特許第6972904号(P6972904)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6972904光ファイバケーブル、光コネクタケーブル、及び、光ファイバケーブルの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6972904
(24)【登録日】2021年11月8日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】光ファイバケーブル、光コネクタケーブル、及び、光ファイバケーブルの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/44 20060101AFI20211111BHJP
   G02B 6/42 20060101ALI20211111BHJP
   G02B 6/32 20060101ALI20211111BHJP
【FI】
   G02B6/44 386
   G02B6/44 366
   G02B6/42
   G02B6/44 391
   G02B6/32
【請求項の数】13
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2017-202952(P2017-202952)
(22)【出願日】2017年10月19日
(65)【公開番号】特開2019-78776(P2019-78776A)
(43)【公開日】2019年5月23日
【審査請求日】2020年4月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100174399
【弁理士】
【氏名又は名称】寺澤 正太郎
(72)【発明者】
【氏名】長崎 泰介
(72)【発明者】
【氏名】井上 武
(72)【発明者】
【氏名】横地 寿久
【審査官】 井部 紗代子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−080751(JP,A)
【文献】 特表2015−511334(JP,A)
【文献】 特開2007−233144(JP,A)
【文献】 米国特許第08985874(US,B2)
【文献】 特開2017−156617(JP,A)
【文献】 特開2005−055898(JP,A)
【文献】 特開2013−221967(JP,A)
【文献】 特開2013−083946(JP,A)
【文献】 特開2013−140208(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第104808290(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/02 − 6/036
G02B 6/10
G02B 6/24
G02B 6/255 − 6/27
G02B 6/30 − 6/34
G02B 6/36 − 6/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光ファイバ及び当該複数の光ファイバを取り囲む外被を有する光ケーブルであって、前記複数の光ファイバが前記外被の一端から外に延在し、前記一端側に位置する第1延在部分と当該第1延在部分に連なりファイバ先端側に位置する第2延在部分とが設けられる、光ケーブルと、
前記光ケーブルの前記外被の一端側に配置され、前記複数の光ファイバの前記第1延在部分をその中に収納して少なくとも一部を保持する保持部材と、
を備え、
前記複数の光ファイバは前記外被内において第1配列で整列されており、
前記保持部材は、前記複数の光ファイバの前記第1延在部分が前記第1配列から当該第1配列と異なる第2配列に移行する移行部分を収納する移行部と、当該第1延在部分が前記第2配列になっている部分を保持する保持部と、を有し、
前記保持部は、前記第2延在部分の相互の位置関係が前記第1延在部分の前記保持部での相互の位置関係と同じ状態を維持するように前記複数の光ファイバの前記第1延在部分の端部を前記第2配列で保持するように、前記第1延在部分の前記端部のファイバ外周の一部を被覆する板状に構成されている、光ファイバケーブル。
【請求項2】
前記保持部は、前記第2延在部分の光ファイバが相互に平行となるように前記第1延在部分を保持している、請求項1に記載の光ファイバケーブル。
【請求項3】
前記第1配列は2次元状の配列である、請求項1又は請求項2に記載の光ファイバケーブル。
【請求項4】
前記第2配列は1次元状の配列である、請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の光ファイバケーブル。
【請求項5】
前記複数の光ファイバの前記第2配列でのファイバ間ピッチが前記第1配列でのファイバ間ピッチよりも広い、請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の光ファイバケーブル。
【請求項6】
前記複数の光ファイバの前記第2配列での重心は、前記複数の光ファイバの延在方向において、前記第1配列での重心に対してずれている、請求項1〜請求項5の何れか一項に記載の光ファイバケーブル。
【請求項7】
前記保持部材は、当該光ファイバケーブルを他の部材に対して位置決めするための位置決め部を有し、当該位置決め部は、前記複数の光ファイバの延在方向に沿って前記保持部材の一端から突出している、請求項1〜請求項6の何れか一項に記載の光ファイバケーブル。
【請求項8】
前記位置決め部は一対の突出部から構成され、前記保持部は前記一対の突出部の間に設けられている、請求項7に記載の光ファイバケーブル。
【請求項9】
板状の前記保持部の前記延在方向における長さは、前記位置決め部よりも短い、請求項7または請求項8に記載の光ファイバケーブル。
【請求項10】
前記保持部材は、樹脂成形部材であり、前記移行部及び前記保持部において前記複数の光ファイバに対して密着している、請求項1〜請求項9の何れか一項に記載の光ファイバケーブル。
【請求項11】
回路基板と、
前記回路基板上に配置される複数の光電変換素子と、
請求項1〜請求項10の何れか一項に記載の光ファイバケーブルと、
前記光ファイバケーブルの前記複数の光ファイバの前記第2延在部分を載置するように構成され、前記複数の光電変換素子と前記複数の光ファイバとを光学的に結合させるレンズ部品と、
を備える光コネクタケーブル。
【請求項12】
複数の光ファイバ及び当該複数の光ファイバを取り囲む外被を有する光ケーブルであって、前記複数の光ファイバが前記外被の一端から外に延在し、前記一端側に位置する第1延在部分と当該第1延在部分に連なりファイバ先端側に位置する第2延在部分とが設けられ、前記複数の光ファイバが前記外被内において第1配列で整列されている、光ケーブルを準備する工程と、
前記光ケーブルの外被を配置する配置部、前記複数の光ファイバの前記第1延在部分が前記第1配列から当該第1配列と異なる第2配列に移行する移行部分に対応する移行空隙、複数の溝を含んで構成され、前記第1延在部分の端部を前記第2配列で載置させる位置決め機構、及び、前記第2延在部分の端部を前記第2配列で保持する保持機構を有する第1金型を準備する工程と、
前記第1金型に対応する第2金型を準備する工程と、
前記光ケーブルの前記外被を前記配置部に配置すると共に前記複数の光ファイバの前記第1延在部分の端部をファイバ外周の一部が露出するように前記位置決め機構に載置し、且つ、前記第2延在部分の端部を前記保持機構に保持させ、前記移行空隙において前記複数の光ファイバの前記第1延在部分が前記第1配列から前記第2配列に移行するように、前記光ケーブルを前記第1金型に設置する工程と、
前記第1金型の上に前記第2金型を設置する工程と、
溶融された成形用樹脂を前記第1金型及び前記第2金型内に射出して、前記配置部の一部、前記移行空隙、前記位置決め機構上であって前記保持機構に隣接する空隙に、当該成形用樹脂を充填する工程と、
前記充填する工程の後に、前記成形用樹脂が前記第1延在部分の少なくとも一部を被覆した前記光ケーブルを備えた光ファイバケーブルを前記第1金型及び前記第2金型から取り出す工程と、
を備える、光ファイバケーブルの製造方法。
【請求項13】
前記第1金型は、前記移行空隙から突出する一対の突出空間を更に有し、
前記位置決め機構は、前記一対の突出空間の間に位置している、請求項12に記載の光ファイバケーブルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバケーブル、光コネクタケーブル、及び、光ファイバケーブルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の光ファイバを有する光ケーブルと、この光ケーブルが取り付けられるサブアッセンブリとを備えた光ケーブルアッセンブリが開示されている。この光ケーブルアッセンブリでは、回路基板上に配置される光反射部品に光ケーブルの各光ファイバが所定ピッチで載置されており、各アクティブデバイス(光素子)と各光ファイバとが光学的に結合されるように構成されている。特許文献2及び特許文献3には、複数の光ファイバを有する光ケーブルの例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2014/0294353号明細書
【特許文献2】特開2014−216176号公報
【特許文献3】特開2013−083946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の光ケーブルアッセンブリでは、各光ファイバを光反射部品に実装するために光反射部品の溝ピッチに各光ファイバを整列させてから取り付ける必要がある。しかしながら、光ファイバは銅の芯線などを有する電気信号線などに比べて曲げ癖が付けづらく、光ファイバを光反射部品の溝に装着してから接着剤などで本固定するまでの間に、光ファイバが溝から飛び出してしまったり、その位置がずれてしまうことがある。このように、光ファイバの位置が所定の位置からずれたまま固定してしまうと、光デバイスと光ファイバとの光結合効率が安定しない。一方、光ファイバに無理に曲げ癖を付けて整線しようとすると、光ファイバに過度なストレスがかかり、断線してしまう可能性もある。なお、ここで言う「光結合効率が安定しない」とは、最適な位置に光ファイバが固定された場合に得られる光結合効率よりも大きく劣化した光結合効率で光デバイスと結合する光ファイバが生じることを意味する。
【0005】
本発明は、光素子と光ファイバとの光結合効率を安定させることができる、光ファイバケーブル及び光コネクタケーブルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る光ファイバケーブルは、複数の光ファイバ及び当該複数の光ファイバを取り囲む外被を有する光ケーブルであって、複数の光ファイバが外被の一端から外に延在し、一端側に位置する第1延在部分と当該第1延在部分に連なりファイバ先端側に位置する第2延在部分とが設けられる、光ケーブルと、光ケーブルの外被の一端側に配置され、複数の光ファイバの第1延在部分をその中に収納して少なくとも一部を保持する保持部材と、を備えている。複数の光ファイバは外被内において第1配列で整列されている。保持部材は、複数の光ファイバの第1延在部分が第1配列から当該第1配列と異なる第2配列に移行する移行部分を収納する移行部と、当該第1延在部分が第2配列になっている部分を保持する保持部と、を有し、保持部は、第2延在部分の相互の位置関係が第1延在部分の保持部での相互の位置関係と同じ状態を維持するように複数の光ファイバの第1延在部分を保持するように構成されている。
【0007】
本発明の一態様に係る光コネクタケーブルは、回路基板と、回路基板上に配置される複数の光電変換素子と、上記構成の光ファイバケーブルと、光ファイバケーブルの複数の光ファイバの第2延在部分を載置するように構成され、複数の光電変換素子と複数の光ファイバとを光学的に結合させるレンズ部品と、を備えている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様に係る光ファイバケーブル及び光コネクタケーブルによれば、光素子と光ファイバとの光結合効率を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1の(a)は、光コネクタケーブルの一実施形態を示す斜視図であり、図1の(b)は、図1の(a)に示す光コネクタケーブルにおいて、光ファイバケーブルをレンズ部品に取り付ける前の状態を示す斜視図である。
図2図2は、第1実施形態に係る光ファイバケーブルを示す斜視図である。
図3図3は、図2に示す光ファイバケーブルのIII−III線に沿った断面図である。
図4図4は、図2に示す光ファイバケーブルのIV−IV線に沿った断面図である。
図5図5は、図2に示す光ファイバケーブルの保持部を拡大した一部拡大斜視図である。
図6図6は、光ファイバが光ケーブルからレンズ部品に向かってピッチ変換される移行状態を示す模式図である。
図7図7は、第1実施形態に係る光ファイバケーブルを作製するための下金型に光ケーブルを設置した状態を示す斜視図である。
図8図8は、図7の要部であるVIII部を拡大した一部拡大斜視図である。
図9図9の(a)は、図8のIXa−IXa線に沿った断面図であり、図9の(b)は図8のIXb−IXb線に沿った断面図である。
図10図10は、図7に示す下金型に上金型を設置して、成形樹脂をその内部に射出した状態を示す斜視図である。
図11図11の(a)は、図10のXIa−XIa線に沿った断面図であり、図11の(b)は図10のXIb−XIb線に沿った断面図である。
図12図12の(a)は、一般的な光ケーブルの各光ファイバをレンズ部品の溝に載置する前の状態を示す斜視図であり、図12の(b)は、光ケーブルの各光ファイバをレンズ部品の溝に載置した後の状態を示す斜視図である。
図13図13の(a)は、光ファイバをレンズ部品に装着するための理想的なファイバ配列を示す平面図であり、図13の(b)は、光ファイバをレンズ部品に装着するためのファイバ配列を樹脂成形で作製した場合に想定されるファイバ配列を示す平面図である。
図14図14は、第2実施形態に係る光ファイバケーブルを示す斜視図である。
図15図15は、第2実施形態に係る光ファイバケーブルにおいて、保持部材を点線で示した斜視図である。
図16図16は、第2実施形態に係る光ファイバケーブルを作製するための下金型に光ケーブルを設置した状態を示す斜視図である。
図17図17は、図16の要部であるXVII部を拡大した一部拡大斜視図である。
図18図18の(a)は、図17のXVIIIa−XVIIIa線に沿った断面図であり、図18の(b)は図17のXVIIIb−XVIIIb線に沿った断面図である。
図19図19は、図16に示す下金型に上金型を設置して、成形樹脂をその内部に射出した状態を示す斜視図である。
図20図20の(a)は、図19のXXa−XXa線に沿った断面図であり、図20の(b)は図19のXXb−XXb線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本願発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施形態を列記して説明する。
【0011】
本発明の一態様に係る光ファイバケーブルは、複数の光ファイバ及び当該複数の光ファイバを取り囲む外被を有する光ケーブルであって、複数の光ファイバが外被の一端から外に延在し、一端側に位置する第1延在部分と当該第1延在部分に連なりファイバ先端側に位置する第2延在部分とが設けられる、光ケーブルと、光ケーブルの外被の一端側に配置され、複数の光ファイバの第1延在部分をその中に収納して少なくとも一部を保持する保持部材と、を備えている。複数の光ファイバは外被内において第1配列で整列されている。保持部材は、複数の光ファイバの第1延在部分が第1配列から当該第1配列と異なる第2配列に移行する移行部分を収納する移行部と、当該第1延在部分が第2配列になっている部分を保持する保持部と、を有し、保持部は、第2延在部分の相互の位置関係が第1延在部分の保持部での相互の位置関係と同じ状態を維持するように複数の光ファイバの第1延在部分を保持するように構成されている。
【0012】
この光ファイバケーブルは、複数の光ファイバの第1延在部分をその中に収納して少なくとも一部を保持する保持部材を備え、この保持部材の保持部が、第1延在部分に連なる第2延在部分の相互の位置関係が第1延在部分の保持部での相互の位置関係と同じ状態を維持するように複数の光ファイバの第1延在部分を保持するように構成されている。この場合、保持部材の第1延在部分の保持構成により、光ファイバ(第2延在部分)それぞれの相互の位置関係が所望の関係となるように予め規定しておくことができるため、各光ファイバの先端部分を他の部材(レンズ部品等)に取り付ける際、光ファイバの整列配置を容易に行うことができ、その結果、各光ファイバと他の部材(光素子やレンズ部品等)との光結合効率を安定したものとすることができる。また、保持部材により光ファイバ(第2延在部分)それぞれの相互の位置関係を予め規定しておくことができるため、光ファイバケーブルを他の部品に取り付ける作業を自動化することも容易に実現できる。
【0013】
上記の光ファイバケーブルでは、保持部は、第2延在部分の光ファイバが相互に平行となるように第1延在部分を保持してもよい。光ファイバケーブルの各光ファイバを取り付ける部材(例えばレンズ部品)は、各光ファイバを取り付ける領域(例えば溝)が平行となるように設計されることが多いが、第2延在部分の光ファイバが相互に平行となるように保持されることにより、このような部材への取り付けを容易に実現できる。
【0014】
上記の光ファイバケーブルでは、第1配列は2次元状の配列であってもよい。この場合、光ケーブル内に配置される光ファイバをより均等に配置でき、また光ファイバの径を必要以上に大きなものとする必要がなくなるため小型化が可能である。
【0015】
上記の光ファイバケーブルでは、第2配列は1次元状の配列であってもよい。この場合、各光ファイバを取り付ける部材(例えばレンズ部品)でのファイバ取付け領域を一方向に連続して形成できるため、その加工を容易に行える。また、取付け領域を薄くすることもできるので、製品の薄型化を図ることができる。
【0016】
上記の光ファイバケーブルでは、複数の光ファイバの第2配列でのファイバ間ピッチが第1配列でのファイバ間ピッチよりも広くてもよい。この場合、他の部材(レンズ部品や回路基板等)のデザインに自由度を持たすことができる。
【0017】
上記の光ファイバケーブルでは、複数の光ファイバの第2配列での重心は、複数の光ファイバの延在方向において、第1配列での重心に対してずれていてもよい。光ファイバの第2配列での重心を第1配列での重心に対して一致させた場合、光ファイバを第1配列から第2配列に移行することは容易に行える。その一方、光ケーブルの光ファイバを載置する部材(例えばレンズ部品)は回路基板上に設けられることが多く、この場合に第2配列の重心と第1配列の重心とを一致させる構成とすると、回路基板と光ケーブルとの位置関係が上下にずれることになり、アンバランスな構成となったり、又は部品の薄型化を阻害してしまう。よって、上記構成を採用することにより、かかる部材への取り付けをより容易に実現できる。
【0018】
上記の光ファイバケーブルでは、保持部は、第1延在部分が第2配列になっている部分のファイバ外周の一部を被覆してもよい。この場合、第1延在部分の相互の位置関係を視認できるため、光ファイバケーブルの良否を容易に判別できる。
【0019】
上記の光ファイバケーブルでは、保持部は、第1延在部分が第2配列になっている部分のファイバ外周の全部を被覆してもよい。この場合、ファイバ外周の全部が被覆されていることから、第1延在部分が保持部から外れてしまうことをより確実に防止でき、長期にわたって第2延在部分の相互の位置関係を維持できる。
【0020】
上記の光ファイバケーブルでは、移行部には、保持部に近接する領域に、第1延在部分のファイバの少なくとも一部が露出する開口が設けられていてもよい。この場合、移行部における光ファイバの状態(例えば相互の位置関係など)を容易に視認できるため、光ファイバケーブルの良否を容易に判別できる。
【0021】
上記の光ファイバケーブルでは、保持部材は、当該光ファイバケーブルを他の部材に対して位置決めするための位置決め部を有してもよく、当該位置決め部は、複数の光ファイバの延在方向に沿って保持部材の一端から突出してもよい。この場合、光ファイバケーブルの他の部材への位置決めを簡易な手段によって実現できる。
【0022】
上記の光ファイバケーブルでは、保持部材は、樹脂成形部材であり、移行部及び保持部において複数の光ファイバに対して密着してもよい。この場合、当該密着により、移行部及び保持部における光ファイバをより確実に固定し、各光ファイバの位置関係が時間と共に変動することを防止できる。
【0023】
また、本発明の一態様に係る光コネクタケーブルは、回路基板と、回路基板上に配置される複数の光電変換素子と、上記何れかの構成の光ファイバケーブルと、光ファイバケーブルの複数の光ファイバの第2延在部分を載置するように構成され、複数の光電変換素子と複数の光ファイバケーブルとを光学的に結合させるレンズ部品と、を備えている。この場合、上記同様に、各光ファイバとレンズ部品又は光電変換素子との光結合効率を安定したものにできる。また、光ファイバケーブルをレンズ部品に取り付ける作業を自動化することも容易に実現できる。
【0024】
また、本発明の一態様に係る光ファイバケーブルの製造方法は、複数の光ファイバ及び当該複数の光ファイバを取り囲む外被を有する光ケーブルであって、複数の光ファイバが外被の一端から外に延在し、一端側に位置する第1延在部分と当該第1延在部分に連なりファイバ先端側に位置する第2延在部分とが設けられ、複数の光ファイバが外被内において第1配列で整列されている、光ケーブルを準備する工程と、光ケーブルの外被を配置する配置部、複数の光ファイバの第1延在部分が第1配列から当該第1配列と異なる第2配列に移行する移行部分に対応する移行空隙、及び、第1延在部分又は第2延在部分の少なくとも一方を第2配列で保持する保持機構を有する第1金型を準備する工程と、第1金型に対応する第2金型を準備する工程と、光ケーブルの外被を配置部に配置すると共に複数の光ファイバの第1延在部分又は第2延在部分の少なくとも一方の一部を保持機構に保持させ、移行空隙において複数の光ファイバの第1延在部分が第1配列から第2配列に移行するように、光ケーブルを第1金型に設置する工程と、第1金型の上に第2金型を設置する工程と、溶融された成形用樹脂を第1金型及び第2金型内に射出して、配置部の一部、移行空隙、及び保持機構に隣接する空隙に、当該成形用樹脂を充填する工程と、充填する工程の後に、当該成形用樹脂が第1延在部分の少なくとも一部を被覆した光ケーブルを備えた光ファイバケーブルを第1金型及び第2金型から取り出す工程と、を備えている。
【0025】
この光ファイバケーブルの製造方法では、複数の光ファイバの第1延在部分又は第2延在部分の少なくとも一方を第2配列で保持する保持機構を有する第1金型を準備し、複数の光ファイバの第1延在部分又は第2延在部分の少なくとも一方の一部を第1金型の保持機構に保持させて成形用樹脂を射出成形している。そして、保持機構に隣接する空隙に、当該成形用樹脂を充填して、光ファイバケーブルを作製している。この場合、複数の光ファイバの第1延在部分又は第2延在部分の少なくとも一方を第2配列で保持する保持機構を利用して光ファイバケーブルを作製しているため、作製される光ファイバケーブルにおいて、光ファイバ(第2延在部分)それぞれの相互の位置関係が所望の関係となるように予め規定した光ファイバケーブルを容易に作製できる。
【0026】
また、本発明の一態様に係る光ファイバケーブルの製造装置は、複数の光ファイバ及び当該複数の光ファイバを取り囲む外被を有する光ケーブルの光ファイバの延在部分の一部を樹脂成形品で被覆又は固定して、複数の光ファイバの先端部分の相互の位置関係が所望の関係となるようにするための成形装置である。ここで用いられる光ケーブルでは、複数の光ファイバが外被の一端から外に延在し、一端側に位置する第1延在部分と当該第1延在部分に連なりファイバ先端側に位置する第2延在部分とが設けられ、複数の光ファイバが外被内において第1配列で整列されている。この光ファイバケーブルの製造装置は、第1金型と、当該第1金型に対応する第2金型とを備えて構成され、第1金型は、光ケーブルの外被を配置する配置部、複数の光ファイバの第1延在部分が第1配列から当該第1配列と異なる第2配列に移行する移行部分に対応する移行空隙、及び、第1延在部分又は第2延在部分の少なくとも一方を第2配列で保持する保持機構を有している。なお、第2金型は、第1金型の移行空隙及び保持機構に隣接する空隙に対応する領域で、平面を有してよく、また、第1金型の配置部に対応する領域では、配置部が半円筒形状の場合、同様の半円筒形状を有してもよい。このような製造装置により、上記の製造方法を実施できる。
【0027】
[本発明の実施形態の詳細]
本発明の実施形態に係る光ファイバケーブル及び光ファイバケーブルを備える光コネクタケーブルを、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0028】
[第1実施形態]
図1の(a)及び図1の(b)を参照して、第1実施形態に係る光コネクタケーブル1について説明する。図1の(a)は、光コネクタケーブルの一実施形態を示す斜視図であり、図1の(b)は、図1の(a)に示す光コネクタケーブルにおいて、光ファイバケーブルをレンズ部品及び回路基板に取り付ける前の状態を示す斜視図である。図1の(a)及び図1の(b)に示すように、光コネクタケーブル1は、回路基板2、光電変換素子(不図示)、レンズ部品3、及び、光ファイバケーブル10を備えている。光電変換素子は、例えばVCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting LASER)等の発光素子又はPD(Photodiode)等の受光素子であり、回路基板2上に実装され、その上にレンズ部品3が覆うように配置される。
【0029】
光ファイバケーブル10は、光ファイバ21の大部分をその内部に収納すると共に光ファイバ21の先端部分(第2延在部分21b)を外部に露出させたケーブルである。光ファイバケーブル10では、保持部材30により光ファイバ21の先端部分間のファイバピッチ及び延在方向が定められ、図1の(a)に示す例では光ファイバ21の先端部分が相互に平行になるように整列される。整線された光ファイバ21の先端部分は、図1の(b)に示すように、レンズ部品3の上面に設けられた溝3aにそれぞれ載置される。レンズ部品3では、光の伝搬方向を変換する全反射面3bにより、光ファイバ21からの水平方向に伝搬する光を垂直方向に変換させ又は光電変換素子からの垂直方向に伝搬する光を水平方向に変換させ、回路基板上に実装される光電変換素子と光ファイバ21とを、レンズ部品3の光電変換素子と対向する部分に形成されたレンズ面(不図示)によって光結合させる。レンズ部品3では、全反射面3b等において光をその内部で伝搬させるため、少なくとも一部は、光が伝搬可能な透明な材料、例えばガラス等によって構成されていてもよい。
【0030】
次に、図2図6を参照して、光ファイバケーブル10について、更に詳細に説明する。 図2は、第1実施形態に係る光ファイバケーブル10を示す斜視図である。図3は、図2に示す光ファイバケーブル10(光ケーブル)のIII−III線に沿った断面図である。図4は、図2に示す光ファイバケーブル10のIV−IV線に沿った断面図である。図5は、図2に示す光ファイバケーブルの保持部を拡大した一部拡大斜視図である。図6は、光ファイバが光ケーブルからレンズ部品に向かってピッチ変換される移行状態を示す模式図である。光ファイバケーブル10は、図2に示すように、光ケーブル20及び保持部材30を有している。
【0031】
光ケーブル20は、図2及び図3に示すように、複数の光ファイバ21(本実施形態では4本の光ファイバ)と、複数の光ファイバ21の周囲に配置される抗張力繊維22と、抗張力繊維22がばらけないように固定するファイバチューブ23と、光ファイバ21及びファイバチューブ23等を取り囲む樹脂製のケーブル外被24(外被)とを有し、この構成を維持して一の方向に延在する。本実施形態では、複数の光ファイバ21の配列(第1配列)が二行二列の二次元状の配列になっているが、円周上に沿って複数(例えば8本)の光ファイバ21が二次元状に配置される配列でもよく、また、一列のような一次元状に複数の光ファイバ21が配置される配列であってもよい。光ケーブル20の外形が円筒形状である場合には、光ケーブル20内で複数の光ファイバ21を二次元状に配置すると、より多くの光ファイバ21をその内部に効率的に収納できる。図3に示す例ではファイバチューブ23とケーブル外被24との間に何も設けない構成となっているが、この領域に1又は複数の電気信号線を配置してもよい。この場合、光ケーブル20を光電気複合ケーブルとすることができる。また、ファイバチューブ23の外周に金属編組を設けてもよい。
【0032】
光ケーブル20では、図4及び図6に示すように、ケーブル外被24の一端24aから光ファイバ21の一部が外に延在しており、一端24a側に位置する第1延在部分21aと、第1延在部分21aに連なりファイバ先端側に位置する第2延在部分21bとが設けられている。第1延在部分21a及び第2延在部分21bでは、光ファイバ21を取り囲む抗張力繊維22、ファイバチューブ23及びケーブル外被24が取り除かれ、光ファイバ21が抗張力繊維22等に取り囲まれている部分での2次元状の配列(図3参照)から、それとは異なる1次元状の配列(図2参照)へと領域R(移行部分)において緩やかに移行する。また、光ケーブル20の延在部分21a,21bでは、この配列の移行の際に、光ファイバ21が抗張力繊維22等に取り囲まれている部分での位置から例えば、上方(又は下方)等にずれるようにしてもよい。この場合、光ファイバ21の先端部分での重心が、光ファイバ21の延在方向において、光ファイバ21が抗張力繊維22等に取り囲まれている部分での配列での重心に対してずれることになる。なお、第1延在部分21a及び第2延在部分21bの合計長さは、例えば8mm〜25mm程度であり、第1延在部分21aの長さは、例えば5mm〜15mm程度であり、第2延在部分21bの長さは、例えば3mm〜10mm程度である。また、光ファイバの重心のずれ量は、例えば0.5mm〜2.0mm程度である。
【0033】
保持部材30は、図2及び図4に示すように、ケーブル外被24の一端24aと光ケーブル20の第1延在部分21aの一部とを覆う円筒部31と、光ファイバ21の第1延在部分21aの残部を覆う本体部32と、本体部32から先端方向に突出する一対の突出部33と、一対の突出部33の間に設けられ、光ファイバ21の第1延在部分21aを保持固定する保持部34と、を有している。保持部34は、板状の外観を呈し、光ファイバ21の第1延在部分21aの先端の周方向の下半分を被覆し、光ファイバ21を保持固定する。保持部材30は、例えば金型(図7参照)の樹脂射出領域に上述した光ケーブル20の第1延在部分21aを配置すると共に第2延在部分21bを樹脂非射出領域に配置した後に所定の樹脂(例えば、ポリアミド樹脂など)を射出成形することによって作製され、全体を一括して形成することができる。円筒部31は、ケーブル外被24の一端24aを覆うことから例えば円筒形状を呈し、本体部32は、例えば略直方体形状とすることができる。円筒部31を設けることにより、保持部材30を光ケーブル20に確実に固定でき且つ一端24a付近の光ファイバ21を保護できるが、円筒部31を設けない構成とすることもできる。
【0034】
保持部材30の円筒部31(移行部)及び本体部32(移行部)の内部では、図4及び図6に示すように、光ファイバ21の第1延在部分21aは、ケーブル側の2次元状の配列(第1配列)から先端側の1次元状の配列(第2配列)に移行して光ファイバ21間のピッチを含む相互の位置関係を変更させるように、保持部材30内に収納され保持される。そして、図5に示すように、本体部32の一端側に設けられる保持部34では、光ファイバ21の第1延在部分21aの端部21cが1次元状となるように一列に配置され、且つ、所定のピッチで相互に平行となるように保持される。図5の例では、送信/受信の2対の光ファイバ21の第1延在部分21aが保持部34に保持されており、各対間のピッチが両対間のピッチと異なっているが、光ファイバ21の第1延在部分21aの全てのファイバピッチが同じであってもよい。なお、光ファイバ21のファイバピッチは、例えば、ケーブル外被24内での配列の際は、各光ファイバ21が相互に接触するように配置されてその中心間ピッチが0.1mm〜0.5mm程度であるが、第1延在部分21a/第2延在部分21bでの配列の際は、各光ファイバ21が相互に離間するように配置されてその中心間ピッチが0.3mm〜1.0mm程度であってもよい。
【0035】
保持部34では、第2延在部分21bに隣接する第1延在部分21aの端部21cをこのように保持しているため、光ファイバ21の第2延在部分21bの相互の位置関係が第1延在部分21aの保持部34での相互の位置関係と同じ状態となるように維持される。つまり、第2延在部分21bは、保持部34により、所定のピッチで相互に平行となるように整列される。光ファイバ21は、この変換の際、光ケーブル20内での配列ピッチよりは広がった配列ピッチとなるようにピッチ変換される(図6参照)。なお、保持部34で保持される第1延在部分21aの端部21cの長さは、例えば、突出部33の突出長さより短くてもよく、また、1mm〜5mm程度であってもよい。
【0036】
次に、上記構成の光ファイバケーブル10の製造方法の一例を、図7図11を参照して説明する。図7は、光ファイバケーブル10を作製するための下金型に光ケーブル20を設置した状態を示す斜視図である。図8は、図7の要部であるVIII部を拡大した一部拡大斜視図である。図9の(a)は、図8のIXa−IXa線に沿った断面図であり、図9の(b)は図8のIXb−IXb線に沿った断面図である。図10は、図7に示す下金型に上金型を設置して、成形樹脂をその内部に射出した状態を示す斜視図である。図11の(a)は、図10のXIa−XIa線に沿った断面図であり、図11の(b)は図10のXIb−XIb線に沿った断面図である。
【0037】
まず、光ファイバ21、抗張力繊維22、ファイバチューブ23及びケーブル外被24を有する光ケーブル20(図3参照)を準備し、一端側において、抗張力繊維22、ファイバチューブ23及びケーブル外被24を所定の長さ分取り除き、第1延在部分21a及び第2延在部分21bを有する光ケーブル20を用意する。この光ケーブル20では、光ファイバ21がケーブル外被24内においては、例えば二行二列といった所定の配列(第1配列)で整列されている。
【0038】
続いて、図7及び図8に示すように、一部のファイバが外方に延在している光ケーブル20を載置するための下金型100(第1金型)を準備する。下金型100には、光ケーブル20の外被24を配置する配置部101(移行空隙)、第1延在部分21aを2次元状の配列から1次元状の配列に主に移行するファイバ移行部分(図6の領域R)に対応する空隙102(移行空隙)、第1延在部分21aの端部21cを1次元状の配列状態でその上に載置させる位置決め機構103、及び、第2延在部分21bの第1延在部分21a側の端部21dを1次元状の配列で保持する保持機構104が設けられる。
【0039】
位置決め機構103は、図8及び図9の(a)に示すように、例えば複数の半円形状の溝103aを含み、各溝103aは、所定のピッチで相互に平行となるように形成される。溝103aの形状は、U溝、V溝又はトレンチ構造であってもよい。光ファイバ21の第1延在部分21aの端部21cそれぞれは、各溝103aにその周方向の半分が保持される。保持機構104は、図8及び図9の(b)に示すように、例えば複数のU字形状の溝104aを含み、各溝104aは、所定のピッチで相互に平行となるように形成される。溝104aの形状は、V溝又はトレンチ構造であってもよい。光ファイバ21の第2延在部分21bの端部21dそれぞれは、各溝104a内にその全体が保持される。各溝103aにおける各ピッチや相互に平行となる点は、各溝104aにおけるものと同じである。また、下金型100には、空隙102から前方に突出する一対の突出空間105が設けられており、位置決め機構103及び保持機構104は、一対の突出空間105の間に位置する。図9の(a)に示す例では、位置決め機構103の溝103aは、その最大深さが光ファイバ21の半径と略一致しているが、これに限定されず、溝103aの最大深さは、例えば光ファイバ21の半径の半分から1.5倍の間で変更することができる。
【0040】
また、下金型100に対応する上金型110(第2金型)を準備する。上金型110には、下金型100の基準面106に対応する基準面、下金型100の保持機構104の上面104b(図11参照)に一致し、位置決め機構103及び保持機構104を覆うように構成される平面114b、及び、下金型100の突出空間105に対応する空間115が設けられる。このような構成の下金型100及び上金型110は、例えば、焼入焼戻し鋼から作製することができる。
【0041】
続いて、図7及び図8に示すように、光ケーブル20の外被24を配置部101に配置すると共に、光ファイバ21の第1延在部分21aの端部21cを位置決め機構103に配置し且つ光ファイバ21の第2延在部分21bの端部21dを保持機構104に保持させる。この配置により、光ファイバ21の第1延在部分21aが2次元状の配列から1次元状の配列に移行するように、光ケーブル20が下金型100に設置される。この際、保持機構104では、配置された光ファイバ21の第2延在部分21bの端部21dは溝104a内に略完全に収納されているが(図9の(b)参照)、位置決め機構103では、配置された光ファイバ21の第1延在部分21aの端部21cの上半分が溝103aから露出する状態となっている(図9の(a)参照)。
【0042】
続いて、光ケーブル20が下金型100の所定の位置に設置されると、下金型100の上に上金型110を設置し、両者を固定する。この際、上金型110の平面114bが位置決め機構103及び保持機構104の上に位置し、且つ、上金型110の空間115が突出空間105に対応するように、上金型110を設置する。
【0043】
続いて、図10に示すように、上金型110の下金型100への設置が完了すると、溶融された成形用樹脂Fを下金型100及び上金型110の内部に射出して、配置部101の一部(先端部分)、空隙102、及び、保持機構104に隣接して位置決め機構103と平面114bとに挟まれる空隙に、成形用樹脂Fを充填する(図11の(a)及び図11の(b)参照)。所定の冷却期間の経過後、成形用樹脂Fが第1延在部分21aを被覆した構成を備えた光ファイバケーブル10を下金型100及び上金型110から取り出す。以上により、図2に示す光ファイバケーブル10を作製できる。光ファイバケーブル10において、外に露出する光ファイバ21の第2延在部分21bのピッチや延在方向(相互に平行等)を定める保持部34は、図11の(a)に示す位置決め機構103と上金型110の平面114bとの間に射出された成形樹脂から形成され、光ファイバ21の略半分を被覆する構成となる。
【0044】
ここで、上記の製造方法で作製される光ファイバケーブル10の作用効果について、図12及び図13を参照して、説明する。図12の(a)は、一般的な光ケーブルの各光ファイバをレンズ部品の溝に載置する前の状態を示す斜視図であり、図12の(b)は、光ケーブルの各光ファイバをレンズ部品の溝に載置した後の状態を示す斜視図である。図13の(a)は、光ファイバをレンズ部品に装着するための理想的なファイバ配列を示す平面図であり、図13の(b)は、光ファイバをレンズ部品に装着するためのファイバ配列を樹脂成形で作製した場合に想定されるファイバ配列を示す平面図である。
【0045】
図12の(a)及び図12の(b)に示すように、複数の光ファイバ221を有する光ケーブル220を回路基板202上に配置されたレンズ部品203に載置する場合、光ケーブル220から延在する光ファイバ221の延在部分をレンズ部品203上に形成された整列溝に順に配置することが考えられる。しかしながら、光ファイバ221は、銅の芯線などを有する電気信号線などに比べて曲げ癖が付けづらく、光ファイバ221をレンズ部品203上の溝にそもそも載置しづらく、また仮に光ファイバ221をレンズ部品203の溝に装着できたとしても、その溝へ装着してから接着剤などで本固定するまでの間に光ファイバが溝から飛び出してしまったり、又は、その位置がずれてしまうことがある。このように、光ファイバの位置が所定の位置からずれたまま固定してしまうと、光デバイス(受光素子や発光素子)と光ファイバとの光結合効率が安定しない。一方、光ファイバに無理に曲げ癖を付けて整線しようとすると、光ファイバに過度なストレスがかかり、断線してしまう可能性もある。
【0046】
そこで、光ケーブル220の光ファイバ221の延在した部分を、図13の(a)に示すように、樹脂成形品230で保持固定して、各光ファイバ221のピッチや延在方向(相互に平行)などを所望の値にすることが考えられる。しかしながら、光ファイバ221をそのまま金型等に設置して樹脂成形品230を形成すると、成形工程において光ファイバ221が固定されていないことから、図13の(b)に示すように、光ファイバ221が放射状に広がってしまう可能性が高い。
【0047】
これに対し、本実施形態に係る光ファイバケーブル10は、複数の光ファイバ21の第1延在部分21aをその中に収納して保持する保持部材30を備え、保持部材30の保持部34が、第1延在部分21aに連なる第2延在部分21bの相互の位置関係(ピッチや延在方向)が第1延在部分21aの保持部34での相互の位置関係と同じ状態を維持するように複数の光ファイバ21の第1延在部分21aを保持するように構成されている。このような保持部34の第1延在部分21aの保持構成により、光ファイバ21の先端部分(第2延在部分21b)それぞれの相互の位置関係を所望の関係とするように予め規定しておくことができるため、各光ファイバ21の先端部分を他の部材(レンズ部品等)に取り付ける際、光ファイバ21の整列配置を容易に行うことができ、その結果、各光ファイバ21と他の部材(光素子やレンズ部品等)との光結合効率を安定したものとできる。また、保持部材30により光ファイバ21(第2延在部分21b)それぞれの相互の位置関係を予め規定できるため、光ファイバケーブル10を他の部品に取り付ける作業を自動化することも容易に実現できる。
【0048】
本実施形態に係る光ファイバケーブル10では、保持部34は、第2延在部分21bの光ファイバが相互に平行となるように第1延在部分21aを保持している。光ファイバケーブル10の各光ファイバ21を取り付ける部材(例えばレンズ部品3)は、各光ファイバ21を取り付ける領域(例えば溝3a)が相互に平行となるように設計されていることが多いが、第2延在部分21bの光ファイバが相互に平行となるように保持されていることにより、このような部材への取り付けを容易に実現できる。
【0049】
本実施形態に係る光ファイバケーブル10では、光ファイバ21がケーブル外被24内に収納される領域でのファイバ配列が2次元状の配列である。このため、光ケーブル20内に配置される光ファイバ21をより均等に配置でき、また光ケーブル20の径を必要以上に大きなものとする必要がなくなるため小型化できる。
【0050】
本実施形態に係る光ファイバケーブル10では、光ファイバ21の先端領域の配列が1次元状の配列である。このため、各光ファイバ21を取り付ける部材(例えばレンズ部品3)でのファイバ取付け領域を一方向に連続して形成でき、その加工を容易に行うことが可能となる。また、取付け領域を薄くできるので、製品の薄型化を図ることもできる。
【0051】
本実施形態に係る光ファイバケーブル10では、光ファイバ21のケーブル外被24内での配列におけるファイバ間ピッチが、光ファイバ21の先端領域での配列におけるファイバ間ピッチよりも広い。この場合、回路基板2の回路及びレンズ部品3のデザインに自由度を持たすことができる。
【0052】
本実施形態に係る光ファイバケーブル10では、光ファイバ21のケーブル外被24内における重心は、光ファイバ21の延在方向において、光ファイバ21の先端領域における配列での重心に対してずれていてもよい。光ファイバ21のケーブル外被24内での配列における重心を光ファイバ21の延在方向においてその先端領域での配列における重心に対して一致させた場合、光ファイバ21を一方の配列から他方の配列に移行することは容易に行える。その一方、光ケーブル20の光ファイバ21を載置する部材(例えばレンズ部品3)は回路基板2上に形成されていることが多く、この場合において、一方の重心と他方の重心とを一致させる構成とすると、回路基板2と光ケーブル20との位置関係が上下にずれることになり、アンバランスな構成となったり、又は部品の薄型化を阻害してしまう。よって、上記構成を採用することにより、かかる部材への取り付けをより容易に実現することが可能となる。
【0053】
本実施形態に係る光ファイバケーブル10では、保持部34は、第1延在部分21aが1次元状の配列になっている部分のファイバ外周の一部を被覆している。この場合、第1延在部分21aの相互の位置関係を視認できるため、光ファイバケーブルの良否を容易に判別できる。
【0054】
本実施形態に係る光ファイバケーブル10では、保持部材30は、光ファイバケーブル10を他の部材(レンズ部品3)に対して位置決めするための一対の突出部33を有し、突出部33は、第1延在部分21aから第2延在部分21bに向かう方向に沿って保持部材30の一端から突出している。このため、光ファイバケーブル10の他の部材への位置決めを簡易な手段によって実現できる。
【0055】
本実施形態に係る光ファイバケーブル10では、保持部材30は、樹脂成形部材であり、円筒部31、本体部32及び保持部34において複数の光ファイバ21に対して密着している。この密着固定により、円筒部31、本体部32及び保持部34における光ファイバ21がより確実に固定され、各光ファイバ21の位置関係が時間と共に変動してしまったり、外部からの衝撃で光ファイバ21の固定が外れてしまうといったことを防止できる。
【0056】
また、本実施形態に係る光コネクタケーブル1は、回路基板2と、回路基板2上に配置される複数の光電変換素子と、光ファイバケーブル10と、光ファイバケーブル10の複数の光ファイバ21の第2延在部分21bを載置するように構成され、複数の光電変換素子と複数の光ファイバ21とを光学的に結合させるレンズ部品3と、を備えている。光コネクタケーブル1では、上記と同様に、各光ファイバ21とレンズ部品3又は光電変換素子との光結合効率を安定したものにできる。また、光ファイバケーブル10をレンズ部品3に取り付ける作業を自動化することも容易に実現できる。
【0057】
[第2実施形態]
次に、図14及び図15を参照して、第2実施形態に係る光ファイバケーブル40について説明する。図14は、第2実施形態に係る光ファイバケーブルを示す斜視図である。図15は、第2実施形態に係る光ファイバケーブルにおいて、保持部材を点線で示した斜視図である。本実施形態に係る光ファイバケーブル40は、第1実施形態に係る光ファイバケーブル10と同様に用いることができ、図1の(a)及び図1の(b)に示す回路基板2やレンズ部品3に取り付けて、光コネクタケーブルを構成することができる。以下の説明では、光ファイバケーブル10と相違する点を主に説明し、共通する点については、その説明を省略する場合がある。
【0058】
図14に示すように、光ファイバケーブル40は、光ケーブル20及び保持部材50を有している。光ケーブル20には、ケーブル外被24の一端24aから延在する第1延在部分21aと、第1延在部分21aに連なりファイバ先端側に位置する第2延在部分21bとが設けられている。
【0059】
保持部材50は、図14及び図15に示すように、光ファイバ21の第1延在部分21aの一部を覆う円筒部31と、光ファイバ21の第1延在部分21aの残部を覆う本体部52と、本体部52から先端方向に突出する一対の突出部33と、光ファイバ21の第1延在部分21aを保持固定する保持部54と、光ファイバ21の第1延在部分21aの位置決めを行う位置決め領域55と、を有している。保持部54は、光ファイバ21の第1延在部分21aの先端の周方向の全体を被覆し、光ファイバ21を保持固定する。保持部材50は、保持部材30と同様に射出成形することによって作製されてもよく、全体を一括して形成することができる。
【0060】
保持部材50の円筒部31(移行部)及び本体部52(移行部)の内部では、図15に示すように、第1実施形態と同様に、光ファイバ21の第1延在部分21aが、ケーブル側の2次元状の配列(第1配列)から先端側の1次元状の配列(第2配列)に移行して光ファイバ21間のピッチを含む相互の位置関係を変更させるように、保持部材50内に収納され保持される。図15に示すように、本体部52の一端側に設けられる保持部54では、光ファイバ21の第1延在部分21aの端部21cが1次元状となるように一列に配置され、且つ、所定のピッチで相互に平行となるように保持される。保持部材50の位置決め領域55では、後述する製造方法により、光ファイバ21の第1延在部分21aの各ピッチや延在方向が位置決めされており、このように位置決めされた第1延在部分21aの端部21cが保持部54にて固定される。位置決め領域55では、光ファイバ21の第1延在部分21aの一部が外部に露出しており、これらのファイバ部分は、突状に形成された台座部55aの上に配置される。
【0061】
保持部54では、第2延在部分21bに隣接する第1延在部分21aの端部21cをこのように保持しているため、光ファイバ21の第2延在部分21bの相互の位置関係が第1延在部分21aの保持部54での相互の位置関係と同じ状態となるように維持される。つまり、第2延在部分21bは、保持部54により、所定のピッチで相互に平行となるように整列される。なお、第2実施形態では、保持部54が本体部52内に設けられているため、光ファイバ21の第1延在部分21aと第2延在部分21bとの境界は、突出部33の間に設けられた面54aと一致するようになっている。
【0062】
次に、上記構成の光ファイバケーブル40の製造方法の一例を、図16図20を参照して説明する。図16は、第2実施形態に係る光ファイバケーブルを作製するための下金型に光ケーブルを設置した状態を示す斜視図である。図17は、図16の要部であるXVII部を拡大した一部拡大斜視図である。図18の(a)は、図17のXVIIIa−XVIIIa線に沿った断面図であり、図18の(b)は図17のXVIIIb−XVIIIb線に沿った断面図である。図19は、図16に示す下金型に上金型を設置して、成形樹脂をその内部に射出した状態を示す斜視図である。図20の(a)は、図19のXXa−XXa線に沿った断面図であり、図20の(b)は図19のXXb−XXb線に沿った断面図である。
【0063】
まず、光ファイバ21、抗張力繊維22、ファイバチューブ23及びケーブル外被24を有する光ケーブル20(図3参照)を準備し、一端側において、抗張力繊維22、ファイバチューブ23及びケーブル外被24を所定の長さ分取り除き、第1延在部分21a及び第2延在部分21bを有する光ケーブル20を用意する。この光ケーブル20では、光ファイバ21がケーブル外被24内においては、例えば二行二列といった所定の配列(第1配列)で整列される。
【0064】
続いて、図16及び図17に示すように、一部のファイバが延在している光ケーブル20を載置するための下金型120(第1金型)を準備する。下金型100には、光ケーブル20の外被24を配置する配置部121、第1延在部分21aを2次元状の配列から1次元状の配列に移行するファイバ移行部分(図6の領域R)に対応する空隙122(移行空隙)、第1延在部分21aを1次元状の配列状態に位置決めする位置決め機構123、 1次元状の配列状態となった第1延在部分21aの端部21cが配置される充填空隙124、及び、第2延在部分21bの第1延在部分21a側の端部21dを1次元状の配列で保持する保持機構125が設けられる。
【0065】
位置決め機構123は、図17及び図18の(a)に示すように、例えば複数の長孔形状の溝123aを含み、各溝123aは、所定のピッチで相互に平行となるように形成される。光ファイバ21の第1延在部分21aそれぞれは、各溝123aにその全体が保持されて、位置決めされる。保持機構125は、図17及び図18の(b)に示すように、例えば複数のU字形状の溝125aを含み、各溝125aは、所定のピッチで相互に平行となるように形成される。溝125aの形状は、V溝又はトレンチ構造であってもよい。光ファイバ21の第2延在部分21bの端部21dそれぞれは、各溝125a内にその全体が保持される。各溝123aにおける各ピッチや相互に平行となる点は、各溝125aにおけるものと同じである。このような位置決め機構123と保持機構125との間では、光ファイバ21の第1延在部分21aの端部21cは、位置決め機構123と保持機構125とによって定められた各ピッチや延在方向となるように、充填空隙124において宙づり状態で配置される。また、下金型120には、充填空隙124から前方に突出する一対の突出空間126が設けられる。なお、図18の(a)に示す例では、位置決め機構123の溝123aは、その最大深さが光ファイバ21の直径の約2倍程度になっているが、これに限定されず、溝123aの最大深さは、例えば光ファイバ21の直径の1.2倍から3倍の間で変更することができる。
【0066】
また、下金型120に対応する上金型130(第2金型)を準備する。上金型130には、下金型120の基準面127に対応する基準面、下金型120の保持機構125の上面125b(図20参照)に一致し、位置決め機構123及び保持機構125を覆うように構成される平面134b、及び、下金型120の突出空間126に対応する空間が設けられる。
【0067】
続いて、図16及び図17に示すように、光ケーブル20の外被24を配置部121に配置すると共に、光ファイバ21の第1延在部分21aの端部21cの手前側の部分を位置決め機構123に配置し且つ光ファイバ21の第2延在部分21bの端部21dを保持機構125に保持させる。この配置により、光ファイバ21の第1延在部分21aが2次元状の配列から1次元状の配列に移行するように、光ケーブル20が下金型120に設置される。この際、保持機構125では、配置された光ファイバ21の第2延在部分21bの端部21dは溝125a内に略完全に収納されており(図18の(b)参照)、また位置決め機構123では、配置された光ファイバ21の第1延在部分21aの端部21cの手前部分が溝123a内に略完全に収納されている(図18の(a)参照)が、両者の間の第1延在部分21aの端部21cは充填空隙124において、完全に露出するようになっている。(図17参照)。なお、本実施形態では、第1実施形態に比べて、位置決め機構123を光ファイバ21の一端24aにより近接して配置しているため、光ファイバの曲げの曲率半径が小さい場合でも、より確実に光ファイバの整線を実現することができる。
【0068】
続いて、光ケーブル20が下金型120の所定の位置に設置されると、下金型120の上に上金型130を設置する。この際、上金型130の平面134bが位置決め機構123及び保持機構125の上に位置するように上金型130を設置する。
【0069】
続いて、図19に示すように、上金型130の下金型120への設置が完了すると、溶融された成形用樹脂Fを下金型120及び上金型130の内部に射出して、配置部121の一部(先端部分)、空隙122、位置決め機構123の溝123aのうちファイバが配置されていない領域(図20の(a)参照)、及び、保持機構125に隣接して平面134bに挟まれ、第1延在部分21aの端部21cが配置されている充填空隙124に、成形用樹脂Fを充填する(図20の(a)及び図20の(b)参照)。そして、所定の冷却期間を経過後、成形用樹脂Fが第1延在部分21aを被覆した構成を備えた光ファイバケーブル10を下金型120及び上金型130から取り出す。以上により、図14に示す光ファイバケーブル40を作製することができる。なお、光ファイバケーブル40において、外に露出する光ファイバ21の第2延在部分21bのピッチや延在方向(相互に平行等)を定める保持部54は、図17に示す位置決め機構123と保持機構125と上金型130の平面134bとの間である充填空隙124に射出された成形樹脂から形成されており、光ファイバの平行度がより確実に定められる。
【0070】
以上、第2実施形態に係る光ファイバケーブル40は、第1実施形態に係る光ファイバケーブル10と同様に、複数の光ファイバ21の第1延在部分21aをその中に収納して保持する保持部材50を備え、保持部材50の保持部54が、第1延在部分21aに連なる第2延在部分21bの相互の位置関係(ピッチや延在方向)が第1延在部分21aの保持部54での相互の位置関係と同じ状態を維持するように複数の光ファイバ21の第1延在部分21aを保持するように構成される。このような保持部54の第1延在部分21aの保持構成により、光ファイバ21の先端部分(第2延在部分21b)それぞれの相互の位置関係を所望の関係とするように予め規定しておくことができるため、各光ファイバ21の先端部分を他の部材(レンズ部品等)に取り付ける際、光ファイバ21の整列配置を容易に行うことができ、その結果、各光ファイバ21と他の部材(レンズ部品3や光送受信デバイス等)との光結合効率を安定したものにできる。また、保持部材50により光ファイバ21(第2延在部分21b)それぞれの相互の位置関係を予め規定しておくことができるため、光ファイバケーブル10を他の部品に取り付ける作業を自動化することも容易に実現できる。
【0071】
本実施形態に係る光ファイバケーブル40では、保持部54は、第1延在部分21aが1次元状の配列になっている部分のファイバ外周の全部を被覆している。このようにファイバ外周の全部が被覆されていることから、第1延在部分21aが保持部54から外れてしまうといったことをより確実に防止でき、長期にわたって光ファイバ21の第2延在部分21bの相互の位置関係を維持できる。
【0072】
本実施形態に係る光ファイバケーブル40では、保持部54がより光ケーブル20の一端24a側に位置し、且つ、保持部54よりも手前側に位置決め領域55を設けている。このため、保持部材50の長さを短くして小型化を図りつつ、位置決め領域55により光ファイバ21の2次元状の配列から1次元状の配列への展開や整線も確実に行うことが可能となる。
【0073】
本実施形態に係る光ファイバケーブル40では、本体部52には、保持部54に近接する領域に、第1延在部分21aのファイバの一部が露出する位置決め領域55(開口)が設けられている。この場合、本体部52における光ファイバの状態(例えば位置関係であるピッチや延在方向など)を容易に視認でき、光ファイバケーブル40の良否を容易に判別できる。なお、本実施形態に係る光ファイバケーブル40は、第1実施形態に係る光ファイバケーブル10と共通する構成については同様の作用効果を奏することは当業者には明らかであるので、その他の説明は省略する。
【0074】
以上、本実施形態に係る光ファイバケーブル及び光ファイバケーブルを備える光コネクタケーブルについて説明してきたが、本発明はこれらに限定されるものではなく、種々の変形を適用することができる。例えば、上記実施形態では、光ケーブル20の一端で光ファイバを露出させる例について説明したが、光ケーブル20の両端において、同様に、光ファイバを露出させて、両端に保持部材30,50を設ける構成にしてもよい。また、上記実施形態では、4本の光ファイバを有する光ケーブル20を例にして説明したが、光ケーブルに内蔵される光ファイバの数はこれに限定されず、8本の光ファイバ又は16本の光ファイバを有する光ケーブルであってもよい。
【符号の説明】
【0075】
1…光コネクタケーブル、2…回路基板、3…レンズ部品、3a…溝、3b…全反射面、10,40…光ファイバケーブル、20…光ケーブル、21…光ファイバ、21a…第1延在部分、21b…第2延在部分、21c…端部、21d…端部、24…ケーブル外被(外被)、24a…一端、30,50…保持部材、31…円筒部、32,52…本体部、33…突出部(位置決め部)、34,54…保持部、54a…面、55…位置決め領域(開口)、100,120…下金型(第1金型)、110,130…上金型(第2金型)、101,121…配置部、102,122…空隙(移行空隙)、103,123…位置決め機構、103a,123a…溝、104,125…保持機構、104a,125a…溝、114b,134b…平面、124…充填空隙、F…成形用樹脂。
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