特許第6972988号(P6972988)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6972988未加硫ゴム帯状体の切断方法および切断装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6972988
(24)【登録日】2021年11月8日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】未加硫ゴム帯状体の切断方法および切断装置
(51)【国際特許分類】
   B26D 3/00 20060101AFI20211111BHJP
   B26D 7/10 20060101ALI20211111BHJP
   B26D 1/04 20060101ALI20211111BHJP
   B26D 7/02 20060101ALI20211111BHJP
   B26D 3/02 20060101ALI20211111BHJP
【FI】
   B26D3/00 601E
   B26D7/10
   B26D1/04 Z
   B26D7/02 B
   B26D3/02
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-233377(P2017-233377)
(22)【出願日】2017年12月5日
(65)【公開番号】特開2019-98476(P2019-98476A)
(43)【公開日】2019年6月24日
【審査請求日】2020年12月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】占部 幸治
(72)【発明者】
【氏名】高田 朋幸
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 悠史
【審査官】 石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−202550(JP,A)
【文献】 特開昭58−163639(JP,A)
【文献】 特開昭62−152694(JP,A)
【文献】 特開平9−85677(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/188114(US,A1)
【文献】 独国特許発明第102012007198(DE,B3)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 3/00
B26D 7/10
B26D 1/04
B26D 7/02
B26D 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
未加硫ゴム帯状体をカッターの直線状に延在する刃先により切断する未加硫ゴム帯状体の切断方法であって、
前記未加硫ゴム帯状体の長手方向と交差する方向に延在するカッター挿通溝を有する第1挟持板と、
前記刃先と同等な硬度の表面を有する接触板が、前記カッター挿通溝と同じ延在方向に延在して配置された第2挟持板と、
前記カッターにより前記未加硫ゴム帯状体を切断する箇所と離れた箇所に、前記カッターの刃先の長手方向の先端から切断時に使用する前記刃先の全長部分を加熱する加熱部とを設け、
前記カッターを前記加熱部で加熱し、
前記第1挟持板と前記第2挟持板により前記未加硫ゴム帯状体をその厚さ方向の両面から挟持し、
前記加熱された前記カッターを前記加熱部から離し、前記カッターを、前記刃先の長手方向の先端から離れるにつれて前記刃先が進行方向の前方に位置するように前記刃先を傾けた切断用姿勢とし、
前記加熱部で加熱され余熱を持った前記カッターの刃先の長手方向の先端を前記接触板の表面に接触させつつ、前記カッター挿通溝内で前記カッター挿通溝の延在方向に沿って前記カッターを直線移動させることで前記未加硫ゴム帯状体を切断する、
ことを特徴とする未加硫ゴム製の未加硫ゴム帯状体の切断方法。
【請求項2】
前記切断用姿勢のカッターを、前記カッターの移動方向の前方から見ると、前記刃先の長手方向は、前記挟持部で挟持された前記未加硫ゴム帯状体の厚さ方向の中心を通り前記未加硫ゴム帯状体の長手方向に延在する中心線に対して鋭角をもって交差している、
ことを特徴とする請求項1記載の未加硫ゴム製の未加硫ゴム帯状体の切断方法。
【請求項3】
前記接触板の表面と前記第2挟持板の表面とは同一面上に位置している、
ことを特徴とする請求項1または2記載の未加硫ゴム製の未加硫ゴム帯状体の切断方法。
【請求項4】
未加硫ゴム帯状体をその長手方向と交差する方向にカッターの直線状に延在する刃先により切断する切断装置であって、
前記未加硫ゴム帯状体の長手方向と交差する方向に延在するカッター挿通溝を有する第1挟持板と、前記刃先と同等な硬度の表面を有する接触板が前記カッター挿通溝と同じ延在方向に延在して配置された第2挟持板とで前記未加硫ゴム帯状体の厚さ方向の両面から前記未加硫ゴム帯状体の挟持を可能とした挟持部と、
前記挟持部と離れた箇所で前記カッターの前記刃先の長手方向の先端から切断時に使用する前記刃先の全長部分を加熱する加熱部と、
前記未加硫ゴム帯状体の厚さ方向に対して前記刃先の長手方向の先端から離れるにつれて前記刃先が進行方向の前方に位置するように傾けた切断用姿勢で、前記加熱部と前記挟持部との間で前記カッター挿通溝の延在方向の延長線上で前記カッターを移動させ、前記挟持部において前記挟持部で挟持された未加硫ゴム帯状体を、前記刃先の長手方向の先端を前記接触板に接触させつつ、前記カッター挿通溝内で前記カッター挿通溝の延在方向に沿って前記カッターを直線移動させることで切断する切断部と、
を備えることを特徴とする未加硫ゴム帯状体の切断装置。
【請求項5】
前記切断用姿勢のカッターを、前記カッターの移動方向の前方から見ると、前記刃先の長手方向は、前記挟持部で挟持された前記未加硫ゴム帯状体の厚さ方向の中心を通り前記未加硫ゴム帯状体の長手方向に延在する中心線に対して鋭角をもって交差している、
ことを特徴とする請求項4記載の未加硫ゴム帯状体の切断装置。
【請求項6】
前記接触板の表面と前記第2挟持板の表面とは同一面上に位置している、
ことを特徴とする請求項4または5記載の未加硫ゴム製の未加硫ゴム帯状体の切断装置。
【請求項7】
前記第1挟持板は、前記切断装置のフレームに移動不能に固定されて配置され、
前記挟持部は、前記第2挟持板を前記第1挟持板と協働して前記未加硫ゴム帯状体を挟持する挟持位置と、前記挟持位置から離れた退避位置との間で移動させる挟持用アクチュエータを含んで構成されている、
ことを特徴とする請求項4〜6の何れか1項記載の未加硫ゴム帯状体の切断装置。
【請求項8】
前記カッターは前記挟持部で挟まれた未加硫ゴム帯状体の幅方向の一方の端部から他方の端部を前記刃先が通過した箇所で切断完了位置となり、
前記切断部は、前記切断用姿勢のカッターを前記加熱部と前記切断完了位置との間で往復直線移動させるカッター移動用アクチュエータと、前記加熱用位置で前記切断用姿勢と、前記加熱部で加熱される加熱用姿勢との間で前記カッターを揺動させる揺動用アクチュエータとを含んで構成されている、
ことを特徴とする請求項4〜7の何れか1項記載の未加硫ゴム帯状体の切断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、未加硫ゴム帯状体の切断方法および切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、成型ドラムの円筒部に複数の未加硫ゴム帯状体を巻き付けてゴム製品を製造する方法が知られている。
この場合、所定長さを有する未加硫ゴム帯状体を複数用意する必要がある。
そこで従来では、原反から巻き出された未加硫ゴム帯状体を、作業台の上面に延在させた状態でカッターを用いて手作業で未加硫ゴム帯状体の長手方向と交差する方向に切断することで複数の所定長さの未加硫ゴム帯状体を得るようにしており、切断作業の作業効率の効率化が求められていた。
そこで、未加硫ゴム帯状体の切断に際し、2つのカッターを切断すべき箇所の延在方向に沿って密接して並べた状態で未加硫ゴム帯状体の幅方向の中央に突き刺し、それらカッターを未加硫ゴム帯状体の幅方向の中央から幅方向の両端に向けて切断すべき箇所の延在方向に沿って移動させる技術が提案されている(特許文献1参照)。
この特許文献1によれば、未加硫ゴム帯状体を切断するに要する時間を短縮でき、未加硫ゴム製の未加硫ゴム帯状体の切断作業の効率化を図る上で有利となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−202550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、作業効率の向上を図る上で有利となるが、未加硫ゴム帯状体が有する強い粘着性に起因し、切断された切断面に変形が生じる場合があり、切断面の変形を抑制する上で改善の余地がある。
これは、例えば、成型ドラムの円筒部に複数の帯状部材を巻き付けてゴム製品を製造する場合、切断された帯状部材の切断面同士を重ね合わせることから、切断面の形状はなるべく平坦で変形していないことが好ましいからである。
本発明は前記事情に鑑み案出されたものであり、その目的は、未加硫ゴム製の帯状部材を切断した際の切断面の変形を抑制し、平坦な切断面を得る上で有利な未加硫ゴム製の帯状部材の切断方法および切断装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために本発明は、未加硫ゴム帯状体をカッターの直線状に延在する刃先により切断する未加硫ゴム帯状体の切断方法であって、前記未加硫ゴム帯状体の長手方向と交差する方向に延在するカッター挿通溝を有する第1挟持板と、前記刃先と同等な硬度の表面を有する接触板が、前記カッター挿通溝と同じ延在方向に延在して配置された第2挟持板と、前記カッターにより前記未加硫ゴム帯状体を切断する箇所と離れた箇所に、前記カッターの刃先の長手方向の先端から切断時に使用する前記刃先の全長部分を加熱する加熱部とを設け、前記カッターを前記加熱部で加熱し、前記第1挟持板と前記第2挟持板により前記未加硫ゴム帯状体をその厚さ方向の両面から挟持し、前記加熱された前記カッターを前記加熱部から離し、前記カッターを、前記刃先の長手方向の先端から離れるにつれて前記刃先が進行方向の前方に位置するように前記刃先を傾けた切断用姿勢とし、前記加熱部で加熱され余熱を持った前記カッターの刃先の長手方向の先端を前記接触板の表面に接触させつつ、前記カッター挿通溝内で前記カッター挿通溝の延在方向に沿って前記カッターを直線移動させることで前記未加硫ゴム帯状体を切断することを特徴とする。
また、本発明は、未加硫ゴム帯状体をその長手方向と交差する方向にカッターの直線状に延在する刃先により切断する切断装置であって、前記未加硫ゴム帯状体の長手方向と交差する方向に延在するカッター挿通溝を有する第1挟持板と、前記刃先と同等な硬度の表面を有する接触板が前記カッター挿通溝と同じ延在方向に延在して配置された第2挟持板とで前記未加硫ゴム帯状体の厚さ方向の両面から前記未加硫ゴム帯状体の挟持を可能とした挟持部と、前記挟持部と離れた箇所で前記カッターの前記刃先の長手方向の先端から切断時に使用する前記刃先の全長部分を加熱する加熱部と、前記未加硫ゴム帯状体の厚さ方向に対して前記刃先の長手方向の先端から離れるにつれて前記刃先が進行方向の前方に位置するように傾けた切断用姿勢で、前記加熱部と前記挟持部との間で前記カッター挿通溝の延在方向の延長線上で前記カッターを移動させ、前記挟持部において前記挟持部で挟持された未加硫ゴム帯状体を、前記刃先の長手方向の先端を前記接触板に接触させつつ、前記カッター挿通溝内で前記カッター挿通溝の延在方向に沿って前記カッターを直線移動させることで切断する切断部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、未加硫ゴム帯状体を第1挟持板と第2挟持板とで挟持した状態で、カッターの刃先の先端を、接触板で接触させつつ直線移動させることで未加硫ゴム帯状体を切断するようにした。
そのため、カッターの刃先から未加硫ゴム帯状体に加わる力が接触板でしっかり受け止められるため、未加硫ゴムが有する強い粘着性に起因した未加硫ゴム帯状体の切断面の変形が抑制され、未加硫ゴム帯状体の切断を円滑に行なえ、平坦な切断面を得る上で有利となる。
また、カッターの刃先を加熱し、未加硫ゴム帯状体の切断時にはカッターの刃先が有する予熱を利用することで未加硫ゴム帯状体を熱により軟化させて切断するようにしたので、カッターに作用する未加硫ゴム帯状体の粘着性に起因した抵抗が少なくなり、その結果、強い粘着性を有する未加硫ゴム帯状体の切断を円滑に行なえ、平坦な切断面を得る上で有利となる。
また、カッターを、刃先の長手方向の先端から離れるにつれて刃先が進行方向の前方に位置するように刃先を傾けた切断姿勢で、未加硫ゴム帯状体を切断するようにしたので、強い粘着性を有する未加硫ゴム帯状体の切断を円滑に行なえ、平坦な切断面を得る上で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施の形態に係る未加硫ゴム帯状体の切断装置において未加硫ゴム帯状体が搬送される状態を示す説明図である。
図2図1のA矢視図である。
図3】実施の形態に係る未加硫ゴム帯状体の切断装置において未加硫ゴム帯状体が挟持される状態を示す説明図である。
図4】実施の形態に係る未加硫ゴム帯状体の切断装置においてカッターが切断用姿勢となり未加硫ゴム帯状体の切断を行なう直前の状態を示す説明図である。
図5図4のA矢視図である。
図6】実施の形態に係る未加硫ゴム帯状体の切断装置においてカッターが切断完了位置に到達し未加硫ゴム帯状体の切断が終了した状態を示す説明図である。
図7】第1挟持板の平面図である。
図8】第2挟持板の平面図である。
図9】カッターによって未加硫ゴム帯状体を切断する状態をカッターの厚さ方向から見た説明図である。
図10】カッターによって未加硫ゴム帯状体を切断する状態をカッターの進行方向の前方から見た説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、本発明の切断方法を切断装置と共に図面を参照して説明する。
本実施の形態では、防舷材などの円筒状ゴム製品成形用の成形ドラムに巻き付けられる未加硫ゴム帯状体を切断する場合について説明する。
なお、本実施の形態では、未加硫ゴム帯状体をその長手方向と交差する方向である直交する方向に切断する場合について説明する。
図1図2に示すように、切断装置12は、挟持部14と、切断部16と、加熱部18とを備え、本実施の形態では、未加硫ゴム帯状体20は、上方から下方に搬送され切断部16で所定の長さ毎に切断される。
【0009】
挟持部14は、未加硫ゴム帯状体20の厚さ方向の両面から未加硫ゴム帯状体20を挟持する箇所であり、本実施の形態では、未加硫ゴム帯状体20の厚さ方向で水平方向の両側から未加硫ゴム帯状体20を挟持する。
挟持部14は、第1挟持板22と第2挟持板24とを含んで構成されている。
第1挟持板22は、未加硫ゴム帯状体20の厚さ方向の一方の面側に配置され、第1挟持板22には、図1図7に示すように、未加硫ゴム帯状体20の長手方向と交差する方向に延在する、本実施の形態では、未加硫ゴム帯状体20の長手方向と直交する方向である幅方向に延在するカッター挿通溝2202が形成されている。
【0010】
第2挟持板24は、未加硫ゴム帯状体20の厚さ方向の他方の面側に配置され、第2挟持板24には、図1図8に示すように、カッター28の刃先2802と同等な硬度の表面を有する接触板25がカッター挿通溝2202と同じ延在方向に延在して着脱可能に設けられている。
なお、接触板25の表面は、第2挟持板24の表面と同一面上に位置している。
接触板25として、カッター28の刃先2802の先端2804が接触して移動する場合に摩擦係数が低く、かつ、摩耗しにくい従来公知の様々な材料が採用可能であり、本実施の形態では、S45Cなどの炭素鋼を用い、その表面に塩浴軟窒化処理を行ない、表面硬度を高めたものを用いている。
接触板25の硬度は、カッター28の刃先2802とほぼ同等で、接触板25と刃先2802の双方の摩耗を抑制するように図られている。
【0011】
第1挟持板22は、未加硫ゴム帯状体20の上下に延在する搬送路に対して切断装置12のフレーム1202に移動不能に固定されて配置されている。
第2挟持板24は、挟持用アクチュエータに連結され、本実施の形態では、挟持用アクチュエータとしてエアシリンダ26が用いられている。
第2挟持板24は、エアシリンダ26により第1挟持板22に対して離間接近する方向に移動し、詳細には、第1挟持板22と協働して未加硫ゴム帯状体20を挟持する挟持位置P1(図3図4参照)と、未加硫ゴム帯状体20から離れた退避位置P2(図1参照)との間で往復直線移動する。
本実施の形態では、このように一対の挟持板22、24のうちの一方の挟持板である第1挟持板22の位置を、未加硫ゴム帯状体16の厚さ方向に対して移動不能に配置しておくことで、強い粘着性を有する未加硫ゴム帯状体20を複数枚に切断する際に切断面として均一な平坦面が得られるように図られている。
【0012】
図1図2に示すように、切断部16は、カッター28と、カッターホルダ30と、カッター揺動用アクチュエータと、ブラケット34と、カッター移動用アクチュエータとを含んで構成されている。
本実施の形態では、カッター揺動用アクチュエータとしてエアシリンダ32が用いられ、カッター移動用アクチュエータとしてロッドレスシリンダ36が用いられている。ロッドレスシリンダ36は、切断装置12のフレーム1202で支持されたカッター移動用アクチュエータの本体部をなすシリンダチューブ3604と、本体部に対して直線移動するカッター移動用アクチュエータの移動部をなすスライドテーブル3602とを備えている。
カッター28は板状を呈する本体板部2801と、本体板部2801の端部に形成され直線状に延在する刃先2802とを備えている。
カッター28としてSK材(炭素工具鋼)、SKD材(合金工具鋼)などの従来公知の様々な材料が採用可能である。
刃先2802は、図9に示すように、切断すべき未加硫ゴム帯状体20の厚さよりも大きい長さで直線状に延在している。
本体板部2801は、図2に示すように、カッターホルダ30で保持され、カッターホルダ30は第1支軸38Aを介してロッドレスシリンダ36のスライドテーブル3602に揺動可能に支持されている。なお、ロッドレスシリンダ36のシリンダチューブ3604は、切断装置12のフレーム1202に移動不能に固定されて配置されている。
ブラケット34は、第1支軸38Aと離れたスライドテーブル3602の箇所に第2支軸38Bを介して揺動可能に支持されている。
【0013】
エアシリンダ32は、シリンダボディ3202とピストンロッド3204とを備え、シリンダボディ3202はブラケット34に取着され、ピストンロッド3204の先端は軸38Cを介してカッターホルダ30に連結されている。
図2に示すように、カッター28は、エアシリンダ32の縮小状態でカッター28の刃先2802の箇所が加熱される加熱用姿勢となり、図5に示すように、エアシリンダ32の伸長状態でカッター28の刃先2802により未加硫ゴム帯状体20を切断する切断用姿勢となる。
切断用姿勢で、カッター28は、刃先2802の長手方向の先端2804から離れるにつれて刃先2802が進行方向Fの前方に位置するように刃先2802を傾けた状態となる。
また、切断用姿勢のカッター28を、未加硫ゴム帯状体20の切断の際のカッター28の移動方向の前方から見ると、図10に示すように、刃先2802の長手方向は、挟持部14で挟持された未加硫ゴム帯状体20の厚さ方向の中心を通り未加硫ゴム帯状体20の長手方向に延在する中心線に対して鋭角θをもって交差している。
【0014】
ロッドレスシリンダ36は、シリンダチューブ3604へのエアの給排によりスライドテーブル3602をシリンダチューブ3604に沿って直線移動させることで、カッター28をカッター挿通溝2202内でおよびカッター挿通溝2202の延在方向の延長線上で往復直線移動させるものである。
本実施の形態では、粘着性を有する未加硫ゴム帯状体20の切断面が平坦面になりやすいように、未加硫ゴム帯状体20の切断時に、未加硫ゴム帯状体20を鉛直方向に延在させ、カッター28を水平方向で往復直線移動させるようにしている。
カッター28は挟持部14で挟まれた未加硫ゴム帯状体20の幅方向の一方の端部から他方の端部を刃先2802が通過した箇所で切断完了位置P11(図6参照)となり、本実施の形態ではロッドレスシリンダ36によりカッター28が、加熱部18により加熱される加熱用位置P10(図2参照)から挟持部14を経て切断完了位置P11まで直線移動され、また、切断完了後、切断完了位置P11から加熱用位置P10まで直線移動され、すなわち、加熱用位置P10と切断完了位置P11との間で往復直線移動される。
【0015】
図2に示すように、加熱部18は、未加硫ゴム帯状体20を切断すべき箇所と離れた箇所に設けられ、シリンダチューブ3604の長手方向の端部に取着されている。
本実施の形態では、加熱部18は、銅製のプレートにシーズヒータが内蔵されて構成された一対のプレートヒータ1802を対向させて構成されており、それらプレートヒータ1802の間にカッター28を挟むことでカッター28を厚さ方向の両側から100℃程度に加熱する。なお、図2図5図6においては、一対のプレートヒータ1802のうちの一方の図示を省略している。
加熱部18は、カッター28の直線状に延在する刃先2802の長手方向の先端2804から切断時に使用する刃先2802の全長部分を加熱する。
【0016】
次に切断装置12により未加硫ゴム帯状体20を切断する場合について説明する。
図1図2に示すように、未加硫ゴム帯状体20は、厚さと、厚さよりも大きい幅と、幅よりも大きい長さを有し、搬送工程において不図示の搬送機構によりその長手方向に沿って一対のガイド40を介して上方から切断装置12に搬送される。
この搬送工程時には、カッター28は、ロッドレスシリンダ36により加熱用位置P10となっており、かつ、エアシリンダ32の縮小状態により加熱用姿勢となっており、加熱部18により加熱されている。
未加硫ゴム帯状体20の幅方向に直線状に延在する切断すべき箇所が、カッター挿通溝2202に至ったならば、未加硫ゴム帯状体20の搬送を停止させる搬送停止工程が行われる。
【0017】
未加硫ゴム帯状体20の搬送を停止させたならば、図3に示すように、エアシリンダ26により第2挟持板24を挟持位置P1とし、第1挟持板22と第2挟持板24とにより、未加硫ゴム帯状体20をその厚さ方向の両面から挟持する挟持工程が行われる。
挟持工程が行われたならば、エアシリンダ32によりカッター28は、図5に示すように、加熱用姿勢から切断用姿勢に揺動される。
続いて、ロッドレスシリンダ36によりカッター28が、図5に示す加熱用位置P10から挟持部14に至り、図9図10に示すように、カッター挿通溝2202内でカッター28の刃先2802の先端2804を接触板25の表面に接触させつつ図6に示す切断完了位置P11まで直線移動され、未加硫ゴム帯状体20が切断される。
【0018】
未加硫ゴム帯状体20の切断が終了されたならば、未加硫ゴム帯状体20は強い粘着性を有するため、切断された未加硫ゴム帯状体20の部分を適宜移動手段により下方に強制的に移動させる。この移動手段は、切断された未加硫ゴム帯状体20の部分を挟持して下方に移動させるなど、従来公知の様々な手段が採用可能である。
また、未加硫ゴム帯状体20の切断が終了されたならば、ロッドレスシリンダ36によりカッター28は、図6に示す切断完了位置P11から図5に示す加熱用位置P10に直線移動し、エアシリンダ32によりカッター28は切断用姿勢から図2に示す加熱用姿勢に揺動され、加熱部18により再度加熱される。
また、第2挟持板24が挟持位置P1から退避位置P2に戻り、搬送機構による未加硫ゴム帯状体20の搬送工程が行われる。
そして、上述の動作が繰り返され、未加硫ゴム帯状体20が一定の長さ毎に切断装置12により切断されていく。
【0019】
本実施の形態によれば、未加硫ゴム帯状体20を第1挟持板22と第2挟持板24とで挟持した状態で、カッター28の刃先2802の先端2804を、第2挟持板24の表面と同一面上に位置する接触板25で接触させつつ直線移動させることで未加硫ゴム帯状体20を切断するようにした。
そのため、カッター28の刃先2802から未加硫ゴム帯状体20に加わる力が接触板25でしっかり受け止められるため、未加硫ゴムが有する強い粘着性に起因した未加硫ゴム帯状体20の切断面の変形が抑制され、未加硫ゴム帯状体20の切断を円滑に行なえ、平坦な切断面を得る上で有利となる。
また、カッター28の刃先2802と接触板25の表面とは、同等な硬度を有しているため、カッター28の刃先2802の先端2804と接触板25との間の摩擦を軽減する上で有利となり、カッター28の移動速度を高めることができ、切断装置12による未加硫ゴム帯状体20の切断に要する時間の短縮化を図る上で有利となる。
【0020】
また、カッター28の刃先2802を加熱部18により加熱し、未加硫ゴム帯状体20の切断時にはカッター28の刃先2802が有する予熱を利用することで未加硫ゴム帯状体20を熱により軟化させて切断するようにしたので、カッター28に作用する未加硫ゴム帯状体20の粘着性に起因した抵抗が少なくなり、その結果、強い粘着性を有する未加硫ゴム帯状体20の切断を円滑に行なえ、平坦な切断面を得る上で有利となる。
さらに、カッター28の刃先2802が有する予熱を利用し、カッター28と加熱部18とを切り離すようにしたので、加熱部18と一体化されたカッター28を移動させる場合に比べ、電気配線や加熱部18がカッター28と共に移動することがなく、カッター28のみが移動する。そのため、カッター28を狭いスペース内で移動でき、また、カッター28のみを移動することから移動対象が軽量となり、カッター28を素早く移動させる上で有利となる。
また、加熱部18によるカッター28の加熱は、カッター28の直線状に延在する刃先2802の長手方向の先端から切断時に使用する刃先2802の全長部分に限定されるため、カッター28のうち本体板部2801など未加硫ゴム帯状体20の切断に寄与しない部分への無駄な加熱が抑制される。
そのため、加熱部18によるカッター28の加熱が短時間で済むことから、切断装置12による未加硫ゴム帯状体20の切断に要する時間の短縮化を図る上で有利となり、短時間で多くの切断された未加硫ゴム帯状体20を得る上で有利となる。
また、加熱部により加熱されたのち、カッター28は揺動され直線移動されるので、未加硫ゴム帯状体20を切断するまでにカッター28の予熱を高い温度で保持でき、未加硫ゴム帯状体20の切断を効率的に行なう上で有利となる。
【0021】
また、カッター28を、刃先2802の長手方向の先端2804から離れるにつれて刃先2802が進行方向Fの前方に位置するように刃先2802を傾けた切断姿勢で、未加硫ゴム帯状体20を切断するようにしたので、強い粘着性を有する未加硫ゴム帯状体20の切断を円滑に行なえ、平坦な切断面を得る上で有利となる。
【符号の説明】
【0022】
12 切断装置
14 挟持部
16 切断部
18 加熱部
20 未加硫ゴム帯状体
22 第1挟持板
2202 カッター挿通溝
24 第2挟持板
25 接触板
28 カッター
2802 刃先
2804 先端
32 エアシリンダ(揺動用アクチュエータ)
36 ロッドレスシリンダ(カッター移動用アクチュエータ)
F 進行方向
P1 挟持位置
P2 退避位置
P10 加熱用位置
P11 切断完了位置
図1
図2
図3
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図10