(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記キャップは、前記ピボット孔から流下する前記水を受けるとともに前方へ排水する本体部と、前記本体部から前記樋部材の後縁部よりも後方まで拡張形成された拡張部と、を有する
ことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の排水構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ワイパアームの先端には、ガラス面を拭くワイパブレードが固定され、フロントワイパ装置の非作動時には、ワイパアーム及びワイパブレードはフロントガラスの前端部に沿う姿勢で停止する。そのため、これらの停止位置が低いほど前側下方の視界を確保でき、すっきりとした外観を実現できる。ワイパアーム及びワイパブレードの停止位置は、ピボット軸とフロントガラスの前端部との距離が短いほど低くすることができる。
【0006】
ところで、デッキガーニッシュとフロントガラスとの間の隙間から浸入した水が直接的にデッキ空間に流下しないように、隙間からの水を受ける樋状の部材がデッキガーニッシュの後端部に取り付けられることがある。しかしながら、ピボット軸には上記のキャップが設けられるため、ピボット軸の周辺にはキャップと樋状の部材とが配置されることになり、ピボット軸とフロントガラスの前端部との距離を短くすることは難しい。例えば、キャップや樋状の部材を小型化するなどしてピボット軸とフロントガラスの前端部との距離を短くすることも考えられる、排水性能の悪化を招くことになり、小型化には限界があった。
【0007】
本件の排水構造は、このような課題に鑑み案出されたもので、排水性能を維持したまま、ピボット軸とフロントガラスの前端部との距離を短くし、ワイパアーム及びワイパブレードの停止位置を低くすることを目的の一つとする。なお、この目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本件の他の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)ここで開示する排水構造は、車両のフロントガラスの前端部に取り付けられるデッキガーニッシュに向かって流れる水を受けてデッキ空間へ排水する排水構造であって、
前記デッキ空間内で前記デッキガーニッシュの後端部の下方において左右方向に延設され、前記フロントガラスと前記デッキガーニッシュとの隙間から浸入する水を受けるとともに複数の排水口から前方へ排水する樋部材と、
前記デッキ空間内でワイパリンク機構のピボット軸の周囲を囲むように設けられ、前記デッキガーニッシュに貫設されたピボット孔から流下する水を受ける容器形状に形成されたキャップと、を備える。前記樋部材の一部が前記キャップの上方に重ねて配置され、前記樋部材の前記キャップと重なる部位に前記キャップに向けて排水するピボット排水口が設けられている。
【0009】
(2)前記樋部材の前記キャップと重なる部位には、前記デッキガーニッシュの前記後端部から前方へ下降傾斜するとともに前記ピボット排水口をその前縁に持つ傾斜面部が設けられていることが好ましい。
(3)前記樋部材は、前記ピボット排水口から前記キャップに向かって延設されるとともに水平方向に対する傾斜角が前記傾斜面部よりも大きい案内面部を有することが好ましい。
(4)前記樋部材の前記キャップと重なる部位には、他の部位よりも深さが浅い上げ底部が設けられていることが好ましい。
【0010】
(5)前記キャップは、前記ピボット孔から流下する前記水を受けるとともに前方へ排水する本体部と、前記本体部から前記樋部材の後縁部よりも後方まで拡張形成された拡張部と、を有することが好ましい。
(6)前記キャップは、前記本体部と前記拡張部とを部分的に区画するように立設された仕切壁を有することが好ましい。
(7)前記仕切壁は、前記ピボット軸の軸心を中心とした円弧状に形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
開示の排水構造によれば、排水性能を確保した上で、ピボット軸とフロントガラスの前端部との距離を短くすることができ、ワイパアーム及びワイパブレードの停止位置を低くすることができる。これにより、車両前方における下側の視界を確保できるとともに、すっきりとした外観を実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図面を参照して、実施形態としての排水構造について説明する。以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせることができる。以下の説明では、車両の進行方向を前方(車両前方)、逆側を後方(車両後方)とし、前方を基準に左右を定める。また、重力の方向を下方とし、その逆を上方として説明する。
【0014】
[1.構成]
図1に示すように、本実施形態の排水構造は、車両のフロントガラス2の前端部に取り付けられたデッキガーニッシュ3に向かって流れる水(例えば雨水や洗浄水等)を受けるとともに、その水をデッキ部7のデッキ空間8(
図3参照)へと排水するための構造である。なお、デッキ空間8は、車室内空間とエンジンルームとを隔壁する空間であり、デッキガーニッシュ3の下方に設けられる。デッキ空間8には、ワイパ装置のワイパリンク機構4が内蔵される。
【0015】
本実施形態では、右ハンドル車に設けられるワイパ装置を例示する。すなわち、
図1及び
図2に示すように、フロントガラス2の前方における右端側(運転席側)及び中間部(助手席側)にワイパリンク機構4のピボット軸4a(
図3参照)が設けられ、二つのワイパアーム5Aが各ピボット軸4aを中心としてピボット軸4aと共に回動することで、各ワイパブレード5Bがフロントガラス2の上面を拭く。ワイパアーム5A及びワイパブレード5Bは、ワイパ装置の非作動時には、フロントガラス2の前端部に沿う姿勢で停止する。なお、
図2は、
図1のA部拡大図であり、デッキガーニッシュ3を透視して示す。
【0016】
デッキガーニッシュ3は、
図3中にハッチングを付けて示すように、フロントガラス2の前端部を前方から挟持するように取り付けられる。このため、ルーフやフロントガラス2に降った雨水や洗浄液等の水の一部は、
図2及び
図3中に破線の矢印で示すように、フロントガラス2の上面(ガラス面)からデッキガーニッシュ3に向かって流れる。この水は、デッキガーニッシュ3の後端部3rの上面を伝ってデッキガーニッシュ3に貫設されたピボット孔3hからデッキ空間8内に流入するとともに、デッキガーニッシュ3の後端部3rとフロントガラス2の前端部の上面との間の隙間からデッキ空間8内に流入(浸入)する。
【0017】
本実施形態の排水構造は、これら二つのルートからデッキ空間8内に流入しようとする水を受けるとともに、その水がワイパリンク機構4にかからないようにしながらデッキ空間8に排水するものである。本排水構造は、
図2に示すように、車両の左右方向の中間部に配置された被水防止キャップ1(以下「キャップ1」という)と、左右方向に延設された樋状の部材6(以下「樋部材6」という)とを備えている。
【0018】
キャップ1は、ピボット孔3hから流下する水を受けるとともにその水を排水する機能と、ワイパリンク機構4の被水を防止する機能とを併せ持つ部品である。キャップ1は、ピボット孔3hから流下する水を受ける容器形状に形成され、デッキガーニッシュ3の下方においてピボット軸4aの周囲を囲むように軸受4b(
図3参照)に固定される。なお、キャップ1の具体的な構成については後述する。本実施形態の車両には、中間部に配置されるキャップ1と右端側に配置される被水防止キャップ9とが互いに異なる形状に形成されているが、右端側の被水防止キャップ9もキャップ1と同様の機能を持った容器形状に形成され、ピボット孔3hの下方においてピボット軸4aの周囲を囲むように軸受4bに固定される。
【0019】
樋部材6は、
図2及び
図3に示すように、フロントガラス2の前端部の上面とデッキガーニッシュ3との隙間から浸入する水を受けるとともにその水を排水する機能を持った部材である。樋部材6は、デッキガーニッシュ3の後端部3rの下方において左右方向に延設される。また、樋部材6には、複数の締結部6gが左右方向に間隔をあけて設けられる。締結部6gには、図示しない締結具(例えばボルトや螺子等)が挿通される貫通孔が設けられる。樋部材6の前端部6f側は、締結部6gにおいてデッキガーニッシュ3に固定される。なお、デッキガーニッシュ3がフロントガラス2に取り付けられた状態で、樋部材6は、フロントガラス2の前端部の下方に配置される。
【0020】
樋部材6は、
図2〜
図5に示すように、キャップ1付近を除いて左右方向に延設されるとともにフロントガラス2から流れてくる水を受ける受け部6bと、受けた水を前方へ排水する複数の排水口6aとを有する。
図4に示すように、受け部6bは、後端部6rから下方に延設された後面部と前端部6fから下方に延設された前面部と、これら後面部及び前面部の下縁部同士を繋ぐ底面部とを有し、上方に開放した断面コ字状に形成される。受け部6bは、水を溜められる深さを持ち、後述するピボット排水口6pが設けられる位置の右側及び左側にそれぞれ設けられる。
【0021】
複数の排水口6aは、前方に開放した開口であり、左右方向に間隔をあけて配置される。
図2には、二つの被水防止キャップ1,9の間に配置された排水口6aと、キャップ1の上方に配置されて受けた水をキャップ1に向けて排水する排水口6aとを示す。以下、後者の排水口6aを特に「ピボット排水口6p」と呼ぶ。すなわち、樋部材6の複数の排水口6aには、少なくともピボット排水口6pが含まれる。
【0022】
図3及び
図5に示すように、樋部材6のキャップ1付近(ピボット軸4aの後方側)の部位は、他の部位より深さが浅い上げ底部6hとされている。この上げ底部6hの深さは、受け部6bの深さより浅く、キャップ1の上方に重なるように配置される。また、樋部材6のキャップ1と重なる部位には、前方へ下降傾斜するとともにピボット排水口6pをその前縁に持つ傾斜面部6cが設けられる。すなわち、本実施形態の傾斜面部6cは上げ底部6hに設けられ、デッキガーニッシュ3の後端部3rの下方の位置から前方へ下降傾斜している。傾斜面部6cは、
図5に示すように、前後方向に延びる両縁部が上方に屈曲形成されており、フロントガラス2からの水を受けるとともに、その水を前方へのピボット排水口6pへと導く部位である。本実施形態の傾斜面部6cは、その前縁(すなわちピボット排水口6p)が上面視で後方へ凹むように湾曲形成される。なお、傾斜面部6cの左右方向両側には、受け部6bとの境界をなす境界部6eが設けられる。
【0023】
さらに本実施形態の樋部材6は、ピボット排水口6p(傾斜面部6cの前縁)からキャップ1に向かって(すなわち下方へ)延設された案内面部6dを有する。案内面部6dは、水平方向に対する傾斜角が傾斜面部6cの傾斜角よりも大きく形成されており、ピボット排水口6pから排水された水をキャップ1へと導く部位である。本実施形態の案内面部6dは、前方を向く面が傾斜面部6cの前縁(ピボット排水口6p)の湾曲形状に合わせて後方に凹んだ曲面状とされており、ピボット軸4aの後方においてキャップ1の上方に配置される。
【0024】
このように本実施形態では、樋部材6のピボット軸4aの後方(キャップ1の近傍)でキャップ1の上方に重なる部位を上げ底部6hとして、樋部材6とキャップ1とを上下方向にコンパクトに重ねて配置できるようにしている。なお、樋部材6のキャップ1と重なる部位を上げ底部6hとすることで、排水性能の悪化が懸念されるが、樋部材6はピボット排水口6pによってキャップ1へ排水可能に構成されているため、排水性能は確保されている。
【0025】
次に、キャップ1の具体的な構成について説明する。本実施形態のキャップ1は、
図3及び
図5に示すように、ピボット軸4aの周囲に延在するとともにピボット孔3hから流下する水を受ける底部10と、底部10の周囲を囲む側壁11とを有する。また、キャップ1は、底部10の前端部において側壁11間に設けられ、前方に開放した排水部12と、底部10の上面から立設され、排水部12に互いに離隔した二つの出口12a(
図5中の模様部分)を区分形成する第一リブ13とを有する。さらに本実施形態のキャップ1は、底部10の前端部の下面から下方へ突設された第二リブ14と、底部10の上面の略中央部に立設され、ピボット軸4aの軸受4bが内嵌される円筒部15とを有する。
【0026】
図3に示すように、キャップ1は、底部10が前方へ下降傾斜する姿勢でピボット軸4aの周囲を囲むように取り付けられる。また、
図5〜
図7に示すように、本実施形態の側壁11は、底部10の外周縁部の前縁部を除いて外周縁部に沿って設けられており、前方のみが開放した形状をなす。側壁11は、円筒部15の幅方向(左右方向)の両外側の位置で円弧状に延設される二つの弧状壁部11aと、各弧状壁部11aの各前縁部から前方に延設されるとともに前方に行くほど互いに離隔する二つの離隔壁部11bと、弧状壁部11aの後方に設けられるコ字状壁部11dとを含む。
【0027】
本実施形態のキャップ1は、円筒部15が形成された本体部1Bと、本体部1Bから後方へ拡張形成された拡張部1Eとを有する。本体部1Bは、弧状壁部11a及び離隔壁部11bとで囲まれた部位であり、ピボット孔3hから流下する水と樋部材6のピボット排水口6pから流下する水とを受けるとともに前方へ排水する機能を持つ。拡張部1Eは、コ字状壁部11dで囲まれた部位であり、フロントガラス2の前端部の下面とデッキガーニッシュ3との間の隙間や、デッキガーニッシュ3と樋部材6の後端部6rとの間の隙間から浸入する水を受ける機能を持つ。拡張部1Eは、樋部材6の傾斜面部6cの後縁部よりも後方まで拡張形成される。本実施形態の拡張部1Eは、傾斜面部6cと上下方向に重なって配置される。
【0028】
弧状壁部11aは、例えばピボット軸4aの軸心C(円筒部15の中心軸)を中心とした円弧形状に形成される。本実施形態の弧状壁部11aは、
図6に示すように、軸心Cを中心とした仮想円20(図中一点鎖線)に沿う略円弧形状に形成されており、二つの弧状壁部11aの前縁部が軸心Cよりも前方に位置で互いに接近するように弧状に延設されている。離隔壁部11bは弧状壁部11aの前縁と連続して形成され、離隔壁部11bの前縁部はその後縁部(すなわち弧状壁部11aとの境界部)よりも外側寄りに配置される。本実施形態の側壁11には、弧状壁部11aと離隔壁部11bとの境界部にキャップ1の左右方向内側に向かって凸状に形成された二つの絞り部11cが対向配置される。
【0029】
コ字状壁部11dは、ピボット軸4aの軸方向から見て(軸方向視で)、前方へ開放したコの字型をなし、弧状壁部11aの後縁と連続して形成される。つまり、本実施形態の弧状壁部11aは、円筒部15の後方において分離されており、この分離された部分にコ字状壁部11dが形成される。
【0030】
本実施形態のキャップ1は、本体部1Bと拡張部1Eとを部分的に区画するように立設された仕切壁16を有する。仕切壁16の両縁部と側壁11との間には、本体部1Bと拡張部1Eとを連通する隙間が設けられる。本実施形態の仕切壁16は、仮想円20に沿った円弧状に形成され、弧状壁部11aと略同一の半径を持つ。すなわち、仕切壁16は、弧状壁部11aの分離された部分を補うように本体部1Bと拡張部1Eとの境界部分に配置される。本実施形態では、仕切壁16が樋部材6の傾斜面部6cの下方に位置する。
【0031】
排水部12は、底部10で受けた水を前方へと排水する部分であり、各出口12aは水が流れる開口である。本実施形態の出口12aは、
図5中に二点鎖線で囲んで模様をつけて示すように、その外側が離隔壁部11bの前縁部で区画され、その内側がこれと対向する第一リブ13の前側の縁部13eとで区画される。二つの出口12aは第一リブ13によって区分形成されるため、各出口12aは左右方向においてピボット軸4aから幅方向(左右方向)の外側にずれて配置される。さらに、本実施形態のキャップ1は、排水部12が前方に向かってラッパ状に広がっているため、キャップ1を前方から見たときに、出口12aとピボット軸4aとが重ならない。これにより、排水位置がピボット軸4aからより離れた位置となるため、出口12aから排水される水がワイパリンク機構4(ピボット軸4a,軸受4b,レバー4c等)にかかりにくくなる。
【0032】
図6に示すように、第一リブ13は軸方向視で略三角形状をなし、底部10で受けた水を二つの出口12aに分離させる機能と、ピボット孔3hからキャップ1へ勢いよく流下した水の流れを減衰させる機能とを併せ持つ。なお、第一リブ13は、ピボット孔3hから侵入した枯葉がデッキ空間8へと落下しないよう堰き止める機能も有する。第二リブ14は、底部10の下面を伝う水を切る機能を持ち、
図3,
図5及び
図7に示すように、底部10の前縁部に沿って左右方向に延設される。なお、本実施形態のキャップ1は、
図6に示すように、ピボット軸4aの軸心Cを通って前後方向に延びる直線L(図中一点鎖線)に対し左右対称形状である。
【0033】
[2.作用,効果]
ルーフやフロントガラス2に降った雨水や洗車による洗浄液等の水は、
図2及び
図3中に破線の矢印で示すように、デッキガーニッシュ3のピボット孔3hから下方へ流下するとともに、デッキガーニッシュ3とフロントガラス2との間の隙間から下方へ流下する。
【0034】
ピボット孔3hから流下した水は、ピボット軸4aの周囲を囲むように設けられたキャップ1に受け止められたのち、前方から排水される。キャップ1の本体部1B内を流通する水のうち第一リブ13に当たった水は、その勢いが減衰されたのち排水されるため、排水先のデッキ部7のパネルに衝突して跳ね返った水がワイパリンク機構4にかかりにくくなる。また、キャップ1の二つの出口12aはピボット軸4aから離れて設けられているため、出口12aから流下した水が直接的にワイパリンク機構4にかかりにくくなる。
【0035】
一方、デッキガーニッシュ3とフロントガラス2との間の隙間から流下した水は、左右方向に延設された樋部材6に受け止められたのち、複数の排水口6aから前方へ排水される。ここで、樋部材6におけるピボット排水口6pが設けられたキャップ1と重なる部位(本実施形態では上げ底部6h)に流れた水は、傾斜面部6cを伝ってピボット排水口6pから排水され、キャップ1の本体部1Bへと流下し、キャップ1の出口12aから前方へ排水される。
【0036】
(1)つまり、上述した樋部材6では、ピボット軸4aの後方に位置する部位(上げ底部6h)をキャップ1の上方に配置させるとともに、このキャップ1と重なる部位に受けた水の一部をキャップ1に排水するピボット排水口6pを設けたので、キャップ1の後方に受け部6bを形成する必要がない。受け部6bは水を溜められる深さを持つため、仮に、この受け部6bをキャップ1の後方にも設ける場合には、受け部6bとキャップ1との干渉を回避するためにキャップ1とフロントガラス2の前端部との距離を長くしなければならない。つまり、この場合にはキャップ1の位置(すなわちピボット軸4aの位置)を、
図3に示す位置よりも前方へ設定する必要があり、ワイパアーム5A及びワイパブレード5Bの停止位置が運転席側において高くなってしまう。
【0037】
これに対し、上述した排水構造によれば、樋部材6とキャップ1とを上下方向に重なるように配置することができるため、ピボット軸4a周辺の排水構造をコンパクト化することができる。さらに、樋部材6で受けた水の一部をピボット排水口6pからキャップ1へと排水することができるため、排水性能は確保される。つまり、排水性能を確保したうえで、ピボット軸4aとフロントガラス2の前端部との距離を短くでき、ワイパアーム5A及びワイパブレード5Bの停止位置を低く設定することができる。これにより、車両前方における下側の視界を確保できるとともに、すっきりとした外観を実現することができる。
【0038】
(2)上述した樋部材6には傾斜面部6cが設けられているため、樋部材6の水がピボット排水口6pに向かって流れやすくなり、キャップ1への排水性能を高めることができる。
(3)さらに上述した樋部材6には案内面部6dが設けられているため、ピボット排水口6pから排水された水がキャップ1からはみ出て流下したり飛び散ったりすることを防ぐことができる。すなわち、樋部材6の水がピボット排水口6pからキャップ1に向かってスムーズに流れやすくなるため、キャップ1への排水性能を高めることができる。
【0039】
(4)さらに上述した樋部材6では、キャップ1と重なる部位が他の部位(すなわち受け部6b)の深さよりも浅くした上げ底部6hとされているため、樋部材6とキャップ1とを上下方向でコンパクトに重ねて配置することができる。すなわち、前後方向だけでなく、上下方向においても排水構造をコンパクト化することができる。なお、上げ底部6hとすることで、他の部位(受け部6b)のように水を保持することができなくなるが、ピボット排水口6pによってキャップ1へ排水できるように構成されているため、排水性能は確保される。
【0040】
(5)上述したキャップ1には、本体部1Bの後方に、樋部材6の後縁部よりも後方まで拡張形成された拡張部1Eが設けられる。このため、
図3中に細破線矢印で示すように、フロントガラス2の前端部の下面とデッキガーニッシュ3との間の隙間やデッキガーニッシュ3と樋部材6の後端部6rとの間の隙間から流下する水を受けることができ、ワイパリンク機構4の被水を防止することができる。
【0041】
(6)上述したキャップ1には、本体部1Bと拡張部1Eとを部分的に区画する仕切壁16が立設されているため、ピボット孔3hやピボット排水口6pから流下した水の勢いが強い場合であっても、その水が拡張部1Eへ流れていくことを抑制できる。すなわち、キャップ1の本体部1Bで受け止めた水を前方へと排水することができる。
(7)また、上記の仕切壁16は軸心Cを中心とした円弧状であることから、ピボット孔3hから本体部1Bへ流下した水を滑らかに受け止めることができ、水の飛び散りを抑制することができる。
【0042】
(8)本実施形態のキャップ1には、ワイパリンク機構4の被水を防止するために、出口12aの位置が工夫されている。さらにキャップ1には、被水防止構造として、第一リブ13及び第二リブ14が設けられている。このため、樋部材6にピボット排水口6pを設けてキャップ1に排水しても、ワイパリンク機構4の被水を防止することができる。つまり、ワイパリンク機構4の被水防止の観点から考えると、樋部材6の排水口6aはピボット軸4aから離れた位置に設定することが好ましいが、それをあえてキャップ1に排水するピボット排水口6pを設けることで、ピボット軸4a周辺の排水構造のコンパクト化とワイパリンク機構4の被水防止性能との両立を図ることができる。
【0043】
(9)なお、上述したキャップ1は左右対称形状であることから、ピボット孔3hからキャップ1内に流れ込む水の流れ方向が右回りであっても左回りであっても、同じように水の勢いを減衰することができる。また、左右対称形状のキャップ1であれば、右ハンドル車だけでなく、左ハンドル車にも適用することができる。
【0044】
[3.その他]
上述した排水構造は一例であって、上述したものに限られない。例えば、キャップ1の形状及び樋部材6の形状は上述したものでなくてもよい。キャップ1は、少なくともデッキガーニッシュ3のピボット孔3hから流下する水を受ける容器形状に形成されるとともに、ピボット軸4aの周囲を囲むように設けられていればよく、第一リブ13や第二リブ14等を省略してもよいし、出口12aが一つであってもよい。また、本体部1Bと拡張部1Eとに分かれていなくてもよいし、仕切壁16も省略可能である。なお、キャップ1が左右対称形状でなくてもよい。
【0045】
また、樋部材6は、少なくともデッキガーニッシュ3の後端部3rの下方において左右方向に延設されており、ピボット軸4aの後方に位置する部位がキャップ1の上方に重ねて配置され、このキャップ1と重なる部位にキャップ1に向かって排水するピボット排水口6pが設けられていればよい。上述した傾斜面部6cや案内面部6dの形状を変更してもよいし、これらを省略してもよい。
【0046】
上述した実施形態では、助手席側(中間部)のピボット軸4aに対して固定されるキャップ1に向かって樋部材6の水を排水する排水構造を説明したが、運転席側(右端側)のピボット軸4aに対して固定される被水防止キャップ9に向かって樋部材6の水を排水する構造であってもよい。また、上述した実施形態では右ハンドル車を例示したが、左ハンドル車に対して上述した排水構造を適用してもよい。