(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記所定タイミングで、前記第1の用紙の搬送方向の長さに応じた数の反転ローラー対を、前記主搬送経路に近いものから順に離間させることを特徴とする請求項1に記載の用紙反転装置。
前記制御部は、前記第1の用紙の搬送方向先端が前記下流側ローラー対に達した時点で、当該第1の用紙を挟持した状態となる反転ローラー対を離間させることを特徴とする請求項2に記載の用紙反転装置。
前記制御部は、前記第1の用紙の搬送方向後端が、前記最も近い反転ローラー対のニップ部に対応する位置を通過した時点で、離間している反転ローラー対を圧着させて正回転を開始させることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の用紙反転装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
【0012】
[画像形成システムの構成]
先ず、本実施の形態における画像形成システムの構成について説明する。
【0013】
図1は、本実施の形態の画像形成システム1の概略構成の一例を示す図である。
図1に示すように、画像形成システム1は、画像形成装置3と、用紙反転装置5と、用紙処理装置7とを備える。
【0014】
画像形成装置3は、電子写真方式で用紙に画像を形成する装置である。画像形成装置3は、画像が形成された用紙を用紙反転装置5に搬送する。
用紙反転装置5は、画像形成装置3から搬送されてきた用紙を反転する装置である。用紙反転装置5は、反転した用紙を用紙処理装置7に搬送する。なお、用紙反転装置5は、用紙を反転することなく用紙処理装置7に搬送することも可能である。また、用紙反転装置5は、用紙を反転する以外の用紙処理機能を有することも好ましい。
用紙処理装置7は、用紙反転装置5から搬送されてきた用紙に所定の用紙処理を行って排紙する装置である。用紙処理としては、例えば、デカール処理、ステイプル処理、パンチ穴開け処理、折り処理、製本処理等が挙げられる。
上記した画像形成装置3、用紙反転装置5及び用紙処理装置7は、各々隣り合う装置に対して着脱可能な構成とされている。
【0015】
図2は、画像形成装置3及び用紙反転装置5の主要な機能構成を示すブロック図である。
以下、
図1及び
図2を参照しつつ、画像形成装置3及び用紙反転装置5について説明する。
【0016】
<画像形成装置>
画像形成装置3は、CPU(Central Processing Unit)301、RAM(Random Access Memory)302、及びROM(Read Only Memory)303を有する制御部30と、記憶部31と、操作部32と、表示部33と、外部通信部34と、インターフェース35と、スキャナー36と、画像処理部37と、画像形成部38と、搬送部39と、を備える。
制御部30は、バス3bを介して記憶部31、操作部32、表示部33、外部通信部34、インターフェース35、スキャナー36、画像処理部37、画像形成部38及び搬送部39と接続されている。
【0017】
CPU301は、ROM303又は記憶部31に記憶されている制御用プログラムを読み出して実行し、各種演算処理を行う。
【0018】
RAM302は、CPU301に作業用のメモリー空間を提供し、一時データを記憶する。
【0019】
ROM303は、CPU301により実行される各種制御用のプログラムや設定データ等を格納する。なお、ROM303に代えてEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)やフラッシュメモリー等の書き換え可能な不揮発性メモリーが用いられてもよい。
【0020】
これらのCPU301、RAM302及びROM303を備える制御部30は、上述の各種制御用プログラムに従って画像形成装置3の各部を統括制御する。例えば、制御部30は、画像処理部37に画像データに対する所定の画像処理を行わせて記憶部31に記憶させる。また、制御部30は、搬送部39に用紙を搬送させ、記憶部31に記憶された画像データに基づいて画像形成部38により用紙に画像を形成させる。
【0021】
記憶部31は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、スキャナー36により取得された画像データや、外部通信部34を介して外部から入力された画像データ等が記憶される。なお、これらの画像データ等はRAM302に記憶されてもよい。
【0022】
操作部32は、操作キーや表示部33の画面に重ねられて配置されたタッチパネル等の入力デバイスを備え、これらの入力デバイスに対する入力操作を操作信号に変換して制御部30に出力する。
【0023】
表示部33は、LCD(Liquid crystal display)等の表示装置を備え、画像形成システム1の状態や、タッチパネルへの入力操作の内容を示す操作画面等を表示する。
【0024】
外部通信部34は、制御部30からの制御信号に従い、ネットワーク上のコンピューターや他の画像形成装置と通信を行って画像データなどを送受信する。
【0025】
インターフェース35は、用紙反転装置5との間でデータの送受信を行う手段であり、例えば各種シリアルインターフェースのいずれかにより構成される。
【0026】
スキャナー36は、用紙に形成された画像を読み取り、R(赤)、G(緑)、及びB(青)の色成分ごとの単色画像データを含む画像データを生成して記憶部31に記憶させる。
【0027】
画像処理部37は、ラスタライズ処理部、色変換部、階調補正部、ハーフトーン処理部を備えており、記憶部31に記憶された画像データに各種画像処理を施して記憶部31に記憶させる。
【0028】
ラスタライズ処理部は、ネットワーク上のコンピューター等から入力された所定のページ記述言語(PDL)で記述されたベクター形式の画像データをビットマップ等のラスター形式の画像データに変換する。ラスタライズ処理部で変換、生成された画像データは、C(シアン)、M(マジェンタ)、Y(イエロー)、及びK(黒)の色成分ごとの単色画像データを含む。
色変換部は、スキャナー36から出力されたR、G、及びBの各色の画像データを所定のルックアップテーブルを参照して色変換処理し、C、M、Y、及びK各色の単色画像データを含む画像データを生成する。また、色変換部は、画像データに対して所定の色補正処理を行う。
階調補正部は、画像データに係る画像の階調特性が所定の特性となるように、各階調値に対応する補正値が定められたルックアップテーブルを参照して画像データの階調値を補正する。
ハーフトーン処理部は、画像データに対しディザマトリクスを用いたスクリーン処理や誤差拡散処理等のハーフトーン処理を行う。
なお、画像処理部37に含まれるラスタライズ処理部、色変換部、階調補正部、ハーフトーン処理部の一部又は全部を、制御部30により実現させる構成としてもよく、或いは画像形成装置3の外部に設けられた他の画像処理装置により実現させる構成としてもよい。
【0029】
画像形成部38は、記憶部31に記憶された画像データに基づき、用紙に画像を形成する。画像形成部38は、
図1に示すように、C、M、Y、及びKの色成分に各々対応する4組の露光部381、感光体382及び現像部383を備えている。また、画像形成部38は、転写体384、2次転写ローラー385及び定着部386を備えている。
【0030】
露光部381は、発光素子としてのLD(Laser Diode)を備えている。露光部381は、画像データに基づいてLDを駆動し、帯電する感光体382上にレーザー光を照射、露光して感光体382上に静電潜像を形成する。現像部383は、露光された感光体382上に帯電する現像ローラーにより所定の色(C、M、Y、及びKの何れか)のトナー(色材)を供給して、感光体382上に形成された静電潜像を現像する。
C、M、Y、及びKに対応する4つの感光体382上に各々C、M、Y、及びKのトナーで形成された画像(単色画像)は、各感光体382から転写体384上に順次重ねられて転写される。これにより、転写体384上にC、M、Y、及びKを色成分とするカラー画像が形成される。
【0031】
転写体384は、複数の転写体搬送ローラーに巻き回された無端ベルトであり、各転写体搬送ローラーの回転に従って回転する。
【0032】
2次転写ローラー385は、転写体384上のカラー画像を、給紙トレイ3aから給紙された用紙上に転写する。詳しくは、用紙及び転写体384を挟持する2次転写ローラー385に所定の転写電圧が印加されることにより、転写体384上においてカラー画像を形成しているトナーが用紙側に引き寄せられて用紙に転写される。
【0033】
定着部386は、トナーが転写された用紙を加熱及び加圧してトナーを用紙に定着させる定着処理を行う。定着部386は、用紙を挟持する加熱ローラー及び加圧ローラーからなる一対のローラーを備えている。加熱ローラーは、加熱源としてのヒーターによって所定の目標温度(例えば180℃以上200℃以下の範囲内の温度)に加熱される。加圧ローラーは、図示しない弾性部材によって加熱ローラーへ向かって付勢されている。2次転写ローラー385においてトナーで形成された画像が転写された用紙が、加熱ローラーと加圧ローラーとのニップ部を通ることにより、トナーで形成された画像が当該用紙に定着される。
【0034】
搬送部39は、用紙を挟持した状態で回転することで用紙を搬送する用紙搬送ローラーを複数備え、所定の搬送経路に沿って用紙を搬送する。搬送部39は、2次転写ローラー385の搬送方向上流側に配置されたレジストローラー391を備えている。レジストローラー391は、給紙された用紙の搬送を一旦停止させて、2次転写ローラー385へ用紙を送り出すタイミングを調整する。また、搬送部39は、定着部386により定着処理が行われた用紙の表裏を反転させて2次転写ローラー385へ搬送する反転機構392を備えている。画像形成装置3では、用紙の両面に画像を形成する場合に反転機構392による用紙の表裏の反転が行われ、用紙の片面にのみ画像を形成する場合には、反転機構392による用紙の表裏の反転が行われることなく用紙が用紙反転装置5に搬送される。
【0035】
<用紙反転装置>
用紙反転装置5は、CPU501、RAM502、及びROM503を有する制御部50と、インターフェース51と、搬送部52と、加湿部53と、デカーラ部54と、パージ部55と、用紙反転部20と、を備える。
制御部50は、バス5bを介してインターフェース51、搬送部52、加湿部53、デカーラ部54、パージ部55及び用紙反転部20と接続されている。
【0036】
CPU501は、ROM503に記憶されている制御用プログラムを読み出して実行し、各種演算処理を行う。
【0037】
RAM502は、CPU501に作業用のメモリー空間を提供し、一時データを記憶する。この一時データには、用紙反転装置5の各部の処理(例えば、用紙反転処理など)に係る各種の設定情報が含まれる。
【0038】
ROM503は、CPU501により実行される各種制御用のプログラムや設定データ等を格納する。なお、ROM503に代えてEEPROMやフラッシュメモリー等の書き換え可能な不揮発性メモリーが用いられてもよい。
【0039】
これらのCPU501、RAM502、及びROM503を備える制御部50は、上述の各種制御用プログラムに従って用紙反転装置5の各部を統括制御する。例えば、制御部50は、RAM502に記憶された設定情報に基づいて、用紙反転部20により用紙の表裏を反転する用紙反転処理を行わせる。
【0040】
インターフェース51は、通信部として、画像形成装置3との間でデータの送受信を行う手段であり、例えば各種シリアルインターフェースのいずれかにより構成される。
【0041】
搬送部52は、用紙を挟持した状態で回転することで用紙を搬送する複数の搬送ローラー対を備え、主搬送経路R1に沿って用紙を搬送する。
各搬送ローラー対は、圧接された一対のローラーであって、電動モーターを主体とする駆動機構を通じて少なくとも一方のローラーが回転駆動することにより、用紙を挟持した状態で回転することで、用紙を搬送する。
なお、以下の説明において、主搬送経路R1から用紙反転部20の反転経路R2(後述)に用紙を受け渡す位置に配された搬送ローラー対を、上流側ローラー対21とする(
図3参照)。
また、用紙反転部20の反転経路R2から主搬送経路R1に送り出された用紙を受け取る位置に配された搬送ローラー対を、下流側ローラー対22とする(
図3参照)。
【0042】
加湿部53は、用紙に水を付与して加湿する加湿処理を行う機構である。
加湿部53は、鉛直方向に並ぶように配置された加湿ローラー対53a,53bを備え、主搬送経路R1に沿って水平方向に搬送される用紙を挟持搬送する際に用紙に水を付与する。
例えば、転写電圧の印加や搬送時に生じる静電気等により電荷を帯びた用紙に対して、加湿部53により加湿処理を行うことで、用紙の浮き上がりや張り付きなどの現象の発生を防止することができる。
なお、加湿部53による加湿処理を行うことなく、用紙を搬送することも可能であるのは勿論である。
【0043】
デカーラ部54は、加湿部53の搬送方向下流側において主搬送経路R1から下方に分岐し、用紙反転部20の搬送方向下流側において主搬送経路R1に合流する湾曲経路54aを有する。デカーラ部54は、かかる湾曲経路54aに沿って用紙を搬送することにより、搬送や定着加熱などによってカールしてしまった用紙の姿勢を補正する。
【0044】
パージ部55は、反転経路R2に連結されるサブ排紙経路55aと、サブ排紙経路55aにより搬送されてきた用紙を積載可能な、用紙反転装置5の外側に突出するサブ排紙トレイ55bと、を備える。
パージ部55は、例えばジャムなどの誤作動が起こった場合に用いられ、反転経路R2を介してサブ排紙経路55aに用紙を搬送し、サブ排紙トレイ55b上にこれを貯えることを可能とする。
【0045】
用紙反転部20は、主搬送経路R1に沿って水平方向に搬送される用紙の表裏を反転させる機構である。
本実施の形態では、用紙反転部20は、
図1に示すように、主搬送経路R1において湾曲経路54aへの分岐点より搬送方向下流側に設けられている。
【0046】
図3は、用紙反転部20の構成を示す模式図である。
図3に示すように、用紙反転部20は、例えば、主搬送経路R1から分岐して、鉛直方向の上方に延在する反転経路R2を備えている。
用紙反転部20により用紙を反転させる場合には、切替ゲートG1により、主搬送経路R1を搬送される用紙の搬送先が反転経路R2に切り替えられ、用紙が反転経路R2に導入されることとなる。
【0047】
反転経路R2は、用紙をガイドするガイド部材を備え、用紙はガイド部材にて形成される間隙内を進行する。
反転経路R2は、鉛直方向の上方に直線状に延在する直線部R21と、装置の内部上面近傍において画像形成装置3側に向かって湾曲する湾曲部R22と、装置の内部上面に沿って水平方向に延在する水平部R23と、を有する。
また、湾曲部R22には、パージ部55のサブ排紙経路55aが連結され、反転経路R2の直線部R21を搬送されてきた用紙の搬送先を、必要に応じて、サブ排紙経路55aに切り替えることができるようになっている。例えばジャムなどの誤作動が起こった場合には、反転経路R2の直線部R21を介してサブ排紙経路55aに用紙を搬送し、サブ排紙トレイ55b上にこれを排出することが可能となる。
また、反転経路R2には、所定間隔ごとに正逆回転可能な複数の反転ローラー対23が配されている。なお、以下の説明において、複数の反転ローラー対23を、主搬送経路R1に近いものから順に、反転ローラー対23a,23b,23c・・・と呼ぶことがある。
【0048】
各反転ローラー対23は、圧接された一対のローラーであり、電動モーターを主体とする駆動機構24(
図2参照)を通じて少なくとも一方のローラーが回転駆動することにより、用紙を挟持した状態で回転することで用紙を搬送する。
反転ローラー対23の配置される間隔は、通紙される最少サイズの用紙の搬送方向の長さより狭くなるように設定されている。
また、各反転ローラー対23は、ニップ部を形成する圧接状態と、所定の間隙を形成する離間状態とで切り替えることができように構成されている。
かかる反転ローラー対23は、制御部50により制御され、正回転(
図3の矢印A方向の回転)して主搬送経路R1から導入された用紙を反転経路R2の所定位置まで搬送した後、逆回転(
図3の矢印Aと逆方向の回転)に切り替えられて用紙の搬送方向を逆転させ、当該用紙を反転経路R2から主搬送経路R1に送り出す。これにより、用紙がスイッチバックされて用紙の表裏が反転される。
【0049】
[用紙反転装置の動作]
次に、上記構成を有する画像形成システム1の用紙反転装置5において行われる用紙反転処理について説明する。
図4は、用紙反転処理における用紙反転部20の動作を示すフローチャートである。
また、
図5(a)〜
図5(e)は、用紙反転部20の動作を説明するための図である。
【0050】
まず、制御部50は、事前に取得したジョブ情報に基づき、用紙反転処理を行う場合、切替ゲートG1を駆動させ、上流側ローラー対21により、1枚目の用紙(第1の用紙、以下「用紙P1」という)を主搬送経路R1から反転経路R2に導入する(ステップS101:
図5(a)参照)。
【0051】
次いで、制御部50は、反転経路R2において、反転ローラー対23を正回転させて用紙P1を搬送させ、用紙P1の搬送方向後端が、反転経路R2の所定位置に到達したか否かを判断する(ステップS102)。
ここで、所定位置とは、用紙P1がスイッチバック可能となる、予め設定された位置である。例えば、反転経路R2にセンサー等を設け、その出力信号により用紙P1が所定位置に到達したか否かを判断することができる。
【0052】
そして、用紙P1の搬送方向後端が所定位置に到達していない場合(ステップS102:NO)、このステップS102の処理を繰り返す。
一方、用紙P1の搬送方向後端が所定位置に到達した場合(ステップS102:YES)、制御部50は、反転ローラー対23を逆回転させ、用紙P1の搬送方向を逆転させる(ステップS103:
図5(b)参照)。
【0053】
次いで、制御部50は、用紙P1の搬送方向先端が下流側ローラー対22に到達したか否かを判断し(ステップS104)、到達していない場合(ステップS104:NO)、このステップS104の処理を繰り返す。
一方、用紙P1の搬送方向先端が下流側ローラー対22に到達した場合(ステップS104:YES)、制御部50は、反転ローラー対23の回転駆動を停止させる(ステップS105)。
なお、このとき用紙P1は既に下流側ローラー対22に到達しているため、下流側ローラー対22により、主搬送経路R1の下流側へと搬送されていく。
【0054】
次いで、制御部50は、搬送中の用紙P1が、用紙反転処理を行う最後の用紙であるか否かを判断し(ステップS106)、最後の用紙である場合(ステップS106:YES)、本処理を終了する。
【0055】
一方、最後の用紙でない場合(ステップS106:NO)、制御部50は、用紙P1の搬送方向の長さに応じた数の反転ローラー対23を、主搬送経路R1に近いものから順に離間させる(ステップS107:
図5(c)参照)。
具体的に、制御部50は、用紙P1の搬送方向先端が下流側ローラー対22に達した時点で、当該用紙P1を挟持した状態となる反転ローラー対23を離間させる。
例えば、用紙P1の搬送方向の長さが、下流側ローラー対22から反転ローラー対23aまでの距離(L1)と、反転ローラー対23aから反転ローラー対23bまでの距離(L2)と、を合わせた長さより短い場合、反転ローラー対23aのみが離間される。
また、用紙P1の搬送方向の長さが、L1とL2とを合わせた長さより長く、且つ、L1とL2に、さらに反転ローラー対23bから反転ローラー対23cまでの距離(L3)を合わせた長さより短い場合、反転ローラー対23aと反転ローラー対23bが離間される。
なお、用紙P1の搬送方向の長さが、L1より短い場合には、反転ローラー対23の離間は行われない。
【0056】
次いで、制御部50は、上流側ローラー対21により、2枚目の用紙(第2の用紙、以下「用紙P2」という)を主搬送経路R1から反転経路R2に導入する(ステップS108:
図5(c)参照)。
このとき、制御部50は、後述のステップS110のタイミング(離間した反転ローラー対23を圧着させるタイミング)で、用紙P2の搬送方向先端が、反転ローラー対23aのニップ部に到達するように用紙P2の搬送速度を調整する。
これにより、用紙P1が完全に反転経路R2から抜けきる前に、後続の用紙P2が反転経路R2内に進入し、用紙P1と用紙P2とが反転経路R2(直線部R21)にてすれ違うようになる。
【0057】
次いで、制御部50は、用紙P1の搬送方向後端が反転ローラー対23aのニップ部に対応する位置を通過したか否かを判断し(ステップS109)、通過していない場合には(ステップS109:NO)、このステップS109の処理を繰り返す。
【0058】
一方、通過した場合(ステップS109:YES)、制御部50は、離間した反転ローラー対23を圧着させ、正回転を開始させ(ステップS110:
図5(d)参照)、上記ステップS102に移行する。なお、複数の反転ローラー対23を離間していた場合、その離間した全ての反転ローラー対23を同時に圧着させる。
このとき、上述したように、用紙P2の搬送方向先端は、離間した反転ローラー対23を圧着させるタイミングで、反転ローラー対23aのニップ部に到達するようになっている。このため、用紙P2は、反転ローラー対23aにより反転経路R2を搬送されることとなる(
図5(e)参照)。
【0059】
なお、ステップS110のタイミングで、用紙P2の搬送方向先端がどの位置に達するかは、各ローラー間の距離などの条件に応じて、搬送安定性に影響がでない範囲で適宜設定可能である。上記の例以外にも、例えば、ステップS110のタイミングで、用紙P2の搬送方向先端が、反転ローラー対23aと反転ローラー対23bの間となる位置に達する制御等を行っても良い。
【0060】
以上のように、本実施の形態によれば、用紙を搬送する主搬送経路R1と、主搬送経路R1から分岐し、正逆回転可能な複数の反転ローラー対23を有する反転経路R2と、反転ローラー対23を正回転させ、主搬送経路R1から導入された用紙を反転経路R2の所定位置まで搬送した後、反転ローラー対23を逆回転させ、当該用紙を反転経路R2から主搬送経路R1に送り出す制御部50と、を備え、主搬送経路R1には、反転経路R2に用紙を受け渡す上流側ローラー対21と、反転経路R2から送り出された用紙を受け取る下流側ローラー対22と、が配置され、制御部50は、反転経路R2から主搬送経路R1に送り出される用紙P1の搬送方向先端が下流側ローラー対22に達してから、用紙P1の搬送方向後端が主搬送経路R1に最も近い反転ローラー対23aに達するより前の所定タイミングで、複数の反転ローラー対23のうち少なくとも反転ローラー対23aを離間させ、上流側ローラー対21により後続の用紙P2を反転経路R2に導入する。
このため、反転ローラー対23が離間することで、反転経路R2から送り出される用紙P1とすれ違うようにして、後続の用紙P2を反転経路R2に導入させることができる。
よって、用紙反転処理における生産性を向上させることができる。
【0061】
また、本実施の形態によれば、制御部50は、前記所定タイミングで、用紙P1の搬送方向の長さに応じた数の反転ローラー対23を、主搬送経路R1に近いものから順に離間させる。
具体的に、制御部50は、用紙P1の搬送方向先端が下流側ローラー対22に達した時点で、当該用紙P1を挟持した状態となる反転ローラー対23を離間させる。
このため、用紙P1の搬送方向の長さに応じ、適切な反転ローラー対23が離間されることとなる。
【0062】
また、本実施の形態によれば、制御部50は、用紙P1の搬送方向後端が、反転ローラー対23aのニップ部に対応する位置を通過した時点で、離間している反転ローラー対23を圧着させて正回転を開始させる。
このため、離間している反転ローラー対23を、迅速に、後続の用紙P2の搬送動作に復帰させることができる。
【0063】
なお、上記実施の形態で示した構成や制御などの具体的な細部は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0064】
例えば、上記実施の形態では、用紙P1の搬送方向後端が所定位置に到達した時点で、反転ローラー対23の回転駆動を停止し、反転ローラー対23の離間を実行することとしたが、用紙P1の搬送方向先端が下流側ローラー対22に達してから、用紙P1の搬送方向後端が反転ローラー対23aに達するより前であれば、反転ローラー対23の回転駆動を停止し、反転ローラー対23の離間を実行するタイミングは、任意に設定可能である。
例えば、下流側ローラー対22から用紙P1の搬送方向後端までの残りの長さが所定値以下になった時点で、反転ローラー対23の回転駆動を停止し、反転ローラー対23の離間を実行することとしても良い。
【0065】
また、上記実施の形態においては、ステップS109、S110において、複数の反転ローラー対23が離間していた場合、全てを一度に圧着させる制御を例示して説明したが、先行する用紙P1の搬送方向後端がニップ部に対応する位置を通過したローラーから順次圧着させ、順次正方向の回転を開始させる構成としてもよい。
【0066】
また、搬送方向の長さ(全長)が所定値以下の用紙に対しては、反転ローラー対23の離間を行わないとする設定をしても良い。
即ち、用紙の搬送方向の長さが所定値を超えている場合、少なくとも反転ローラー対23aを離間させるが、用紙の搬送方向の長さが所定値以下の場合、反転ローラー対23(反転ローラー対23aを含む)の離間を行わない。
このようにすることで、用紙P1の搬送方向の長さが所定値以下であって、反転ローラー対23が離間してから圧着までの時間が短くなる場合には、生産性に大きな影響がでないため、反転ローラー対23の離間が行われないこととなる。よって、効率のよい制御が可能となる。
【0067】
また、用紙の搬送方向の長さに応じて、パージ部55を用紙反転処理に用いることとしても良い。
例えば、反転させる用紙の搬送方向の長さが1000mmを超えるいわゆる長尺紙のような用紙であった場合、水平部R23の代わりにサブ排紙経路55aに搬送方向を切り替えて、サブ排紙トレイ55b上に一時排出させる構成とすることができる。
このような構成とすることで、搬送方向の長さの長い用紙に対しても用紙反転処理を行うことができる。
【0068】
また、用紙反転部2の反転経路R2が、主搬送経路R1の鉛直方向下方に延びる構成であっても良い。
また、用紙反転装置5としては、加湿部53、デカーラ部54及びパージ部55のうちいずれか又は全部を備えない構成であっても良いのは勿論である。