特許第6972946号(P6972946)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社JVCケンウッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6972946
(24)【登録日】2021年11月8日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】分析装置及び分析方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/17 20060101AFI20211111BHJP
   G01N 35/02 20060101ALI20211111BHJP
   G01N 21/03 20060101ALI20211111BHJP
【FI】
   G01N21/17 A
   G01N35/02 A
   G01N21/03 Z
【請求項の数】6
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2017-217036(P2017-217036)
(22)【出願日】2017年11月10日
(65)【公開番号】特開2019-86484(P2019-86484A)
(43)【公開日】2019年6月6日
【審査請求日】2020年3月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 敦
(72)【発明者】
【氏名】岩間 茂彦
(72)【発明者】
【氏名】山本 雅弘
【審査官】 平田 佳規
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−138186(JP,A)
【文献】 特開2002−039974(JP,A)
【文献】 特開2017−059242(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00− G01N 21/01
G01N 21/17− G01N 21/74
G01N 33/48− G01N 33/98
G01N 35/00− G01N 35/10
C12M 1/34
C12Q 1/00− C12Q 1/70
G06T 1/00− G06T 1/40
G06T 3/00− G06T 3/60
G06T 5/00− G06T 5/50
G06T 7/00− G06T 7/90
G06T 9/00− G06T 9/40
G11B 7/00− G11B 7/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円板形状の試料分析用ディスクに形成されて微粒子が捕捉されている反応領域に、レーザ光を照射し、反射光を受光して受光検出信号を生成する光ピックアップと、前記試料分析用ディスクに形成されている基準位置識別部を検出して基準位置検出信号を生成する基準位置検出センサとを有し、前記試料分析用ディスクを回転させ、前記光ピックアップを前記試料分析用ディスクの半径方向に移動させ、前記光ピックアップの前記試料分析用ディスクにおける測定半径位置を検出して測定半径位置情報を生成する光ディスクドライブと、
前記測定半径位置情報に基づいて、位相差及びゲート幅を含むゲート情報であって、前記位相差は、固定値である基準シフト量と、前記測定半径位置に応じた変動値であり、単位ゲートシフト量の整数倍であるゲートシフト量とを含むゲート情報を生成するゲート情報処理部と、
前記基準位置検出信号と前記ゲート情報とに基づいて、前記測定半径位置毎に前記試料分析用ディスクの回転方向に前記ゲートシフト量だけシフトするゲート信号を生成し、前記受光検出信号から、前記レーザ光が前記微粒子上を走査される毎に生成される微粒子パルス信号を前記ゲート信号毎に抽出し、前記微粒子パルス信号をカウントして前記ゲート信号に対応するカウント値を生成する検出回路と、
前記ゲート信号に対応する前記試料分析用ディスク上のゲート信号対応領域を前記単位ゲートシフト量毎に前記試料分析用ディスクの回転方向に分割して複数の分割領域を設定し、前記測定半径位置情報に基づいて、前記分割領域の位置情報を生成し、かつ、前記ゲート信号に対応するカウント値に基づいて、前記分割領域におけるカウント値を設定するゲートシフト処理部と、
を備える分析装置。
【請求項2】
前記ゲート情報処理部は、前記反応領域を含む測定領域を前記試料分析用ディスクの回転方向にm(mは2以上の整数)分割するように前記ゲート幅を設定し、前記ゲート幅をm分割するように前記ゲートシフト量を設定する請求項1に記載の分析装置。
【請求項3】
前記ゲートシフト処理部は、前記分割領域が含まれるゲート信号対応領域に対応するゲート信号におけるカウント値と、前記分割領域に隣接するゲート信号対応領域に対応するゲート信号におけるカウント値とに基づいて、前記分割領域におけるカウント値を設定する請求項1または2に記載の分析装置。
【請求項4】
前記分割領域の位置情報に基づいて、前記分割領域におけるカウント値をカウント値分布データテーブルに保存するカウント値分布データ処理部と、
前記測定半径位置情報に基づいて、前記反応領域に対する測定が終了したか否かを判定するカウント値生成処理部と、
前記カウント値分布データテーブルに保存されている前記分割領域におけるカウント値に基づいて、前記反応領域の位置を特定し、前記反応領域におけるカウント値を決定する反応領域特定処理部と、
をさらに備える請求項1〜3のいずれか1項に記載の分析装置。
【請求項5】
前記反応領域特定処理部は、前記測定半径位置における前記反応領域の位置を特定し、前記反応領域の位置情報を前記測定半径位置毎に生成し、
前記検出回路は、前記ゲート信号として、前記測定半径位置毎に前記試料分析用ディスクの回転方向に前記ゲートシフト量だけシフトする分布ゲート信号と、前記分布ゲート信号が生成される測定半径位置に対して1つの前の測定半径位置における反応領域の位置情報に基づいて前記反応領域に対応するゲート幅を有する測定ゲート信号とを生成し、
前記反応領域特定処理部は、前記分布ゲート信号に基づいて前記反応領域の位置を特定し、
前記カウント値生成処理部は、全ての測定半径位置での前記測定ゲート信号におけるカウント値を合算し、前記反応領域におけるカウント値を決定する
求項4に記載の分析装置。
【請求項6】
微粒子が捕捉されている反応領域を有する円板形状の試料分析用ディスクを回転させ、
光ピックアップを前記試料分析用ディスクの半径方向に移動させ、前記光ピックアップの前記試料分析用ディスクにおける測定半径位置を検出して測定半径位置情報を生成し、
前記試料分析用ディスクに形成されている基準位置識別部を検出して基準位置検出信号を生成し、
前記光ピックアップからレーザ光を前記反応領域に照射し、反射光を受光して受光検出信号を生成し、
前記測定半径位置情報に基づいて、位相差及びゲート幅を含むゲート情報であって、前記位相差は、固定値である基準シフト量と、前記測定半径位置に応じた変動値であり、単位ゲートシフト量の整数倍であるゲートシフト量とを含むゲート情報を生成し、
前記基準位置検出信号と前記ゲート情報とに基づいて、前記測定半径位置毎に前記試料分析用ディスクの回転方向に前記ゲートシフト量だけシフトするゲート信号を生成し、
前記受光検出信号から、前記レーザ光が前記微粒子上を走査される毎に生成される微粒子パルス信号を前記ゲート信号毎に抽出し、前記微粒子パルス信号をカウントして前記ゲート信号に対応するカウント値を生成し、
前記ゲート信号に対応する前記試料分析用ディスク上のゲート信号対応領域を前記単位ゲートシフト量毎に前記試料分析用ディスクの回転方向に分割して複数の分割領域を設定し、
前記測定半径位置情報に基づいて、前記分割領域の位置情報を生成し、かつ、前記ゲート信号に対応するカウント値に基づいて、前記分割領域におけるカウント値を設定する
析方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗原、抗体等の生体物質を分析するための分析装置及び分析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
疾病に関連付けられた特定の抗原または抗体をバイオマーカーとして検出することで、疾病の発見及び治療の効果等を定量的に分析する免疫検定法(immunoassay)が知られている。
【0003】
特許文献1には、試料分析用ディスク上の反応領域に固定された抗体と、試料中の被測定微粒子が有する抗原とを結合させ、抗体を有する標識用微粒子(以下、微粒子という)によって抗原を標識し、光ピックアップから照射されるレーザ光を走査することにより、反応領域に捕捉された微粒子を検出する分析装置が記載されている。特許文献1に記載されている分析装置は、光ディスク装置を検体検出用に利用したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017−58242号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されているような従来の分析装置では、試料分析用ディスクを回転させながら光ピックアップを試料分析用ディスクの半径方向にトラック毎に移動させる。分析装置は、試料分析用ディスクの回転方向に対して反応領域を同一の時間幅で分割する複数のゲート信号を生成し、ゲート信号毎に反応領域に捕捉された微粒子を検出する。分析装置は、検出された微粒子をカウントすることにより、反応領域に捕捉されている微粒子の数を間接的に計測し、反応領域における微粒子の分布状態を間接的に検出することができる。
【0006】
従来の分析装置は、試料分析用ディスクの半径方向に対してはトラックピッチと同じ測定分解能を有し、試料分析用ディスクの回転方向に対してはゲート信号のゲート幅に応じて測定分解能が決定される。ゲート信号のゲート幅を狭くすることにより測定分解能を向上させることができる。しかしながら、ゲート幅が狭くなるほど、試料分析用ディスクの回転方向に対して生成されるゲート信号の数が増大するため、回路規模が大きくなってしまう。
【0007】
本発明は、回路規模の増大を抑制し、試料分析用ディスクの回転方向における測定分解能を向上させることができる分析装置及び分析方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、円板形状の試料分析用ディスクに形成されて微粒子が捕捉されている反応領域に、レーザ光を照射し、反射光を受光して受光検出信号を生成する光ピックアップと、前記試料分析用ディスクに形成されている基準位置識別部を検出して基準位置検出信号を生成する基準位置検出センサとを有し、前記試料分析用ディスクを回転させ、前記光ピックアップを前記試料分析用ディスクの半径方向に移動させ、前記光ピックアップの前記試料分析用ディスクにおける測定半径位置を検出して測定半径位置情報を生成する光ディスクドライブと、前記測定半径位置情報に基づいて、位相差及びゲート幅を含むゲート情報であって、前記位相差は、固定値である基準シフト量と、前記測定半径位置に応じた変動値であり、単位ゲートシフト量の整数倍であるゲートシフト量とを含むゲート情報を生成するゲート情報処理部と、前記基準位置検出信号と前記ゲート情報とに基づいて、前記測定半径位置毎に前記試料分析用ディスクの回転方向に前記ゲートシフト量だけシフトするゲート信号を生成し、前記受光検出信号から、前記レーザ光が前記微粒子上を走査される毎に生成される微粒子パルス信号を前記ゲート信号毎に抽出し、前記微粒子パルス信号をカウントして前記ゲート信号に対応するカウント値を生成する検出回路と、前記ゲート信号に対応する前記試料分析用ディスク上のゲート信号対応領域を前記単位ゲートシフト量毎に前記試料分析用ディスクの回転方向に分割して複数の分割領域を設定し、前記測定半径位置情報に基づいて、前記分割領域の位置情報を生成し、かつ、前記ゲート信号に対応するカウント値に基づいて、前記分割領域におけるカウント値を設定するゲートシフト処理部とを備える分析装置を提供する。
【0009】
発明は、微粒子が捕捉されている反応領域を有する円板形状の試料分析用ディスクを回転させ、光ピックアップを前記試料分析用ディスクの半径方向に移動させ、前記光ピックアップの前記試料分析用ディスクにおける測定半径位置を検出して測定半径位置情報を生成し、前記試料分析用ディスクに形成されている基準位置識別部を検出して基準位置検出信号を生成し、前記光ピックアップからレーザ光を前記反応領域に照射し、反射光を受光して受光検出信号を生成し、前記測定半径位置情報に基づいて、位相差及びゲート幅を含むゲート情報であって、前記位相差は、固定値である基準シフト量と、前記測定半径位置に応じた変動値であり、単位ゲートシフト量の整数倍であるゲートシフト量とを含むゲート情報を生成し、前記基準位置検出信号と前記ゲート情報とに基づいて、前記測定半径位置毎に前記試料分析用ディスクの回転方向に前記ゲートシフト量だけシフトするゲート信号を生成し、前記受光検出信号から、前記レーザ光が前記微粒子上を走査される毎に生成される微粒子パルス信号を前記ゲート信号毎に抽出し、前記微粒子パルス信号をカウントして前記ゲート信号に対応するカウント値を生成し、前記ゲート信号に対応する前記試料分析用ディスク上のゲート信号対応領域を前記単位ゲートシフト量毎に前記試料分析用ディスクの回転方向に分割して複数の分割領域を設定し、前記測定半径位置情報に基づいて、前記分割領域の位置情報を生成し、かつ、前記ゲート信号に対応するカウント値に基づいて、前記分割領域におけるカウント値を設定する分析方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の分析装置及び分析方法によれば、回路規模の増大を抑制し、試料分析用ディスクの回転方向における測定分解能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態の分析装置を示す構成図である。
図2】試料分析用ディスクの一部を示す平面図である。
図3】試料分析用ディスクに形成された反応領域に捕捉されている微粒子を光ピックアップで検出する状態を示す模式的な断面斜視図である。
図4】基準位置検出信号とゲート信号と受光検出信号との関係を示す図である。
図5A】基準位置検出信号とゲート信号との関係を示す図である。
図5B】基準位置検出信号とゲート信号との関係を示す図である。
図5C】基準位置検出信号とゲート信号との関係を示す図である。
図6A】ゲート信号が測定半径位置毎に試料分析用ディスクの回転方向にシフトされた状態を示す図である。
図6B】ゲート信号が測定半径位置毎に試料分析用ディスクの回転方向にシフトされていない状態を示す図である。
図7A】反応領域がゲートシフト量毎に試料分析用ディスクの回転方向に分割された分割領域と、ゲート信号に対応する測定ゲート信号対応領域との関係を示す図である。
図7B】反応領域がゲートシフト量毎に試料分析用ディスクの回転方向に分割された分割領域と、ゲート信号に対応する測定ゲート信号対応領域との関係を示す図である。
図7C】反応領域がゲートシフト量毎に試料分析用ディスクの回転方向に分割された分割領域と、ゲート信号に対応する測定ゲート信号対応領域との関係を示す図である。
図8】反応領域と分割領域との関係を示す図である。
図9A】測定領域内における反応領域とフィルタとの関係を示す図である。
図9B】測定領域内における反応領域とフィルタとの関係を示す図である。
図10A】第1実施形態の分析装置による反応領域における微粒子の分析方法を示すフローチャートである。
図10B】第1実施形態の分析装置による反応領域における微粒子の分析方法を示すフローチャートである。
図10C】第1実施形態の分析装置による反応領域における微粒子の分析方法を示すフローチャートである。
図11A】ゲート信号が測定半径位置毎に試料分析用ディスクの回転方向にシフトされた場合の反応領域のカウント値分布を示す図である。
図11B】測定ゲート信号が測定半径位置毎に試料分析用ディスクの回転方向にシフトされない比較例における反応領域のカウント値分布を示す図である。
図12】第2実施形態の分析装置を示す構成図である。
図13】基準位置検出信号と分布ゲート信号と測定ゲート信号との関係を示す図である。
図14】分布ゲート信号と測定ゲート信号との関係を示す図である。
図15A】第2実施形態の分析装置による反応領域における微粒子の分析方法を示すフローチャートである。
図15B】第2実施形態の分析装置による反応領域における微粒子の分析方法を示すフローチャートである。
図15C】第2実施形態の分析装置による反応領域における微粒子の分析方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1実施形態]
図1図8を用いて、第1実施形態の分析装置を説明する。図1に示すように、分析装置100は、制御GUI(Graphical User Interface)101と、制御CPU(Central Processing Unit)120と、検出回路103と、光ディスクドライブ110とを備える。制御GUI101は、ユーザの指示により、起動命令信号MSを制御CPU120へ出力する。制御CPU120は、起動命令信号MSが入力されると検出回路103、及び、光ディスクドライブ110を起動させる。
【0013】
制御CPU部120は、カウント情報処理部130と、ゲート情報処理部140と、回路制御部150と、ドライブ制御部160とを有する。カウント情報処理部130は、カウント値生成処理部131と、ゲートシフト処理部132と、カウント値分布データ処理部133と、反応領域特定処理部134と、欠陥補正処理部135とを有する。カウント情報処理部130、ゲート情報処理部140、回路制御部150、及び、ドライブ制御部160は、制御CPU部120により実行されるソフトウェアによって構成してもよいし、回路等のハードウェアによって構成してもよい。
【0014】
カウント情報処理部130は、カウント値生成処理部131と、ゲートシフト処理部132と、カウント値分布データ処理部133と、反応領域特定処理部134と、欠陥補正処理部135とを有する。カウント値生成処理部131、ゲートシフト処理部132、カウント値分布データ処理部133、反応領域特定処理部134、及び、欠陥補正処理部135は、制御CPU部120により実行されるソフトウェアによって構成してもよいし、回路等のハードウェアによって構成してもよい。光ディスクドライブ110は、光ピックアップ111と、基準位置検出センサ112とを有する。
【0015】
図2に示すように、試料分析用ディスク10は円板形状を有し、外周部には切欠き状の基準位置識別部11が形成されている。基準位置識別部11は、試料分析用ディスク10の回転方向における基準位置を識別するためのものである。試料分析用ディスク10は、光ディスクドライブ110に着脱自在に装着される。
【0016】
図3に示すように、試料分析用ディスク10の表面には、凹部12と凸部13とが半径方向に交互に形成されている。凹部12及び凸部13は、試料分析用ディスク10の内周部から外周部に向かってスパイラル状に形成されている。
【0017】
凹部12は光ディスクのグルーブに相当する。凸部13は光ディスクのランドに相当する。光ディスクのトラックピッチに相当する試料分析用ディスク10のトラックピッチは例えば320nmである。図2または図3に示すように、試料分析用ディスク10に形成された反応領域14の凹部12には、検出対象物質と抗原抗体反応により特異的に結合した微粒子15が捕捉されている。
【0018】
図1に戻って、ドライブ制御部160は光ディスクドライブ110を制御する。例えば、ドライブ制御部160は光ディスクドライブ110を起動または停止させる。光ディスクドライブ110は、試料分析用ディスク10の回転または停止等の回転制御を実行する。光ディスクドライブ110は、光ピックアップ111を試料分析用ディスク10の半径方向に移動させ、目的の測定半径位置に到達させる。
【0019】
図3に示すように、光ピックアップ111は対物レンズ113を有する。光ディスクドライブ110は、光ピックアップ111を試料分析用ディスク10の測定が開始される測定半径位置へ移動させ、光ピックアップ111からレーザ光111aを試料分析用ディスク10に向けて照射させる。
【0020】
光ディスクドライブ110は、レーザ光111aが反応領域14の凹部12に集光されるように対物レンズ113の上下位置を調整することができる。試料分析用ディスク10が回転している状態で、光ピックアップ111がレーザ光111aを反応領域14に照射させることにより、レーザ光111aはトラックに相当する凹部12に沿って走査される。
【0021】
光ピックアップ111は、レーザ光111aが試料分析用ディスク10により反射された反射光を受光して受光検出信号JSを生成し、検出回路103へ出力する。光ディスクドライブ110は、光ピックアップ111の試料分析用ディスク10における測定半径位置を検出して測定半径位置情報HJを生成し、ドライブ制御部160へ出力する。ドライブ制御部160は測定半径位置情報HJをゲート情報処理部140へ出力する。ゲート情報処理部140は測定半径位置情報HJをカウント値生成処理部131へ出力する。
【0022】
基準位置検出センサ112は、試料分析用ディスク10の外周部近傍に配置されている。基準位置検出センサ112は、例えばフォトディテクタ等の光センサである。基準位置検出センサ112は、試料分析用ディスク10の基準位置識別部11を検出して基準位置検出信号KSを生成し、検出回路103へ出力する。
【0023】
ゲート情報処理部140は、測定半径位置情報HJに基づいて、基準シフト量φa、位相差φa+Δφa、及び、ゲート幅Wを含むゲート情報GJ1を生成し、回路制御部150へ出力する。基準シフト量φa、位相差φa+Δφa、及び、ゲート幅Wについては後述する。回路制御部150はゲート情報GJ1を検出回路103へ出力する。
【0024】
検出回路103は、ゲート情報GJ1に基づいてゲート信号GSを生成する。検出回路103は、図4に示すように、基準位置検出信号KSに基づいてゲート信号GSと受光検出信号JSとのタイミングを合わせる。ゲート信号GSの生成方法については後述する。
【0025】
検出回路103は、受光検出信号JSから微粒子パルス信号BSをゲート信号GS毎に抽出する。微粒子パルス信号BSは、レーザ光111aが微粒子15上を走査される毎に生成される。検出回路103は、抽出された微粒子パルス信号BSをカウントし、各ゲート信号GSに対応するカウント値GCV(第1のカウント値)を生成し、ゲート信号GS毎に回路制御部150へ順次出力する。回路制御部150は、各ゲート信号GSに対応するカウント値GCVを、ゲート信号GS毎にカウント値生成処理部131へ順次出力する。
【0026】
図5A図5B図5C図6A、及び、図6Bを用いて、ゲート信号GSの生成方法について説明する。ゲート情報処理部140は、図2に示す反応領域14を含む測定領域16を試料分析用ディスク10の回転方向にm(mは2以上の整数)分割するように、ゲート信号GSのゲート幅Wを試料分析用ディスク10の測定半径位置(トラック)毎に設定する。ゲート幅Wは、各測定半径位置における試料分析用ディスク10の回転数に基づいて設定される。試料分析用ディスク10を一定の線速度で回転させる場合には、各測定半径位置におけるゲート幅Wは同一となる。
【0027】
図5A図5Cを用いて、測定領域16を3分割(m=3)するようにゲート信号GSのゲート幅Wを設定する場合について説明する。ゲート情報処理部140は、測定領域16を試料分析用ディスク10の回転方向に3分割するように、ゲート信号GSのゲート幅Wを設定する。
【0028】
ゲート情報処理部140は、基準シフト量φaを測定半径位置毎に設定する。ゲート情報処理部140は、基準位置検出信号KSに基づいて、トラックTRn(nはトラック番号)に対応する測定半径位置rnにおいて、図5Aに示すように、基準位置識別部11が検出されてから測定領域16が測定半径位置rnに到達するまでの時間を基準シフト量φaとして設定する。ゲート情報処理部140は、例えば基準位置検出信号KSの立ち下りから最初のゲート信号GSnの立ち上がりまでの時間を基準シフト量φaとして設定する。
【0029】
ゲート情報処理部140は、ゲート幅Wを3分割(m=3)するようにゲートシフト量Δφaを設定する。例えば、ゲート情報処理部140は、測定半径位置rnにおけるゲートシフト量Δφaを0×W/3(m=3)と設定する。即ち、ゲート情報処理部140は、測定半径位置rnにおいて、Δφa=0と設定し、位相差をφaと設定する。
【0030】
ゲート情報処理部140は、図5Bに示すように、トラックTRnと隣り合うトラックTRn+1に対応する測定半径位置rn+1におけるゲートシフト量Δφaを1×W/3と設定する。即ち、ゲート情報処理部140は、測定半径位置rn+1において、Δφa=W/3と設定し、位相差をφa+W/3と設定する。
【0031】
ゲート情報処理部140は、図5Cに示すように、トラックTRn+1と隣り合うトラックTRn+2に対応する測定半径位置rn+2におけるゲートシフト量Δφaを2×W/3と設定する。即ち、ゲート情報処理部140は、測定半径位置rn+2において、Δφa=2×W/3と設定し、位相差をφa+2×W/3と設定する。
【0032】
検出回路103は、基準位置検出信号KS、及び、ゲート情報GJ1に基づいて、ゲート信号GSを生成する。検出回路103は、測定半径位置rnでは、例えば基準位置検出信号KSの立ち下りから位相差φaを有して立ち上がるゲート信号GSnaを生成し、さらにゲート信号GSnbとゲート信号GSncとを連続して生成する。
【0033】
検出回路103は、測定半径位置rn+1では、例えば基準位置検出信号KSの立ち下りから位相差φa+W/3を有して立ち上がるゲート信号GSn+1aを生成し、さらにゲート信号GSn+1bとゲート信号GSn+1cとを連続して生成する。検出回路103は、測定半径位置rn+2では、例えば基準位置検出信号KSの立ち下りから位相差φa+2×W/3を有して立ち上がるゲート信号GSn+2aを生成し、さらにゲート信号GSn+2bとゲート信号GSn+2cとを連続して生成する。
【0034】
即ち、ゲート信号GSn+1aは、ゲート信号GSnaに対してゲートシフト量Δφa=W/3だけ遅れて生成される。ゲート信号GSn+2aは、ゲート信号GSnaに対してゲートシフト量Δφa=2×W/3だけ遅れて生成される。同様に、ゲート信号GSn+1b及びGSn+2bは、ゲート信号GSnbに対してゲートシフト量Δφa=W/3及びΔφa=2×W/3だけ遅れて生成される。ゲート信号GSn+1c及びGSn+2cは、ゲート信号GSncに対してゲートシフト量Δφa=W/3及びΔφa=2×W/3だけ遅れて生成される。
【0035】
検出回路103は、試料分析用ディスク10の半径方向の各トラックTRに対応する測定半径位置に対して、測定半径位置rn、rn+1、及び、rn+2と同様の処理を繰り返し実行する。これにより、図6Aに示すように、測定半径位置毎に試料分析用ディスク10の回転方向にシフトされたゲート信号GSが生成される。図6Bは、比較例として、測定半径位置毎に試料分析用ディスク10の回転方向にシフトされない場合のゲート信号GSを示している。
【0036】
検出回路103は、図6Aに示す各ゲート信号GSに対応するカウント値GCVを、ゲート信号GS毎に回路制御部150を介してカウント値生成処理部131へ順次出力する。カウント値生成処理部131は、測定半径位置情報HJをゲートシフト処理部132へ出力し、各ゲート信号GSに対応するカウント値GCVを、ゲート信号GS毎にゲートシフト処理部132へ順次出力する。
【0037】
図7A図7B図7C、及び、図8を用いて、試料分析用ディスクの回転方向における測定分解能を向上させる方法を説明する。図7A図7Cは、反応領域14がゲートシフト量Δφa(Δφa=W/3)毎に試料分析用ディスクの回転方向に分割された分割領域と、ゲート信号GSに対応するゲート信号対応領域との関係を示している。図7A図7C、及び、図8に示すGRはゲート信号GSに対応するゲート信号対応領域を示している。ゲート信号対応領域GRとは、ゲート信号GSにより測定される試料分析用ディスクの領域である。
【0038】
ゲートシフト処理部132は、各測定半径位置に対して、ゲート信号対応領域GRをゲートシフト量Δφa(Δφa=W/3)毎に試料分析用ディスクの回転方向に分割し、複数の分割領域DRを設定する。図7A図7C、及び、図8に示す分割領域DRaは図6Aに示す分割領域DRaに対応する。分割領域DRaは、ゲート信号GSnaに対応するゲート信号対応領域GRaに含まれ、試料分析用ディスク10の回転方向における分割領域DRaの幅は、ゲート信号対応領域GRaの幅の1/3である。ゲートシフト処理部132は、測定半径位置情報HJと各ゲート信号GSに対応するカウント値GCVとに基づいて、分割領域DRにおけるカウント値DCV(第2のカウント値)を設定する。
【0039】
図7Aを用いて、分割領域DRにおけるカウント値DCVを設定するための第1の設定方法を説明する。ゲートシフト処理部132は、分割領域DRaに対して、ゲート信号対応領域GRaに対応するゲート信号GSnaにおけるカウント値GCVnaと、分割領域DRaに対して試料分析用ディスク10の半径方向に隣接する一方のゲート信号対応領域GRbに対応するゲート信号GSn+1aにおけるカウント値GCVn+1aと、他方のゲート信号対応領域GRcに対応するゲート信号GSn−1bにおけるカウント値GCVn−1bとの平均値、または、平均値に1/3を乗算した値を算出し、分割領域DRaにおけるカウント値DCVaとして設定する。ゲートシフト処理部132は、分割領域DRaと同様に、各分割領域DRのカウント値DCVを設定する。
【0040】
図7Bを用いて、分割領域DRにおけるカウント値を設定するための第2の設定方法を説明する。ゲートシフト処理部132は、分割領域DRaに対して、分割領域DRaの中心点CDaと、分割領域DRaの周辺のゲート信号対応領域GRの中心点CGとの距離を比較する。ゲートシフト処理部132は、比較結果に基づいて、分割領域DRaの中心点CDaとの距離が最も短い中心点CGbを有するゲート信号対応領域GRbを特定する。
【0041】
ゲートシフト処理部132は、ゲート信号対応領域GRbに対応するゲート信号GSn+1aにおけるカウント値、または、カウント値に1/3を乗算した値を、分割領域DRaにおけるカウント値DCVaとして設定する。ゲートシフト処理部132は、分割領域DRaと同様に、各分割領域DRのカウント値DCVを設定する。
【0042】
図7Cを用いて、分割領域DRにおけるカウント値を設定するための第3の設定方法を説明する。分割領域DRaの中心点CDaとゲート信号対応領域GRaの中心点CGaとの距離を第1の距離LGaとする。分割領域DRaの中心点CDaとゲート信号対応領域GRbの中心点CGbとの距離を第2の距離LGbとする。分割領域DRaの中心点CDaとゲート信号対応領域GRcの中心点CGcとの距離を第3の距離LGcとする。ゲートシフト処理部132は、第1の距離LGaと第2の距離LGbと第3の距離LGcとを比較する。
【0043】
第1の距離LGaはW/3である。試料分析用ディスク10の半径方向における分割領域DR間の距離をLPとすると、第2の距離LGbはLPである。第3の距離LGcは{LP+(W/3)1/2である。第1〜第3の距離LGa、LGb、及び、LGcは、LGb<LGa<LGcの関係を有する。ゲートシフト処理部132は、第1〜第3の距離LGa、LGb、及び、LGcに応じて、ゲート信号対応領域GRa、GRb、及び、GRcに対応するゲート信号GSna、GSn+1a、及び、GSn−1bにおけるカウント値の重み付け処理を実行し、分割領域DRaにおけるカウント値DCVaを設定する。
【0044】
例えば、ゲートシフト処理部132は、第2の距離LGbを有するゲート信号対応領域GRbに対応するゲート信号GSn+1aにおけるカウント値には第2の重み付け係数αbを乗算する。ゲートシフト処理部132は、第3の距離LGcを有するゲート信号対応領域GRcに対応するゲート信号GSn−1bにおけるカウント値には第3の重み付け係数αc(αb>αc)を乗算する。ゲートシフト処理部132は、第1の距離LGaを有するゲート信号対応領域GRaに対応するゲート信号GSnaにおけるカウント値には第1の重み付け係数αa(αb>αa>αc)を乗算する。
【0045】
ゲートシフト処理部132は、重み付け係数αa、αb、及び、αcがそれぞれ乗算されたカウント値を加算し、分割領域DRaにおけるカウント値DCVaとして設定する。ゲートシフト処理部132は、分割領域DRaと同様に、各分割領域DRのカウント値DCVを設定する。
【0046】
ゲートシフト処理部132は、各分割領域DRの位置情報(例えば中心位置座標情報)DRJを生成し、各分割領域DRの位置情報DRJ、及び、各分割領域DRにおけるカウント値DCVをカウント値生成処理部131へ出力する。カウント値生成処理部131は、各分割領域DRの位置情報DRJ、及び、各分割領域DRにおけるカウント値DCVをカウント値分布データ処理部133へ出力する。カウント値分布データ処理部133は、図8に示すように、各分割領域DRの位置情報DRJに基づいて、各分割領域DRのカウント値DCVをカウント値分布データテーブルCTに保存する。
【0047】
カウント値生成処理部131は、測定半径位置情報HJに基づいて、反応領域14に対する測定が終了したか否かを判定する。測定が終了したと判定された場合、カウント値生成処理部131は反応領域特定信号RSを生成し、反応領域特定処理部134へ出力する。
【0048】
反応領域特定処理部134は、反応領域特定信号RSに基づいて分布データ取得信号DSを生成し、カウント値分布データ処理部133へ出力する。カウント値分布データ処理部133は、分布データ取得信号DSに基づいて、カウント値分布データテーブルCTに保存されている各分割領域DRのカウント値DCVをカウント値分布データDDとして、反応領域特定処理部134へ出力する。
【0049】
反応領域特定処理部134は、カウント値分布データDD(各分割領域DRのカウント値DCV)に基づいて、反応領域14の位置を特定し、反応領域14におけるカウント値RCVを決定する。例えば、反応領域特定処理部134は、図9A及び図9Bに示すように、反応領域14の設計形状と同様の形状を有するフィルタCFを測定領域16の全域内で走査し、フィルタCF内のカウント値が最大となる位置を検出する。
【0050】
反応領域特定処理部134は、検出結果に基づいて反応領域14の位置(例えば中心位置座標)を特定して反応領域14の位置情報RRJを生成し、カウント値分布データDDに基づいて反応領域14におけるカウント値RCVを決定する。反応領域14におけるカウント値RCVは、反応領域14に捕捉されている微粒子15の数、及び、微粒子15と特異的に結合している検出対象物質の数に対応する。
【0051】
反応領域14が円形状を有する場合、フィルタCFは反応領域14の設計形状と同様の円形状を有する。なお、反応領域14の位置が特定できる方法であれば、上記の方法以外の方法も適用可能である。反応領域特定処理部134は、反応領域14の位置情報RRJ、反応領域14におけるカウント値RCVをカウント値生成処理部131へ出力する。
【0052】
測定が終了したと判定された場合、カウント値生成処理部131は分布データテーブル取得信号TS1を生成し、カウント値分布データ処理部133へ出力する。カウント値分布データ処理部133は、分布データテーブル取得信号TS1が入力されると、カウント値分布データテーブルCTをカウント値生成処理部131へ出力する。
【0053】
制御GUI101から測定結果の取得要求ARがあった場合、カウント値生成処理部131は、反応領域14の位置情報RRJ、反応領域14におけるカウント値RCV、及び、カウント値分布データテーブルCTを制御GUI101へ出力する。制御GUI101は、反応領域14とカウント値分布データテーブルCTとを関連付けて反応領域14におけるカウント値分布を表示したり、反応領域14におけるカウント値RCVを表示したりする。
【0054】
ユーザは反応領域14におけるカウント値分布を観察し、反応領域14に欠陥領域があるか否かを判定する。欠陥領域は、反応領域14を形成する過程で溶液中の気泡等が反応領域に付着することにより微粒子15が捕捉されなかった領域である。欠陥領域があると判定された場合、ユーザは欠陥領域の範囲を指定する。制御GUI101は、指定された欠陥領域の範囲を含む欠陥領域情報DJを欠陥補正処理部135へ出力する。
【0055】
欠陥補正処理部135は、欠陥領域情報DJが入力されると、分布データテーブル取得信号TS2を生成し、カウント値分布データ処理部133へ出力する。カウント値分布データ処理部133は、分布データテーブル取得信号TS2が入力されると、カウント値分布データテーブルCTを欠陥補正処理部135へ出力する。
【0056】
欠陥補正処理部135は、欠陥領域情報DJに基づいてカウント値分布データテーブルCTにおける欠陥領域を特定し、欠陥領域と特定されていない領域を正常測定領域と判定する。欠陥補正処理部135は、カウント値分布データテーブルCTにおける欠陥領域のカウント値を正常測定領域におけるカウント値に基づいて補正し、補正カウント値分布データテーブルCCTを生成する。
【0057】
欠陥補正処理部135は補正カウント値分布データテーブルCCTを制御GUI101へ出力する。制御GUI101は補正カウント値分布データテーブルCCTを表示する。なお、欠陥補正処理部135は補正カウント値分布データテーブルCCTをカウント値生成処理部131へ出力し、カウント値生成処理部131が補正カウント値分布データテーブルCCTを制御GUI101へ出力するようにしてもよい。
【0058】
図10A図10B、及び図10Cに示すフローチャートを用いて、第1実施形態の分析装置100における分析方法を説明する。ユーザの指示により、制御GUI101は、図10Aに示すステップS101にて、起動命令信号MSを制御CPU120へ出力する。制御CPU120は、起動命令信号MSが入力されると、ステップS102にて、検出回路103、及び、光ディスクドライブ110を起動させる。
【0059】
制御CPU120のドライブ制御部160は、ステップS103にて、光ディスクドライブ110を制御して、試料分析用ディスク10の回転を制御する。さらに、制御CPU120のドライブ制御部160は、光ディスクドライブ110を制御して、光ピックアップ111を試料分析用ディスク10の目的の測定半径位置へ移動させ、光ピックアップ111からレーザ光111aを試料分析用ディスク10に向けて照射させる。
【0060】
光ディスクドライブ110は、ステップS104にて、光ピックアップ111の試料分析用ディスク10における測定半径位置を検出して測定半径位置情報HJを生成し、ドライブ制御部160、及び、ゲート情報処理部140を介してカウント値生成処理部131へ出力する。基準位置検出センサ112は、ステップS105にて、試料分析用ディスク10の基準位置識別部11を検出して基準位置検出信号KSを生成する。光ピックアップ111は、ステップS106にて、試料分析用ディスク10からの反射光を受光し、受光検出信号JSを生成する。
【0061】
ゲート情報処理部140は、ステップS107にて、測定領域16を試料分析用ディスク10の回転方向にm分割するように、ゲート信号GSのゲート幅Wを測定半径位置毎に設定する。光ディスクドライブ110、及び、ゲート情報処理部140は、ステップS104〜S106、及び、ステップS107を並行して実行することができる。
【0062】
ゲート情報処理部140は、ステップS108にて、測定半径位置情報HJに基づいて、基準位置識別部11が検出されてから測定領域16が測定半径位置に到達するまでの時間を基準シフト量φaとして設定する。さらに、ゲート情報処理部140は、測定半径位置(トラック)毎に、ゲートシフト量Δφa、及び、位相差φa+Δφaを設定する。
【0063】
ゲート情報処理部140は、ステップS109にて、測定半径位置情報HJに基づいてゲート情報GJ1を生成し、回路制御部150を介して検出回路103へ出力する。検出回路103は、ステップS110にて、基準位置検出信号KS、及び、ゲート情報GJ1に基づいて、測定半径位置毎に試料分析用ディスク10の回転方向にシフトされるゲート信号GSを生成する。
【0064】
検出回路103は、ステップS111にて、受光検出信号JSからゲート信号GS毎に微粒子パルス信号BSを抽出する。検出回路103は、ステップS112にて、抽出された微粒子パルス信号BSをカウントし、各ゲート信号GSに対応するカウント値GCVを生成する。さらに、検出回路103は、カウント値GCVを、回路制御部150を介してカウント値生成処理部131へゲート信号GS毎に順次出力する。
【0065】
ゲートシフト処理部132は、ステップS113にて、各測定半径位置に対して、反応領域14をゲートシフト量Δφa毎に試料分析用ディスクの回転方向に分割し、複数の分割領域DRを設定する。ゲートシフト処理部132は、ステップS114にて、分割領域DRが含まれるゲート信号対応領域GR、及び、分割領域DRの周辺のゲート信号対応領域GRに対応するゲート信号GSにおけるカウント値に基づいて、分割領域DRにおけるカウント値DCVを設定する。さらに、ゲートシフト処理部132は、各分割領域DRの位置情報DRJ、及び、各分割領域DRにおけるカウント値DCVを、カウント値生成処理部131を介してカウント値分布データ処理部133へ出力する。
【0066】
カウント値分布データ処理部133は、図10Bに示すステップS115にて、各分割領域DRの位置情報DRJ、及び、各分割領域DRのカウント値DCVに基づいて、各分割領域DRのカウント値DCVをカウント値分布データテーブルCTに保存する。
【0067】
カウント値生成処理部131は、ステップS116にて、測定半径位置情報HJに基づいて、反応領域14に対する測定が終了したか否かを判定する。測定が終了していない(NO)と判定された場合、制御CPU120は、処理をステップS104へ戻す。測定が終了した(YES)と判定された場合、制御CPU120は、ステップS117にて、検出回路103、及び、光ディスクドライブ110を停止させる。
【0068】
ステップS116にて測定が終了したと判定された場合、カウント値生成処理部131は、ステップS118にて、反応領域特定信号RSを生成し、反応領域特定処理部134へ出力する。反応領域特定処理部134は、反応領域特定信号RSが入力されると、ステップS119にて、分布データ取得信号DSを生成し、カウント値分布データ処理部133へ出力する。カウント値分布データ処理部133は、分布データ取得信号DSが入力されると、ステップS120にて、カウント値分布データテーブルCTに保存されている各分割領域DRのカウント値DCVをカウント値分布データDDとして、反応領域特定処理部134へ出力する。
【0069】
反応領域特定処理部134は、ステップS121にて、反応領域14の設計形状と同様の形状を有するフィルタCFを測定領域16の全域内で走査し、フィルタCF内のカウント値が最大となる位置を検出する。反応領域特定処理部134は、検出結果に基づいて反応領域14の位置(例えば中心位置座標)を特定して反応領域14の位置情報RRJを生成し、反応領域14におけるカウント値RCVを決定する。反応領域特定処理部134は、反応領域14の位置情報RRJ、反応領域14におけるカウント値RCVをカウント値生成処理部131へ出力する。
【0070】
ステップS116にて測定が終了したと判定された場合、カウント値生成処理部131は、ステップS122にて、分布データテーブル取得信号TS1を生成し、カウント値分布データ処理部133へ出力する。カウント値分布データ処理部133は、分布データテーブル取得信号TS1が入力されると、ステップS123にて、カウント値分布データテーブルCTをカウント値生成処理部131へ出力する。
【0071】
制御GUI101から測定結果の取得要求ARがあった場合、カウント値生成処理部131は、ステップS124にて、反応領域14の位置情報RRJ、反応領域14におけるカウント値RCV、及び、カウント値分布データテーブルCTを制御GUI101へ出力する。制御GUI101は、ステップS125にて、反応領域14とカウント値分布データテーブルCTとを関連付けて反応領域14におけるカウント値分布を表示したり、反応領域14におけるカウント値RCVを表示したりする。
【0072】
ユーザが欠陥領域の範囲を指定した場合、制御GUI101は、図10Cに示すステップS126にて、指定された欠陥領域の範囲を含む欠陥領域情報DJを欠陥補正処理部135へ出力する。欠陥補正処理部135は、欠陥領域情報DJが入力されると、ステップS127にて、分布データテーブル取得信号TS2を生成し、カウント値分布データ処理部133へ出力する。カウント値分布データ処理部133は、分布データテーブル取得信号TS2が入力されると、ステップS128にて、カウント値分布データテーブルCTを欠陥補正処理部135へ出力する。
【0073】
欠陥補正処理部135は、ステップS129にて、欠陥領域情報DJに基づいてカウント値分布データテーブルCTにおける欠陥領域を特定する。さらに、欠陥補正処理部135は、カウント値分布データテーブルCTにおける欠陥領域のカウント値を正常測定領域におけるカウント値に基づいて補正し、補正カウント値分布データテーブルCCTを生成する。さらに、欠陥補正処理部135は補正カウント値分布データテーブルCCTを制御GUI101へ出力する。制御GUI101は、ステップS130にて、補正カウント値分布データテーブルCCTを表示する。
【0074】
第1実施形態の分析装置100及び分析方法では、測定半径位置(トラック)毎にゲートシフト量Δφaを設定し、ゲート信号GSを測定半径位置毎に試料分析用ディスク10の回転方向にゲートシフト量Δφaだけシフトさせる。第1実施形態の分析装置100及び分析方法では、反応領域14をゲートシフト量Δφa毎に試料分析用ディスク10の回転方向に分割して複数の分割領域DRを設定する。
【0075】
図11Aは、図6Aに示すようにゲート信号GSが測定半径位置毎に試料分析用ディスク10の回転方向にシフトされた場合の反応領域14のカウント値分布の一部を示している。図11Bは比較例であり、図6Bに示すようにゲート信号GSが測定半径位置毎に試料分析用ディスク10の回転方向にシフトされない場合の反応領域14のカウント値分布の一部を示している。
【0076】
第1実施形態の分析装置100及び分析方法によれば、ゲート信号GSにおけるカウント値に基づいて分割領域DRのカウント値を設定する。これにより、回路規模の増大を抑制し、図11Aに示すように、試料分析用ディスクの回転方向における測定分解能を向上させることができる。
【0077】
[第2実施形態]
図12図14を用いて、第2実施形態の分析装置を説明する。説明をわかりやすくするために、第1実施形態の分析装置100と同じ構成部には同じ符号を付す。図12に示すように、分析装置200は、制御GUI101と、制御CPU220と、検出回路103と、光ディスクドライブ110とを備える。制御GUI101は、ユーザの指示により、起動命令信号MSを制御CPU220へ出力する。制御CPU220は、起動命令信号MSが入力されると検出回路103、及び、光ディスクドライブ110を起動させる。
【0078】
制御CPU部220は、カウント情報処理部230と、ゲート情報処理部240と、回路制御部250と、ドライブ制御部260とを有する。カウント情報処理部230、ゲート情報処理部240と、回路制御部250、及び、ドライブ制御部260は、制御CPU部220により実行されるソフトウェアによって構成してもよいし、回路等のハードウェアによって構成してもよい。
【0079】
カウント情報処理部230は、カウント値生成処理部231と、ゲートシフト処理部232と、カウント値分布データ処理部233と、反応領域特定処理部234と、欠陥補正処理部235とを有する。カウント値生成処理部231、ゲートシフト処理部232、カウント値分布データ処理部233、反応領域特定処理部234、及び、欠陥補正処理部235は、制御CPU部220により実行されるソフトウェアによって構成してもよいし、回路等のハードウェアによって構成してもよい。ドライブ制御部260はドライブ制御部160と同様の制御を実行する。
【0080】
光ディスクドライブ110は、光ピックアップ111の試料分析用ディスク10における測定半径位置を検出して測定半径位置情報HJを生成し、ドライブ制御部260、及び、ゲート情報処理部240を介してカウント値生成処理部231へ出力する。
【0081】
ゲート情報処理部240は、測定半径位置情報HJに基づいて、基準シフト量φb、分布ゲートシフト量Δφb、シフト調整量Δφc、及び、位相差φb+Δφbと、2種類のゲート幅W、具体的には分布ゲート幅DW、及び、測定ゲート幅MWとを含むゲート情報GJ2を生成し、回路制御部150へ出力する。基準シフト量φb、分布ゲートシフト量Δφb、シフト調整量Δφc、位相差φb+Δφb、分布ゲート幅DW、及び、測定ゲート幅MWについては後述する。回路制御部150はゲート情報GJ2を検出回路103へ出力する。
【0082】
検出回路103は、ゲート情報GJ2に基づいて、2種類のゲート信号GSを、分布ゲート信号DGS、及び、測定ゲート信号MGSとして生成する。検出回路103は、基準位置検出センサ112から出力された基準位置検出信号KSに基づいて、分布ゲート信号DGS、及び、測定ゲート信号MGSと受光検出信号JSとのタイミングを合わせる。分布ゲート信号DGS、及び、測定ゲート信号MGSの生成方法については後述する。
【0083】
検出回路103は、受光検出信号JSから、分布ゲート信号DGS及び測定ゲート信号MGS毎に微粒子パルス信号BSを抽出する。検出回路103は、抽出された微粒子パルス信号BSをカウントし、分布ゲート信号DGSに対応するカウント値DGCV、及び、測定ゲート信号MGS2に対応するカウント値MGCVを、分布ゲート信号DGS及び測定ゲート信号MGS毎に回路制御部250へ順次出力する。回路制御部150は、カウント値DGCV及びMGCVを、分布ゲート信号DGS及び測定ゲート信号MGS毎にカウント値生成処理部231へ順次出力する。
【0084】
図13、及び、図14を用いて、分布ゲート信号DGS、及び、測定ゲート信号MGSの生成方法について説明する。ゲート情報処理部240は、分布ゲート信号DGSの分布ゲート幅DWを試料分析用ディスク10の測定半径位置(トラック)毎に設定する。分布ゲート幅DWは、各測定半径位置における試料分析用ディスク10の回転数に基づいて設定される。試料分析用ディスク10を一定の線速度で回転させる場合には、各測定半径位置における分布ゲート幅DWは同一となる。
【0085】
ゲート情報処理部240は、基準位置検出信号KSに基づいて、トラックTRn(nはトラック番号)に対応する測定半径位置rnにおいて、基準位置識別部11が検出されてから最初の分布ゲート信号DGSnが立ち上がるまでの時間を基準シフト量φbとして設定する。ゲート情報処理部240は、図13に示すように、例えば基準位置検出信号KSの立ち下りから最初の分布ゲート信号DGSnaの立ち上がりまでの時間を基準シフト量φbとして設定する。
【0086】
ゲート情報処理部240は、測定半径位置(トラック)毎に、分布ゲートシフト量Δφb、及び、位相差φb+Δφbを設定する。ゲート情報処理部240は、分布ゲート信号DGSが測定半径位置毎に試料分析用ディスク10の回転方向にDW/4(m=4)だけシフトするように、各測定半径位置における分布ゲートシフト量Δφb、及び、位相差φb+Δφbを設定する。分布ゲートシフト量Δφbは、ゲートシフト量Δφaと同様の設定方法により設定される。即ち、ゲート情報処理部240は、分布ゲート幅DWを4分割(m=4)するように分布ゲートシフト量Δφbを設定する。
【0087】
検出回路103は、基準位置検出信号KS、及び、ゲート情報GJ2に基づいて、分布ゲート信号DGSを生成する。検出回路103は、測定半径位置rnでは、例えば基準位置検出信号KSの立ち下りから基準シフト量φbを有して立ち上がる分布ゲート信号DGSnaを生成し、さらに分布ゲート信号DGSnb、DGSnc、及び、DGSndを連続して生成する。さらに、検出回路103は、測定半径位置rnでは、例えば基準位置検出信号KSの立ち下りから基準シフト量φb+シフト調整量Δφcを有して立ち上がる分布ゲート信号DGSneを生成し、さらに分布ゲート信号DGSnf、DGSng、及び、DGSnhを連続して生成する。
【0088】
分布ゲート信号DGSは、反応領域14の位置を特定する信号である。基準シフト量φb、及び、シフト調整量Δφcは、反応領域14の設計位置に対して、分布ゲート信号DGSが反応領域14の外周部に対応するように、測定半径位置毎に設定される。図14に示すように、分布ゲート信号DGSna〜DGSndは測定半径位置rnにおける反応領域14の一方の外周部(図14では左側の外周部)に対応するように設定される。分布ゲート信号DGSne〜DGSnhは測定半径位置rnにおける反応領域14の他方の外周部(図14では右側の外周部)に対応するように設定される。分布ゲート信号DGSは、反応領域14の位置を特定するためのゲート信号である。
【0089】
検出回路103は、測定半径位置毎に、試料分析用ディスク10の回転方向に分布ゲートシフト量Δφbだけシフトする分布ゲート信号DGSを生成する。分布ゲート信号DGSはゲート信号GSと同様の生成方法により生成される。
【0090】
検出回路103は、各分布ゲート信号DGSに対応するカウント値DGCVを、分布ゲート信号DGS毎に回路制御部250を介してカウント値生成処理部231へ順次出力する。検出回路103は、各測定ゲート信号MGSに対応するカウント値MGCVを、測定ゲート信号MGS毎に回路制御部250を介してカウント値生成処理部231へ順次出力する。カウント値生成処理部231は、測定半径位置情報HJをゲートシフト処理部232へ出力し、カウント値DGCVを、分布ゲート信号DGS毎にゲートシフト処理部232へ順次出力する。カウント値生成処理部231は、測定半径位置毎にカウント値MGCVを保存する。
【0091】
ゲートシフト処理部232は、各測定半径位置に対して、分布ゲート信号DGSに対応するゲート信号対応領域GRを分布ゲートシフト量Δφb(Δφb=DW/4)毎に試料分析用ディスクの回転方向に分割し、複数の分割領域DRを設定する。ゲートシフト処理部232は、各分割領域DRにおけるカウント値DCVを設定する。分割領域DR、及び、カウント値DCVは、第1実施形態の分割領域DR、及び、カウント値DCVと同様の設定方法により設定される。
【0092】
ゲートシフト処理部232は、各分割領域DRの位置情報(例えば中心位置座標情報)DRJ、及び、各分割領域DRにおけるカウント値DCVをカウント値生成処理部231へ出力する。カウント値生成処理部231は、各分割領域DRの位置情報DRJ、及び、各分割領域DRにおけるカウント値DCVをカウント値分布データ処理部233へ出力する。カウント値分布データ処理部233は、各分割領域DRの位置情報DRJ、及び、各分割領域DRのカウント値DCVに基づいて、各分割領域DRのカウント値DCVをカウント値分布データテーブルCTに保存する。
【0093】
カウント値生成処理部231は、測定半径位置情報HJに基づいて、測定半径位置毎に測定が終了したか否かを判定する。測定半径位置における測定が終了したと判定された場合、カウント値生成処理部231は、測定半径位置毎に反応領域特定信号RSを生成し、反応領域特定処理部234へ順次出力する。
【0094】
反応領域特定処理部134は、反応領域特定信号RSに基づいて分布データ取得信号DSを生成し、カウント値分布データ処理部233へ出力する。カウント値分布データ処理部233は、分布データ取得信号DSに基づいて、カウント値分布データテーブルCTに保存されている、測定半径位置に対応する各分割領域DRのカウント値DCVをカウント値分布データDDとして、反応領域特定処理部234へ出力する。
【0095】
反応領域特定処理部234は、カウント値分布データDDが入力されると、反応領域14の設計上の直径よりも長く、試料分析用ディスク10の半径方向における分割領域DRの幅よりも広い形状を有するフィルタを測定領域16の全域内で走査し、フィルタ内のカウント値が最大となる位置を検出する。反応領域特定処理部234は、検出結果に基づいて測定半径位置における反応領域14の位置(例えば中心位置座標)を特定し、反応領域14の位置情報RRJを測定半径位置毎に生成する。なお、反応領域14の位置が特定できる方法であれば、上記の方法以外の方法も適用可能である。
【0096】
反応領域特定処理部234は、反応領域14の位置情報RRJを、カウント値生成処理部231、及び、回路制御部250を介して、測定半径位置毎に検出回路103へ出力する。検出回路103は、基準位置検出信号KS、ゲート情報GJ1、及び、位置情報RRJに基づいて、測定ゲート信号MGSを生成する。測定半径位置rnにおける分布ゲート信号DGSnに基づいて生成された位置情報RRJnが検出回路103に入力された場合、検出回路103は、基準位置検出信号KS、ゲート情報GJ2、及び、位置情報RRJnに基づいて、次に測定される測定半径位置rn+1における測定ゲート信号MGSn+1を生成する。
【0097】
即ち、検出回路103は、測定半径位置rn+1における分布ゲート信号DGSn+1と測定ゲート信号MGSn+1とを生成する場合、1つ前の測定半径位置rnにおける反応領域14の位置情報RRJnに基づいて、測定半径位置rn+1における反応領域14に対応する測定ゲート幅MWを有する測定ゲート信号MGSn+1を生成する。測定ゲート信号MGSは反応領域14における微粒子15、及び、検出対象物質の数を計測するためのゲート信号である。
【0098】
カウント値生成処理部231は、測定半径位置情報HJに基づいて、反応領域14に対する測定が終了したか否かを判定する。測定が終了したと判定された場合、カウント値生成処理部131は全ての測定半径位置におけるカウント値MGCVを合算し、反応領域14におけるカウント値RCVを決定する。反応領域14におけるカウント値RCVは、反応領域14に捕捉されている微粒子15の数、及び、微粒子15と特異的に結合している検出対象物質の数に対応する。
【0099】
測定が終了したと判定された場合、カウント値生成処理部231は分布データテーブル取得信号TS1を生成し、カウント値分布データ処理部233へ出力する。カウント値分布データ処理部233は、分布データテーブル取得信号TS1が入力されると、カウント値分布データテーブルCTをカウント値生成処理部231へ出力する。
【0100】
測定が終了したと判定された場合、カウント値生成処理部231は反応領域特定信号RSを生成し、反応領域特定処理部234へ出力する。反応領域特定処理部234は、反応領域特定信号RSが入力されると、分布データ取得信号DSを生成し、カウント値分布データ処理部233へ出力する。カウント値分布データ処理部233は、分布データ取得信号DSが入力されると、カウント値分布データテーブルCTに保存されている各分割領域DRのカウント値DCVをカウント値分布データDDとして、反応領域特定処理部234へ出力する。
【0101】
反応領域特定処理部234は、各測定半径位置における検出結果に基づいて反応領域14の位置(例えば中心位置座標)を特定して反応領域14の位置情報RRJを生成し、カウント値生成処理部231へ出力する。
【0102】
制御GUI101から測定結果の取得要求ARがあった場合、カウント値生成処理部231は、反応領域14の位置情報RRJ、反応領域14におけるカウント値RCV、及び、カウント値分布データテーブルCTを制御GUI101へ出力する。
【0103】
制御GUI101は、反応領域14とカウント値分布データテーブルCTとを関連付けて反応領域14におけるカウント値分布を表示したり、反応領域14におけるカウント値RCVを表示したりする。
【0104】
図15A図15B、及び図15Cに示すフローチャートを用いて、第2実施形態の分析装置200における分析方法を説明する。ユーザの指示により、制御GUI101は、図15Aに示すステップS201にて、起動命令信号MSを制御CPU120へ出力する。制御CPU120は、起動命令信号MSが入力されると、ステップS202にて、検出回路103、及び、光ディスクドライブ110を起動させる。
【0105】
制御CPU120のドライブ制御部160は、ステップS203にて、光ディスクドライブ110を制御して、試料分析用ディスク10の回転を制御する。さらに、ドライブ制御部160は、光ディスクドライブ110を制御して、光ピックアップ111を試料分析用ディスク10の目的の半径位置へ移動させ、光ピックアップ111からレーザ光111aを試料分析用ディスク10に向けて照射させる。
【0106】
光ディスクドライブ110は、ステップS204にて、光ピックアップ111の試料分析用ディスク10における測定半径位置を含む測定半径位置情報HJを、ドライブ制御部260とゲート情報処理部240とを介してカウント値生成処理部231へ出力する。基準位置検出センサ112は、ステップS205にて、試料分析用ディスク10の基準位置識別部11を検出し、基準位置検出信号KSを生成する。光ピックアップ111は、ステップS206にて、試料分析用ディスク10からの反射光を受光し、受光検出信号JSを生成する。
【0107】
ゲート情報処理部240は、ステップS207にて、分布ゲート幅DW、及び、測定ゲート幅MWを測定半径位置毎に設定する。光ディスクドライブ110、及び、ゲート情報処理部240は、ステップS204〜S206と及び、ステップS207を並行して実行することができる。
【0108】
ゲート情報処理部240は、ステップS208にて、測定半径位置情報HJに基づいて、基準位置識別部11が検出されてから測定領域16が測定半径位置に到達するまでの時間を基準シフト量φbとして測定半径位置(トラック)毎に設定する。さらに、ゲート情報処理部240は、分布ゲートシフト量Δφb、シフト調整量Δφc、及び、位相差φb+Δφbを測定半径位置毎に設定する。
【0109】
ゲート情報処理部240は、ステップS209にて、測定半径位置情報HJに基づいてゲート情報GJ2を生成し、回路制御部250を介して検出回路103へ出力する。検出回路103は、ステップS210にて、基準位置検出信号KS、及び、ゲート情報GJ2に基づいて、測定半径位置毎に試料分析用ディスク10の回転方向にシフトされた分布ゲート信号DGSを生成する。
【0110】
検出回路103は、ステップS211にて、受光検出信号JSから分布ゲート信号DGS毎に微粒子パルス信号BSを抽出する。検出回路103は、ステップS212にて、抽出された微粒子パルス信号BSをカウントし、各分布ゲート信号DGSに対応するカウント値DGCVを生成する。
【0111】
検出回路103は、ステップS213にて、カウント値DGCVを、分布ゲート信号DGS毎に、回路制御部250とカウント値生成処理部231とを介してゲートシフト処理部232へ順次出力する。ゲートシフト処理部232は、図15Bに示すステップS214にて、各測定半径位置に対して、分布ゲート信号DGSに対応するゲート信号対応領域GRを分布ゲートシフト量Δφb(Δφb=DW/4)毎に試料分析用ディスクの回転方向に分割し、複数の分割領域DRを設定する。ゲートシフト処理部232は、ステップS215にて、各分割領域DRにおけるカウント値DGCVを設定する。
【0112】
カウント値分布データ処理部233は、ステップS216にて、分割領域DRにおけるカウント値DGCVを、内部メモリに分割領域DRごとに逐次保持する。カウント値生成処理部231は、ステップS217にて、測定半径位置情報HJに基づいて、測定半径位置毎に測定が終了したか否かを判定する。測定半径位置における測定が終了していない(NO)と判定された場合、制御CPU120は、処理をステップS216へ戻す。
【0113】
測定半径位置における測定が終了した(YES)と判定された場合、カウント値生成処理部231は、ステップS218にて、内部メモリに保持されている各分割領域DRにおけるカウント値DGCVを、対応する分割領域DRの位置情報DRJに基づいて、カウント値分布データテーブルCTに保存する。カウント値生成処理部231は、ステップS219にて、測定半径位置毎に反応領域特定信号RSを生成し、反応領域特定処理部234へ順次出力する。
【0114】
反応領域特定処理部234は、ステップS220にて、反応領域特定信号RSに基づいて分布データ取得信号DSを生成し、カウント値分布データ処理部233へ出力する。カウント値分布データ処理部233は、ステップS221にて、分布データ取得信号DSに基づいて、カウント値分布データテーブルCTに保存されている、測定半径位置に対応する各分割領域DRのカウント値DCVをカウント値分布データDDとして、反応領域特定処理部234へ出力する。
【0115】
反応領域特定処理部234は、カウント値分布データDDが入力されると、ステップS222にて、フィルタを測定領域16の全域内で走査し、フィルタ内のカウント値が最大となる位置を検出する。反応領域特定処理部234は、検出結果に基づいて測定半径位置における反応領域14の位置(例えば中心位置座標)を特定して反応領域14の位置情報RRJを測定半径位置毎に生成する。反応領域特定処理部234は、反応領域14の位置情報RRJを、カウント値生成処理部231と回路制御部250とを介して、測定半径位置毎に検出回路103へ出力する。
【0116】
検出回路103は、ステップS223にて、基準位置検出信号KS、ゲート情報GJ2、及び、位置情報RRJに基づいて、測定ゲート信号MGSを生成する。検出回路103は、測定半径位置rn+1における分布ゲート信号DGSn+1と測定ゲート信号MGSn+1とを生成する場合、1つ前の測定半径位置rnにおける位置情報RRJnに基づいて測定ゲート信号MGSn+1を生成する。
【0117】
検出回路103は、ステップS224にて、受光検出信号JSから測定ゲート信号MGS毎に微粒子パルス信号BSを抽出する。検出回路103は、ステップS225にて、抽出された微粒子パルス信号BSをカウントし、各測定ゲート信号MGSに対応するカウント値MGCVを生成する。検出回路103は、カウント値MGCVを、回路制御部250を介して測定ゲート信号MGS毎にカウント値生成処理部231へ順次出力する。ステップS211及びS212とステップS224及びS225とは、検出回路103にて並行に処理される。カウント値生成処理部231は、ステップS226にて、測定半径位置毎にカウント値MGCVを保存する。
【0118】
カウント値生成処理部231は、ステップS227にて、測定半径位置情報HJに基づいて、反応領域14に対する測定が終了したか否かを判定する。測定が終了していない(NO)と判定された場合、制御CPU220は、処理をステップS204へ戻す。反応領域14に対する測定が終了した(YES)と判定された場合、制御CPU220は、ステップS228にて、検出回路103、及び、光ディスクドライブ110を停止させる。
【0119】
測定が終了した(YES)と判定された場合、カウント値生成処理部131は、ステップS229にて、全ての測定半径位置におけるカウント値MGCVを合算し、反応領域14におけるカウント値RCVを決定する。反応領域14におけるカウント値RCVは、反応領域14に捕捉されている微粒子15の数、及び、微粒子15と特異的に結合している検出対象物質の数に対応する。
【0120】
カウント値生成処理部231は、ステップS230にて、分布データテーブル取得信号TS1を生成し、カウント値分布データ処理部233へ出力する。カウント値分布データ処理部233は、分布データテーブル取得信号TS1が入力されると、ステップS231にて、カウント値分布データテーブルCTをカウント値生成処理部231へ出力する。
【0121】
測定が終了した(YES)と判定された場合、カウント値生成処理部231は、ステップS232にて、反応領域特定信号RSを生成し、反応領域特定処理部234へ出力する。反応領域特定処理部234は、反応領域特定信号RSが入力されると、ステップS233にて、分布データ取得信号DSを生成し、カウント値分布データ処理部233へ出力する。カウント値分布データ処理部233は、分布データ取得信号DSが入力されると、ステップS234にて、カウント値分布データテーブルCTに保存されている各分割領域DRのカウント値DCVをカウント値分布データDDとして、反応領域特定処理部234へ出力する。
【0122】
反応領域特定処理部234は、ステップS235にて、カウント値分布データDDに基づいて、反応領域14の位置(例えば中心位置座標)を特定して反応領域14の位置情報RRJを生成し、カウント値生成処理部231へ出力する。
【0123】
制御GUI101から測定結果の取得要求ARがあった場合、カウント値生成処理部231は、ステップS236にて、反応領域14の位置情報RRJ、反応領域14におけるカウント値RCV、及び、カウント値分布データテーブルCTを制御GUI101へ出力する。制御GUI101は、ステップS237にて、反応領域14とカウント値分布データテーブルCTとを関連付けて反応領域14におけるカウント値分布を表示したり、反応領域14におけるカウント値RCVを表示したりする。
【0124】
第2実施形態の分析装置200及び分析方法では、2種類のゲート信号GSを分布ゲート信号DGS、及び、測定ゲート信号MGSとして生成する。分布ゲート信号DGSは反応領域14の位置を特定するためのゲート信号である。測定ゲート信号MGSは反応領域14における微粒子15、及び、検出対象物質の数を計測するためのゲート信号である。
【0125】
分析装置200及び分析方法では、測定半径位置(トラック)毎に分布ゲートシフト量Δφbを設定する。分析装置200及び分析方法では、分布ゲート信号DGSを測定半径位置毎に試料分析用ディスク10の回転方向に分布ゲートシフト量Δφbだけシフトさせる。分析装置200及び分析方法では、反応領域14を分布ゲートシフト量Δφb毎に試料分析用ディスク10の回転方向に分割して複数の分割領域DRを設定する。
【0126】
第2実施形態の分析装置200及び分析方法によれば、反応領域14の外周部に対応して分布ゲート信号DGSを生成し、分布ゲート信号DGSにおけるカウント値に基づいて分割領域DRのカウント値を設定する。これにより、回路規模の増大を抑制し、試料分析用ディスクの回転方向における測定分解能を向上させることができる。
【0127】
第2実施形態の分析装置200及び分析方法では、1つ前の測定半径位置rnにおける反応領域14の位置情報RRJnに基づいて、測定半径位置rn+1における反応領域14に対応する測定ゲート幅MWを有する測定ゲート信号MGSn+1を生成する。従って、第2実施形態の分析装置200及び分析方法によれば、反応領域14に対応する測定ゲート幅MWを有する測定ゲート信号MGSn+1により、反応領域14における微粒子15、及び、検出対象物質の数を精度良く計測することができる。
【0128】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
【0129】
第1実施形態の分析装置100及び分析方法ではゲート幅Wを3分割(m=3)するようにゲートシフト量Δφaを設定し、第2実施形態の分析装置200及び分析方法では分布ゲート幅DWを4分割(m=4)するように分布ゲートシフト量Δφbを設定する。ゲート幅W、及び、分布ゲート幅DWをm分割してゲートシフト量Δφa、及び、分布ゲートシフト量Δφbを設定する場合、分割数mを多くすると試料分析用ディスクの回転方向における測定分解能がより向上し、少なくすると回路規模の増大をより抑制することができる。従って、上記の分割数mは第1及び第2実施形態の分析装置100及び200、並びに分析方法に限定されるものではなく、設計仕様に基づいて適宜設定されるものである。
【符号の説明】
【0130】
10 試料分析用ディスク
11 基準位置識別部
14 反応領域
15 微粒子
100 分析装置
103 検出回路
110 光ディスクドライブ
111 光ピックアップ
112 基準位置検出センサ
111a レーザ光
132 ゲートシフト処理部
140 ゲート情報処理部
JS 受光検出信号
KS 基準位置検出信号
HJ 測定半径位置情報
Δφa,Δφb ゲートシフト量
GJ1,GJ2 ゲート情報
GS ゲート信号
BS 微粒子パルス信号
GCV,DCV カウント値
GR ゲート信号対応領域
DR 分割領域
DRJ 位置情報
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B
図12
図13
図14
図15A
図15B
図15C