(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記長鎖アルキル単官能モノマーに由来する構成物が、前記表面層の全体の体積(100体積部)に対して、5〜20体積部の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の中間転写体。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の中間転写体は、電子写真方式の画像形成装置に用いる中間転写体であって、少なくとも基材層と、表面層とを有し、前記表面層が、多官能モノマーと、長鎖アルキルを有する単官能モノマーとが重合してなる重合体を含有し、かつ、前記多官能モノマー(M1)の溶解度パラメーター(SP(M1))と、前記長鎖アルキル単官能モノマー(M2)の溶解度パラメーター(SP(M2))が、以下の式(A)及び式(B)を満たすことを特徴とする。
SP(M1)−SP(M2)<2.0(cal/cm
3)
1/2・・・式(A)
8.0≦SP(M2)≦9.0(cal/cm
3)
1/2・・・式(B)
【0021】
本発明の実施態様としては、前記長鎖アルキル単官能モノマーが、炭素が6以上連結した長鎖アルキル単官能モノマーであることが、撥水性が良好となる点で好ましく、また、前記長鎖アルキル単官能モノマーが、炭素が12以上連結した長鎖アルキル単官能モノマーであることが、より好ましい。
また、前記多官能モノマーが、上記一般式(1)で表される構造を有することが、長鎖アルキル基が重合後のポリマー骨格の外側に配向しやすく、高い離型性効果を得ることができる点で好ましい。
また、前記Xが、オキシプロピレン鎖又はアルキレンオキサイド鎖のいずれかの骨格を有することが、前記HH環境におけるクリーニングブレードのめくれを防止できる点で好ましい。
【0022】
また、前記多官能モノマーが、5個以上の官能基を有することが、耐摩耗性が良好となり耐傷に対する耐性がある点で好ましい。
また、前記表面層が、アクリロイル基又はメタクリロイル基を有するモノマーが重合してなる重合体を含有することが、重合反応速度が速く生産性が良好となる点で好ましい。
また、前記長鎖アルキル単官能モノマーに由来する構成物が、前記表面層の全体の体積(100体積部)に対して、5〜20体積部の範囲内であることが、離型性効果に優れ、良好なクリーニング性が得られる点で好ましい。
【0023】
本発明の中間転写体の製造方法は、前記表面層を構成する固形成分全体の体積(100体積部)に対して、5〜20体積部の範囲内の長鎖アルキル単官能モノマーを含有させた表面層形成用塗布液を用いることが、離型性効果に優れ、良好なクリーニング性が得られる点で好ましい。
本発明の中間転写体は、画像形成装置に好適に用いられる。
【0024】
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含み意味で使用する。
【0025】
[中間転写体]
中間転写体は、静電潜像担体(感光体)に担持されたトナー画像を一次転写した後、一次転写したトナー画像を記録媒体へ二次転写するものであり、画像形成装置に組み込まれる。
【0026】
中間転写体は、基材層と、表面層とを有する。また、中間転写体において基材層は内側に位置し、表面層は外側に位置する。
なお、基材層と表面層との間に弾性体で構成される弾性層を有していてもよい。弾性層は、公知の構成のものを使用できる。
中間転写体は、無端ベルト状の形状である。ここで、「無端ベルト状の形状」とは、例えば、概念的(幾何学的)には一枚の長尺のシート状物の両端部を繋ぎ合わせて形成されるようなループ状の形状を意味する。中間転写体の実際の形状としては、シームレスのベルト状又は円筒状の形状とすることが好ましい。
【0027】
<基材層>
基材層は、樹脂製であり、中間転写体の使用温度の範囲内において、変性及び変形を生じない樹脂から適宜選択できる。使用される樹脂の例には、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド、ポリフッ化ビニリデン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアルキレンテレフタレート(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなど)、ポリエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体、ポリアミドなどが含まれる。
樹脂は、耐熱性及び強度の観点から、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド及びポリアルキレンテレフタレートを含むことが好ましく、ポリフェニレンサルファイド又はポリイミドを含むことがさらに好ましい。
ポリイミドは、ポリイミドの前駆体であるポリアミック酸の加熱により得ることができる。また、ポリアミック酸は、テトラカルボン酸二無水物や、その誘導体及びジアミンのほぼ等モル混合物を有機極性溶媒に溶解させ、溶液状態で反応させることにより得ることができる。なお、基材層にポリイミド系樹脂を使用する場合、基材層におけるポリイミド系樹脂の含有率は、51質量%以上であることが好ましい。
【0028】
また、基材層は、電気抵抗値(体積抵抗率)が10
5〜10
11Ω・cmの範囲内であることが好ましい。基材層の電気抵抗値を所定の範囲内にするためには、基材層は、例えば導電性物質を含有すればよい。
導電性物質の例として、カーボンブラックなどが含まれる。カーボンブラックとしては、中性又は酸性カーボンブラックを使用できる。導電性物質は、導電性物質の種類によっても異なるが、中間転写体の体積抵抗値及び表面抵抗値が所定の範囲になるように添加すればよい。通常、樹脂100質量部に対して10〜20質量部の範囲内で添加すればよく、好ましくは樹脂100質量部に対して10〜16質量部の範囲内で添加すればよい。
【0029】
また、基材層の厚さは、50〜200μmの範囲内であることが好ましい。さらに基材層は、公知の各種添加剤を添加してもよい。添加剤の例には、ナイロンコンパウンドなどの分散剤が含まれる。
【0030】
基材層は、従来公知の一般的な方法により製造できる。例えば、基材層は、材料となる耐熱性樹脂を押出機により溶融し、環状ダイを使用したインフレーション法により筒状に成形した後、輪切りにすることで環状(無端ベルト状)に製造できる。
【0031】
<表面層>
表面層は、多官能モノマーと、長鎖アルキルを有する単官能モノマーとが重合してなる重合体を含有し、かつ、前記多官能モノマー(M1)の溶解度パラメーター(SP(M1))と、前記長鎖アルキル単官能モノマー(M2)の溶解度パラメーター(SP(M2))が、以下の式(A)及び式(B)を満たすことを特徴とする。
SP(M1)−SP(M2)<2.0(cal/cm
3)
1/2・・・式(A)
8.0≦SP(M2)≦9.0(cal/cm
3)
1/2・・・式(B)
【0032】
好ましくは、以下の式(C)及び式(D)を満たす。
1.0<SP(M1)−SP(M2)<1.9(cal/cm
3)
1/2・・・式(C)
8.5≦SP(M2)≦8.9(cal/cm
3)
1/2・・・式(D)
【0033】
本発明において、溶解度パラメーター(SP値)は、Fedorsにより計算を行ったものである。参考にした文献は下記のものである。
参考文献:「コーティングの基礎科学」 著:原崎 勇次 出版:槇書店 p54-p57
【数1】
【0034】
上記式において、ΔEとVは、凝視集エネルギー密度とモル体積、Δe
iとΔv
iは、原子又は原子団の蒸発エネルギーとモル体積を表した記号である。
SP値は、上記書物内におけるΔe
iとΔv
iの値から算出した値(δ)である。なお、上記式より算出されたSP値の単位は、(cal/cm
3)
1/2である。
【0035】
(長鎖アルキル単官能モノマー)
長鎖アルキル単官能モノマーとは、疎水性である長鎖アルキル基と、官能基(反応性基)とを有する。長鎖アルキル単官能モノマーは、炭素が6個以上連続に連結したアルキル単官能モノマーであることが、撥水性が良好となる点で好ましく、さらに好ましくは12個以上連続に連結したアルキル単官能モノマーであることがより好ましい。炭素数の上限値としては、25以下であることが、入手しやすく、溶解性に優れる点で好ましい。
長鎖アルキル単官能モノマーは、分岐した構造をとっても良いが、炭素の連結数は、分子内で最長に連続した炭素鎖の連結炭素数として計算する。例えば、長鎖アルキル部位がエチルヘキシルの場合、長鎖アルキル部位の炭素数は8であるが、連続した炭素数は、炭素が6個連続に連結したアルキル単官能モノマーとして算出する。
なお、「連続に連結した」とは、炭素と炭素の結合の連続のことで、間に他の元素が入ってはならない。
【0036】
長鎖アルキル単官能モノマーに由来する構成物(成分)の添加量は、表面層の全体の体積(100体積部)に対して、1〜30体積部の範囲内が好ましく、特に、5〜20体積部の範囲内が好ましい。1〜30体積部の範囲内であれば、離型性効果に優れ、良好なクリーニング性が得られる。
【0037】
本発明において、表面層を構成する成分の分析方法は、一般的に用いられる方法を用いることができる。モノマーの組成比の分析方法としては、固体NMRや、成形物を加水分解後にNMRやGC−MSやLC−MSなどを用いて構造同定し、モル分率を求める手法を用いることができる。
また、各成分の体積割合の算出方法としては、上記のようにしてモル分率を求めた後に、比重をかけることで算出することができる。比重はメーカー値などの一般的な値を求めてもよい。また、表面層に、後述する金属酸化物微粒子を加えた場合は、元素分析により構造を推定することができる。
本発明において、表面層を構成する各成分の比重を、長鎖アルキル単官能モノマーが0.9、多官能モノマーが1.1、金属酸化物微粒子としてチタニアが3.7、シリカが2.2として換算することができる。
【0038】
長鎖アルキル基の例には、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−オクチル、n−ノニル、n−デカニル、ラウリル、ミリスチル、パルミチル、セチル、ステアリル、ベヘニル、2−エチルヘキシル、イソオクチル、イソノニル、イソデカニル、イソラウリル、イソミリスチル、イソパルミチル、イソセチル、イソステアリル、2−デシルテトラデカニルなどが挙げられる。
【0039】
(多官能モノマー)
多官能モノマーは、2官能以上の官能基を有したモノマーである。
多官能モノマーは、モノマーの主成分とならなければならない。主成分とは、モノマーの体積割合で50%以上存在してなる。
多官能モノマーは混合して用いてもよい。その場合、多官能モノマーのSP値は、体積割合に基づいて平均した値として算出する。
【0040】
多官能モノマーは、下記一般式(1)で表される構造を有することを特徴とする。
一般式(1):A−[(X)−M]
m(M)
n
[式中、Aは、2官能以上のモノマーを表す。Xは、平均3以上の原子が連結した鎖状骨格を有する連結基を表し、前記原子のうち少なくとも一つは、炭素、窒素又は酸素原子である。Mは、光重合性の官能基を表す。m及びnは、官能基の数を表し、1以上の整数であり、m+nは、2〜6の整数である。]
【0041】
上記一般式(1)中、Aは、2官能以上のモノマーを表す。
Aの構造は特に限定されず、Aの例としては、ビスフェノールA、シクロデカン、ネオペンチル、トリメチロールプロパン、グリセリン、イソシアヌレート、ペンタテリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。
また、下記A1〜A9の構造が挙げられる。
【0043】
Xは、一般的にEO変性などの主骨格から変性された部位であり、平均3以上の原子が連結した鎖状骨格を有する連結基を表し、前記原子のうち少なくとも一つは、炭素、窒素又は酸素原子である。
ここで、「平均3以上の原子」とは、炭素、窒素又は酸素原子で構成された結合の原子の数が3以上であることをいう。また、Xが、分岐構造の場合は、主鎖の原子の数が3以上であることをいう。例えば、オキシプロピレンは、原子の数が四つであるが、本発明の場合は原子の数が三つとして算出する。
また、多官能モノマーのXが複数混在する場合は、官能基当たりの平均数として、原子の連結数を算出する。
【0044】
また、Xは、オキシプロピレン鎖、アルキレンオキサイド鎖又はオキシエチレン鎖であることが好ましく、特に、オキシプロピレン鎖又はアルキレンオキサイド鎖であることが、HH環境でのクリーニングブレードのめくれ防止の点で好ましい。
Xの具体的構造を下記に示す。
【0046】
Mは、光重合性の官能基であれば、特に限定されない。
光重合性官能基の例としては、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、アリル基、エポキシ基、ビニルエーテル基などが挙げられる。硬化反応速度の観点で、(メタ)アクリロイル基が特に好ましい。
ここで、「(メタ)アクリロイル基」とは、アクリロイル基又はメタクリロイル基を意味する。
【0048】
m及びnは、官能基の数を表し、1以上の整数である。
m+nは、2〜6の整数であり、好ましくは、5〜6の整数である。
【0049】
本発明に係る多官能モノマーは、5個以上の官能基を有することが、耐摩耗性が良好となり、耐傷に対する耐性がある点で好ましい。
【0050】
また、本発明に係る表面層は、アクリロイル基又はメタクリロイル基を有するモノマーが重合してなる重合体を含有することが、重合反応速度が速く生産性が良好となる点で好ましい。すなわち、長鎖アルキル単官能モノマー及び多官能モノマーの少なくとも一方が、アクリロイル基又はメタクリロイル基を有することが好ましい。
【0051】
(金属酸化物微粒子)
本発明に係る表面層は、未処理の金属酸化物微粒子(以下、「未処理金属酸化物微粒子」ともいう。)を、所定の表面修飾剤によって表面修飾が施された金属酸化物微粒子を含有することが、耐摩耗性の点で好ましい。
【0052】
未処理金属酸化物微粒子は、遷移金属も含めた金属の酸化物であればよく、例えば、シリカ(酸化ケイ素)、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化鉛、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化タンタル、酸化インジウム、酸化ビスマス、酸化イットリウム、酸化コバルト、酸化銅、酸化マンガン、酸化セレン、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化ゲルマニウム、酸化スズ、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化モリブデン、酸化バナジウムなどが挙げられる。
未処理金属酸化物微粒子は、強靱性付与及び耐久性付与の観点から、酸化チタン、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化亜鉛又は酸化スズであることが好ましく、酸化アルミニウム(アルミナ)又は酸化スズであることがさらに好ましい。
【0053】
未処理金属酸化物微粒子は、気相法、塩素法、硫酸法、プラズマ法、電解法などの一般的な製造方法で作製されたものを用いることができる。
【0054】
未処理金属酸化物微粒子の数平均一次粒径は、1〜300nmの範囲内であることが好ましく、3〜100nmの範囲内であることがより好ましい。数平均一次粒径が1nm以上の場合、耐摩耗性が十分となり、数平均一次粒径が300nm以下の場合、分散性が良好となり、塗布液中で沈降しにくい。また、粒子が表面層の光硬化を阻害することなく、耐摩耗性が良好となる。
【0055】
未処理金属酸化物微粒子の数平均一次粒径は、走査型電子顕微鏡(日本電子製)により10000倍の拡大写真を撮影し、ランダムに300個の粒子をスキャナーにより取り込んだ写真画像(凝集粒子は除いた)を自動画像処理解析装置(商品名:「LUZEX AP」、(株)ニレコ製)ソフトウェアバージョン Ver.1.32を使用して数平均一次粒径を算出した値とする。
【0056】
本発明に係る表面修飾された金属酸化物微粒子を作製するための表面修飾剤は、特に限定されるものではなく、Siを含有することが好ましい。表面修飾量は、表面修飾後の金属酸化物微粒子を550℃で3時間熱処理し、その強熱残分を蛍光X線にて定量分析し、Si量から分子量換算で求められる。
【0057】
表面修飾は、湿式メディア分散型装置を用いることができる。湿式メディア分散型装置とは、容器内にメディアとしてビーズを充填し、さらに回転軸と垂直に取り付けられた撹拌ディスクを高速回転させることにより、金属酸化物微粒子の凝集粒子を砕いて粉砕・分散する工程を実行できる装置であり、その構成としては、未処理金属酸化物微粒子に表面修飾を行う際に未処理金属酸化物微粒子を十分に分散させ、かつ、表面修飾できる形式であれば特に問題はなく、例えば、縦型・横型、連続式・回分式など、種々の様式が採用できる。具体的にはサンドミル、ウルトラビスコミル、パールミル、グレンミル、ダイノミル、アジテータミル、ダイナミックミルなどが使用できる。これらの分散型装置は、ボール、ビーズなどの粉砕媒体(メディア)を使用して衝撃圧壊、摩擦、剪断、ズリ応力などにより微粉砕、分散が行われる。分散型装置で用いるビーズとしては、ガラス、アルミナ、ジルコン、ジルコニア、スチール、フリント石などを原材料としたボールが使用可能であるが、特にジルコニア製やジルコン製のものが好ましい。また、ビーズの大きさとしては、通常、直径1〜2mm程度のものを使用するが、本実施形態では0.3〜1.0mm程度のものを用いることが好ましい。
【0058】
湿式メディア分散型装置に使用するディスクや容器内壁には、ステンレス製、ナイロン製、セラミック製など種々の素材のものが使用できるが、本実施形態では特にジルコニア又はシリコンカーバイドといったセラミック製の素材を採用することが好ましい。
【0059】
以上のような湿式処理により、前記表面修飾された金属酸化物微粒子を得ることができる。
【0060】
以上のような表面修飾が施された金属酸化物微粒子は、長鎖アルキル単官能モノマー及び多官能モノマーを重合してなる重合体100体積部に対して5〜40体積部の範囲内で含有されることが好ましく、10〜30体積部の範囲内であることがより好ましい。金属酸化物微粒子の含有量が5〜40体積部の範囲内であれば、中間転写体の硬度が低くなって、転写性及び耐久性が低くなるおそれもない。また、表面層が脆く割れやすくなったり、製造時における塗布ムラが生じてしまうおそれもない。
【0061】
本発明に係る表面層は、他の添加剤をさらに含有していてもよい。添加剤は、例えば、硬化性組成物に添加することによって、表面層に適宜に添加される。当該他の添加物は、硬化性組成物に、表面層の製造に適当な物性を付与するために添加されてもよい。
当該他の添加剤の例には、重合開始剤、有機溶剤、光安定剤、紫外線吸収剤、触媒、着色剤、帯電防止剤、滑剤、レベリング剤、消泡剤、重合促進剤、酸化防止剤、難燃剤、赤外線吸収剤、界面活性剤及び表面改質剤などが含まれる。
【0062】
本発明の中間転写体は、例えば、上述した、長鎖アルキル単官能モノマー及び多官能モノマーを重合してなる重合体と、必要に応じて金属酸化物微粒子や前記添加物を含む表面層形成用塗布液を、前記基材層上に塗布し、所定の光量となるように活性エネルギー線を照射することにより製造することができる。
表面層形成用塗布液には、表面層を構成する固形成分全体の体積(100体積部)に対して、5〜20体積部の範囲内の長鎖アルキル単官能モノマーを含有させることが好ましい。
【0063】
[画像形成装置]
本発明の画像形成装置は、前述した本発明の中間転写体を有していれば、その他の構成は公知の構成を特に制限することなく採用できる。
【0064】
図1は、本発明の画像形成装置の一例を示す模式図である。
図1に示されるように、画像形成装置1は、公知の電子写真方式により記録媒体上に画像を形成するものであり、画像形成部10と、中間転写ユニット20と、用紙搬送部30と、定着装置40と、制御部45とを有し、ネットワーク(例えば、LAN)を介して外部の端末装置(不図示)から受け付けたプリントジョブに基づいて、カラー及びモノクロのプリントを選択的に実行する。
【0065】
画像形成部10は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の現像色に対応した画像形成ユニット10Y〜10Kを有する。画像形成ユニット10Yは、静電潜像担体である感光体ドラム11と、その周囲に配された帯電装置12と、露光装置13と、現像装置14と、一次転写ローラー15と、感光体クリーニング装置16と、ベルトクリーニング装置26と、二次転写ローラー22とを有する。
【0066】
感光体ドラム11は、例えば負帯電型の有機感光体であり、矢印Aで示す方向に回転する。帯電装置12は、感光体ドラム11の周面を帯電させる。帯電装置12は、例えばコロナ帯電器である。帯電装置12は、帯電ローラーや帯電ブラシ、帯電ブレードなどの接触帯電部材を感光体ドラム11に接触させて帯電させる接触帯電装置であってもよい。露光装置13は、例えば、光源としての半導体レーザーと、形成すべき画像に応じたレーザー光を感光体ドラム11に向けて照射する光偏向装置(ポリゴンモーター)とを含む。
【0067】
現像装置14は、内部にトナーを含む現像剤が収容され、感光体ドラム11上の静電潜像をトナーで現像し、これにより感光体ドラム11上にトナー画像が作像される。すなわち、これにより静電潜像担体にトナー画像が担持される。ここで、「トナー画像」とは、トナーが画像状に集合した状態をいう。
【0068】
トナーは、公知のトナーを用いることができる。トナーは、一成分現像剤であってもよいし、二成分現像剤であってもよい。一成分現像剤は、トナー粒子から構成される。また、二成分現像剤は、トナー粒子及びキャリア粒子から構成される。トナー粒子は、トナー母体粒子及びその表面に付着したシリカ、潤滑剤などの外添剤から構成される。トナー母体粒子は、例えば、結着樹脂、着色剤及びワックスから構成される。
【0069】
潤滑剤の種類は、特に限定されない。潤滑剤の種類の例には、ステアリン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ベヘン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウムなどの金属石鹸類や、各種脂肪酸、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、炭素数18〜70の脂肪族アルコール類、ポリエチレン類、各種ワックス類、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、層状結晶構造を有する各種の無機材料(窒化ホウ素、メラミンシアヌレート、二硫化モリブデン、フッ化黒鉛、マイカなど)など、公知の種類を用いることができる。
潤滑剤は、延展が容易な観点から、ステアリン酸塩の金属石鹸や、脂肪酸亜鉛塩が望ましく、特にステアリン酸亜鉛が好ましい。また、潤滑剤の粒子径も特に限定されないが、小径であるほど単位面積あたりの供給粒子数を増やすことができ、延展効率を高くして、動摩擦力の減少効果を発揮しやすい観点から、平均粒子径10μm以下であることが好ましい。
【0070】
中間転写ユニット20は、駆動ローラー24と従動ローラー25に張架されて矢印方向に循環走行される中間転写体21を有する。中間転写体21は、シームレスベルト形状(すなわち無端ベルト状の形状)であって、設計で決まる所望の周長になるように樹脂材料を射出成型又は遠心成型した円筒状のものである。
【0071】
ベルトクリーニング装置26は、クリーニング部材(クリーニングブレード)26aを有する。二次転写ローラー22は、従動ローラー25とともに駆動して、中間転写体21に一次転写されたトナー画像を記録媒体に二次転写する。
【0072】
なお、カラーのプリント(カラーモード)を実行する場合には、画像形成ユニット10M〜10K毎に、対応する色のトナー画像が感光体ドラム11上に作像され、その作像されたトナー画像それぞれが中間転写体21上に転写される。このY〜Kの各色の作像動作は、各色のトナー画像が、走行する中間転写体21の同じ位置に重ね合わせて転写されるように上流側から下流側に向けてタイミングをずらして実行される。
【0073】
用紙搬送部30は、上記の作像タイミングに合わせて、給紙カセットから記録媒体である用紙Sを1枚ずつ繰り出して、繰り出された用紙Sを搬送路31上を二次転写ローラー22に向けて搬送する。定着装置40は、加熱、加圧されることにより、その表面のトナーが用紙Sの表面に融着して定着された後、排紙ローラー32によって排紙トレイ33上に排出される。このようにして、記録媒体上にトナー画像に対応した画像が形成される。
【0074】
各色トナー画像が二次転写された後の用紙Sは、定着装置40まで搬送され、定着装置40において加熱、加圧されることにより、その表面のトナーが用紙Sの表面に融着して定着された後、排紙ローラー32によって排紙トレイ33上に排出される。このようにして、記録媒体上にトナー画像に対応した画像が形成される。
【0075】
なお、上記では、カラーモードを実行する場合の動作を説明したが、モノクロ、例えばブラック色のプリント(モノクロモード)を実行する場合には、ブラック色用の画像形成ユニット10Kだけが駆動され、上記と同様の動作によりブラック色に対する帯電、露光、現像、転写、定着の各工程を経て記録用紙Sにブラック色の画像形成(プリント)が実行される。
【0076】
制御部45は、ネットワークを介して外部の端末装置から受け付けたプリントジョブのデータに基づき各部を制御して円滑なプリント動作を実行させる。
【0077】
[画像形成方法]
本発明に係る画像形成方法は、感光体ドラム11に担持されているトナー画像を中間転写体21に転写する一次転写工程と、中間転写体21に担持されているトナー画像を記録媒体に転写する二次転写工程と、二次転写工程後に中間転写体21の表面にクリーニング部材26aを当接させて表面に残留する残留トナーを除去するクリーニング工程とを含み、かつ例えば、帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程及び定着工程を含む。また、画像形成方法は、平均粒子径が10μm以下の潤滑剤を中間転写体21に塗布する工程をさらに含んでいてもよい。
【0078】
本実施の形態に係る画像形成方法を実施するためには、前述した画像形成装置1と同様に構成した装置を用いることができる。
【0079】
帯電工程では、感光体ドラムを帯電装置などで帯電させる。感光体ドラムは、例えば、光導電性を有する負帯電型の有機感光体である。有機感光体は、例えば、導電性支持体と、電荷発生層と、電荷輸送層と、表面層とを有する。
【0080】
露光工程では、帯電した感光体ドラムに対して、露光装置などにより光を照射して、静電潜像を形成する。
【0081】
現像工程では、静電潜像が形成された感光体ドラムにトナーを供給して静電潜像に応じたトナー画像を形成する。現像工程は、例えば、電子写真方式の画像形成装置における公知の現像装置を用いて行うことができる。
【0082】
転写工程では、転写ユニットを用いて、感光体ドラム11上のトナー画像を記録媒体に転写する。本実施の形態では、転写工程は、一次転写工程と、二次転写工程とを有する。一次転写工程では、一次転写ローラー15を用いて、感光体ドラム11上のトナー画像を中間転写体21上に静電作用により転写させる。二次転写工程では、二次転写ローラーを用いて、中間転写体21上のトナー画像を記録媒体に転写させる。このように、本実施の形態に係る画像形成方法は、実質的に中間転写方式である。
【0083】
定着工程では、記録媒体に転写されたトナー画像が、公知の定着装置などによって、記録媒体に定着される。
【0084】
なお、一次転写後の感光体ドラム11に対して、感光体ドラム11に残留したトナーを除去するドラムクリーニング工程を行ってもよい。また、二次転写後の中間転写体21に対して、中間転写体21に残留したトナーを除去するベルトクリーニング工程を行ってもよい。ベルトクリーニング工程は、ベルトクリーニング部材(クリーニング部材)26aを有するベルトクリーニング装置26を用いて行われる。ベルトクリーニング装置26は、トナー画像を記録媒体に転写した後の中間転写体21の表面にクリーニング部材26aを当接させて表面に残留したトナー粒子をクリーニングする。残留したトナー粒子をクリーニングする方法の例には、押圧したクリーニングブレードを用いる方法、押圧した滑剤塗布の専用ブレードを用いる方法、押圧したブラシを用いる方法、押圧したゴムローラーを用いる方法、押圧したスポンジローラーを用いる方法、押圧した極薄(厚さ0.3mm以下)の金属板を用いる方法などが含まれる。残留したトナー粒子をクリーニングする方法は、必要な部品数を減らす観点から、クリーニングブレードを用いる方法が好ましい。
【0085】
また、潤滑剤を中間転写体に塗布する工程をさらに含んでいてもよい。潤滑剤を中間転写体21に塗布する工程は、潤滑剤を中間転写体21に塗布することができれば特に限定されない。固形の潤滑剤から潤滑剤をブラシなどによって削り取りながら、中間転写体21に直接塗布しても良いし、トナー粒子に潤滑剤が配合されたトナー粒子を用い、トナーによって中間転写体21に潤滑剤を供給してもよい。本実施の形態では、潤滑剤を中間転写体に塗布する工程は、トナー粒子に潤滑剤が配合されたトナー粒子を用い、トナーによって中間転写体に潤滑剤を供給する工程である。なお、いずれの塗布工程であっても、潤滑剤の平均粒子径は、10μm以下である。
【0086】
このように、本実施の形態では、前述した本発明の中間転写体21を用いているため、表面離型性に優れ、トナーのクリーニング性が向上し、かつ、長期的にクリーニング性を維持することができる。
【実施例】
【0087】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[中間転写体1の作製]
(1)基材層1の作製
ポリフェニレンサルファイド樹脂(商品名:「E2180」、東レ社製)100体積部、導電フィラー(商品名:「ファーネス#3030B」、三菱ケミカル社製)16体積部、グラフト共重合体(商品名:「モディパーA4400」、日油社製)1体積部、及び滑材(モンタン酸カルシウム)0.2体積部を単軸押出機に投入し、溶融混練させて樹脂混合物とした。
次いで、単軸押出機の先端にスリット状でシームレスベルト形状の吐出口を有する環状ダイスを取り付け、混練された上記樹脂混合物を、シームレスベルト形状に押し出した。そして、押し出されたシームレスベルト形状の樹脂混合物を、吐出先に設けた円筒状の冷却筒に外挿させて冷却して固化することにより、厚さ120μmでシームレス円筒状(無端ベルト状)の中間転写体用の基材層1を作製した。
【0088】
(2)表面層形成用塗布液1の調製
多官能モノマー(商品名:「KAYARD DPEA12」、日本化薬社製)を60体積部、長鎖アルキル単官能モノマー(商品名:「ブレンマーCA」、日油社製)を15体積部、金属酸化物微粒子(商品名:「AEROSIL R 7200」、日本アエロジル製、粒径:約12nm、表面処理:メタクリル処理)25体積部を、固形分濃度が10質量%となるように、溶剤であるMIBK(メチルイソブチルケトン)中に溶解、分散させ、前記希釈液100質量部に対して、1質量部の光重合開始剤(商品名:「Irgacure TPO」、BASF社製)を混合し、表面層形成用塗布液1を調製した。
なお、用いた多官能モノマーと、長鎖アルキル単官能モノマーのSP値差(SP(M1)−SP(M2))及びSP(M2)について、表Iに示した。
【0089】
(3)表面層1の形成
上記の基材層1の外周面上に、表面層形成用塗布液1を、塗布装置を使用して浸漬塗布方法によって下記の塗布条件で乾燥層厚が3.8μmとなるように塗布することによって塗膜を形成した。
引き続き、この塗膜に活性光線(活性エネルギー線)として紫外線を、下記の照射条件で照射することにより、塗膜を硬化して表面層を形成した。これにより、中間転写体1を得た。なお、紫外線の照射は、光源を固定し、基材層1の外周面上に塗膜が形成された前駆体を周速度60mm/sで回転しながら行った。
(塗布条件)
塗布液供給量:1L/min
(紫外線の照射条件)
光源の種類:365nm LED光源(商品名:「SPX−TA」、アイグラフィックス社製)
照射口から塗膜の表面までの距離:60mm
雰囲気:窒素
照射光量:1.4J/cm
2
照射時間(前駆体を回転させている時間):240秒間
【0090】
[中間転写体2の作製]
中間転写体1の作製において、下記に示す表面層形成用塗布液2の調製以外は、中間転写体1と同様の手法にして中間転写体2を作製した。
(1)表面層形成用塗布液2の調製
多官能モノマー(商品名:「KAYARD DPCA60」、日本化薬社製)を60体積部、長鎖アルキル単官能モノマー(商品名:「ブレンマーLMA」、日油社製)を15体積部、金属酸化物微粒子(商品名:「AEROSIL R 7200」、日本アエロジル製、粒径:約12nm、表面処理:メタクリル処理)25体積部を、固形分濃度が10質量%となるよう、溶剤であるMIBK(メチルイソブチルケトン)中に溶解、分散させ、前記希釈液100質量部に対して、1質量部の光重合開始剤(商品名:「Irgacure TPO」、BASF社製)を混合し、表面層形成用塗布液2を調製した。
【0091】
[中間転写体3の作製]
中間転写体1の作製において、下記に示す表面層形成用塗布液3の調製以外は、中間転写体1と同様の手法にて中間転写体3を作製した。
(1)表面層形成用塗布液3の調製
多官能モノマー(商品名:「A−DPH−6P」、新中村化学工業社製)を60体積部、長鎖アルキル単官能モノマー(商品名:「ライトエステルID」、共栄社化学社製)を15体積部、金属酸化物微粒子(商品名:「AEROSIL R 7200」、日本アエロジル製、粒径:約12nm、表面処理:メタクリル処理)25体積部を固形分濃度が10質量%となるよう、溶剤であるMIBK(メチルイソブチルケトン)中に溶解、分散させ、前記希釈液100質量部に対して、1質量部の光重合開始剤(商品名:「Irgacure TPO」、BASF社製)を混合し、表面層形成用塗布液3を調製した。
【0092】
[中間転写体4の作製]
中間転写体1の作製において、下記に示す表面層形成用塗布液4の調製以外は、中間転写体1と同様の手法にて中間転写体4を作製した。
(1)表面層形成用塗布液4の調製
多官能モノマー(商品名:「SR9003」、サートマー社製)を60体積部、長鎖アルキル単官能モノマー(商品名:「ブレンマーVMA」、日油社製)を15体積部、金属酸化物微粒子(商品名:「AEROSIL R 7200」、日本アエロジル製、粒径:約12nm、表面処理:メタクリル処理)25体積部を、固形分濃度が10質量%となるよう、溶剤であるMIBK(メチルイソブチルケトン)中に溶解、分散させ、前記希釈液100質量部に対して、1質量部の光重合開始剤(商品名:「Irgacure TPO」、BASF社製)を混合し、表面層形成用塗布液4を調製した。
【0093】
[中間転写体5の作製]
中間転写体1の作製において、下記に示す表面層形成用塗布液5の調製以外は、中間転写体1と同様の手法にて中間転写体5を作製した。
(1)表面層形成用塗布液5の調製
多官能モノマー(商品名:「A−DPH−6P」、新中村化学工業社製)を60体積部、長鎖アルキル単官能モノマー(商品名:「ブレンマーVA」、日油社製)を15体積部、金属酸化物微粒子(商品名:「AEROSIL R 7200」、日本アエロジル製、粒径:約12nm、表面処理:メタクリル処理)25体積部を、固形分濃度が10質量%となるよう、溶剤であるMIBK(メチルイソブチルケトン)中に溶解、分散させ、前記希釈液100質量部に対して、1質量部の光重合開始剤(商品名:「Irgacure TPO」、BASF社製)を混合し、表面層形成用塗布液5を調製した。
【0094】
[中間転写体6の作製]
中間転写体1の作製において、下記に示す表面層形成用塗布液6の調製以外は、中間転写体1と同様の手法にて中間転写体6を作製した。
(1)表面層形成用塗布液6の調製
多官能モノマー(商品名:「SR9003」、サートマー社製)を70体積部、長鎖アルキル単官能モノマー(商品名:「ライトエステルDTD−MA」、共栄社化学社製)を5体積部、金属酸化物微粒子(商品名:「AEROSIL R 202」、日本アエロジル製、粒径:約14nm、表面処理:ジメチルシリコーン処理)25体積部を、固形分濃度が10質量%となるよう、溶剤であるMIBK(メチルイソブチルケトン)中に溶解、分散させ、前記希釈液100質量部に対して、1質量部の光重合開始剤(商品名:「Irgacure TPO」、BASF社製)を混合し、表面層形成用塗布液6を調製した。
【0095】
[中間転写体7の作製]
中間転写体1の作製において、下記に示す表面層形成用塗布液7の調製以外は、中間転写体1と同様の手法にて中間転写体7を作製した。
(1)表面層形成用塗布液7の調製
多官能モノマー(商品名:A−DPH−6P」、新中村化学工業社製)を55体積部、長鎖アルキル単官能モノマー(商品名:「ブレンマーSA」、日油社製)を20体積部、金属酸化物微粒子(商品名:「AEROSIL R 7200」、日本アエロジル製、粒径:約12nm、表面処理:メタクリル処理)25体積部を、固形分濃度が10質量%となるよう、溶剤であるMIBK(メチルイソブチルケトン)中に溶解、分散させ、前記希釈液100質量部に対して、1質量部の光重合開始剤(商品名:「Irgacure TPO」、BASF社製)を混合し、表面層形成用塗布液7を調製した。
【0096】
[中間転写体8の作製]
中間転写体1の作製において、下記に示す表面層形成用塗布液8の調製以外は、中間転写体1と同様の手法にて中間転写体8を作製した。
(1)表面層形成用塗布液8の調製
多官能モノマー(商品名:「KAYARD DPEA12」、日本化薬社製)を60体積部、長鎖アルキル単官能モノマー(商品名:「ライトエステルEH」、共栄社化学社製)を15体積部、金属酸化物微粒子(商品名:「AEROSIL R 7200」、日本アエロジル製、粒径:約12nm、表面処理:メタクリル処理)25体積部を、固形分濃度が10質量%となるよう、溶剤であるMIBK(メチルイソブチルケトン)中に溶解、分散させ、前記希釈液100質量部に対して、1質量部の光重合開始剤(商品名:「Irgacure TPO」、BASF社製)を混合し、表面層形成用塗布液8を調製した。
【0097】
[中間転写体9の作製]
中間転写体1の作製において、下記に示す表面層形成用塗布液9の調製以外は、中間転写体1と同様の手法にて中間転写体9を作製した。
(1)表面層形成用塗布液9の調製
多官能モノマー(商品名:「D−TMP」、新中村化学工業社製)を60体積部、長鎖アルキル単官能モノマー(商品名:「ブレンマーLA」、日油社製)を15体積部、金属酸化物微粒子(商品名:「AEROSIL R 7200」、日本アエロジル製、粒径:約12nm、表面処理:メタクリル処理)25体積部を、固形分濃度が10質量%となるよう、溶剤であるMIBK(メチルイソブチルケトン)中に溶解、分散させ、前記希釈液100質量部に対して、1質量部の光重合開始剤(商品名:「Irgacure TPO」、BASF社製)を混合し、表面層形成用塗布液9を調製した。
【0098】
[中間転写体10の作製]
中間転写体1の作製において、下記に示す表面層形成用塗布液10の調製以外は、中間転写体1と同様の手法にて中間転写体10を作製した。
(1)表面層形成用塗布液10の調製
多官能モノマー(商品名:「KAYARD DPEA12」、日本化薬社製)を45体積部、長鎖アルキル単官能モノマー(商品名:「ライトエステルEH」、共栄社化学社製)を30体積部、金属酸化物微粒子(商品名:「AEROSIL R 7200」、日本アエロジル製、粒径:約12nm、表面処理:メタクリル処理)25体積部を、固形分濃度が10質量%となるよう、溶剤であるMIBK(メチルイソブチルケトン)中に溶解、分散させ、前記希釈液100質量部に対して、1質量部の光重合開始剤(商品名:「Irgacure TPO」、BASF社製)を混合し、表面層形成用塗布液10を調製した。
【0099】
[中間転写体11の作製]
中間転写体1の作製において、下記に示す表面層形成用塗布液11の調製以外は、中間転写体1と同様の手法にて中間転写体11を作製した。
(1)表面層形成用塗布液11の調製
多官能モノマー(商品名:「A−DPH−6P」、新中村化学工業社製)を74体積部、長鎖アルキル単官能モノマー(商品名:「ブレンマーVA」、日油社製)を1体積部、金属酸化物微粒子(商品名:「AEROXIDE TiO
2 NKT 90」、日本アエロジル製、粒径:約14nm、表面処理:アルキルシリル処理)25体積部を、固形分濃度が10質量%となるよう、溶剤であるMIBK(メチルイソブチルケトン)中に溶解、分散させ、前記希釈液100質量部に対して、1質量部の光重合開始剤(商品名:「Irgacure TPO」、BASF社製)を混合し、表面層形成用塗布液11を調製した。
【0100】
[中間転写体12の作製]
中間転写体1の作製において、下記に示す表面層形成用塗布液12の調製以外は、中間転写体1と同様の手法にて中間転写体12を作製した。
(1)表面層形成用塗布液12の調製
多官能モノマー(商品名:「SR9003」、サートマー社製)を70体積部、長鎖アルキル単官能モノマー(商品名:「ISTA」、大阪有機化学工業株式会社製)を5体積部、金属酸化物微粒子(商品名:「AEROXIDE TiO
2 NKT 90」、日本アエロジル製、粒径:約14nm、表面処理:アルキルシリル処理)25体積部を、固形分濃度が10質量%となるよう、溶剤であるMIBK(メチルイソブチルケトン)中に溶解、分散させ、前記希釈液100質量部に対して、1質量部の光重合開始剤(商品名:「Irgacure TPO」、BASF社製)を混合し、表面層形成用塗布液12を調製した。
【0101】
[中間転写体13の作製]
中間転写体1の作製において、下記に示す表面層形成用塗布液13の調製以外は、中間転写体1と同様の手法にて中間転写体13を作製した。
(1)表面層形成用塗布液13の調製
多官能モノマー(商品名:「KAYARD DPHA」、日本化薬社製)を47.5体積部、長鎖アルキル単官能モノマー(商品名:「ブレンマーSA」、日油社製)を27.5体積部、金属酸化物微粒子(商品名:「AEROSIL R 202」、日本アエロジル製、粒径:約14nm、表面処理:ジメチルシリコーン処理)25体積部を、固形分濃度が10質量%となるよう、溶剤であるMIBK(メチルイソブチルケトン)中に溶解、分散させ、前記希釈液100質量部に対して、1質量部の光重合開始剤(商品名:「Irgacure TPO」、BASF社製)を混合し、表面層形成用塗布液13を調製した。
【0102】
[中間転写体14の作製]
中間転写体1の作製において、下記に示す表面層形成用塗布液14の調製以外は、中間転写体1と同様の手法にて中間転写体14を作製した。
(1)表面層形成用塗布液14の調製
多官能モノマー(商品名:「KAYARD DPCA20」、日本化薬社製)を70体積部、長鎖アルキル単官能モノマー(商品名:「ブレンマーVMA」、日油社製)を5体積部、金属酸化物微粒子(商品名:「AEROSIL R 202」、日本アエロジル製、粒径:約14nm、表面処理:ジメチルシリコーン処理)25体積部を、固形分濃度が10質量%となるよう、溶剤であるMIBK(メチルイソブチルケトン)中に溶解、分散させ、前記希釈液100質量部に対して、1質量部の光重合開始剤(商品名:「Irgacure TPO」、BASF社製)を混合し、表面層形成用塗布液14を調製した。
【0103】
[中間転写体15の作製]
中間転写体1の作製において、下記に示す表面層形成用塗布液15の調製以外は、中間転写体1と同様の手法にて中間転写体15を作製した。
(1)表面層形成用塗布液15の調製
多官能モノマー(商品名:「KAYARD PET−30」、日本化薬社製)を70体積部、長鎖アルキル単官能モノマー(商品名:「ライトエステルID、共栄社化学社製)を5体積部、金属酸化物微粒子(商品名:「AEROSIL R 202」、日本アエロジル製、粒径:約14nm、表面処理:ジメチルシリコーン処理)25体積部を、固形分濃度が10質量%となるよう、溶剤であるMIBK(メチルイソブチルケトン)中に溶解、分散させ、前記希釈液100質量部に対して、1質量部の光重合開始剤(商品名:「Irgacure TPO」、BASF社製)を混合し、表面層形成用塗布液15を調製した。
【0104】
[中間転写体16の作製]
中間転写体1の作製において、下記に示す表面層形成用塗布液16の調製以外は、中間転写体1と同様の手法にて中間転写体16を作製した。
(1)表面層形成用塗布液16の調製
多官能モノマー(商品名:「KAYARD DPHA」、日本化薬社製)を47.5体積部、長鎖アルキル単官能モノマー(商品名:「ブレンマーLA」、日油社製)を27.5体積部、金属酸化物微粒子(「AEROXIDE TiO
2 NKT 90」、日本アエロジル製、粒径:約14nm、表面処理:アルキルシリル処理)25体積部を、固形分濃度が10質量%となるよう、溶剤であるMIBK(メチルイソブチルケトン)中に溶解、分散させ、前記希釈液100質量部に対して、1質量部の光重合開始剤(商品名:「Irgacure TPO」、BASF社製)を混合し、表面層形成用塗布液16を調製した。
【0105】
[評価]
下記評価1〜評価4について評価し、その結果を表IIに示した。
<評価1>初期クリーニング性(トナーの拭き取り性)
(評価装置の準備)
評価装置として、市販のフルカラー複合機(bizhub(登録商標)C554e:コニカミノルタ株式会社)の改造機を準備した。具体的には、上述した中間転写体1〜15を用いて、転写ユニットを組み立てた。また、ひずみ測定機を装備した転写ユニット用の単体駆動機を準備した。さらに、上記の転写ユニットを有する改造機を準備した。
クリーニングブレードは、あらかじめ30μm摩耗したものを用いた。ここで、あらかじめ30μm摩耗したものとは、
図2に示すように最大摩耗幅dが30μmのクリーニングブレードをいう。最大摩耗幅dとは、クリーニングブレードの左側と、クリーニングブレードの右側との摩耗した部分の両端部間の長さを意味する。また、クリーニングブレードの摩耗幅は、クリーニングブレードを45°傾斜させ、中間転写体との接触部分をレーザー顕微鏡(Vk−X100、150倍対物レンズ、0.1μmのステップ幅で観察;株式会社キーエンス)で計測した。
このようなクリーニングブレードのエッジ部には、評価用のトナーを付着させた。評価用のトナーとしては、bizhub(登録商標)C554e用トナー(TN512)を用いた。
また、中間転写体の幅方向においては、クリーニングブレードが接触する全範囲であって、中間転写体の周方向においては、クリーニングブレードの直前の位置であって、全周の1/3の範囲に、0.4g/m
2となるように均一に評価用のトナーを付着させてセッティングした。
なお、クリーニングブレードは、UW085(NOK株式会社製、厚さ2.0mm)、を使用し、中間転写体に対する当接力を30N/mとし、中間転写体に対する実効当接角を14°とし、自由長は9mmとした。
また、中間転写体は、新品状態のものを用いた。
【0106】
初期クリーニング性は、二次転写ユニットを取り外した状態で、4.0g/m
2の割合のトナーをA3サイズの中間転写体に印刷を行い、印刷終了後の中間転写体上のトナー拭き取り状態を確認した。このときに、クリーニングブレードの食い込み圧条件を変更し、クリーニングブレードの食い込み圧ごとのトナー拭き取り性を評価した。
◎:10N/mのクリーニングブレード食い込み圧でも拭き取れる
○:20N/mのクリーニングブレード食い込み圧でトナーを拭き取れる
△:30N/mのクリーニングブレード食い込み圧でも拭き取れる
×:30N/mのクリーニングブレード食い込み圧でトナー拭き残しが発生
○以上を合格と判定した。
【0107】
<評価2>研磨後クリーニング性(研磨試験後のトナー拭き取り性)
上記の<評価1>と同様に、評価装置を準備した。そして、前記新品状態の中間転写体の代わりに、以下の中間転写体を用いた。
30μmの粗さの研磨紙を中間転写体の長手方向に5N/mの圧力で押し当て、100mm/秒の速度で20分間駆動させた後の中間転写体を用いた。
その他は、(1)初期クリーニング性の評価と同様にして、研磨試験後のトナー拭き取り性を評価した。
【0108】
<評価3>研磨試験後の粗さ
上記<評価2>の前に、中間転写体の研磨直後の粗さを計測し、研磨試験後の粗さ評価を行った。粗さの測定には、レーザー顕微鏡(Vk−X100、20倍対物レンズ、0.1μmのステップ幅で観察;株式会社キーエンス)で観察して、高さプロファイルを得て、面内歪み補正を行った後、面全体の粗さRaを算出した。
◎:Raが0.3μm未満
○:Raが0.3μm以上0.6μm未満
△:Raが0.6μm以上1.0μm未満
×:Raが1.0μm以上
○以上を合格と判定した。
【0109】
<評価4>HH環境めくれ
上記<評価2>の研磨後クリーニング性の評価終了後の中間転写体をHH環境(30℃、80%RH)で一晩調湿した後に評価を行った。
新品のクリーニングブレードを用いた以外は、<評価1>及び<評価2>と同様に転写ユニットを組み立てた。単体駆動機について、ベルト移動速度が280mm/秒になるように駆動を行い、30秒間動作させた。そのときの、クリーニングブレードのめくれの有無を評価結果とした。めくれが発生していなければ、合格とする。
【0110】
【表1】
【0111】
【表2】
【0112】
表IIに示す結果より、本発明の中間転写体は、比較例の中間転写体に比べて、初期クリーニング性、研磨後クリーニング性、研磨試験後の粗さ及びHH環境めくれの評価において、いずれも良好であることが認められる。