特許第6972914号(P6972914)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6972914変形量又はひずみ量測定用格子画像取得方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6972914
(24)【登録日】2021年11月8日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】変形量又はひずみ量測定用格子画像取得方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/16 20060101AFI20211111BHJP
【FI】
   G01B11/16 H
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-205923(P2017-205923)
(22)【出願日】2017年10月25日
(65)【公開番号】特開2019-78641(P2019-78641A)
(43)【公開日】2019年5月23日
【審査請求日】2020年6月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001748
【氏名又は名称】特許業務法人まこと国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】樋口 良太
(72)【発明者】
【氏名】山田 浩
【審査官】 國田 正久
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−141151(JP,A)
【文献】 特開平03−264803(JP,A)
【文献】 特開2016−061602(JP,A)
【文献】 特開平01−311244(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00 − 11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象物の変形量又はひずみ量を測定するための格子画像を取得する方法であって、
前記測定対象物の表面に、前記測定対象物と放射率が異なる複数の異放射率部が格子状に配置された格子パターンを形成する格子パターン形成工程と、
前記格子パターン形成工程で形成した格子パターンを赤外線撮像装置を用いて撮像する撮像工程とを含み、
前記異放射率部は、可視光域において透明なシートの表面に格子状に貼付された可視光域において透明なシールの表面に塗布され、前記測定対象物と放射率が異なり且つ可視光域において透明な塗料であり、
前記シートの裏面に粘着剤又は接着剤が塗布され、
前記格子パターン形成工程において、前記測定対象物の表面に、前記シートの裏面を貼付することで、前記格子パターンを形成する、
ことを特徴とする変形量又はひずみ量測定用格子画像取得方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、橋梁やクレーン等の構造物など、測定対象物の変形量又はひずみ量を測定するための格子画像を取得する方法に関する。特に、本発明は、測定対象物の外観を損ねることなく格子画像を継続的に取得することが可能な方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、橋梁やクレーン等の構造物など、測定対象物の変形量やひずみ量を測定可能な方法として、モアレ法やサンプリングモアレ法など、格子パターンを利用した方法が知られている。
【0003】
モアレ法は、測定対象物の表面に格子パターンを形成する。そして、モアレ法は、CCDカメラ等の撮像装置で撮像した変形後の格子パターンの撮像画像(格子画像)と、変形前の格子パターンの撮像画像(格子画像)とを重ねることで発生するモアレ縞を解析することにより、モアレ縞の位相を算出し、算出した位相から測定対象物の変形量又はひずみ量を演算する方法である。
【0004】
サンプリングモアレ法は、測定対象物の表面に格子パターンを形成しておき、測定対象物の表面が変形すると、変形前後で格子の輝度(濃度)分布の位相が変化することを利用して、測定対象物の変形量又はひずみを測定する方法である。サンプリングモアレ法は、CCDカメラ等の撮像装置で撮像した撮像画像(格子画像)に対して、形成した格子パターンの格子ピッチに近い画素数で間引き処理(サンプリング)を実施し、間引かれていない画素の濃度(画素値)で間引かれた画素の濃度を線形補間することでモアレ縞を発生させる。そして、サンプリングモアレ法は、発生するモアレ縞を利用して輝度(濃度)分布の位相を算出し、算出した位相から測定対象物の変形量又はひずみ量を演算する方法である。
【0005】
図5は、格子パターンを利用した変形量やひずみ量の測定方法で用いられる従来の格子パターン10’の一例を示す図である。具体的には、図5は、測定対象物Mの表面に形成した格子パターン10’を可視光域において検出感度を有するCCDカメラで撮像した撮像画像の一例である。
図5に示すように、従来の格子パターン10’は、例えば、表面に矩形状の黒色の格子点1’が格子状(マトリックス状)に描かれたシート6’を測定対象物Mに貼付することで形成されている。
【0006】
しかしながら、図5に示すような従来の格子パターン10’は、人が見た場合に視認可能である。このため、特に測定対象物が橋梁などの公共物である場合には、外観を損ねることになり問題である。
【0007】
図5に示すような測定対象物の変形量やひずみ量を測定するための一般的な格子パターンとは異なる格子パターンを形成する方法として、例えば、特許文献1に記載の方法が提案されている。
特許文献1に記載の方法は、測定対象物の表面にエネルギー線を格子状に照射することで、測定対象物の表面の温度や輝度を変化させ、この変化部分を格子パターンとする方法である(特許文献1の特許請求の範囲等)。
【0008】
特許文献1に記載の方法によって形成される格子パターンを人が目視で視認可能であるか否か定かではない。
しかしながら、いずれにせよ、特許文献1に記載の方法では、エネルギー線照射後の短時間のみしか格子パターンが残存せずに消失してしまうため、測定対象物の同一箇所の変形量やひずみ量を長期に亘って継続的に測定することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2016−61602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、測定対象物の外観を損ねることなく、測定対象物の変形量やひずみ量を測定するための格子画像を継続的に取得することが可能な方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するため、本発明は、測定対象物の変形量又はひずみ量を測定するための格子画像を取得する方法であって、前記測定対象物の表面に、前記測定対象物と放射率が異なる複数の異放射率部が格子状に配置された格子パターンを形成する格子パターン形成工程と、前記格子パターン形成工程で形成した格子パターンを赤外線撮像装置を用いて撮像する撮像工程とを含み、前記異放射率部は、可視光域において透明なシートの表面に格子状に貼付された可視光域において透明なシールの表面に塗布され、前記測定対象物と放射率が異なり且つ可視光域において透明な塗料であり、前記シートの裏面に粘着剤又は接着剤が塗布され、前記格子パターン形成工程において、前記測定対象物の表面に、前記シートの裏面を貼付することで、前記格子パターンを形成する、ことを特徴とする変形量又はひずみ量測定用格子画像取得方法を提供する。
【0012】
本発明に係る方法の格子パターン形成工程で測定対象物の表面に形成する格子パターンは、複数の異放射率部が格子状に配置されている。この異放射率部は、測定対象物と放射率が異なる(例えば、異放射率部の放射率が測定対象物の放射率よりも高い)ものである。このため、異放射率部の実際の温度が測定対象物の実際の温度と同じであったとしても、異放射率部から放射される赤外線の放射エネルギーは、測定対象物から放射される赤外線の放射エネルギーと異なることになる。例えば、異放射率部の放射率が測定対象物の放射率よりも高い場合、異放射率部から放射される赤外線の放射エネルギーは、測定対象物から放射される赤外線の放射エネルギーよりも大きくなる。
このため、本発明に係る方法の撮像工程で赤外線撮像装置を用いて格子パターンを撮像すると、撮像画像における異放射率部に相当する画素領域の濃度(画素値)と、撮像画像における測定対象物に相当する画素領域の濃度とが異なることになる。例えば、異放射率部の放射率が測定対象物の放射率よりも高い場合、異放射率部から放射される赤外線の放射エネルギーは、測定対象物から放射エネルギーよりも大きくなるため、異放射率部に相当する画素領域は、測定対象物に相当する画素領域よりも明るく撮像されることなる。すなわち、異放射率部に相当する画素領域の濃度は、測定対象物に相当する画素領域の濃度よりも大きくなる。
上記のように、撮像画像における異放射率部に相当する画素領域と測定対象物に相当する画素領域とに濃度差が生じるため、この撮像画像を異放射率部を格子点とする格子画像として用いることができる。或いは、この撮像画像に対して2値化処理等の画像処理を施すことで、異放射率部が格子点として抽出された格子画像として用いてもよい。そして、上記のようにして取得した格子画像に対してサンプリングモアレ法等の公知の方法を適用することで、測定対象物の変形量又はひずみ量を測定可能である。
本発明に係る方法の格子パターン形成工程で形成する格子パターンを構成する異放射率部は、可視光域において透明であるため、格子パターンが表面に形成された測定対象物を人が見ても、異放射率部を視認できない。赤外線撮像装置で撮像することで初めて可視化されることになる。このため、被測定物の外観を損ねることがない。また、後述のように、例えば塗料を用いて異放射率部を形成すれば、異放射率部が短時間で消失することなく、測定対象物の同一箇所の変形量やひずみ量を長期に亘って継続的に測定することが可能である。
【0015】
また、本発明に係る方法では、前記異放射率部は、可視光域において透明なシートの表面に格子状に貼付された可視光域において透明なシールの表面に塗布され、前記測定対象物と放射率が異なり且つ可視光域において透明な塗料であり、前記シートの裏面に粘着剤又は接着剤が塗布され、前記格子パターン形成工程において、前記測定対象物の表面に、前記シートの裏面を貼付することで、前記格子パターンを形成する。
これにより、測定対象物の設置場所における作業効率を高めることが可能である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、測定対象物の外観を損ねることなく、測定対象物の変形量やひずみ量を測定するための格子画像を継続的に取得することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係る格子画像取得方法の概要を示す説明図である。
図2】撮像工程で撮像した撮像画像の一例を示す模式図である。
図3】変形例に係る格子パターンを示す図である。
図4】他の変形例に係る格子パターンを示す図である。
図5】従来の格子パターンの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を適宜参照しつつ、本発明の一実施形態に係る変形量又はひずみ量測定用格子画像取得方法(以下、適宜、単に「格子画像取得方法」という)について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る格子画像取得方法の概要を示す説明図である。図1(a)は、本実施形態に係る格子画像取得方法を実行して被測定物の変形量又はひずみ量を測定するための測定装置100の概略構成を示す模式図である。図1(b)は、図1(a)に示す格子パターン10を部分的に拡大して示す正面図である。図1(c)は、図1(a)に示す格子パターン10を部分的に拡大して示す平面図である。図1(d)は、図1(a)に示す格子パターン10の形成方法の一例を示す図である。なお、説明の便宜上、各図に示す各構成要素の寸法の大小関係や縮尺比は、実際のものとは異なる場合がある。図2図5についても同様である。
図1(a)に示すように、本実施形態に係る測定装置100は、測定対象物Mの表面に形成された格子パターン10と、赤外線撮像装置(サーモグラフィ)20と、解析装置30とを備えている。
【0019】
格子パターン10は、測定対象物Mと放射率が異なる複数の異放射率部1が格子状(マトリックス状)に配置されたものである。具体的には、図1(b)に示すように、上下方向に一定のピッチPmで、水平方向に一定のピッチPnで、矩形状の異放射率部1が格子状に配置されている。ピッチPmとピッチPnは同一の値であってもよい。
本実施形態では、異放射率部1の放射率が、測定対象物Mの放射率よりも高くなっている。
また、異放射率部1は、可視光域(波長380nm〜780nm)において透明である。具体的には、異放射率部1は、可視光域での光の透過率が70%以上であり、好ましくは80%以上であり、より好ましくは90%以上である。
格子パターン10の形成方法については後述する。
【0020】
赤外線撮像装置20は、赤外域(波長780nm以上)において検出感度を有し、格子パターン10を撮像する装置である。本実施形態の赤外線撮像装置20は、少なくとも格子パターン10を撮像可能な広さに視野が設定される。
【0021】
解析装置30は、赤外線撮像装置20で撮像した格子パターン10の撮像画像を解析することで測定対象物Mの変形量又はひずみ量を算出するためのプログラムがインストールされた汎用のパーソナルコンピュータ等から構成されている。上記のプログラムは、例えば、サンプリングモアレ法を実行するためのプログラムである。サンプリングモアレ法は公知であるため、その具体的な内容については説明を割愛する。
【0022】
以下、上記の構成を有する測定装置100を用いた本実施形態に係る格子画像取得方法について説明する。
本実施形態に係る格子画像取得方法は、格子パターン形成工程と、撮像工程とを含んでいる。以下、各工程について、順に説明する。
【0023】
<格子パターン形成工程>
格子パターン形成工程では、測定対象物Mの表面に、測定対象物Mと放射率が異なる複数の異放射率部1が格子状に配置された格子パターン10を形成する。
具体的には、本実施形態では、異放射率部1は、測定対象物Mと放射率が異なり且つ可視光域において透明な塗料である。そして、測定対象物Mの表面に、この塗料を格子状に塗布することで、格子パターン10を形成する。本実施形態では、測定対象物Mの放射率よりも放射率の高い塗料を用いることで、異放射率部1の放射率が測定対象物Mの放射率よりも高くなっている。
より具体的には、例えば、図1(d)に示すように、格子状に複数の開口部41を設けたマスキング用のテープ4を用意し、このテープ4を測定対象物Mに貼付した状態で、テープ4の上から上記の塗料を塗布すればよい。塗料が乾いた後にテープ4を剥がせば、開口部41に相当する位置に異放射率部1が形成されることになる。
【0024】
例えば、被測定物Mが鋼材等の金属材料から形成されている場合、常温での放射率は、0.3以下の場合が多い。このため、異放射率部1を形成するための塗料としては、放射率が0.3より大きく、可視光域で透明な塗料を用いることが可能である。
このような塗料としては、例えば、透明な放熱塗料、透明な防食塗料、透明な遮熱塗料を例示できる。
透明な放熱塗料としては、例えば、合同インキ株式会社製の透明性放熱塗料「UNI Cool」を用いることができる。「UNI Cool」を用いた場合、放射率は、常温で約0.9であり、可視光域での透過率は、塗装厚5μmの場合に95%以上である。
また、透明な防食塗料としては、例えば、神東塗料株式会社製のエポキシ樹脂塗料を用いることができる。
さらに、透明な遮熱塗料としては、例えば、オキツモ株式会社製のガラス用クリアコーティング剤「GLC-1」を用いることができる。
【0025】
各種材料の所定温度でのおおよその放射率(放射率の範囲)は、カタログや書籍等で公知である場合も多い。このため、測定対象物Mを形成する材料の放射率(カタログ値等)と、異放射率部1を形成する材料(本実施形態では塗料)の放射率(カタログ値等)とを比較し、両者の放射率の差ができるだけ大きくなるように、異放射率部1を形成する材料を選択すればよい。
ただし、実際の放射率の値は、測定対象物Mの表面の状態(表面粗さ等)等によっても変化する。このため、異放射率部1を形成する材料を選択するにあたっては、上記のようなカタログ値等の対比による選択に代えて、又はカタログ値等の対比による選択に加えて、予め測定対象物Mの表面に異放射率部1を形成して赤外線撮像装置2で撮像する試験を行うことが望ましい。そして、撮像画像における異放射率部1に相当する画素領域と、測定対象物Mに相当する画素領域との間で明るさ(濃度)に差が生じるか否かを確認し、できるだけ差が大きくなる材料を異放射率部1の形成材料として選択することが望ましい。
【0026】
<撮像工程>
撮像工程では、格子パターン形成工程で形成した格子パターン10を赤外線撮像装置20を用いて撮像する。
図2は、撮像工程で撮像した撮像画像の一例を示す模式図である。図2(a)は撮像画像を、図2(b)は図2(a)に示す撮像画像を解析装置30によって所定のしきい値で2値化した画像を示す。
前述のように、本実施形態では、測定対象物Mの放射率よりも放射率の高い塗料を用いることで、異放射率部1の放射率が測定対象物Mの放射率よりも高くなっている。このため、撮像工程で赤外線撮像装置20を用いて格子パターン10を撮像すると、図2(a)に示すように、撮像画像における異放射率部1に相当する画素領域は、測定対象物Mに相当する画素領域よりも明るく撮像されることになる(解析装置30が具備するモニターに撮像画像を表示する際、明るさに応じて画素領域の色が異なるように表示される場合には、測定対象物Mに相当する画素領域よりも明るいことを示す色に色付けされて表示される)。すなわち、異放射率部1に相当する画素領域の濃度は、測定対象物Mに相当する画素領域の濃度よりも大きくなる。
【0027】
上記のように、撮像画像における異放射率部1に相当する画素領域と測定対象物Mに相当する画素領域とに濃度差が生じるため、解析装置30において、この撮像画像を異放射率部1を格子点とする格子画像として用いることができる。或いは、図2(b)に示すように、異放射率部1と測定対象物Mとの境界を明確にするため、解析装置30において、この撮像画像に対して2値化処理等の画像処理を施すことで、異放射率部1が格子点として抽出された格子画像として用いてもよい。
【0028】
本実施形態に係る格子画像取得方法によれば、上記のようにして、格子画像を取得可能である。そして、解析装置30において、取得した格子画像に対してサンプリングモアレ法等の公知の方法を適用することで、測定対象物Mの変形量又はひずみ量を測定可能である。
本実施形態に係る格子画像取得方法の格子パターン形成工程で形成する格子パターン10を構成する異放射率部1は、可視光域において透明であるため、格子パターン10が表面に形成された測定対象物Mを人が見ても、異放射率部1を視認できない。赤外線撮像装置20で撮像することで初めて可視化されることになる。このため、被測定物Mの外観を損ねることがない。また、本実施形態では、塗料を用いて異放射率部1を形成するため、異放射率部1が短時間で消失することなく、測定対象物Mの同一箇所の変形量やひずみ量を長期に亘って継続的に測定することが可能である。
【0029】
図3は、本実施形態の格子パターン10の変形例である格子パターン10Aを示す図である。図3(a)は、変形例に係る格子パターン10Aを部分的に拡大して示す正面図である。図3(b)は、変形例に係る格子パターン10Aを部分的に拡大して示す平面図である。
図3に示す格子パターン10Aを構成する異放射率部1は、可視光域において透明なシール5の表面に塗布され、測定対象物Mと放射率が異なり且つ可視光域において透明な塗料である。図3に示す例では、シール5の大きさは、異放射率部1(塗料)の大きさと同等にされている。塗料としては、格子パターン10で用いた塗料と同様の塗料を好適に用いることができる。塗料が塗布されている側と反対側のシール5の裏面には、所定の粘着剤又は接着剤が塗布されている。
この変形例に係る格子パターン10Aを形成する際には、格子パターン形成工程において、測定対象物Mの表面に、シール5を格子状に貼付(シール5の裏面に塗布された粘着剤又は接着剤によってシール5を貼付)すればよい。
なお、透明なシール5としては、例えば、共和工業株式会社製の高透明シリコーンゴムを用いることができる。
【0030】
変形例に係る格子パターン10Aを用いる場合も、格子パターン10を用いる場合と同様に、被測定物Mの外観を損ねることがなく、測定対象物Mの同一箇所の変形量やひずみ量を長期に亘って継続的に測定することが可能である。特に、変形例に係る格子パターン10Aを用いる場合には、予めシール5の表面に塗料を塗布して乾かしておけば、測定対象物Mに対しては、表面にシール5を格子状に貼付するだけで済むため、格子パターン10を用いる場合に比べて、測定対象物Mの設置場所における作業効率を高めることが可能である。
【0031】
図4は、本実施形態の格子パターン10の他の変形例である格子パターン10B、10Cを示す図である。図4(a)は、変形例に係る格子パターン10B、10Cを部分的に拡大して示す正面図である。図4(b)は、変形例に係る格子パターン10Bを部分的に拡大して示す平面図である。図4(c)は、変形例に係る格子パターン10Cを部分的に拡大して示す平面図である。
図4(a)及び図4(b)に示す格子パターン10Bを構成する異放射率部1は、可視光域において透明なシート6の表面に格子状に塗布され、測定対象物Mと放射率が異なり且つ可視光域において透明な塗料である。シート6の大きさは、複数の異放射率部1(塗料)を格子状に塗布可能な大きさにされている。塗料としては、格子パターン10で用いた塗料と同様の塗料を好適に用いることができる。塗料が塗布されている側と反対側のシート6の裏面には、所定の粘着剤又は接着剤が塗布されている。
この変形例に係る格子パターン10Bを形成する際には、格子パターン形成工程において、測定対象物Mの表面に、シート6を貼付(シート6の裏面に塗布された粘着剤又は接着剤によってシート6を貼付)すればよい。
なお、透明なシート6としては、例えば、共和工業株式会社製の高透明シリコーンゴムを用いることができる。
【0032】
図4(a)及び図4(c)に示す格子パターン10Cを構成する異放射率部1は、可視光域において透明なシート6の表面に格子状に貼付された可視光域において透明なシール5の表面に塗布され、測定対象物Mと放射率が異なり且つ可視光域において透明な塗料である。塗料としては、格子パターン10で用いた塗料と同様の塗料を好適に用いることができる。シート6の大きさは、複数の異放射率部1(塗料)を格子状に塗布可能な大きさにされている。塗料が塗布されている側と反対側のシート6の裏面には、所定の粘着剤又は接着剤が塗布されている。
この変形例に係る格子パターン10Cを形成する際にも、格子パターン10Bを形成する場合と同様に、格子パターン形成工程において、測定対象物Mの表面に、シート6を貼付(シート6の裏面に塗布された粘着剤又は接着剤によってシート6を貼付)すればよい。
【0033】
変形例に係る格子パターン10B、10Cを用いる場合も、格子パターン10を用いる場合と同様に、被測定物Mの外観を損ねることがなく、測定対象物Mの同一箇所の変形量やひずみ量を長期に亘って継続的に測定することが可能である。
特に、変形例に係る格子パターン10B、10Cを用いる場合には、予めシート6の表面に塗料を塗布して乾かしておくか(格子パターン10Bの場合)、或いは、予めシール5の表面に塗料を塗布して乾かしておけば(格子パターン10Cの場合)、測定対象物Mに対しては、表面にシート6を貼付するだけで済むため、格子パターン10を用いる場合に比べて、測定対象物Mの設置場所における作業効率を高めることが可能である。
また、予めシート6の表面に塗料を格子状に塗布するか(格子パターン10Bの場合)、或いは、予めシート6の表面にシール5を格子状に貼付しておけば(格子パターン10Cの場合)、測定対象物Mに対して格子状にシール5を貼付する作業が不要である。このため、格子パターン10Aを用いる場合に比べても、測定対象物Mの設置場所における作業効率を高めることが可能である。
【符号の説明】
【0034】
1・・・異放射率部
4・・・テープ
5・・・シール
6・・・シート
10・・・格子パターン
20・・・赤外線撮像装置
30・・・解析装置
100・・・測定装置
M・・・測定対象物
図1
図2
図3
図4
図5