(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
<本発明の実施の形態>
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
本実施形態は、患者が薬を服用した日時と服用後の具合を記録する情報記録装置であって、
図1はその外観図である。
図1の情報記録装置は、シート状の服薬記録カード1からなり、折り畳み式になっていて、展開すると
図2のような情報入力面2が現れる。情報記録装置としての服薬記録カード1は後述する紙基板30と、紙基板30上に設けられた導電回路18Aと、この導電回路18Aに回路コネクタ90を介して接続された無線送信可能な通信モジュール10とを備えている(
図3および
図5参照)。
【0018】
このうち紙基板30と、この紙基板30上に設けられた導電回路18Aとにより、回路基板70が構成されている。なお、回路コネクタ90は必ずしも設ける必要はなく、また回路コネクタ90はフレキシブルなコネクタでも堅固なコネクタであってもよい。
【0019】
服薬記録カードからなる情報記録装置1について更に述べる。服薬記録カード1は患者が病院での診察を終えて、処方箋に基づいて薬の調合が終わった段階で患者に渡されるものである。この服薬記録カード1では、患者が薬を服用した後に、患者自ら選択ボタンを押圧して、体の具合を記録できるようにしている。
【0020】
図2の服薬記録カード1の情報入力面2は3面構成であり、第1面2aにはスタートボタン3と取り消しボタン4が設けられ、第2面2bには患者が服用すべき薬(錠剤)5を収納する収納部5aが配置され、第3面2cには患者の症状の度合いを入力するための選択ボタンが配置されている。第1面2aの裏面側が
図1の「服薬記録カード1」と記載された面である。
【0021】
第3面2cには、薬の効用に関連する複数の症状が記載されている。
図2の例では、(1)症状1、(2)症状2、(3)症状3、(4)症状4および(5)症状5の計5種類の症状が記載され、各症状ごとに、3通りの度合い(重度、中度、軽度)から一つを選択可能になっている。患者は、まず、5種類の症状に対応する選択ボタン6a〜6eからなる第1ボタン列6のいずれかを押圧して、特定の症状を選択した後に、引き続いて、その症状の度合いに対応する選択ボタン7a〜7cからなる第2ボタン列7のいずれかを押圧する。これにより、患者は、薬を服用した後に特定の症状の度合いを入力できる。患者は、必ずしも5種類の症状のすべてに回答する必要はなく、一部の症状のみに回答してもよい。
【0022】
第1ボタン列6を構成する各選択ボタン6a〜6eは
図2のX方向に沿って配置され、第2ボタン列7を構成する各選択ボタンは、第1ボタン列6に略平行にY方向に沿って複数列にわたって配置されている。
【0023】
なお、第3面2cに記載された症状とその度合いは、あくまで一例にすぎず、薬の種類によって任意に変更して構わない。
【0024】
患者は、服薬記録カード1の使用を開始するときに、スタートボタン3を押圧する。その後、患者は、第2面2bに配置された錠剤5の収納部5aを指で押し込んで、第2面2bの下面側から薬を取り出して、服用する。そして、服用後の症状の度合いに該当する選択ボタン6,7を押圧する。
【0025】
患者が押圧したスタートボタン3、取り消しボタン4、錠剤5の各ケースおよび各選択ボタン6,7の情報は、服薬記録カード1内に内蔵された通信モジュール10に自動的に記憶される仕組みになっている。
【0026】
次に錠剤用の成形シート8について説明する。
後述のように紙基板30は最上層基板(第1基板)30aと、中間層基板30cと、最下層基板(第2基板)30bとを有している(
図5参照)。そして最下層基板の30b上に中間層基板30cが重ね合わされ、その後中間層基板30c上に錠剤5が収納された複数の収納部5aを有する錠剤用の成形シート8が載置される。なお、本実施の形態において、中間層基板30cと設けて例をしましたが、これに限らず、中間層基板30はなくてもよい。
【0027】
錠剤用の成形シート8は、例えばアルミニウム製の基材8bと、基材8bに接合された透明プラスチック製の収納体8aとを有し、プラスチック製の収納体8aは、錠剤5を収納する複数の、例えば6個の収納部5aを含む。この錠剤用の成形シート8は、プレススルーパック(PTP)ともいわれている。そして成形シート8の収納部5aを指で押圧することにより、収納部5a内の錠剤5によって基材8bの取出領域が破断し、この基材8bの取出領域から錠剤5を取り出すことができる。
【0028】
このような構成からなる錠剤用の成形シート8は、上述のように互いに重ね合わされた最下層基板30bと中間層基板30c上に載置され、この成形シート8上に更に最上層基板30aが重ね合わされる。
【0029】
このとき、成形シート8の錠剤5を収納した収納部5aは、最上層基板30aに設けられた開口81から外方へ突出するようになっている。
【0030】
また、最下層基板30bに設けられたスイッチ接点33は、最下層基板30bに形成された破断領域83により囲まれる。
【0031】
上述した構成要件のうち、少なくとも最上層基板30aと、最下層基板30bと、成形シート8とにより成形シート収納基板30Aが構成される。
【0032】
なお、上記実施の形態において、最下層基板30b上に中間層基板30cを重ね合わせ、中間層基板30c上に成形シート8を載置した後、成形シート8上に最上層基板30aを重ね合わせた例を示したが、中間層基板30cを設けることなく、最下層基板30b上に成形シート8を載置するとともに、この成形シート8上に最上層基板30aを重ね合わせてもよい。
【0033】
次に最下層基板30bに設けられた破断領域83と、最上層基板30aに設けられた開口81と、成形シート8の収納部5aとの位置関係を述べる。
【0034】
上述のように互いに重なり合う最下層基板30bと中間層基板30c上に成形シート8を載置し、成形シート8上に最上層基板30aを重ねると、成形シート8の収納部5aは最上層基板30aの開口81から外方へ突出する。このとき、開口81の形状と収納部5aの形状は略同一となっており、このことにより最上層基板30aの開口81により成形シート8の収納部5aを精度良く位置決めすることができる。
【0035】
例えば、成形シート8の収納部5aの外形形状が直径8mmの円形である場合、最上層基板30aの開口81の外形形状も直径8mmの円形となる。このとき、例えば成形シート8の収納部5aに収納された錠剤5の外形形状は、直径6mmの円形となっている。
【0036】
他方、最下層基板30bにはスイッチ接点33を囲むように破断領域83が設けられている。
【0037】
この破断領域83は、
図7および
図8に示すように円形形状をもち、破断領域83は一対の円弧状切欠き83a、83aと、切欠83a、83a間に形成されたつなぎ83bとにより規定され、収納部5aを押圧することにより、収納部5a内の錠剤5によってつなぎ83bが容易に破断される。
【0038】
図7に示すようにして、最下層基板30bの破断領域83と、成形シート8の収納部5aとを平面視において重ね合わせた場合、収納部5aは破断領域83内に収まっており、かつ収納部5aの面積は破断領域83の面積に比べて小さくなっている。
【0039】
例えば破断領域83は直径12mmの円形形状をもつ。
【0040】
さらにまた、最下層基板30bの破断領域83と、成形シート8の収納部5aとを平面視において重ね合わせた場合、収納部5aの中心P1は破断領域83の中心P2に対して距離lだけ偏心している。このように収納部5aの中心P1と破断領域83の中心P2が偏心することにより、収納部5aを押圧して成形シート8から排出された錠剤5により、後述のように破断領域83を容易に破断することができる。
【0041】
なお、中間層基板30cのミシン目63の形状は、収納部5aの形状より大きく、かつ平面視において、収納部5aは、ミシン目63の形状の範囲内に収まっている。
【0042】
ところで、収納部5aの中心P1と破断領域83の中心P2が偏心している場合、収納部5aを押圧して錠剤5を取り出す際、錠剤5からの力が破断領域83の中心P2に加わることはなく、錠剤5からの力が破断領域83に偏心して加わることになり、破断領域83に加わる力に近接するつなぎ83bがまず破断し、残りのつなぎ83bも順次破断する。このため、収納部5aの中心P1と破断領域83の中心P2を偏心させることにより、破断領域83を容易かつ簡単に最下層基板83cから破断することができる。
【0043】
次に
図3により通信モジュール10について述べる。
【0044】
図3は上述した無線通信可能な通信モジュール10の概略構成を示すブロック図である。
図3の通信モジュール10は、樹脂基板11の上に実装されたICチップとしてのASIC(Application Specific Integrated Circuit)12と、水晶振動子13と、ボタン電池14と、スピーカ15と、樹脂基板11の長辺に沿って形成される複数のパッド16と、樹脂基板11の外縁部に沿って形成されるアンテナパターン17aと、樹脂基板11上に形成される導電パターン17bとを有する。
【0045】
図3は通信モジュール10の内部構成を機能化したブロック図であり、実際の各回路部品やパターンの配置やサイズ、形状、個数は任意に変更可能である。
【0046】
図4はASIC12の内部構成の一例を示すブロック図である。
図4のASIC12は、患者が押圧したスタートボタン3、取り消しボタン4、錠剤5の各収納部5aおよび各選択ボタンを押圧した情報を時刻情報とともに時系列で記憶する記憶部21と、記憶部21に押圧情報を記憶する制御を行う制御部22と、不図示のホストコンピュータとの間で無線通信を行う無線通信部23とを有する。
【0047】
記憶部21は、患者が押圧したボタンを特定する情報と、そのボタンが押圧された時刻情報とを組にして記憶する。取り消しボタン4は、取り消しボタン4が押圧される直前に押圧されたボタンの情報を取り消すことを意図したものである。ホストコンピュータは、記憶部21に取り消しボタン4の押圧を特定する情報と、そのボタンが押圧された時刻情報とが記憶されている場合は、取り消しボタン4の直前に押圧されたボタンの情報を取り消す。
【0048】
無線通信部23は、ホストコンピュータとの間で、いわゆるNFC(Near Field Communication、近接無線通信)を行って、情報の送受を行う。無線通信部23が無線通信に用いる方式や周波数帯域は特に制限されるものではなく、例えば13.56MHzの帯域でISO14443に準拠した無線方式で無線通信を行う。
【0049】
NFCでは、規格上電力の送受もできるため、電池なしで通信モジュール10を駆動することも原理的には可能である。ただし、本実施形態の通信モジュール10は、スピーカ15も備えており、電力の消費量が比較的大きいため、ボタン電池14を搭載している。
【0050】
次に、本実施形態に係る服薬記録カード1の具体的構造について説明する。上述した服薬記録カード1は、1枚の紙基板を縦方向に三等分して折り畳んだ三層構造であり、その表面に
図2に示す情報入力面2が現れるようにしている。これをさらに後述する折曲線64に沿って横方向に三等分して折り畳むと
図1に示す構造になる。以下では、大元の1枚の紙基板に形成される導電パターンについて説明する。
【0051】
図5は服薬記録カード1の元となる紙基板30を展開した図である。
図5の紙基板30を縦方向に延びる折り目61で三等分に分割した各分割基板30a,30b,30cには、それぞれ異なる導電パターン18や切り欠き等が設けられる。なお、これら3つの分割基板30a〜30cは、折り目61で折り曲げ可能とされており、物理的に切り離されるものではない。また、各分割基板30a,30b,30cは上述のように折曲線64を有し、各分割基板30a,30b,30cは横方向に延びる各々の折曲線64を介して三等分に折り畳まれる。
図5において、便宜上、各分割基板30a,30b,30cには2本の単一の折曲線64が設けられているが単一の折曲線64の代わりに一対の平行する折曲線64,64を設けてもよい(
図1参照)。
【0052】
図5の中央の分割基板30bは、最下層に配置されて導電パターン18が形成される最下層基板(第2基板)30bである。その右側の分割基板30cは、主に切り欠き62とミシン目63を有し、最下層基板30bの上に配置される中間層基板30cである。最下層基板30bの左側の分割基板30aは、スイッチ接点の導通/遮断を行う導電パターン38を有し、中間層基板30cの上に配置される最上層基板(第1基板)30aである。なお、このミシン目63の代わりに、穴を設けてもよい。
【0053】
後述するように、三等分された最下層基板30bに中間層基板30cを折り畳んで熱圧着した後に、その上に錠剤5が収納された収納部5aを含む成形シート8を載せ、その上に最上層基板30aを折り畳んで熱圧着することにより、
図2の構造が得られる。したがって、
図5に示す最上層基板30aの裏面側が、
図2に示す情報入力面2になる。
【0054】
最下層基板30bの上に中間層基板30cを折り畳んで熱圧着した後に、最下層基板30bに通信モジュール10が接合され、その上に最上層基板30aが熱圧着される。このように、通信モジュール10は、最下層基板30bと最上層基板30aの間に挟み込まれる。これにより、最下層基板30bの表面に形成された導電パターン18と通信モジュール10は、服薬記録カード1の完成状態では、外見に現れない。同様に、最上層基板30a上の導電パターンも、中間層基板30cの上に折り畳まれて熱圧着されるため、外見に現れない。
【0055】
次に、最下層基板30bの表面に形成された導電パターン18について
図5を用いて説明する。
図5の導電パターン18は、三等分された第1〜第3面2a〜2cからなる情報入力面2に対応した第1〜第3パターン面30b1〜30b3を有する。
【0056】
第1パターン面30b1は、スタートボタン3に対応したスイッチ接点31と、取り消しボタン4に対応したスイッチ接点32とを有する。第2パターン面30b2は、錠剤5の各収納部5aに対応した計6つのスイッチ接点33を有する。第3パターン面30b3は、患者の症状および症状の程度を選択する各選択ボタンに対応した計15個のスイッチ接点34〜37を有する。
【0057】
これらスイッチ接点31〜37のうち、錠剤5の各収納部5aに対応した計6つのスイッチ接点33は初期状態で導通しており、それ以外の全てのスイッチ接点31,32,34〜37は初期状態で遮断されている。
【0058】
錠剤5の各収納部5aに対応したスイッチ接点33は、収納部5aを押圧して錠剤5を取り出す際に物理的に破断されて、電気的導通が遮断される。それ以外のスイッチ接点31,32,34〜37は、対応するボタンを押圧したときに、情報入力面2の裏面側に設けられた円形の導電パターン38が対応するスイッチ接点に接触して、押圧している間だけ一時的に導通する。
【0059】
このように、スイッチ接点31〜37の中には、初期状態で電気的に導通しているものと、電気的に遮断されているものとがある。各スイッチ接点を物理的に破断するか、各スイッチ接点に別の導電パターンを接触させることにより、スイッチ接点の状態を切り替えることができる。
【0060】
図5に示す各スイッチ接点31〜37の一端は、導電パターン18を介して第1パターン面30b1上の端子部39の対応する端子に接続され、他端はいずれも導電パターン18を介して接地端子に接続されている。端子部39には、スイッチ接点の総数分の端子が設けられ、これに加えて、端子部39の両端側には接地端子が設けられている。接地端子から延びる導電パターン(以下、接地パターン18a)は、第1〜第3パターン面30b3の外縁に沿って、他の導電パターンとスイッチ接点を取り囲むように形成されている。
【0061】
この接地パターン18aは、ノイズの低減を図るために、他の導電パターンよりも太く形成されている。
【0062】
ここで上述した導電パターン18と接地パターン18aとにより、導電回路18Aが構成される。また導電回路18Aに端子部39が接続される。また紙基板30と、紙基板30上に形成された導電回路18Aとにより通信モジュール10が接合される前の回路基板70が構成される。
【0063】
このように、すべてのスイッチ接点が、対応する端子と接地パターン18aとの間に接続されている。したがって、いずれかのスイッチ接点の状態が変化すると、その変化した情報が、専用の端子を介して通信モジュール10に伝達されることになる。通信モジュール10内の記憶部21は、接点の状態が変化したスイッチ接点を特定する情報と、すなわち押圧された選択ボタンまたは破断位置を特定する情報と、接点の状態が変化した時刻情報とを記憶する。
【0064】
第3パターン面30b3上の各スイッチ接点は、X方向に沿って配置される第1ボタン列に対応する第1スイッチ接点列34と、第1ボタン列に略平行にY方向に沿って配置される複数の第2ボタン列に対応する複数の第2スイッチ接点列35〜37とにグループ分けされている。
【0065】
第2スイッチ接点列35〜37のそれぞれにおける計5個のスイッチ接点の一端側はいずれも共通の端子に接続され、他端側はいずれも接地端子に接続されており、これら5個のスイッチ接点は並列接続されている。
図5の例では、計5個のスイッチ接点が並列接続された第2スイッチ接点列35〜37が計3個設けられている。
【0066】
並列接続された各スイッチ接点列35〜37内のどのスイッチ接点の状態が変化しても、その状態変化情報は同じ端子を介して通信モジュール10に伝達されるため、通信モジュール10では、どのスイッチ接点が変化したのかをその情報だけでは特定できない。そこで、本実施形態では、第2スイッチ接点列35〜37内のスイッチ接点の状態を変化させる前に、第1スイッチ接点列34内のスイッチ接点の状態を変化させるようにルール化することで、第2スイッチ接点列35〜37内のどのスイッチ接点の状態が変化したかを特定している。
【0067】
より具体的には、まず第1スイッチ接点列34内のいずれかのスイッチ接点の状態を変化させて、このスイッチ接点のX方向位置を検出する。そして、同じX方向位置にある第2スイッチ接点列35〜37内の計3個のスイッチ接点を選択候補として決定する。次に、これら3個のスイッチ接点の中で、状態が変化したものがあれば、そのスイッチ接点の情報を通信モジュール10に伝達する。
【0068】
このように、第1スイッチ接点列34内のスイッチ接点の状態変化情報と、第2スイッチ接点列35〜37内のスイッチ接点の状態変化情報とを組み合わせることで、第2スイッチ接点列35〜37内の特定のスイッチ接点の状態を正しく通信モジュール10に伝達することができる。
【0069】
複数のスイッチ接点を並列接続して、一端側を共通の端子に接続することは、端子部39内の端子の総数と導電パターン18の数を削減できることから、特にパターン面積が限られている場合に有効である。第2スイッチ接点列35〜37内の複数のスイッチ接点を並列接続しても、第2スイッチ接点列35〜37と平行に配置された第1スイッチ接点列34内のスイッチ接点の状態と組み合わせることで、第2スイッチ接点列35〜37内の特定のスイッチ接点の状態を正確に特定できるため、実用上の問題は起きない。
このように、本実施形態に係る服薬記録カード1は、スタートボタン3や各種の選択ボタンの他に、直前のボタン操作を取り消すための取り消しボタン4を具備するため、ボタンの誤操作による誤った情報が取消情報なく通信モジュール10に伝達されるおそれがなくなり、通信モジュール10およびホストコンピュータに伝達される情報の信頼性が向上する。
【0070】
ところで、上述のように各分割基板30a,30b,30cは、横方向に延びる各々の折曲線64を介して三等分に折り畳まれる。
【0071】
このうち最下層基板30bには、導電パターン18と接地パターン18aとからなる導電回路18Aが設けられている。また最下層基板30bの折曲線64近傍には、折曲線64を介して最下層基板30bを繰り返し折り曲げた場合でも、導電回路18Aが破断したり破損することを防止するため、フレキシブル回路コネクタ80A,80Bが設けられている。
【0072】
具体的には最下層基板30bは、横方向に延びる2本の折曲線64を介して三等分に折り畳まれるが、この場合、最下層基板30bは2本の折曲線64により、第1基板91と第2基板92と第3基板95とに区画され、第1基板91と第2基板92との間に折曲線64を跨いでフレキシブル回路コネクタ80Aが設けられ、第2基板92と第3基板95との間に折曲線64を跨いでフレキシブル回路コネクタ80Bが設けられている。
【0073】
図5に示すように、導電回路18Aのうち第1基板91上の導電回路は、第1導電回路93となっており、第2基板92上の第2導電回路94となっている。
【0074】
フレキシブル回路コネクタ80Aは最下層基板30bのうち、折曲線64を介して連結された第1基板91と第2基板92との間に折曲線64を跨いで設けられ、第1基板91側の第1導電回路93と第2基板92側の第2導電回路94とを接続するものである。この場合、第1基板91上の第1導電回路93と第2基板92上の第2導電回路94は互いに離間し、フレキシブル回路コネクタ80Aを設けることにより、初めて導通するようになっている。しかしながら、フレキシブル回路コネクタ80Aがない場合でも、第1基板91上の第1導電回路93と第2基板92上の第2導電回路94を接続しておいてもよい。この場合、フレキシブル回路コネクタ80Aは、第1導電回路93と第2導電回路94が切断した際のバックアップ回路として機能する。
【0075】
なお、上記実施の形態において、基板30は最上層30aと、中間層基板30cと、最下層基板30bを有する例を示したが、中間層基板30cは必ずしも設ける必要はない。また最上層基板30aに導電パターン38を設け、最下層基板30bに導電回路18Aを設けた例を示したが、最上層基板30aに導電パターン38を設けることなく、かつ最下層基板30bに導電回路18Aを設けなくてもよい。
【0076】
<本発明の実施例>
(実施例)
次に本発明の具体的実施例について、
図7および
図8により説明する。
まず
図7に示すように、上述した本実施の形態と同様にして情報記録装置を作製した。この場合、最下層基板30bと成形シート8とを重ね合わせ、平面視でみて成形シート8の収納部5aが破断領域83内に収まるようにした。このとき、収納部5aは直径8mmの円形形状をもち、破断領域83は直径12mmの円形形状をもっていた。
【0077】
また収納部5a内に直径6mmの円形形状をもつ錠剤5が収納されている。
【0078】
さらに収納部5aの中心P1を、破断領域83の中心P2に対して距離lだけ偏心させた。
【0079】
なお、最上層基板30aの開口81を、平面視でみて収納容器5aと同一の位置に配置し、開口81の形状を収納容器5aの形状と同一とした。すなわち開口81を直径8mmの円形形状をもつよう形成した。
【0080】
この状態で収納容器5aを押圧し、収納容器5a内の錠剤5によって、最下層基板30bの破断領域83を破断した。
【0081】
この際、収納容器5a内の錠剤5によって、破断領域83の中心から外れた位置を押圧することができ、また破断領域83の面積は収納部5aの面積より大きいため、容易に破断領域83を破断することができた。
【0082】
次に
図8により、破断領域83に対してその中心から偏心した力を加えた場合の挙動について述べる。
【0083】
図8に示す実施例は、一対の円弧状切欠き83aと、一対の円弧状切欠き83a間に形成された一対のつなぎ83bとを有する破断領域83の破断強度を測定したものである。
【0084】
図8に示すように、まず最下層基板30bと同一の材料からなる基板を準備した。次にこの基板に一対の円弧状切欠き83aと、一対の円弧状切欠き83a間に形成されたつなぎ83bとにより囲まれた破断領域83を形成し、破断領域の3点(1)(2)(3)に押込力を加えた。その場合の破断領域83が破断する破断強度を以下の表に示す。
【表1】
【0085】
この表から明らかなように、破断領域83の中央(点(1))に押込力を加えた場合、その破断強度は最大となり、破断領域83のつなぎ83b近傍(点(2))に押込力を加えた場合、その破断強度はわずかに低下した。また破断領域83の切欠き83a近傍(点(3))に押込力を加えた場合、その破断強度は最も小さくなった。
【0086】
このことからも破断領域83の中心P2から外れた地点に押込力を加えることにより、破断領域83も容易に破断することができることが分かった。
【0087】
(比較例1)
次に本発明の比較例について以下説明する比較例1では、収納部5aと破断領域83が偏心することなく、収納部5aの中心P1と破断領域83の中心P2は平面視でみて同一位置にあった。
それ以外は上述の実施例と同様にして情報記録装置を作製した。
【0088】
次に収納容器5aを押圧し、収納容器5a内の錠剤5によって最下層基板30bの破断領域83を破断した。この場合、破断領域83を破断するため、大きな押込力が必要となった。
【0089】
(比較例2)
比較例2では、収納部5aを直径8mmの円形状に形成し、破断領域83を収納部5aより小さな直径7〜8mmの円形状に形成した。
【0090】
それ以外は上述の実施例と同様にして情報記憶装置を作製した。
【0091】
次に収納容器5aを押圧し、収納容器5a内の錠剤5によって最下層基板30bの破断領域83を破断した。この場合、破断領域83を破断させるため、大きな押込力が必要となった。
【0092】
(比較例3)
比較例3では、収納部5aと破断領域83が偏心することなく、その収納部5aの中心P1と破断領域83の中心P2は平面視でみて同一位置にあった。また収納部5aを直径8mmの円形状に形成し、破断領域83を収納部5aより小さな直径7〜8mmの円形状に形成した。
それ以外は上述の実施例と同様にして情報記録装置を作製した。
【0093】
次に収納容器5aを押圧し、収納容器5a内の錠剤5によって最下層基板30bの破断領域83を破断した。この場合、破断領域83を破断させるため、実施例、比較例1−2に比べてより大きな押込力が必要となった。
【0094】
<本発明の変形例>
次に本発明の変形例について
図9A〜
図9Cにより説明する。
図1乃至
図8に示す実施の形態において、収納容器5aを円形に形成するとともに、破断領域83を円形に形成する例を示したが、これに限らず、収納部5aをだ円形に形成するとともに破断領域83をだ円形に形成しても良い(
図9A参照)。
【0095】
図9Aに示すように、収納部5aは破断領域83内に収まっており、かつ収納部5aの面積は破断領域83の面積より小さい。
【0096】
また、収納部5aの中心P1は、破断領域83の中心P2に対して偏心している。
【0097】
あるいはまた、収納部5aをだ円形に形成するとともに破断領域83をだ円形に形成しても良い(
図9B参照)。
【0098】
図9Bに示すように、収納部5aは破断領域83内に収まっており、かつ収納部5aの面積は破断領域83の面積より小さい。
【0099】
また、収納部5aの中心P1は、破断領域83の中心P2に対して偏心している。
【0100】
あるいはまた、収納部5aをだ円形に形成するとともに破断領域83をだ円形に形成しても良い(
図9C参照)。
【0101】
図9Cに示すように、収納部5aは破断領域83内に収まっており、かつ収納部5aの面積は破断領域83の面積より小さい。
【0102】
また、収納部5aの中心P1は、破断領域83の中心P2に対して偏心している。