(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の説明では、
図1及び
図2に示すように画像形成装置1が使用可能に設置された状態を基準とし、シートトレイ10が引き出される側を前、その反対側を後とし、画像形成装置1を前側から見て左右方向を規定し、さらに画像形成装置1の排出トレイ2B側を上、その反対を下とし、各方向を定める。
【0012】
[画像形成装置の全体構成]
図1に示す画像形成装置1は、本発明に係る画像形成装置の一実施形態であり、筐体2と、供給ユニット3と、駆動源の一例としてのモータ4と、画像形成部の一例としての画像形成ユニット5と、シート搬送装置を構成する部材の一例としての排出ユニット8とを備えている。
【0013】
供給ユニット3は、画像形成装置1の下部に配置され、供給ユニット3に保持されるシートSを画像形成ユニット5に搬送するものである。画像形成ユニット5は、供給ユニット3よりもシートSの搬送方向下流側に配置され、供給ユニット3から搬送されてきたシートSに画像を形成するものである。排出ユニット8は、画像形成ユニット5よりもシートSの搬送方向下流側に配置され、画像形成ユニット5により画像が形成されたシートSを画像形成装置1の外部へ排出するものである。
【0014】
供給ユニット3は、シートトレイ10と、給紙機構20と、搬送ローラ24と、レジストローラ26とを備えている。
【0015】
シートトレイ10は筐体2の下部に形成されるシートトレイ装着部2Aに着脱可能に装着されている。シートトレイ10は、シートトレイ装着部2Aに対して、前方から後方へ向けて挿入することによりシートトレイ装着部2Aに装着され、装着位置に位置することとなる。また、シートトレイ10は、シートトレイ装着部2Aに対して、後方から前方へ向けて引き出すことにより、装着位置から引出位置に位置することとなる。
【0016】
シートトレイ10は、複数枚のシートSを支持可能なトレイ本体11と、トレイ本体11に配置されシートSが積載されるとともにシートSを上下方向に変位可能な圧板12と、圧板12を上昇させるための圧板上昇部材13とを有する。
【0017】
圧板12は回動支点12Aで回動可能に支持されており、上下方向に変位することが可能となっている。圧板上昇部材13はモータ4により駆動されることで先端部が上昇する。圧板上昇部材13の上昇によって圧板12が持ち上げられ、圧板12上に積載されているシートSが
図1に示すような給紙可能位置まで上昇させられる。
【0018】
給紙機構20はシートトレイ10に積載されるシートSを一枚ずつ分離して取り出し、搬送ローラ24へ向けて搬送する機構である。給紙機構20は、ピックアップローラ21と、分離ローラ22と、分離パッド23とを備えている。
【0019】
ピックアップローラ21は圧板12により給紙可能位置まで上昇されたシートSを取り出すためのローラであり、圧板12の上方に配置されている。分離ローラ22はピックアップローラ21よりもシートSの搬送方向下流側に配置されており、分離パッド23は分離ローラ22に対向配置されるとともに分離ローラ22に向けて付勢されている。
【0020】
ピックアップローラ21により取り出されたシートSは分離ローラ22側へ送り出され、分離ローラ22と分離パッド23との間で1枚ずつに分離され、搬送ローラ24に向けて搬送される。
【0021】
搬送ローラ24はシートSに搬送力を付与するローラであり、給紙機構20よりもシートSの搬送方向下流側に配置されている。搬送ローラ24の対向位置には、紙粉取りローラ25が配置されている。給紙機構20から搬送ローラ24に向けて搬送されてきたシートSは搬送ローラ24と紙粉取りローラ25とで挟持され、レジストローラ26へ向けて搬送される。
【0022】
レジストローラ26は搬送ローラ24よりもシートSの搬送方向下流側に配置されている。レジストローラ26は対向配置されるレジストコロ27との間で搬送されるシートSの先端の移動を規制して一旦停止させた後、所定のタイミングにて転写位置に向けて搬送する。
【0023】
画像形成ユニット5は、供給ユニット3から搬送されてきたシートSの表面に画像を転写するプロセスカートリッジ50と、プロセスカートリッジ50の感光体ドラム54の表面を露光する露光ユニット60と、プロセスカートリッジ50によりシートSに転写された画像を定着させる定着ユニット70とを備えている。
【0024】
プロセスカートリッジ50は筐体2におけるシートトレイ装着部2Aよりも上方に配置されている。プロセスカートリッジ50は、現像剤収容室51と、供給ローラ52と、現像ローラ53と、感光体ドラム54と、転写ローラ55とを備えている。
【0025】
現像剤収容室51には現像剤となるトナーが収容されている。現像剤収容室51に収容されたトナーは、図示しない撹拌部材により撹拌されながら供給ローラ52に送られる。供給ローラ52は現像剤収容室51から送られてくるトナーをさらに現像ローラ53へ供給する。
【0026】
現像ローラ53は供給ローラ52に密着して配置されており、供給ローラ52から供給されるとともに図示しない摺接部材により正帯電されたトナーを担持する。また、現像ローラ53には、図示しないバイアス印加手段により正の現像バイアスが印加される。
【0027】
感光体ドラム54は現像ローラ53に隣接して配置されている。感光体ドラム54の表面は図示しない帯電器により一様に正帯電された後、露光ユニット60により露光される。感光体ドラム54の露光された部分は他の部分よりも電位が低くなり、感光体ドラム54に画像データに基づく静電潜像が形成される。そして、静電潜像が形成された感光体ドラム54の表面に、正に帯電されたトナーが現像ローラ53から供給されることにより、静電潜像が顕像化されて現像剤像となる。
【0028】
転写ローラ55は感光体ドラム54に対向配置され、図示しないバイアス印加手段により負の転写バイアスが印加される。転写ローラ55の表面に転写バイアスがされている状態で、現像剤像が形成された感光体ドラム54と転写ローラ55との間(転写位置)でシートSを挟持しなから搬送することにより、感光体ドラム54の表面に形成された現像剤像がシートSの表面に転写される。
【0029】
露光ユニット60は、レーザダイオードと、ポリゴンミラーと、レンズと、反射鏡とを備えており、画像形成装置1に入力された画像データに基づいてレーザ光を感光体ドラム54へ向けて照射することにより、感光体ドラム54の表面を露光する。
【0030】
定着ユニット70は、加熱ローラ71と、押圧ローラ72とを備えている。加熱ローラ71はモータ4からの駆動力により回転駆動され、加熱ローラ71は図示しない電源から電力を供給することで加熱される。押圧ローラ72は加熱ローラ71に対向配置されており、加熱ローラ71に密着して従動回転する。現像剤像が転写されたシートSが定着ユニット70に搬送されてくると、加熱ローラ71と押圧ローラ72との間でシートSを挟持しながら搬送し、シートSに現像剤像を定着させる。
【0031】
排出ユニット8は、排出ローラ83やガイド87、88を備え、定着ユニット70から搬送されてくるシートSを筐体2の外部へ向けて排出する。筐体2の上面には排出トレイ2Bが形成されており、筐体2の外部に排出されたシートSは排出トレイ2Bに堆積される。以下に、排出ユニット8について詳しく説明する。
【0032】
[排出ユニット]
図2は画像形成装置1の排出ユニット8周辺の斜視図である。
図3は排出ユニット8の斜視図である。
図4は排出ユニット8の正面図である。
図5は排出ユニット8の平面図である。
図6は
図5のA−A断面図である。
図7は軸受部材82の斜視図であり、(a)は上面側斜視図、(b)は下面側斜視図である。
図8は上ケース801及び軸受部材82の下面側斜視図である。
図9は
図5のB−B断面図である。
図10は
図5のC−C断面図である。
図11は
図5のD−D断面図である。
【0033】
図3から
図6に示すように、排出ユニット8は、ユニットの外観を構成するケース80と、駆動軸部81と、駆動軸部81を受ける軸受部材82と、駆動軸部81に軸方向へ間隔を有して設けられる4つの排出ローラ83とを備えている。4つの排出ローラ83は、左から順に排出ローラ83A、排出ローラ83B、排出ローラ83C、排出ローラ83Dとする。
【0034】
また排出ユニット8は、排出ローラ83とニップを形成する4つの従動ローラ84と、従動ローラ84と一体的に回転可能に設けられる4つのフランジ部85とを備えている。4つの従動ローラ84は、左から順に従動ローラ84A、従動ローラ84B、従動ローラ84C、従動ローラ84Dとし、4つのフランジ部85は、左から順にフランジ部85A、フランジ部85B、フランジ部85C、フランジ部85Dとする。
【0035】
また排出ユニット8は、各排出ローラ83A〜83D間の駆動軸部81に設けられる3つのコルゲーションローラ86を備えている。3つのコルゲーションローラ86は、左から順にコルゲーションローラ86A、コルゲーションローラ86B、コルゲーションローラ86Cとする。
【0036】
また排出ユニット8は、駆動軸部81よりもシートSの搬送方向上流側であって、搬送経路Pの上部を構成する複数のガイド87及び搬送経路Pの下部を構成する複数のガイド88を備えている。また排出ユニット8は、排出ローラ83よりも搬送方向下流側に設けられるシート押さえ部材89を備えている。
【0037】
排出ローラ83は第1排出ローラ又は第2排出ローラの一例であり、従動ローラ84は第1従動ローラ又は第2従動ローラの一例である。また、コルゲーションローラ86は第1コルゲーションローラ又は第2コルゲーションローラの一例であり、ガイド87は第1ガイド、第2ガイド又は第3ガイドの一例である。
【0038】
<ケース>
ケース80はABS(アクリロ二トリル・ブタジエン・スチレン樹脂)等で形成される部材であり、ガイド87の一部が形成される上ケース801と、ガイド88が形成される下ケース802とを有する。
【0039】
<駆動軸部>
駆動軸部81はポリカーボネート等で形成される棒部材である。駆動軸部81は、ケース80のシート排出口に左右方向に延びて配置され、左右両端部が下ケース802に、中央部付近が軸受部材82にそれぞれ回転可能に支持されている。そして、駆動軸部81はモータ4からの駆動力によって回転する。
【0040】
<軸受部材>
軸受部材82は駆動軸部81との抵抗が小さいPOM(ポリアセタール)等で形成される部材であり、本実施形態では一体成型品である。軸受部材82は、上ケース801に取り付けられ、駆動軸部81の中央部付近を上方から支持する。軸受部材82を上ケース801と別部品で構成することにより、軸受部材82に上ケース801と異なる材料を用いることができる。例えば、軸受部材82に上ケース801よりも高価な材料を用いた場合でも、軸受部材82は上ケース801に比べて小さいため、コストの上昇を抑えることができる。
【0041】
図7に示すように、軸受部材82は、本体部82Aと、本体部82Aの左右からそれぞれ前下方へ突出して形成される軸受部82Bと、軸受部82Bの左右にそれぞれ形成される係止部82Cと、本体部82Aから下方へ突出して形成される3つの長ガイド871〜873とを有している。
【0042】
係止部82Cは板バネ状に形成されている。係止部82Cが上ケース801に挿嵌されることで軸受部材82は上ケース801に押し付けた状態で保持される。軸受部82Bは断面C字型に形成されている。軸受部82Bは挿嵌された駆動軸部81を回転可能に支持する。軸受部82Bは駆動軸部81の中央に配置されるコルゲーションローラ86Bの左右近傍に位置する。
【0043】
長ガイド871〜873は、シートSを搬送経路Pに沿って案内する3つの同形状の搬送方向に延びたリブで構成される。
図6に示すように、中央の長ガイド872は軸方向である左右方向の位置がコルゲーションローラ86Bと重なる位置に配置され、左方の長ガイド871及び右方の長ガイド873は左右方向の位置がコルゲーションローラ86Bに隣設する位置に配置されている。ここでいうコルゲーションローラ86Bに隣設する位置とは、コルゲーションローラ86BへシートSを案内するという長ガイド871、873の機能を発現可能な所定範囲の位置を指す。
【0044】
このように、軸受部82Bが駆動軸部81の中央部付近を支持することにより、シートSの厚みによって駆動軸部81が撓んでコルゲーションローラ86Bが上方へ変位した場合でも、軸受部材82と長ガイド871〜873が一緒に変位する。したがって、コルゲーションローラ86Bと長ガイド871〜873との相対位置が一定に保たれ、長ガイド871〜873のコルゲーションローラ86Bに対する効果を維持することができる。
【0045】
なお、軸受部材82は省略してもよい。その場合、長ガイド871〜873は上ケース801に形成され得る。
【0046】
<排出ローラ>
図3から
図6に示すように、排出ローラ83はEPDM(エチレン・プロピレン・ジエンゴム)等で形成されるローラであり、駆動軸部81と一体的に回転可能に駆動軸部81に固定されている。排出ローラ83A〜83Dは従動ローラ84A〜84Dとニップを形成することでシートSを搬送可能としている。なお、排出ローラ83は2つ以上であれば、その数には特に限定はない。
【0047】
<従動ローラ>
従動ローラ84はPOM等で形成されるローラである。従動ローラ84A〜84Dの軸部84E〜84Hはローラ支持部材841〜844に回転可能に支持されている。ローラ支持部材841〜844は圧縮コイルばね845〜848によって排出ローラ83A〜83Dへ向かって付勢された状態で下ケース802に取り付けられている。これにより、従動ローラ84A〜84Dは、排出ローラ83A〜83Dへ向かって付勢されて排出ローラ83A〜83Dとニップを形成する。
【0048】
<フランジ部>
フランジ部85はPOM等で形成される円板状の部材である。フランジ部85A〜85Dは従動ローラ84A〜84Dの軸部84E〜84Hに固定されることで従動ローラ84A〜84Dと一体的に回転可能となっている。フランジ部85A〜85Dは外周部の対向する位置に2つの凹部851(
図3参照)を有する。凹部851はシートSの後端部を引っかけてシートSを蹴り出すように搬送するものである。
【0049】
フランジ部85は従動ローラ84より大径であることが好ましい。これにより、シートSの後端部が排出ローラ及び従動ローラのニップから離れた際に、凹部に引っ掛かりやすくなり、シートSの排出性が向上する。また、搬送中のシートSの下面を押し上げるため、コルゲーションを付ける効果もある。
【0050】
左端に配置されるフランジ部85Aは、従動ローラ84Aにおける軸方向の両端部のうち、コルゲーションローラ86A側と反対側である左端部に設けられている。また、右端に配置されるフランジ部85Dは、従動ローラ84Dにおける軸方向の両端部のうち、コルゲーションローラ86C側と反対側である右端部に設けられている。これにより、シートSの後端部が排出ローラ83のニップから離れた際に、シートSの後端部が排出ローラ83より大径のコルゲーションローラ86A、86Cによって下方へ押され、フランジ部85A、85Dの凹部851に引っ掛かり易くなるため、シートSの排出性が向上する。
【0051】
中央左寄りに配置されるフランジ部85Bは、従動ローラ84Bにおける軸方向の両端部のうち、コルゲーションローラ86A側である右端部に設けられている。また、中央右寄りに配置されるフランジ部85Cは、従動ローラ84Cにおける軸方向の両端部のうち、コルゲーションローラ86A側である左端部に設けられている。これにより、シートSのコルゲーションローラ86A付近がフランジ部85B、85Cによって上方へ持ち上げられる。つまり、フランジ部85B、85Cはコルゲーションローラ86Aによるコルゲーションの付与を補助する。
【0052】
なお、フランジ部85B、85Cは省略してもよい。本実施形態では、フランジ部85A〜85Dと軸部84E〜84Hと従動ローラ84A〜84Dとをそれぞれ組み付けて一体化した組部品を下ケース802へ取り付ける工程とすることにより、4つの同一の組部品を用いることができ、組み立て作業の効率が向上する。
【0053】
<コルゲーションローラ>
コルゲーションローラ86はウレタンフォーム等で形成されるローラである。コルゲーションローラ86は駆動軸に接着剤等で固定される。これにより、ジャム処理等でコルゲーションローラ86に軸方向の負荷が掛かった場合でも位置がずれない。
【0054】
中央のコルゲーションローラ86Bは、排出ローラ83Bと排出ローラ83Cとの間の駆動軸部81に設けられ、排出ローラ83B及び排出ローラ83Cよりも大径である。これにより、シートSはコルゲーションローラ86Bによって下方へ押され、コルゲーションが付けられる。
【0055】
左側のコルゲーションローラ83Aは、排出ローラ83Bのコルゲーションローラ86B側と軸方向において反対側の位置にある駆動軸部81に設けられ、コルゲーションローラ86Bよりも大径かつ広幅である。また、右側のコルゲーションローラ86Cは、排出ローラ83Cのコルゲーションローラ86B側と軸方向において反対側の位置にある駆動軸部81に設けられ、コルゲーションローラ86Bよりも大径かつ広幅である。なお、コルゲーションローラ83A、83Cは、少なくともコルゲーションローラ86Bよりも大径又は広幅の何れか一方であればよい。
【0056】
このように、大径及び/又は広幅のコルゲーションローラ83A、83Cによって中央のコルゲーションローラ86BよりもシートSに強くコルゲーションを付けることができる。よって、コルゲーションローラ83A、83Cの搬送方向下流側に配置されるシート押さえ部材89によってシートSの腰がなくなることを抑制することができる。また、大径のコルゲーションローラ83A、83CにはシートSの後端部を蹴り出す機能もある。
【0057】
コルゲーションローラ86にスポンジ状の材料を用いた場合、中央部よりも左右両端部の外径が大きくなることがある。この場合、シートSの先端部はコルゲーションローラ86の左右両端部へ最初に当接する。したがって、本実施形態の長ガイド871、873のように、コルゲーションローラ86の左右両端部近傍にガイドを設け、シートSをコルゲーションローラ86の左右両端部の所定位置へ確実に案内することが好ましい。
【0058】
なお、全てのコルゲーションローラ86A〜86Cは同じ大きさであってもよい。同一部品を用いることにより、部品点数が減りコストを削減できるとともに、組み立て作業の効率が向上する。また、コルゲーションローラ86は排出ローラ83と異なる色であってもよい。両者を目視で容易に判別できるため、組み立て作業の効率が向上する。
【0059】
さらに、コルゲーションローラ86の硬度は排出ローラ83の硬度より低いことが好ましい。シートSから受ける圧力によってコルゲーションローラ86が変形する際、厚く腰の強いシートの場合には変形量が大きく、薄く腰の弱いシートの場合には変形量が小さくなる。したがって、コルゲーションローラ86は、厚いシートに傷を付けることがなく、薄いシートに強くコルゲーションを付けることができる。すなわち、コルゲーションローラ86はシートSの厚みに応じてシートを傷つけることなく適正なコルゲーションを付けることができる。
【0060】
<ガイド>
図6又は
図8に示すように、ガイド87は、シートSを搬送経路Pに沿って案内する複数の搬送方向に延びたリブで構成される。搬送経路PはシートSの搬送方向を上方向から前方向へ変える湾曲部P1を有し、ガイド87は湾曲部P1の外縁を形成する位置に配置されている。これにより、シートSはガイド87に押し当てられながら搬送されるため、ガイド87によってシートSを確実に案内することができる。
【0061】
ガイド87は、前側下端部がコルゲーションローラ86の下端部近傍まで延びる長ガイドと、前側下端部が長ガイドのそれより上方に位置する短ガイドとで構成される。長ガイドはシートSをコルゲーションローラ86へ案内するガイドであり、短ガイドはシートSを排出ローラ83又はフランジ部85へ案内するガイドである。
【0062】
長ガイドは、上述した長ガイド871〜873と、左右方向の位置がコルゲーションローラ86Aと重なる位置に配置される長ガイド874と、左右方向の位置がコルゲーションローラ86Cと重なる位置に配置される長ガイド875とを有する。なお、長ガイド874、875は、それぞれ左右方向の位置がコルゲーションローラ86A、86Cに隣設する位置に配置されてもよい。
【0063】
短ガイドは、左右方向の位置が、フランジ部85Aの左側に隣設される短ガイド87Aと、フランジ部85Aと排出ローラ83Aとの間に配置される短ガイド87Bと、排出ローラ83Aと重なる位置に配置される短ガイド87Cとを有する。また短ガイドは、左右方向の位置が、排出ローラ83Aとコルゲーションローラ86Aとの間に配置される短ガイド87Dと、コルゲーションローラ86Aと排出ローラ83Bとの間に配置される短ガイド87Eと、排出ローラ83Bとフランジ部85Bとの間に配置される短ガイド87Fとを有する。
【0064】
また短ガイドは、左右方向の位置が、フランジ部85Bと長ガイド871との間に配置される2つの短ガイド87G、87Hと、長ガイド873とフランジ部85Cとの間に配置される2つの短ガイド87J、87Kとを有する。
【0065】
また短ガイドは、左右方向の位置が、フランジ部85Cと排出ローラ83Cとの間に配置される短ガイド87Lと、排出ローラ83Cとコルゲーションローラ86Cとの間に配置される短ガイド87Mと、フランジ部85Cと排出ローラ83との間に配置される短ガイド87Nとを有する。また短ガイドは、左右方向の位置が、排出ローラ83Dと重なる位置に配置される短ガイド87Pと、排出ローラ83Dとフランジ部85Dとの間に配置される短ガイド87Qと、フランジ部85Aの右側に隣設される短ガイド87Rとを有する。
【0066】
なお、短ガイドは左右方向の位置が排出ローラ83と重なる位置に配置され、長ガイドは左右方向の位置がコルゲーションローラ86と重なる位置に配置された場合、搬送方向において各ガイド87と各ローラ83、86とが重なるため、各ガイド87が各ローラ83、86の所定の進入位置にシートSの先端部を確実に案内することができ、各ガイド87の効果を最大化することができる。
【0067】
ここで、
図9から
図11に示すように、排出ローラ83と従動ローラ84とのニップ点Nを通る接線を含む接平面Tを仮想する。そして、第1端部の一例としての短ガイド87Eの前側下端部87EAから接平面Tまでの距離を第1距離D1(
図9参照)、第2端部の一例としての短ガイド87Mの前側下端部87MAから接平面Tまでの距離を第2距離D2(
図10参照)、第3端部の一例としての長ガイド871の前側下端部871Aから接平面Tまでの距離を第3距離D3(
図11参照)とする。
【0068】
ここでいう前側下端部とは、必ずしも各ガイド87における前端の下端部を指すわけではなく、各ガイド87におけるシートSを実際に案内する下端部分の前端部を指す。各短ガイドの前側下端部から接平面Tまでの距離は全て同一である。したがって、第1距離D1及び第2距離D2も同一である。また、各長ガイドの前側下端部から接平面Tまでの距離は全て同一である。
【0069】
このとき、第3距離D3は第1距離D1及び第2距離D2よりも短い。つまり、長ガイド871の前側下端部871Aは短ガイド87E、87Mの前側下端部87EA、87MAよりも接平面Tに近く配置されている。これは、長ガイド871の前側下端部871Aがコルゲーションローラ86Bの下端部近くまで延びていることを意味する。なお、第3距離D3は0であってもよい。
【0070】
そのため、シートSの先端部が長ガイド871に案内されてコルゲーションローラ86Bに当接するときのコルゲーションローラ86Bに対するシートSの進入角度θは、長ガイド871を短ガイド87E、87Mと同形状とした場合に比べて小さくなる。これにより、シートSの先端部がコルゲーションローラ86Bへスムーズに案内され、シートSの先端部がコルゲーションローラ86Bに当接した際に折れ曲がったり、ジャムしたりすることが抑制される。
【0071】
そして、コルゲーションローラ86によって適切なコルゲーションが付けられたシートSは、ほぼ接平面Tに沿って排出トレイ2B上へ排出される。このように、排出ローラ83から排出されるシートSの先端部が垂れ下がりにくいため、既に排出トレイ2B上に排出されたシートSを排出中のシートSの先端部が当たって押し出してしまうことが抑制される。
【0072】
次に、ガイド88は、シートSを搬送経路Pに沿って案内する複数の同形状の搬送方向に延びたリブで構成される。ガイド88は搬送経路Pの湾曲部P1の内縁を形成する位置に配置されている。
【0073】
ガイド88は、左右方向の位置が、フランジ部85Aの左側に隣設されるガイド88Aと、従動ローラ84Aの右側に隣設されるガイド88Bと、従動ローラ84Bの左側に隣設されるガイド88Cと、フランジ部85Bの右側に隣設されるガイド88Dとを有する。またガイド88は、フランジ部85Cの左側に隣設されるガイド88Eと、従動ローラ84Cの右側に隣設されるガイド88Fと、従動ローラ84Dの左側に隣設されるガイド88Gと、フランジ部85Dの右側に隣設されるガイド88Hとを有する。このようなガイド88A〜88HによってシートSを確実にニップ点Nへ向かって案内することができる。
【0074】
<シート押さえ部材>
図2に示すように、シート押さえ部材89は、樹脂で形成される板状部材である。シート押さえ部材89は、ケース80のシート排出口に左右方向に複数並べて配置される。各シート押さえ部材89の上部の左右両端部は、上ケース801に揺動可能に支持されている。そして、シート押さえ部材89は、通過するシートSに押されて下端部が持ち上げられるように揺動する。このとき、シート押さえ部材89の自重によって、シートSは従動ローラ側へ押さえられ、排出トレイ2Bへスムーズに排出される。なお、シート押さえ部材89のシートSを押さえる強さは、シートSがコルゲーションローラ83A、83Cによって付けられたコルゲーションを保持できる程度とする。
【0075】
[変形例]
上記の実施形態では、駆動軸部81、排出ローラ83及びコルゲーションローラ86が上側、従動ローラ84及びフランジ部85A〜85Dが下側に配置されているが、それらが上下逆に配置される構成であってもよい。すなわち、駆動軸部81、排出ローラ83及びコルゲーションローラ86が下側、従動ローラ84及びフランジ部85A〜85Dが上側に配置される構成であってもよい。
【0076】
上記の実施形態では、ガイド87が搬送経路Pの上部を構成し、ガイド88が搬送経路Pの下部を構成しているが、それらが上下逆に配置される構成であってもよい。すなわち、ガイド87が搬送経路Pの下部を構成し、ガイド88が搬送経路Pの上部を構成する形態であってもよい。
【0077】
[実施形態の効果]
上記の実施形態である画像形成装置1に搭載されるシート搬送装置は、モータ4からの駆動力によって回転する駆動軸部81と、駆動軸部81に軸方向へ間隔を有して設けられる排出ローラ83B及び排出ローラ83Cと、を備える。またシート搬送装置は、排出ローラ83Bとニップを形成する従動ローラ84Bと、排出ローラ83Cとニップを形成する従動ローラ84Cと、を備える。またシート搬送装置は、排出ローラ83Bと排出ローラ83Cとの間の駆動軸部81に設けられ、排出ローラ83B及び排出ローラ83Cよりも大径のコルゲーションローラ86Bを備える。またシート搬送装置は、駆動軸部81よりもシートSの搬送方向上流側であって、軸方向の位置が排出ローラ83Bと重なる位置又は隣設する位置に配置され、シートSを搬送経路Pに沿って案内する短ガイド87Eを備える。またシート搬送装置は、駆動軸部81よりも搬送方向上流側であって、軸方向の位置が排出ローラ83Cと重なる位置又は隣設する位置に配置され、シートSを搬送経路Pに沿って案内する短ガイド87Mを備える。またシート搬送装置は、駆動軸部81よりも搬送方向上流側であって、軸方向の位置がコルゲーションローラ86Bと重なる位置又は隣設する位置に配置され、シートSを搬送経路Pに沿って案内する長ガイド871を備える。そして、長ガイド871は、排出ローラ83Bと従動ローラ84Bとのニップ点Nを通る接線を含む接平面Tに対し、短ガイド87Eの搬送方向下流側の前側下端部87EAから接平面Tまでの第1距離D1及び短ガイド87Mの搬送方向下流側の前側下端部87MAから接平面Tまでの第2距離D2よりも、長ガイド871の搬送方向下流側の前側下端部871Aから接平面Tまでの第3距離D3が短くなる位置に配置されている。
【0078】
この構成によると、第3距離D3が第1距離D1及び第2距離D2よりも短くなるように、すなわち長ガイド871の前側下端部871Aが短ガイド87Eの前側下端部87EA及び短ガイド87Mの前側下端部87MAよりも接平面T近くに配置されている。そのため、シートSの先端部がコルゲーションローラ86Bに当接するときのコルゲーションローラ86Bに対するシートSの進入角度が小さくなる。これにより、シートSの先端部がコルゲーションローラ86Bへスムーズに案内され、シートSの先端部がコルゲーションローラ86Bに当接した際に折れ曲がったり、ジャムしたりすることが抑制される。
【0079】
また上記のシート搬送装置では、短ガイド87Cは、軸方向の位置が排出ローラ83Aと重なる位置に配置され、短ガイド87Pは、軸方向の位置が排出ローラ83Dと重なる位置に配置され、長ガイド872は、軸方向の位置がコルゲーションローラ86Bと重なる位置に配置される。
【0080】
この構成によると、搬送方向において各ガイド87C、87P、872が各排出ローラ83A、83D又はコルゲーションローラ86Bと重なるため、各ガイド87C、87P、872が各排出ローラ83A、83D又はコルゲーションローラ86Bの所定の進入位置にシートSの先端部を確実に案内することができ、ガイド87C、87P、872の効果を最大化することができる。
【0081】
また上記のシート搬送装置では、搬送経路PはシートSの搬送方向を変える湾曲部P1を有し、短ガイド87E、短ガイド87M及び長ガイド871は、湾曲部P1の外縁を形成する。
【0082】
この構成によると、シートSが各ガイド87E、87M、873に押し当てられながら搬送されるため、各ガイド87E、87M、873によってシートSを確実に案内することができる。
【0083】
また上記のシート搬送装置は、駆動軸部81を受ける軸受部材82を備え、長ガイド871〜873は軸受部材82に設けられる。
【0084】
この構成によると、シートSの押圧力によって駆動軸部81が撓んでコルゲーションローラ86Bが変位した場合に、軸受部材82及び長ガイド871〜873が一緒に変位するため、コルゲーションローラ86Bと長ガイド871〜873との相対位置が一定に保たれ、長ガイド871〜873の効果を維持することができる。
【0085】
また上記のシート搬送装置は、外周部に凹部851を有し従動ローラ84Aと一体的に回転可能に設けられたフランジ部85Aを有し、フランジ部85Aは、従動ローラ84Aにおける軸方向の両端部のうち、コルゲーションローラ86A側と反対側の端部に設けられている。
【0086】
この構成によると、シートSの後端部が排出ローラ83Aのニップから離れた際に、シートSの後端部が大径のコルゲーションローラ86Aによってフランジ部85A側に押され、フランジ部85Aの凹部851に引っ掛かり易くなるため、シートSの排出性が向上する。
【0087】
また上記のシート搬送装置は、排出ローラ83Bよりも搬送方向下流側に設けられ、従動ローラ84B側へシートSを押さえる揺動可能なシート押さえ部材89と、排出ローラ83Bのコルゲーションローラ86B側と軸方向において反対側の位置にある駆動軸部81に設けられ、コルゲーションローラ86Bよりも大径及び/又は広幅のコルゲーションローラ86Aと、を備える。
【0088】
この構成によると、大径及び/又は広幅のコルゲーションローラ86AによってシートSに強くコルゲーションをつけておくことにより、シート押さえ部材89に押されてシートSの腰がなくなることを抑制することができる。