(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1画像形成部は、前記媒体に転写された前記捺染トナーを前記媒体に定着させると共に、前記第2画像形成部は、前記媒体に転写された前記顔料トナーを前記媒体に定着させる、
請求項13記載の画像形成装置。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態に関して、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明する順序は、下記の通りである。
1.画像形成装置(第1実施形態)
1−1.全体構成
1−2.現像ユニットの構成
1−3.ブロック構成
1−4.画像の構成
1−5.トナーの構成
1−6.動作
1−7.作用および効果
2.画像形成装置(第2実施形態)
2−1.全体構成
2−2.ブロック構成
2−3.画像の構成
2−4.動作
2−5.作用および効果
3.画像の用途
3−1.画像形成装置(第1実施形態)により形成された画像
3−2.画像形成装置(第2実施形態)により形成された画像
4.変形例
【0021】
<1.画像形成装置(第1実施形態)>
まず、本発明の第1実施形態の画像形成装置に関して説明する。
【0022】
ここで説明する画像形成装置は、例えば、トナーを用いて後述する媒体M(
図1参照)に画像G(
図11参照)を形成する装置であり、いわゆる電子写真方式のフルカラープリンタである。
【0023】
より具体的には、画像形成装置は、例えば、後述する中間転写ベルト41を用いて媒体Mに画像Gを形成する中間転写方式の画像形成装置である。
【0024】
なお、媒体Mの種類は、特に限定されないが、例えば、紙およびフィルムなどのうちのいずれか1種類または2種類以上である。
【0025】
<1−1.全体構成>
最初に、画像形成装置の全体構成に関して説明する。
【0026】
図1は、画像形成装置の平面構成を表している。この画像形成装置では、画像Gの形成工程において、破線で示された搬送経路R1〜R5のそれぞれに沿うように媒体Mが搬送される。
【0027】
具体的には、画像形成装置は、例えば、
図1に示したように、筐体1の内部に、トレイ10と、送り出しローラ20と、現像ユニット30と、転写ユニット40と、定着ユニット50と、搬送ローラ61〜68と、搬送路切り替えガイド69,70とを備えている。
【0028】
この画像形成装置は、例えば、媒体Mの片面に画像Gを形成可能であると共に、その媒体Mの両面に画像Gを形成可能である。
【0029】
以下では、画像形成装置が媒体Mの片面だけに画像Gを形成する場合において、その画像Gが形成される面を媒体Mの「表面」と呼称する。また、画像形成装置が媒体Mの両面に画像Gを形成する場合において、一方の画像Gが形成される面を媒体Mの「表面」と呼称すると共に、他方の画像Gが形成される媒体Mの面(上記した表面の反対側の面)を「裏面」と呼称する。
【0030】
すなわち、媒体Mの片面だけに画像Gが形成される場合には、その媒体Mの表面に画像Gが形成されるのに対して、媒体Mの両面に画像Gが形成される場合には、その媒体Mの表面および裏面のそれぞれに画像Gが形成される。
【0031】
[筐体]
筐体1は、例えば、金属材料および高分子材料などのうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。筐体1には、例えば、スタッカ2が設けられており、画像形成装置により画像Gが形成された媒体Mは、その排出口1Hからスタッカ2に排出される。
【0032】
[トレイおよび送り出しローラ]
トレイ10は、媒体Mを収納している。このトレイ10は、例えば、筐体1に対して着脱可能となるように装着されている。送り出しローラ20は、例えば、Y軸方向に延在していると共にY軸を中心として回転可能な円筒状の部材である。
【0033】
後述する画像形成装置の構成要素のうち、名称中に「ローラ」という文言を含む構成要素は、上記した送り出しローラ20と同様に、Y軸方向に延在していると共にY軸を中心として回転可能な円筒状の部材である。
【0034】
トレイ10には、例えば、複数の媒体Mが積層された状態で収納されている。トレイ10に収納されている複数の媒体Mは、例えば、送り出しローラ20によりトレイ10から1つずつ取り出される。
【0035】
トレイ10の数は、特に限定されないため、1個だけでもよいし、2個以上でもよい。同様に、送り出しローラ20の数は、特に限定されないため、1個だけでもよいし、2個以上でもよい。
図1では、例えば、トレイ10の数が1個であると共に送り出しローラ20の数が1個である場合を示している。
【0036】
[現像ユニット]
現像ユニット30は、トナーを用いて、静電潜像に対するトナーの付着処理(現像処理)を行う。具体的には、現像ユニット30は、例えば、静電潜像を形成すると共に、クーロン力を利用して静電潜像にトナーを付着させる。
【0037】
ここでは、画像形成装置は、例えば、5個の現像ユニット30(30Y,30C,30SY,30SM,30SC)を備えている。現像ユニット30Y,30C,30SY,30SM,30SCのそれぞれは、例えば、筐体1に対して着脱可能となるように装着されていると共に、後述する中間転写ベルト41の移動経路に沿うように配列されている。ここでは、現像ユニット30Y,30C,30SY,30SM,30SCは、例えば、中間転写ベルト41の移動方向(矢印F5)において、上流側から下流側に向かってこの順に配置されている。
【0038】
現像ユニット30Y,30C,30SY,30SM,30SCのそれぞれは、例えば、後述するカートリッジ38(
図2参照)に収納されているトナーの種類が異なることを除いて、互いに同様の構成を有している。
【0039】
ここでは、トナーとして、捺染トナーおよび顔料トナーを用いている。捺染トナーは、着色剤として捺染染料を含んでいるトナーであると共に、顔料トナーは、着色剤として顔料を含んでいるトナーである。
【0040】
具体的には、現像ユニット30Yは、例えば、顔料トナー(顔料イエロートナー)を収納している。現像ユニット30Cは、例えば、顔料トナー(顔料シアントナー)を収納している。現像ユニット30SYは、例えば、捺染トナー(捺染イエロートナー)を収納している。現像ユニット30SMは、例えば、捺染トナー(捺染マゼンタトナー)を収納している。現像ユニット30SCは、例えば、捺染トナー(捺染シアントナー)を収納している。
【0041】
捺染トナー(捺染イエロートナー、捺染マゼンタトナーおよび捺染シアントナー)は、主に、フルカラーの画像Gを形成するために用いられるトナーである。より具体的には、捺染トナーは、加熱時に捺染性(いわゆる昇華転写性)を利用して後述する他媒体L(
図22参照)に移行することにより、その他媒体Lを染色可能な有色トナーである。この「他媒体L」とは、画像形成装置を用いて画像Gが形成される媒体Mとは異なる媒体であり、例えば、布地などである。
【0042】
一方、顔料トナー(顔料イエロートナーおよび顔料シアントナー)は、主に、上記した捺染トナーにより形成されるフルカラーの画像Gを耐候性改善(濃度維持)の観点から補強するために用いられるトナーである。より具体的には、顔料トナーは、電子写真方式の画像形成装置においてフルカラーの画像Gを形成するために一般的に用いられる有色トナーである。
【0043】
以下では、顔料イエロートナー、顔料シアントナー、捺染イエロートナー、捺染マゼンタトナーおよび捺染シアントナーを個別に呼称する他、必要に応じて総称を用いる。具体的には、第1に、顔料イエロートナーおよび顔料シアントナーを「顔料トナー」と総称する。第2に、捺染イエロートナー、捺染マゼンタトナーおよび捺染シアントナーを「捺染トナー」と総称する。第3に、顔料イエロートナー、顔料シアントナー、捺染イエロートナー、捺染マゼンタトナーおよび捺染シアントナーを「トナー」と総称する。
【0044】
現像ユニット30Y,30Cは、後述するように、顔料トナー(顔料イエロートナーおよび顔料シアントナー)を用いて顔料トナー像Z2(
図9および
図10参照)を形成する。一方、現像ユニット30SY,30SM,30SCは、後述するように、捺染トナー(捺染イエロートナー、捺染マゼンタトナーおよび捺染シアントナー)を用いて捺染トナー像Z1(
図9および
図10参照)する。
【0045】
特に、本実施形態では、後述するように、現像ユニット30Y,30Cが顔料トナー像Z2を形成したのち、現像ユニット30SY,30SM,30SCが捺染トナー像Z1を形成する(
図9参照)。
【0046】
現像ユニット30Y,30C,30SY,30SM,30SCのそれぞれの構成に関しては、後述する(
図2参照)。また、顔料イエロートナー、顔料シアントナー、捺染イエロートナー、捺染マゼンタトナーおよび捺染シアントナーのそれぞれの構成に関しても、後述する。
【0047】
[転写ユニット]
転写ユニット40は、現像ユニット30により現像処理されたトナーを用いて転写処理を行う。具体的には、転写ユニット40は、例えば、現像ユニット30により静電潜像に付着されたトナーを媒体Mに転写させる。
【0048】
この転写ユニット40は、例えば、中間転写ベルト41と、駆動ローラ42と、従動ローラ43と、バックアップローラ44と、1次転写ローラ45と、2次転写ローラ46と、クリーニングブレード47とを含んでいる。
【0049】
中間転写ベルト41は、媒体Mにトナーが転写される前に、そのトナーが一時的に転写される中間転写媒体であり、例えば、無端の弾性ベルトである。この中間転写ベルト41は、例えば、ポリイミドなどの高分子材料のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。また、中間転写ベルト41は、例えば、駆動ローラ42、従動ローラ43およびバックアップローラ44により張架された状態において、その駆動ローラ42の回転に応じて矢印F5の方向に移動可能である。
【0050】
駆動ローラ42は、例えば、後述するベルトモータ91(
図3参照)を介して回転可能である。従動ローラ43およびバックアップローラ44のそれぞれは、例えば、駆動ローラ42の回転に応じて回転可能である。
【0051】
1次転写ローラ45は、静電潜像に付着されたトナーを中間転写ベルト41に転写(1次転写)させる。この1次転写ローラ45は、中間転写ベルト41を介して後述する感光体ドラム32(
図2参照)に圧接されている。なお、1次転写ローラ45は、例えば、後述するローラモータ88(
図3参照)を介して回転可能である。
【0052】
1次転写ローラ45の数は、特に限定されないため、1個だけでもよいし、2個以上でもよい。ここでは、画像形成装置は、例えば、上記した5個の現像ユニット30(30Y,30C,30SY,30SM,30SC)に対応して、5個の1次転写ローラ45(45Y,45C,45SY,45SM,45SC)を備えている。一方、画像形成装置は、例えば、1個のバックアップローラ44に対応して、1個の2次転写ローラ46を備えている。
【0053】
2次転写ローラ46は、中間転写ベルト41に転写されたトナーを媒体Mに転写(2次転写)させる。この2次転写ローラ46は、バックアップローラ44に圧接されており、例えば、金属製の芯材と、その芯材の外周面を被覆する発泡ゴム層などの弾性層とを含んでいる。なお、2次転写ローラ46は、例えば、後述するローラモータ88(
図3参照)を介して回転可能である。
【0054】
クリーニングブレード47は、中間転写ベルト41に圧接されており、その中間転写ベルト41の表面に残留した不要なトナーなどの異物を掻き取る。
【0055】
特に、転写ユニット40は、後述するように、中間転写ベルト41に顔料トナー像Z2および捺染トナー像Z1がこの順に形成されたのち(
図9参照)、その中間転写ベルト41から媒体Mに捺染トナー像Z1および顔料トナー像Z2を転写させる(
図10参照)。
【0056】
[定着ユニット]
定着ユニット50は、転写ユニット40により媒体Mに転写されたトナーを用いて定着処理を行う。具体的には、定着ユニット50は、例えば、転写ユニット40によりトナーが転写された媒体Mを加熱しながら加圧することにより、そのトナーを媒体Mに定着させる。
【0057】
この定着ユニット50は、例えば、加熱ローラ51および加圧ローラ52を含んでいる。
【0058】
加熱ローラ51は、媒体Mに転写されたトナーを加熱する。この加熱ローラ51は、例えば、金属芯と、その金属芯の表面を被覆する樹脂コートとを含んでいる。樹脂コートは、例えば、例えば、テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体(PFA)およびポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの高分子材料のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。
【0059】
加熱ローラ51(金属芯)の内部には、例えば、後述するヒータ92(
図3参照)が設置されており、そのヒータ92は、例えば、ハロゲンランプなどを含んでいる。加熱ローラ51の近傍には、例えば、その加熱ローラ51から離間されるように、後述するサーミスタ93(
図3参照)が配置されている。このサーミスタ93は、例えば、加熱ローラ51の表面温度を測定する。
【0060】
加圧ローラ52は、加熱ローラ51に圧接されており、媒体Mに転写されたトナーを加圧する。この加圧ローラ52は、例えば、金属芯と、その金属芯の表面を被覆する耐熱弾性層とを含んでいる。耐熱弾性層は、例えば、シリコーンゴムなどのゴム材料のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。
【0061】
特に、定着ユニット50は、後述するように、媒体Mに捺染トナー像Z1および顔料トナー像Z2が転写されたのち、その捺染トナー像Z1および顔料トナー像Z2を媒体Mに定着させる(
図10参照)。これにより、媒体Mに捺染トナー画像G1および顔料トナー画像G2を含む画像Gが形成される。
【0062】
ここで、画像形成ユニット30SY,30SM,30SC、転写ユニット40および定着ユニット50は、本発明の一実施形態の「第1画像形成部」である。また、画像形成ユニット30Y,30C、転写ユニット40および定着ユニット50は、本発明の一実施形態の「第2画像形成部」である。
【0063】
[搬送ローラ]
搬送ローラ61〜68のそれぞれは、搬送経路R1〜R5のそれぞれを介して互いに対向するように配置された一対のローラを含んでおり、送り出しローラ20により取り出された媒体Mを搬送させる。
【0064】
媒体Mの片面(表面)だけに画像が形成される場合には、その媒体Mは、例えば、搬送ローラ61〜64により搬送経路R1,R2に沿うように搬送される。これに対して、媒体Mの両面(表面および裏面)に画像が形成される場合には、その媒体Mは、例えば、搬送ローラ61〜68により搬送経路R1〜R5に沿うように搬送される。
【0065】
[搬送路切り替えガイド]
搬送路切り替えガイド69,70のそれぞれは、媒体Mに形成される画像の様式に応じて、その媒体Mの搬送方向を切り替える。この画像の様式とは、例えば、媒体Mの片面だけに画像が形成される様式(片面画像形成モード)および媒体Mの両面に画像が形成される様式(両面画像形成モード)である。
【0066】
<1−2.現像ユニットの構成>
次に、現像ユニット30の構成に関して説明する。
図2は、
図1に示した現像ユニット30(30Y,30C,30SY,30SM,30SC)の平面構成を拡大している。
【0067】
現像ユニット30Y,30C,30SY,30SM,30SCのそれぞれは、例えば、上記したように、カートリッジ38に収納されているトナーの種類が異なることを除いて、互いに同様の構成を有している。
【0068】
具体的には、現像ユニット30Y,30C,30SY,30SM,30SCのそれぞれは、例えば、
図2に示したように、感光体ドラム32と、帯電ローラ33と、供給ローラ34と、現像ローラ35と、現像ブレード36と、クリーニングブレード37と、カートリッジ38とを備えている。なお、現像ユニット30Y,30C,30SY,30SM,30SCのそれぞれには、例えば、光源39が付設されている。
【0069】
感光体ドラム32、帯電ローラ33、供給ローラ34、現像ローラ35、現像ブレード36およびクリーニングブレード37は、例えば、筐体31の内部に収納されている。カートリッジ38は、例えば、筐体31に対して着脱可能となるように装着されている。光源39は、例えば、筐体31の外部に配置されている。
【0070】
現像ユニット30Y,30C,30SY,30SM,30SCそれぞれは、例えば、後述する移動モータ90(
図3参照)を介して待避位置と接触位置との間を移動可能である。待避位置は、感光体ドラム32が中間転写ベルト41から遠ざかるように後退しているため、その感光体ドラム32が中間転写ベルト41を介して1次転写ローラ45に押圧されていない位置である。一方、接触位置は、感光体ドラム32が中間転写ベルト41に近づくように前進しているため、その感光体ドラム32が中間転写ベルト41を介して1次転写ローラ45に押圧されている位置である。
【0071】
[筐体]
筐体31は、例えば、金属材料および高分子材料などのうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。筐体31には、例えば、感光体ドラム32を部分的に露出させるための開口部31K1と、光源39から出力された光を感光体ドラム32に導くための開口部31K2とが設けられている。
【0072】
[感光体ドラム]
感光体ドラム32は、静電潜像が形成されると共にその静電潜像を担持する潜像担持部材である。この感光体ドラム32は、Y軸方向に延在していると共に、そのY軸を中心として回転可能である。また、感光体ドラム32は、例えば、円筒状の導電性支持体と、その導電性支持体の外周面を被覆する光導電層とを含む有機系感光体であり、後述するドラムモータ89(
図3参照)を介して回転可能である。感光体ドラム32の一部は、筐体31に設けられた開口部31K1から露出している。
【0073】
[帯電ローラ]
帯電ローラ33は、感光体ドラム32に圧接されており、その感光体ドラム32の表面を帯電させる。この帯電ローラ33は、例えば、金属シャフトと、その金属シャフトの外周面を被覆する半導電性エピクロロヒドリンゴム層とを含んでいる。
【0074】
[供給ローラ]
供給ローラ34は、現像ローラ35に圧接されており、その現像ローラ35の表面にトナーを供給する。この供給ローラ34は、例えば、金属シャフトと、その金属シャフトの外周面を被覆する半導電性発泡シリコンスポンジ層とを含んでおり、いわゆるスポンジローラである。
【0075】
[現像ローラ]
現像ローラ35は、感光体ドラム32に圧接されており、供給ローラ34から供給されるトナーを担持すると共に、その感光体ドラム32の表面に形成された静電潜像にトナーを付着させる。この現像ローラ35は、例えば、金属シャフトと、その金属シャフトの外周面を被覆する半導電性ウレタンゴム層とを含んでいる。
【0076】
[現像ブレード]
現像ブレード36は、現像ローラ35の表面に供給されたトナーの厚さを規制する板状の部材である。この現像ブレード36は、例えば、現像ローラ35から所定の距離を隔てた位置に配置されており、その現像ローラ35と現像ブレード36との間の距離(間隔)に基づいてトナーの厚さが制御される。なお、現像ブレード36は、例えば、ステンレスなどの金属材料のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。
【0077】
[クリーニングブレード]
クリーニングブレード37は、感光体ドラム32の表面に残留した不要なトナーなどの異物を掻き取る板状の弾性部材である。このクリーニングブレード37は、例えば、感光体ドラム32の延在方向と略平行な方向に延在しており、その感光体ドラム32に圧接されている。なお、クリーニングブレード37は、例えば、ウレタンゴムなどの高分子材料のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。
【0078】
[カートリッジ]
カートリッジ38は、トナーを収納する収納部材である。カートリッジ38に収納されているトナーに関する詳細は、上記した通りである。
【0079】
[光源]
光源39は、感光体ドラム32の表面を露光することにより、その感光体ドラム32の表面に静電潜像を形成する露光装置である。この光源39は、例えば、LED素子およびレンズアレイなどを含む発光ダイオード(LED)ヘッドである。LED素子およびレンズアレイは、例えば、そのLED素子から出力された光が感光体ドラム32の表面において結像するように配置されている。
【0080】
<1−3.ブロック構成>
次に、画像形成装置のブロック構成に関して説明する。
【0081】
図3は、画像形成装置のブロック構成を表している。ただし、
図3では、既に説明した画像形成装置の構成要素のうちの一部も併せて示している。
【0082】
図4は、画像形成装置により媒体Mに形成される画像Gの形成範囲を説明するために、その媒体Mの平面構成を表している。この画像Gは、後述するように、現像ユニット30SY,30SM,30SCにより捺染トナーを用いて形成される捺染トナー画像G1と、現像ユニット30Y,30Cにより顔料トナーを用いて形成される顔料トナー画像G2とを含んでいる(
図11参照)。
図4では、例えば、媒体Mの平面形状が矩形(長方形)である場合を示している。
【0083】
画像形成装置は、例えば、
図3に示したように、画像形成制御部71と、インターフェース(I/F)制御部72と、受信メモリ73と、編集メモリ74と、パネル部75と、操作部76と、各種センサ77と、光源制御部78と、帯電電圧制御部79と、供給電圧制御部80と、現像電圧制御部81と、転写電圧制御部82と、ローラ駆動制御部83と、ドラム駆動制御部84と、移動制御部85と、ベルト駆動制御部86と、定着制御部87とを備えている。
【0084】
[画像形成制御部]
画像形成制御部71は、画像形成装置の全体の動作を制御する。この画像形成制御部71は、例えば、制御回路、メモリ、入出力ポートおよびタイマなどの電子部品のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。制御回路は、例えば、中央演算処理装置(CPU)などを含んでいる。メモリは、例えば、リードオンリーメモリ(ROM)およびランダムアクセスメモリ(RAM)などの記憶素子のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。ここで、画像形成制御部71は、本発明の一実施形態の「制御部」である。
【0085】
特に、画像形成制御部71は、後述するように、上記した捺染トナー画像G1を形成する画像形成ユニット30SY,30SM,30SCなどの動作を制御すると共に、上記した顔料トナー画像G2を形成する画像形成ユニット30Y,30Cなどの動作を制御する(
図9〜
図11参照)。
【0086】
具体的には、画像形成制御部71は、
図4に示したように、媒体Mに画像G(捺染トナー画像G1および顔料トナー画像G2)が形成される際に、捺染トナー画像G1が形成される領域に顔料トナー画像G2が形成されるように、捺染トナー画像G1の形成動作および顔料トナー画像G2の形成動作を制御する。この「捺染トナー画像G1が形成される領域」の詳細に関しては、後述する。
【0087】
この場合には、例えば、後述するように、捺染トナー画像G1と顔料トナー画像G2とが互いに重ねられるようにしてもよいし(
図5A、
図5B、
図7Aおよび
図7B参照)、捺染トナー画像G1と顔料トナー画像G2とが互いに重ねられずに互いに隣接されるようにしてもよい(
図6A、
図6B、
図8Aおよび
図8B参照)。なお、捺染トナー画像G1と顔料トナー画像G2とが互いに重ねられる場合には、捺染トナー画像G1と顔料トナー画像G2とが互いに全体的に重ねられるようにしてもよいし(
図5Aおよび
図5B参照)、捺染トナー画像G1と顔料トナー画像G2とが互いに部分的に重ねられるようにしてもよい(
図7Aおよび
図7B参照)。
【0088】
また、画像形成制御部71は、例えば、媒体Mの上に捺染トナー画像G1が形成されたのちに顔料トナー画像G2が形成されるように、捺染トナー画像G1の形成動作および顔料トナー画像G2の形成動作を制御する(
図11参照)。
【0089】
ここで、「捺染トナー画像G1が形成される領域に顔料トナー画像G2が形成される」とは、上記したように、捺染トナー画像G1が形成される領域(領域R1)に顔料トナー画像G2が形成される場合だけでなく、その領域R1よりも僅かに広い領域(領域R2)に顔料トナー画像G2が形成される場合も含まれることを意味する。
【0090】
領域R1は、捺染トナーを用いて捺染トナー画像G1が形成される領域であり、より具体的には、その捺染トナー画像G1の外縁(輪郭)により画定される領域である。
図4では、例えば、領域R1の平面形状が媒体Mの平面形状に対応した長方形である場合を示している。
【0091】
また、領域R2は、上記した領域R1の外縁よりも外側に向かって所定の距離Vだけシフトされた外縁により画定される領域である。すなわち、領域R2は、領域R1が外側に向かって所定の距離Vだけ拡張された領域である。
【0092】
この所定の距離Vは、画像形成装置のユーザにより色ずれなどの画質不良が認識されにくくなるような僅かな距離であれば、任意に設定可能である。中でも、距離Vは、130μm以下であることが好ましく、100μm以下であることがより好ましく、80μm以下であることがさらに好ましい。ここでは、例えば、領域R1の平面形状が長方形であるため、領域R2は、その領域R1が所定の距離Vだけ四方に拡張された領域に相当する領域である。このため、領域R2の平面形状は、例えば、領域R1の平面形状に対応した長方形である。
【0093】
所定の距離Vが上記した範囲であるのは、後述するように、構成例2〜4(
図6Aおよび
図6B〜
図8Aおよび
図8B)となるように複数の画像単位線L(L1,L2)が設定された場合においても、媒体Mに形成される画像Gの品質が担保されるからである。すなわち、各画像単位線L1,L2が互いに隣接される場合(構成例2,4)および各画像単位線L1,L2が互いに部分的に重なる場合(構成例3)においても、画像形成装置のユーザにより肉眼では色ずれなどの画質不良が認識されにくいため、画像Gが捺染トナー画像G1および顔料トナー画像G2を含んでいても、優れた画質を有する画像Gが得られるからである。
【0094】
なお、上記した画像形成制御部71により形成動作が制御されながら媒体Mに形成される画像G(捺染トナー画像G1および顔料トナー画像G2)の詳細な構成に関しては、後述する(
図5Aおよび
図5B〜
図8Aおよび
図8B参照)。
【0095】
[I/F制御部]
I/F制御部72は、外部装置から画像形成装置に送信されたデータなどの情報を受信する。この外部装置は、例えば、画像形成装置のユーザが使用可能であるパーソナルコンピュータなどのうちのいずれか1種類または2種類以上であり、その外部装置から画像形成装置に送信される情報は、例えば、画像を形成するために用いられる画像データなどである。
【0096】
[受信メモリおよび編集メモリ]
受信メモリ73は、画像形成装置において受信されたデータなどの情報を格納する。編集メモリ74は、受信メモリ73に格納された画像データが編集処理されたデータなどを格納する。
【0097】
[パネル部および操作部]
パネル部75は、例えば、ユーザが画像形成装置を操作するために必要な情報を表示する表示パネルなどを含んでいる。この表示パネルの種類は、特に限定されないが、例えば、液晶パネルなどである。操作部76は、例えば、画像形成装置の操作時においてユーザにより操作されるボタンなどを含んでいる。
【0098】
[各種センサ]
各種センサ77は、例えば、温度センサ、湿度センサ、画像濃度センサ、媒体位置検出センサ、トナー残量検知センサおよび人感センサなどのうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。
【0099】
[光源制御部、帯電電圧制御部、供給電圧制御部、現像電圧制御部および転写電圧制御部]
光源制御部78は、例えば、光源39の露光動作などを制御する。帯電電圧制御部79は、例えば、帯電ローラ33に印加される電圧などを制御する。供給電圧制御部80は、例えば、供給ローラ34に印加される電圧などを制御する。現像電圧制御部81は、例えば、現像ローラ35に印加される電圧などを制御する。転写電圧制御部82は、例えば、1次転写ローラ45および2次転写ローラ46のそれぞれに印加される電圧などを制御する。これらの電圧は、例えば、画像形成制御部71の指示に応じて設定可能であると共に、その画像形成制御部71の指示に応じて任意に変更可能である。
【0100】
なお、
図3では図示内容を簡略化しているが、画像形成装置は、例えば、5個の現像ユニット30(30Y,30C,30SY,30SM,30SC)に対応する5個の光源制御部78を含んでいる。具体的には、例えば、現像ユニット30Yに付設されている光源39を制御する光源制御部78と、現像ユニット30Cに付設されている光源39を制御する光源制御部78と、現像ユニット30SYに付設されている光源39を制御する光源制御部78と、現像ユニット30SMに付設されている光源39を制御する光源制御部78と、現像ユニット30SCに付設されている光源39を制御する光源制御部78とである。
【0101】
ここで光源制御部78に関して説明したことは、例えば、帯電電圧制御部79、供給電圧制御部80、現像電圧制御部81および転写電圧制御部82のそれぞれに関しても同様である。すなわち、画像形成装置は、例えば、5個の現像ユニット30に対応して、5個の帯電電圧制御部79と、5個の供給電圧制御部80と、5個の現像電圧制御部81と、5個の転写電圧制御部82とを含んでいる。
【0102】
[ローラ駆動制御部、ドラム駆動制御部、移動制御部、ベルト駆動制御部および定着制御部]
ローラ駆動制御部83は、例えば、ローラモータ88を介して帯電ローラ33、供給ローラ34、現像ローラ35、1次転写ローラ45および2次転写ローラ46などの一連のローラの回転動作などを制御する。ドラム駆動制御部84は、例えば、ドラムモータ89を介して感光体ドラム32の回転動作などを制御する。移動制御部85は、例えば、移動モータ90を介して現像ユニット30の移動動作などを制御する。ベルト駆動制御部86は、例えば、ベルトモータ91を介して中間転写ベルト41の移動動作などを制御する。定着制御部87は、例えば、サーミスタ93により測定された温度に基づいてヒータ92の動作を制御すると共に、定着モータ94を介して加熱ローラ51および加圧ローラ52のそれぞれの回転動作などを制御する。
【0103】
光源制御部78に関して上記したことは、例えば、ローラ駆動制御部83、ドラム駆動制御部84および移動制御部85のそれぞれに関しても同様である。すなわち、画像形成装置は、例えば、5個の現像ユニット30に対応して、5個のローラ駆動制御部83と、5個のドラム駆動制御部84と、5個の移動制御部85とを含んでいる。
【0104】
<1−4.画像の構成>
次に、画像形成装置により形成される画像Gの構成に関して詳細に説明する。
【0105】
画像Gの構成、より具体的には捺染トナー画像G1および顔料トナー画像G2のそれぞれの構成は、上記したように画像形成制御部71により形成動作が制御されながら捺染トナー画像G1および顔料トナー画像G2のそれぞれが形成されれば、特に限定されない。
【0106】
具体的には、画像Gの構成としては、例えば、捺染トナー画像G1および顔料トナー画像G2のそれぞれを構成する複数の画像単位の種類に応じて、様々な構成が考えられる。この「複数の画像単位」とは、捺染トナー画像G1および顔料トナー画像G2のそれぞれを構成する複数の画像パターン(画素)である。
【0107】
ここでは、例えば、複数の線状の画像単位(複数の画像単位線L)を用いる場合を例に挙げることにより、いくつかの画像G(捺染トナー画像G1および顔料トナー画像G2)の具体的な構成例に関して説明する。
【0108】
[構成例1]
図5Aは、捺染トナー画像G1および顔料トナー画像G2のそれぞれの平面構成(複数の画像単位線Lに関する構成例1)を表している。
図5Bは、
図5Aに示したA−A線に沿った捺染トナー画像G1および顔料トナー画像G2のそれぞれの断面構成を表している。
【0109】
図5Aおよび
図5Bのそれぞれでは、
図4に示した媒体Mの一部(部分Z)を拡大している。また、
図5Bでは、図示内容を簡略化するために、媒体Mの表面を線状(表面線S)に示している。
【0110】
なお、
図5Aおよび
図5Bのそれぞれでは、3本の画像単位線Lだけを示していると共に、互いに隣り合う2本の画像単位線Lの間の間隔Pを十分に大きくしている。この間隔Pは、実際には、画像形成装置を使用するユーザが肉眼では認識できない程度に十分に小さいため、その間隔Pは、線状の白抜けとしてユーザにより視認されない。
【0112】
捺染トナー画像G1および顔料トナー画像G2のそれぞれは、上記したように、媒体Mに形成される。
図5Aおよび
図5Bに示した構成例1では、例えば、捺染トナー画像G1が形成されたのちに顔料トナー画像G2が形成されていると共に、媒体Mの表面と交差する方向(Z軸方向)において捺染トナー画像G1と顔料トナー画像G2とが互いに全体的に重ねられている。
【0113】
詳細には、捺染トナー画像G1は、例えば、Y軸方向に延在する複数の画像単位線L(L1)を含んでおり、その複数の画像単位線L1は、例えば、Y軸方向と交差するX軸方向において間隔Pを隔てながら配列されている。ここで、複数の画像単位線L1は、本発明の一実施形態の「複数の捺染トナー画像単位」である。
【0114】
顔料トナー画像G2は、例えば、上記した捺染トナー画像G1と同様の構成を有している。すなわち、顔料トナー画像G2は、例えば、Y軸方向に延在する複数の画像単位線L(L2)を含んでおり、その複数の画像単位線L2は、例えば、X軸方向において間隔Pを隔てながら配列されている。
図5Aでは、複数の画像単位線L2に濃い網掛けを施している。ここで、複数の画像単位線L2は、本発明の一実施形態の「複数の顔料トナー画像単位」である。
【0115】
上記した捺染トナー画像G1(複数の画像単位線L1)および顔料トナー画像G2(複数の画像単位線L2)のそれぞれの構成は、後述する
図6Aおよび
図6B〜
図8A〜
図8Bにおいても同様である。
【0116】
ここでは、例えば、媒体Mに捺染トナー画像G1(複数の画像単位線L1)が形成されたのち、その捺染トナー画像G1の上に顔料トナー画像G2(複数の画像単位線L2)が形成されているため、媒体Mに捺染トナー画像G1および顔料トナー画像G2がこの順に積層されている。すなわち、例えば、複数の画像単位線L1のそれぞれの上に複数の画像単位線L2のそれぞれが配置されている。
【0117】
また、例えば、複数の画像単位線L1のそれぞれの全体と複数の画像単位線L2のそれぞれの全体とがZ軸方向において互いに重ねられている。より具体的には、例えば、1本の画像単位線L1と1本の画像単位線とが互いに全体的に重ねられることにより複数の集合画像単位線L12が形成されており、その複数の集合画像単位線L12がX軸方向において間隔Pを隔てながら配列されている。この場合には、捺染トナー画像G1(複数の画像単位線L1)が領域R1に形成されていると共に、顔料トナー画像G2(複数の画像単位線L2)も領域R1に形成されている。
【0118】
この構成例1では、画像形成制御部71は、例えば、媒体Mに複数の画像単位線L1および複数の画像単位線L2がこの順に形成されるように、捺染トナー画像G1の形成動作および顔料トナー画像G2の形成動作を制御する。また、画像形成制御部71は、例えば、Z軸方向において複数の画像単位線L1のそれぞれの全体と複数の画像単位線L2のそれぞれの全体とが互いに重ねられるように、捺染トナー画像G1の形成動作および顔料トナー画像G2の形成動作を制御する。
【0119】
[構成例2]
図6Aは、捺染トナー画像G1および顔料トナー画像G2のそれぞれの平面構成(複数の画像単位線Lに関する構成例2)を表しており、
図5Aに対応している。
図6Bは、
図6Aに示したA−A線に沿った捺染トナー画像G1および顔料トナー画像G2のそれぞれの断面構成を表しており、
図5Bに対応している。
【0120】
図6Aおよび
図6Bに示した構成例2では、例えば、媒体Mに捺染トナー画像G1(複数の画像単位線L1)が形成されたのち、その捺染トナー画像G1の上に顔料トナー画像G2(複数の画像単位線L2)が形成されている。
図6Aでは、複数の画像単位線L1に淡い網掛けを施していると共に、複数の画像単位線L2に濃い網掛けを施している。
【0121】
また、例えば、複数の画像単位線L1のそれぞれと複数の画像単位線L2のそれぞれとがX軸方向において互いに隣接されている。より具体的には、例えば、1本の画像単位線L1と1本の画像単位線とが互いに隣接されることにより複数の集合画像単位線L12が形成されており、その複数の集合画像単位線L12がX軸方向において間隔Pを隔てながら配列されている。この場合には、捺染トナー画像G1(複数の画像単位線L1)が領域R1に形成されていると共に、顔料トナー画像G2(複数の画像単位線L2)が領域R2に形成されている。
【0122】
この構成例2では、画像形成制御部71は、例えば、媒体Mに複数の画像単位線L1および複数の画像単位線L2がこの順に形成されるように、捺染トナー画像G1の形成動作および顔料トナー画像G2の形成動作を制御する。また、画像形成制御部71は、例えば、X軸方向において複数の画像単位線L1のそれぞれ(1本の画像単位線L1)と複数の画像単位線L2のそれぞれ(1本の画像単位線l2)とが互いに隣接されるように、捺染トナー画像G1の形成動作および顔料トナー画像G2の形成動作を制御する。
【0123】
[構成例3]
図7Aは、捺染トナー画像G1および顔料トナー画像G2のそれぞれの平面構成(複数の画像単位線Lに関する構成例3)を表しており、
図5Aに対応している。
図7Bは、
図7Aに示したA−A線に沿った捺染トナー画像G1および顔料トナー画像G2のそれぞれの断面構成を表しており、
図5Bに対応している。
【0124】
図7Aおよび
図7Bに示した構成例3では、例えば、媒体Mに捺染トナー画像G1(複数の画像単位線L1)が形成されたのち、その捺染トナー画像G1の上に顔料トナー画像G2(複数の画像単位線L2)が形成されている。
【0125】
また、例えば、複数の画像単位線L1のそれぞれの一部と複数の画像単位線L2のそれぞれの一部とがZ軸方向において互いに重ねられている。すなわち、例えば、複数の画像単位線L2のそれぞれが複数の画像単位線L1のそれぞれに対して部分的に乗り上げるように形成されている。このため、例えば、複数の画像単位線L2のそれぞれのうちの一部は、媒体Mの上に配置されているのに対して、その複数の画像単位線L2のそれぞれのうちの残りの部分は、複数の画像単位線L1のそれぞれの上に配置されている。より具体的には、例えば、1本の画像単位線L1と1本の画像単位線とが互いに部分的に重ねられることにより複数の集合画像単位線L12が形成されており、その複数の集合画像単位線L12がX軸方向において間隔Pを隔てながら配列されている。この場合には、捺染トナー画像G1(複数の画像単位線L1)が領域R1に形成されていると共に、顔料トナー画像G2(複数の画像単位線L2)が領域R2に形成されている。
【0126】
この構成例3では、画像形成制御部71は、例えば、媒体Mに複数の画像単位線L1および複数の画像単位線L2がこの順に形成されるように、捺染トナー画像G1の形成動作および顔料トナー画像G2の形成動作を制御する。また、画像形成制御部71は、例えば、Z軸方向において複数の画像単位線L1のそれぞれの一部と複数の画像単位線L2のそれぞれの一部とが互いに重ねられるように、捺染トナー画像G1の形成動作および顔料トナー画像G2の形成動作を制御する。
【0127】
[構成例4]
図8Aは、捺染トナー画像G1および顔料トナー画像G2のそれぞれの平面構成(複数の画像単位線Lに関する構成例4)を表しており、
図5Aに対応している。
図8Bは、
図8Aに示したA−A線に沿った捺染トナー画像G1および顔料トナー画像G2のそれぞれの断面構成を表しており、
図5Bに対応している。
【0128】
図8Aおよび
図8Bに示した構成例4では、例えば、媒体Mに捺染トナー画像G1(複数の画像単位線L1)が形成されたのち、その捺染トナー画像G1の上に顔料トナー画像G2(複数の画像単位線L2)が形成されている。
【0129】
また、例えば、複数の画像単位線L1のそれぞれと複数の画像単位線L2のそれぞれとがX軸方向において互いに隣接されている。より具体的には、例えば、2本の画像単位線L1と2本の画像単位線とが互いに隣接されると共に交互に配置されることにより複数の集合画像単位線L12が形成されており、その複数の集合画像単位線L12がX軸方向において間隔Pを隔てながら配列されている。この場合には、捺染トナー画像G1(複数の画像単位線L1)が領域R1に形成されていると共に、顔料トナー画像G2(複数の画像単位線L2)が領域R2に形成されている。
【0130】
この構成例4では、画像形成制御部71は、例えば、媒体Mに複数の画像単位線L1および複数の画像単位線L2がこの順に形成されるように、捺染トナー画像G1の形成動作および顔料トナー画像G2の形成動作を制御する。また、画像形成制御部71は、例えば、X軸方向において複数の画像単位線L1のそれぞれ(2本の画像単位線L1)と複数の画像単位線L2のそれぞれ(2本の画像単位線l2)とが互いに隣接されるように、捺染トナー画像G1の形成動作および顔料トナー画像G2の形成動作を制御する。
【0131】
[画像の内容]
なお、捺染トナー画像G1の画像パターンおよび顔料トナー画像G2の画像パターンのそれぞれは、特に限定されない。ただし、捺染トナー画像G1および顔料トナー画像G2により画像Gが形成されるため、捺染トナー画像G1の画像パターンと顔料トナー画像G2の画像パターンとは、色彩面および内容面などにおいて互いに対応していることが好ましい。
【0132】
具体的には、捺染トナー画像G1および顔料トナー画像G2のそれぞれがフルカラーの画像である場合には、捺染トナー画像G1の画像パターンおよび顔料トナー画像G2の画像パターンのそれぞれは、互いに共通する画像データに基づいて形成されていることが好ましい。捺染トナー画像G1の画像パターンと顔料トナー画像G2の画像パターンとが互いに共通するため、画像Gが捺染トナー画像G1および顔料トナー画像G2を含んでいても、優れた画質を有する画像Gが得られるからである。
【0133】
また、捺染トナー画像G1の画像パターンおよび顔料トナー画像G2の画像パターンのそれぞれがベタ画像などの単色画像である場合には、捺染トナー画像G1の色および顔料トナー画像G2の色のそれぞれは、同系色(色相環において互いに隣り合う色または互いに近い位置にある色)であることが好ましい。捺染トナー画像G1の色系統と顔料トナー画像G2の色系統とが互いに共通するため、画像Gが捺染トナー画像G1および顔料トナー画像G2を含んでいても、優れた画質を有する画像Gが得られるからである。
【0134】
上記した「同系色」とは、例えば、捺染トナー画像G1(捺染トナー)の色と顔料トナー画像G2(顔料トナー)の色との色差ΔEが34.6以内、好ましくは26.5以内、より好ましくは12.0以内であることを意味する。画像形成装置のユーザにより肉眼では色ずれなどの画質不良が認識されにくいため、画像Gが捺染トナー画像G1および顔料トナー画像G2を含んでいても、優れた画質を有する画像Gが得られるからである。
【0135】
<1−5.トナーの構成>
次に、トナーの構成に関して説明する。
【0136】
[トナーの種類]
ここで説明するトナーは、例えば、一成分現像方式の負帯電トナーである。すなわち、トナーは、例えば、負の帯電極性を有している。
【0137】
一成分現像方式とは、トナーに電荷を付与するためのキャリア(磁性粒子)を用いずに、そのトナー自身に適切な帯電量を付与する方式である。これに対して、二成分現像方式とは、上記したキャリアとトナーとを混合することにより、そのキャリアとトナーとの摩擦を利用してトナーに適切な帯電量を付与する方式である。
【0138】
トナーの製造方法は、任意の製造方法のうちのいずれか1種類または2種類以上であれば、特に限定されない。具体的には、トナーの製造方法は、例えば、粉砕法でもよいし、重合法でもよいし、それら以外の方法でもよい。重合法は、例えば、乳化重合凝集法および溶解懸濁法などである。
【0139】
[顔料トナー]
顔料トナーは、例えば、上記したように、顔料イエロートナーおよび顔料シアントナーである。
【0140】
(顔料イエロートナー)
顔料イエロートナーは、例えば、着色剤(イエロー顔料)と共に結着剤、離型剤、帯電制御剤および外添剤などを含んでいる。イエロー顔料は、例えば、ピグメントイエロー74などである。
【0141】
結着剤は、着色剤などを結着させる。この結着剤は、例えば、高分子化合物のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでおり、その高分子化合物は、例えば、ポリエステル系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂およびスチレン−ブタジエン系樹脂などである。高分子化合物の結晶状態は、特に限定されないため、結晶質でもよいし、非晶質でもよい。
【0142】
離型剤は、トナーの定着性および耐オフセット性などを向上させる。この離型剤は、例えば、脂肪族炭化水素系ワックス、脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、脂肪酸エステル系ワックス、脂肪酸エステル系ワックスの脱酸化物などのワックスのうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。この他、離型剤は、例えば、上記した一連のワックスのブロック共重合物などでもよい。
【0143】
脂肪族炭化水素系ワックスは、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、オレフィンの共重合物、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックスおよびフィッシャートロプシュワックスなどである。脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物は、例えば、酸化ポリエチレンワックスなどである。脂肪酸エステル系ワックスは、例えば、カルナバワックスおよびモンタン酸エステルワックスなどである。脂肪酸エステル系ワックスの脱酸化物は、その脂肪酸エステル系ワックスの一部または全部が脱酸化されたワックスであり、例えば、脱酸カルナバワックスなどである。
【0144】
帯電制御剤は、トナーの摩擦帯電性などを制御する。負帯電のトナーに用いられる帯電制御剤は、例えば、アゾ系錯体、サリチル酸系錯体およびカリックスアレン系錯体などのうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。
【0145】
外添剤は、トナー同士の凝集などを抑制することにより、そのトナーの流動性を向上させる。この外添剤は、例えば、無機材料および有機材料などのうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。無機材料は、例えば、疎水性シリカなどである。有機材料は、例えば、メラミン樹脂などである。
【0146】
(顔料シアントナー)
顔料シアントナーは、例えば、着色剤としてイエロー顔料に代えてシアン顔料を含んでいることを除いて、顔料イエロートナーと同様の構成を有している。シアン顔料は、例えば、フタロシアニンブルー(C.I.Pigment Blue 15:3)などである。
【0147】
[捺染トナー(捺染イエロートナー、捺染マゼンタトナーおよび捺染シアントナー)]
捺染トナーは、例えば、上記したように、捺染イエロートナー、捺染マゼンタトナーおよび捺染シアントナーである。捺染イエロートナー、捺染マゼンタトナーおよび捺染シアントナーのそれぞれは、それぞれの色に対応した色の着色剤(捺染染料)を含んでおり、その捺染染料は、イエロー捺染染料、マゼンタ捺染染料およびシアン捺染染料である。この「捺染染料」とは、上記したように、加熱時に捺染性(昇華転写性)を利用して他媒体Lに移行可能な染料であり、いわゆる昇華性染料である。ただし、捺染染料として用いられる材料の種類は、加熱時において他媒体Lに移行可能である染料であれば特に限定されないため、その捺染染料は、加熱時において他媒体Lに移行可能である昇華性染料以外の染料を含んでいてもよい。
【0148】
(捺染イエロートナー)
捺染イエロートナーは、例えば、着色剤としてイエロー顔料の代わりにイエロー捺染染料を含んでいることを除いて、顔料イエロートナーと同様の構成を有している。イエロー捺染染料は、例えば、C.L Reactive Yellow2、C.L Disperse Yellow54、Disperse Yellow160およびC.L Yellow114などである。
【0149】
ただし、捺染イエロートナーは、顔料イエロートナーとは異なり、離型剤を含んでいなくてもよい。この場合には、主に、離型剤の有無に起因して、捺染イエロートナーと顔料イエロートナーとでは互いに異なる熱的物性(吸熱特性)が得られる。この吸熱特性の差違に関しては、後述する。
【0150】
(捺染マゼンタトナー)
捺染マゼンタトナーは、例えば、着色剤としてイエロー捺染染料の代わりにマゼンタ捺染染料を含んでいることを除いて、捺染イエロートナーと同様の構成を有している。マゼンタ捺染染料は、例えば、C.L Reactive Red3、C.L Disperse Red50およびC.L Disperse Red92などである。
【0151】
(捺染シアントナー)
捺染シアントナーは、例えば、着色剤としてイエロー捺染染料の代わりにシアン捺染染料を含んでいることを除いて、捺染イエロートナーと同様の構成を有している。シアン捺染染料は、例えば、C.L Disperse Blue60、C.L Reactive Blue15、C.L Disperse Blue359、C.L Solvent Blue63、C.L Disperse Blue165およびCibacronTurquoiseBlueFGF−Pなどである。
【0152】
<1−6.動作>
次に、画像形成装置の動作に関して説明する。
【0153】
図9は、捺染トナー像Z1および顔料トナー像Z2が形成された中間転写ベルト41の断面構成を表している。
図10は、捺染トナー像Z1および顔料トナー像Z2が転写された媒体Mの断面構成を表している。
図11は、画像G(捺染トナー画像G1および顔料トナー画像G2)が形成された媒体Mの断面構成を表している。
【0154】
媒体Mに画像Gを形成する場合には、画像形成装置は、例えば、以下で説明するように、現像処理、1次転写処理、2次転写処理および定着処理をこの順に行うと共に、必要に応じてクリーニング処理を行う。ここで説明する画像形成装置の一連の動作は、上記した画像形成制御部71(
図3)により制御される。
【0155】
[現像処理]
最初に、トレイ10に収納された媒体Mは、送り出しローラ20により取り出される。この送り出しローラ20により取り出された媒体Mは、搬送ローラ61,62により搬送経路R1に沿って矢印F1の方向に搬送される。
【0156】
現像処理では、現像ユニット30Y,30Cのそれぞれにおいて、感光体ドラム32が回転すると、帯電ローラ33が回転しながら感光体ドラム32の表面に直流電圧を印加する。これにより、感光体ドラム32の表面が均一に帯電する。
【0157】
続いて、画像データに基づいて、光源39が感光体ドラム32の表面に光を照射する。これにより、感光体ドラム32の表面では、光が照射された領域において表面電位が減衰(光減衰)するため、静電潜像が形成される。
【0158】
一方、現像ユニット30Y,30Cのそれぞれでは、カートリッジ38に収納されている顔料トナー(顔料イエロートナーおよび顔料シアントナー)が供給ローラ34に向けて放出される。
【0159】
供給ローラ34に電圧が印加されると、その供給ローラ34が回転する。これにより、カートリッジ38から供給ローラ34の表面に顔料トナーが供給される。
【0160】
現像ローラ35に電圧が印加されると、その現像ローラ35が供給ローラ34に圧接されながら回転する。これにより、供給ローラ34の表面に供給された顔料トナーが現像ローラ35の表面に付着すると共に、その顔料トナーが現像ローラ35の回転を利用して搬送される。この場合には、現像ローラ35の表面に付着されている顔料トナーの一部が現像ブレード36により除去されるため、その現像ローラ35の表面に付着された顔料トナーの厚さが均一化される。
【0161】
現像ローラ35に圧接されながら感光体ドラム32が回転したのち、その現像ローラ35の表面に付着されていた顔料トナーが感光体ドラム32の表面に移行する。これにより、感光体ドラム32の表面(静電潜像)に顔料トナーが付着する。
【0162】
[1次転写処理]
転写ユニット40において、駆動ローラ42が回転すると、その駆動ローラ42の回転に応じて従動ローラ43およびバックアップローラ44のそれぞれが回転する。これにより、中間転写ベルト41が矢印F5の方向に移動する。
【0163】
1次転写処理では、1次転写ローラ45Y,45Cのそれぞれに電圧が印加されている。1次転写ローラ45Y,45Cのそれぞれは、中間転写ベルト41を介して感光体ドラム32に圧接されているため、上記した現像処理において感光体ドラム32の表面(静電潜像)に付着された顔料トナーは、中間転写ベルト41に転写される。
【0164】
これにより、
図9に示したように、中間転写ベルト41に顔料トナー(顔料イエロートナーおよび顔料シアントナー)を用いて顔料トナー像Z2が形成される。
【0165】
こののち、顔料トナー像Z2が形成された中間転写ベルト41は、引き続き矢印F5の方向に移動する。これにより、現像ユニット30SY,30SM,30SCおよび1次転写ローラ45SY,45SM,45SCにおいて、上記した現像ユニット30Y,30Cおよび1次転写ローラ45Y,45Cと同様の手順により、現像処理および1次転写処理が行われる。よって、中間転写ベルト41の表面に捺染トナーが転写される。
【0166】
具体的には、現像ユニット30SYおよび1次転写ローラ45SYにより、中間転写ベルト41に捺染イエロートナーが転写される。現像ユニット30SMおよび1次転写ローラ45SMにより、中間転写ベルト41に捺染マゼンタトナーが転写される。現像ユニット30SCおよび1次転写ローラ45SCにより、中間転写ベルト41に捺染シアントナーが転写される。
【0167】
これにより、
図9に示したように、捺染トナー(捺染イエロートナー、捺染マゼンタトナーおよび捺染シアントナー)を用いて、捺染染料Nを含む捺染トナー像Z1が形成される。
【0168】
もちろん、実際に現像ユニット30Y,30Cのそれぞれおよび1次転写ローラ45Y,45Cのそれぞれにおいて現像処理および1次転写処理が行われるかどうかは、顔料トナー像Z2を形成するために必要な色(色の組み合わせ)に応じて決定される。同様に、実際に現像ユニット30SY,30SM,30SCのそれぞれおよび1次転写ローラ45SY,45SM,45SCのそれぞれにおいて現像処理および1次転写処理が行われるかどうかは、捺染トナー像Z1を形成するために必要な色(色の組み合わせ)に応じて決定される。
【0169】
[2次転写処理]
搬送経路R1に沿って搬送される媒体Mは、バックアップローラ44と2次転写ローラ46との間を通過する。
【0170】
2次転写処理では、2次転写ローラ46に電圧が印加されている。この2次転写ローラ46は、媒体Mを介してバックアップローラ44に圧接されているため、上記した1次転写処理において中間転写ベルト41に転写された顔料トナーおよび捺染トナーは、媒体Mに転写される。
【0171】
これにより、
図10に示したように、媒体Mに捺染トナー像Z1および顔料トナー像Z2が転写される。
【0172】
[定着処理]
2次転写処理において媒体Mにトナーが転写されたのち、その媒体Mは、引き続き搬送経路R1に沿って矢印F1の方向に搬送されるため、定着ユニット50に投入される。
【0173】
定着処理では、加熱ローラ51の表面温度が所定の温度となるように制御されている。加熱ローラ51に圧接されながら加圧ローラ52が回転すると、その加熱ローラ51と加圧ローラ52との間を通過するように媒体Mが搬送される。
【0174】
これにより、媒体Mに転写されたトナーが加熱されるため、そのトナーが溶融する。しかも、溶融状態であるトナーが媒体Mに圧接されるため、そのトナーが媒体Mに密着する。
【0175】
これにより、トナーが媒体Mに定着されるため、
図11に示したように、その媒体Mに画像Gが形成される。この画像Gは、捺染トナー像Z1が定着処理されることにより形成された捺染トナー画像G1と、顔料トナー像Z2が定着処理されることにより形成された顔料トナー画像G2とを含んでいる。
図11では、図示内容を簡略化するために捺染トナー画像G1および顔料トナー画像G2がこの順に積層されているが、捺染トナー画像G1および顔料トナー画像G2のそれぞれの構成は、例えば、上記した構成例1〜4のうちのいずれでもよい。
【0176】
なお、媒体Mに形成された画像Gは、例えば、後述するように、加熱されることにより媒体M以外の他媒体L(
図22および
図23参照)に移行可能である捺染染料の特性を利用して、その媒体Mから他媒体Lに転写可能である。このため、媒体Mに画像Gが形成される場合には、その画像Gは、例えば、他媒体Lに転写された際に正常な向きとなるように、左右が反転された状態で形成される。
【0177】
画像Gが形成された媒体Mは、搬送経路R2に沿って搬送ローラ63,64により矢印F2の方向に搬送される。これにより、媒体Mは、排出口1Hからスタッカ2に排出される。
【0178】
[媒体の搬送手順]
なお、媒体Mの搬送手順は、その媒体Mに形成される画像の形式に応じて変更される。
【0179】
例えば、媒体Mの両面に画像が形成される場合には、定着ユニット50を通過した媒体Mは、搬送経路R3〜R5に沿って搬送ローラ65〜68により矢印F3,F4の方向に搬送されたのち、再び搬送経路R1に沿って搬送ローラ61,62により矢印F1の方向に搬送される。この場合において、媒体Mが搬送される方向は、搬送路切り替えガイド69,70により制御される。これにより、媒体Mの裏面(未だ画像が形成されていない面)において、現像処理、1次転写処理、2次転写処理および定着処理が行われる。
【0180】
[クリーニング処理]
現像ユニット30では、感光体ドラム32の表面に不要なトナーなどの異物が残留する場合がある。この不要なトナーは、例えば、1次転写処理において用いられたトナーの一部であり、中間転写ベルト41に転写されずに感光体ドラム32の表面に残留したトナーなどである。
【0181】
そこで、現像ユニット30では、クリーニングブレード37に圧接された状態において感光体ドラム32が回転するため、その感光体ドラム32の表面に残留しているトナーなどの異物がクリーニングブレード37により掻き取られる。よって、感光体ドラム32の表面から異物が除去される。
【0182】
また、転写ユニット40では、1次転写処理において中間転写ベルト41の表面に移行したトナーの一部が2次転写処理において媒体Mの表面に移行されずに、その中間転写ベルト41の表面に残留する場合がある。
【0183】
そこで、転写ユニット40では、中間転写ベルト41が矢印F5の方向に移動する際に、その中間転写ベルト41の表面に残留したトナーがクリーニングブレード47により掻き取られる。よって、中間転写ベルト41の表面から不要なトナーが除去される。
【0184】
<1−7.作用および効果>
次に、本実施形態の画像形成装置の作用および効果に関して説明する。
【0185】
[主要な作用および効果]
本実施形態の画像形成装置では、媒体Mに画像G(捺染トナー画像G1および顔料トナー画像G2)を形成する際に、捺染トナー画像G1が形成される領域(領域R1または領域R2)に顔料トナー画像G2が形成されるように、捺染トナー画像G1の形成動作および顔料トナー画像G2の形成動作を制御している。よって、以下で説明する理由により、媒体Mに形成された画像Gを布地などの他媒体Lに転写させた際に、その他媒体Lに高品質な画像Iを形成することができる。
【0186】
図12は、第1比較例の画像形成装置により画像Gが形成された媒体Mの断面構成を表しており、
図11に対応している。第1比較例の画像形成装置は、現像ユニット30Y,30Cを備えていないため、画像Gが捺染トナー画像G1だけにより形成されることを除いて、本実施形態の画像形成装置と同様の構成を有している。
【0187】
図13は、第2比較例の画像形成装置により画像Gが形成された媒体Mの断面構成を表しており、
図11に対応している。第2比較例の画像形成装置は、現像ユニット30SY,30SM,30SCを備えていないため、画像Gが顔料トナー画像G2だけにより形成されることを除いて、本実施形態の画像形成装置と同様の構成を有している。
【0188】
捺染トナーを用いて媒体Mに形成された画像Gの用途としては、上記したように、布地などの他媒体Lに画像Gを転写させることにより、その画像Gに対応する画像Iを他媒体Lに形成することが考えられる(
図22および
図23参照)。この画像の形成方式は、例えば、他媒体LがTシャツである場合には、いわゆるTシャツプリントである。
【0189】
第1比較例の画像形成装置により媒体Mに形成された画像Gでは、
図12に示したように、捺染トナー画像G1だけにより画像Gが形成されているため、その画像G(捺染トナー)が捺染染料Nを含んでいる。これにより、他媒体Lに媒体Mが密着された状態において、その媒体Mが加熱されると、画像G中に含まれている捺染染料Nが他媒体Lに移行することにより、その他媒体Lが捺染染料Nにより染色されるため、画像Gが他媒体Lに転写される。この画像Gの転写工程では、画像Gが捺染トナーと共に結着剤などを含んでいると、その結着剤などが媒体Mに残留したまま、捺染染料Nだけが媒体Mから他媒体Lに移行する。よって、他媒体Lに画像Iが形成される。この場合には、特に、他媒体Lの材質によっては、その他媒体Lが捺染染料Nにより染着されやすくなるため、画像Iの濃度が十分に高くなる。
【0190】
しかしながら、捺染染料Nは、本質的に、光に応じて分解(揮発)しやすい性質を有している。この場合には、捺染染料Nの耐候性が不十分であるため、捺染トナー画像G1だけを用いて形成された画像Iでは、捺染染料Nの分解に起因して経時的に濃度が低下しやすくなる。これにより、色再現性が劣化すると共に輪郭も不鮮明になるため、画像Iの画質が維持されにくくなる。よって、他媒体Lに高品質な画像Iを形成することが困難である。この場合には、特に、濃度の低下の程度によっては、画像Iが元々どのような画像であったかを認識することすら困難になる。
【0191】
また、第2比較例の画像形成装置により媒体Mに形成された画像Gでは、
図13に示したように、顔料トナー画像G2だけにより画像Gが形成されている。これにより、他媒体Lに媒体Mが密着された状態において、その媒体Mが加熱されると、画像G(顔料トナー)中に含まれている顔料が他媒体Lに移行することにより、その顔料が他媒体Lに定着するため、画像Gが他媒体Lに転写される。よって、他媒体Lに画像Iが形成される。この場合には、特に、顔料トナーが光に応じて分解しにくい性質を有しているため、画像Iの濃度が経時的に変化しにくくなる。
【0192】
しかしながら、加熱時における顔料の移行量は、加熱時における捺染染料Nの移行量よりも著しく小さいため、他媒体Lに対する顔料の定着量が不十分であることに起因して、画像Iの濃度が不足する。これにより、色再現性が不十分であると共に輪郭も不鮮明であるため、画像Iの画質が担保されにくくなる。よって、他媒体Lに高品質な画像Iを形成することが困難である。
【0193】
これに対して、本実施形態の画像形成装置により媒体Mに形成された画像Gでは、
図11に示したように、捺染トナー画像G1および顔料トナー画像G2により画像Gが形成されていると共に、領域R1または領域R2に顔料トナー画像G2が形成されるように捺染トナー画像G1の形成動作および顔料トナー画像G2の形成動作が制御されている。これにより、他媒体Lに媒体Mが密着された状態において、その媒体Mが加熱されると、上記したように、捺染トナー画像G1(捺染トナー)中に含まれている捺染染料Nが他媒体Lに移行するため、その他媒体Lが捺染染料Nにより染色されると共に、顔料トナー画像G2(顔料トナー)中に含まれている顔料が他媒体Lに移行するため、その他媒体Lに顔料が定着する。よって、画像Gが他媒体Lに転写されるため、その他媒体Lに画像Iが形成される。
【0194】
この場合には、他媒体Lの材質によっては、その他媒体Lが捺染染料Nにより染着されやすくなるため、画像Iの濃度が十分に高くなる。また、光に応じて捺染染料Nが分解しても、その光に応じて分解しにくい顔料により画像Iの濃度が補填されるため、その画像Iの濃度が経時的に変化しにくくなる。このため、捺染染料Nの分解に起因して画像Iの濃度が低下しても、その画像Iが元々どのような画像であったかを認識することが困難になる状況までは至りにくくなる。これらのことから、色再現性が十分であると共に輪郭も鮮明であることに加えて、画像Iの画質が維持されやすくなる。
【0195】
しかも、領域R1または領域R2に顔料トナー画像G2が形成されることにより、捺染トナー画像G1の形成範囲に対して顔料トナー画像G1の形成範囲が適正化されるため、画像Gが捺染トナー画像G1および顔料トナー画像G2を含んでいても、肉眼では色ずれなどの画質不良が認識されにくくなる。
【0196】
よって、高品質な画像Iを実現することが可能な高品質な画像Gを媒体Mに形成することができる。このため、画像Gを用いて他媒体Lに高品質な画像Iを形成することができる。
【0197】
[他の作用および効果]
特に、本実施形態では、捺染トナー画像G1と顔料トナー画像G2とが互いに全体的または部分的に重ねられるように捺染トナー画像G1の形成動作および顔料トナー画像G2の形成動作が制御されれば、捺染トナー画像G1と顔料トナー画像G2とが互いに隣接されるように捺染トナー画像G1の形成動作および顔料トナー画像G2の形成動作が制御される場合と比較して、色ずれなどがより認識されにくくなるため、より高い効果を得ることができる。
【0198】
また、媒体Mの上に捺染トナー画像G1が形成されたのちに顔料トナー画像G2が形成されるように捺染トナー画像G1の形成動作および顔料トナー画像G2の形成動作が制御されれば、上記したように、媒体Mから他媒体Lに画像Gが安定に転写されるため、その他媒体Lに画像Iが安定に形成される。よって、画像Iの形成に関する再現性が向上するため、より高い効果を得ることができる。
【0199】
この場合には、画像G(捺染トナー画像G1および顔料トナー画像G2)の構成が上記した構成例1〜4のうちのいずれかであれば、画像Iの形成に関する再現性がより向上するため、さらに高い効果を得ることができる。
【0200】
<2.画像形成装置(第2実施形態)>
次に、本発明の第2実施形態の画像形成装置に関して説明する。
【0201】
<2−1.全体構成>
本実施形態の画像形成装置の構成は、例えば、現像ユニット30の構成が異なることを除いて、上記した第1実施形態の画像形成装置の構成(
図1および
図2参照)と同様である。
【0202】
図14は、画像形成装置の平面構成を表しており、
図1に対応している。この画像形成装置では、例えば、
図14に示したように、5個の現像ユニット30(30SY,30SM,30SC,30Y,30C)が中間転写ベルト41の移動方向(矢印F5)において上流側から下流側に向かってこの順に配置されている。
【0203】
特に、転写ユニット40は、後述するように、中間転写ベルト41に捺染トナー画像Z1および顔料トナー像Z2がこの順に形成されたのち(
図19参照)、その中間転写ベルト41から媒体Mに顔料トナー像Z2および捺染トナー像Z1を転写させる(
図20参照)。
【0204】
また、定着ユニット50は、後述するように、媒体Mに顔料トナー像Z2および捺染トナー像Z1が転写されたのち、その顔料トナーZ2および捺染トナー像Z1を媒体Mに定着させる(
図21参照)。これにより、媒体Mに顔料トナー画像G2および捺染トナー画像G1を含む画像Gが形成される。
【0205】
<2−2.ブロック構成>
本実施形態の画像形成装置のブロック構成は、例えば、画像形成制御部71の制御内容が異なることを除いて、上記した第1実施形態の画像形成装置のブロック構成(
図3参照)と同様である。
【0206】
この画像形成制御部71は、第1実施形態と同様に、顔料トナー画像G2を形成する画像形成ユニット30Y,30Cなどの形成動作を制御すると共に、捺染トナー画像G1を形成する画像形成ユニット30SY,30SM,30SCなどの形成動作を制御する(
図19〜
図21参照)。
【0207】
具体的には、画像形成制御部71は、媒体Mに画像G(顔料トナー画像G2および捺染トナー画像G1)が形成される際に、領域R1または領域R2に顔料トナー画像G2が形成されるように、顔料トナー画像G2の形成動作および捺染トナー画像G1の形成動作を制御する。
【0208】
この場合には、例えば、後述するように、顔料トナー画像G2と捺染トナー画像G1とが互いに重ねられるようにしてもよいし(
図15A、
図15B、
図17Aおよび
図17B参照)、顔料トナー画像G2と捺染トナー画像G1とが互いに重ねられずに互いに隣接されるようにしてもよい(
図16A、
図16B、
図18Aおよび
図18B参照)。なお、顔料トナー画像G2と捺染トナー画像G1とが互いに重ねられる場合には、顔料トナー画像G2と捺染トナー画像G1とが互いに全体的に重ねられるようにしてもよいし(
図15Aおよび
図51B参照)、顔料トナー画像G2と捺染トナー画像G1とが互いに部分的に重ねられるようにしてもよい(
図17Aおよび
図17B参照)。
【0209】
また、画像形成制御部71は、例えば、媒体Mの上に顔料トナー画像G2が形成されたのちに捺染トナー画像G1が形成されるように、顔料トナー画像G2の形成動作および捺染トナー画像G1の形成動作を制御する(
図21参照)。
【0210】
なお、上記した画像形成制御部71により形成動作が制御されながら媒体Mに形成される画像G(顔料トナー画像G2および捺染トナー画像G1)の詳細な構成に関しては、後述する(
図15Aおよび
図15B〜
図18Aおよび
図18B参照)。
【0211】
<2−3.画像の構成>
画像Gの構成、より具体的には顔料トナー画像G2および捺染トナー画像G1のそれぞれの構成は、上記したように画像形成制御部71により形成動作が制御されながら顔料トナー画像G2および捺染トナー画像G1のそれぞれが形成されれば、特に限定されない。
【0212】
具体的には、画像Gの構成としては、例えば、顔料トナー画像G2および捺染トナー画像G1のそれぞれを構成する複数の画像単位の種類に応じて、様々な構成が考えられる。ここでは、第1実施形態と同様に、複数の線状の画像単位(複数の画像単位線L)を用いる場合を例に挙げることにより、いくつかの画像G(顔料トナー画像G2および捺染トナー画像G1)の具体的な構成例に関して説明する。以下で説明する複数の画像単位線L1,L2のそれぞれの構成に関する詳細は、上記した通りである。
【0213】
[構成例5]
図15Aは、顔料トナー画像G2および捺染トナー画像G1のそれぞれの平面構成(複数の画像単位線Lに関する構成例5)を表しており、
図5Aに対応している。
図15Bは、
図15Aに示したA−A線に沿った顔料トナー画像G2および捺染トナー画像G1のそれぞれの断面構成を表しており、
図5Bに対応している。
【0215】
図15Aおよび
図15Bに示した構成例5では、例えば、媒体Mに顔料トナー画像G2(複数の画像単位線L2)が形成されたのち、その顔料トナー画像G2の上に捺染トナー画像G1(複数の画像単位線L1)が形成されているため、媒体Mに顔料トナー画像G2および捺染トナー画像G1がこの順に積層されている。すなわち、例えば、複数の画像単位線L2のそれぞれの上に複数の画像単位線L1のそれぞれが配置されている。
【0216】
また、例えば、複数の画像単位線L2のそれぞれの全体と複数の画像単位線L1のそれぞれの全体とがZ軸方向において互いに重ねられている。より具体的には、例えば、1本の画像単位線L2と1本の画像単位線L1とが互いに全体的に重ねられることにより複数の集合画像単位線L12が形成されており、その複数の集合画像単位線L12がX軸方向において間隔Pを隔てながら配列されている。この場合には、捺染トナー画像G1(複数の画像単位線L1)が領域R1に形成されていると共に、顔料トナー画像G2(複数の画像単位線L2)も領域R1に形成されている。
【0217】
この構成例5では、画像形成制御部71は、例えば、媒体Mに複数の画像単位線L2および複数の画像単位線L1がこの順に形成されるように、顔料トナー画像G2の形成動作および捺染トナー画像G1の形成動作を制御する。また、画像形成制御部71は、例えば、Z軸方向において複数の画像単位線L2のそれぞれの全体と複数の画像単位線L1のそれぞれの全体とが互いに重ねられるように、顔料トナー画像G2の形成動作および捺染トナー画像G1の形成動作を制御する。
【0218】
[構成例6]
図16Aは、顔料トナー画像G2および捺染トナー画像G1のそれぞれの平面構成(複数の画像単位線Lに関する構成例6)を表しており、
図15Aに対応している。
図16Bは、
図16Aに示したA−A線に沿った顔料トナー画像G2および捺染トナー画像G1のそれぞれの断面構成を表しており、
図15Bに対応している。
【0219】
図16Aおよび
図16Bに示した構成例6では、例えば、媒体Mに顔料トナー画像G2(複数の画像単位線L2)が形成されたのち、その媒体Mに捺染トナー画像G1(複数の画像単位線L1)が形成されている。
【0220】
また、例えば、複数の画像単位線L2のそれぞれと複数の画像単位線L1のそれぞれとがX軸方向において互いに隣接されている。より具体的には、例えば、1本の画像単位線L2と1本の画像単位線L1とが互いに隣接されることにより複数の集合画像単位線L12が形成されており、その複数の集合画像単位線L12がX軸方向において間隔Pを隔てながら配列されている。この場合には、捺染トナー画像G1(複数の画像単位線L1)が領域R1に形成されていると共に、顔料トナー画像G2(複数の画像単位線L2)が領域R2に形成されている。
【0221】
この構成例6では、画像形成制御部71は、例えば、媒体Mに複数の画像単位線L2および複数の画像単位線L1がこの順に形成されるように、顔料トナー画像G2の形成動作および捺染トナー画像G1の形成動作を制御する。また、画像形成制御部71は、例えば、X軸方向において複数の画像単位線L2のそれぞれ(1本の画像単位線L2)と複数の画像単位線L1のそれぞれ(1本の画像単位線L1)とが互いに隣接されるように、顔料トナー画像G2の形成動作および捺染トナー画像G1の形成動作を制御する。
【0222】
[構成例7]
図17Aは、顔料トナー画像G2および捺染トナー画像G1のそれぞれの平面構成(複数の画像単位線Lに関する構成例7)を表しており、
図15Aに対応している。
図17Bは、
図17Aに示したA−A線に沿った顔料トナー画像G2および捺染トナー画像G1のそれぞれの断面構成を表しており、
図15Bに対応している。
【0223】
図17Aおよび
図17Bに示した構成例7では、例えば、媒体Mに顔料トナー画像G2(複数の画像単位線L2)が形成されたのち、その顔料トナー画像G2の上に捺染トナー画像G1(複数の画像単位線L1)が形成されている。
【0224】
また、例えば、複数の画像単位線L2のそれぞれの一部と複数の画像単位線L1のそれぞれの一部とがZ軸方向において互いに重ねられている。すなわち、例えば、複数の画像単位線L1のそれぞれが複数の画像単位線L2のそれぞれに対して部分的に乗り上げるように形成されている。このため、例えば、複数の画像単位線L1のそれぞれのうちの一部は、媒体Mの上に配置されているのに対して、その複数の画像単位線L1のそれぞれのうちの残りの部分は、複数の画像単位線L2のそれぞれの上に配置されている。より具体的には、例えば、1本の画像単位線L2と1本の画像単位線L1とが互いに部分的に重ねられることにより複数の集合画像単位線L12が形成されており、その複数の集合画像単位線L12がX軸方向において間隔Pを隔てながら配列されている。この場合には、捺染トナー画像G1(複数の画像単位線L1)が領域R1に形成されていると共に、顔料トナー画像G2(複数の画像単位線L2)が領域R2に形成されている。
【0225】
この構成例7では、画像形成制御部71は、例えば、媒体Mに複数の画像単位線L2および複数の画像単位線L1がこの順に形成されるように、顔料トナー画像G2の形成動作および捺染トナー画像G1の形成動作を制御する。また、画像形成制御部71は、例えば、Z軸方向において複数の画像単位線L2のそれぞれの一部と複数の画像単位線L1のそれぞれの一部とが互いに重ねられるように、顔料トナー画像G2の形成動作および捺染トナー画像G1の形成動作を制御する。
【0226】
[構成例8]
図18Aは、顔料トナー画像G2および捺染トナー画像G1のそれぞれの平面構成(複数の画像単位線Lに関する構成例8)を表しており、
図15Aに対応している。
図18Bは、
図18Aに示したA−A線に沿った顔料トナー画像G2および捺染トナー画像G1のそれぞれの断面構成を表しており、
図15Bに対応している。
【0227】
図18Aおよび
図18Bに示した構成例8では、例えば、媒体Mに顔料トナー画像G2(複数の画像単位線L2)が形成されたのち、その顔料トナー画像G2の上に捺染トナー画像G1(複数の画像単位線L1)が形成されている。
【0228】
また、例えば、複数の画像単位線L2のそれぞれと複数の画像単位線L1のそれぞれとがX軸方向において互いに隣接されている。より具体的には、例えば、2本の画像単位線L2と2本の画像単位線L1とが互いに隣接されると共に交互に配置されることにより複数の集合画像単位線L12が形成されており、その複数の集合画像単位線L12がX軸方向において間隔Pを隔てながら配列されている。この場合には、捺染トナー画像G1(複数の画像単位線L1)が領域R1に形成されていると共に、顔料トナー画像G2(複数の画像単位線L2)が領域R2に形成されている。
【0229】
この構成例8では、画像形成制御部71は、例えば、媒体Mに複数の画像単位線L2および複数の画像単位線L1がこの順に形成されるように、顔料トナー画像G2の形成動作および捺染トナー画像G1の形成動作を制御する。また、画像形成制御部71は、例えば、X軸方向において複数の画像単位線L2のそれぞれ(2本の画像単位線L2)と複数の画像単位線L1のそれぞれ(2本の画像単位線L1)とが互いに隣接されるように、顔料トナー画像G2の形成動作および捺染トナー画像G1の形成動作を制御する。
【0230】
<2−4.動作>
本実施形態の画像形成装置の動作は、画像Gの形成工程において、顔料トナー画像G2が形成されたのちに捺染トナー画像G1が形成されるように顔料トナー画像G2の形成動作および捺染トナー画像G1の形成動作が制御されることを除いて、上記した第1実施形態の画像形成装置の動作と同様である。
【0231】
図19は、捺染トナー像Z1および顔料トナー像Z2が形成された中間転写ベルト41の断面構成を表しており、
図9に対応している。
図20は、顔料トナー像Z2および捺染トナー像Z1が転写された媒体Mの断面構成を表しており、
図10に対応している。
図21は、画像G(顔料トナー画像G2および捺染トナー画像G1)が形成された媒体Mの断面構成を表しており、
図11に対応している。
【0232】
具体的には、現像処理および1次転写処理では、現像ユニット30SY,30SM,30SCのそれぞれにおいて感光体ドラム32の表面(静電潜像)に捺染トナー(捺染イエロートナー、捺染マゼンタトナーおよび捺染シアントナー)が付着されたのち、その捺染トナーが中間転写ベルト41に転写される。続いて、現像ユニット30Y,30Cのそれぞれにおいて感光体ドラム32の表面(静電潜像)に顔料トナー(顔料イエロートナーおよび顔料シアントナー)が付着されたのち、その顔料トナーが中間転写ベルト41に転写される。
【0233】
これにより、
図19に示したように、中間転写ベルト41に捺染トナー(捺染イエロートナー、捺染マゼンタトナーおよび捺染シアントナー)を用いて捺染トナー像Z1が形成されたのち、顔料トナー(顔料イエロートナーおよび顔料シアントナー)を用いて顔料トナー像Z2が形成される。
【0234】
こののち、2次転写処理が行われることにより、
図20に示したように、媒体Mに顔料トナー像Z2および捺染トナー像Z1が転写される。よって、定着処理が行われることにより、
図21に示したように、媒体Mに画像G(顔料トナー画像G2および捺染トナー画像G1)が形成される。
図21では、図示内容を簡略化するために顔料トナー画像G2および捺染トナー画像G1がこの順に積層されているが、顔料トナー画像G2および捺染トナー画像G1のそれぞれの構成は、例えば、上記した構成例5〜8のうちのいずれでもよい。
【0235】
<2−5.作用および効果>
本実施形態の画像形成装置では、媒体Mに画像G(顔料トナー画像G2および捺染トナー画像G1)を形成する際に、領域R1または領域R2に顔料トナー画像G2が形成されるように、顔料トナー画像G2の形成動作および捺染トナー画像G1の形成動作を制御している。この場合には、上記した第1実施形態と同様の理由により、顔料により画像Iの濃度が補填されるため、その画像Iの濃度が経時的に変化しにくくなると共に、捺染トナー画像G1の形成範囲に対して顔料トナー画像G2の形成範囲が適正化されるため、画像Gが捺染トナー画像G1および顔料トナー画像G2を含んでいても色ずれなどの画質不良が認識されにくくなる。よって、第1実施形態と同様に、媒体Mに形成された画像Gを布地などの他媒体Lに転写させた際に、その他媒体Lに高品質な画像Iを形成することができる。
【0236】
特に、顔料トナー画像G2と捺染トナー画像G1とが互いに全体的または部分的に重ねられるように顔料トナー画像G2の形成動作および捺染トナー画像G1の形成動作が制御されれば、顔料トナー画像G2と捺染トナー画像G1とが互いに隣接されるように顔料トナー画像G2の形成動作および捺染トナー画像G1の形成動作が制御される場合と比較して、色ずれなどがより認識されにくくなるため、より高い効果を得ることができる。
【0237】
また、媒体Mの上に顔料トナー画像G2が形成されたのちに捺染トナー画像G1が形成されるように顔料トナー画像G2の形成動作および捺染トナー画像G1の形成動作が制御されれば、上記したように、媒体Mから他媒体Lに画像Gが安定に転写されるため、その他媒体Lに画像Iが安定に形成される。よって、画像Iの形成に関する再現性が向上するため、より高い効果を得ることができる。
【0238】
この場合には、画像G(顔料トナー画像G2および捺染トナー画像G1)の構成が上記した構成例5〜8のうちのいずれかであれば、画像Iの形成に関する再現性がより向上するため、さらに高い効果を得ることができる。
【0239】
<3.画像の用途>
次に、上記した画像形成装置を用いて形成される画像Gの用途に関して説明する。
【0240】
画像形成装置により媒体Mに形成された画像Gは、上記したように、加熱されることにより媒体M以外の他媒体Lに移行可能である捺染染料の特性(昇華転写性)を利用して、その媒体Mから他媒体Lに転写可能である。よって、画像Gは、他媒体Lの種類に応じて様々な用途に用いられる。
【0241】
他媒体Lの種類は、特に限定されないが、例えば、紙、布地、木材、金属、ガラス、陶器および樹脂などである。より具体的には、布地は、例えば、Tシャツなどの衣類であると共に、陶器は、例えば、マグカップなどの食器である。ただし、布地は、衣類に限られないと共に、陶器は、食器に限られない。樹脂は、例えば、上記したポリエステル系樹脂に限られず、ポリエステル系樹脂以外の樹脂でもよい。
【0242】
<3−1.画像形成装置(第1実施形態)により形成された画像>
まず、第1実施形態の画像形成装置により形成された画像Gの用途として、媒体Mから他媒体Lに対する画像Gの転写方法に関して説明する。
【0243】
ここでは、例えば、上記したように、媒体Mに形成された画像Gが他媒体L(布地)に転写される場合に関して説明する。ここで説明する画像Gの転写方法は、例えば、加熱源としてアイロンを用いたアイロンプリントである。ただし、加熱源の種類は、アイロンに限定されない。他媒体Lは、例えば、Tシャツなどの衣類であり、そのTシャツの素材(材質)は、特に限定されない。
【0244】
図22および
図23のそれぞれは、媒体Mから他媒体Lに対する画像Gの転写方法を説明するために、媒体Mおよび他媒体Lのそれぞれの断面構成を表しており、
図11に対応している。
【0245】
他媒体Lに画像Gを転写させる場合には、まず、
図22に示したように、転写対象である他媒体Lに対して、画像G(捺染トナー画像G1および顔料トナー画像G2)が形成された媒体Mを対向させる。この場合には、顔料トナー画像G2が他媒体Lに対向するように媒体Mが配置される。
【0246】
続いて、他媒体Lに媒体Mを密着させたのち、その媒体Mにアイロンを押し当てることにより、その媒体Mに熱エネルギーHを供給する。
図22では、熱エネルギーHだけを示しており、アイロンの図示を省略している。なお、アイロンの温度、他媒体Lに対するアイロンの押し当て時間およびアイロンを介して媒体Mに供給される加重などの条件は、任意に設定可能である。
【0247】
これにより、
図23に示したように、熱エネルギーHを利用して、捺染トナー画像G1から剥離された顔料トナー画像G2が他媒体Lに転写されると共に、その捺染トナー画像G1(捺染トナー)中に含まれている捺染染料Nが他媒体Lに移行する。この場合には、捺染トナー画像1のうちの一部が顔料トナー画像G2と一緒に他媒体Lに転写される。これにより、捺染染料Nのうちの一部により他媒体Lが染色されると共に、その捺染染料Nのうちの残りが捺染トナー画像G1および顔料トナー画像G2のそれぞれに定着する。よって、画像Gに対応する画像Iが他媒体Lに形成される。
【0248】
この場合には、上記したように、画像Gの形成工程において捺染トナー画像G1が形成されたのちに顔料トナー画像G2が形成されていると、その画像Gが他媒体Lに転写されることにより、画像Iの濃度が経時的に変化しにくくなる。よって、画像Iの画質が維持されやすくなるため、他媒体Lに高品質な画像Iを形成することができる。
【0249】
<3−2.画像形成装置(第2実施形態)により形成された画像>
また、第2実施形態の画像形成装置により形成された画像Gの用途として、媒体Mから他媒体Lに対する画像Gの転写方法に関して説明する。第2実施形態の画像形成装置により形成された画像Gの転写方法に関する詳細は、例えば、以下で説明することを除いて、上記した第1実施形態の画像形成装置により形成された画像Gの転写方法に関する詳細と同様である。
【0250】
図24および
図25のそれぞれは、画像Gの転写方法を説明するために媒体Mおよび他媒体Lのそれぞれの断面構成を表しており、
図22および
図23に対応している。
【0251】
他媒体Lに画像Gを転写させる場合には、まず、
図24に示したように、画像G(顔料トナー画像G2および捺染トナー画像G1)が形成された媒体Mを他媒体Lに対して対向させたのち、アイロンを用いて媒体Mに熱エネルギーHを供給する。この場合には、捺染トナー画像G1が他媒体Lに対向するように媒体Mが配置される。これにより、
図25に示したように、熱エネルギーHを利用して、顔料トナー画像G2から剥離された捺染トナー画像G1が他媒体Lに転写されると共に、その捺染トナー画像G1(捺染トナー)中に含まれている捺染染料Nが他媒体Lに移行する。この場合には、顔料トナー画像G2のうちの一部が捺染トナー画像G1と一緒に他媒体Lに転写されると共に、その捺染トナー画像G1のうちの残りが媒体Mに残存する。これにより、捺染染料Nのうちの一部により他媒体Lが染色される。よって、画像Gに対応する画像Iが他媒体Lに形成される。
【0252】
この場合には、上記したように、画像Gの形成工程において顔料トナー画像G2が形成されたのちに捺染トナー画像G1が形成されていると、その画像Gが他媒体Lに転写されることにより、その捺染トナー画像G1が直接的に他媒体Lに接触するように転写されるため、捺染染料Nに由来する画像Iの発色性(濃度)が高くなる。しかも、画像Iのうちの最上層が顔料トナー画像G2になることにより、捺染染料Nにより他媒体Lが染色される際に、その他媒体Lが顔料トナー画像G2により外部から保護されながら捺染染料Nにより染色されるため、外力などの外部要因に起因した捺染染料Nによる染色量(着色量)の損失は低減される。よって、画像Iの画質が向上するため、他媒体Lに高品質な画像Iを形成することができる。
【0253】
<4.変形例>
上記した画像形成装置の構成は、適宜、変更可能である。
【0254】
[変形例1]
第1実施形態では、
図5Aおよび
図5B〜
図8Aおよび
図8Bに示したように、複数の画像単位として、複数の線状の画像単位(複数の画像単位線L)を用いた。しかしながら、複数の画像単位の種類は、特に限定されないため、任意に変更可能である。
【0255】
具体的には、例えば、
図5Aおよび
図5B〜
図8Aおよび
図8Bに対応する
図26Aおよび
図26B〜
図29Aおよび
図29Bに示したように、複数の画像単位として、複数のドット状の画像単位(複数の画像単位ドットD)を用いてもよい。これらの場合においても、上記したように画像形成制御部71により形成動作が制御されながら媒体Mに画像G(捺染トナー画像G1および顔料トナー画像G2)が形成されることにより、同様の効果を得ることができる。
【0256】
(変形例1−1)
図26Aは、捺染トナー画像G1および顔料トナー画像G2のそれぞれの平面構成(複数の画像単位ドットDに関する変形例1−1)を表しており、
図5Aに対応している。
図26Bは、
図26Aに示したA−A線に沿った捺染トナー画像G1および顔料トナー画像G2のそれぞれの断面構成を表しており、
図5Bに対応している。
【0257】
図26Aおよび
図26Bに示した変形例1−1では、捺染トナー画像G1は、例えば、複数の画像単位ドットD(D1)を含んでいると共に、顔料トナー画像G2は、例えば、複数の画像単位ドットD(D2)を含んでいる。ここで、複数の画像単位ドットD1は、本発明の一実施形態の「複数の捺染トナー画像単位」である。また、複数の画像単位ドットD2は、本発明の一実施形態の「複数の顔料トナー画像単位」である。
【0258】
複数の画像単位ドットD1のそれぞれの平面形状は、特に限定されないが、例えば、円形である。複数の画像単位ドットD1は、例えば、X軸方向において間隔Pを隔てながら配列されていると共に、そのX軸方向と交差するY軸方向において間隔Pを隔てながら配列されている。すなわち、複数の画像単位ドットD1は、例えば、複数行×複数列となるようにマトリクス状に配置されている。なお、X軸方向における間隔PとY軸方向における間隔Pとは、互いに同じでもよいし、互いに異なってもよい。
【0259】
複数の画像単位ドットD2の平面形状および配列状態は、例えば、上記した複数の画像単位ドットD1の平面形状および配列状態と同様である。
図26Aでは、複数の画像単位ドットD2に濃い網掛けを施している。
【0260】
上記した捺染トナー画像G1(複数の画像単位ドットL1)および顔料トナー画像G2(複数の画像単位ドットL2)のそれぞれの構成は、後述する
図27Aおよび
図27B〜
図29A〜
図29Bにおいても同様である。
【0261】
ここでは、例えば、媒体Mに捺染トナー画像G1(複数の画像単位ドットD1)が形成されたのち、その捺染トナー画像G1の上に顔料トナー画像G2(複数の画像単位ドットD2)が形成されているため、媒体Mの上に捺染トナー画像G1および顔料トナー画像G2がこの順に積層されている。すなわち、例えば、複数の画像単位ドットD1のそれぞれの上に複数の画像単位ドットD2のそれぞれが配置されている。
【0262】
また、例えば、複数の画像単位ドットD1のそれぞれの全体と複数の画像単位ドットD2のそれぞれの全体とがZ軸方向において互いに重ねられている。より具体的には、例えば、1個の画像単位ドットD1と1個の画像単位ドットD2とが互いに全体的に重ねられることにより複数の集合画像単位ドットD12が形成されており、その複数の集合画像単位ドットD12がX軸方向およびY軸方向のそれぞれにおいて間隔Pを隔てながら配列されている。この場合には、捺染トナー画像G1(複数の画像単位ドットD1)が領域R1に形成されていると共に、顔料トナー画像G2(複数の画像単位ドットD2)も領域R1に形成されている。
【0263】
この変形例1−1では、画像形成制御部71は、例えば、媒体Mに複数の画像単位ドットD1および複数の画像単位ドットD2がこの順に形成されるように、捺染トナー画像G1の形成動作および顔料トナー画像G2の形成動作を制御する。また、画像形成制御部71は、例えば、Z軸方向において複数の画像単位ドットD1のそれぞれの全体と複数の画像単位ドットD2のそれぞれの全体とが互いに重ねられるように、捺染トナー画像G1の形成動作および顔料トナー画像G2の形成動作を制御する。
【0264】
(変形例1−2)
図27Aは、捺染トナー画像G1および顔料トナー画像G2のそれぞれの平面構成(複数の画像単位ドットDに関する変形例1−2)を表しており、
図6Aに対応している。
図27Bは、
図27Aに示したA−A線に沿った捺染トナー画像G1および顔料トナー画像G2のそれぞれの断面構成を表しており、
図6Bに対応している。
【0265】
図27Aおよび
図27Bに示した変形例1−2では、例えば、媒体Mに捺染トナー画像G1(複数の画像単位ドットD1)が形成されたのち、その媒体Mに顔料トナー画像G2(複数の画像単位ドットD2)が形成されている。
図27Aでは、複数の画像単位ドットD1に淡い網掛けを施していると共に、複数の画像単位ドットD2に濃い網掛けを施している。
【0266】
また、例えば、複数の画像単位ドットD1のそれぞれと複数の画像単位ドットD2のそれぞれとがX軸方向において互いに隣接されている。より具体的には、例えば、1個の画像単位ドットD1と1個の画像単位ドットD2とが互いに隣接されることにより複数の集合画像単位ドットD12が形成されており、その複数の集合画像単位ドットD12がX軸方向およびY軸方向のそれぞれにおいて間隔Pを隔てながら配列されている。この場合には、捺染トナー画像G1(複数の画像単位ドットD1)が領域R1に形成されていると共に、顔料トナー画像G2(複数の画像単位ドットD2)が領域R2に形成されている。
【0267】
この変形例1−2では、画像形成制御部71は、例えば、媒体Mに複数の画像単位ドットD1および複数の画像単位ドットD2がこの順に形成されるように、捺染トナー画像G1の形成動作および顔料トナー画像G2の形成動作を制御する。また、画像形成制御部71は、例えば、X軸方向において複数の画像単位ドットD1のそれぞれと複数の画像単位ドットD2のそれぞれとが互いに隣接されるように、捺染トナー画像G1の形成動作および顔料トナー画像G2の形成動作を制御する。
【0268】
(変形例1−3)
図28Aは、捺染トナー画像G1および顔料トナー画像G2のそれぞれの平面構成(複数の画像単位ドットDに関する変形例1−3)を表しており、
図7Aに対応している。
図28Bは、
図28Aに示したA−A線に沿った捺染トナー画像G1および顔料トナー画像G2のそれぞれの断面構成を表しており、
図7Bに対応している。
【0269】
図28Aおよび
図28Bに示した変形例1−3では、例えば、媒体Mに捺染トナー画像G1(複数の画像単位ドットD1)が形成されたのち、その捺染トナー画像G1の上に顔料トナー画像G2(複数の画像単位ドットD2)が形成されている。
【0270】
また、例えば、複数の画像単位ドットD1のそれぞれの一部と複数の画像単位ドットD2のそれぞれの一部とがZ軸方向において互いに重ねられている。すなわち、例えば、複数の画像単位ドットD2のそれぞれが複数の画像単位ドットD1のそれぞれに対して部分的に乗り上げるように形成されている。このため、例えば、複数の画像単位ドットD2のそれぞれのうちの一部は、媒体Mの上に配置されているのに対して、その複数の画像単位ドットD2のそれぞれのうちの残りの部分は、複数の画像単位ドットD1のそれぞれの上に配置されている。より具体的には、例えば、1個の画像単位ドットD1と1個の画像単位ドットD2とが互いに部分的に重ねられることにより複数の集合画像単位ドットD12が形成されており、その複数の集合画像単位ドットD12がX軸方向およびY軸方向のそれぞれにおいて間隔Pを隔てながら配列されている。この場合には、捺染トナー画像G1(複数の画像単位ドットD1)が領域R1に形成されていると共に、顔料トナー画像G2(複数の画像単位ドットD2)が領域R2に形成されている。
【0271】
この変形例1−3では、画像形成制御部71は、例えば、媒体Mに複数の画像単位ドットD1および複数の画像単位ドットD2がこの順に形成されるように、捺染トナー画像G1の形成動作および顔料トナー画像G2の形成動作を制御する。また、画像形成制御部71は、例えば、Z軸方向において複数の画像単位ドットD1のそれぞれの一部と複数の画像単位ドットD2のそれぞれの一部とが互いに重ねられるように、捺染トナー画像G1の形成動作および顔料トナー画像G2の形成動作を制御する。
【0272】
(変形例1−4)
図29Aは、捺染トナー画像G1および顔料トナー画像G2のそれぞれの平面構成(複数の画像単位ドットDに関する変形例1−4)を表しており、
図8Aに対応している。
図29Bは、
図29Aに示したA−A線に沿った捺染トナー画像G1および顔料トナー画像G2のそれぞれの断面構成を表しており、
図9Bに対応している。
【0273】
図29Aおよび
図29Bに示した変形例1−4では、例えば、媒体Mに捺染トナー画像G1(複数の画像単位ドットD1)が形成されたのち、その媒体Mに顔料トナー画像G2(複数の画像単位ドットD2)が形成されている。
【0274】
また、例えば、複数の画像単位ドットD1のそれぞれと複数の画像単位ドットD2のそれぞれとがX軸方向において互いに隣接されている。より具体的には、例えば、2個の画像単位ドットD1と2個の画像単位ドットD2とが互いに隣接されることにより複数の集合画像単位ドットD12が形成されており、その複数の集合画像単位ドットD12がX軸方向およびY軸方向のそれぞれにおいて間隔Pを隔てながら配列されている。この場合には、捺染トナー画像G1(複数の画像単位ドットD1)が領域R1に形成されていると共に、顔料トナー画像G2(複数の画像単位ドットD2)が領域R2に形成されている。
【0275】
この変形例1−4では、画像形成制御部71は、例えば、媒体Mに複数の画像単位ドットD1および複数の画像単位ドットD2がこの順に形成されるように、捺染トナー画像G1の形成動作および顔料トナー画像G2の形成動作を制御する。また、画像形成制御部71は、例えば、X軸方向において複数の画像単位ドットD1のそれぞれと複数の画像単位ドットD2のそれぞれとが互いに隣接されるように、捺染トナー画像G1の形成動作および顔料トナー画像G2の形成動作を制御する。
【0276】
[変形例2]
第2実施形態では、
図15Aおよび
図15B〜
図18Aおよび
図18Bに示したように、複数の画像単位として、複数の線状の画像単位(複数の画像単位線L)を用いた。しかしながら、複数の画像単位の種類は、特に限定されないため、任意に変更可能である。
【0277】
具体的には、例えば、
図15Aおよび
図15B〜
図18Aおよび
図18Bに対応する
図30Aおよび
図30B〜
図33Aおよび
図33Bに示したように、複数の画像単位として、複数のドット状の画像単位(複数の画像単位ドットD)を用いてもよい。これらの場合においても、上記した画像形成制御部71により形成動作が制御されながら媒体Mに画像G(顔料トナー画像G2および捺染トナー画像G1)が形成されることにより、同様の効果を得ることができる。
【0278】
(変形例2−1)
図30Aは、顔料トナー画像G2および捺染トナー画像G1のそれぞれの平面構成(複数の画像単位ドットDに関する変形例2−1)を表しており、
図15Aおよび
図26Aに対応している。
図30Bは、
図30Aに示したA−A線に沿った顔料トナー画像G2および捺染トナー画像G1のそれぞれの断面構成を表しており、
図15Bおよび
図26Bに対応している。
【0279】
図30Aおよび
図30Bに示した変形例2−1では、例えば、媒体Mに顔料トナー画像G2(複数の画像単位ドットD2)が形成されたのち、その顔料トナー画像G2の上に捺染トナー画像G1(複数の画像単位ドットD1)が形成されているため、媒体Mの上に顔料トナー画像G2および捺染トナー画像G1がこの順に積層されている。すなわち、例えば、複数の画像単位ドットD2のそれぞれの上に複数の画像単位ドットD1のそれぞれが配置されている。
【0280】
また、例えば、複数の画像単位ドットD2のそれぞれの全体と複数の画像単位ドットD1のそれぞれの全体とがZ軸方向において互いに重ねられている。より具体的には、例えば、1個の画像単位ドットD2と1個の画像単位ドットD1とが互いに全体的に重ねられることにより複数の集合画像単位ドットD12が形成されており、その複数の集合画像単位ドットD12がX軸方向およびY軸方向のそれぞれにおいて間隔Pを隔てながら配列されている。この場合には、捺染トナー画像G1(複数の画像単位ドットD1)が領域R1に形成されていると共に、顔料トナー画像G2(複数の画像単位ドットD2)も領域R1に形成されている。
【0281】
この変形例2−1では、画像形成制御部71は、例えば、媒体Mに複数の画像単位ドットD2および複数の画像単位ドットD1がこの順に形成されるように、顔料トナー画像G2の形成動作および捺染トナー画像G1の形成動作を制御する。また、画像形成制御部71は、例えば、Z軸方向において複数の画像単位ドットD2のそれぞれの全体と複数の画像単位ドットD1のそれぞれの全体とが互いに重ねられるように、顔料トナー画像G2の形成動作および捺染トナー画像G1の形成動作を制御する。
【0282】
(変形例2−2)
図31Aは、顔料トナー画像G2および捺染トナー画像G1のそれぞれの平面構成(複数の画像単位ドットDに関する変形例2−2)を表しており、
図16Aおよび
図27Aに対応している。
図31Bは、
図31Aに示したA−A線に沿った顔料トナー画像G2および捺染トナー画像G1のそれぞれの断面構成を表しており、
図16Bおよび
図27Bに対応している。
【0283】
図31Aおよび
図31Bに示した変形例2−2では、例えば、媒体Mに顔料トナー画像G2(複数の画像単位ドットD2)が形成されたのち、その媒体Mに捺染トナー画像G1(複数の画像単位ドットD1)が形成されている。
【0284】
また、例えば、複数の画像単位ドットD2のそれぞれと複数の画像単位ドットD1のそれぞれとがX軸方向において互いに隣接されている。より具体的には、例えば、1個の画像単位ドットD2と1個の画像単位ドットD1とが互いに隣接されることにより複数の集合画像単位ドットD12が形成されており、その複数の集合画像単位ドットD12がX軸方向およびY軸方向のそれぞれにおいて間隔Pを隔てながら配列されている。この場合には、捺染トナー画像G1(複数の画像単位ドットD1)が領域R1に形成されていると共に、顔料トナー画像G2(複数の画像単位ドットD2)が領域R2に形成されている。
【0285】
この変形例2−2では、画像形成制御部71は、例えば、媒体Mに複数の画像単位ドットD2および複数の画像単位ドットD1がこの順に形成されるように、顔料トナー画像G2の形成動作および捺染トナー画像G1の形成動作を制御する。また、画像形成制御部71は、例えば、X軸方向において複数の画像単位ドットD2のそれぞれと複数の画像単位ドットD1のそれぞれとが互いに隣接されるように、顔料トナー画像G2の形成動作および捺染トナー画像G1の形成動作を制御する。
【0286】
(変形例2−3)
図32Aは、顔料トナー画像G2および捺染トナー画像G1のそれぞれの平面構成(複数の画像単位ドットDに関する変形例2−3)を表しており、
図17Aおよび
図28Aに対応している。
図32Bは、
図32Aに示したA−A線に沿った顔料トナー画像G2および捺染トナー画像G1のそれぞれの断面構成を表しており、
図17Bおよび
図28Bに対応している。
【0287】
図32Aおよび
図32Bに示した変形例2−3では、例えば、媒体Mに顔料トナー画像G2(複数の画像単位ドットD2)が形成されたのち、その顔料トナー画像G2の上に捺染トナー画像G1(複数の画像単位ドットD1)が形成されている。
【0288】
また、例えば、複数の画像単位ドットD2のそれぞれの一部と複数の画像単位ドットD1のそれぞれの一部とがZ軸方向において互いに重ねられている。すなわち、例えば、複数の画像単位ドットD1のそれぞれが複数の画像単位ドットD2のそれぞれに対して部分的に乗り上げるように形成されている。このため、例えば、複数の画像単位ドットD1のそれぞれのうちの一部は、媒体Mの上に配置されているのに対して、その複数の画像単位ドットD1のそれぞれのうちの残りの部分は、複数の画像単位ドットD2のそれぞれの上に配置されている。より具体的には、例えば、1個の画像単位ドットD2と1個の画像単位ドットD1とが互いに部分的に重ねられることにより複数の集合画像単位ドットD12が形成されており、その複数の集合画像単位ドットD12がX軸方向およびY軸方向のそれぞれにおいて間隔Pを隔てながら配列されている。この場合には、捺染トナー画像G1(複数の画像単位ドットD1)が領域R1に形成されていると共に、顔料トナー画像G2(複数の画像単位ドットD2)が領域R2に形成されている。
【0289】
この変形例2−3では、画像形成制御部71は、例えば、媒体Mに複数の画像単位ドットD2および複数の画像単位ドットD1がこの順に形成されるように、顔料トナー画像G2の形成動作および捺染トナー画像G1の形成動作を制御する。また、画像形成制御部71は、例えば、Z軸方向において複数の画像単位ドットD2のそれぞれの一部と複数の画像単位ドットD1のそれぞれの一部とが互いに重ねられるように、顔料トナー画像G2の形成動作および捺染トナー画像G1の形成動作を制御する。
【0290】
(変形例2−4)
図33Aは、顔料トナー画像G2および捺染トナー画像G1のそれぞれの平面構成(複数の画像単位ドットDに関する変形例2−4)を表しており、
図18Aおよび
図29Aに対応している。
図33Bは、
図33Aに示したA−A線に沿った顔料トナー画像G2および捺染トナー画像G1のそれぞれの断面構成を表しており、
図18Bおよび
図29Bに対応している。
【0291】
図33Aおよび
図33Bに示した変形例2−4では、例えば、媒体Mに顔料トナー画像G2(複数の画像単位ドットD2)が形成されたのち、その媒体Mに捺染トナー画像G1(複数の画像単位ドットD1)が形成されている。
【0292】
また、例えば、複数の画像単位ドットD2のそれぞれと複数の画像単位ドットD1のそれぞれとがX軸方向において互いに隣接されている。より具体的には、例えば、2個の画像単位ドットD2と2個の画像単位ドットD1とが互いに隣接されることにより複数の集合画像単位ドットD12が形成されており、その複数の集合画像単位ドットD12がX軸方向およびY軸方向のそれぞれにおいて間隔Pを隔てながら配列されている。この場合には、捺染トナー画像G1(複数の画像単位ドットD1)が領域R1に形成されていると共に、顔料トナー画像G2(複数の画像単位ドットD2)が領域R2に形成されている。
【0293】
この変形例2−4では、画像形成制御部71は、例えば、媒体Mに複数の画像単位ドットD2および複数の画像単位ドットD1がこの順に形成されるように、顔料トナー画像G2の形成動作および捺染トナー画像G1の形成動作を制御する。また、画像形成制御部71は、例えば、X軸方向において複数の画像単位ドットD2のそれぞれと複数の画像単位ドットD1のそれぞれとが互いに隣接されるように、顔料トナー画像G2の形成動作および捺染トナー画像G1の形成動作を制御する。
【0294】
[変形例3]
第1実施形態では、
図8Aおよび
図8Bに示したように、2本の画像単位線L1および2本の画像単位線L2により集合画像単位線L12が形成されるようにした。しかしながら、集合画像単位線L12に含まれる画像単位線L1の本数は、2本に限定されないため、3本以上でもよいと共に、集合画像単位線L12に含まれる画像単位線L2の本数は、2本に限定されないため、3本以上でもよい。画像単位線L1の本数と画像単位線L2の本数とは、互いに同じでもよいし、互いに異なってもよい。このことは、第2実施形態(
図18Aおよび
図18B)に関しても同様である。
【0295】
また、変形例1(変形例1−4)では、
図29Aおよび
図29Bに示したように、2個の画像単位ドットD1および2個の画像単位ドットD2により集合画像単位ドットD12が形成されるようにした。しかしながら、集合画像単位ドットD12に含まれる画像単位ドットD1の個数は、2個に限定されないため、3個以上でもよいと共に、集合画像単位ドットD12に含まれる画像単位ドットD2の個数は、2個に限定されないため、3個以上でもよい。画像単位ドットD1の個数と画像単位ドットD2の個数とは、互いに同じでもよいし、互いに異なってもよい。このことは、変形例2(変形例2−4である
図33Aおよび
図33B)に関しても同様である。
【0296】
これらの場合においても、上記した画像形成制御部71により形成動作が制御されながら媒体Mに画像G(顔料トナー画像G2および捺染トナー画像G1)が形成されることにより、同様の効果を得ることができる。
【0297】
[変形例4]
中間転写ベルト媒体41を用いて媒体Mに画像を形成する中間転写方式の画像形成装置に関して説明したが、その中間転写ベルト41を用いずに媒体Mに画像を形成する直接転写方式の画像形成装置でもよい。
【0298】
(変形例4−1)
具体的には、第1実施形態では、例えば、
図1に対応する
図34に示した直接転写方式の画像形成装置を用いてもよい。この直接転写方式の画像形成装置は、例えば、以下で説明することを除いて、中間転写方式の画像形成装置(
図1〜
図3)と同様の構成を有している。
【0299】
第1に、画像形成装置は、転写ユニット40の代わりに、5個の1次転写ローラ45(45Y,45C,45SY,45SM,45SC)に対応する5個の転写ローラ48(48Y,48C,48SY,48SM,48SC)を備えている。第2に、現像ユニット30(30Y,30C,30SY,30SM,30SC)および転写ローラ48(48Y,48C,48SY,48SM,48SC)は、搬送経路R1に沿うように配列されている。第3に、現像ユニット30Y,30C,30SY,30SM,30SCおよび転写ローラ48Y,48C,48SY,48SM,48SCは、例えば、搬送経路R1における媒体Mの搬送方向において上流側から下流側に向かってこの順に配置されている。
【0300】
直接転写方式の画像形成装置の動作は、例えば、1次転写処理および2次転写処理の代わりに転写処理を行うことを除いて、中間転写方式の画像形成装置の動作と同様である。この転写処理の内容は、1次転写処理の内容と同様である。すなわち、転写処理では、現像処理において静電潜像に付着された顔料トナーおよび捺染トナーのそれぞれが媒体Mに転写される。
【0301】
ここで、画像形成ユニット30SY,30SM,30SC、転写ローラ48SY,48SM,48SCおよび定着ユニット50は、本発明の一実施形態の「第1画像形成部」である。また、画像形成ユニット30Y,30C、転写ローラ48Y,48Cおよび定着ユニット50は、本発明の一実施形態の「第2画像形成部」である。
【0302】
この直接転写方式の画像形成装置においても、例えば、現像ユニット30Y,30Cが顔料トナーを用いて顔料トナー像Z2を形成したのち、現像ユニット30SY,30SM,30SCが捺染トナーを用いて捺染トナー像Z1を形成することにより、捺染トナー画像G1および顔料トナー画像G2を含む画像Gが媒体Mに形成される。よって、中間転写方式の画像形成装置(第1実施形態)に関して説明した場合と同様の理由により、媒体Mに形成された画像Gを布地などの他媒体Lに転写させた際に、その他媒体Lに高品質な画像Iを形成することができる。
【0303】
直接転写方式の画像形成装置に関する他の作用および効果は、中間転写方式の画像形成装置に関する他の作用および効果と同様である。
【0304】
(変形例4−2)
具体的には、第2実施形態では、例えば、
図1に対応する
図35に示した直接転写方式の画像形成装置を用いてもよい。この直接転写方式の画像形成装置は、例えば、現像ユニット30SY,30SM,30SC,30Y,30Cが搬送経路R1における媒体Mの搬送方向において上流側から下流側に向かってこの順に配置されていることを除いて、上記した変形例3−1において説明した直接転写方式の画像形成装置(
図34)と同様の構成を有している。
【0305】
直接転写方式の画像形成装置の動作は、例えば、捺染トナー像Z1および顔料トナー像Z2の形成順序が異なることを除いて、変形例4−1において説明した直接転写方式の画像形成装置の動作と同様である。具体的には、例えば、現像ユニット30SY,30SM,30SCが捺染トナーを用いて捺染トナー像Z1を形成したのち、現像ユニット30Y,30Cが顔料トナーを用いて顔料トナー像Z2を形成することにより、顔料トナー画像G2および捺染トナー画像G1を含む画像Gが媒体Mに形成される。よって、中間転写方式の画像形成装置(第2実施形態)に関して説明した場合と同様の理由により、媒体Mに形成された画像Gを布地などの他媒体Lに転写させた際に、その他媒体Lに高品質な画像Iを形成することができる。
【0306】
[変形例5]
3種類の捺染トナー(捺染イエロートナー、捺染マゼンタトナーおよび捺染シアントナー)および2種類の顔料トナー(顔料イエロートナーおよび顔料シアントナー)を用いることにより、合計で5種類のトナーを用いた。しかしながら、トナーの種類、すなわち捺染トナーの種類および顔料トナーの種類のそれぞれは、特に限定されないため、任意に変更可能である。
【0307】
具体的には、例えば、3種類の捺染トナー(捺染イエロートナー、捺染マゼンタトナーおよび捺染シアントナー)および3種類の顔料トナー(顔料イエロートナー、顔料マゼンタトナーおよび顔料シアントナー)を用いることにより、合計で6種類のトナーを用いてもよい。この顔料マゼンタトナーは、例えば、着色剤としてイエロー顔料に代えてマゼンタ顔料を含んでいることを除いて、顔料イエロートナーと同様の構成を有している。マゼンタ顔料は、例えば、キナクリドンなどである。
【0308】
この場合には、例えば、顔料マゼンタトナーを用いて現像処理を行う現像ユニット30Mを画像形成装置に追加すればよい。具体的には、第1実施形態(
図1参照)では、例えば、現像ユニット30Y,30M,30C,30SY,30SM,30SCが中間転写ベルト41の移動方向(矢印F5)において上流側から下流側に向かってこの順に配置される。第2実施形態(
図14参照)では、例えば、現像ユニット30SY,30SM,30SC,30Y,30M,30Cが中間転写ベルト41の移動方向(矢印F5)において上流側から下流側に向かってこの順に配置される。変形例4−1(
図34参照)では、例えば、現像ユニット30Y,30M,30C,30SY,30SM,30SCが搬送経路R1における媒体Mの搬送方向において上流側から下流側に向かってこの順に配置される。変形例4−2(
図35参照)では、例えば、現像ユニット30SY,30SM,30SC,30Y,30M,30Cが搬送経路R1における媒体Mの搬送方向において上流側から下流側に向かってこの順に配置される。
【0309】
また、例えば、3種類の捺染トナー(捺染イエロートナー、捺染マゼンタトナーおよび捺染シアントナー)および4種類の顔料トナー(顔料イエロートナー、顔料マゼンタトナー、顔料シアントナーおよび顔料ブラックトナー)を用いることにより、合計で7種類のトナーを用いてもよい。この顔料ブラックトナーは、例えば、着色剤としてイエロー顔料に代えてブラック顔料を含んでいることを除いて、顔料イエロートナーと同様の構成を有している。ブラック顔料は、例えば、カーボンなどである。
【0310】
この場合には、例えば、顔料マゼンタトナーを用いて現像処理を行う現像ユニット30Mと、顔料ブラックトナーを用いて現像処理を行う現像ユニット30Kとを画像形成装置に追加すればよい。具体的には、第1実施形態(
図1参照)では、例えば、現像ユニット30Y,30M,30C,30K,30SY,30SM,30SCが中間転写ベルト41の移動方向(矢印F5)において上流側から下流側に向かってこの順に配置される。第2実施形態(
図14参照)では、例えば、現像ユニット30SY,30SM,30SC,30Y,30M,30C,30Kが中間転写ベルト41の移動方向(矢印F5)において上流側から下流側に向かってこの順に配置される。変形例4−1(
図34参照)では、例えば、現像ユニット30Y,30M,30C,30K,30SY,30SM,30SCが搬送経路R1における媒体Mの搬送方向において上流側から下流側に向かってこの順に配置される。変形例4−2(
図35参照)では、例えば、現像ユニット30SY,30SM,30SC,30Y,30M,30C,30Kが搬送経路R1における媒体Mの搬送方向において上流側から下流側に向かってこの順に配置される。
【0311】
これらの場合においても、上記した画像形成制御部71により形成動作が制御されながら媒体Mに画像G(捺染トナー画像G1および顔料トナー画像G2)が形成されることにより、同様の効果を得ることができる。
【実施例】
【0312】
本発明の実施例に関して、詳細に説明する。
【0313】
(実験例1−1〜1−15)
以下の手順により、画像形成装置を用いて媒体Mに画像Gを形成したのち、その画像の性能を評価した。
【0314】
[画像形成装置などの準備]
最初に、画像形成装置、トナーおよび媒体Mを準備した。画像形成装置としては、株式会社沖データ製のカラープリンタ MICROLINE VINCI C941dnを用いた。媒体Mとしては、株式会社沖データ製のA4プリンタ用紙(エクセレントホワイト,サイズ=297mm×210mm)を用いた。
【0315】
(トナーの種類および組成)
トナーとしては、3種類の顔料トナー(顔料イエロートナー、顔料マゼンタトナーおよび顔料シアントナー)および3種類の捺染トナー(捺染イエロートナー、捺染マゼンタトナーおよび捺染シアントナー)を用いることにより、合計で6種類のトナーを用いた。
【0316】
顔料イエロートナーの組成は、以下の通りである。
イエロー顔料:ピグメントイエロー74 5質量部
結着剤:非晶質ポリエステル 100質量部
離型剤:パラフィンワックス(日本精・株式会社製のSP−0145,融点=62℃) 4質量部
帯電制御剤:ボントロンP−51(オリエント化学工業株式会社製) 1質量部
外添剤:複合酸化物粒子(日本アエロジル株式会社製のSTX801,平均一次粒子径=18nm) トナー母粒子100質量部に対して1質量部
コロイダルシリカ(信越化学工業株式会社製のゾルゲルシリカ X−24−9163A,平均一次粒子径=100nm) トナー母粒子100質量部に対して1質量部
シリカ粉末(日本アエロジル株式会社製のVPRY40S,平均一次粒子径=80nm) トナー母粒子100質量部に対して1質量部
シリカ粉末(日本アエロジル株式会社製のRY50,平均一次粒子径=40nm) トナー母粒子100質量部に対して1.5質量部
【0317】
顔料マゼンタトナーの組成は、以下の通りである。
マゼンタ顔料:キナクリドン 5質量部
結着剤:非晶質ポリエステル 100質量部
離型剤:パラフィンワックス(日本精・株式会社製のSP−0145,融点=62℃) 4質量部
帯電制御剤:ボントロンP−51(オリエント化学工業株式会社製) 1質量部
外添剤:複合酸化物粒子(日本アエロジル株式会社製のSTX801,平均一次粒子径=18nm) トナー母粒子100質量部に対して1質量部
コロイダルシリカ(信越化学工業株式会社製のゾルゲルシリカ X−24−9163A,平均一次粒子径=100nm) トナー母粒子100質量部に対して1質量部
シリカ粉末(日本アエロジル株式会社製のVPRY40S,平均一次粒子径=80nm) トナー母粒子100質量部に対して1質量部
シリカ粉末(日本アエロジル株式会社製のRY50,平均一次粒子径=40nm) トナー母粒子100質量部に対して1.5質量部
【0318】
顔料シアントナーの組成は、以下の通りである。
シアン顔料:フタロシアニンブルー(C.I.Pigment Blue 15:3) 5質量部
結着剤:非晶質ポリエステル 100質量部
離型剤:パラフィンワックス(日本精・株式会社製のSP−0145,融点=62℃) 4質量部
帯電制御剤:ボントロンP−51(オリエント化学工業株式会社製) 1質量部
外添剤:複合酸化物粒子(日本アエロジル株式会社製のSTX801,平均一次粒子径=18nm) トナー母粒子100質量部に対して1質量部
コロイダルシリカ(信越化学工業株式会社製のゾルゲルシリカ X−24−9163A,平均一次粒子径=100nm) トナー母粒子100質量部に対して1質量部
シリカ粉末(日本アエロジル株式会社製のVPRY40S,平均一次粒子径=80nm) トナー母粒子100質量部に対して1質量部
シリカ粉末(日本アエロジル株式会社製のRY50,平均一次粒子径=40nm) トナー母粒子100質量部に対して1.5質量部
【0319】
捺染イエロートナーの組成は、以下の通りである。
捺染イエロー染料:C.L Reactive Yellow2 5質量部
結着剤:非晶質ポリエステル 100質量部
帯電制御剤:ボントロンP−51(オリエント化学工業株式会社製) 1質量部
外添剤:疎水性シリカ微粉末(日本アエロジル株式会社製のR972,平均一次粒子径=16nm) トナー母粒子100質量部に対して3質量部
【0320】
捺染マゼンタトナーの組成は、以下の通りである。
捺染マゼンタ染料:C.L Reactive Red3 5質量部
結着剤:非晶質ポリエステル 100質量部
帯電制御剤:ボントロンP−51(オリエント化学工業株式会社製) 1質量部
外添剤:疎水性シリカ微粉末(日本アエロジル株式会社製のR972,平均一次粒子径=16nm) トナー母粒子100質量部に対して3質量部
【0321】
捺染シアントナーの組成は、以下の通りである。
捺染シアン染料:C.L Disperde Blue60 5質量部
結着剤:非晶質ポリエステル 100質量部
帯電制御剤:ボントロンP−51(オリエント化学工業株式会社製) 1質量部
外添剤:疎水性シリカ微粉末(日本アエロジル株式会社製のR972,平均一次粒子径=16nm) トナー母粒子100質量部に対して3質量部
【0322】
(トナーの製造方法)
顔料トナー(顔料イエロートナー、顔料マゼンタトナーおよび顔料シアントナー)を得るために、溶解懸濁法を用いて顔料トナーを製造した。
【0323】
具体的には、最初に、連続相を調製した。この場合には、まず、水性溶媒(純水)329676重量部に懸濁安定剤(工業用リン酸三ナトリウム十二水和物)11024重量部を混合したのち、その混合物(温度=60℃)を撹拌した。これにより、懸濁安定剤が溶解されたため、第1水溶液が得られた。こののち、第1水溶液にpH調整用の希硝酸を添加した。続いて、水性溶媒(純水)43234重量部に懸濁安定剤(工業用塩化カルシウム無水物)5319重量部を混合したのち、その混合物を撹拌した。これにより、懸濁安定剤が溶解されたため、第2水溶液が得られた。続いて、第1水溶液と第2水溶液とを混合したのち、撹拌装置(プライミクス株式会社製のラインミル)を用いて混合物(温度=60℃)を撹拌(回転数=3566回転/分,撹拌時間=50分間)した。これにより、連続相が得られた。
【0324】
次に、分散相を調製した。この場合には、まず、有機溶剤(酢酸エチル,温度=50℃)を準備した。続いて、有機溶剤76565重量部に、着色剤(イエロー顔料、マゼンタ顔料またはシアン顔料)と、離型剤1086重量部と、蛍光増白剤28重量物とをこの順に混合したのち、その混合物を撹拌した。続いて、混合物に結着剤13361重量部を混合したのち、その混合物を固形物が消失するまで撹拌した。これにより、分散相が得られた。なお、着色剤の混合比は、顔料イエロートナー、顔料マゼンタトナーおよび顔料シアントナーのそれぞれの組成が上記した組成となるように調整した。
【0325】
次に、連続相および分散相を用いて造粒することにより、トナー母粒子を形成した。この場合には、連続相と分散相とを混合したのち、上記した撹拌装置を用いて混合物(温度=55℃)を撹拌(回転数=2000回転/分,撹拌時間=50分間)した。これにより、混合物が懸濁すると共に造粒されたため、その造粒物を含むスラリー溶液が得られた。続いて、スラリー溶液を減圧蒸留することにより、そのスラリー溶液中に含まれている有機溶剤(酢酸エチル)を揮発除去した。続いて、スラリー溶液にpH調整剤(硝酸)を添加することにより、pHを1.5となるように調整したのち、そのスラリー溶液を濾過することにより、懸濁安定剤を溶解除去した。続いて、スラリー溶液中に含まれている造粒物を脱水したのち、その造粒物を水性溶媒(純水)中に再分散させた。続いて、水性溶媒(純水)を用いて造粒物を洗浄したのち、その造粒物を濾過した。続いて、造粒物を脱水乾燥させたのち、その造粒物を分級した。これにより、トナー母粒子が得られた。
【0326】
最後に、トナー母粒子に外添処理を施すことにより、被染色トナーを製造した。この場合には、トナー母粒子に外添剤を混合したのち、撹拌装置(日本コークス工業株式会社製のヘンシェルミキサ)を用いて混合物を撹拌(回転数=5400回転/分,撹拌時間=10分間)した。これにより、被染色トナーが得られた。
【0327】
また、捺染トナー(捺染イエロートナー、捺染マゼンタトナーおよび捺染シアントナー)を得るために、粉砕法を用いて捺染トナーを製造した。
【0328】
具体的には、最初に、捺染染料(イエロー捺染染料、マゼンタ捺染染料またはシアン捺染染料)と、結着剤と、帯電制御剤とを混合することにより、混合物を得た。続いて、ヘンシェルミキサを用いて混合物を撹拌したのち、二軸押出機を用いて混合物を溶融混練することにより、混練物を得た。こののち、混練物を冷却した。続いて、スクリーン(直径=2mm)を備えたカッターミルを用いて混練物を粉砕したのち、さらに衝突版式粉砕機(日本ニューマチック工業株式会社製のディスパージョンセパレータ)を用いて混練物を粉砕することにより、粉砕物を得た。続いて、風力分級機を用いて粉砕物を分級することにより、トナー母粒子を得た。最後に、トナー母粒子に外添剤を混合したのち、ヘンシェルミキサを用いて混合物を撹拌(撹拌時間=3分間)した。これにより、捺染トナーが得られた。なお、捺染染料の混合比は、捺染イエロートナー、捺染マゼンタトナーおよび捺染シアントナーのそれぞれの組成が上記した組成となるように調整した。
【0329】
(トナーの物性)
示差走査熱量計(DSC)を用いて、上記した6種類のトナーの熱的物性(吸熱特性)を調べたところ、表1に示した結果が得られた。この場合には、示差走査熱量計として株式会社日立ハイテクサイエンス製のDSC6220を用いた。
【0330】
熱的物性の測定時における吸熱曲線の測定条件(示差走査熱量計の温度プログラムパターン)は、以下の通りである。1回目昇温時には、20℃で10分間に渡って各トナーを放置し、10℃/分の昇温速度で200℃まで各トナーを加熱し、200℃で5分間に渡って各トナーを放置したのち、90℃/分の降温速度で0℃まで各トナーを冷却し、0℃で5分間に渡って各トナーを放置した。2回目の昇温時には、60℃/分の昇温速度で20℃まで各トナーを加熱し、20℃で10分間に渡って各トナーを放置したのち、10℃/分の昇温速度で200℃まで各トナーを加熱した。
【0331】
表1では、各トナーの熱的物性として、1回目昇温時における各トナーのガラス転移温度Tg 1st(℃)と、2回目昇温時における各トナーのガラス転移温度Tg 2nd(℃)と、離型剤(ワックス)の吸熱量(mJ/mg)とを示している。
【0332】
表1において、「Y,M,C」は、顔料トナーの種類(色)、すなわちイエロー(Y)、マゼンタ(M)およびシアン(C)を表していると共に、「SY,SM,SC」は、捺染トナーの種類(色)、すなわちイエロー(SY)、マゼンタ(SM)およびシアン(SC)を表している。これらのトナーの色に関する表記内容は、後述する表2においても同様である。
【0333】
【表1】
【0334】
表1に示したように、顔料トナーの熱的物性と捺染トナーの熱的物性とを比較すると、離型剤の有無に応じて大きな差違が生じた。
【0335】
具体的には、離型剤を含んでいる顔料トナー(顔料イエロートナー、顔料マゼンタトナーおよび顔料シアントナー)では、種類(色)に依存せずに、大きな吸熱量が得られた。これに対して、離型剤を含んでいない捺染トナー(捺染イエロートナー、捺染マゼンタトナーおよび捺染シアントナー)では、上記した離型剤を含んでいる被染色トナーと比較して、種類(色)に依存せずに、吸熱量が著しく減少した。
【0336】
[画像の形成]
次に、上記した画像形成装置を用いて、その媒体Mに画像Gを形成した。この場合には、画像Gの構成が以下で説明する5種類の構成(構成A〜構成E)となるようにした。なお、画像Gの形成時の環境条件は、温度=22℃および湿度=55%とした。画像Gの形成条件は、画像形成速度(感光体ドラムの最外周の線速度)=58.7mm/分、媒体Mの進行方向=長手方向とした。
【0337】
(構成A)
実験例1−1〜1−3では、上記した第1実施形態において説明したように、色(イエロー、マゼンタおよびシアン)ごとに、捺染トナー画像G1および顔料トナー画像G2をこの順に形成した(
図11参照)。この場合には、捺染トナー画像G1および顔料トナー画像G2のそれぞれを形成するために複数の画像単位線L1,L2を用いると共に、複数の画像単位線L1のそれぞれの全体と複数の画像単位線L2のそれぞれの全体とが互いに重ねられるようにした(
図5Aおよび
図5B参照)。また、捺染トナー画像G1および顔料トナー画像G2のそれぞれの画像パターンを矩形(長方形)のベタ画像とすると共に、印字率を100%とした。
【0338】
なお、捺染イエロートナーを用いて形成された捺染トナー画像G1の形成量は0.40mg/cm
2 、捺染マゼンタトナーを用いて形成された捺染トナー画像G1の形成量は0.41mg/cm
2 、捺染シアントナーを用いて形成された捺染トナー画像G1の形成量は0.51mg/cm
2 とした。
【0339】
また、顔料イエロートナーを用いて形成された顔料トナー画像G2の形成量は0.38mg/cm
2 、顔料マゼンタトナーを用いて形成された顔料トナー画像G2の形成量は0.49mg/cm
2 、顔料シアントナーを用いて形成された顔料トナー画像G2の形成量は0.41mg/cm
2 とした。
【0340】
上記した捺染トナー画像G1および顔料トナー画像G2のそれぞれの形成量は、後述する構成B〜構成Eにおいても同様である。
【0341】
(構成B)
実験例1−4〜1−6では、上記した第2実施形態において説明したように、顔料トナー画像G2および捺染トナー画像G1をこの順に形成したことを除いて、実験例1−1〜1−3と同様の手順により、画像Gを形成した(
図15A、
図15Bおよび
図21参照)。
【0342】
(構成C)
実験例1−7〜1−9では、比較のために、画像Gとして捺染トナー画像G1だけを形成したことを除いて、実験例1−1〜1−3と同様の手順により、画像Gを形成した(
図12参照)。
【0343】
(構成D)
実験例1−10〜1−12では、比較のために、画像Gとして顔料トナー画像G2だけを形成したことを除いて、実験例1−1〜1−3と同様の手順により、画像Gを形成した(
図13参照)。
【0344】
(構成E)
実験例1−13〜1−15では、比較のために、印字率を200%に変更したことを除いて、実験例1−7〜1−9と同様の手順により、画像Gを形成した(
図12参照)。
【0345】
なお、捺染イエロートナーを用いて形成された捺染トナー画像G1の形成量は0.80mg/cm
2 、捺染マゼンタトナーを用いて形成された捺染トナー画像G1の形成量は0.82mg/cm
2 、捺染シアントナーを用いて形成された捺染トナー画像G1の形成量は1.02mg/cm
2 とした。
【0346】
[画像の性能評価]
次に、上記した手順にしたがってアイロンプリントを行うことにより、媒体Mに形成された画像Gの性能を評価した。この場合には、以下の手順により、画像Gの性能を評価するための指標として画像Iに関する初期濃度、残存率(%)および画質を調べたところ、表2に示した結果が得られた。
【0347】
表2において、「構成」は、上記した画像Gの構成(構成A〜構成E)を表していると共に、「色」は、画像Gを形成するために用いたトナーの種類(色)を表している。
【0348】
(初期濃度)
初期濃度を調べるためには、最初に、画像Gが形成された媒体Mを用いて、アイロンプリント(Tシャツプリント)を行った。この場合には、
図22〜
図25を参照しながら説明したように、他媒体Lに媒体Mを密着させたのち、その媒体Mに加熱源を押し当てた。これにより、画像Gに対応する画像Iが他媒体Lに形成された。
【0349】
他媒体Lとしては、ポリエステル100%の布地(Tシャツ)を用いた。加熱源としては、MagicTouch社製の熱プレス機 Model HTP234PS1を用いた。加熱源の温度は200℃、他媒体Lに対する加熱源の押し当て時間は120秒間とした。
【0350】
続いて、他媒体Lに形成された画像Iの濃度(初期濃度)を測定した。ここで説明する「初期濃度」とは、後述する耐候性試験を行う前の濃度である。
【0351】
図36は、濃度の測定位置を説明するために、画像Iが形成された他媒体Lの平面構成を表している。
図36では、画像Iの形成範囲に網掛けを施している。
【0352】
図36において、仮想線S1は、短手方向において画像Iを二等分する線であると共に、仮想線S2は、長手方向において画像Iを二等分する線である。また、位置P1〜P9は、濃度の測定位置を表している。位置P1,P3,P7,P9のそれぞれは、画像Iの四隅の位置である。位置P2,P8のそれぞれは、画像Iのうちの短手方向に延在する2つの端縁E1と仮想線S1とが互いに交わる位置である。位置P4,P6のそれぞれは、画像Iのうちの長手方向に延在する2つの端縁E2と仮想線S2とが互いに交わる位置である。位置P5は、仮想線S1,S2が互いに交わる位置である。
【0353】
初期濃度を測定する場合には、位置P1〜P9において9個の濃度を測定したのち、その9個の濃度の平均値を算出した。濃度測定機器としては、X−rite社製の分光濃度計を用いた。
【0354】
(残存率)
残存率を調べるためには、最初に、初期濃度が測定された画像I(他媒体L)を用いて耐候性試験を行った。この耐候性試験では、耐候性試験機として、株式会社東洋精機製作所製のキセノン耐候性試験機 Ci4000型を用いた。また、キセノンランプを用いた試験光(紫外線)の照射条件は、照度を55000ルクス、照射時間を700時間とした。
【0355】
続いて、耐候性試験が完了したのち、上記した手順により、画像Iの濃度(試験後濃度)を再び測定した。すなわち、
図36に示した位置P1〜P9において9個の濃度を測定したのち、その9個の濃度の平均値を算出した。
【0356】
最後に、上記した初期濃度および試験後濃度の算出結果に基づいて、残存率(%)を算出した。この残存率は、残存率(%)=(試験後濃度/初期濃度)×100により算出された。
【0357】
(画質)
画像Iの画質を調べるためには、他媒体Lに画像Iを形成したのち、その画像Iの品質を目視で判定した。この場合には、色再現性が不十分であると共に輪郭が不鮮明である場合を「不良」と判定すると共に、色再現性が十分であると共に輪郭が鮮明である場合を「良好」と判定した。
【0358】
【表2】
【0359】
[考察]
表2に示したように、初期濃度、残存率および画質のそれぞれは、媒体Mに形成された画像Gの構成に応じて大きく変動した。
【0360】
具体的には、画像Gが捺染トナー画像G1だけにより形成されている場合(構成Cが適用された実験例1−7〜1−9)には、初期濃度が高くなると共に画質も良好であったが、残存率が低くなった。
【0361】
また、画像Gが顔料トナー画像G2だけにより形成されている場合(構成Dが適用された実験例1−10〜1−12)には、初期濃度が著しく低くなると共に画質も不良であった。この場合には、初期濃度が極端に低すぎるため、耐候性試験を行わなかった。すなわち、残存率を調べなかった。
【0362】
これに対して、画像Gが捺染トナー画像G1および顔料トナー画像G2により形成されており、捺染トナー画像G1および顔料トナー画像G2がこの順に形成されている場合(構成Aが適用された実験例1−1〜1−3)には、上記した画像Gが捺染トナー画像G1だけにより形成されている場合(実験例1−7〜1−9)と比較して、初期濃度がほぼ同等であると共に同等の画質が得られた上、残存率が高くなった。
【0363】
この傾向は、画像Gが顔料トナー画像G2および捺染トナー画像G1により形成されており、顔料トナー画像G2および捺染トナー画像G1がこの順に形成されている場合(構成Bが適用された実験例1−4〜1−6)においても、同様に得られた。
【0364】
なお、参考までに、画像Gが捺染トナー画像G1だけにより形成されているが、印字率を2倍に設定した場合(構成Eが適用された実験例1−13〜1−15)には、画像Gが捺染トナー画像G1および顔料トナーG2により形成されている場合(実験例1−1〜1−6)と比較して、初期濃度が高くなると共に同等の画質が得られたが、残存率が低くなった。この結果から、印字率を2倍に設定すると、初期濃度が高くなる反面、耐候性試験の試験時間(試験光の照射時間)を長くすると、残存率が低下しやすくなることが予想される。
【0365】
これらのことから、捺染トナー画像G1が形成される領域(領域R1または領域R2)に顔料トナー画像G2が形成されるように、捺染トナー画像G1の形成動作および顔料トナー画像G2の形成動作を制御することにより、媒体Mに形成された画像Gを布地などの他媒体Lに転写させた際に、良好な画質を担保しながら、高い初期濃度および高い残存率が得られた。よって、他媒体Lに高品質な画像Iが形成された。
【0366】
以上、一実施形態を挙げながら本発明に関して説明したが、その本発明の態様は一実施形態において説明した態様に限定されず、種々の変形が可能である。
【0367】
具体的には、例えば、本発明の一実施形態の画像形成装置は、プリンタに限られず、複写機、ファクシミリおよび複合機などでもよい。