(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
前記ゴム組成物は、前記式(I)で表される基を有する化合物と、硫黄原子含有加硫促進剤とを含む。前記ゴム組成物は、良好な耐摩耗性能が得られる。
【0015】
前記ゴム組成物では、以下の作用効果により、良好な耐摩耗性能が得られるものと推察される。
前記式(I)で表される基を有する化合物は、硫黄に比べて、該式で示される特定構造によるゴム中への分散作用により、均一にゴム中に存在するため、良好な架橋均一化効果(加硫時の架橋密度の均一化効果)が発揮される。更に、架橋反応の起点である亜鉛化合物として、珪酸塩粒子の表面に酸化亜鉛微粒子又は塩基性炭酸亜鉛微粒子を担持させた微粒子亜鉛担持体を用いた場合、酸化亜鉛微粒子等が微分散に担持されていることにより、更なる架橋均一化効果が発揮される。よって、該化合物及び該微粒子亜鉛担持体の両成分により前述の作用効果が相乗的に発揮されることで、耐摩耗性能が相乗的に改善されるものと推察される。
【0016】
前記ゴム組成物の好適例として、ゴム成分と硫黄とを混練する前に、ゴム成分と硫黄原子含有加硫促進剤と前記式(I)で表される基を有する化合物を混練し、その後、得られた混練物に硫黄を加えて混練することにより得られる後述のゴム組成物が挙げられ、この場合、実用的な加硫時間の確保が可能で、生産性よくゴム組成物を製造できる。
【0017】
これは、以下の作用効果により、実用的な加硫時間が得られるものと推察される。
前記式(I)で表される基を有する化合物は、単独では、加硫速度が遅く、実用的な加硫速度が得られないが、ゴム成分と硫黄の混練(仕上げ練り)前に、硫黄原子含有加硫促進剤を該化合物と共に混練(ベース練り)することで、加硫速度が適正化する。これは、混練中に硫黄原子含有加硫促進剤と前記化合物との間に何らかの反応が生じて、より反応しやすい形態へと変化しているものと推察される。更に、前記ゴム組成物では、前記微粒子亜鉛担持体を用いた場合、加硫カーブの立ち上がりがよくなるという作用効果も発揮される。よって、これらの作用効果により、加硫速度(加硫特性)が適正化され、実用的な加硫時間(加硫特性)が得られるものと推察される。
【0018】
前記ゴム組成物は、下記式(I)で表される基を有する化合物を含む。
【化2】
(式中、R
11及びR
12は、同一又は異なって、水素原子、又はヘテロ原子を含んでもよい置換若しくは非置換の1価炭化水素基を表す。)
【0019】
R
11及びR
12の前記1価炭化水素基は、特に限定されず、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。ヘテロ原子としては、窒素、酸素等が挙げられる。また、飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基のいずれでもよい。R
11及びR
12が前記1価炭化水素基の場合、R
11及びR
12は、後述の2,2−ビス(4,6−ジメチルピリミジル)ジスルフィドのように、それぞれ、式(I)の環構造の2個の窒素原子に隣接する炭素原子に、互いにメタ位に結合することが好ましい。
【0020】
R
11及びR
12の前記1価炭化水素基の炭素数は、1〜10が好ましく、1〜8がより好ましく、1〜6が更に好ましい。
【0021】
R
11及びR
12の前記1価炭化水素基としては、ヘテロ原子を含んでもよい置換若しくは非置換の脂肪族、脂環族、芳香族の炭化水素基が挙げられ、具体的には、ヘテロ原子を含んでもよい置換若しくは非置換の直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基、環状アルキル基、アリール基、アラルキル基等が列挙される。
【0022】
R
11及びR
12が前記直鎖状、分岐状アルキル基の場合、炭素数は1〜8が好ましく、1〜4がより好ましく、1〜2が更に好ましい。R
11及びR
12がヘテロ原子を含んでもよい環状アルキル基の場合、炭素数は3〜12が好ましい。R
11及びR
12がヘテロ原子を含んでもよいアリール基の場合、炭素数は6〜10が好ましい。R
11及びR
12がヘテロ原子を含んでもよいアラルキル基の場合、炭素数は7〜10が好ましい。
【0023】
前記直鎖状、分岐状アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、へキシル基、へプチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、及びこれらのヘテロ原子を含む基等が挙げられる。
【0024】
前記環状アルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、アダマンチル基、1−エチルシクロペンチル基、1−エチルシクロヘキシル基等が挙げられる。環状エーテル基としては、オキシラン基、オキセタン基、オキソラン基、オキサン基、オキセパン基、オキソカン基、オキソナン基、オキセカン基、オキセト基、オキソール基、ジオキソラン基、ジオキサン基、ジオキセパン基、ジオキセカン基等、及びこれらのヘテロ原子を含む基が挙げられる。
【0025】
前記アリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、及びこれらのヘテロ原子を含む基等が挙げられる。
【0026】
前記アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、及びこれらのヘテロ原子を含む基等が挙げられる。
【0027】
前述の効果の観点から、R
11及びR
12は、ヘテロ原子を含んでもよい置換若しくは非置換の1価炭化水素基であることが好ましく、より好ましくはヘテロ原子を含んでもよい置換若しくは非置換の直鎖状、分岐状、環状アルキル基、更に好ましくはヘテロ原子を含んでもよい置換若しくは非置換の直鎖状、分岐状アルキル基である。
【0028】
好適な前記式(I)で表される基を有する化合物として、下記式(I−1)、(I−2)、(I−3)、(I−4)、(I−5)で表される化合物等が挙げられる。
【0029】
【化3】
(式中、R
21〜R
24は、同一又は異なって、水素原子、又はヘテロ原子を含んでもよい置換若しくは非置換の1価炭化水素基を表す。)
【0030】
R
21〜R
24の前記1価炭化水素基は、特に限定されず、R
11及びR
12と同様の基が挙げられる。R
21〜R
24が前記1価炭化水素基の場合、R
21及びR
22、R
23及びR
24は、それぞれ、式(I)の環構造の2個の窒素原子に隣接する炭素原子に、互いにメタ位に結合することが好ましい。
【0031】
R
21〜R
24の前記1価炭化水素基の炭素数は、1〜10が好ましく、1〜8がより好ましく、1〜6が更に好ましい。
【0032】
前述の効果の観点から、R
21〜R
24は、ヘテロ原子を含んでもよい置換若しくは非置換の1価炭化水素基であることが好ましく、より好ましくはヘテロ原子を含んでもよい置換若しくは非置換の直鎖状、分岐状、環状アルキル基、更に好ましくはヘテロ原子を含んでもよい置換若しくは非置換の直鎖状、分岐状アルキル基である。
【0033】
前記式(I−1)で表される化合物としては、2,2−ビス(4,6−ジメチルピリミジル)ジスルフィド等が挙げられる。
【0034】
【化4】
(式中、R
31〜R
34は、同一又は異なって、水素原子、又はヘテロ原子を含んでもよい置換若しくは非置換の1価炭化水素基を表す。)
【0035】
R
31〜R
34の前記1価炭化水素基は、特に限定されず、R
11及びR
12と同様の基が挙げられる。R
31及びR
32が前記1価炭化水素基である場合、R
31及びR
32は、それぞれ、式(I)の環構造の2個の窒素原子に隣接する炭素原子に、互いにメタ位に結合することが好ましい。
【0036】
R
31〜R
34の前記1価炭化水素基の炭素数は、1〜10が好ましく、1〜8がより好ましく、1〜6が更に好ましい。
【0037】
前述の効果の観点から、R
31〜R
33は、ヘテロ原子を含んでもよい置換若しくは非置換の1価炭化水素基であることが好ましく、より好ましくはヘテロ原子を含んでもよい置換若しくは非置換の直鎖状、分岐状、環状アルキル基、更に好ましくはヘテロ原子を含んでもよい置換若しくは非置換の直鎖状、分岐状アルキル基である。また、R
34は、水素原子が好ましい。
【0038】
前記式(I−2)で表される化合物としては、N−t−ブチル(4,6−ジメチル−2−ピリミジン)スルフェンアミド、N−シクロヘキシル(4,6−ジメチル−2−ピリミジン)スルフェンアミド、N−t−ブチル(4−メチル−2−ピリミジン)スルフェンアミド、N−t−ブチル−2−ピリミジンスルフェンアミド等が挙げられる。
【0039】
【化5】
(式中、R
41〜R
45は、同一又は異なって、又はヘテロ原子を含んでもよい置換若しくは非置換の1価炭化水素基を表す。)
【0040】
R
41〜R
45の前記1価炭化水素基は、特に限定されず、R
11及びR
12と同様の基が挙げられる。R
41〜R
44が前記1価炭化水素基の場合、R
41及びR
42、R
43及びR
44は、それぞれ、式(I)の環構造の2個の窒素原子に隣接する炭素原子に、互いにメタ位に結合することが好ましい。
【0041】
R
41〜R
45の前記1価炭化水素基の炭素数は、1〜10が好ましく、1〜8がより好ましく、1〜6が更に好ましい。
【0042】
前述の効果の観点から、R
41〜R
45は、ヘテロ原子を含んでもよい置換若しくは非置換の1価炭化水素基であることが好ましく、より好ましくはヘテロ原子を含んでもよい置換若しくは非置換の直鎖状、分岐状、環状アルキル基、更に好ましくはヘテロ原子を含んでもよい置換若しくは非置換の直鎖状、分岐状アルキル基である。
【0043】
前記式(I−3)で表される化合物としては、N−t−ブチル(4,6−ジメチル−2−ピリミジン)スルフェンイミド、N−t−ブチル(4−メチル−2−ピリミジン)スルフェンイミド、N−t−ブチル−2−ピリミジンスルフェンイミド、N−フェニル(4,6−ジメチル−2−ピリミジン)スルフェンイミド、N−シクロヘキシル(4,6−ジメチル−2−ピリミジン)スルフェンイミド、N−メチル(4,6−ジメチル−2−ピリミジン)スルフェンイミド、N−エチル(4,6−ジメチル−2−ピリミジン)スルフェンイミド、N−プロピル(4,6−ジメチル−2−ピリミジン)スルフェンイミド、N−n−ブチル(4,6−ジメチル−2−ピリミジン)スルフェンイミド、N−ペンチル(4,6−ジメチル−2−ピリミジン)スルフェンイミド、N−ヘキシル(4,6−ジメチル−2−ピリミジン)スルフェンイミド、N−ベンジル(4,6−ジメチル−2−ピリミジン)スルフェンイミド、N−(2−メトキシエチル)−(4,6−ジメチル−2−ピリミジン)スルフェンイミド、N−(3−メトキシプロピル)−(4,6−ジメチル−2−ピリミジン)スルフェンイミド、N−ドデカオクチル(4,6−ジメチル−2−ピリミジン)スルフェンイミド等が挙げられる。
【0044】
【化6】
(式中、R
51〜R
54は、同一又は異なって、又はヘテロ原子を含んでもよい置換若しくは非置換の1価炭化水素基を表す。)
【0045】
R
51〜R
54の前記1価炭化水素基は、特に限定されず、R
11及びR
12と同様の基が挙げられる。R
51及びR
52が前記1価炭化水素基の場合、R
51及びR
52は、それぞれ、式(I)の環構造の2個の窒素原子に隣接する炭素原子に、互いにメタ位に結合することが好ましい。
【0046】
R
51〜R
54の前記1価炭化水素基の炭素数は、1〜10が好ましく、1〜8がより好ましく、1〜6が更に好ましい。
【0047】
前述の効果の観点から、R
51及びR
52は、ヘテロ原子を含んでもよい置換若しくは非置換の1価炭化水素基であることが好ましく、より好ましくはヘテロ原子を含んでもよい置換若しくは非置換の直鎖状、分岐状、環状アルキル基、更に好ましくは炭素数1〜6のヘテロ原子を含んでもよい置換若しくは非置換の直鎖状、分岐状アルキル基である。また、R
53及びR
54は、水素原子が好ましい。
【0048】
前記式(I−4)で表される化合物としては、2−ベンゾチアゾリル−4,6−ジメチル−2−ピリミジルジスルフィド等が挙げられる。
【0049】
【化7】
(式中、R
61〜R
64は、同一又は異なって、水素原子、又はヘテロ原子を含んでもよい置換若しくは非置換の1価炭化水素基を表す。)
【0050】
R
61〜R
64の前記1価炭化水素基は、特に限定されず、R
11及びR
12と同様の基が挙げられる。R
61及びR
62が前記1価炭化水素基の場合、R
61及びR
62は、それぞれ、式(I)の環構造の2個の窒素原子に隣接する炭素原子に、互いにメタ位に結合することが好ましい。
【0051】
R
61〜R
64の前記1価炭化水素基の炭素数は、1〜10が好ましく、1〜8がより好ましく、1〜6が更に好ましい。
【0052】
前述の効果の観点から、R
61〜R
63は、ヘテロ原子を含んでもよい置換若しくは非置換の1価炭化水素基であることが好ましく、より好ましくはヘテロ原子を含んでもよい置換若しくは非置換の直鎖状、分岐状、環状アルキル基、更に好ましくはヘテロ原子を含んでもよい置換若しくは非置換の直鎖状、分岐状アルキル基である。また、R
64は、水素原子が好ましい。
【0053】
前記式(I−5)で表される化合物としては、S−(4,6−ジメチル−2−ピリミジル)p−トルエンチオスルホネート等が挙げられる。
【0054】
上記式(I)で表される基を有する化合物の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、更に好ましくは0.7質量部以上である。該含有量は、好ましくは5.0質量部以下、より好ましくは3.0質量部以下、更に好ましくは2.5質量部以下である。上記範囲内であると、前記効果がより好適に得られる。
【0055】
前記ゴム組成物は、珪酸塩粒子の表面に酸化亜鉛微粒子又は塩基性炭酸亜鉛微粒子を担持させた微粒子亜鉛担持体を含むことが好ましい。
【0056】
微粒子亜鉛担持体は、珪酸塩粒子の表面に酸化亜鉛微粒子又は塩基性炭酸亜鉛微粒子を担持させたものである。珪酸塩粒子の表面は、酸化亜鉛微粒子及び塩基性炭酸亜鉛微粒子に対して親和性を有しており、このため均一に酸化亜鉛微粒子又は塩基性炭酸亜鉛微粒子を担持させることができる。
【0057】
酸化亜鉛微粒子又は塩基性炭酸亜鉛微粒子の担持量は、金属亜鉛換算で6〜75質量%の範囲であることが好ましく、下限は、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは25質量%以上、特に好ましくは35質量%以上であり、上限は、より好ましくは65質量%以下、更に好ましくは55質量%以下である。上記範囲内であると、前記効果がより好適に得られる。
ここで、金属亜鉛換算の担持量とは、担持している酸化亜鉛微粒子又は塩基性炭酸亜鉛微粒子を金属亜鉛に換算したZn換算質量を算出し、この値を用いて、以下の式から算出することができる。
金属亜鉛換算の担持量(質量%)=〔(Zn換算質量)/(微粒子亜鉛担持体の質量)〕×100
【0058】
酸化亜鉛微粒子を担持した珪酸塩粒子(微粒子亜鉛担持体)のBET比表面積は、10〜55m
2/gの範囲であることが好ましく、より好ましくは15〜50m
2/gの範囲であり、さらに好ましくは20〜45m
2/gの範囲である。
【0059】
塩基性炭酸亜鉛微粒子を担持した珪酸塩粒子(微粒子亜鉛担持体)のBET比表面積は、25〜90m
2/gの範囲であることが好ましく、より好ましくは30〜85m
2/gであり、さらに好ましくは35〜80m
2/gの範囲である。
【0060】
塩基性炭酸亜鉛微粒子の方が、酸化亜鉛微粒子よりも微細であり、BET比表面積の高い微粒子とすることができる。このため、上記のように、塩基性炭酸亜鉛微粒子を担持した場合、酸化亜鉛微粒子を担持した場合に比べ、BET比表面積が高くなっている。
【0061】
BET比表面積は、BET比表面積測定装置を用い、窒素吸着法により求めることができる。珪酸塩粒子に担持させた酸化亜鉛微粒子及び塩基性炭酸亜鉛微粒子のBET比表面積(BET
Zn)は、以下の式により算出することができる。
【0062】
BET
Zn={(BET
Zn−Si×W
Zn)+W
Si(BET
Zn−Si−BET
Si)}/W
Zn
BET
Zn−Si:微粒子亜鉛担持体のBET比表面積
BET
Si:珪酸塩粒子のBET比表面積
W
Zn:微粒子亜鉛担持体中に含まれる酸化亜鉛又は塩基性炭酸亜鉛の質量%
W
Si:微粒子亜鉛担持体中に含まれる珪酸塩粒子の質量%
【0063】
珪酸塩粒子の表面に担持される酸化亜鉛微粒子及び塩基性炭酸亜鉛微粒子のBET比表面積(BET
Zn)は、酸化亜鉛微粒子の場合、15〜100m
2/gの範囲であることが好ましく、40〜80m
2/gの範囲であることがより好ましく、塩基性炭酸亜鉛微粒子の場合、15〜100m
2/gの範囲であることが好ましく、40〜80m
2/gの範囲であることがより好ましい。
【0064】
微粒子亜鉛担持体に関し、そのBET比表面積を下限以上に調整することで、十分な架橋促進効果が得られ、耐摩耗性能等を十分に向上できる傾向がある。また、BET比表面積を上限以下に調整することで、担持された酸化亜鉛微粒子又は塩基性炭酸亜鉛微粒子が形成され、均一な架橋構造を形成できる傾向がある。また、過剰な担持量が抑制され、経済的にも有利になる傾向がある。
【0065】
前記珪酸塩粒子としては、珪酸アルミニウム塩鉱物粒子が好ましく用いられる。また、珪酸アルミニウム塩鉱物粒子以外の珪酸塩粒子としては、タルク、マイカ、長石、ベントナイト、珪酸マグネシウム、シリカ、珪酸カルシウム(ワラストナイト)、珪藻土などが挙げられる。
【0066】
前記珪酸アルミニウム塩鉱物粒子としては、例えば、カオリナイト、ハロイサイト、パイロフィライト、及びセリサイトから選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
【0067】
前記珪酸アルミニウム塩鉱物粒子は、好ましくは無水珪酸アルミニウム塩鉱物粒子である。無水珪酸アルミニウム塩鉱物粒子としては、例えば、カオリナイト、ハロイサイト、パイロフィライト、及びセリサイトから選ばれる少なくとも1種を焼成したものが挙げられる。例えば、粒径2μm以下の含有率が80%以上である微細粒子からなるこれらの粘土鉱物を、500〜900℃の温度で焼成したものが挙げられる。
【0068】
前記微粒子亜鉛担持体は、例えば、珪酸塩粒子の存在下に、亜鉛塩の酸性水溶液とアルカリ性水溶液とを混合して、酸化亜鉛微粒子又は塩基性炭酸亜鉛を析出させ、珪酸塩粒子の表面に、酸化亜鉛微粒子又は塩基性炭酸亜鉛を担持させて製造することができる。
【0069】
珪酸塩粒子の存在下に、亜鉛塩の酸性水溶液とアルカリ性水溶液を混合して、酸化亜鉛微粒子又は塩基性炭酸亜鉛微粒子を析出させる方法としては、具体的には以下のような方法が挙げられる。
【0070】
(1)亜鉛塩の酸性水溶液中に珪酸塩粒子を分散させておき、この分散液に、アルカリ性水溶液を添加する。
(2)アルカリ性水溶液に珪酸塩粒子を分散させておき、この分散液に、亜鉛塩の酸性水溶液を添加する。
(3)水中に珪酸塩粒子を分散させておき、この分散液に、亜鉛塩の酸性水溶液とアルカリ性水溶液とを同時に添加する。
【0071】
上記の(1)〜(3)の方法の内、特に好ましくは(1)の方法が採用される。
【0072】
亜鉛塩の酸性水溶液は、例えば、酸性水溶液中に、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、塩基性炭酸亜鉛、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛などを添加して調製することができる。酸化亜鉛としては、各種工業原料として用いられている亜鉛華を用いてもよい。酸性水溶液としては、塩酸、硫酸、硝酸、炭酸などの水溶液が挙げられる。また、塩化亜鉛などの水溶性亜鉛化合物を酸性水溶液中に添加して調製してもよい。
【0073】
アルカリ性水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウムなどの水溶液が挙げられる。一般に、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどをアルカリ性水溶液として用いた場合には、酸化亜鉛微粒子を析出させて担持させることができる。また、酸性水溶液として炭酸を用いた場合や、アルカリ性水溶液として炭酸ナトリウムなどを用いた場合には、塩基性炭酸亜鉛を析出させて担持させることができる。
【0074】
また、塩基性炭酸亜鉛を担持した珪酸塩粒子は、上述のように、酸化亜鉛微粒子を担持した珪酸塩粒子をアンモニウム塩水溶液で処理する方法又は、酸化亜鉛微粒子を担持した珪酸塩粒子の水懸濁液に炭酸ガスを導入して炭酸化を行うなどの方法で処理することにより、担持された酸化亜鉛微粒子を塩基性炭酸亜鉛微粒子に変換することにより製造することができる。これら処理方法は単独で行ってもよいし、両方法を併用してもよい。
【0075】
アンモニウム塩水溶液としては、水酸化アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウムなどの水溶液が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0076】
上述のように、アンモニウム塩水溶液で処理し、酸化亜鉛微粒子を塩基性炭酸亜鉛微粒子に変換することにより、より微細な粒子として担持することができる。
【0077】
酸化亜鉛微粒子又は塩基性炭酸亜鉛微粒子を珪酸アルミニウム塩鉱物粒子の表面に析出させて担持させた後、一般には十分に水洗を行い、脱水・乾燥した後、粉砕する。
【0078】
微粒子亜鉛担持体は、有機酸、脂肪酸、脂肪酸金属塩、脂肪酸エステル、樹脂酸、樹脂酸金属塩、樹脂酸エステル、珪酸、珪酸塩(Na塩等)、及びシランカップリング剤より選ばれる少なくとも1種で表面処理されていてもよい。表面の全部又は一部を覆う構造であればよく、必ずしも表面全体を連続的に覆う必要はない。
【0079】
表面処理方法としては、微粒子亜鉛担持体が水系スラリーである場合、表面処理剤をそのままの状態、あるいは適切な温度、溶媒で溶解して、湿式で処理することができる。また、微粒子亜鉛担持体が粉末状であれば、表面処理剤をそのままの状態、あるいは適切な温度、溶媒で溶解して乾式で処理することができる。
【0080】
上記微粒子亜鉛担持体としては、白石カルシウム(株)等の製品を使用できる。
【0081】
上記微粒子亜鉛担持体の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.3質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、更に好ましくは0.6質量部以上、特に好ましくは0.7質量部以上である。上記微粒子亜鉛担持体の含有量は、好ましくは2.0質量部以下、より好ましくは1.8質量部以下、更に好ましくは1.6質量部以下である。上記範囲内であると、前記効果がより好適に得られる。
【0082】
上記式(I)で表される基を有する化合物及び上記微粒子亜鉛担持体の配合比(該化合物の含有量/該微粒子亜鉛担持体の含有量(質量比))は、前記効果の点から、好ましくは10/90〜90/10、より好ましくは30/70〜70/30、更に好ましくは40/60〜60/40である。
【0083】
前記ゴム組成物は、硫黄を含むことが好ましい。
硫黄としては、ゴム工業において一般的に用いられる粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄、可溶性硫黄などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0084】
硫黄としては、例えば、鶴見化学工業(株)、軽井沢硫黄(株)、四国化成工業(株)、フレクシス社、日本乾溜工業(株)、細井化学工業(株)等の製品を使用できる。
【0085】
硫黄を含有する場合、硫黄の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上である。また、上記含有量は、好ましくは3.0質量部以下、より好ましくは2.0質量部以下、更に好ましくは1.5質量部以下である。上記数値範囲内であると、前記効果が良好に得られる傾向がある。
【0086】
前記ゴム組成物は、前述の効果の点から、硫黄原子含有加硫促進剤を含むことが好ましい。
硫黄原子含有加硫促進剤とは、他の分子と単結合で結合している硫黄原子を含む加硫促進剤を指す。硫黄原子含有加硫促進剤には、活性硫黄を放出するものと放出しないものとが存在するが、混練中の架橋反応の進行を抑制するという観点から、活性硫黄を放出しないもの(硫黄非放出性の硫黄原子含有加硫促進剤)が好ましい。
【0087】
硫黄非放出性の硫黄原子含有加硫促進剤とは、例えば、加硫条件 (例えば150℃、1.5Mpa)又はそれ以下の温度及び圧力下で活性硫黄を放出しない硫黄原子含有加硫促進剤を指す。この硫黄非放出性の硫黄原子含有加硫促進剤は、換言すれば、加硫条件(例えば150℃、1.5Mpa)又はそれ以下の温度及び圧力下において加硫剤としての機能を発揮しない硫黄原子含有加硫促進剤である。
【0088】
硫黄非放出性の硫黄原子含有加硫促進剤としては、−S
n−(n≧2)を有しない、チアゾール系加硫促進剤(2−メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、2−メルカプトベンゾチアゾールの亜鉛塩(ZnMBT)、2ーメルカプトベンゾチアゾールのシクロヘキシルアミン塩(CMBT)など)や、スルフェンアミド系加硫促進剤(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N−(tert−ブチル)−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(TBBS)、N,N−ジシクロヘキシルー2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミドなど)、テトラメチルチウラムモノスルフイド(TMTM)、ジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤(ピペリジニウムペンタメチレンジチオカルバメート(PPDC)、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛(ZnMDC)、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛(ZnEDC)、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛(ZnBDC)、N−エチル−N−フェニルジチオカルバミン酸亜鉛(ZnEPDC)、N−ペンタメチレンジチオカルバミン酸亜鉛(ZnPDC)、ジブチルジチオカルバミン酸ナトリウム(NaBDC)、ジメチルジチオカルバミン酸銅(CuMDC)、ジメチルジチオカルバミン酸鉄(FeMDC)、ジエチルジチオカルパミン酸テルル(TeEDC)など)などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なかでも、−S
n−(n≧2)を有しないスルフェンアミド系加硫促進剤が好ましく、N−(tert−ブチル)−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(TBBS)がより好ましい。なお、チアゾール系加硫促進剤であるジー2−ベンゾチアゾリルジスルフィド(MBTS)は、−S
n−(n≧2)を有しており、硫黄を放出する加硫促進剤であるが、一般的な配合量では天然ゴムやブタジエンゴムに対して加硫剤としての機能を発揮しないため、硫黄非放出性の硫黄原子含有加硫促進剤と同等に用いることができる。
【0089】
硫黄原子含有加硫促進剤を含有する場合、硫黄原子含有加硫促進剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.2質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上である。また、上記含有量は、好ましくは12.0質量部以下、より好ましくは10.0質量部以下、更に好ましくは7.0質量部以下である。上記数値範囲内であると、前記効果が良好に得られる傾向がある。
【0090】
前記式(I)で表される基を有する化合物、硫黄及び硫黄原子含有加硫促進剤の合計含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上、更に好ましくは1.5質量部以上である。また、上記合計含有量は、好ましくは7.0質量部以下、より好ましくは5.0質量部以下、更に好ましくは3.0質量部以下である。上記数値範囲内であると、前記効果が良好に得られる傾向がある。
【0091】
前記ゴム組成物は、上記微粒子亜鉛担持体と共に酸化亜鉛を含んでもよいが、その含有量は少ないほうがよい。
酸化亜鉛としては、従来公知のものを使用でき、例えば、三井金属鉱業(株)、東邦亜鉛(株)、ハクスイテック(株)、正同化学工業(株)、堺化学工業(株)等の製品を使用できる。
【0092】
酸化亜鉛を含有する場合、酸化亜鉛の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.1質量部以下、更に好ましく0質量部(含まない)である。
【0093】
前記ゴム組成物は、ゴム成分を含み、例えば、ジエン系ゴムを使用できる。
使用できるジエン系ゴムとしては、イソプレン系ゴム、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)などが挙げられる。また、上記以外に使用できるゴム成分としては、ブチル系ゴム、フッ素ゴムなどが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。ゴム成分としては、SBR、BR、イソプレン系ゴムが好ましく、SBR、BRがより好ましい。
【0094】
ここで、ゴム成分は、重量平均分子量(Mw)が20万以上であることが好ましく、より好ましくは35万以上のゴムである。Mwの上限は特に限定されないが、好ましくは300万以下、より好ましくは200万以下である。
なお、本明細書において、Mw、数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(東ソー(株)製GPC−8000シリーズ、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー(株)製のTSKGEL SUPERMULTIPORE HZ−M)による測定値を基に標準ポリスチレン換算により求めることができる。
【0095】
ゴム成分は、非変性ジエン系ゴムでもよいし、変性ジエン系ゴムでもよい。
変性ジエン系ゴムとしては、シリカ等の充填剤と相互作用する官能基を有するジエン系ゴムであればよく、例えば、ジエン系ゴムの少なくとも一方の末端を、上記官能基を有する化合物(変性剤)で変性された末端変性ジエン系ゴム(末端に上記官能基を有する末端変性ジエン系ゴム)や、主鎖に上記官能基を有する主鎖変性ジエン系ゴムや、主鎖及び末端に上記官能基を有する主鎖末端変性ジエン系ゴム(例えば、主鎖に上記官能基を有し、少なくとも一方の末端を上記変性剤で変性された主鎖末端変性ジエン系ゴム)や、分子中に2個以上のエポキシ基を有する多官能化合物により変性(カップリング)され、水酸基やエポキシ基が導入された末端変性ジエン系ゴム等が挙げられる。
【0096】
上記官能基としては、例えば、アミノ基、アミド基、シリル基、アルコキシシリル基、イソシアネート基、イミノ基、イミダゾール基、ウレア基、エーテル基、カルボニル基、オキシカルボニル基、メルカプト基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基、アンモニウム基、イミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、カルボキシル基、ニトリル基、ピリジル基、アルコキシ基、水酸基、オキシ基、エポキシ基等が挙げられる。なお、これらの官能基は、置換基を有していてもよい。なかでも、前記効果がより好適に得られるという理由から、アミノ基(好ましくはアミノ基が有する水素原子が炭素数1〜6のアルキル基に置換されたアミノ基)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜6のアルコキシ基)、アルコキシシリル基(好ましくは炭素数1〜6のアルコキシシリル基)が好ましい。
【0097】
SBRとしては特に限定されず、例えば、乳化重合スチレンブタジエンゴム(E−SBR)、溶液重合スチレンブタジエンゴム(S−SBR)等を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0098】
SBRのスチレン含量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上である。また、該スチレン含量は、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下である。上記範囲内であると、前記効果がより好適に得られる。
なお、本明細書において、SBRのスチレン含量は、H
1−NMR測定により算出される。
【0099】
SBRとしては、例えば、住友化学(株)、JSR(株)、旭化成(株)、日本ゼオン(株)等により製造・販売されているSBRを使用できる。
【0100】
SBRは、非変性SBRでもよいし、変性SBRでもよい。変性SBRとしては、変性ジエン系ゴムと同様の官能基が導入された変性SBRが挙げられる。
【0101】
BRは特に限定されず、例えば、高シス含量のハイシスBR、シンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するBR、希土類系触媒を用いて合成したBR(希土類BR)等を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、耐摩耗性能が向上するという理由から、シス含量が90質量%以上のハイシスBRが好ましい。
【0102】
また、BRは、非変性BRでもよいし、変性BRでもよい。変性BRとしては、変性ジエン系ゴムと同様の官能基が導入された変性BRが挙げられる。
【0103】
BRとしては、例えば、宇部興産(株)、JSR(株)、旭化成(株)、日本ゼオン(株)等の製品を使用できる。
【0104】
イソプレン系ゴムとしては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、改質NR、変性NR、変性IR等が挙げられる。NRとしては、例えば、SIR20、RSS♯3、TSR20等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。IRとしては、特に限定されず、例えば、IR2200等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。改質NRとしては、脱タンパク質天然ゴム(DPNR)、高純度天然ゴム(UPNR)等、変性NRとしては、エポキシ化天然ゴム(ENR)、水素添加天然ゴム(HNR)、グラフト化天然ゴム等、変性IRとしては、エポキシ化イソプレンゴム、水素添加イソプレンゴム、グラフト化イソプレンゴム等、が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、NRが好ましい。
【0105】
SBRを含有する場合、ゴム成分100質量%中のSBRの含有量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは50質量%以上である。また、上記SBRの含有量は、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下である。上記範囲内にすることで、前記効果がより良好に得られる傾向がある。
【0106】
BRを含有する場合、ゴム成分100質量%中のBRの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上である。また、上記BRの含有量は、好ましくは80質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。上記範囲内にすることで、前記効果がより良好に得られる傾向がある。
【0107】
前記効果がより好適に得られるという理由から、ゴム成分100質量%中のSBR及びBRの合計含有量は、好ましくは60質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上、特に好ましくは100質量%である。
【0108】
前記ゴム組成物では、S−SBRとハイシスBRを併用することが好ましい。この場合、ゴム成分100質量%中のS−SBRの含有量は、60〜90質量%が好ましく、ハイシスBRの含有量は、10〜40質量%が好ましい。上記範囲内にすることで、前記効果がより良好に得られる傾向がある。
【0109】
イソプレン系ゴムを含有する場合、ゴム成分100質量%中のイソプレン系ゴムの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上である。また、上記イソプレン系ゴムの含有量は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは25質量%以下である。
【0110】
前記ゴム組成物は、充填剤(補強性充填剤)を含むことが好ましい。
充填剤としては、特に限定されないが、シリカ、カーボンブラック、炭酸カルシウム、タルク、アルミナ、クレー、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、マイカなどが挙げられる。なかでも、前記効果がより好適に得られるという理由から、シリカ、カーボンブラックが好ましい。
【0111】
充填剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは15質量部以上、より好ましくは20質量部以上、更に好ましくは40質量部以上である。また、上記含有量は、好ましくは250質量部以下、より好ましくは200質量部以下、更に好ましくは150質量部以下、特に好ましくは120質量部以下、最も好ましくは90質量部以下である。上記範囲内にすることで、前記効果がより良好に得られる傾向がある。
【0112】
シリカとしては、例えば、乾式法シリカ(無水シリカ)、湿式法シリカ(含水シリカ)などが挙げられるが、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。
【0113】
シリカの窒素吸着比表面積(N
2SA)は、好ましくは40m
2/g以上、より好ましくは120m
2/g以上、更に好ましくは150m
2/g以上である。上記N
2SAは、好ましくは400m
2/g以下、より好ましくは200m
2/g以下、更に好ましくは180m
2/g以下である。上記範囲内にすることで、前記効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、シリカの窒素吸着比表面積は、ASTM D3037−81に準じてBET法で測定される値である。
【0114】
シリカとしては、例えば、デグッサ社、ローディア社、東ソー・シリカ(株)、ソルベイジャパン(株)、(株)トクヤマ等の製品を使用できる。
【0115】
シリカを含有する場合、シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは30質量部以上、特に好ましくは50質量部以上である。下限以上にすることで、より良好なウェットグリップ性能、低燃費性能、耐摩耗性能が得られる。また、上記含有量は、好ましくは120質量部以下、より好ましくは100質量部以下、更に好ましくは80質量部以下である。上限以下にすることで、ゴム組成物中において、シリカが均一に分散することが容易となり、より良好なウェットグリップ性能、低燃費性能、耐摩耗性能が得られる。
【0116】
カーボンブラックとしては特に限定されず、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAF等、タイヤ工業において一般的なものを使用でき、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0117】
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N
2SA)は、30m
2/g以上が好ましく、90m
2/g以上がより好ましく、120m
2/g以上が更に好ましい。また、カーボンブラックのN
2SAは、300m
2/g以下が好ましく、250m
2/g以下がより好ましく、200m
2/g以下がさらに好ましく、160m
2/g以下が特に好ましい。上記範囲内にすることで、前記効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、本明細書におけるカーボンブラックのN
2SAは、JIS K6217−2:2001に準じて測定される。
【0118】
カーボンブラックのジブチルフタレート(DBP)吸油量は、60ml/100g以上が好ましく、80ml/100g以上がより好ましい。また、カーボンブラックのDBP吸油量は、300ml/100g以下が好ましく、200ml/100g以下がより好ましく、150ml/100g以下がさらに好ましい。上記範囲内にすることで、前記効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、本明細書におけるカーボンブラックのDBPは、JIS K6217−4:2001に準拠して測定される。
【0119】
カーボンブラックとしては、例えば、旭カーボン(株)、キャボットジャパン(株)、東海カーボン(株)、三菱化学(株)、ライオン(株)、新日化カーボン(株)、コロンビアカーボン社等の製品を使用できる。
【0120】
カーボンブラックを含有する場合、カーボンブラックの含有量は、1.0質量部以上が好ましく、2.0質量部以上がより好ましく、3.0質量部以上が更に好ましい。また、カーボンブラックの含有量は、50質量部以下が好ましく、20質量部以下がより好ましく、10質量部以下が更に好ましく、8.0質量部以下が特に好ましい。上記範囲内にすることで、前記効果がより良好に得られる傾向がある。
【0121】
前記ゴム組成物は、シリカと共にシランカップリング剤を含むことが好ましい。
シランカップリング剤としては、特に限定されず、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)ジスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、などのスルフィド系、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン、Momentive社製のNXT、NXT−Zなどのメルカプト系、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどのビニル系、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ系、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、などのグリシドキシ系、3−ニトロプロピルトリメトキシシラン、3−ニトロプロピルトリエトキシシランなどのニトロ系、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシランなどのクロロ系などがあげられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、前記効果がより良好に得られるという理由から、スルフィド系又はメルカプト系が好ましい。
【0122】
シランカップリング剤としては、例えば、デグッサ社、Momentive社、信越シリコーン(株)、東京化成工業(株)、アヅマックス(株)、東レ・ダウコーニング(株)等の製品を使用できる。
【0123】
シランカップリング剤を含有する場合、シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して、3質量部以上が好ましく、5質量部以上がより好ましい。3質量部以上であると、シランカップリング剤を配合したことによる効果が得られる傾向がある。また、上記含有量は、20質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましい。20質量部以下であると、配合量に見合った効果が得られ、良好な混練時の加工性が得られる傾向がある。
【0124】
前記ゴム組成物には、樹脂を配合してもよい。これにより、前記効果がより好適に得られる。
【0125】
樹脂は、常温(25℃)で固体状でも液体状でもよいが、前記効果がより好適に得られるという理由から、固体状(固体樹脂)であることが好ましい。
【0126】
樹脂の軟化点は、好ましくは30℃以上、より好ましくは45℃以上である。該軟化点は、好ましくは300℃以下、より好ましくは200℃以下である。上記範囲内にすることで、前記効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、本明細書において、樹脂の軟化点は、JIS K 6220−1:2001に規定される軟化点を環球式軟化点測定装置で測定し、球が降下した温度である。
【0127】
樹脂としては、特に限定されないが、例えば、スチレン系樹脂、クマロンインデン樹脂、テルペン系樹脂、p−t−ブチルフェノールアセチレン樹脂、アクリル系樹脂、ジシクロペンタジエン系樹脂(DCPD系樹脂)、C5系石油樹脂、C9系石油樹脂、C5C9系石油樹脂等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、前記効果がより好適に得られるという理由から、クマロンインデン樹脂が好ましい。
【0128】
スチレン系樹脂は、スチレン系単量体を構成モノマーとして用いたポリマーであり、スチレン系単量体を主成分(50質量%以上)として重合させたポリマー等が挙げられる。具体的には、スチレン系単量体(スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−フェニルスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン等)をそれぞれ単独で重合した単独重合体、2種以上のスチレン系単量体を共重合した共重合体の他、スチレン系単量体及びこれと共重合し得る他の単量体のコポリマーも挙げられる。
【0129】
前記他の単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのアクリロニトリル類、アクリル類、メタクリル酸などの不飽和カルボン酸類、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチルなどの不飽和カルボン酸エステル類、クロロプレン、ブタジエンイソプレンなどのジエン類、1−ブテン、1−ペンテンのようなオレフィン類;無水マレイン酸等のα,β−不飽和カルボン酸又はその酸無水物;等が例示できる。
【0130】
なかでも、前記性能バランスの観点から、α−メチルスチレン系樹脂(α−メチルスチレン単独重合体、α−メチルスチレンとスチレンとの共重合体等)が好ましい。
【0131】
クマロンインデン樹脂は、樹脂の骨格(主鎖)を構成するモノマー成分として、クマロン及びインデンを含む樹脂である。クマロン、インデン以外に骨格に含まれるモノマー成分としては、スチレン、α−メチルスチレン、メチルインデン、ビニルトルエンなどが挙げられる。
【0132】
テルペン系樹脂としては、ポリテルペン、テルペンフェノール、芳香族変性テルペン樹脂などが挙げられる。
ポリテルペンは、テルペン化合物を重合して得られる樹脂及びそれらの水素添加物である。テルペン化合物は、(C
5H
8)
nの組成で表される炭化水素及びその含酸素誘導体で、モノテルペン(C
10H
16)、セスキテルペン(C
15H
24)、ジテルペン(C
20H
32)などに分類されるテルペンを基本骨格とする化合物であり、例えば、α−ピネン、β−ピネン、ジペンテン、リモネン、ミルセン、アロオシメン、オシメン、α−フェランドレン、α−テルピネン、γ−テルピネン、テルピノレン、1,8−シネオール、1,4−シネオール、α−テルピネオール、β−テルピネオール、γ−テルピネオールなどが挙げられる。
【0133】
ポリテルペンとしては、上述したテルペン化合物を原料とするα−ピネン樹脂、β−ピネン樹脂、リモネン樹脂、ジペンテン樹脂、β−ピネン/リモネン樹脂などのテルペン樹脂の他、該テルペン樹脂に水素添加処理した水素添加テルペン樹脂も挙げられる。
テルペンフェノールとしては、上記テルペン化合物とフェノール系化合物とを共重合した樹脂、及び該樹脂に水素添加処理した樹脂が挙げられ、具体的には、上記テルペン化合物、フェノール系化合物及びホルマリンを縮合させた樹脂が挙げられる。なお、フェノール系化合物としては、例えば、フェノール、ビスフェノールA、クレゾール、キシレノールなどが挙げられる。
芳香族変性テルペン樹脂としては、テルペン樹脂を芳香族化合物で変性して得られる樹脂、及び該樹脂に水素添加処理した樹脂が挙げられる。なお、芳香族化合物としては、芳香環を有する化合物であれば特に限定されないが、例えば、フェノール、アルキルフェノール、アルコキシフェノール、不飽和炭化水素基含有フェノールなどのフェノール化合物;ナフトール、アルキルナフトール、アルコキシナフトール、不飽和炭化水素基含有ナフトールなどのナフトール化合物;スチレン、アルキルスチレン、アルコキシスチレン、不飽和炭化水素基含有スチレンなどのスチレン誘導体;クマロン、インデンなどが挙げられる。
【0134】
p−t−ブチルフェノールアセチレン樹脂としては、p−t−ブチルフェノールとアセチレンとを縮合反応させて得られる樹脂が挙げられる。
【0135】
アクリル系樹脂としては特に限定されないが、不純物が少なく、分子量分布がシャープな樹脂が得られるという点から、無溶剤型アクリル系樹脂を好適に使用できる。
【0136】
無溶剤型アクリル樹脂は、副原料となる重合開始剤、連鎖移動剤、有機溶媒などを極力使用せずに、高温連続重合法(高温連続塊重合法)(米国特許第4,414,370号明細書、特開昭59−6207号公報、特公平5−58005号公報、特開平1−313522号公報、米国特許第5,010,166号明細書、東亜合成研究年報TREND2000第3号p42−45等に記載の方法)により合成された(メタ)アクリル系樹脂(重合体)が挙げられる。なお、本明細書において、(メタ)アクリルは、メタクリル及びアクリルを意味する。
【0137】
上記アクリル系樹脂は、実質的に副原料となる重合開始剤、連鎖移動剤、有機溶媒などを含まないことが好ましい。また、上記アクリル系樹脂は、連続重合により得られる組成分布や分子量分布が比較的狭いものが好ましい。
【0138】
上述のように、上記アクリル系樹脂としては、実質的に副原料となる重合開始剤、連鎖移動剤、有機溶媒などを含まないもの、すなわち、純度が高いものが好ましい。上記アクリル系樹脂の純度(該樹脂中に含まれる樹脂の割合)は、好ましくは95質量%以上、より好ましくは97質量%以上である。
【0139】
上記アクリル系樹脂を構成するモノマー成分としては、例えば、(メタ)アクリル酸や、(メタ)アクリル酸エステル(アルキルエステル、アリールエステル、アラルキルエステルなど)、(メタ)アクリルアミド、及び(メタ)アクリルアミド誘導体などの(メタ)アクリル酸誘導体が挙げられる。
【0140】
また、上記アクリル系樹脂を構成するモノマー成分として、(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸誘導体と共に、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレンなどの芳香族ビニルを使用してもよい。
【0141】
上記アクリル系樹脂は、(メタ)アクリル成分のみで構成される樹脂であっても、(メタ)アクリル成分以外の成分をも構成要素とする樹脂であっても良い。
また、上記アクリル系樹脂は、水酸基、カルボキシル基、シラノール基等を有していてよい。
【0142】
スチレン系樹脂、クマロンインデン樹脂等の樹脂としては、例えば、丸善石油化学(株)、住友ベークライト(株)、ヤスハラケミカル(株)、東ソー(株)、Rutgers Chemicals社、BASF社、アリゾナケミカル社、日塗化学(株)、(株)日本触媒、JXエネルギー(株)、荒川化学工業(株)、田岡化学工業(株)等の製品を使用できる。
【0143】
上記樹脂を含有する場合、上記樹脂の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上である。また、上記含有量は、好ましくは50質量部以下、より好ましくは30質量部以下、更に好ましくは20質量部以下である。上記含有量が上記範囲内であると、前記効果がより好適に得られる。
【0144】
前記ゴム組成物は、オイルを含むことが好ましい。
オイルとしては、例えば、プロセスオイル、植物油脂、又はその混合物が挙げられる。プロセスオイルとしては、例えば、パラフィン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイルなどを用いることができる。植物油脂としては、ひまし油、綿実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、やし油、落花生湯、ロジン、パインオイル、パインタール、トール油、コーン油、こめ油、べに花油、ごま油、オリーブ油、ひまわり油、パーム核油、椿油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、桐油等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0145】
オイルとしては、例えば、出光興産(株)、三共油化工業(株)、(株)ジャパンエナジー、オリソイ社、H&R社、豊国製油(株)、昭和シェル石油(株)、富士興産(株)等の製品を使用できる。
【0146】
オイルを含有する場合、オイルの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上である。また、上記含有量は、好ましくは60質量部以下、より好ましくは30質量部以下である。なお、オイルの含有量には、ゴム(油展ゴム)に含まれるオイルの量も含まれる。
【0147】
前記ゴム組成物は、ステアリン酸を含むことが好ましい。
ステアリン酸としては、従来公知のものを使用でき、例えば、日油(株)、NOF社、花王(株)、和光純薬工業(株)、千葉脂肪酸(株)等の製品を使用できる。
【0148】
ステアリン酸を含有する場合、ステアリン酸の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上である。また、上記含有量は、好ましくは5.0質量部以下、より好ましくは3.0質量部以下、更に好ましくは2.5質量部以下である。上記数値範囲内であると、前記効果が良好に得られる傾向がある。
【0149】
前記ゴム組成物は、老化防止剤を含むことが好ましい。
老化防止剤としては、例えば、フェニル−α−ナフチルアミン等のナフチルアミン系老化防止剤;オクチル化ジフェニルアミン、4,4′−ビス(α,α′−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン等のジフェニルアミン系老化防止剤;N−イソプロピル−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−(1,3−ジメチルブチル)−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン、N,N′−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン等のp−フェニレンジアミン系老化防止剤;2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンの重合物等のキノリン系老化防止剤;2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、スチレン化フェノール等のモノフェノール系老化防止剤;テトラキス−[メチレン−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等のビス、トリス、ポリフェノール系老化防止剤などが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、p−フェニレンジアミン系老化防止剤、キノリン系老化防止剤が好ましく、N−(1,3−ジメチルブチル)−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンの重合物がより好ましい。
【0150】
老化防止剤としては、例えば、精工化学(株)、住友化学(株)、大内新興化学工業(株)、フレクシス社等の製品を使用できる。
【0151】
老化防止剤を含有する場合、老化防止剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1.0質量部以上、より好ましくは1.5質量部以上である。また、上記含有量は、好ましくは10質量部以下、より好ましくは7質量部以下である。
【0152】
前記ゴム組成物は、ワックスを含むことが好ましい。
ワックスとしては、特に限定されず、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油系ワックス;植物系ワックス、動物系ワックス等の天然系ワックス;エチレン、プロピレン等の重合物等の合成ワックスなどが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0153】
ワックスとしては、例えば、大内新興化学工業(株)、日本精蝋(株)、精工化学(株)等の製品を使用できる。
【0154】
ワックスを含有する場合、ワックスの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上である。また、上記含有量は、好ましくは10質量部以下、より好ましくは7質量部以下である。
【0155】
前記ゴム組成物には、前記成分の他、タイヤ工業において一般的に用いられている添加剤を配合することができ、硫黄以外の加硫剤(例えば、有機架橋剤、有機過酸化物);等を例示できる。
【0156】
前記ゴム組成物は、一般的な方法で製造される。すなわち、バンバリーミキサーやニーダー、オープンロールなどで前記各成分を混練りし、その後加硫する方法等により製造できる。
【0157】
混練条件としては、加硫剤及び硫黄原子含有加硫促進剤以外の添加剤を配合する場合、混練温度は、通常50〜200℃であり、好ましくは80〜190℃であり、混練時間は、通常30秒〜30分であり、好ましくは1分〜30分である。
加硫剤、硫黄原子含有加硫促進剤を配合する場合、混練温度は、通常100℃以下であり、好ましくは室温〜80℃である。また、加硫剤、硫黄原子含有加硫促進剤を配合した組成物は、通常、プレス加硫などの加硫処理が施される。加硫温度としては、通常120〜200℃、好ましくは140〜180℃である。
【0158】
硫黄原子含有加硫促進剤、上記式(I)で表される基を有する化合物は、ゴム成分と硫黄とを混練する段階で硫黄と共に加えて混練してもよいし、硫黄と混練する前の混練段階で加えて混練してもよい。なかでも、前記効果がより好適に得られるという理由から、硫黄原子含有加硫促進剤、上記式(I)で表される基を有する化合物は、硫黄と混練する前の混練段階で加えて混練することが好ましい。
【0159】
上記微粒子亜鉛担持体は、ゴム成分と硫黄とを混練する段階で硫黄と共に加えて混練してもよいし、硫黄と混練する前の混練段階で加えて混練してもよい。なかでも、前記効果がより好適に得られるという理由から、硫黄と混練する前の混練段階で加えて混練することが好ましい。
【0160】
前記ゴム組成物は、タイヤ、靴底ゴム、産業用ベルト、パッキン、免震ゴム、薬栓等に使用でき、なかでも、タイヤに好適に使用できる。
【0161】
前記ゴム組成物は、トレッド(キャップトレッド)に好適に用いられるが、トレッド以外のタイヤ部材、例えば、サイドウォール、ベーストレッド、アンダートレッド、クリンチエイペックス、ビードエイペックス、ブレーカークッションゴム、カーカスコード被覆用ゴム、インスレーション、チェーファー、インナーライナー等や、ランフラットタイヤのサイド補強層に用いてもよい。
【0162】
前記空気入りタイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法で製造される。
すなわち、前記成分を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でトレッドなどの各タイヤ部材の形状にあわせて押出し加工し、他のタイヤ部材とともに、タイヤ成型機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することによりタイヤを得る。このように前記ゴム組成物を用いてタイヤを製造することにより、該ゴム組成物を用いて作製したタイヤ部材を有するタイヤが得られる。
【0163】
前記空気入りタイヤは、乗用車用タイヤ、大型乗用車用、大型SUV用タイヤ、トラック、バスなどの重荷重用タイヤ、ライトトラック用タイヤ、二輪自動車用タイヤ、ランフラットタイヤ、競技用タイヤに好適に使用可能である。特に、乗用車用タイヤとしてより好適に使用できる。
【0164】
前記ゴム組成物は、上述のとおり、一般的な方法で製造されるが、以下の製造方法により製造することにより、より良好な耐摩耗性能が得られると共に、実用的な加硫時間も得られる。
【0165】
前記ゴム組成物の製造方法は、ゴム成分と硫黄とを混練する前に、ゴム成分と硫黄原子含有加硫促進剤とを混練し、その後、得られた混練物に硫黄を加えて混練する工程を含む方法であることが好ましい(製造方法1)。ゴム成分と硫黄原子含有加硫促進剤とを混練した後に、硫黄を加えて混練することにより、ゴム成分中に硫黄原子含有加硫促進剤が良好に分散し、均一な架橋密度が得られ、良好な耐摩耗性能が得られる。また、硫黄と混練する前の混練段階で、硫黄原子含有加硫促進剤をゴム成分と混練することで、加硫速度が早くなり、実用的な加硫時間が得られる。
【0166】
製造方法1において、ゴム成分と硫黄原子含有加硫促進剤とを混練する際に、更に上記式(I)で表される基を有する化合物を混練することが好ましい。該化合物を用いた場合、加硫速度が遅くなるという新たな課題が生じるが、硫黄と混練する前の混練段階で、硫黄原子含有加硫促進剤及び該化合物をゴム成分と混練することにより、加硫速度が適正化される。
【0167】
製造方法1は、ゴム成分と硫黄とを混練する前に、ゴム成分と硫黄原子含有加硫促進剤と任意に上記式(I)で表される基を有する化合物とを混練する。以上の要件を満たすのであれば、いずれの工程でいずれの材料を加えても構わない。例えば、混練工程が工程X(ベース練り)と工程F(仕上げ練り)とからなる2工程の場合、工程Xの初期にゴム成分と硫黄原子含有加硫促進剤と上記式(I)で表される基を有する化合物との混練を開始し、その後の工程Fを行ってもよい。また、混練工程が工程X(ベース練り1)と工程Y(ベース練り2)と工程F(仕上げ練り)とからなる3工程の場合、工程Xでゴム成分と硫黄原子含有加硫促進剤との混練を開始し、その後の工程Yで上記式(I)で表される基を有する化合物を加えて混練し、その後の工程Fを行ってもよい。なお、各工程の間にリミルを行ってもよい。
【0168】
製造方法1において、ゴム成分と硫黄原子含有加硫促進剤と任意の上記式(I)で表される基を有する化合物との混練工程の混練温度は、150℃以下が好ましく、120℃以下がより好ましく、100℃以下が更に好ましい。下限は特に限定されないが、分散性向上の観点から、好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃以上、更に好ましくは70℃以上である。該工程の混練時間は、分散性向上の観点から、好ましくは10秒以上、より好ましくは2分以上、更に好ましくは3分以上である。上限は特に限定されず、好ましくは12分以下、より好ましくは10分以下、更に好ましくは8分以下である。
【0169】
製造方法1において、ゴム成分と硫黄原子含有加硫促進剤と任意の上記式(I)で表される基を有する化合物との混練後、得られた混練物と前記微粒子亜鉛担持体とを混練する工程を行うことが好ましい。該工程の混練温度は、160℃以下が好ましく、150℃以下がより好ましい。下限は特に限定されないが、分散性向上の観点から、好ましくは80℃以上、より好ましくは100℃以上、更に好ましくは120℃以上である。該工程の混練時間は、分散性向上の観点から、好ましくは10秒以上、より好ましくは1分以上、更に好ましくは2分以上である。上限は特に限定されず、好ましくは12分以下、より好ましくは10分以下、更に好ましくは6分以下である。
【0170】
更に、前記ゴム組成物の製造方法として、ゴム成分と充填剤とを混練する前に、ゴム成分と硫黄原子含有加硫促進剤と任意に上記式(I)で表される基を有する化合物とを混練し、その後、得られた混練物に充填剤を加え、120℃以上の混練温度で混練する工程を含む方法も好適である(製造方法2)。
すなわち、製造方法2は、
ゴム成分と硫黄と充填剤とを混練する前に、ゴム成分と硫黄原子含有加硫促進剤と任意に上記式(I)で表される基を有する化合物とを混練し、その後、得られた混練物に充填剤を加え、120℃以上の混練温度で混練する工程と、
充填剤が混練された混練物に硫黄を加えて混練する工程とを含む方法も好適に使用できる。
【0171】
製造方法2において、上記微粒子亜鉛担持体は、充填剤と共に添加されて混練されることが好ましい。また、上記微粒子亜鉛担持体は、硫黄と共に添加されて混練されることも好ましい。
【0172】
充填剤には硫黄原子含有加硫促進剤が吸着する傾向があるため、ゴム成分と硫黄原子含有加硫促進剤とを混練した後に、充填剤を加えて混練することにより、ゴム成分中に硫黄原子含有加硫促進剤がより良好に分散した状態で充填剤を混練することで、充填剤への硫黄原子含有加硫促進剤の吸着を抑制でき、充填剤を加えて混練してもゴム成分中に硫黄原子含有加硫促進剤がより良好に分散した状態をより維持でき、更に、充填剤が混練された混練物に硫黄を加えて混練することにより、ゴム成分中に硫黄原子含有加硫促進剤がより良好に分散した状態で、硫黄を加えて混練することが可能となり、より均一な架橋密度が得られ、より良好な耐摩耗性能が得られる。
【0173】
製造方法2において、充填剤を加え、120℃以上の混練温度で混練する工程では、硫黄供与体が存在する状態で混練されることが好ましい。硫黄供与体は、ゴム成分と硫黄原子含有加硫促進剤とを混練する際に一緒に混練してもよく、充填剤と共に添加されてもよい。
【0174】
そして、製造方法2において、ゴム成分と硫黄供与体と硫黄原子含有加硫促進剤と充填剤と任意に上記式(I)で表される基を有する化合物とを、120℃以上の混練温度で混練することで、硫黄供与体から活性硫黄が放出される。この活性硫黄と硫黄原子含有加硫促進剤とゴム成分とが反応し、ゴム成分に硫黄原子含有加硫促進剤の全部又は一部(以下、「加硫促進剤残基」)が結合した状態、すなわち、ゴム成分に「−S−加硫促進剤残基」が結合したペンダント型構造が形成された状態となる。この反応のメカニズムは、放出された活性硫黄が硫黄原子含有加硫促進剤の硫黄原子と反応し、硫黄原子が2個以上結合した構造が形成され、その構造部分とゴム成分の二重結合部とが反応していると推測される。ペンダント型構造が形成された状態で混練を行うことにより、ゴム成分と共に加硫促進剤残基が移動するため、ゴム組成物全体における加硫促進剤残基の分散状態の均一性が向上し、加硫時の架橋密度の均一化を図ることができ、より良好な耐摩耗性能が得られる。
なお、ここでいう混練温度とは、混練機中の混練物の実測温度であり、非接触式の温度センサなどで測定することができる。
【0175】
製造方法2は、充填剤を混練する前にゴム成分と硫黄原子含有加硫促進剤と任意に上記式(I)で表される基を有する化合物との混練を開始し、また、充填剤を加えた後に120℃以上の混練温度で混練する。以上の要件を満たすのであれば、いずれの工程でいずれの材料を加えても構わない。例えば、混練工程が工程X(ベース練り)と工程F(仕上げ練り)とからなる2工程の場合、工程Xの初期にゴム成分と硫黄供与体と硫黄原子含有加硫促進剤と任意に上記式(I)で表される基を有する化合物との混練を開始し、工程Xの途中で充填剤を加えて120℃以上の混練温度で混練し、その後の工程Fを行ってもよい。また、混練工程が工程X(ベース練り1)と工程Y(ベース練り2)と工程F(仕上げ練り)とからなる3工程の場合、工程Xでゴム成分と硫黄供与体と硫黄原子含有加硫促進剤と任意に上記式(I)で表される基を有する化合物との混練を開始し、その後の工程Yで充填剤を加えて120℃以上の混練温度で混練し、その後の工程Fを行ってもよい。また、3工程の場合の他の例としては、工程Xの初期にゴム成分と硫黄供与体と硫黄原子含有加硫促進剤と任意に上記式(I)で表される基を有する化合物との混練を開始し、工程Xの途中で充填剤を加えて120℃以上の混練温度で混練し、その後の工程Y及び工程Fを行っても良いし、工程Xの初期にゴム成分と硫黄供与体と硫黄原子含有加硫促進剤と任意に上記式(I)で表される基を有する化合物との混練を開始し、工程Xの途中で充填剤を加え、その後の工程Yでさらに充填剤を加えて120℃以上の混練温度で混繍し、その後の工程Fを行ってもよい。なお、各工程の間にリミルを行ってもよい。
【0176】
製造方法2において、ゴム成分と硫黄原子含有加硫促進剤と任意の上記式(I)で表される基を有する化合物との混練温度は、特に限定されるものではないが、硫黄供与体も混練される場合、硫黄供与体及び硫黄原子含有加硫促進剤による架橋反応が進行してしまうことを抑制するという観点から160℃未満が好ましく、150℃以下がより好ましい。下限は特に限定されないが、好ましくは60℃以上である。
【0177】
また、製造方法2において、ゴム成分に充填剤を加える前における、ゴム成分と硫黄原子含有加硫促進剤と任意の上記式(I)で表される基を有する化合物との混練時間は、特に限定されるものではないが、硫黄原子含有加硫促進剤の分散性向上の観点から、例えば10秒以上である。上限は特に限定されないが、好ましくは8分以下である。
【0178】
製造方法2において、充填剤を加えた後の混練温度は、120℃以上であればよいが、架橋反応が進行し過ぎることを抑制するという観点から、170℃以下が好ましい。
【0179】
また、製造方法2において、ゴム成分に充填剤を加えて混練温度が120℃に達した後の混練時間は、特に限定されるものではないが、硫黄供与体及び硫黄原子含有加硫促進剤の分散性向上の観点から、2分以上が好ましい。上限は特に限定されないが、10分以下が好ましい。なお、ここでいう混練時間は、ゴム成分に充填剤を加えて混練温度が120℃に達した時点から、混練工程の全工程が終了する時点までの時間であり、例えば、工程Xにおいてゴム成分に充填剤を加えて混練温度が120℃に達した場合、その時点から工程F(最後の混練工程)が終了する時点までの時間である。
【0180】
硫黄供与体は、元素硫黄や、加硫条件(例えば150℃、1.5Mpa)又はそれ以下の温度及び圧力下で活性硫黄を放出する硫黄化合物であり、換言すれば、加硫条件(例えば150℃、1.5Mpa)又はそれ以下の温度及び圧力下において、一般的に加硫剤としての機能を発揮する化合物である。この放出された活性硫黄が、上述のペンダント型構造の一部を形成する。
【0181】
硫黄供与体としては、元素硫黄及び/又は前述した活性硫黄を放出する硫黄化合物を用いることができる。元素硫黄としては、例えば、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、表面処理硫黄、不溶性硫黄などが挙げられる。
【0182】
硫黄供与体として元素硫黄を配合し過ぎると、混練工程で加硫反応が過剰に進行するおそれがある。よって、前記ゴム組成物において、硫黄供与体として元素硫黄を用いる場合、ゴム成分と充填剤とを混練する前に投入する元素硫黄の含有量は、ゴム成分(全工程で使用するゴム成分の合計量)100質量部に対して、0.1質量部以下が好ましい。また、上記含有量は、破壊強度の観点から、0.05質量部以上が好ましい。
【0183】
硫黄供与体として機能する硫黄化合物としては、−(−M−S−C−)
n−で表される高分子多硫化物や、硫黄原子が2個以上単結合した構造−S
n−(n≧2)を有し、活性硫黄を放出する化合物が挙げられる。この化合物としては、アルキルフェノール・ジスルフィド、モルホリン・ジスルフィド、−S
n−(n≧2)を有するチウラム系加硫促進剤(テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラエチルチウラムジスルフィド(TETD)、テトラプチルチウラムジスルフィド(TBTD)、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(DPTT)など)、2−(4’−モルホリノジチオ)ベンゾチアゾール(MDB)や、ポリスルフィド型シランカップリング剤(例えばデグサ社製のSi69(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド))が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なかでも、−S
n−(n≧2)を有するチウラム系加硫促進剤が好ましく、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(DPTT)がより好ましい。
【0184】
前記ゴム組成物において、硫黄供与体として硫黄化合物を用いる場合、ゴム成分と充填剤とを混練する前に投入する硫黄化合物の含有量は、ペンダント型構造の形成を促すという理由から、ゴム成分(全工程で使用するゴム成分の合計量)100質量部に対して、0.1質量部以上が好ましく、0.2質量部以上がより好ましい。また、上記含有量は、混練中のゲル化抑制の観点から、5質量部以下が好ましく、3質量部以下がより好ましく、2質量部以下がさらに好ましい。
【0185】
なお、硫黄原子含有加硫促進剤の中には、硫黄供与体として機能するもの(例えば、他の分子と単結合で結合している硫黄原子を含む加硫促進剤)が存在する。したがって、硫黄供与体として機能する硫黄原子含有加硫促進剤を単独で多く配合したり2種以上を併用したりすることでもペンダント型構造の形成は可能である。しかしながら、硫黄供与体として機能する硫黄原子含有加硫促進剤を多く配合すると混練中に架橋反応が過度に進行するおそれがあり、少なく配合すると架橋密度の均一化の効果が得られ難くなるおそれがあるため、充填剤を加える前に混練する硫黄供与体及び硫黄原子含有加硫促進剤は、硫黄供与体(硫黄供与体として機能する硫黄原子含有加硫促進剤及び/又はそれ以外の硫黄供与体)と硫黄非放出性の硫黄原子含有加硫促進剤(硫黄供与体として機能しない硫黄原子含有加硫促進剤)との組み合わせであることが好ましい。
【0186】
製造方法2において、ゴム成分と充填剤とを混練する前に投入する硫黄原子含有加硫促進剤の含有量は、加硫工程において加硫反応が効率的に進むという理由から、ゴム成分(全工程で使用するゴム成分の合計量)100質量部に対して、1.0質量部以上が好ましく、1.5質量部以上がより好ましい。また、上記含有量は、スコーチ性、表面への析出抑制の観点から、5.0質量部以下が好ましく、3.0質量部以下がより好ましい。
【0187】
製造方法2は、ゴム成分と充填剤とを混練する前以外の工程で、さらに追加の硫黄供与体(特に、硫黄)を混練されることが好ましい。追加の硫黄供与体を加えることで混練中に架橋反応の進行が過度に進むことを抑制しつつ、加硫中に十分に架橋反応を進行させることができる。
【0188】
追加の硫黄供与体は、例えば、ゴム成分に充填剤を加えて120℃以上の混練温度で混練する工程Xの後半や工程Y、あるいは、ゴム成分に充填剤を加えて120℃以上の混練温度で混練した後の工程Fで投入される。追加の硫黄供与体は、ゴム成分に充填剤を加える前に混練したものと同種のものであってもよいし、別種のものであってもよく、例えば、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、表面処理硫黄、不溶性硫黄などの元素硫黄が好ましい。
【0189】
前記ゴム組成物において、追加の硫黄供与体の含有量は特に限定されないが、加硫工程において加硫反応が効率的に進むという理由から、ゴム成分(全工程で使用するゴム成分の合計量)100質量部に対して、0.5質量部以上が好ましく、0.8質量部以上がより好ましい。また、追加の硫黄供与体の含有量は、耐摩耗性に優れるという理由から、3.0質量部以下が好ましく、2.5質量部以下がより好ましく、2.0質量部以下が更に好ましい。
【0190】
追加の硫黄供与体を加える際には、追加の加硫促進剤を加えてもよい。追加の加硫促進剤としては、例えば、硫黄原子含有加硫促進剤であるチウラム系ジスルフィドやポリスルフィドなどや、硫黄原子を有しない加硫促進剤であるグアニジン系、アルデヒド−アミン系、アルデビド−アンモニア系、イミダゾリン系加硫促進剤などが挙げられる。
【0191】
前記ゴム組成物において、追加の加硫促進剤の含有量は特に限定されないが、ゴム成分(全工程で使用するゴム成分の合計量)100質量部に対して、0.1質量部以上が好ましく、1.0質量部以上がより好ましい。また、上記含有量は、5.0質量部以下が好ましく、3.0質量部以下がより好ましい。
【0192】
通常、工程X、Y(ベース練り)で得られた混練物に、加硫剤、硫黄原子含有加硫促進剤を添加し、工程F(仕上げ練り)が行われる。工程F(仕上げ練り)の混練温度は、通常100℃以下であり、好ましくは室温〜80℃である。
【0193】
工程Fを経て得られた未加硫ゴム組成物を、通常の方法で加硫することで、前記ゴム組成物(加硫ゴム組成物)が得られる。加硫温度としては、通常120〜200℃、好ましくは140〜180℃である。
【0194】
前記ゴム組成物の製造方法により得られるゴム組成物は、より良好な耐摩耗性能を有する。また、実用的な加硫時間も得られる。
【実施例】
【0195】
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
【0196】
合成例1(微粒子亜鉛担持体1の合成)
5.5質量%濃度の焼成クレー水懸濁液847mlに、酸化亜鉛を91.5g加えて十分に攪拌した。ついで、10質量%濃度の炭酸ナトリウム水溶液を330gと、10質量%塩化亜鉛水溶液を340g加えてさらに攪拌した。これに30質量%濃度の炭酸ガスを、pHが7以下になるまで吹き込んで、焼成クレーの表面に塩基性炭酸亜鉛を析出させて微粒子亜鉛担持体を合成した。その後、脱水、乾燥、粉砕工程を経て粉末化し、微粒子亜鉛担持体1を得た。
【0197】
微粒子亜鉛担持体1のBET比表面積は50m
2/gであった。また、微粒子亜鉛担持体1においては、焼成クレーに塩基性炭酸亜鉛が金属亜鉛として45質量%担持されていた。従って、担持された塩基性炭酸亜鉛のBET比表面積は60m
2/gであった。
【0198】
合成例2(微粒子亜鉛担持体2の合成)
7.3質量%濃度の焼成クレー水懸濁液847mlに、酸化亜鉛を25.5g加えて十分に攪拌した。ついで、10質量%濃度の炭酸ナトリウム水溶液を330gと、10質量%塩化亜鉛水溶液を340g加えてさらに攪拌した。これに30質量%濃度の炭酸ガスを、pHが7以下になるまで吹き込んで、焼成クレーの表面に塩基性炭酸亜鉛を析出させて微粒子亜鉛担持体を合成した。その後、脱水、乾燥、粉砕工程を経て粉末化し、微粒子亜鉛担持体2を得た。
【0199】
微粒子亜鉛担持体2のBET比表面積は38m
2/gであった。また、微粒子亜鉛担持体2においては、焼成クレーに塩基性炭酸亜鉛が金属亜鉛として30質量%担持されていた。従って、担持された塩基性炭酸亜鉛のBET比表面積は59m
2/gであった。
【0200】
以下、実施例及び比較例で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
SBR:日本ゼオン(株)製のNS616(非油展SBR、スチレン量:20質量%、ビニル量:66質量%、Tg:−23℃、Mw:24万)
BR:JSR(株)製のBR730(ハイシスBR、Nd系触媒を用いて合成されたBR、シス含量:97質量%、ムーニー粘度(100℃):55、Mw/Mn:2.51、ビニル含量:0.9質量%)
NR:TSR20(天然ゴム)
カーボンブラック:東海カーボン(株)製のシースト9H(N
2SA:142m
2/g、DBP吸油量:130ml/100g)
シリカ:デグッサ社製のUltrasil VN3(N
2SA:175m
2/g)
シランカップリング剤:デグッサ社製のSi266(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド)
ワックス:大内新興化学工業(株)製のサンノックワックス
オイル:出光興産(株)製のダイアナプロセスAH−24
老化防止剤:精工化学(株)製のオゾノン6C(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸「椿」
硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄(5%オイル含有)
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛
微粒子亜鉛担持体1:合成例1で調製した微粒子亜鉛担持体1
微粒子亜鉛担持体2:合成例2で調製した微粒子亜鉛担持体2
化合物1:2,2−ビス(4,6−ジメチルピリミジル)ジスルフィド(2,2′−Disulfanediylbis(4,6−dimethylpyrimidine)、特表2004−500471号に記載の前記式(I−1)で表される化合物)
化合物2:N−シクロヘキシル(4,6−ジメチル−2−ピリミジン)スルフェンアミド(前記式(I−2)で表される化合物)
加硫促進剤CZ:大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ(CBS、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
加硫促進剤DPG:大内新興化学工業(株)製のノクセラーD(DPG、1,3−ジフェニルグアニジン)
【0201】
<実施例及び比較例>
各表に示す配合処方にしたがい、ベース練り工程1に示す各種薬品を、1.7Lバンバリーミキサーにて、混練温度80℃で5分間混練した(ベース練り工程1)。次に、ベース練り工程1で得られた混練物及びベース練り工程2に示す各種薬品を、1.7Lバンバリーミキサーにて、混練温度140℃で3分間混練した(ベース練り工程2)。そして、ベース練り工程2で得られた混練物及び仕上げ練り工程に示す各種薬品を、オープンロールを用いて約80℃で3分間混練りし(仕上げ練り工程)、未加硫ゴム組成物を得た。さらに、得られた未加硫ゴム組成物を170℃の条件下で12分間プレス加硫し、加硫ゴム組成物を得た。
【0202】
得られた加硫ゴム組成物を用いて下記の評価を行い、結果を各表に示した。なお、表1の基準比較例を比較例1−1、表2の基準比較例を比較例2−1、表3の基準比較例を比較例3−1とした。
【0203】
(耐摩耗性能指数)
加硫ゴム組成物について、ランボーン摩耗試験機を用いて、温度20℃、スリップ率20%及び試験時間2分間の条件下でランボーン摩耗量を測定した。さらに、測定したランボーン摩耗量から容積損失量を計算し、基準比較例のランボーン摩耗指数を100とし、各配合の容積損失量を指数表示した。指数が大きいほど、耐摩耗性能に優れることを示す。
【0204】
(耐熱性能)
ゴム試験片(加硫ゴム組成物)を80℃のオーブンに200時間入れ熱老化を行った。熱老化後の試験片について、JIS K6251「加硫ゴムおよび熱可塑性ゴム−引張特性の求め方」に準じて、3号ダンベルを用いて引張試験を実施し、最大伸び(EB)及び破断点応力(TB)を測定し、破壊エネルギー(TB×EB/2)を算出した。基準比較例を100とし、指数表示した。指数が大きいほど耐熱性能に優れていることを示す。
(耐熱性能指数)=[各配合の(TB×EB)/2]/[基準比較例の(TB×EB/2)]×100
【0205】
(耐屈曲亀裂成長試験)
加硫ゴムシート(加硫ゴム組成物)を用い、JIS−K−6260「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−デマッチャ屈曲亀裂試験方法」に基づいてサンプルを作製し、屈曲亀裂成長試験を行い、70%伸張を100万回繰り返してゴムシートを屈曲させたのち、発生した亀裂の長さを測定した。基準比較例の測定値(長さ)の逆数を100とし、指数表示した。指数が大きいほど、亀裂の成長が抑制され、耐亀裂成長性に優れることを示す。
【0206】
【表1】
【0207】
【表2】
【0208】
【表3】
【0209】
表1〜3から、上記式(I)で表される基を有する化合物と、珪酸塩粒子の表面に酸化亜鉛微粒子又は塩基性炭酸亜鉛微粒子を担持させた微粒子亜鉛担持体とを含む実施例は、良好な耐摩耗性能、耐熱性能、耐亀裂成長性を有していた。また、実施例1−1及び比較例1−1〜1−3から、これら両成分により相乗的に性能が改善されることも明らかになった。なお、実施例は、実用的な加硫時間も確保されていた。