特許第6972865号(P6972865)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6972865-パウチ及び詰替作業補助包材 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6972865
(24)【登録日】2021年11月8日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】パウチ及び詰替作業補助包材
(51)【国際特許分類】
   B65D 33/00 20060101AFI20211111BHJP
【FI】
   B65D33/00 Z
【請求項の数】5
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-191528(P2017-191528)
(22)【出願日】2017年9月29日
(65)【公開番号】特開2019-64676(P2019-64676A)
(43)【公開日】2019年4月25日
【審査請求日】2020年7月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090893
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 敏
(72)【発明者】
【氏名】能登 勉
(72)【発明者】
【氏名】高橋 寛子
【審査官】 田中 一正
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−180127(JP,A)
【文献】 特開2012−081982(JP,A)
【文献】 特開2009−001308(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3053819(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3199065(JP,U)
【文献】 米国特許第08061563(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面部と裏面部を有し、天部シール部、側部シール部、底部シール部を有するパウチであって、前記天部シール部と前記側部シール部は前記表面部及び前記裏面部の上縁部と左右縁部がシールされ、前記底部シール部は、前記表面部及び裏面部の下端縁より所定幅を残した部分に幅方向にシールされ、前記所定幅内に切り取り線を設け、前記切り取り線を介して切り取られる切り取り部を有し、前記切り取り線上に穴又は前記切り取り線の下側に凹部を設けたこと特徴とするパウチ。
【請求項2】
前記切り取り線は、ミシン目、又はハーフカットであることを特徴とする請求項1記載のパウチ。
【請求項3】
前記穴は、円形状、楕円形状、矩形状であること特徴する請求項1記載のパウチ。
【請求項4】
前記切り取り部は、前記側部シール部の一部である接合端部が両端に設けられたことを特徴とする請求項1記載のパウチ。
【請求項5】
表面部と裏面部を有し、天部シール部、側部シール部、底部シール部を有するパウチであって、前記天部シール部と前記側部シール部は前記表面部及び前記裏面部の上縁部と左右縁部がシールされ、前記底部シール部は、前記表面部及び裏面部の下端縁より所定幅を残した部分に幅方向にシールされ、前記所定幅内に切り取り線を設け、前記切り取り線を介して切り取られる切り取り部を有する前記パウチの前記切り取り部からなる詰替作業補助包材であって、前記切り取り部を裏返したことを特徴する詰替作業補助包材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
トイレタリー、調味料等の詰め替え作業に関し、被詰め替え容器の詰め替え作業を円滑に遂行するためのパウチ及び詰替作業補助包材に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各種の液体や、その他の内容物を収納する合成樹脂製の容器について、環境負荷の低減が図られるようになっており、使用する樹脂量を減らした薄肉の容器が種々開発されている。詰替え用の袋容器は、収納した内容物を被詰替え容器に詰め替えたり補充したりすることで、ポンプ装置等による吐出機構や、注出スパウト等による注出部を備える高価な被詰替え容器をその都度廃棄することなく、長期間使用できるようになっている。
しかし、詰め替え作業においては、詰め替えのパウチを開封し、被詰め替え容器の吐出機構を外し、パウチから容器へ内容物を詰め替えてから吐出機構を容器に取り付けるという一連の作業があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-210946
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
詰替え作業の際、被詰め替え容器のポンプ部(吐出機構)をつい直接洗面台や床に置いてしまい、台等に置いた際ノズルや吸引ノズル付着した内容物が台等に付着したりポンプ部を容器に取り付ける際にノズルや吸引ノズルから内容物が出てきてしまい、台や床を汚してしまう事があった。本発明は、詰替え作業時に洗面台や床を汚すことがないパウチ及び詰替作業補助包材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための発明は、表面部と裏面部を有し、天部シール部、側部シール
部、底部シール部を有するパウチであって、前記天部シール部と前記側部シール部は前記
表面部及び前記裏面部の上縁部と左右縁部がシールされ、前記底部シール部は、前記表面
部及び裏面部の下端縁より所定幅を残した部分に幅方向にシールされ、前記所定幅内に切
り取り線を設け、前記切り取り線を介して切り取られる切り取り部を有し、前記切り取り線上に穴又は前記切り取り線の下側に凹部を設けたパウチを提供する。
【0006】
前記切り取り線は、ミシン目、又はハーフカットであるものも含む。前記穴は、円形状
のもの、楕円形上のもの、矩形状であってもよい。前記切り取り部は、側部シール部の一部である接合端部が両端に設けたものでもよい。
【0007】
上記課題を解決するための発明は、表面部と裏面部を有し、天部シール部、側部シール部、底部シール部を有するパウチであって、前記天部シール部と前記側部シール部は前記表面部及び前記裏面部の上縁部と左右縁部がシールされ、前記底部シール部は、前記表面部及び裏面部の下端縁より所定幅を残した部分に幅方向にシールされ、前記所定幅内に切り取り線を設け、前記切り取り線を介して切り取られる切り取り部を有する詰替作業補助包材であって、切り取り部を裏返した詰替作業補助包材であってもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、通常の開封作業または、多くてもプラス2工程で詰替作業補助包材が取り分けられ、ワンアクションまたはツーアクションにて詰め替え作業補助部位(スタンド)が完成し、ポンプの液ダレを防止する事ができた。
【0009】
パウチ自体にポンプ部を立てられるような部位を作り、切り離して使用することが出来るので、製袋加工時に同時加工が可能で、オフラインでの加工は不要である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1(a)は、パウチ10の正面図、図1(b)は、切り取り部30の正面斜視図、図1(c−1)は切り取り部30の右斜視図、図1(c−2)は切り取り部30を裏返して出来た詰替作業補助包材を示した説明図である。
図2図2(a)は被詰め替え容器40の斜視図、図2(b)は被詰め替え容器40のポンプ42を、図1(b)の切り取り部30を使用して立てかけた状態を説明した説明図である。
図3図3(a)は1つの部材でパウチを作成した例の説明図、図3(b)は2つの部材でパウチを作成した例の説明図、図3(c)は3つの部材でパウチを作成した例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ、この発明の実施の形態について詳述する。図1(a)は、パウチ10の正面図である。図1(b)は、切り取り部30の正面斜視図、図1(c−1)は切り取り部30の右斜視図、図1(c−2)は切り取り部30を裏返した状態を示した説明図である。
【0012】
パウチ10は、表面部12と裏面部14から構成されている。表面部12と裏面部14は、天部シール部15、側部シール部16、底部シール部18で構成されたパウチ10になっている。天部シール部15と側部シール部16は表面部12及び裏面部14の上縁部と左右縁部がシールされている。底部シール部18は、表面部12及び裏面部14の下端縁より所定幅を残した部分に幅方向にシールされ、所定幅内に切り取り線20を設け、切り取り線20を介して切り取られる切り取り部30が設けられている。なお側部シール部16は、パウチ10の下縁端までシールされている。
【0013】
切り取り線20は、ミシン目、或いはハーフカット等の方法により、変形パウチ10本体から切り離すことが出来る。
【0014】
22は穴であり、表面部12及び裏面部14を貫通している。穴部の形状は、円形状のもの、楕円形上のもの、矩形状のものが好ましいが、それには限定されない。
【0015】
このようなパウチは、トイレタリー、調味料等の詰め替え容器に利用されているが、パウチとは、小型の袋のことで,レトルトパウチ包装をするための袋をいう場合が多い。材料はアルミニウム,プラスチックフィルム,蒸着フィルムなどで,複合材料となっているものが多い。材料の点は後述する。
【0016】
なお、本実施形態では表面部12と裏面部14の1つまたは2つの部材でパウチを作成したが、底面部を使用して3つの部材でパウチを作成してもよい。図3は、図3(a)が、1つの部材でパウチを作成した例である。図3(b)が、2つの部材(12、14)でパウチを作成した例である。図3(c)が、3つの部材(12、14、17)でパウチを作成した例である。この場合は、底面部17を表面部12と裏面部14の下部に挟み込みようにして、底部シール部18を設けたものである。
【0017】
図1(a)のパウチ10は、切り取り線20で本体から切り離されると、図1(b)のような切り取り部30となる。切り取り部30の切り取り線上に凹部32が対称の位置に設けられ、側部シール部16の一部である接合端部34が両端に設けられている。図1(a)では、切り取り線を中心にして穴22を設けたが穴の形状は丸、四角等適宜選択できる。なお、穴切り取り線を跨いでいれば、切り取り部に凹部32が形成される。
【0018】
また、図1(a)では穴22を設けたが、穴を設けなくてもよい。穴を設けない場合は、図1(c−1)のような切り取り部(詰替作業補助包材)30は、図1(b)の切り取り部30に凹部32がないものであるが、図1(c−1)を裏返すことで、図1(c− 2)のような切り取り部(詰替作業補助包材)30となる。
図2(a)は被詰め替え容器40の斜視図であり、図2(b)は被詰め替え容器40のポンプ42を、図1(b)の切り取り部(詰替作業補助包材)30を使用して立てかけた状態を説明した説明図である。
【0019】
被詰め替え容器40は、詰め替える時に、ポンプ42をネジによる嵌合状態から解除して、外に引き出す。この時にポンプ42内の内容物がポンプのホース部分に残留されていることが多く、液だれを頻発していた。この液だれ状態を軽減するために、切り取り部(詰替作業補助包材)30を平面に載置し、切り取り部(詰替作業補助包材)30の穴又は凹部32にポンプの首部分を載置して立てかけることにより、液だれ状態を軽減できる。
【0020】
ここでは、図1(b)の切り取り部(詰替作業補助包材)30を使用したが、図1(c−2)の切り取り部(詰替作業補助包材)30を使用すると、ここでは、両端にあった接合端部34が中央になり、しかも左右リング状になり中心部はくびれた状態のくびれ嵌合部36になる。この部分に前述したポンプの首部分を載置して立てかけることにより、液だれ状態を軽減できる。
【0021】
以上のように本発明は、パウチ10の材質自体は従来品のままで良く、パウチ10自体にポンプ42を立てられるような部位を作り、切り離してワンアクションまたはツーアクションにて簡易スタンドを作る事ができ、ポンプ42の液ダレ防止用に使用することが出来る。製袋加工時に同時加工が可能で、オフラインでの加工は不要である。本発明のパウチ10の表面部12と裏面部14の基本構成は表面基材、バリア基材、シーラント基材の3層だが、適宜印刷層を追加したり、耐ピンホール対策層を追加する事も出来る。
【0022】
表面基材には、印刷する事も有るので2軸延伸ポリエステル(PET)か2軸延伸ナイロン(ONY)、2軸延伸ポリブチレンテレフタレート(PBT)、を使用する。
【0023】
バリア基材には、アルミ箔か、アルミ蒸着PET、アルミ蒸着ONY、透明蒸着PET、透明蒸着ONYを使用する。なお透明蒸着はシリカでもアルミナでも良い。
【0024】
シーラント基材は、低密度ポリエチレン(LLDPE)や超低密度ポリエチレン、未延伸ポリプロピレン(CPP)を使用する。
【0025】
耐ピンホール対策層としては、2軸延伸ナイロン(ONY)や未延伸ナイロン(CNY)、2軸延伸ポリエステル(PET)2軸延伸ポリブチレンテレフタレート(PBT)を使用する。印刷する場合は、2液硬化型ウレタン系や2液硬化型ウレタン-アクリル系インキを使用する。
【0026】
各層間のラミネート方式としては、耐圧性・耐落下性・開封性等を考慮してドライラミネート方式を使用する。接着剤には2液硬化型ポリウレタン接着剤を使用する。
【0027】
本発明のパウチ10の表面部12及び裏面部14の層構成の具体例は以下の構成となる。
構成I・・PET/接着剤/AL/接着剤/PEF
構成II・・PET/接着剤/AL/接着剤/ONY/接着剤/PEF
構成III・・PET/接着剤/透明蒸着PET/接着剤/PEF
構成IV・・ONY/接着剤/AL/接着剤/PEF
構成V・・PET/接着剤/AL/接着剤/ONY/接着剤/CPP
構成VI・・PET/接着剤/ONY/AL/接着剤/接着剤/CPP
本発明のパウチ10の表面部12及び裏面部14の加工方法は、以下の通りである。最初に印刷工程で印刷基材に2液硬化型ウレタン系インキで印刷する。印刷方式は、グラビア印刷かフレキソ印刷が可能である。さらに印刷面側に、バリア基材、シーラント基材とドライラミネートする。ラミネート方式は、ドライラミネートでバリア基材、突き刺し強度補完基材、シーラントの順に貼り合わせていく。
【0028】
本発明のパウチ10の表面部12及び裏面部14の実施例は、
仕様:ONY15μm/インキ/接着剤/透明蒸着PET12μm/接着剤/PEF130μm
グラビア印刷をもちいて、ONY15μm(エンブレムON)のコロナ処理面へウレタン系インキ(ECOS/ALFA硬化剤=主剤/硬化剤:DICグラフィックス社製)で印刷。印刷面側に、バリア基材として透明蒸着PET12μm(1312)を、2液硬化型ポリウレタン接着剤(RU077/H7=主剤/硬化剤:ロックペイント製)を用いてドライラミネートする。更に透明蒸着PET側に、ヒートシール基材としてPEF130μm(DP400)を同じく2液硬化型ポリウレタン接着剤(RU077/H7=主剤/硬化剤:ロックペイント製)を用いてドライラミネートする。製袋工程で使用する抜き加工機の型を、詰替作業補助包材が作成できるように作成し、従来と同じ条件で製袋作業を行なった。
【0029】
また、この発明は上述の例に限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲内であらゆる形態を取ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明はパウチの一部を利用することで、ポンプの液だれを軽減或いは除去できるので、利用価値が高い。本発明の技術思想を利用することで、汎用性の高い発明の創作が可能である。
【符号の説明】
【0031】
10 パウチ
12 表面部
14 裏面部
15 天部シール部
16 側部シール部
17 底面部
18 底部シール部
20 切り取り線
22 穴部
30 切り取り部(詰替作業補助包材)
32 凹部
34 接合端部
36 くびれ嵌合部
40 被詰め替え容器
42 ポンプ
図1
図2
図3