供給によって、注入口70cの開口部位が存在した部分が少し膨らむように突出する場合がある。
【0118】
なお、アンテナ装置10を外部機器に取り付けた場合に、注入口70c付近に、水溜りが形成されたり、また注入口70cを介して水が浸入してしまう場合がある。そのような注入口70c付近での水溜りの形成や、注入口70cからの水の浸入を防ぐためには、注入口70cが鉛直方向の下側を向く状態で、外部機器に取り付けることが考えられる。
【0119】
また、
図21に示すように、ケース70および一体化物100を傾斜させて、注入口70cから液状充填材110を注入するようにしても良い。この場合にも、
図19(a),(b)に示したのと同様に、コア20、ボビン体30およびコイル50等が液状充填材110に浸る面積を大きくすることができ、これら各部品の位置固定の機能を高めることができる。
【0120】
なお、
図21に示す状態では、注入口70cが鉛直方向の上側を向く状態で、液状充填材110を注入している。この場合には、液状充填材110が注入口70cに達しないときには、ディスペンサ130の先端部を注入口70cから抜いても、液状充填材110が注入口70cから漏れない、というメリットがある。しかしながら、注入口70cが液状充填材110の液面よりも鉛直方向の下側に位置する状態で、ディスペンサ130を用いて液状充填材110を注入口70cから注入するようにしても良い。
【0121】
また、
図14に示すのとは異なるケース70を用いて、液状充填材110を注入するようにしても良い。この例を、
図22に示す。
図22は、他端底部70bが存在しなく両端が開口している筒状のケース70を用いて、液状充填材110を注入するイメージを示す図である。このケース70の構成では、ケース70の長手方向(X方向)の一端側(X1側)に存在する開口部70a以外に、ケース70の長手方向(X方向)の他端側(X2側)に、第2開口部70dが存在している。
【0122】
かかるケース70を用いた場合、ケース70の開口部70a側からは、一体化物100を挿入する。一方、ケース70の第2開口部70d側からは、液状充填材110をケース70の内部に注入する。そして、液状充填材110が硬化して硬化樹脂部120が形成された後に、蓋部材140で第2開口部70dを塞ぐようにする。
図23は、
図22に示すケース70に蓋部材140が取り付けられてアンテナ装置10が形成された状態を示す模式図である。このようにする場合、ケース70および一体化物100をひっくり返さずに、第2開口部70dから液状充填材110をケース70の内部に注入することができる。
【0123】
なお、
図14に示すようなアンテナ装置10およびそのアンテナ装置10の製造方法に関しては、次のようにすることができる。すなわち、ケース70
を用意する。また、ボビン体30とコア20とコイル50を一体的に形成して、
一体化物100を形成する。そして、
ケース70の内部に、液状充填材110を充填し、
一体化物100をケース70内部に挿入し、ケース70を引っくり返して、その後に硬化樹脂部120を形成する
。
【0124】
また、開口部70aを確実に封止して、液状充填材110の漏れを防ぐために、鍔部34は、
図24のように形成することができる。
図24に示す鍔部34は、フィン部34a1,34a2と、凹嵌部34b1,34b2とを有している。フィン部34a1,34a2は、凹嵌部34b1,34b2よりも外径側に突出している部分である。このフィン部34a1,34a2がケース70の開口部70aの内部に差し込まれることで、液状充填材110の漏れを低減することができる。
【0125】
すなわち、フィン部34a1がケース70の内部に接触することで、液状充填材110の漏れを低減するための第1段階の漏れ防止部が形成される。しかしながら、このフィン部34a1を越えて液状充填材110が漏れた場合には、凹嵌部34b1に入り込み、この凹嵌部34b1に充填されるまでの時間を稼ぐことができる。また、フィン部34a2がケース70の内部に接触することで、液状充填材110の漏れを低減するための第2段階の漏れ防止部が形成される。しかしながら、このフィン部34a2を越えて液状充填材110が漏れた場合には、凹嵌部34b2に入り込み、この凹嵌部34b2に充填されるまでの時間を稼ぐことができる。また、最終的に、34a1,34a2よりも大径の鍔基部34a3が開口部70aの開口縁部に接触することで、第3段階の漏れ防止部が形成される。したがって、第1〜第3段階の漏れ防止部の存在により、液状充填材110の漏れを良好に低減可能となる。
【0126】
ここで、
図24に示す鍔部34と同様の構造を、
図23に示す蓋部材140に適用しても良い。
【0127】
また、
図14に示すようなアンテナ装置10およびそのアンテナ装置10の製造方法に関しては、次のようにすることもできる。この構成を
図25に示す。
図25は、変形例に係るアンテナ装置10を示す図である。
図25に示す構成では、鍔部34がケース70の内部に完全に入り込んでおり、その鍔部34のうち、ケース70の長手方向(X方向)の一端側(X1側)に、凹嵌部70eが設けられている。この凹嵌部70eには液状充填材110が充填され、その液状充填材110が硬化することで、硬化樹脂部120が形成される。
【0128】
このような
図25に示すアンテナ装置10の構成でも、液状充填材110の充填量を少なくしながらも鍔部34とケース70の間の封止性を向上させることができる。また、アンテナ装置10の製造を簡易に行うことができる。
【0129】
なお、上述した第2の実施の形態で述べた構成は、上述した第1の実施の形態で述べた拡孔惺と組み合わせることで、アンテナ装置10の落下の際の耐衝撃性を一層向上させることが可能である。
【0131】
また、上述の各実施の形態では、コア20は、1つのみの構成について示されている。しかしながら、コア20は、2つ以上に分割された構成を採用しても良い。
【0132】
また、上述の第1の実施の形態では、ボビン体30は、鍔部34側と嵌合突起43側でケース70に支持されている。いわば、両持ちの指示構造となっている。しかしながら、ボビン体30は、片持ち状態でケース70に支持されても良い。すなわち、嵌合突起43や嵌合凹部73を設けずに鍔部34のみで支持する構成を採用しても良く、嵌合突起43や73側のみで支持する構成を採用しても良い。