(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記円盤部の上端部と前記凸部の下端部との間の軸方向における第1距離は、前記円盤部の上端部と前記環状部の上端部との間の軸方向における第2距離の半分以下である請求項5に記載のモータ。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に図面を参照して本発明の例示的な実施形態を説明する。
【0010】
なお、本明細書では、モータ100において、回転軸RAと平行な方向を「軸方向」と呼ぶ。軸方向において、後述するステータ120から後述する蓋部2に向かう方向を「軸方向上側」と呼び、蓋部2からステータ120に向かう方向を「軸方向下側」と呼ぶ。各々の構成要素において、軸方向上側における端部を「上端部」と呼び、軸方向下側における端部を「下端部」と呼ぶ。また、各々の構成要素の表面において、軸方向上側を向く面を「上面」と呼び、軸方向下側を向く面を「下面」と呼ぶ。
【0011】
さらに、回転軸RAに直交する方向を「径方向」と呼び、回転軸RAを中心とする回転方向を「周方向」と呼ぶ。径方向において、回転軸RAに向かう方向を「径方向内側」と呼び、回転軸RAから離れる方向を「径方向外側」と呼ぶ。各々の構成要素において、径方向内側における端部を「内端部」と呼び、径方向外側における端部を「外端部」と呼ぶ。また、各々の構成要素の側面において、径方向内側を向く側面を「内側面」と呼び、径方向外側を向く側面を「外側面」と呼ぶ。
【0012】
各々の構成要素の側面のうち、後述するハウジング1の内側面1aを「ハウジング内側面1a」と呼び、後述する凸部24の内側面24aを「凸部内側面24a」と呼ぶ。また、後述する第1壁部281の外側面281aを「第1外側面281a」と呼び、後述する第2壁部282の外側面282aを「第2外側面282a」と呼ぶ。
【0013】
なお、以上に説明した方向、端部、及び面などの呼称は、実際の機器に組み込まれた場合での位置関係及び方向などを示すものではない。
【0014】
<1.実施形態>
<1−1.モータの構成>
図1は、モータ100の構造例を示す断面図である。
図2は、モータ100の外観を示す斜視図である。モータ100は、たとえば、小型の無人飛行機(不図示)に搭載されて翼部を回転させる。なお、この例示に限定されず、モータ100は、たとえば、自動車及び鉄道などの輸送機械、OA機器、医療機器、工具、産業用の大型設備などに搭載されて種々の駆動力を発生させてもよい。
【0015】
モータ100は、ロータ110と、ステータ120と、ベアリングブッシュ130と、を備える。
【0016】
ロータ110は、上下方向に延びる回転軸RAを中心にして、ステータ120に対して回転可能である。ロータ110は、シャフト111と、ハウジング1と、蓋部2と、マグネット3と、を有する。シャフト111は、回転軸RAに沿って軸方向に延び、回転軸RAを中心にして回転可能である。ハウジング1は、回転軸RAを中心とする筒状である。ハウジング1は、ステータ120とベアリングブッシュ130の上部とを内部に収容する。蓋部2は、ハウジング1の軸方向における上端部に取り付けられる。マグネット3は、ハウジング内側面1aに配置され、該ハウジング内側面1aにおいて周方向に複数並ぶ。本実施形態において、モータ100は、アウターロータ型である。すなわち、複数のマグネット3は、ステータ120よりも径方向外側に位置し、ステータ120の外側面と径方向に対向する。なお、蓋部2の構成は後に説明する。
【0017】
ステータ120は、ロータ110を駆動して回転させる。ステータ120は、ステータコア121と、コイル部122と、を有する。ステータコア121は、回転軸RAを中心とする環状であり、たとえば複数の電磁鋼板が積層された積層鋼板からなる。コイル部122は、ステータコア121にインシュレータ(不図示)を介して巻きつけられた導線からなる。
【0018】
ベアリングブッシュ130は、ベアリング131a、131bを介してシャフト111を回転可能に支持する。
【0019】
<1−2.蓋部の構成>
次に、蓋部2の構成を、
図1及び
図2のほか、さらに
図3A及び
図3Bを参照して説明する。
図3Aは、軸方向上側から見た蓋部2の斜視図である。
図3Bは、軸方向下側から見た蓋部2の斜視図である。
【0020】
蓋部2は、蓋部開口2aと、軸連結部21と、出力軸部22と、円盤部23と、凸部24と、バランス調整部材25と、環状部26と、複数のリブ27と、壁部28と、複数の突出片29と、を有する。
【0021】
蓋部開口2aは、周方向における複数のリブ27の間、且つ、軸方向における円盤部23及び環状部26の間に設けられる(
図3A参照)。このようにすれば、ロータ110が回転する際、各々のリブ27の間に、蓋部開口2aを通じる空気の流れを発生させることができる。また、各々のリブ27が空気を掻くことにより、空気の流れが強くなる。このような空気の流れによって、モータ100の回転により、モータ100の内部を効果的に冷却することができる。
【0022】
また、蓋部2をハウジング1に取り付けた状態であっても、蓋部開口2aを介して、バランス調整部材25を凸部内側面24aに設けることができる。
【0023】
軸連結部21は、シャフト111と連結される。より具体的には、本実施形態では、出力軸部22の下端部に、軸方向に延びる取付孔21aが設けられる(
図1参照)。取付孔21a内には、シャフト111の上端部が嵌められる。シャフト111の上端部と軸連結部21とは、たとえば接着剤(不図示)を用いて連結される。
【0024】
出力軸部22には、たとえば複数の羽根を有するプロペラなど(不図示)が取り付けられる。出力軸部22は、モータ100の駆動時、たとえば、蓋部2を含むロータ110のトルクを出力してプロペラを回転させる。
【0025】
円盤部23は、回転軸RAを中心とする円形の板状であり、径方向に延びる。なお、円盤部23は、本実施形態では軸連結部21の外側面から径方向外側に延びるが、この例示に限定されず、出力軸部22の外側面から径方向外側に延びてもよい。
【0026】
凸部24は、円盤部23から軸方向下側に突出する。より具体的には、凸部24は、本実施形態では、円盤部23の外端部から突出する。凸部24の径方向における凸部内側面24aは、本実施形態では、回転軸RAと平行である。このようにすれば、ロータ110の回転時において、凸部内側面24aと円盤部23の下面との2面でバランス調整部材25が保持できる。従って、安定してバランス調整部材25を凸部内側面24aに保持することができる。
【0027】
なお、凸部内側面24aの構成は、この例示に限定されない。
図4は、凸部内側面24aの他の構成例を示す蓋部2の断面図である。凸部内側面24aは、たとえば
図4に示すように、軸方向下側に向かうにつれて径方向外側へと傾く傾斜面であってもよい。このようにすれば、バランス調整部材25が、より凸部内側面24aに設け易くなる。
【0028】
円盤部23の上端部と凸部24の下端部との間の軸方向における第1軸方向距離W1は、円盤部23の上端部と環状部26の上端部との間の軸方向における第2軸方向距離W2の半分以下である(
図1参照)。このようにすれば、蓋部開口2aを通じる空気の流れを妨げることなく、凸部内側面24aにバランス調整部材25を保持できる。
【0029】
バランス調整部材25は、ロータ110の回転バランスを調整するための部材である。本実施形態では、バランス調整部材25には、たとえばアルミナなどのセラミック粉末を含む複合樹脂材料が用いられる。バランス調整部材25は、ステータ120よりも軸方向上側において、凸部24の径方向における凸部内側面24aに設けられる。このようにすれば、バランス調整部材25が蓋部2の外側から見えにくい。また、バランス調整部材25は、ステータ120よりも軸方向上側において凸部内側面24aに設けられる。従って、外観を損なうことなく、たとえば組み立てたモータを実際に駆動しながら、ロータ110の回転バランスを精度良く調整することができる。なお、バランス調整部材25は、本実施形態では円盤部23の下面に接するが、この例示には限定されず、円盤部23の下面から離れていてもよい。言い換えると、バランス調整部材25は、円盤部23の下面との間に間隔を有して設けられていてもよい。
【0030】
環状部26は、回転軸RAを中心とする環状である。環状部26は、壁部28よりも軸方向上側に位置するとともに、円盤部23よりも軸方向下側に位置する。すなわち、環状部26は、軸方向において壁部28と円盤部23との間に位置する。環状部26は、周方向において複数のリブ27を連結する。
【0031】
リブ27は、本実施形態では軸方向及び径方向に延びる板状である。リブ27は、円盤部23及び環状部26の間を接続する。リブ27は、周方向に複数並ぶ。リブ27の数は、突出片29の数より少なくてもよいが、好ましくは突出片29の数以上である。言い換えると、リブ27の数は、好ましくは突出片29の数と同じ又はそれよりも多い。突出片29の数以上であれば、蓋部開口2aを通じる空気の流れをより強くすることができる。
【0032】
リブ27は、少なくとも円盤部23よりも軸方向下側において、軸方向及び径方向に延びる。より具体的には、リブ27は、凸板部27aを含む。凸板部27aは、円盤部23の下面から軸方向下側に延び、さらに径方向にも延びる。このようにすれば、ロータ110が回転する際、各々のリブ27間に、蓋部開口2aを通じて空気の流れを発生させることができる。また、各々のリブ27の凸板部27aが空気を掻くことにより、空気の流れが強くなる。このような空気の流れによって、モータ100の回転により、モータ100の内部を効果的に冷却することができる。
【0033】
各々のリブ27の径方向における内端部は、軸連結部21又は出力軸部22に接続されていてもよいが、好ましくは、少なくとも円盤部23よりも軸方向下側において、軸連結部21と径方向に間隔を有して対向する(
図3B参照)。言い換えると、好ましくは、少なくともいずれかのリブ27において、凸板部27aの内端部は、軸連結部21及び出力軸部22から径方向に離れ、軸連結部21及び出力軸部22に接続されない。このようにすれば、たとえば各々のリブ27の内端部が軸連結部21に接続される構成と比較して、モータ100を軽量化できる。さらに、リブ27の形成に用いる材料を少なくすることができるので、コストを低減できる。
【0034】
次に、
図5をさらに参照して、壁部28及び突出片29を説明する。
図5は、壁部28及び突出片29を含む断面構造を示す図である。なお、
図5は、
図1の破線で囲まれた部分に対応する。
【0035】
壁部28は、環状部26から軸方向下方に延び、ハウジング1の径方向内側に位置する。壁部28は、回転軸RAを中心とする環状であり、周方向に延びる。壁部28は、第1壁部281と、第2壁部282と、を有する。
【0036】
第1壁部281は、ハウジング1の径方向におけるハウジング内側面1aの一部に接する。第1壁部281は、軸方向に延びる筒状である。すなわち、ハウジング内側面1aと第1外側面281aとは、いずれも軸方向に延びる面である。このようにすれば、第1壁部281がハウジング1の内側面に接する接触面積が広くなるので、第1壁部281とハウジング1との間の取り付け強度が向上する。
【0037】
第2壁部282は、第1壁部281の軸方向における下端部から軸方向下側に延びる。第2壁部282は、接着剤28aを介してハウジング内側面1aと対向する。言い換えると、第2外側面282aは、接着剤28aによりハウジング内側面1aに接着される。
【0038】
第2壁部282は、本実施形態では回転軸RAを中心とする環状である。但し、この例示に限定されず、第2壁部282は、たとえば周方向において一部分に隙間を有し且つ回転軸RAを中心とする円弧形状であってもよい。或いは、第2壁部282は複数であって、各々の第2壁部282が周方向において間隔を有して並ぶ構成であってもよい。
【0039】
径方向において、第1壁部281の第1外側面281aと回転軸RAとの間の第1径方向距離L1は、
図5に示すように、第2壁部282の第2外側面282aと回転軸RAとの間の第2径方向距離L2よりも大きい。このようにすれば、蓋部2に、第1壁部281がハウジング内側面1aに接する部分と、第2壁部282が接着剤28aによってハウジング内側面1aに接着される部分とを設けられる。これにより、ロータ110が回転する際にハウジング1と蓋部2との間に掛かる負荷を各部分に分散することができる。従って、ハウジング1の軸方向における上端部と蓋部2との間に隙間が生じることを抑制することができる。
【0040】
具体的には、蓋部2がハウジング1に取り付けられる際、たとえば接着剤28aを用いた接着のみによって蓋部2をハウジング1に取り付ける構成と比べて、第1壁部281は、より隙間なくハウジング内側面1aに接しながら、該ハウジング内側面1aに沿って軸方向下側にガイドされる。従って、壁部28とハウジング1との間に隙間が生じることを抑制しつつ、より容易に蓋部2をハウジング1に取り付けることができる。また、壁部28が延びる方向とハウジング1が延びる方向との間の取り付け角度がずれ難くなる。さらに、ハウジング1に対する蓋部2の径方向における取り付け位置もずれ難くなる。従って、ハウジング1に対する蓋部2の取り付け精度を向上させることができる。よって、回転時におけるロータ110のバランス精度を向上させることができる。
【0041】
軸方向において、第1壁部281の軸方向長さD1は、第2壁部282の軸方向長さD2以上であってもよいが、好ましくは
図5に示すように第2壁部282の軸方向長さD2よりも小さい。このようにD1<D2にすれば、たとえば、壁部28とハウジング1との接触のみによって蓋部2をハウジング1に取り付ける構造と比べて、壁部28の耐力に対する負荷応力の安全率が向上する。言い換えると、壁部28に掛かる負荷の増加を抑制しつつ、ハウジング1に対する蓋部2の取り付け強度を向上させることができる。
【0042】
突出片29は、壁部28の軸方向における下端部から軸方向下側に突出する。より具体的には、突出片29は、第2壁部282の軸方向における下端部から軸方向下側に突出し、周方向に複数並ぶ。各々の突出片29は、隣り合うマグネット3の間に配置される。このようにすれば、マグネット3を周方向及び軸方向に位置決めすることができる。また、負荷が掛かり難い第2壁部282の下端部から突出片29が延びる。そのため、マグネット3の周方向及び軸方向における位置の精度を向上させることができる。
【0043】
突出片29の数は、マグネット3の数とは異なっていても良いが、好ましくはマグネット3の数と同じである。同じ数であれば、蓋部2をハウジング1に取り付ける際、各々のマグネット3を突出部29の間にガイドすることができる。従って、マグネット3がハウジング1に取り付け易くなる。
【0044】
また、各々の突出片29において、軸方向から見て、該突出片29の少なくとも一部がリブ27と重なる。こうすれば、たとえば金型を用いた蓋部2の成形がし易くなる。
【0045】
<2.蓋部の変形例>
次に、蓋部2の第1及び第2変形例を説明する。なお、以下の説明では、主に、上述の実施形態と異なる構成を説明する。また、各変形例において、上述の実施形態及び他の変形例と同じ構成要素には同じ符号を付し、上述の実施形態及び他の変形例と同じ構成の説明を省略することがある。
【0046】
<2−1.第1変形例>
図6Aは、第1変形例に係る蓋部2の斜視図である。
図6Bは、第1変形例に係る蓋部2の構成を示す断面図である。
図6Cは、第1変形例に係る蓋部2の他の構成を示す断面図である。
【0047】
第1変形例に係る蓋部2では、円盤部23が、板部231と、リング部232と、上部開口233と、を有する。板部231は、軸連結部21の外側面から径方向外側に延び、リング部232よりも径方向内側に位置する。リング部232は、回転軸RAを中心とする環状であり、複数のリブ27によって板部231と径方向に接続される。板部231の軸方向位置は、リング部232の軸方向位置と同じである。言い換えると、板部231は、リング部232と径方向に対向する。上部開口233は、軸方向に開口する。上部開口233は、周方向における複数のリブ27の間、且つ、径方向における板部231とリング部232との間に設けられる。このようにすれば、上部開口233を介して、蓋部2の外部及び内部間に空気が通じる。そのため、モータ100の内部がさらに冷却し易くなる。
【0048】
凸部24は、リング部232から軸方向下側に突出する。凸部24の径方向における凸部内側面24aには、バランス調整部材25が設けられる。なお、バランス調整部材25は、リング部232の下面から離れていてもよいが、好ましくは、リング部232の下面に接する。
【0049】
凸部24の径方向における凸部内側面24aは、
図6Bに示すように、回転軸RAと平行であってもよい。このようにすれば、ロータ110の回転時において、凸部内側面24aとリング部232の下面との2面でバランス調整部材25を保持することが可能となり、安定してバランス調整部材25を凸部内側面24aに保持することができる。
【0050】
或いは、凸部内側面24aは、
図6Cに示すように軸方向下側に向かうにつれて径方向外側へと傾く傾斜面であってもよい。このようにすれば、バランス調整部材25が、より凸部内側面24aに設け易くなる。
【0051】
<2−2.第2変形例>
図7Aは、第2変形例に係る蓋部2の斜視図である。
図7Bは、第2変形例に係る蓋部2の構成を示す断面図である。
図7Cは、第2変形例に係る蓋部2の他の構成を示す断面図である。
【0052】
第2変形例に係る蓋部2では、第1変形例と同様に、円盤部23が、板部231と、リング部232と、軸方向に開口する上部開口233と、を有する。リング部232は、第2変形例では
図7A〜
図7Cに示すように、板部231よりも軸方向下側に位置する。
【0053】
凸部24は、リング部232から軸方向下側に突出する。凸部24の径方向における凸部内側面24aには、バランス調整部材25が設けられる。バランス調整部材25は、リング部232の下面から離れていてもよいが、好ましくは、リング部232の下面に接する。
【0054】
凸部24の径方向における凸部内側面24aは、
図7Bに示すように回転軸RAと平行であってもよいし、
図7Cに示すように軸方向下側に向かうにつれて径方向外側へと傾く傾斜面であってもよい。
【0055】
各々のリブ27は、第2変形例では凸板部27aを含まない。このようにすれば、たとえば各々のリブ27が凸板部27aを含む構成と比較してモータ100を軽量化できる。さらに、リブ27の形成に用いる材料を少なくすることができるので、コストを低減できる。また、蓋部2の内部空間がより広くなる。
【0056】
<3.その他>
以上、本発明の実施形態について説明した。なお、本発明の範囲は上述の実施形態に限定されない。本発明は、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。また、上述の実施形態で説明した事項は、矛盾を生じない範囲で適宜任意に組み合わせることができる。