特許第6972887号(P6972887)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6972887
(24)【登録日】2021年11月8日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】超音波噴霧装置
(51)【国際特許分類】
   B05B 17/06 20060101AFI20211111BHJP
   A61L 9/14 20060101ALN20211111BHJP
【FI】
   B05B17/06
   !A61L9/14
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-199166(P2017-199166)
(22)【出願日】2017年10月13日
(65)【公開番号】特開2019-72655(P2019-72655A)
(43)【公開日】2019年5月16日
【審査請求日】2020年5月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000106324
【氏名又は名称】サンスター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100177264
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 嘉秀
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 久由
(74)【代理人】
【識別番号】100163577
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 正人
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 貴史
(72)【発明者】
【氏名】西浦 正洋
【審査官】 清水 晋治
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−527020(JP,A)
【文献】 特開平05−153858(JP,A)
【文献】 実開平06−063168(JP,U)
【文献】 特開平09−075827(JP,A)
【文献】 特開2010−088979(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 17/00−17/08
A61L 9/00−9/22
B05C 7/00−21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波振動により液体を噴霧可能な超音波噴霧装置であって、
本体部と、前記本体部に設けたハンドル部と、前記本体部から延びる、内部に液体供給路を設けた細長いノーズ部とを有する本体ケースと、
前記本体部に一体的或いは着脱自在に設けた、前記液体供給路に連通する液体タンクと、
前記ノーズ部の長さ方向に間隔をあけて前記ノーズ部内に設けた複数の貯留室と、
前記複数の貯留室に対応させて設けた、前記液体供給路と前記貯留室とを連通する連通孔を開閉して、前記貯留室における液体の充填量を調整可能な複数の調整機構と、
複数の微細孔を設けた振動板と、前記振動板を超音波振動させる圧電素子とを有し、前記貯留室内の液体を、前記微細孔を通じて外部へ噴霧する、前記複数の貯留室に対応させて設けた複数の噴霧部と、
を備え、
前記貯留室における前記ノーズ部の基端側に前記噴霧部を設け、
前記貯留室における前記ノーズ部の先端側に前記連通孔を設け
前記調整機構として、前記連通孔を浮力により開閉可能なフロートを前記貯留室内に設けたことを特徴とする超音波噴霧装置。
【請求項2】
前記フロートを球状に構成し、前記連通孔の口縁と前記貯留室の底面間に、前記フロートを遊動自在に保持した請求項記載の超音波噴霧装置。
【請求項3】
前記振動板がポリイミドからなり、前記微細孔の直径が8μm〜12μmに設定されている請求項1又は2記載の超音波噴霧装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波振動により液体を噴霧可能な超音波噴霧装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波噴霧装置として、多数の微細孔を有する振動板と、該振動板を振動させる圧電素子とを有する噴霧部と、噴霧する液体を貯留する液体タンクとを備え、液体タンクの液供給口に噴霧部を取り付けて、圧電素子により振動板を超音波振動させることで、液体タンク内の液体を振動板の微細孔を通じて噴霧するように構成したものが提案されている(例えば、特許文献1、2参照。)。
【0003】
特許文献1記載の超音波噴霧装置では、化粧液、美容液、薬液、又は水等の液体を霧状にして、肌面等に吹き付けて化粧や肌のトリートメント等を行うように構成されている。また、特許文献2記載の超音波噴霧装置では、化粧用、衛生用として用いられる薬剤液等の原料液を噴霧するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−108367号公報
【特許文献2】特開2007−29772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1、2記載の超音波噴霧装置は、電動ポンプなどを用いることなく、液体を噴霧できるので、装置を小型軽量に構成できるという利点を有している。
【0006】
しかし、超音波噴霧装置を傾けるなどして、液体タンク内の液体が噴霧部から離れると、液体を噴霧できないことから、噴霧姿勢に対する自由度が大幅に限定されるという問題があった。
【0007】
このため、例えば下側へ向けて液体を噴霧可能に構成した超音波噴霧装置も、水平面と鉛直面の双方に対して液体を噴霧可能に構成した超音波噴霧装置も、まだ提案されていないのが実状である。
【0008】
また、特許文献1、2記載の超音波噴霧装置では、振動板を超音波振動させていない状態では、液体タンクに貯留した液体の液圧により、振動板の微細孔から液体が漏れるという問題もある。また、振動板を超音波振動させている状態でも、液体タンクよりも下方向へ向けて噴霧すると、微細孔から噴霧される液体の一部が、噴霧されることなく集まって滴下するという問題があった。
【0009】
このため、大型な液体タンクを用いると、振動板に作用する液圧がどうしても大きくなり、液漏れが多くなることから、カーテン、絨毯、布団、毛布、衣類などのように、噴霧する対象物が大きい場合であっても効率良く噴霧するように構成した超音波噴霧装置も、まだ提案されていないのが実状である。
【0010】
本発明の目的は、小型軽量に構成可能で、しかも噴霧姿勢に対する自由度を拡大できるとともに、液体タンクよりも下方向へ向けて噴霧した場合であっても、振動板の微細孔からの液漏れを防止でき、加えて大きな面を効率よく噴霧可能な超音波噴霧装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、以下の発明を包含する。
(1) 超音波振動により液体を噴霧可能な超音波噴霧装置であって、本体部と、前記本体部に設けたハンドル部と、前記本体部から延びる、内部に液体供給路を設けた細長いノーズ部とを有する本体ケースと、前記本体部に一体的或いは着脱自在に設けた、前記液体供給路に連通する液体タンクと、前記ノーズ部の長さ方向に間隔をあけて前記ノーズ部内に設けた複数の貯留室と、前記複数の貯留室に対応させて設けた、前記液体供給路と前記貯留室とを連通する連通孔を開閉して、前記貯留室における液体の充填量を調整可能な複数の調整機構と、複数の微細孔を設けた振動板と、前記振動板を超音波振動させる圧電素子とを有し、前記貯留室内の液体を、前記微細孔を通じて外部へ噴霧する、前記複数の貯留室に対応させて設けた複数の噴霧部と、を備えたことを特徴とする超音波噴霧装置。
【0012】
この超音波噴霧装置を使用する際には、先ず液体タンク内の液体が液体供給路側へ流れ込むように、ハンドル部を保持して装置の姿勢を調整し、液体タンク内の液体を液体供給路へ流入させ、液体供給路から複数の貯留室内へ連通孔及び調整機構を通じて、調整機構により決定される規定量の液体を充填することになる。次に、圧電素子により振動板を超音波振動させて、貯留室内の液体を振動板の複数の微細孔から霧状にして噴霧するとともに、ハンドル部を保持して超音波噴霧装置を操作し、ノーズ部に設けた複数の噴霧部から液体を霧状に噴霧しながら、該複数の噴霧部を所望の方向へ向けて、カーテンや絨毯や布団や衣類など所望の噴霧対象物に対して液体を噴霧することになる。また、貯留室内の液体が空になって、液体が噴霧されなくなったときには、液体タンク内の液体が液体供給路側へ流れ込むように、ハンドル部を保持して装置の姿勢を調整することで、前述と同様にして、液体タンク内の液体を貯留室に充填することになる。
【0013】
このように、この超音波噴霧装置では、電動ポンプを使用せず噴霧する液体を供給したり、超音波振動を利用して液体を噴霧したりするため、装置を小型軽量に構成できるとともに、装置の静粛性を向上できる。また、ノーズ部の長さ方向に間隔をあけて設けた複数の噴霧部から液体を霧状にして噴霧するので、広い面積を効率良く噴霧できる。更に、貯留室と液体供給路との連通孔を開閉可能な調整機構を設けて、大容量の液体タンクから小容量の貯留室へ液体を小分けにして供給するので、噴霧部に作用する液圧を小さくして、噴霧を停止させたときだけでなく、噴霧時、特に液体タンクよりも下方向へ向けて噴霧するときにおける、振動板の微細孔からの液漏れを防止できる。また、噴霧部からの液体の噴霧は、鉛直方向の上方側以外であれば、上側方向、下側方向、水平方向などの任意の方向に噴霧できるので、装置の噴霧姿勢に対する自由度を大幅に拡大できる。
【0014】
(2) 前記貯留室における前記ノーズ部の基端側に前記噴霧部を設け、前記貯留室における前記ノーズ部の先端側に前記連通孔を設けた前記(1)に記載の超音波噴霧装置。このように構成すると、ノーズ部の先端側を上側に向けた状態で使用した場合であっても、貯留室内に貯留されている液体を使い切るまでは、貯留室内の液体を噴霧することができる。
【0015】
(3) 前記調整機構として、前記連通孔を浮力により開閉可能なフロートを前記貯留室内に設けた前記(1)又は(2)に記載の超音波噴霧装置。調整機構は、電磁弁等で構成することも可能であるが、本発明のようにフロートで構成すると、調整機構の製作コストを安くできる。
【0016】
(4) 前記フロートを球状に構成し、前記連通孔の口縁と前記貯留室の底面間に、前記フロートを遊動自在に保持した前記(3)に記載の超音波噴霧装置。このように構成することで、フロートの作動の安定性を向上できる。
【0017】
(5) 前記振動板がポリイミドからなり、前記微細孔の直径が8μm〜12μmに設定されている前記(1)〜(4)のいずれかに記載の超音波噴霧装置。このように構成することで、液体の噴霧量を十分に確保しつつ、微細孔からの液漏れを効果的に防止できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る超音波噴霧装置によれば、超音波振動を利用して液体を噴霧し、電動ポンプを使用しないので、装置を小型軽量に構成できるとともに、装置の静粛性を向上できる。また、ノーズ部の長さ方向に間隔をあけて設けた複数の噴霧部から液体を霧状にして噴霧するので、広い面積を効率良く噴霧できる。更に、貯留室と液体供給路との連通孔を開閉可能な調整機構を設けて、大容量の液体タンクから小容量の貯留室へ液体を小分けにして供給するので、噴霧部に作用する液圧を小さくして、噴霧を停止させたときだけでなく、噴霧時、特に液体タンクよりも下方向へ向けて噴霧するときにおける、振動板の微細孔からの液漏れを防止できる。また、噴霧部からの液体の噴霧は、鉛直方向の上方側以外であれば、上側方向、下側方向、水平方向などの任意の方向に噴霧できるので、装置の噴霧姿勢に対する自由度を大幅に拡大できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、超音波噴霧装置の斜視図である。
図2図2は、超音波噴霧装置の底面図である。
図3図3は、超音波噴霧装置の縦断面図である。
図4図4は、ノーズ部の先端側部分の縦断面図である。
図5図5は、上部ケースを除去した状態でのノーズ部の平面図である。
図6図6は、図4のVI-VI線断面図である。
図7図7は、噴霧部の分解斜視図である。
図8図8は、液体を貯留室へ充填するときの説明図である。
図9図9は、ノーズ部を水平にして液体を噴霧するときの説明図である。
図10図10は、ノーズ部を上側へ向けて液体を噴霧するときの説明図である。
図11図11は、ノーズ部を下側へ向けて液体を噴霧するときの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1図6に示すように、超音波噴霧装置1は、本体部11と、本体部11に設けたハンドル部12と、本体部11から延びる、内部に液体供給路13を形成した細長いノーズ部14とを有する本体ケース2と、本体部11に着脱自在に取り付けた液体タンク3と、ノーズ部14の長さ方向に間隔をあけてノーズ部14内に設けた複数の噴霧ユニット4とを備え、複数の噴霧ユニット4は、連通孔23を介して液体供給路13に連通された貯留室21と、連通孔23を開閉して、貯留室21における液体Wの充填量を調整可能な調整機構24と、貯留室21内の液体Wを外部へ噴霧する噴霧部30とをそれぞれ備えている。
【0021】
液体タンク3は、本体部11に対して着脱可能に設けることが好ましいが、着脱不能に本体部11に一体的に設けることもできる。着脱可能に構成する場合には、液体タンク3は、内容物の使用後は使い捨てとすることもできるし、詰め換え用の液体を液体タンク3に移し替えることで、繰り返して使用できるように構成することもできる。また、本実施の形態では、4つの噴霧ユニット4を設けたが、それ以外の複数個の噴霧ユニット4をノーズ部14の長さ方向に間隔をあけて設けることもできる。更に、噴霧ユニット4では、1つの貯留室21に対して1つの噴霧部30を設けたが、1つの貯留室21に複数の噴霧部30を設けたものでもよい。
【0022】
液体タンク3には、水、芳香剤を添加した溶液、抗アレルギー性や除菌・殺菌効果や脱臭効果などの効能を有する薬液、美容液など、任意の成分の液体Wを充填することができる。液体Wの表面張力は、特に限定しないが、後述するように噴霧部30からの液漏れを防止する観点から、26mNm〜40mNmの表面張力の液体Wを採用することが好ましい。
【0023】
ノーズ部14は、その長さ方向と直交方向の断面が半円状の細長い上部カバー15と、上部カバー15の下面側を閉塞する細長い仕切部材16と、上部カバー15と仕切部材16の外周部間に介装したパッキン17と、上部カバー15及び仕切部材16の下面側を覆うように上部カバー15に固定した細長い平板状の下面板18とを備えている。
【0024】
仕切部材16と上部カバー15間にはノーズ部14の長さ方向に沿ってノーズ部14の略全長にわたって液体供給路13が形成されている。仕切部材16には、ノーズ部14の長さ方向に沿って細長い、上面側を開放した4つの凹部19が、ノーズ部14の長さ方向に間隔をあけて形成され、仕切部材16には凹部19の上面を閉塞する4つの蓋部材20が固定され、蓋部材20と凹部19とでノーズ部14の長さ方向に細長い4つの貯留室21が形成されている。
【0025】
本体部11内には液体タンク3の先端部と液体供給路13の基端部とを接続する接続管22が設けられ、図3に示すように、ハンドル部12を上側に配置するとともにノーズ部14を略水平に配置した状態で、液体タンク3及び接続管22が水平方向に対して先端側下がりに傾斜するように配置されて、液体タンク3内の液体Wが、接続管22を通じて液体供給路13に充填されるように構成されている。
【0026】
蓋部材20におけるノーズ部14の先端側には液体供給路13と貯留室21とを連通する連通孔23が形成され、貯留室21内には連通孔23を開閉可能な球形のフロート25を有する調整機構24が設けられ、この調整機構24により、貯留室21に充填される液体Wの最大容量が規制されるように構成されている。ただし、調整機構24としては、フロート25に代えて、連通孔23を開閉する電磁弁を設けて、貯留室21内の液体Wの最大容量が規制されるように電磁弁を開閉制御することも可能である。
【0027】
連通孔23の貯留室21側の開口径は、フロート25にて連通孔23を開閉できるようにフロート25の直径よりも小さく設定され、連通孔23の貯留室21側の端部と貯留室21の底面間の距離はフロート25の直径よりも小さく設定され、フロート25は、連通孔23の口縁と貯留室21の底面間において、連通孔23を開閉し得るように遊動自在に保持されている。ただし、蓋部材20及び/又は凹部19に、連通孔23の開閉方向にフロート25を移動自在に案内する案内部を設けることもできる。
【0028】
フロート25の比重は、噴霧する液体Wの比重よりも小さく設定され、例えば図8に示すように、ノーズ部14を水平方向に配置させた状態で、貯留室21内の液体W量が規定値以下の場合には、液体供給路13内の液体Wが貯留室21内に流入するが、図9に示すように、貯留室21内に充填された液体W上にフロート25が浮かんで、貯留室21内に規定値の液体Wが充填されたときには、フロート25がその浮力Fにより連通孔23の貯留室21側の開口縁に圧接されて、フロート25により連通孔23が閉塞され、液体供給路13内の液体Wが貯留室21内にそれ以上流入しないように構成されている。
【0029】
貯留室21の底壁部におけるノーズ部14の基部側には液供給孔26が形成され、底壁部の下面には液供給孔26を閉塞するように噴霧部30が設けられ、下面板18には噴霧部30に対応させて噴霧孔27が形成され、貯留室21内の液体Wは、噴霧部30により霧化されて、噴霧孔27から外部へ噴霧されるように構成されている。
【0030】
噴霧部30は、図7に示すように、貫通孔31を有するベース板32と、貫通孔31を閉塞するようにベース板32に積層状に設けた、複数の微細孔33を有する振動板34と、振動板34をベース板32とともに超音波振動させる圧電素子35とを備えている。
【0031】
振動板34は、ポリイミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエーテルエーテルケトンなどの合成樹脂シート材、またはステンレスなどの金属薄板で構成できる。振動板34に形成する微細孔33の直径は、特に限定しないが、液体の噴霧量を十分に確保しつつ、微細孔33からの液漏れを防止するため、8μm〜12μmであってもよく、9μm〜11μmであってもよい。
【0032】
圧電素子35は、ジルコン酸塩(PZT)、メタニオブ酸(PN)、チタン酸バリウム又は酸化亜鉛などのセラミック材料などからなる圧電材料を、図示外の電極板間に配置した周知の構成のものである。本実施例では、圧電素子35を環状に構成し、中央部に挿通孔36を形成したが、それ以外の形状のものを採用することもできる。
【0033】
ベース板32は、振動板34を保形するためのもので、ステンレスなどからなる金属板で構成されている。ただし、振動板34をステンレスなどの金属板で構成する場合には、このベース板32は省略することもできる。
【0034】
ノーズ部14の下面板18には、各噴霧部30に対応させて各噴霧部30よりもノーズ部14の基部側に1対の発光ダイオード37がそれぞれ設けられ、発光ダイオード37からの光を、噴霧部30から噴霧される霧に対して照射することで、噴霧状態を目視できるように構成されている。ただし、この発光ダイオード37は省略することも可能である。
【0035】
ハンドル部12にはリチウムイオン電池などの二次電池40が内装され、本体部11には圧電素子35及び発光ダイオード37を制御するための制御部41が設けられ、圧電素子35は、制御部41から供給される交流電圧により、予め設定された振幅及び振動数で振動するように構成されている。
【0036】
圧電素子35を振動させていない状態において、噴霧部30の微細孔33を通じて貯留室21内の液体Wが漏洩することを極力防止するため、振動板34の微細孔33の孔径は、8〜12μmに設定され、図10に示すように、超音波噴霧装置1の姿勢を変化させた場合における、貯留室21内の液体Wの、液体Wが流通可能な最も下側の微細孔33の下端位置からの水位の最大値H1が、50mm以下になるように設定され、液体Wとして、表面張力が26〜40mN/mである液体Wを採用することができる。このように構成することで、圧電素子35を振動させている場合と、圧電素子35への通電を一時的に停止した場合は云うまでもなく、図示外のスタンドに対して超音波噴霧装置1を、ノーズ部14を上側にして縦向きにセットして保管した場合であっても、貯留室21内の液体Wが噴霧部30から漏洩しないように構成されている。なお、最大値H1は、貯留室21の内容量を十分に確保できるように、30mm以上に設定することになる。
【0037】
また、超音波噴霧装置1を住宅の室内や自動車の車内などで使用することを考慮すると、図3に示すように、噴霧部30から噴霧対象物までの距離H2は、例えば100mm〜300mm程度であるので、例えばノズル部をその長さ方向と直交方向へ移動させて、広い面を一度にムラなく噴霧できるように、噴霧部30からの噴霧角θは、20°±3°程度に設定することができる。また、隣接する噴霧部30間の距離Lは、想定する噴霧対象物までの距離H2に応じて、隣接する噴霧部30から噴霧される霧が、噴霧対象物付近において一部重複するように、例えば30mm〜100mmに設定できる。
【0038】
この超音波噴霧装置1を使用する際には、図8に示すように、先ずノーズ部14を水平にしたり、ノーズ部14の先端を斜め下側へ向けたりすることで、液体タンク3内の液体Wを液体供給路13へ流入させ、図9に示すように、液体供給路13から複数の貯留室21内へ連通孔23を通じて、フロート25の浮力により決定される規定量の液体Wを充填することになる。次に、圧電素子35により振動板34を超音波振動させて、貯留室21内の液体Wを振動板34の複数の微細孔33から霧状にして噴霧するとともに、ハンドル部12を保持して超音波噴霧装置1を操作し、ノーズ部14に設けた複数の噴霧部30を所望の方向へ向けて、室内のカーテンや絨毯や布団や衣類、自動車のシートバックやシートクッションなど所望の噴霧対象物に対して液体Wを噴霧することになる。このとき、図10に示すように、ノーズ部14の先端側を上側へ向けると、貯留室21内の液体Wが順次噴霧され、貯留室21内の液体Wが空になって、液体Wが噴霧されなくなったときには、ノーズ部14を水平にしたり、ノーズ部14の先端を斜め下側へ向けたりすることで、前述と同様にして、液体タンク3内の液体Wを貯留室21に充填することになる。また、図11に示すように、ノーズ部14の先端側を下側へ向けると、貯留室21内の液体Wが順次噴霧されるとともに、液体タンク3から貯留室21へ液体Wが順次補給されることになる。
【0039】
このように、この超音波噴霧装置1では、電動ポンプを使用せず噴霧する液体Wを供給したり、超音波振動を利用して液体Wを噴霧したりするので、装置を小型軽量に構成できるとともに、装置の静粛性を向上できる。また、ノーズ部14の長さ方向に間隔をあけて設けた複数の噴霧部30から液体Wを霧状にして噴霧するので、噴霧する対象が広い面積を有していても効率良く噴霧できる。更に、貯留室21と液体供給路13との連通孔23を開閉可能な調整機構24を設けて、大容量の液体タンク3から小容量の貯留室21へ液体Wを小分けにして供給するので、噴霧部30に作用する液圧を小さくして、噴霧を停止させたときだけでなく、噴霧時、特に液体タンク3よりも下方向へ向けて噴霧するときにおける、振動板34の微細孔33からの液漏れを防止できる。また、噴霧部30からの液体Wの噴霧は、鉛直方向の真上側以外であれば、上側方向、下側方向、水平方向などの任意の方向に噴霧することができるので、装置の噴霧姿勢に対する自由度を大幅に拡大できる。
【0040】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲においてその構成を変更し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0041】
1:超音波噴霧装置
2:本体ケース
3:液体タンク
4:噴霧ユニット
11:本体部
12:ハンドル部
13:液体供給路
14:ノーズ部
15:上部カバー
16:仕切部材
17:パッキン
18:下面板
19:凹部
20:蓋部材
21:貯留室
22:接続管
23:連通孔
24:調整機構
25:フロート
26:液供給孔
27:噴霧孔
30:噴霧部
31:貫通孔
32:ベース板
33:微細孔
34:振動板
35:圧電素子
36:挿通孔
37:発光ダイオード
40:二次電池
41:制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11