(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ヒンダードアミン系耐光安定剤の添加量を、前記ベース樹脂に対する前記環状アミノビニル化合物の含有量比が0.1質量%以上0.2質量%以下となる添加量とする、請求項3に記載の封止材シートの製造方法。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題に対する意識の高まりから、クリーンなエネルギー源としての太陽電池が注目されている。現在、種々の形態からなる太陽電池モジュールが開発され、提案されている。一般に太陽電池モジュールは、透明前面基板と太陽電池素子と裏面保護シートとが、太陽電池モジュール用の封止材シートを介して積層された構成である(
図1参照)。
【0003】
室外において、長期にわたって強い太陽光に晒されることを前提とする太陽電池モジュールに用の封止材シートには、極めて高い耐光性が求められる。この耐光性を備えるための添加剤として、ヒンダードアミン系耐光安定剤(以下「HALS」とも言う)を用いた封止材シートが提案されている。(特許文献1参照)。
【0004】
更に、ヒンダードアミン系耐光安定剤に耐光性向上という本来の効果を発現させつつ、一方でその過剰投与に起因するブリードアウトの発生による封止材シートの光学特性の低下を避けるためには、分子量が1200以上の高分子量のヒンダードアミン系耐光安定剤を一定量の添加量範囲内で用いることが好ましいという知見が開示されている(特許文献2参照)。尚、本明細書において「分子量」とは、別段の断りのない限り、「数平均分子量(Mn)」のことを言うものとする。
【0005】
特許文献1に記載された封止材シートにおいては、ヒンダードアミン系耐光安定剤の添加により、耐光性の向上が可能であり、更に、特許文献2に記載の通り、ヒンダードアミン系耐光安定剤を、高分子量タイプのHALSに限定し、添加量も適切に調節した上で添加することにより、ブリードアウトの発生も抑制することができる。
【0006】
しかしながら、近年においては、太陽電池モジュールに対して、砂漠や熱帯雨林を含む広範な環境条件下での使用を想定したより高水準の耐熱性や、より長期に亘っての耐久性等の従来品では想定されていなかった極めて高度な耐候性が要求されるようになっている。このような要求に対応するためには、先ずは、上述した高分子量タイプのHALSの添加量を更に増量することが考えられる。ところが、一般的な高分子量タイプのHALSは、ブリードアウトはしにくい反面、樹脂に対する相溶性については、必ずしも十分ではなかった。特に、封止材シートに上記のような高度な耐候性を付与すべく、ベース樹脂に大量のHALSを添加しようとする場合に、このように相溶性については不十分であるという問題が顕在化するようになっていた。
【0007】
この問題への対応として、環状アミノビニル化合物とエチレンとの共重合体であるHALS(以下「共重合体型超高分子量タイプのHALS」とも言う)の使用が検討されるに至った(特許文献3参照)。このHALSは、分子量としては30000を超える超高分子量タイプでありながら、ポリエチレン系樹脂との相溶性に極めて優れる。
【0008】
一方で、意匠性或いは発電効率向上の観点から、太陽電池モジュール用の封止材シートには、上述した耐候性のみならず、同時に、高い透明性も合せて求められる場合が多い。封止材シートに高度の透明性が求められる場合、ベース樹脂の密度が低い樹脂に限定してヘーズを十分に小さく抑える必要がある。一般的には、この場合、ベース樹脂とするポリエチレンの密度を、0.900g/cm
3以下、より好ましくは0.880/cm
3の低密度とする必要があった。
【0009】
しかしながら、本発明者による研究の結果、ヘーズが十分に小さい密度0.880cm
3の低密度のポリエチレンをベース樹脂とした場合には、ポリエチレン系樹脂との相溶性に優れる上述の「共重合体型超高分子量タイプのHALS」を用いたとしても、上述の高度な耐候性に係る要求に応えるに足る一定量以上の量を添加した場合には、封止材シートのヘーズが上昇し、上記の低密度のベース樹脂が本来有する十分な透明性を保持できなくなってしまうことが認識されるに至った。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<封止材シート>
本発明の封止材シート(以下、単に「封止材シート」とも言う)は、下記にその詳細を説明する封止材組成物を、従来公知の方法で成型加工してフィルム状又はシート状としたものである。尚、本発明におけるシート状とはフィルム状も含む意味であり両者に差はない。
【0022】
又、封止材シートは、成形温度を90℃から120℃の低温域に限定し、未架橋のまま成形することが好ましい。架橋処理は成形後に別途行うか、或いは、後述の太陽電池モジュールの製造時点で高温加熱して架橋を完了することができる。
【0023】
封止材シートは、密度0.900g/cm
3以下、好ましくは0.890g/cm
3以下のポリエチレン系樹脂をベース樹脂とする。ベース樹脂とするポリエチレンの密度が0.900g/cm
3を超えると、耐光安定剤の添加量を最適化したとしても、封止材シートの十分な透明性を保持することが困難となる。
【0024】
又、封止材シートの密度は、上記密度を上限とする一方で、その下限については、ベース樹脂と混錬して添加剤として用いるヒンダードアミン系耐光安定剤の密度との相関において最適化される。具体的には、ベース樹脂の密度とヒンダードアミン系耐光安定剤の密度との差が0.050g/cm
3未満、好ましくは、0.047g/cm
3未満となるよう調整されればよい。尚、本発明の封止材シート及び封止材組成物においては、使用するヒンダードアミン系耐光安定剤の密度がベース樹脂とするポリエチレンの密度よりも大きいことが前提となるので、本明細書における「ベース樹脂の密度と前記ヒンダードアミン系耐光安定剤の密度との差」とは、当然に、ヒンダードアミン系耐光安定剤の密度からベース樹脂の密度を減じた差のことである。
【0025】
本発明において耐光安定剤として好ましく用いることができる「共重合体型超高分子量タイプのHALS」の代表的なものとして、密度が0.931g/cm
3である「XJ−100H」(分子量:35000、日本ポリエチレン株式会社製)を挙げることができる。耐光安定剤としてこのHALSを用いる場合、封止材シートのベース樹脂の密度は、0.881g/cm
3を超えていればでればよく、0.884g/cm
3を超えていることが好ましい。
【0026】
又、この封止材シートは、製膜後、モジュール化前の段階においては、ゲル分率が0%以上10%以下、より好ましくは0%である未架橋の樹脂フィルムによって形成されている。
【0027】
但し、この未架橋の封止材シートは、所定量の架橋剤を含有するものであり、太陽電池モジュールとしての一体化後までの間におけるいずれかのプロセス中において、架橋が進行することが想定されている、所謂、熱硬化系(或いは架橋系)の樹脂フィルムである。最終製品である太陽電池モジュールの完成品段階における架橋完了後の封止材シートのゲル分率は50%以上90%以下であることが好ましく、60%以上80%以下であることがより好ましい。上述した通りに架橋剤、架橋助剤、及びその他の添加物の組成や添加量を好ましい範囲に調整することにより、ゲル分率が上記範囲となるように適度に架橋反応を抑制することできる。それにより、オレフィンの水蒸気バリアを有しつつ、且つ、EVA以上に低温領域での柔軟性を有し、高温での耐熱性も得ることができ、オレフィン系でありながら低温領域での成形性にも優れる封止材シートとすることができる。
【0028】
ここで、本明細書における「ゲル分率(%)」とは、封止材シート1.0gを樹脂メッシュに入れ、110℃キシレンにて12時間抽出したのち、樹脂メッシュごと取出し乾燥処理後秤量し、抽出前後の質量比較を行い残留不溶分の質量%を測定しこれをゲル分率としたものである。尚、ゲル分率0%とは、上記残留不溶分が実質的に0であり、封止材組成物或いは封止材シートの架橋反応が実質的に開始していない状態であることを言う。より具体的には、「ゲル分率0%」とは、上記残留不溶分が全く存在しない場合、及び、精密天秤によって測定した上記残留不溶分の質量%が0.05質量%未満である場合を言うものとする。尚、上記残留不溶分には、樹脂成分以外の顔料成分等は含まないものとする。これらの樹脂成分以外の混在物が、上記試験により残留不溶分に混在している場合には、例えば、予めこれらの混在物の樹脂成分中における含有量を別途測定しておくことで、これらの混在物を除く樹脂成分由来の残留不溶分について本来得られるべきゲル分率を算出することができる。
【0029】
成膜後未架橋の段階における封止材シートのメルトマスフローレート(MFR)は、JIS−K6922−2により測定した190℃、荷重2.16kgにおけるMFR(本明細書においては、以下、この測定条件による測定値をMFRと言う。)は、5g/10分以上25g/10分以下であることが好ましく、10g/10分以上20g/10分以下であることがより好ましい。MFRが上記の範囲であることにより、ガラス、金属等からなる太陽電池モジュールの他の部材との密着性に優れた封止材シートとすることができる。尚、封止材シートが下記に説明するような多層フィルムである場合のMFRについては、全ての層が一体積層された多層状態のまま、上記処理による測定を行い、得た測定値を当該多層の封止材シートのMFR値とするものとする。
【0030】
本発明の封止材シートは、単層フィルムであってもよいが、コア層と、コア層の両面に配置されるスキン層によって構成される多層フィルムであってもよい。尚、本明細書における多層フィルムとは、少なくともいずれかの最外層、好ましくは両最外層に成形されるスキン層と、スキン層以外の層であるコア層とを有する構造からなるフィルム又はシートのことを言う。
【0031】
封止材シートを多層フィルムとする場合には、本発明の必須の構成要件を満たす範囲内において、各層毎にMFRが異なる層構成とすることがより好ましく、この場合、MFRがより高い層をスキン層として最外層側に配置することが好ましい。本発明の封止材シートは、単層の封止材シートである場合においても、十分に好ましい透明性と耐熱性、及び適度の柔軟性を備えるものではあるが、このように相対的にMFRの高い層を最外層に配置することにより、封止材シートとして上記の好ましい透明性や耐熱性を保持しつつ、更に密着性やモールディング特性を高めることができる。
【0032】
例えば、3層以上の層からなる多層フィルムである封止材シートにおいては、最外層の厚さは、30μm以上120μm以下であり、且つ、最外層以外の全ての層からなる中間層と最外層の厚さの比は、最外層:中間層:最外層=1:3:1〜1:8:1の範囲であることが好ましい。このようにすることにより、封止材シートとしての好ましい耐熱性を保持しつつ、最外層における好ましいモールディング特性を備えることができる。
【0033】
<封止材組成物>
本発明の封止材シートの製造に用いる封止材組成物(以下、単に「封止材組成物」とも言う)は、低密度のポリエチレン系樹脂をベース樹脂とし、架橋剤を必須とする熱硬化系の樹脂組成物である。尚、本明細書において「ベース樹脂」とは、当該ベース樹脂を含有してなる樹脂組成物において、当該樹脂組成物の樹脂成分中で含有量比の最も大きい樹脂及び当該樹脂と混合されて用いられている同種の樹脂のことを言うものとする。後に実施例において例示するように密度の異なるポリエチレン系樹脂を混合樹脂とする場合は混合された樹脂全体をベース樹脂というものとする。但し、本明細書においては、「共重合体型超高分子量タイプのHALS」において環状化合物と共重合しているエチレン鎖については、封止材組成物の樹脂成分の一部は構成するが、これをベース樹脂の一部とは考えないものとする。
【0034】
[ベース樹脂]
封止材組成物は、密度0.900g/cm
3以下、好ましくは、0.890g/cm
3以下であり、上述の通り、添加する耐光安定剤との密度差が所定範囲内となるような密度範囲にあるポリエチレンをベース樹脂とする。上記のような低密度で、且つ、耐光安定剤との密度差が小さいポリエチレンをベース樹脂とすることにより、ベース樹脂由来の本来の透明性を維持しながら、高度の耐候性を封止材シートに備えさせることができる。
【0035】
封止材組成物のベース樹脂の好ましい密度範囲の下限は、上述の通り、ベース樹脂と混錬して用いる耐光安定剤との密度差に応じて相関的に決定される。それらの好ましい組合せの具体例として、例えば、上述の密度0.931g/cm
3の「共重合体型超高分子量タイプのHALS」と、密度0.881g/cm
3超え0.900g/cm
3以下、好ましくは、0.884g/cm
3超え0.890g/cm
3以下である低密度ポリエチレンとの組合せを挙げることができる。
【0036】
ベース樹脂の密度を上記範囲内に調整することにより、ガラス保護基板等、太陽電池モジュールを構成する他の部材との密着性が高まり、又、ラミネート処理における各部材の圧着時におけるセル割れのリスクを低減させることもできる。
【0037】
封止材組成物のベース樹脂として用いるポリエチレンは、エチレンとα−オレフィンとの共重合体である直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)である。又、このベース樹脂は、メタロセン系直鎖低密度ポリエチレン(M−LLDPE)であることが更に好ましい。メタロセン系直鎖低密度ポリエチレンは、シングルサイト触媒であるメタロセン触媒を用いて合成されるものである。このようなポリエチレンは、側鎖の分岐が少なく、コモノマーの分布が均一である。このため、分子量分布が狭く、上記のような超低密度にすることが可能であり封止材シートに対して柔軟性を付与できる。封止材シートに柔軟性が付与される結果、封止材シートとガラス、金属等との密着性が高まる。
【0038】
又、直鎖低密度ポリエチレンは、結晶性分布が狭く、結晶サイズが揃っているので、結晶サイズの大きいものが存在しないばかりでなく、低密度であるために結晶性自体が低い。このため、封止材シートとしてシート状に加工した際の透明性に優れる。したがって、これをベース樹脂とする封止材組成物からなる封止材シートは、太陽電池モジュールにおいて、太陽電池素子の受光面側に配置された場合に、太陽電池素子への入射光の減衰による発電効率の低下を良く防ぐことができる。
【0039】
本明細書における「ポリエチレン系樹脂」には、エチレンを重合して得られる通常のポリエチレンのみならず、α−オレフィン等のようなエチレン性の不飽和結合を有する化合物を重合して得られた樹脂、エチレン性不飽和結合を有する複数の異なる化合物を共重合させた樹脂、及びこれらの樹脂に別の化学種をグラフトして得られる変性樹脂等が含まれる。
【0040】
なかでも、「α−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物とをコモノマーとして共重合してなるシラン共重合体」を封止材組成物のベース樹脂の一部として好ましく用いることができる。このような樹脂を用いることにより、ガラス保護基板や太陽電池素子等といった他の積層部材と封止材シートとの間に十分な強度の接着性を得ることができる。
【0041】
シラン共重合体とは、例えば、特開2003−46105号公報に記載されているものである。当該共重合体を太陽電池モジュールの封止材組成物の成分として用いることにより、強度、耐久性等に優れ、且つ、耐候性、耐熱性、耐水性、耐光性、耐風圧性、耐降雹性、その他の諸特性に優れ、更に、太陽電池モジュールを製造する加熱圧着等の製造条件に影響を受けることなく極めて優れた熱融着性を有し、安定的に、低コストで、種々の用途に適する太陽電池モジュールを製造し得る。
【0042】
シラン共重合体は、少なくともα−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物をコモノマーとし、必要に応じて更にその他の不飽和モノマーをコモノマーとして共重合して得られる共重合体であり、該共重合体の変性体ないし縮合体も含むものである。
【0043】
具体的には、例えば、α−オレフィンの1種ないし2種以上と、エチレン性不飽和シラン化合物の1種ないし2種以上と、必要ならば、その他の不飽和モノマーの1種ないし2種以上とを、所望の反応容器を使用し、例えば、圧力500〜4000Kg/cm
2位、好ましくは、1000〜4000Kg/cm
2位、温度100〜400℃位、好ましくは、150〜350℃位の条件下で、ラジカル重合開始剤及び必要ならば連鎖移動剤の存在下で、同時に或いは段階的にランダム共重合させ、更には、必要に応じて、その共重合によって生成するランダム共重合体を構成するシラン化合物の部分を変性ないし縮合させて、α−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物との共重合体又はその変性ないし縮合体を製造することができる。
【0044】
又、α−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物との共重合体又はその変性ないし縮合体としては、例えば、α−オレフィンの1種ないし2種以上と、必要ならば、その他の不飽和モノマーの1種ないし2種以上とを、所望の反応容器を使用し、上記と同様に、ラジカル重合開始剤及び必要ならば連鎖移動剤の存在下で、同時に或いは段階的に重合させ、次いで、その重合によって生成するポリオレフィン系重合体に、エチレン性不飽和シラン化合物の1種ないし2種以上をグラフト共重合させ、更には、必要に応じて、その共重合体によって生成するグラフト共重合体を構成するシラン化合物の部分を変性ないし縮合させて、α−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物との共重合体又はその変性ないし縮合体を製造することができる。
【0045】
α−オレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンより選択される1種以上を用いることができる。
【0046】
エチレン性不飽和シラン化合物としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルトリペンチロキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルトリベンジルオキシシラン、ビニルトリメチレンジオキシシラン、ビニルトリエチレンジオキシシラン、ビニルプロピオニルオキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリカルボキシシランより選択される1種以上を用いることができる。
【0047】
その他の不飽和モノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、ビニルアルコールより選択される1種以上を用いることができる。
【0048】
上記の重合や共重合を促進させるラジカル重合開始剤としては、例えば、ラウロイルパーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルヒドロパーオキシド、t−ブチルパーオキシイソブチレート等の有機過酸化物、分子状酸素、アゾビスイソブチロニトリル、アゾイソブチルバレロニトリル等のアゾ化合物等を用いることができる。
【0049】
連鎖移動剤としては、例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン等のパラフィン系炭化水素、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン等のα−オレフィン、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、n−ブチルアルデヒド等のアルデヒド、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン、芳香族炭化水素、塩素化炭化水素等を用いることができる。
【0050】
ランダム共重合体を構成するシラン化合物の部分を変性ないし縮合させる方法、或いは、グラフト共重合体を構成するシラン化合物の部分を変性ないし縮合させる方法としては、例えば、錫、亜鉛、鉄、鉛、コバルト等の金属のカルボン酸塩、チタン酸エステル及びキレート化物等の有機金属化合物、有機塩基、無機酸、及び、有機酸等のシラノール縮合触媒等を使用し、α−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物とのランダム共重合体或いはグラフト共重合体を構成するシラン化合物の部分のシラノール間の脱水縮合反応等を行うことにより、α−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物との共重合体の変性ないし縮合体を製造する方法が挙げられる。
【0051】
シラン共重合体としては、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、及びグラフト共重合体のいずれであっても好ましく用いることができるが、グラフト共重合体であることがより好ましく、重合用ポリエチレンを主鎖とし、エチレン性不飽和シラン化合物が側鎖として重合したグラフト共重合体が更に好ましい。このようなグラフト共重合体は、接着力に寄与するシラノール基の自由度が高くなるため、太陽電池モジュールにおける他の部材への太陽電池モジュール用の封止材シートの接着性を向上することができる。
【0052】
α−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物との共重合体を構成する際のエチレン性不飽和シラン化合物の含量としては、全共重合体質量に対して、例えば、0.001〜15質量%位、好ましくは、0.01〜5質量%位、特に好ましくは、0.05〜2質量%位が望ましいものである。
【0053】
[架橋剤]
封止材組成物に用いる架橋剤としては、活性酸素量が8.5%以上15.00%以下、好ましくは8.5%以上10.00%以下であることが好ましい。活性酸素量が上記範囲にある架橋剤を用いることによって、封止材シートにより優れた耐熱性と耐光性、及び透明性を備えさせることができる。
【0054】
又、封止材組成物に用いる架橋剤の1時間半減期温度については、125℃以上145℃以下のものを用いることが好ましい。これにより、本発明の封止剤組成物を、120℃以下での溶融押出し成形が可能な組成物とすることができる。
【0055】
又、上記条件を満たす好ましい架橋剤の具体例として、n−ブチル4,4−ジ(t−ブチルパーオキシ)バレレート、エチル3,3−ジ(t−ブチルパーオキシ)ブチレート、2,2−ジ(t−ブチルパーオキシ)ブタン等のパーオキシケタール類、ジ‐t‐ブチルパーオキサイド、t‐ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(t‐ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(t‐パーオキシ)ヘキシン‐3等のジアルキルパーオキサイド類を、封止材組成物に添加する架橋剤として好ましく用いることができる。
【0056】
封止材組成物における上記の架橋剤の含有量は、封止材組成物中のベース樹脂に対して0.2質量%以上0.5質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.3質量%以上0.4質量%以下の範囲である。この範囲の架橋剤を添加することにより、封止材シートに十分な耐久性を付与することができる。尚、本発明の封止材シートは、実質的な架橋を進行させずに成膜するものであり、成膜後のシート段階における封止材シート中の上記の架橋剤の含有量も0.2質量%以上0.5質量%以下の範囲となることが想定されている。
【0057】
[架橋助剤]
封止材組成物には、炭素−炭素二重結合及び/又はエポキシ基を有する多官能モノマー、より好ましくは多官能モノマーの官能基がアリル基、(メタ)アクリレート基、ビニル基である架橋助剤を含有させることが好ましい。これによって適度な架橋反応を促進させて封止材シートのガラスや金属に対する密着性を向上させることに加えて、この架橋助剤が、封止材シートを形成する直鎖低密度ポリエチレンの結晶性を低下させ透明性を維持する。これにより、上記の密着性の向上の効果に加えて、封止材シートの透明性と低温柔軟性をより優れたものとすることができる。
【0058】
封止材組成物に用いることができる架橋助剤としては、具体的には、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、トリアリルシアヌレート、ジアリルフタレート、ジアリルフマレート、ジアリルマレエート等のポリアリル化合物、トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPT)、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート等のポリ(メタ)アクリロキシ化合物、二重結合とエポキシ基を含むグリシジルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル及びエポキシ基を2つ以上含有する1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル等のエポキシ系化合物を挙げることができる。これらは単独でもよく、2種以上を組合せてもよい。又、上記架橋助剤の中でも、封止材シートのガラス密着性向上にも顕著に寄与し、直鎖低密度ポリエチレンに対する相溶性が良好で、架橋によって結晶性を低下させ透明性を維持し、低温での柔軟性を付与する観点からTAICを好ましく使用することができる。
【0059】
封止材組成物における架橋助剤の含有量は、封止材組成物中のベース樹脂に対して、0.01質量%以上3質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.05質量%以上2.0質量%以下である。この範囲内であれば適度な架橋反応を促進させて封止材シートの密着性を向上させることができる。
【0060】
[ヒンダードアミン系耐光安定剤(HALS)]
本発明の封止材組成物は、環状アミノビニル化合物とエチレンとの共重合体であって分子量30000以上で、密度0.930g/cm
3以上0.940g/cm
3以下、好ましくは、0.930g/cm
3以上0.932g/cm
3以下である耐光安定剤(「共重合体型超高分子量タイプのHALS」)を含有する。
【0061】
この「共重合体型超高分子量タイプのHALS」は、分子量30000を超える超高分子量タイプの耐光安定剤でありながら、特にポリエチレン系樹脂との相溶性に優れるHALSである。このこと自体は、既知ではあったが、本発明の封止材組成物は、更に、このHALSとベース樹脂との密度差が一定範囲内となるように封止材組成物の配合を独自の知見に基づき最適化したものである。
【0062】
この「共重合体型超高分子量タイプのHALS」は、より詳細には、下記の一般式(1)で表される環状アミノビニル化合物と、エチレンとの共重合体である耐光安定剤である。このような要件を満たし市場で入手可能な耐光安定剤の例として、例えば、「XJ−100H」(分子量:35000、密度が0.931g/cm
3、日本ポリエチレン株式会社製)を挙げることができる。
【0063】
【化1】
(1)
(式(1)中、R1及びR2は水素原子又はメチル基を示し、R3は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
【0064】
封止材組成物に添加する耐光安定剤として、上記の「共重合体型超高分子量タイプのHALS」を用いる場合、耐光安定剤の添加量は、封止材組成物のベース脂成に対する上記の環状アミノビニル化合物の含有量比が0.1質量%以上0.2質量%以下、好ましくは、0.13質量%以上0.20質量%以下となるような添加量とすればよい。「共重合体型超高分子量タイプのHALS」の添加量を上記範囲下限以上とすることによって、耐光安定化の効果が十分に得られる。又、上記範囲上限以下とすることによって、ブリードアウト及びそれによる透明性の低下を十分に抑制することができる。尚、本明細書においては、HALS中の「環状アミノビニル化合物」を指して、当該HALSの「HALS成分」と称するものとする。
【0065】
[その他の添加物]
封止材組成物には、更にその他の成分を含有させることができる。例えば、紫外線吸収剤、熱安定剤、密着性向上剤、核剤、分散剤、レベリング剤、可塑剤、消泡剤、難燃剤、及びその他の各種フィラーを適宜添加することができる。これらの添加剤の含有量比は、その粒子形状、密度等により異なるものではあるが、それぞれ封止材組成物中に0.001質量%以上60質量%以下の範囲内であることが好ましい。これらの添加剤を含むことにより、封止材組成物に対して、長期に亘って安定した機械強度や、黄変やひび割れ等の防止効果等を付与することができる。
【0066】
<封止材シートの製造方法>
本発明の封止材シートの製造方法は、上記においてその詳細を説明した本発明の封止材組成物を用いる製造方法であって、耐光安定剤選定工程、ベース樹脂選定工程、材料混錬工程、シート化工程と、を含んでなるプロセスである。
【0067】
[耐光安定剤選定工程]
耐光安定剤選定工程においては、封止材組成物においてベース樹脂とするポリエチレン系樹脂に添加する耐光安定剤として、「共重合体型超高分子量タイプのHALS」を選定する。耐光安定剤の選定の基準は、当該耐光安定剤が、環状アミノビニル化合物とエチレンとの共重合体であって、分子量が30000以上、密度が0.930g/cm
3以上であるという要件を満たすものであることである。そのような耐光安定剤の具体例としては、上述の通り、「XJ−100H」(分子量:35000、密度が0.931g/cm
3、日本ポリエチレン株式会社製)を挙げることができる。
【0068】
[ベース樹脂選定工程]
ベース樹脂選定工程においては、封止材組成物においてベース樹脂とするポリエチレン系樹脂を選定する。ベース樹脂の選定の基準は、当該ベース樹脂が、密度0.900g/cm
3以下、好ましくは0.890g/cm
3以下の低密度ポリエチレンであって、且つ、前工程において選定したヒンダードアミン系耐光安定剤との密度差が、0.050g/cm
3未満、好ましくは、0.047g/cm
3未満であることである。
【0069】
[材料混錬工程]
材料混錬工程においては、前工程において選定したベース樹脂に、架橋剤と、前々工程において選定したヒンダードアミン系耐光安定剤を添加して混錬することによって、封止材組成物を製造する。
【0070】
[シート化工程]
シート化工程においては、前工程において製造した封止材組成物を溶融成形して、封止材シートを製造する。封止材組成物の溶融成形は、公知の成形法、即ち、射出成形、押出成形、中空成形、圧縮成形、回転成形等の各種成形法により行うことができる。成形時の成形温度の下限は封止材組成物の融点を超える温度であればよい。成形温度の上限は使用する架橋剤の1分間半減期温度に応じて、製膜中に架橋が開始しない温度、即ち、封止材組成物のゲル分率を0%に維持できる温度であればよい。
【0071】
<太陽電池モジュール>
図1は、本発明の太陽電池モジュールについて、その層構成の一例を示す断面図である。本発明の太陽電池モジュール1は、入射光の受光面側から、透明前面基板2、前面封止材3、太陽電池素子4、背面封止材5、及び裏面保護シート6が順に積層されている。本発明の太陽電池モジュール1は、前面封止材3及び/又は背面封止材5として、本発明の封止材シートを用いることができる。特に太陽電池素子4の受光面側に配置される前面封止材3として、透明性に優れる本発明の封止材シートを配置することによって、意匠性の向上のみならず、発電効率の向上にも寄与することができる。
【0072】
太陽電池モジュール1は、例えば、上記の透明前面基板2、前面封止材3、太陽電池素子4、背面封止材5、及び裏面保護シート6からなる部材を順次積層してから真空吸引等により一体化し、その後、ラミネーション法等の成形法により、上記の部材を一体成形体として加熱圧着成形して製造することができる。そして、このとき、単層シートからなる前面封止材3とガラス基板が積層されるか、又は、多層シートからなる前面封止材3の上記密着強化層が、透明前面基板2の一例であるガラス基板と対向するように積層されることで、ガラス基板と封止材シートとの密着性を向上できる。尚、上記の加熱圧着は、110℃以上で実施し、加熱圧着後に、キュア工程を実施するとポリエチレンの架橋反応が更に進む。キュア工程は、封止材シートの樹脂温度が140℃以上170℃以下となるような加熱条件において行う。これにより、封止材シートの架橋を適度に進行させて、太陽電池モジュールの耐熱性と耐光性を十分に高めることができる。
【0073】
このようにして得られる、本発明の太陽電池モジュールは、耐熱性と耐光性に優れ、強い紫外線、熱線、風雨等といった過酷な環境に曝される場合であっても、長期間に亘って高度の耐候性を維持することができるものとなっている。又、透明性においても優れたものであることにより太陽電池モジュールの意匠性と発電効率の向上にも寄与することができる。
【実施例】
【0074】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0075】
[封止材シートの製造]
下記の材料からなる封止材組成物を溶融し、実施例及び比較例の封止材シートを製造した。この封止材シートの製造は、常法Tダイ法により厚さ460μmとなるように成膜し、これにより、未架橋の単層の封止材シートとした。成膜温度は90℃〜100℃とした。
【0076】
(ベース樹脂1)
:密度0.885g/cm
3、190℃でのMFRが20g/10分のメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン(M−LLDPE)85質量部と、下記のシラン変性透明樹脂(密度0.884g/cm
3)15質量部との混合樹脂を「ベース樹脂1」とした。このベース樹脂1の密度は、0.885g/cm
3である。実施例1及び比較例1及び2においてこの「ベース樹脂1」をベース樹脂として用いた。
(ベース樹脂2)
:密度0.879g/cm
3、190℃でのMFRが20g/10分のメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン(M−LLDPE)85質量部と下記のシラン変性透明樹脂15質量部との混合樹脂を「ベース樹脂2」とした。このベース樹脂2の密度は、0.880g/cm
3である。比較例3、4及び5においてこの「ベース樹脂2」をベース樹脂として用いた。
(ベース樹脂3)
:密度0.915g/cm
3、190℃でのMFRが20g/10分のメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン(M−LLDPE)85質量部と下記のシラン変性透明樹脂15質量部との混合樹脂を「ベース樹脂3」とした。このベース樹脂3の密度は、0.910g/cm
3である。比較例6においてこの「ベース樹脂3」をベース樹脂として用いた。
(シラン変性透明樹脂)
:密度0.881g/cm
3であり、190℃でのMFRが2g/10分であるメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン(M−LLDPE)98質量部に対して、ビニルトリメトキシシラン2質量部と、ラジカル発生剤(反応触媒)としてのジクミルパーオキサイド0.1質量部とを混合し、200℃で溶融、混練して得たシラン変性透明樹脂。このシラン変性透明樹脂の密度は、0.884g/cm
3、190℃でのMFRは18g/10分である。又、この樹脂は、「α−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物とをコモノマーとして共重合してなるシラン共重合体」含有する樹脂に該当する樹脂である。
【0077】
(ヒンダードアミン系耐光安定剤1(HALS))
:「XJ100H(日本ポリエチレン株式会社製)」、分子量35000、密度0.931g/cm
3。このHALSは、上記の一般式(1)で表される環状アミノビニル化合物と、エチレンとの共重合体であり、環状アミノビニル化合物含量=5.1重量%(0.7モル%)である。又、このHALSは、上記の「共重合体型超高分子量タイプのHALS」に該当するHALSである。このヒンダードアミン系耐光安定剤(HALS)を上記の各ベース樹脂に混合して用いた。各封止材組成物においてベース樹脂に対する「HALS成分(「環状アミノビニル化合物」)」の含有量(質量%)が表1に示した数値となるようにHALSの添加量を調整した。
【0078】
(架橋剤)
「ルペロックス101(アルケマ吉富株式会社製)」、ジアルキルパーオキサイド類ブチルパーオキサイド、分子量290.4、活性酸素量9.92以上、1時間半減期温度140℃。この架橋剤を、封止材組成物のベース樹脂に対する含有量(質量%)が、0.4質量%となるように添加量をそれぞれ調整した。
【0079】
[封止材シート評価用試料の製造]
太陽電池モジュールとして一体化された状態での各封止材シートの物性を評価するために、上記の通り製造した実施例及び比較例の未架橋の各封止材シートを、ETFEフィルムで挟み込んで、真空加熱ラミネーション及びその後のキュア処理により架橋処理を行ったものを実施例及び比較例の封止材シート評価用試料とした。真空加熱ラミネート条件、及び、キュア条件は下記の通りとした。
(真空加熱ラミネート条件) (a)真空引き:4.0分
(b)加圧:(0kPa〜50kPa):10秒
(c)圧力保持:(50kPa):6分
(d)温度:110℃
(キュア条件) (a)時間40分、温度150℃
【0080】
【表1】
【0081】
[評価例1:透明性]
上記の各封止材シート評価用試料について、透明性(HAZE)(JIS K7136、株式会社村上色彩研究所、ヘーズ・透過率系HM150により測定)を測定した。結果は「透明性」として表2に示す。評価基準は以下の通りとした。
(評価基準)
A:ヘーズ3.6%以下
B:ヘーズ3.6%超え4.5%以下
C:ヘーズ4.5%超え
【0082】
[評価例2:高度耐候性]
上記の各封止材シート評価用試料について、高度耐候性に係る試験を行った。各封止材シート評価用試料を、ガラス基板(白板半強化ガラス(JPT3.2 75mm×50mm×3.2mm))に、密着させて、下記の真空加熱ラミネート条件及びキュア条件で、真空加熱ラミネート処理を行い、それぞれの実施例、比較例について密着性試験用の試料を作成した。そして、これらの各試料について、下記試験方法により、初期の密着性、及び、耐候促進試験(「高強度キセノン照射試験」)実施後の密着性を測定し、両者の比から密着性の維持率を算出して、各封止材シートの高度耐候性について評価した。
(真空加熱ラミネート条件) (a)真空引き:4.0分
(b)加圧:(0kPa〜50kPa):10秒
(c)圧力保持:(50kPa):6分
(d)温度:110℃
(キュア条件) (a)時間40分、温度150℃
(剥離試験方法)
:ガラス基板上に密着している封止材シートを15mm幅にカットし、剥離試験機(テンシロン万能試験機 RTF−1150−H)にて垂直剥離(50mm/min)試験を行い、封止材シートの密着性を測定した。
(高強度キセノン照射試験)
:アトラス・ウエザオメータCi4000を用い、放射照度60W/m
2、ブラックパネル温度(BPT)110℃、湿度50%の条件で2000時間の照射試験を行った。
上記の条件で高強度キセノン照射試験を行い、2000時間経過後に上記「剥離試験方法」による密着性試験を行った。この密着性の上記初期の密着性に対する比(%)を「高度耐候(密着維持率)」の指標とし、下記評価基準により評価した。結果は表2に示す通りであった。
(評価基準)
A:初期の密着性に対する、上記の「高強度キセノン照射試験」後の密着性の維持率が、50%以上
B:同密着性維持率が、25%以上50%未満
C:同密着性維持率が、25%未満
【0083】
【表2】
【0084】
表1及び2より、本発明の封止材シートは、ポリエチレンをベース樹脂とし、透明性に優れ、尚且つ、極めて高度な耐候性を有する太陽電池モジュール用の封止材シートであることが分かる。