(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の実施の形態)
以下、第1の実施の形態について図面を用いて説明する。
図2は第1の実施の形態に関わる画像形成装置の構成を示す側面図である。画像形成装置1は記録媒体Mに対し画像を印刷する。そのため画像形成装置1は定着装置40を備えると共に、以下の各部及び機能を有する。
【0013】
画像形成装置1の内部には、画像形成ユニット2K,2Y,2M及び2Cの各ユニットに対応する転写ローラとしての転写ローラ11K,11Y,11M及び11Cを有する。また、下部には複数枚の記録媒体Mを積層した状態で収納する媒体カセット12を配設する。図示しない分離手段により媒体カセット12から記録媒体Mを1枚ずつ取り出すための給紙ローラ13を設ける。この給紙ローラ13を駆動することにより、記録媒体Mを搬送経路130に繰り出す。
【0014】
搬送経路130には、入口センサ14、書込みセンサ15及び搬送ローラ16,17が所定の位置に配設されている。転写ローラ11K,11Y,11M及び11Cの上流側にはベルト従動ローラ18が設けられ、下流側にはベルト駆動ローラ19が配設されている。このベルト従動ローラ18及びベルト駆動ローラ19間には一定の張力が与えられた無端帯状ベルトである搬送ベルト20がある。この搬送ベルト20上を記録媒体Mが搬送されることになる。
搬送ベルト20の記録媒体Mとの当接面側には、搬送の障害にならない位置にベルトブレード21を配設する。このベルトブレード21はウレタンゴム等の弾性部材で作製されていて搬送ベルト20の表面をクリーニングする。ベルトブレード21の下方には、掻き取られた塵埃、具体的には紙粉及びトナーを回収するベルト廃トナーボックス22を備える。
【0015】
ベルト駆動ローラ19の下流側には、定着装置40を配置する。定着装置40は、加熱するための定着部材としての定着ユニット41及び加圧するための加圧部材としての加圧ユニット42で構成される。定着ユニット41は記録媒体Mの一方の面に対面して設けられ、加圧ユニット42は他方の面に対面して設けられる。定着装置40は、記録媒体Mを矢印Fで示した媒体搬送方向へ搬送しつつ、記録媒体M上の現像剤を加熱及び加圧して画像を記録媒体Mに定着させる機能を有する。定着部材としての定着ユニット41は、定着ローラ28、第1のベルトとしての定着ベルト43、定着ヒータ50a,50b及び定着パッド51等で構成され、加圧部材としての加圧ユニット42は加圧ローラ29、第2のベルトとしての加圧ベルト44、加圧ヒータ55及び加圧パッド52等で構成される。なお、定着装置40の詳細は後述する。
【0016】
画像形成ユニット2K,2Y,2M及び2Cには、それぞれブラック,イエロー,マゼンダ及びシアンを印刷するためのK,Y,M及びCヘッドとしてのLEDヘッド3K,3Y,3M及び3Cがある。更に感光体ドラム4K,4Y,4M及び4Cに当接し、その表面をクリーニングするウレタンゴム等の弾性体からなる感光体ブレード10K,10Y,10M及び10Cがある。
図示するように画像形成ユニット2K,2Y,2M及び2Cには、K,Y,M及びC帯電ローラとしての帯電ローラ5K,5Y,5M及び5Cがある。更に、K,Y,M及びC現像ローラとしての現像ローラ6K,6Y,6M及び6C並びにトナータンク7K,7Y,7M及び7Cがある。加えて、現像ブレード8K,8Y,8M及び8C並びにトナー供給用スポンジローラ9K,9Y,9M及び9Cを有する。
【0017】
画像形成ユニット2K,2Y,2M及び2C並びにLEDヘッド3K,3Y,3M及び3Cを統合的に説明する場合には、画像形成ユニット2又はLEDヘッド3と称する。また、感光体ドラム4K〜4C、帯電ローラ5K〜5C、現像ローラ6K〜6C、トナータンク7K〜7C、現像ブレード8K〜8C、トナー供給用スポンジローラ9K〜9C及び感光体ブレード10K〜10Cについても同様である。なお、画像形成ユニット2の詳細な構造及び機能については、周知技術であるのでその説明は省略する。
【0018】
搬送経路130は、図示するように略S字形している。下部に配した媒体カセット12から給紙ローラ13により1枚ずつ分離され、矢印F方向に繰り出される。搬送経路130に給紙された記録媒体Mは図示上方に導かれ、さらに図示左方向に搬送される。画像形成ユニット2により画像形成された後に、定着装置40を通過する。定着装置40でトナーを定着された記録媒体Mは引き続いて下流側の搬送経路130に導かれる。
定着装置40の下流側の搬送経路130には、搬送ジャム監視及び記録媒体長の検出用の排出センサ23を有する。この部位における搬送経路130は略C形としてあり、終端部には排出ローラ24,25がある。排出ローラ24,25の下流側には、画像形成された記録媒体Mを受け入れるスタッカ26がある。なお、スタッカ26は外装カバー上に設けてある。
【0019】
以上説明した画像形成装置1には、給紙ローラ13及び搬送ローラ16,17等のローラ類を回転させるモータ類及びソレノイド類並びに搬送監視用のセンサ類が設けられている(
図19参照)。なお、搬送経路130には使用される記録媒体Mを適正に搬送するために、搬送ローラ及び位置検出センサ等を配してある。画像形成制御部700はこれらの各種アクチュエータを制御するものである。
【0020】
搬送系のモータ類としては、後に
図19に示すように、主に給紙ローラ13を回転させるための給紙モータ811、搬送ローラ16,17及び排出ローラ24,25を回転させる搬送モータ812がある。また、ベルト駆動ローラ19を回転させるための搬送ベルトモータ801がある。更に、定着ユニット41に配した定着ベルト43を回転させ、加圧ユニット42に配した加圧ベルト44を回転させるための定着モータ793がある。加えて、画像形成ユニット2を駆動するための独立した4個のKモータ781,Yモータ782,Mモータ783及びCモータ784を有する。なお、これらの詳細は後に
図19に示す制御ブロック図を用いて説明する。
【0021】
次に、定着装置40について説明する。
図3は第1の実施の形態に関わる定着装置を示す斜視図である。
図3(a)は矢印Fで示す媒体搬送方向の上流側から見た図で、
図3(b)は同じく媒体搬送方向の下流側から見た図である。定着装置40は、大別すると後述する定着ユニット41を備えた上部固定ユニット45、その下部には後述する加圧ユニット42を備えた下部可動ユニット46及び最下部には後述するカム機構120を備えたベースユニット47で構成される。
【0022】
上部固定ユニット45は上部シャーシ59を備えている。この上部シャーシ59の媒体横幅方向の両端面は、対面する立壁面59a,59bを設けてある。この立壁面59a,59bには後述する定着ローラ28の回転軸60及び定着ガイドローラ48a,48b(
図6参照)の回転軸61bを回転可能に軸支する。また、定着ローラ28の端部に固定される定着ローラ駆動ギヤ58が矢印G方向に回転駆動されると、定着ローラ28が回転する構成となっている。
下部可動ユニット46及びベースユニット47には、それぞれ下部シャーシ65及びベースシャーシ86を構造体(シャーシ)として、各部品が積み上げられる。なお、記録媒体Mは矢印F方向に搬送される。
【0023】
図4は第1の実施の形態に関わる定着装置を示す正面図である。本図は定着装置40を記録媒体Mの搬送方向上流側から見た図であり、定着装置40は前述の通り上部シャーシ59、下部シャーシ65及びベースシャーシ86を有する。更に図示する右側面には定着ローラ駆動ギヤ58を有する。
【0024】
図5は第1の実施の形態に関わる定着装置を示す側面図である。
図5(a)は、
図4に示すA−A矢視図としての左側面図であり、
図5(b)は
図4に示すB−B矢視図としての右側面図である。上部固定ユニット45に植設される係合ポスト95a,95bは、下部可動ユニット46の下部シャーシ65に形成された第1のスリット91a、91bによって位置決めされている。
【0025】
図6は第1の実施の形態に関わる定着装置の内部構成を示す説明図である。本図は
図4におけるC−C矢視図に相当する。定着部材としての定着ユニット41は通過させる記録媒体Mの横幅を超える領域に、即ち記録媒体Mの横幅以上に延在している。定着ユニット41は無端帯状に形成された定着ベルト43及び無端帯状の定着ベルト43の内面側に内接する定着ローラ28を有する。更に定着ユニット41は定着ベルト28に内接する2個の定着ガイドローラ48a,48b及び定着パッド51を有する。
【0026】
更に、定着ベルト43に内接し、定着ベルト43の内周面をガイドする一対の定着ベルトガイド部材49が略対向して設けられている。定着ローラ28が矢印H方向に回転すると、定着ベルト43は定着ガイドローラ48a、48b及び定着ベルトガイド部材49により矢印H方向に回転することができる。
無端帯状の定着ベルト43の内側空間には、定着ベルト43を加熱する第1の加熱部材としての2個の定着ヒータ50a,50bを設ける。なお、本実施の形態では定着ヒータ50a,50bの2個としたが、統合的に説明する場合には定着ヒータ50として説明する。
【0027】
定着部材としての定着ユニット41内において、第1の加熱部材としての定着ヒータ50の下方には、本実施の形態に関する定着パッド51が配置される。定着パッド51は、定着パッドベース部材101、第2の弾性部材としての定着パッド弾性部材102及びシート材103により構成されるが、詳細な説明は後述する。定着ヒータ50及び定着パッド51の離間空間には、定着ヒータ50の発熱を定着ベルト43の内周面の所定方向に反射する定着反射板62を備えている。
定着パッド51はアルミニウム及び合成樹脂等の剛性の高い材料からなる定着パッドベース部材101に、シリコーンゴム等からなる定着パッド弾性部材102を接着等により固着したものである。更に摺動性を有するシート材103で表面を覆っている。
【0028】
加圧部材としての加圧ユニット42は、通過させる記録媒体Mの横幅を超える領域で記録媒体Mの横幅方向に延在している。加圧ユニット42は、無端帯状に形成された加圧ベルト44及び加圧ベルト44の内面側に内接する加圧ローラ29を有する。加圧ローラ29は定着ローラ28に圧接することにより従動し、矢印K方向に回転可能となっている。
加圧ユニット42には、回転駆動される加圧ローラ29及び加圧ガイドローラ53a,53bが設けられている。更に、加圧ベルト44の内周面をガイドする一対の加圧ベルトガイド部材54が略対向して設けられている。加圧ローラ29が矢印K方向に回転すると、加圧ベルト44は、加圧ガイドローラ53a、53b及び加圧ベルトガイド部材54により矢印K方向に回転することができる。
【0029】
加圧部材としての加圧ユニット42内において、無端帯状の加圧ベルト44の内側空間には、加圧ベルト44を加熱する第2の加熱部材としての加圧ヒータ55がある。加圧ヒータ55の上方には本実施の形態に関する加圧パッド52を配する。加圧パッド52は、加圧パッドベース部材204、第1の弾性部材としての加圧パッド弾性部材205及びシート材206により構成されるが、詳細な説明は後述する。第2の加熱部材としての加圧ヒータ55及び加圧パッド52の離間空間には、加圧ヒータ55の発熱を加圧ベルト44の内周面の所定方向に反射する加圧反射板57を備えている。
【0030】
加圧パッド52は、アルミニウム及び合成樹脂等の剛性の高い材料からなる加圧パッドベース部材204に、シリコーンゴム等からなる加圧パッド弾性部材205を接着等により固着したものである。更に摺動性を有するシート材206で表面を覆っている。
加圧部材としての加圧ユニット42は、後述する手段により定着部材としての定着ユニット41に対して接離可能に上下方向に移動することができる。定着ローラ28及び加圧ローラ29がニップ部を形成するニップ位置にあるとき、加圧パッド52は定着ベルト43及び加圧ベルト44を介して定着パッド51に圧接する。
【0031】
定着ローラ28及び加圧ローラ29並びに定着パッド51及び加圧パッド52は、定着ベルト43及び加圧ベルト44を連続して同時に挟持し、一直線上の搬送経路を形成する。この状態で定着ローラ28の端部に固定された定着ローラ駆動ギヤ58を、定着モータ793(
図19参照)よりの駆動力を得て矢印G方向(
図3参照)に回転させる。これによって、定着ローラ28の回転に従動する加圧ローラ29と共に、定着ベルト43は矢印H方向に、そして加圧ベルト44は矢印K方向に回転駆動する。なお、加圧ユニット42の下方には、後述するカム機構120が設けられているが、詳細は後述する。
【0032】
次に定着装置40の細部構成を説明する。
図7Aは第1の実施の形態に関わる定着装置を上部固定ユニット、下部可動ユニット及びベースユニットに分離した状態を示す斜視図である。
図7A(a)は上部固定ユニット45を示し、
図7A(b)は下部可動ユニット46を示し、
図7A(c)はベースユニット47を示す。
図7Bは第1の実施の形態に関わる定着装置のベースユニットの正面図である。
図8は第1の実施の形態に関わる定着装置の下部可動ユニットを示す斜視図(1)である。
図8(a)は
図7A(b)に示す下部可動ユニット46の加圧ベルト44の図示を省略した状態を示し、
図8(b)は
図8(a)に示す下部可動ユニット46の加圧ガイドローラ53、加圧ローラスプリング74及び加圧パッドスプリング78の図示を省略した状態を示している。
【0033】
図7A(a)に示すように、上部固定ユニット45は、上部シャーシ59及び立面壁59a,59bで形成される内部空間に定着ベルト43を保有する。また、定着ガイドローラ48a,48b(
図6参照)を回転させる回転軸61a,61bを有する。定着ローラ28(
図6参照)は回転軸60に固着された定着ローラ駆動ギヤ58により回転するのは、前述した通りである。
【0034】
定着パッド51(
図6参照)は、定着ベルト43と略同領域でかつ定着ユニット41全体の記録媒体Mの横幅方向に延在している。定着パッド51の記録媒体Mの横幅方向の両端部である定着パッド端部63a,63b(
図10参照)は、定着パッド保持板金64bに設けた保持穴に嵌合し(媒体横幅方向の左側の定着パッド端部63aに嵌合する定着パッド保持板金は図示せず)、定着パッド51を水平状態で上部固定ユニット45に支持する。この定着パッド保持板金64は上部シャーシ59の立面壁59a,59bにそれぞれ固定されている。
立面壁59a,59bに植設される係合ポスト95a、95b(
図5参照)は、下部可動ユニット46の第1のスリット91a、91bと対応することは前述した通りである。また、立面壁59a,59bの一部分(脚部)は、下方まで延在しており、ベースシャーシ86に固定される。
【0035】
次に、
図7A(b)において、
図6に示した加圧ユニット42を配設した下部可動ユニット46は下部シャーシ65を備える。下部シャーシ65の媒体横幅方向の両側は上方に曲げられた立壁面65a、65bを形成している。立壁面65a、65bには、
図6に示した加圧ガイドローラ53a,53bの各回転軸66a、66b(
図8(a)参照)を回転可能に軸支する。
媒体横幅方向に対して右側の立壁面65bには、回動軸72bが植設され、回動可能に軸支される加圧ローラ保持アーム68bが設けられる。一方、媒体横幅方向に対して左側の立壁面65aも同様に、図示しない回動軸が植設され、回動可能に軸支される加圧ローラ保持アーム68aが設けられる。
【0036】
この一対の加圧ローラ保持アーム68a,68bは、一端に設けられた回動軸72a、72b(72aは
図17参照)を軸に回動し、他端にはストッパ部73a,73bが設けられる。そして、加圧ローラ保持アーム68a,68bには、回動軸72及びストッパ部73a,73bの間に加圧ローラ回転軸受部76a、76b(
図18参照)を配設し、加圧ローラ29を回転自在に保持する。
回動軸72は、更に一対の加圧パッド保持アーム70a,70bを回動可能に軸支する。従って回動軸72は、この加圧パッド保持アーム70a,70bを介して加圧パッド52の媒体横幅方向の両端部を保持している。
【0037】
下部シャーシ65の立壁面65a、65bのそれぞれに植設した回動軸72に加圧ローラ保持アーム68a,68b及び加圧パッド保持アーム70a,70bが嵌合し、それぞれ回動可能に保持される。また、加圧ローラ保持アーム68a,68bには、前述の通り自らの回動量を規制するためのストッパ部73a,73bが設けられている。
一方、下部シャーシ65側にも、ストッパ部73a,73bと略平行に対面させたスプリング係止部を有するサイドブラケット67a,67bを配する。このサイドブラケット67a,67b及びストッパ部73a又は73b間には、付勢部材としての加圧ローラスプリング74を弾設させている。この加圧ローラスプリング74は圧縮型コイルスプリングであり、その上端側をストッパ部73a又は73bが係止し、下端側をサイドブラケット67a,67bが係止することになる。
【0038】
下部シャーシ係止部75a,75bは、下部シャーシ65の立壁面65a,65bのそれぞれから図示外方に折曲され、突出して設けられる。加圧ローラ保持アーム68a,68bは、この下部シャーシ係止部75a,75bに、ストッパ部73a,73bが当接することで回動量が規制される。従って、加圧ローラ保持アーム68a,68bは図示上方に常時付勢されることになる。
【0039】
加圧パッド保持アーム70a、70bには、加圧パッド52における回転支点としての回動軸72から離れた位置に加圧パッドスプリング固定部77a,77b(
図8b及び
図9参照)が設けられている。この加圧パッドスプリング固定部77a,77bは、加圧パッド保持アーム70a,70bを上方へ付勢する付勢部材としての加圧パッドスプリング78が設けられる。この加圧パッドスプリング78も圧縮型コイルスプリングであり、サイドブラケット67a,67bとの間に弾設させている。これにより、加圧パッド保持アーム70a、70bは回動軸72を中心として、図示上方に常時付勢されることになる。
【0040】
加圧パッド保持アーム70a,70bは回動軸72及び加圧パッドスプリング固定部77a,77bの間に加圧パッド52における回転支点としての加圧パッド回転軸79a、79b(79aは
図17参照)を配している。これにより、加圧パッド保持アーム70a,70bは加圧パッド軸受80a、80b(80aは
図17参照)を介して、加圧パッド52を回動自在に保持している。立壁面65a,65bの下方には、下端より略U字状の摺動溝である第2のスリット92a、92b及び第3のスリット93a、93bを形成している。これらについては、
図8及び
図9を用いて後述する。
【0041】
次に
図7A(c)及び
図7Bに示すように、ベースユニット47は、前述した通りカム機構120をベースシャーシ86上に有する。ベースシャーシ86は、記録媒体Mの搬送方向の上流側に第1カム軸87を配置し、同じく下流側に第2カム軸89を配置する。ベースシャーシ86には記録媒体Mの横幅方向の両端部において、第1カム軸87を回転自在に保持する一対の第1カム支持部88a,88bが設けられる。更に、第1カム軸87及び平行に隣接して配設された第2カム軸89を回転自在に保持する一対の第2カム支持部90a,90bを形成する。
【0042】
第1カム軸87の記録媒体Mの横幅方向の左側としての一方端部には、搬送方向の上流側に第1のカム121及びカムギヤ122を同軸上に固着してある。第1カム軸87の媒体横幅方向の右側としての他方端部には、搬送方向の上流側に第1のカム123(
図12(b)参照)及びカムギヤ124を同軸上に固着してある。
第2カム軸89の媒体横幅方向の左側としての一方端部には搬送方向の下流側に第2のカム125及びカムギヤ126を同軸上に固着してある。第2カム軸89の媒体横幅方向の右側としての他方端部には、搬送方向の下流側に第2のカム127(
図12(b)参照)及びカムギヤ128を同軸上に固着してある。
【0043】
カムギヤ122及びカムギヤ126は、互いに噛み合うように配設され、そしてカムギヤ124及びカムギヤ128も互いに噛み合うように配設される。また、第1のカム121及び第2のカム125は互いに線対称な位置関係であり、そして第1のカム123及び第2のカム127も互いに線対称な位置関係としてある(
図12参照)。詳細は、
図12にて後述する。なお、カム121及びカムギヤ122、カム123及びカムギヤ124、カム125及びカムギヤ126並びにカム127及びカムギヤ128は、同軸上に固着しているが、一体成型品とすることもできる。
【0044】
図7A(b)で示した加圧ベルト44について、
図8(a)に示すようにその記載を省略すると、加圧ローラ29、加圧ガイドローラ53a,53b及び加圧パッド52の配置が明らかとなる。即ち、媒体搬送方向の下流側に配置された加圧ローラ29及び上流側に配置された加圧ガイドローラ53aの間に加圧パッド52が位置づけられている。この加圧ローラ29は回転軸69により、そして加圧ガイドローラ53a,53bは回転軸66a,66bにより、立壁面65a、65bに回転可能に軸支される。
【0045】
図8(b)では、
図8(a)に比較し、加圧ローラ29,加圧ガイドローラ53a,53bの記載を省略し、更に、記録媒体Mの横幅方向の一対の加圧ローラスプリング74及び加圧パッドスプリング78の記載を省略している。図示するように、加圧パッド保持アーム70bに設けた加圧パッドスプリング固定部77bは、突起形状しており、加圧パッドスプリング78のコイル内壁部に係合することになる。
【0046】
図8(b)に示すように、立壁面65a,65bの下方には、媒体搬送方向の上流側に第2のスリット92a、92b及び下流側に第3のスリット93a、93bが設けられる。第2のスリット92a、92b及び第3のスリット93a、93bの略幅中心線上の上方には第1の当接突起板97a、97b及び第2の当接突起板98a、98bが形成されている。この第1の当接突起板97a、97b及び第2の当接突起板98a、98bが、前述した第1のカム121,123及び第2のカム125,127に当接することになる(
図12参照)。
【0047】
図9は第1の実施の形態に関わる定着装置の下部可動ユニットを示す斜視図(2)である。なお、
図9は前述した
図8(b)に対応し、
図8(b)は媒体搬送方向の上流側から見た図であるが、本
図9は媒体搬送方向の下流側から見た図である。各部の説明は、
図7A、
図7B及び
図8にて説明済みであるので省略する。
加圧パッド52の断面は
図6に示したように略方形であるが、媒体搬送方向の下流側の面は、下半分が垂直面であり、上半分は垂直面から続いて下流に向かって庇のようにオーバーハング状に傾斜する斜面となる。この下流側の垂直面を利用してシート材206が固定される。詳細は
図10及び
図11にて説明する。
【0048】
ここで
図7A、
図7B及び
図8に戻り、
図9と共に、定着装置40の上部固定ユニット45、下部可動ユニット46及びベースユニット47の取付け関係について説明する。ベースユニット47に下部可動ユニット46が装着される際には、下部シャーシ65の立壁面65a、65bに形成した第2のスリット92a、92bをベースユニット47の第1カム軸87に嵌合させる。同様に第3のスリット93a、93bをベースユニット47の第2カム軸89に嵌合させる。
【0049】
第1カム軸87の第1のカム121,123を第2のスリット92a、92bの上部に形成された第1の当接突起板97a、97bに当接させる。第2カム軸89の第2のカム125,127を第3のスリット93a、93bの上部に形成された第2の当接突起板98a、98bに当接させる。
このように下部可動ユニット46がベースユニット47に装着された状態で、上部固定ユニット45及びベースユニット47が図示しないネジ等により固定される。この時には上部固定ユニット45の上部シャーシ59に配設された係合ポスト95a,95bを下部可動ユニット46の下部シャーシ65に形成された第1のスリット91a、91bに嵌合させる。
【0050】
以上の構成により、下部可動ユニット46はベースユニット47の第1カム軸87及び第2カム軸89並びに第2のスリット92a、92b及び第3のスリット93a、93bのそれぞれが係合した。更に、上部固定ユニット45の係合ポスト95a,95b及び下部可動ユニット46の第1のスリット91a、91bの係合によってガイドされ、上下方向の移動が可能な状態で保持される。下部可動ユニット46は、4個のカム121,123,125,127の回転に伴って上下方向に移動する。
【0051】
図10は第1の実施の形態に関わる定着装置における定着パッド及び加圧パッドの関係図(1)である。
図11は同じく第1の実施の形態に関わる定着装置における定着パッド及び加圧パッドの関係図(2)である。
図10は媒体搬送方向の上流側から見た斜視図で、
図11は媒体搬送方向の下流側から見た斜視図である。両図において、定着パッド51はシート材103で覆われ、媒体横幅方向の両端の定着パッド端部63a,63bが定着パッド保持板金64(64bは
図7A(a)参照)に嵌合する。定着パッド51における媒体搬送方向の長さとしての幅Zは、加圧パッドの幅Yに略一致させてある。
【0052】
加圧パッド52もシート材206で覆われ、加圧パッド受部84a,84bの加圧パッド端部81a,81bが、前述した加圧パッド保持アーム70a,70bの加圧パッド軸受80a,80b(
図7A(b)参照)に嵌合する。
定着パッド51は上部固定ユニット45に固定され、一方、加圧パッド52は下部可動ユニット46に固定される。下部可動ユニット46はカム機構120により、上昇・下降が可能となる。
【0053】
図11に示すように、定着パッドベース部材101の表面を覆うシート材103は、取付け時の歪みの発生がないよう固定ネジ111で固定する。この時、定着パッドベース部材101には長手方向(媒体横幅方向)の位置決めとして円形突起部112を配し、短手方向(媒体搬送方向)の位置決めとして長方形突起部113を複数設けている。
一方、シート材103には、固定ネジ111、円形突起部112及び長方形突起部113に対応した図示しない取付穴を設けることは言うまでも無い。また、シート材103を定着パッドベース部材101に固定するため、シート材103を挟みこんで固定する板金114を設けている。加圧パッド52側もついても定着パッド51と同様に、シート材206を固定する。
【0054】
前述のように加圧パッド52の断面は略方形であるが、媒体搬送方向の下流側の面は、下半分が垂直面であり、上半分は垂直面から続いて下流へ向かって庇のようにオーバーハング状に傾斜する斜面となる。そして、方形の上面が加圧パッド52の第1の圧接面としての加圧パッド圧接面210となる。
一方、定着パッド51の断面も略方形であるが、加圧パッド52の断面と上下対称である。即ち、媒体搬送方向の下流側の面は、上半分が垂直面であり、下半分は垂直面から続いて下流へ向かって下降するように傾斜する斜面となる。そして、方形の下面が、定着パッド51の第2の圧接面としての定着パッド圧接面110となり、後述するように加圧パッド52の加圧パッド圧接面210と圧接することになる(
図1参照)。
【0055】
図12は第1の実施の形態に関わるカム及びカムギヤの位置関係を示す説明図である。
図12(a)は媒体横幅方向の左側端部としての
図7BにおけるD−D矢視図であり、
図12(b)は媒体横幅方向の右側端部としての
図7BにおけるE−E矢視図である。
前述のように、媒体搬送方向の上流側の第1カム軸87(
図7A(c)参照)の媒体横幅方向の左側端部には、第1のカム121及びカムギヤ122を同軸上に固着してあり、媒体横幅方向の右側端部には、第1のカム123及びカムギヤ124を同軸上に固着してある。そして、搬送方向の下流側の第2カム軸89(
図7A(c)参照)の媒体横幅方向の左側端部には第2のカム125及びカムギヤ126を同軸上に固着してあり、媒体横幅方向の右側端部には、第2のカム127及びカムギヤ128を同軸上に固着してある。
【0056】
図12(a)に示すように、カム121及びカム125は第1カム軸87及び第2カム軸89の中間に記載した中心線Sに対して線対称となる形状で配設してある。更に、
図12(b)に示すように、カム123及びカム127は第1カム軸87及び第2カム軸89の中間に記載した中心線Sに対して線対称となる形状で配設してある。カム121はカム127と同形状、同角度で第1カム軸87又は第2カム軸89に固定され、また、カム125はカム123と同形状、同角度で第1カム軸87又は第2カム軸89に固定されている。カム121及びカム125はそれぞれ第1カム軸87の中心及び第2カム軸89の中心に対して、それぞれ異なる2種類のカム面を形成している。
【0057】
即ち、カム面121a,123a,125a及び127aは、第1カム軸87及び第2カム軸89に対して同心円上の円弧形状を破線で示す角度範囲だけ有し、第1カム軸87及び第2カム軸89の中心から最も離れた距離Rを半径とした等円弧部分を形成している。カム面121b,123b,125b及び127bは、第1カム軸87及び第2カム軸89に対して同心円上の円弧形状を有し、第1カム軸87及び第2カム軸89の中心から一定量だけ離れた距離Qを半径とした等円弧部分を形成している。最大径である距離Rに対して、最小径である距離Qは概ね6mm程度小さく設定してある。
【0058】
カムギヤ124には図示しない駆動ギヤが噛み合い、同軸である第1カム軸87でカムギヤ122を回転させる。カムギヤ122にはカムギヤ126が噛み合っているので、第2カム軸89を介して、カムギヤ128が回転する。カムギヤ128は、カムギヤ124と噛み合っているので、第2カム軸89の両方から駆動力が作用する。
カム面121a,123a,125a及び127aには、前述したように立壁面65a,65bに設けた第1の当接突起板97a、97b及び第2の当接突起板98a、98bがそれぞれ当接する(
図8(b)参照)。なお、待機状態では最小径である距離Qの位置で当接することになり、その停止位置は図示しないカム位置センサの検出情報により、回転駆動制御される。
【0059】
図13は第1の実施の形態に関わる定着パッドの斜視図である。
図13は媒体搬送方向の上流のやや下方より見た図である。定着パッド51は前述した通り、定着パッドベース部材101に第2の弾性部材としての定着パッド弾性部材102を接着等により固着している。定着パッド弾性部材102は、第2の圧接面としての定着パッド圧接面110を有する。媒体横幅方向の両端部の定着パッド端部63a,63bは、定着パッド保持板金64(64bは
図7A(a)参照)により保持される部位である。図示の矢印F方向から記録媒体Mが搬送され、下方としての矢印P方向から、定着パッド51の定着パッド圧接面110に対し、次に説明する加圧パッド52の加圧パッド圧接面210が圧接することになる。
【0060】
図14は第1の実施の形態に関わる加圧パッドの斜視図である。更に、
図15は第1の実施の形態に関わる加圧パッドの平面図である。加圧パッド52は、加圧パッドベース部材204に加圧パッド弾性部材205を接着等により固着したものであることは前述した通りである。加圧パッド52は下部可動ユニット46に設けられ、上部固定ユニット45の設けられた定着パッド51と圧接することにより、記録媒体Mに対し圧接を行うことになる。
【0061】
本第1の実施の形態に関わる加圧パッド52を構成する第1の弾性部材としての加圧パッド弾性部材205は、定着パッド51と圧接する第1の圧接面としての加圧パッド圧接面210において、第1の溝部としての溝部207を複数形成する。当該溝部207は、記録媒体Mの搬送方向(矢印F方向)に対して左右二方向に角度をもって形成された複数の直線状の溝からなる。即ち、右斜め方向に所定間隔で形成された複数の直線状溝部207−1及び左斜め方向に同じく所定間隔で形成された複数の直線状溝部207−2からなる。溝部207の搬送方向に対する角度θは±10度乃至±80度の範囲であり、本第1の実施の形態では、右斜め方向の溝部207−1及び左斜め方向の溝部207−2とも角度θ=45度として、両者を直角に交差させて網目状に形成する。
【0062】
溝部207の溝部幅207wは0.5mm乃至1.5mmの範囲であり、第1の実施の形態では1.0mm以下に設定する。また、溝部207で囲まれた第1の島部としての島部208の記録媒体Mの横幅方向における島部幅208wは4mm乃至10mmで設定する。なお、本実施の形態に関する定着装置40で使用可能な記録媒体Mについては、媒体横幅方向に島部幅208wが連続した3個の長さ以上の用紙横幅であるものとする。
溝部207の深さは、傾斜角度θ及び溝部幅207wに加え、加圧パッド弾性部材205の厚さ、ゴム硬度及び定着パッド51への圧接力等により適宜決定される。少なくとも圧接力で島部208が変形して、溝部207が無くなることを回避する必要がある。なお、前述したように本加圧パッド52は、加圧パッド受部84a,84bに設けた加圧パッド端部81a,81bにより支持される。
【0063】
図16は第1の実施の形態に関わる定着パッド及び加圧パッドの対応関係を示す正面図である。定着パッド51は、定着パッドベース部材101に第2の弾性部材としての定着パッド弾性部材102を接着等により固定したものであることは前述した通りである。更に、加圧パッド52において、加圧パッドベース部材204に加圧パッド弾性部材205を接着等により固定したものであることも前述した通りである。
【0064】
加圧パッド弾性部材205の第1の圧接面としての加圧パッド圧接面210には、複数の溝部207を所定間隔で設けたことにより複数の島部208が形成される。溝部207を有する加圧パッド52の加圧パッド圧接面210及びこれに平行に面対応する定着パッド51の第2の圧接面としての定着パッド圧接面110の間で記録媒体Mを挟圧することになる。なお、定着パッド51及び加圧パッド52の保持関係等は前述した通りである(例えば
図10)。
【0065】
図17は第1の実施の形態に関わる加圧パッド、加圧パッド保持アーム及び加圧パッド軸受の位置関係を示す説明図であり、
図18は第1の実施の形態に関わる加圧パッド及び加圧ローラ保持アームの位置関係を示す説明図である。
加圧パッド52は、加圧ベルト44と略同領域で加圧ユニット42(
図6参照)の記録媒体Mの横幅方向に延在している。媒体横幅方向の両端部である加圧パッド端部81a,81bは、
図7A(b)に示した通り、加圧パッド保持アーム70a,70bの加圧パッド軸受80a,80bに嵌合している。更に、加圧パッド52は、加圧パッド回転軸79a、79b(79aは
図17参照)を介して加圧パッド保持アーム70a,70bによって回転自在に保持されている。加圧パッド保持アーム70a,70b自身は、立壁面65a,65b(
図7A(b)参照)に植設した回転軸72により回転可能に軸支される。
【0066】
加圧パッド52の媒体搬送方向の長さとしての幅Y及び加圧パッド軸受80a,80bの位置関係は、幅Yの中点が加圧パッド軸受80a,80bの中心に略一致(Y,Z/2)するよう配設されている。
また、
図18に示すように、加圧パッド52の媒体横幅方向の左右両側の加圧パッド受部84a、84bは、加圧ローラ保持アーム68a,68bに形成された挿入穴83a,83bに遊挿され、同時に加圧パッド保持アーム70a,70bに保持されている。下部シャーシ係止部75a,75bは、前述のように加圧ローラ保持アーム68a,68bの先端のストッパ部73a,73bが当接することで回動量を規制する。
【0067】
記録媒体Mが定着ローラ28及び加圧ローラ29により形成されるニップ部のニップ位置にある時、加圧パッド52の加圧パッド受部84a,84b及び挿入穴83a,83bは所定の隙間を形成する。この状態で加圧パッド52が加圧ベルト44及び定着ベルト43を介して定着パッド51に圧接する。この状態において、加圧パッド52の幅Y及び定着パッド51の幅Zの位置関係は、幅Y及び幅Zの中心が略一致しており、幅Y及び幅Zによってニップ幅を形成している。
【0068】
図1は第1の実施の形態に関わる定着装置の定着パッド、加圧パッド及び記録媒体の関係図である。図示するように、定着パッド51の下方に第2の圧接面としての定着パッド圧接面110が設けられ、加圧パッド52の上方に第1の圧接面としての加圧パッド圧接面210が設けられる。記憶媒体Mは定着パッド51及び加圧パッド52の間において、媒体搬送方向としての矢印F方向へ搬送される。加圧パッド52は加圧パッドベース部材204に第1の弾性部材としての加圧パッド弾性部材205を固着させることにより構成される。
【0069】
その加圧パッド弾性部材205の加圧パッド圧接面210には、媒体搬送方向に対して所定の角度にて直線状に形成された第1の溝部としての溝部207を設けた。この溝部207を複数交差させて網目状に設け、溝部207に囲まれた第1の島部としての島部208を分割して複数設けた。記録媒体Mの表面側を印刷面Mxとし、裏面側を非印刷面Myとすると、分割された複数の島部208が、記録媒体Mの裏面側、即ち、記録媒体Mのトナー像が転写されていない面としての非印刷面側My(矢印P方向)に当接する。よって、加圧パッド圧接面210は、記録媒体Mの非印刷面側Myから定着パッド51の第2の圧接面としての定着パッド圧接面110へ向けて圧接することになる。
【0070】
図19は第1の実施の形態に関わる画像形成装置の制御ブロック図である。画像形成装置1は以下に説明する各部により構成され、その動作は図示しない制御プログラムに従って制御される。
画像形成制御部700は、マイクロプロセッサ、ROM、RAM、入出力ポート等で構成される。具体的には、図示しない上位装置からの印刷データ及び制御コマンドを受信して、各部全体のシーケンス制御を行い、画像形成動作を行う。この画像形成制御部700の内部には各種の媒体としての記録媒体Mの設定(諸特性等)を行う印刷媒体設定部700aがある。
【0071】
I/F制御部710は、上位装置と通信する部位であって、上位装置に画像形成装置1の状態情報を送信すると共に、上位装置から入力された制御コマンドを解析し、上位装置から受信した印刷データ等を処理する。受信メモリ720は、上位装置から受信したデータをI/F制御部710の制御に基づいて色毎に格納するメモリである。
画データ編集メモリ730は、I/F制御部710を介して上位装置から入力された入力データを画データとして編集するものである。画データ編集メモリ730は受信メモリ720に一時的に格納された印刷データを受け取りLEDヘッドへ送信するために編集処理されたイメージデータを格納する。
【0072】
操作部701は画像形成装置1の状態を表示するためのLED及び画像形成装置1の動作のための操作入力するスィッチ類を備えた部位である。各種センサ702は記録媒体Mの搬送位置を検出するためのセンサ類、具体的には、前述した入口センサ14、書込みセンサ15及び排出センサ23であり、加えて画像形成装置1内の温度を検出するための温度センサ30及び濃度測定用の濃度センサ31からなる。これらの各種センサ702からの出力は画像形成制御部700へ入力される。
【0073】
帯電電圧制御部740は、画像形成制御部700の指示により帯電ローラ5に電圧を印加して感光体ドラム4の表面に帯電させるものである。ヘッド制御部750は、画データ編集メモリ730に格納されたイメージデータに従って印刷用のLEDヘッド3により帯電された感光体ドラム4の表面に光を照射して露光させるための制御を行うものである。
現像電圧制御部760は、感光体ドラム4の表面にLEDヘッド3により生成された静電潜像にトナーを付着させるため、現像ローラ6に対して電圧を印加するための制御を行う。転写電圧制御部770は、感光体ドラム4の表面に生成されたトナー像を記録媒体Mに転写するため、画像形成制御部700の指示を受けて転写ローラ11に印加する電圧の制御を行う。
【0074】
画像形成駆動制御部780は、感光体ドラム4,帯電ローラ5,現像ローラ6を回転駆動するためのものであり、画像形成制御部700の指示によりKモータ781,Yモータ782,Mモータ783,Cモータ784の回転制御を行う。
画像形成ユニット2K,2Y,2M及び2Cのそれぞれに、Kモータ781,Yモータ782,Mモータ783及びCモータ784を用いた構成とした。しかしながら、単一のモータによって駆動する構成であっても良い。
【0075】
定着制御部790は、記録媒体Mに転写されたトナー像を定着するためのものであり、画像形成制御部700の指示により定着装置40内の第1の加熱部材としての定着ヒータ50a,50b及び第2の加熱部材としての加圧ヒータ55への電圧を印加する制御を行う。本制御ブロック図では、定着ヒータ50a,50b及び加圧ヒータ55は、両者を含めて加熱部材としてのヒータ791として説明する。
【0076】
更に定着装置40内の温度を測定するためのサーミスタ792からの検出温度を受け入れ、加熱部材としてのヒータ791への電圧印加をオン・オフ制御する。加えて、定着制御部790は、定着ローラ28を回転駆動させるための定着モータ793と、カム機構120を回転制御するためのカムモータ794の回転制御を行う。
搬送ベルト駆動制御部800は、記録媒体Mを搬送するための搬送ベルト20を駆動制御するもので、画像形成制御部700の指示により搬送ベルトモータ801の回転制御を行う。給紙・搬送駆動制御部810は、記録媒体Mを転写ローラ11が対応する位置まで給紙、搬送するため、画像形成制御部700の指示により給紙モータ811及び搬送モータ812の回転制御を行う。
【0077】
(動作説明)
次に、画像形成装置1の動作説明を行う。画像形成装置1の画像形成制御部700は、I/F制御部710を介して上位装置から送信されてきた制御コマンド及び印刷データを受信する。上位装置からの印刷指示を受けると、画像形成制御部700が給紙・搬送駆動制御部810に所定の搬送動作を指示し、給紙ローラ13を回転させる。
【0078】
給紙ローラ13は媒体カセット12より、記録媒体Mを1枚だけ搬送経路130に送り出す。搬送経路130に配設された搬送ローラ16,17まで搬送され、入口センサ14が検出すると、画像形成制御部700は給紙ローラ13が給紙を正常に行えたと判断する。画像形成制御部700は、入口センサ14が所定時間内に検出しなかった場合、給紙が正常に行えなかったと判断して再度給紙動作を行う。
【0079】
搬送ローラ16,17まで搬送された記録媒体Mは画像形成ユニット2まで搬送される。画像形成ユニット2は給紙開始とほぼ同時にローラ類の回転を開始する。この時、帯電ローラ5には画像形成制御部700が帯電電圧制御部740に指示した負電圧(約−1000V)が印加され、感光体ドラム4の表面を帯電させる。
トナータンク7から印刷に用いるトナーがトナー供給用スポンジローラ9経由で現像ローラ6まで供給される。現像ローラ6に載ったトナーは現像ブレード8にて摩擦帯電される。また、感光体ドラム4の回転開始に伴って、ベルト駆動ローラ19が回転されると搬送ベルト20も同一速度で移動を開始する。
【0080】
一方、記録媒体Mは搬送ローラ16,17で搬送され続け、書込みセンサ15を通過(ON検出)すると、記録媒体Mの先端を検出する。ここでの記録媒体Mの先端検出から一定時間後にLEDヘッド3が露光を開始して、静電画像を感光体ドラム4上に形成される。
このトナー像を転写ローラ11との間に記録媒体Mが到達した時点で転写ローラ11に正電圧(約+3000V)を印加し、トナーを記録媒体M側に引き寄せてトナー像の記録媒体Mへの転写を行う。これらの動作は印刷データの解析結果に基づいて、各色の露光及び転写を行う。
【0081】
記録媒体Mへの転写が終了すると、記録媒体Mは定着部材としての定着ユニット41及び加圧部材としての加圧ユニット42の間で加熱及び加圧されて記録媒体Mにトナーが定着する。定着後、記録媒体Mの先端は、定着装置40のジャム監視兼定着後の記録媒体長検出用の排出センサ23が通過を検知(ON)した後、排出ローラ24,25によりスタッカ26に排出する。
【0082】
定着装置40の動作説明を行う。定着装置40は通常、上位装置から印刷指示がない場合には、定着ローラ28及び加圧ローラ29は離間している。また、定着パッド51及び加圧パッド52(
図6等参照)も離間している状態で待機している。なお、上位装置からの所定の印刷指示がある場合、定着ローラ28及び加圧ローラ29は圧接し、定着パッド51及び加圧パッド52も圧接してニップ部を形成する。
【0083】
上位装置からの印刷指示を受けると、定着制御部790によりカムモータ794が駆動され、図示しないギヤによりカムギヤ124(
図7(c)参照)を回転させる。カムギヤ124の回転は、カムギヤ128並びに第1カム軸87及び第2カム軸89を介して、カムギヤ122及びカムギヤ126に伝達される。図示しないカム位置センサにより、カムギヤ124は
図12に示す位置で停止する。
【0084】
下部可動ユニット46は、その自重により常時下方に付勢している。また、ベースユニット47の第1カム軸87及び第2カム軸89並びに第2のスリット92a、92b及び第3のスリット93a、93b(
図8(b)参照)は係合させてある。更に、上部固定ユニット45に配した係合ポスト95a,95b及び第1のスリット91a、91bの係合によってガイドされた状態で下方に付勢される。
【0085】
第1カム軸87に軸支されるカム121,123は第1の当接突起板97a、97bが対応し、第2カム軸89に軸支されるカム125,127には、第2の当接突起板98a、98bが対応している(
図12参照)。
カム面121a,123a,125a,127aの各カム軸からの距離Rは、最大値としているため下部可動ユニット46は上下方向において、最も高い位置に押し上げられている。この時、加圧ローラ保持アーム68a,68bは加圧ローラスプリング74の付勢力により、回動軸72を中心に上方に付勢されている。よって、加圧ローラ29は、加圧ベルト44及び定着ベルト43を介して定着ローラ28に圧接する。
【0086】
加圧パッド保持アーム70a,70bは加圧パッドスプリング78の付勢力により、回動軸72を中心に上方に付勢されている。よって、加圧パッド52は、加圧ベルト44及び定着ベルト43を介して定着パッド51に圧接する(
図17参照)。この時、加圧ローラ保持アーム68a,68bに形成された挿入穴83a,83b及び加圧パッド52に設けた加圧パッド受部84a,84bは所定の隙間が確保された状態(
図18参照)で加圧パッド52が定着パッド51に圧接している。
【0087】
加圧パッド52は、加圧パッド回転軸79a、79b(79aは
図17参照)を中心に加圧パッド軸受80a,80bが共に回動する(
図7(b)参照)。この時、加圧パッド52の幅Yの中央及び加圧パッド軸受け80a,80bの中心が記録媒体Mの搬送方向において略一致するよう配設されているため、加圧パッド52の幅Yが定着パッド51の幅Zに沿って追従し易くなっている(
図17参照)。すなわち、加圧パッド52が定着パッド51に対して揺動するため、片当たりすることなく安定したニップ部の圧力を得られる。
この状態において、加圧パッド52の幅Y及び定着パッド51の幅Zの対応位置は、略一致させているので、幅Y及び幅Zによってニップ幅を形成することになる。
【0088】
図20は第1の実施の形態に関わる定着パッド及び加圧パッドのニップ状態の説明図である。
図20(a)は、媒体横幅w1を有する記録媒体m1が一端側を搬送基準端として媒体横幅の小さい記録媒体m1を搬送する場合を示す。記録媒体m1が定着パッド51及び加圧パッド52の媒体横幅方向において片側(図示右側)にニップされる場合がある。この場合、加圧パッド52の加圧パッド弾性部材205に第1の溝部としての複数の直線状の溝部207で分割された第1の島部としての島部208が形成されている。従って、複数の島部208が個々に定着パッド弾性部材102に圧接することになるので、この時の圧力Pcは均等となる。
なお、溝部207は、必ずしも連続的な溝である必要はない。即ち、溝部207は、破線のように溝と溝でない部分とが交互に連続して形成されるものでも適用可能である。
【0089】
これにより、記録媒体m1の記録媒体横幅w1の通紙領域全てがニップされているニップ領域となり、ニップされていない非ニップ領域は存在しなくなる。そして、記録媒体厚t1が大であっても、記録媒体m1の通紙領域内における媒体横幅方向の左右の圧力差がなくなり、従って記録媒体厚t1による影響を受けない安定したニップ圧力が得られる。
図20(a)に示したように、横幅が小さい記録媒体m1であっても、右端側m1R及び左端側m1Lでの圧力差が無くなる。
【0090】
一方、
図20(b)に示すように、横幅が大きい記録媒体の場合を説明する。なお、図においては、記録媒体m2は媒体横幅w2を有するもので、記録媒体m1より中央寄りに搬送されている場合を示している。
前述したように加圧パッド弾性部材205に複数の溝部207で分割された第1の島部としての島部208を形成してあるため、個々の島部208による圧力Pcは均等となり記録媒体m2のニップ領域内で安定したニップ圧力が得られることができる。
【0091】
仮に溝部207を記録媒体Mの搬送方向と平行に形成した場合、当該溝部207による無圧域が発生するため、定着性の低下が発生するおそれがある。本実施の形態に関する加圧パッド弾性部材205に設けた複数の溝部207は媒体搬送方向に対し斜めにしている(
図15に示す傾斜角度θ)ので、無圧域は極めて微量域となり、定着性への影響をなくすことができる。なお、図示においては説明を容易にするため、
定着ベルト43及び加圧ベルト44の図示は省略し、記録媒体m1,m2、溝部207及び島部208を誇張して表現している。
【0092】
(第1の実施の形態の変形例)
図21は第1の実施の形態の変形例に関わる加圧パッドの斜視図である。
図22は同じく第1の実施の形態の変形例に関わる加圧パッドの平面図である。前述の第1の実施の形態は、加圧パッド弾性部材205の第1の圧接面としての加圧パッド圧接面210に、記録媒体Mの搬送方向(矢印F)に対して斜め方向に第1の溝部としての複数の溝部207を設け、溝部207に囲まれた部分を分割された第1の島部としての島部208としたものである。これに対し第1の実施の形態の変形例は、加圧パッド圧接面210に溝部207を形成しない溝なし領域257を媒体横幅方向へ向けて帯状に設けたものである。
【0093】
図示するように、本変形例に関する加圧パッド152の加圧パッド弾性部材205の加圧パッド圧接面210には第1の溝部としての複数の溝部207及び溝部207に囲まれた第1の島部としての島部208を形成する。そして、加圧パッド圧接面210における記録媒体Mの搬送方向(矢印F方向)の上流側に、溝部207を形成しない弾性部材の溝なし領域257を媒体横幅方向へ向けて帯状に形成する。この帯状の幅Nで示す弾性部材の溝なし領域257を形成することで記録媒体Mが定着パッド51及び加圧パッド152のニップ部分に侵入した際に、未定着トナーをより安定して定着できる。
【0094】
図示においては、媒体搬送方向の上流側にのみ溝なし領域257(幅N)を設けたが、媒体搬送方向(矢印F)の下流側又は中間部に媒体横幅方向へ向けて帯状に設けることできる。また、溝なし領域257の幅Nは溝部207の領域より狭く図示してあるが、これに限定するものではない。
【0095】
(第2の実施の形態)
図23は第2の実施の形態に関わる定着パッドの斜視図である。
図24は第2の実施の形態に関わる定着パッドの平面図である。第1の実施の形態との違いは、定着パッド側にも溝部及び島部を設けたことである。
第1の実施の形態は、加圧パッド52を構成する加圧パッド弾性部材205の加圧パッド圧接面210に溝部207及び島部208を設けたものである。第2の実施の形態においては、定着パッド351を構成する定着パッド弾性部材302の第3の圧接面としての定着パッド圧接面310にも、記録媒体Mの搬送方向に対して斜めの方向に複数の第2の溝部としての溝部307を形成する。従って、溝部307に囲まれた部分には複数の第2の島部としての島部308が形成される。即ち、定着パッド弾性部材302の定着パッド圧接面310は溝部307によって分割された島部308が形成される。
【0096】
なお、定着パッド351の定着パッドベース部材101は第1の実施の形態で説明した内容と同一である。
図24に示す溝部幅307w、島部幅308w及び溝部307の傾斜角度θは、前述した加圧パッド52と同寸度としてある。
【0097】
図25は第2の実施の形態に関わる定着パッド及び加圧パッドの対応関係を示す正面図である。図示するように上方の定着パッド351に対面して、下方に加圧パッド52が位置付けられる。この時、定着パッド弾性部材302の第3の圧接面としての定着パッド圧接面310に設けた溝部307と、加圧パッド弾性部材205の加圧パッド圧接面210に設けた溝部207は、略2分の1だけ横方向にずれた位置関係となるように構成する。なお、定着パッド351及び加圧パッド52の対応関係及び構成、作用は第1の実施の形態で説明した内容と同一である。
【0098】
図26は第2の実施の形態に関わる定着パッド弾性部材の溝部及び加圧パッド弾性部材の溝部の対応関係を示す概念図である。図示するように溝部207及び溝部307の位置を互いに略2分の1ピッチだけ横方向にずらしてあるので、各溝部の交差部が合致した状態で圧接することがなく、安定した定着性を確保できる。
図示において、実線は加圧パッド弾性部材205の加圧パッド圧接面210に設けた溝部207を示し、破線は定着パッド弾性部材302の定着パッド圧接面310に設けた溝部307を示している。
【0099】
以上の説明した実施の形態では、加圧パッド52及び定着パッド51のそれぞれの媒体搬送方向の長さとしての幅Y、Z(
図17参照)を同寸法としたが、これに限定するものではない。また、媒体搬送方向における加圧パッド52の幅Yと加圧パッド軸受80の位置関係を幅Yの中央(Y/2)として説明したが,これに限定されない。更に、定着パッド51及び加圧パッド52という上下にパッド部材を配した構成を説明したが、定着ローラ28及び加圧パッド52という組み合わせでも良い。
【0100】
以上説明したように、加圧パッド52の加圧パッド弾性部材205に記録媒体Mの搬送方向に対して斜めの方向に溝部207を網目状に形成した。この溝部207で分割された島部208が個々に定着パッド51に圧接するため、通紙領域内における圧力差が無くなる。従って、均等なニップ圧力が得られ、定着装置40において安定した記録媒体の搬送が可能となる。
【0101】
本実施の形態では、4色の画像形成ユニットを備えた画像形成装置について説明したが、ブラック色等の単色の画像形成装置又は、記録媒体がロール状のものを印刷する画像形成装置であっても良い。また、露光ユニットにLEDヘッドを使用したが、小型のレーザー及びポリゴンミラーから構成されるレーザー露光ユニットであっても良い。更に、中間転写ベルトを採用した画像形成装置にも利用できる。