(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
基材、印刷層および樹脂層をこの順に有する化粧材における印刷層を形成するための、インキとイソシアネート系硬化剤からなるインキセットであって、以下(1)〜(3)を満たすことを特徴とするインキセット。
(1)前記インキは、重量平均分子量が10000〜100000であるポリウレタン樹脂および有機溶剤を含有する。
(2)前記ポリウレタン樹脂は、水酸基価が1〜40mgKOH/gおよび/またはアミン価が1〜20mgKOH/gである。
(3)前記ポリウレタン樹脂と前記イソシアネート系硬化剤との質量比(ポリウレタン樹脂/イソシアネート系硬化剤)は、99/1〜60/40である。
(4)前記ポリウレタン樹脂は、ポリラクトンポリオール由来の構造単位を含有し、ポリウレタン樹脂総質量中ポリラクトンポリオール由来の構造単位を5〜35質量%有する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。本発明のインキセットは、特定のポリウレタン樹脂および有機溶剤を含むインキと、イソシアネート系硬化剤のセットである。
【0016】
<ポリウレタン樹脂>
本発明のインキセットを構成するインキは、ポリウレタン樹脂をバインダー樹脂として使用する。バインダー樹脂とはインキにおける結着機能を担う有機溶剤に可溶な熱可塑性樹脂をいう。ポリウレタン樹脂以外のバインダー樹脂としては、アクリル樹脂やポリエステル樹脂、ニトロセルロース樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂等が挙げられる。本発明においては基材と樹脂層との密着性の観点からポリウレタン樹脂をバインダー樹脂の主成分(50質量%以上)として使用することが好ましい。また必要な物性や印刷適性等を満たすためには、以下に示すポリウレタン樹脂の性状(構造、分子量、水酸基価、アミン価、ウレタン・ウレア結合濃度等)の要件が性能に寄与する。
【0017】
ポリウレタン樹脂の重量平均分子量は、10000〜100000であり、好ましくは20000〜80000である。重量平均分子量が10000以上であると、耐湿熱性や耐ブロッキング性、ラミネート強度が良好となることが期待され、重量平均分子量が100000以下であると版かぶりやインキ経時安定性が良好となることが期待される。なお、重量平均分子量はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)による測定値をいう。
【0018】
またポリウレタン樹脂は、水酸基価が1〜40mgKOH/gおよび/またはアミン価が1〜20mgKOH/gであり、好ましくは水酸基価が3〜30mgKOH/gおよび/またはアミン価が3〜15mgKOH/gである。水酸基価が1mgKOH/gおよび/またはアミン価が1mgKOH/g以上であると、耐湿熱性やラミネート強度が良好となり、水酸基価が40mgKOH/g以下および/またはアミン価が20mgKOH/g以下であるとインキセットの経時安定性が良好となることが期待される。
【0019】
ポリウレタン樹脂は、特に制限はなく、例えば特開2002−356529号公報、特開2005−298618号公報、特開2017−19991号公報または特開2016−130297号公報等に記載されている公知の方法により製造される。例えば、ポリオールとポリイソシアネートとの反応により得られるポリウレタン樹脂や、ポリオールとポリイソシアネートとの反応により得られる末端にイソシアナト基を有するウレタンプレポリマーと、ポリアミンなどのアミン系鎖延長剤との反応により得られるポリウレタン樹脂などが好ましい。
【0020】
ポリウレタン樹脂は、ポリエーテルポリオール、ポリラクトンポリオールおよびポリカーボネートポリオールからなる群より選ばれる少なくとも1種のポリオールに由来する構造単位を有することが好ましく、ポリラクトンポリオール由来の構造単位を有することがより好ましい。また、ポリエーテルポリオール、ポリラクトンポリオールおよびポリカーボネートポリオールからなる群より選ばれる少なくとも1種のポリオールは、ポリウレタン樹脂総質量中5〜35質量%有することが好ましい。また10〜35質量%であることがより好ましい。ポリラクトンポリオール由来の構造単位がポリウレタン樹脂総重量中5%以上であると耐候性が良好であり、ポリラクトンポリオール由来の構造単位がポリウレタン樹脂総質量中35%以下であると耐湿熱性が良好である。その他ポリオールとしては、ポリエステルポリオール、ポリオレフィンポリオール、ひまし油ポリオール、水素添加ひまし油ポリオール、ダイマージオール、水添ダイマージオールなどが挙げられる。
【0021】
ポリウレタン樹脂は、ウレタン結合と共に、ウレア結合を含むことが好ましい。また、ポリウレタン樹脂中のウレア結合濃度は、0.8〜2.5mmol/gであることが好ましく、1.2〜2.0mmol/gであることがより好ましい。ウレア結合濃度が0.8mmol/g以上であると耐湿熱性や耐ブロッキング性が良好で、2.5mmol/g以下であると、版かぶりやラミネート強度が良好である。なお、ウレタン結合濃度およびウレア結合濃度とは以下の値をいう。また、ウレタン結合濃度は、1.5〜2.5mmol/gであることが好ましい。
【0022】
(ウレタン結合濃度)
ウレタン結合濃度は、次式(1)または式(2)で表わされる値をいう。
(NCOモル数/OHモル数)>1の場合:
式(1) ウレタン結合濃度(mmol/g)=OHモル数(mmol)/ポリウレタン樹脂の質量(g)
(NCOモル当量/OHモル当量)<1の場合:
式(2) ウレタン結合濃度(mmol/g)=NCOモル数(mmol)/ポリウレタン樹脂の質量(g)
但し、式中、
OHモル数:ポリウレタン樹脂を構成するポリオール中の水酸基のモル数
NCOモル数:ポリウレタン樹脂を構成するポリイソシアネート中のイソシアナト基のモル数
を表す。
【0023】
(ウレア結合濃度)
ウレア結合濃度は次式(3)または式(4)で表わされる値をいう。
(NCOモル当量/OHモル当量)>1の条件で末端にイソシアナト基を有するプレポリマーを合成した後に、更にポリアミンと反応させて末端にアミノ基を有するポリウレタン樹脂を得る場合:
式(3)ウレア結合濃度(mmol/g)=[NCOモル数(mmol)−OHモル数(mmol)]/ポリウレタン樹脂の質量(g)
上記(NCOモル当量/OHモル当量)>1の条件でイソシアナト基を有するプレポリマーを合成した後に、更にポリアミンと反応させて末端にイソシアナト基を有するポリウレタン樹脂を得る場合:
式(4)ウレア結合濃度(mmol/g)=(アミノ基モル数(mmol))/ポリウレタン樹脂の質量(g)
但し、式中、
OHモル数:ポリウレタン樹脂を構成するポリオール中の水酸基のモル数
NCOモル数:ポリウレタン樹脂を構成するポリイソシアネート中のイソシアナト基のモル数
アミノ基モル数:ポリウレタン樹脂を構成するポリアミン中のアミノ基のモル数
を表す。
【0024】
以下、ポリウレタン樹脂を構成するポリオールについて説明する。ポリオールは、分子内に水酸基を2個以上有する化合物を指し、ポリエーテルポリオール、ポリラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール、アルカンポリオール等であることが好ましい。ポリオールは、分子量500未満のポリオールを含有することが好ましく、ポリオール総質量中に5〜20質量%含有することが好ましい。ポリウレタン樹脂は、その総質量中に分子量500未満のポリオールからなる構造単位を3〜10質量%含有することが好ましい。
【0025】
(ポリエーテルポリオール)
上記ポリエーテルポリオールは、酸化エチレン、酸化プロピレン、テトラヒドロフランなどの環状エーテルが開環重合したり、ポリオールが重縮合したりして、分子構造中にエーテル結合を有し、かつ末端に水酸基を有するポリオールを指す。中でもポリテトラメチレングリコールやポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリトリメチレングリコールなどが好ましく、数平均分子量は500〜10000であることが好ましく、500〜3000であることがより好ましい。
【0026】
(ポリラクトンポリオール)
ポリラクトンポリオールとは、ラクトンの開環重合した末端に水酸基を有するポリオールを指す。ポリラクトンポリオールは、ポリオールの存在下、ラクトンを開環重合させて合成することが多いが、ポリラクトンポリオールを構成するラクトンとしては、α−アセトラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトンおよびε−カプロラクトンより選ばれる少なくとも一種が好適である。また、ポリラクトンポリオールを構成するポリオールとしては、ジオールであることが好ましく、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3,3,5−トリメチルペンタンジオール、2、4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,12−オクタデカンジオール、1,2−アルカンジオール、1,3−アルカンジオール、1−モノグリセライド、2−モノグリセライド、1−モノグリセリンエーテル、2−モノグリセリンエーテル等が好適である。
【0027】
また、ポリラクトンポリオールを合成する際、上記ラクトンやポリオールに加えて、二塩基酸を併用しても良い。二塩基酸としては、アジピン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、シュウ酸、マロン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸、グルタル酸、1、4−シクロヘキシルジカルボン酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸等が挙げられる。
【0028】
ポリラクトンポリオールは、数平均分子量が500〜10000であることが好ましく、500〜3000であることがより好ましい。また、ポリウレタン樹脂中にポリラクトンポリオールからなる構造単位を5〜50質量%含有することが好ましく、5〜35質量%含有することがより好ましく、10〜35質量%含有することが更に好ましい。耐湿熱性、耐湿熱性や耐加水分解性が向上することが期待されるためである。
【0029】
(ポリカーボネートポリオール)
ポリカーボネートポリオールとは、分子内にカーボネート構造を有し、末端に水酸基を有するたポリオールを指す。例えば、ジオールとカーボネートとの脱アルコール反応により得られる。ジオールとしては上記と同様のものが好適である。ポリカーボネートを構成するモノマーであるカーボネートとしては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、5−メチル−1,3−ジオキサン−2−オン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等が挙げられる。ポリカーボネートポリオールは、数平均分子量が500〜10000であることが好ましく、500〜3000であることがより好ましい。
【0030】
ポリカーボネートポリオールの具体例としては、クラレポリオール C−590、C−1090、C−2050、C−3090(株式会社クラレ社製)、ETERNACOLL UH−100、UH−200、UH−300、UM−90、PH−200D(宇部興産社製)等が挙げられる。
【0031】
(アルカンポリオール)
アルカンポリオールは、アルカンの水素原子が2つ以上水酸基で置換された化合物を指す。アルカンポリオールは、アルカンジオールであることが好ましい。アルカンポリオールは、分子量が500未満のものが好ましく、50〜300のものがより好ましい。また、ポリウレタン樹脂を構成するポリオール総質量中に5〜20質量%含有することが好ましい。アルカンポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3,3,5−トリメチルペンタンジオール、2、4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,12−オクタデカンジオール等が挙げられる。中でも、炭素数1〜6のアルカンポリオールであることが好ましく、また分岐アルカンポリオールであることが好ましく、アルカンジオールであることが好ましく、アルカンポリオール中の水酸基が一級であることが好ましく、アルカンポリオール中の一級水酸基を少なくも2つ有することが好ましく、炭素数1〜4のアルキル基を有することが好ましい。具体的には、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオールが好ましい。
【0032】
(ポリイソシアネート)
ポリウレタン樹脂を構成するポリイソシアネートとしては、ポリウレタン樹脂の製造に一般的に用いられる各種公知の芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネートなどが挙げられる。例えば、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4’−ジベンジルイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ブタン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジメリールジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、ビス(クロロメチル)ジフェニルメタン−ジイソシアネート、2,6−ジイソシアネート−ベンジルクロライドやダイマー酸のカルボキシル基をイソシアナト基に転化したダイマージイソシアネート等が挙げられる。これらは3量体となってイソシアヌレート環構造となっていても良い。これらのポリイソシアネートは単独で、または2種以上を混合して用いることができる。中でも、好ましくは、脂肪族ジイソシアネートおよび脂環族イソシアネートであり、イソホロンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体などが好適である。
【0033】
(ポリアミン)
ポリウレタン樹脂を構成するポリアミンは、鎖延長剤として機能してウレア結合を形成するものであれば限定は無いが、分子量500以下が好ましく、ジアミン、多官能アミン等が挙げられ、ジアミンとしては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジアミン、p−フェニレンジアミンなどが好ましく、2−(2−アミノエチルアミノ)エタノール、N−(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N,N’−ビス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N’−ビス(2−ヒドロキシエチル)プロピレンジアミン等の水酸基を有するジアミンも用いることが出来る。これらのポリアミンは単独で、または2種以上を混合して用いることができる。このような水酸基を有するジアミンを使用することでポリウレタン樹脂に水酸基を導入できる。また、必要に応じて、ポリアミンとして分子内にアミノ基を3つ以上有するポリアミンを使用することができ、具体的には、ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン:(IBPA、3,3’−ジアミノジプロピルアミン)、トリエチレンテトラミン、N−(3−アミノプロピル)ブタン−1,4−ジアミン:(スペルミジン)、6,6−イミノジヘキシルアミン、3,7−ジアザノナン−1,9−ジアミン、N,N’−ビス(3‐アミノプロピル)エチレンジアミンが挙げられる。ポリアミンは、脂肪族および/または脂環族アミンが好ましく、上記の中ではイソホロンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イミノビスプロピルアミンが好ましい。
【0034】
また、ポリウレタン樹脂を合成する際に、過剰反応停止を目的とした重合停止剤として、一価の活性水素化合物を用いることもできる。かかる化合物としては、例えば、1級、2級のアミノ基を有するモノアミンが挙げられ、ジ−n−ブチルアミン等のジアルキルアミン類や2−エタノールアミン、3−プロパノールアミンなどのアミノアルコール類等があげられる。特にポリウレタン樹脂中に水酸基を導入したいときには、重合停止剤としてアミノアルコール類を使用することで可能となる。
【0035】
水酸基を有するポリウレタン樹脂は、例えば、上記ウレタンプレポリマーと2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、2−ヒドロキシエチルプロピルジアミン等の水酸基を有するジアミンを反応させる方法、または上記重合停止剤としてアミノアルコールを使用する方法で得られ、アミノ基を有するポリウレタン樹脂は、例えば、上記ウレタンプレポリマーとヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン等のジアミン系鎖延長剤を反応させることで得られる。ただし、水酸基やアミノ基の導入方法はこれらに限定されるものではない。
【0036】
<有機溶剤>
本発明のインキセットは、有機溶剤を含む。有機溶剤としては、トルエン、キシレン等の芳香族系有機溶剤を含まない、所謂ノントルエン系有機溶剤であることが好ましく、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系有機溶剤、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル等のエステル系有機溶剤、メタノール、エタノール、1−プロパノール(n‐プロパノール)、イソプロパノール、n−ブタノール等のアルコール系有機溶剤、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル等のグリコールエーテル系有機溶剤などが好ましく、混合して使用しても良い。中でもグリコールエーテル系有機溶剤をインキ総質量中に10%以下含有することが好ましい。また、水をインキ総質量中に10%以下で少量含有しても良い。
【0037】
<イソシアネート系硬化剤>
イソシアネート系硬化剤は、本発明のインキセットにおいて、基材、樹脂層との密着性や耐湿熱性付与のために必要であり、1分子中にイソシアナト基を2つ以上有する化合物が好ましく、1分子中に2〜4個のイソシアナト基を有することがより好ましい。
【0038】
イソシアネート系硬化剤には、特に限定されないが、イソシアヌレート体、トリメチロールプロパンのアダクト体、ビューレット体、アロファネート体などが好適であり、この中から一種または二種以上を用いることが好ましい。イソシアヌレート体とは、ジイソシアネートが環化した3量体をいう。アダクト体とは、エチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパンなどの水酸基を有する体の水酸基にジイソシアネートが付加した構造を有するイソシアネートをいう。ビューレット体とは、ジイソシアネートがウレタン結合を有する化合物とビューレット結合を形成したイソシアネートをいう。アロファネート体とは、ジイソシアネートがウレア結合を有する化合物とビューレット結合を形成したイソシアネートをいう。
【0039】
これらイソシアネート系硬化剤の内、ジイソシアネートとしては、上記ポリウレタン樹脂を構成する芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネートなどが挙げられる。
好ましくは、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート体、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンのアダクト体から選ばれる少なくとも1種である。
【0040】
本発明のインキセットは、上記ポリウレタン樹脂と上記イソシアネート系硬化剤の質量比(ポリウレタン樹脂とイソシアネート系硬化剤)が99/1〜60/40であり、好ましくは90/10〜70/30である。上記ポリウレタン樹脂と上記イソシアネート系硬化剤の質量比(ポリウレタン樹脂/イソシアネート系硬化剤)が99/1以下であると耐湿熱性やラミネート強度が良好で、60/40以上であると、インキ経時安定性、版かぶり性、耐ブロッキング性が良好となる。上記数値範囲であればポリウレタン樹脂の有する水酸基および/またはアミノ基とイソシアネート系硬化剤が、ウレタン結合またはウレア結合を形成するので印刷層の凝集力が向上するためである。
【0041】
<着色剤>
インキは、着色剤を含んでも良い。着色剤としては、顔料や染料等を挙げることができ、顔料としては、無機顔料、有機顔料いずれでも使用可能である。有機顔料としては、溶性アゾ系、不溶性アゾ系、アゾ系、フタロシアニン系、ハロゲン化フタロシアニン系、アントラキノン系、アンサンスロン系、ジアンスラキノニル系、アンスラピリミジン系、ペリレン系、ペリノン系、キナクリドン系、チオインジゴ系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系、アゾメチンアゾ系、フラバンスロン系、ジケトピロロピロール系、イソインドリン系、インダンスロン系、カーボンブラック系などの顔料が挙げられる。
【0042】
一方、無機顔料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化クロム、シリカなどの白色無機顔料が挙げられる。無機顔料の中では酸化チタンの使用が特に好ましい。酸化チタンは、白色を呈し、着色力、隠ぺい力、耐薬品性、耐候性の点から好ましく、印刷性能の観点からシリカおよび/またはアルミナ処理を施されているものが好ましい。白色以外の無機顔料としては、例えば、アルミニウム粒子、マイカ(雲母)、ブロンズ粉、クロムバーミリオン、黄鉛、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、群青、紺青、ベンガラ、黄色酸化鉄、鉄黒、酸化亜鉛等が挙げられる。
【0043】
顔料は、インキの濃度・着色力を確保するのに充分な量、すなわちインキ組成物の総重量に対して1〜50重量%、インキ組成物中の固形分重量比では10〜90重量%の割合で含まれることが好ましい。また、これらの顔料は単独で、または2種以上を併用して用いることができる。
【0044】
<添加剤>
インキは、顔料誘導体、体質顔料、分散剤、湿潤剤、接着補助剤、レベリング剤、消泡剤、帯電防止剤、トラッピング剤、ブロッキング防止剤、ワックス成分、シランカップリング剤などの一般的なインキに使用される添加剤を含有することができる。例えば、分散剤としては、アニオン性、ノニオン性、カチオン性、両イオン性などの界面活性剤を使用することができる。分散剤は、インキの保存安定性の観点からインキの総重量100重量%中0.1〜10.0重量%でインキ中に含まれることが好ましい。さらに、0.1〜3.0重量%の範囲で含まれることがより好ましい。
【0045】
<インキの製造>
インキは、ポリウレタン樹脂等を有機溶剤中に溶解および/または分散することにより製造することができる。具体的には、例えば、ポリウレタン樹脂、および必要に応じて前記着色剤や分散剤を混合し、有機溶剤などを配合することによりインキを製造することができる。分散機としては一般に使用される、例えばローラーミル、ボールミル、ペブルミル、アトライター、サンドミルなどを好適に用いることができる。
【0046】
<粘度>
インキの粘度は、フレキソ印刷法やグラビア印刷法などでの高速印刷(50〜300m/分)に対応させるためには、B型粘度計での25℃における粘度が40〜500mPa・sの粘度範囲であることが好ましい。より好ましくは50〜400mPa・sの範囲である。この粘度範囲は、ザーンカップ#4での粘度が9秒〜40秒程度に相当する。なお、インキの粘度は、使用される原材料の種類や量、例えば、ポリウレタン樹脂、有機溶剤などの量を適宜選択することにより調整することができる。
【0047】
<基材>
本発明において用いられる基材は、主にフィルムまたはシート状のものである。基材を構成する材料に限定はないが、樹脂製基材(プラスチック基材)が好適に使用される。樹脂製基材を構成する樹脂の種類としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸などのポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂、6−ナイロン、6,6−ナイロン等のポリアミド樹脂、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、ニトロセルロース等のセルロース樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の塩素化ポリオレフィン樹脂、ポリテトラフロロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等のフッ化ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、AS樹脂、ABS樹脂等が挙げられる。また、本発明のインキセットは、着色基材に好適に使用することができる。着色基材は、一般に着色剤を上記樹脂と混練してフィルムまたはシート状に加工して得られる。なお、透明基材に着色層を有するものであってもよい。また、基材の表面は、プラズマ処理、コロナ処理、フレーム処理、プライマー処理等の表面処理が施されていても良い。
【0048】
<印刷層>
本発明のインキセットは、グラビア印刷方式やフレキソ印刷方式などの輪転印刷方式で印刷が可能である。例えば、グラビア印刷に適した粘度及び濃度にまで有機溶剤で希釈され、単独でまたは混合されて各印刷ユニットに供給される。基材上に、本発明のインキセットを用いて印刷して印刷層を形成し、印刷物を得ることができる。
【0049】
<樹脂層>
樹脂層は、上で説明した樹脂製基材を構成する樹脂と同じ樹脂を使用することができるが、熱可塑性樹脂からなる層(熱可塑性樹脂層)であることが好ましい。熱可塑性樹脂層としては、ポリプロピレン樹脂やポリエチレン樹脂等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などの他、アクリル、スチレン、その他モノマーの重合体からなる樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、一種からなる樹脂であっても二種以上からなる樹脂であっても良い。また、樹脂層は、単層でも複数層からなる層であっても良い。
【0050】
<積層体>
本発明の積層体は、基材、本発明のインキセットからなる印刷層、樹脂層が、この順に配置されたものである。本発明の積層体は、例えば、印刷層に溶融ポリプロピレン等を圧着して積層するダイレクトラミネート法、印刷層に塩化ビニル樹脂シート等を熱圧着して積層するダブリング工法、印刷層上に、溶融ポリエチレン樹脂や溶融ポリプロピレン樹脂等を積層するエクストルージョンラミネート(押し出しラミネート)法など公知の方法により得られる。なお、上記積層体における各層間の密着性を向上させるために、アンカーコート層を設けても良い。アンカーコート層としては、例えば、イミン系、イソシアネート系、ポリブタジエン系等のアンカーコート剤からなる層が挙げられる。積層体において、印刷層と他の層との間に使用することが好ましい。
【0051】
<化粧材>
本発明の化粧材は、上記積層体と板とを貼り合わせたものである。板としては、木製版、プラスチック製板、金属製板およびこれらの複合板等が挙げられ、更に具体的には、南洋材合板、パーティクルボード、中密度繊維板(以後MDF)、日本農林規格に規定される普通合板、木紛添加オレフィン系樹脂からなる基材、鋼板、アルミニウム板およびこれらの複合板等が挙げられる。尚、積層体と板を貼り合わせる際に、接着剤等を使用してもよい。板の厚さは3〜25mm程度が好適である。
【実施例】
【0052】
以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、本発明における「部」および「%」は、特に注釈の無い場合、「質量部」および「質量%」を表わす。
なお、実施例7、9、23、25は、参考例である。
【0053】
(水酸基価)
水酸基価は、JISK0070(1992年)に規定されている方法に基づいて測定した。
【0054】
(アミン価)
アミン価は、以下の方法により測定した。試料を0.5〜2g精秤した(試料量:Sg)。精秤した試料に中性エタノール(BDG中性)30mLを加えて溶解させた。得られた溶液を0.2mol/Lエタノール性塩酸溶液(力価:f)で滴定を行なった。溶液の色が緑から黄に変化した点を終点とし、この時の滴定量(AmL)から、以下の(式2)に基づいてアミン価を求めた。
(式5)アミン価=(A×f×0.2×56.108)/S
【0055】
(数平均分子量(Mn))
ポリオールの数平均分子量は水酸基数および水酸基価から下記式(6)より求めた値とした。
(式6)数平均分子量=56110×水酸基数(個)/水酸基価(mgKOH/g)
式中、水酸基数とはポリオール1分子中の水酸基の数をいい、水酸基価とはJISK0070(1992年)による測定値をいう。括弧内は単位を表す。
【0056】
(重量平均分子量(Mw))
Mwは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)装置(昭和電工社製「ShodexGPCSystem−21」)を用いて分子量分布を測定し、ポリスチレン換算分子量として求めた。以下に測定条件を示す。
カラム:下記の複数のカラムを直列に連結して使用。
東ソー株式会社製、TSKgelSuperAW2500、
東ソー株式会社製、TSKgelSuperAW3000、
東ソー株式会社製、TSKgelSuperAW4000、
東ソー株式会社製、TSKgelguardcolumnSuperAWH
検出器:RI(示差屈折率計)
測定条件:カラム温度40℃、
溶離液:テトラヒドロフラン
流速:1.0mL/分
【0057】
(合成例1)[ポリウレタン樹脂PU1]
ε−カプロラクトンの開環重合体である数平均分子量1250のポリカプロラクトンジオール50部、数平均分子量2000のポリテトラメチレングリコール(以下「PTG」)50部、ネオペンチルグリコール19部、イソホロンジイソシアネート(以下「IPDI」)99部および酢酸エチル54.5部からなる混合物を、窒素気流下80℃で4時間反応させ、末端イソシアネートプレポリマーの溶剤溶液を得た。次いで、イソホロンジアミン(以下「IPDA」)17.5部、ジブチルアミン(以下「DBA」)2.6部、2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン(以下「AEA」)10.2部、酢酸エチル303.3部およびイソプロパノールからなる混合物に、上記で得られた末端イソシアネートプレポリマー溶液を40℃で徐々に添加し、さらに80℃で1時間反応させ、固形分30%、アミン価7.0mgKOH/g、水酸基価22.1mgKOH/g、重量平均分子量40000のポリウレタン樹脂PU1溶液を得た(溶液中の溶剤組成は、酢酸エチル/2−プロパノール(IPA)=60/40(質量比)である)。なお、上記式(3)に基づいてウレア結合濃度を算出したところ、1.59mmol/gであった。
【0058】
(合成例2〜12)[ポリウレタン樹脂PU2〜PU12]
表1に記載された原料および配合に変更した以外は、合成例1と同様の方法により、ポリウレタン樹脂PU2〜PU12溶液をそれぞれ得た。なお表中の数値は、特に断りのない限り「部」を表し、空欄は配合していないことを表す。また、溶剤の配合量を省略している。表中の略称は以下を表す。
ポリカーボネートポリオール:クラレ社製製品名C−20503−メチル−1,5−ペンタンジオールおよび1,6−ヘキサンジオールに由来する構造単位を有する数平均分子量2000のポリカーボネートジオール
ポリエステルポリオール:アジピン酸と1,2−プロパンジオールの縮合物である数平均分子量1630のポリエステルポリオール
【0059】
(比較合成例1〜6)[ポリウレタン樹脂PU13〜PU18]
表2に記載された原料および配合に変更した以外は、合成例1と同様の方法により、ポリウレタン樹脂溶液PU13〜PU18を得た。
【0060】
(実施例1)[インキセットS1の作成]
ポリウレタン樹脂としてポリウレタン樹脂PU1溶液(固形分30%)を50部、顔料としてC.I.ピグメントイエロー110(BASF社製、イルガジンイエローL2060)を7部、有機溶剤として酢酸エチル/IPA=60/40(質量比)の溶液42部を混合し、アイガーミルで30分間分散した後、更に有機溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテル1部を混合してインキを得た。
またイソシアネート系硬化剤としてタケネートD−140N(三井化学社製、イソホロンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体)5部とでインキセットS1とした。
【0061】
(実施例2〜16)[インキセットS2〜16の作成]
表3に記載された原料および配合に変更した以外は、実施例1と同様の方法により混合し、インキセットS2〜S16をそれぞれ得た。なお表中の略称は以下を表す。
デュラネートP301−75E:旭化成社製ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体
酸化チタン:テイカ社製、JR−805
【0062】
(比較例1〜8)[インキセットT1〜8の作成]
表4に記載された原料および配合に変更した以外は、上記実施例1と同様の方法により、インキセットT1〜T8をそれぞれ得た。
【0063】
(実施例17)
<インキセットの印刷>
上記で得られたインキセットS1を、混合溶剤(メチルエチルケトン「MEK」:n−プロピルアセテート「NPAC」:IPA=40:40:20(質量比))により、粘度が16秒(25℃、ザーンカップNo.3)となるように希釈混合し、ヘリオ175線グラデーション版(版式コンプレスト、100%〜3%のグラデーション柄)により、コロナ処理が施された厚さ60μmの着色(白色)ポリプロピレン樹脂基材のコロナ処理面に印刷速度150m/分で印刷し、印刷物G1を得た。なお、印刷終了後60分間空転して版かぶり性を確認した。
【0064】
<熱ラミネート>
得られた印刷物G1について、印刷物G1の印刷層と無延伸透明ポリエチレン(三井化学東セロ社製、TUXFCD100μm)を80℃で熱ラミネート加工することにより貼り合わせて熱ラミネート積層体A1を得た。
【0065】
<エクストルージョン(EL)ラミネート>
印刷物G1の印刷層上に、ウレタン樹脂系アンカーコート剤(東洋モートン社製EL540(主剤)/CAT−RT32(硬化剤))を固形分1重量%(重量比、メタノール/水=70/30)溶液で塗工、乾燥し、更にその上に低密度ポリエチレン(ノバテックLC600、日本ポリケム株式会社製)を315℃にて溶融させて積層(エクストルージョンラミネート加工)を行い、ELラミネート積層体B1を得た。
【0066】
(実施例18〜32)
インキセットS18〜S32を用いて、実施例17と同様の方法で、印刷物G2〜G16、熱ラミネート積層体A2〜A16およびELラミネート積層体B2〜B16をそれぞれ得た。
【0067】
(比較例9〜16)
インキセットT1〜T8について、実施例16と同様の方法でラミネート加工を行い、印刷物H1〜H8、熱ラミネート積層体C1〜C8、ELラミネート積層体D1〜D8をそれぞれ得た。なお、評価はラミネート積層体を40℃、48時間保持後に行った。
【0068】
上記にて得られたインキセット、印刷物および各ラミネート積層体について下記評価を行い、表5(実施例)および表6(比較例)に結果を示した。
【0069】
<耐湿熱性>
熱ラミネート積層体A1〜16(実施例)およびC1〜C8(比較例)について、85℃、85%RHで1ヶ月保管した。保管前後の積層体をそれぞれ、巾15mmに裁断し、印刷層と基材との間の剥離強度(ラミネート強度)をインテスコ製201万能引張り試験機にて測定した。保管前のラミネート強度に対する保管後のラミネート強度の割合により、耐湿熱性を評価した。なお、保管前の熱ラミネート積層体A1〜16のラミネート強度は、いずれも10N/15mm以上であり実用レベルを満たしていた。
A.ラミネート強度の低下が認められない。(極めて良好)
B.保管前ラミネート強度の85%以上100%未満である。(良好)
C.保管前ラミネート強度の70%以上85%未満である。(実用範囲内)
D.保管前ラミネート強度の40%以上70%未満である。(不良)
E.保管前ラミネート強度の40%未満である。(極めて不良)
【0070】
<耐光性>
熱ラミネート積層体A1〜16(実施例)およびC1〜C8(比較例)について、促進耐光試験機紫外線フェードメーター(スガ試験機株式会社製)を用いて、63℃、50%RH、照度450W/m
2条件で96時間光を照射した。照射前後の積層体をそれぞれ、巾15mmに裁断し、印刷層と基材間の剥離強度(ラミネート強度)をインテスコ製201万能引張り試験機にて測定した。なお、光照射前の熱ラミネート積層体A1〜16のラミネート強度は、いずれも10N/15mm以上であり実用レベルを満たしていた。
A.ラミネート強度の低下が認められない。(極めて良好)
B.保管前ラミネート強度の85%以上100%未満である。(良好)
C.保管前ラミネート強度の70%以上85%未満である。(実用範囲内)
D.保管前ラミネート強度の40%以上70%未満である。(不良)
E.保管前ラミネート強度の40%未満である。(極めて不良)
【0071】
<インキセット経時安定性>
インキセットS1〜S16(実施例)、T1〜T8(比較例)について、混合溶剤(メチルエチルケトン「MEK」:n−プロピルアセテート「NPAC」:イソプロパノール「IPA」=40:40:20)により、粘度が16秒(25℃、ザーンカップNo.3)となるように希釈混合後、25℃で24時間保存を行った。保存前と保存後の粘度をそれぞれ測定し、保存前後の粘度差よりインキセットの経時安定性を評価した。なお粘度の測定は25℃でザーンカップNo.3の流出秒数にて行った。
A.粘度変化が認められない(極めて良好)
B.粘度差が0秒を超え2秒以下である(良好)
C.粘度差が2秒を超え5秒以下である(実用範囲内)
D.粘度差が5秒を超え10秒以下である(不良)
E.粘度差が10秒を超える(極めて不良)
【0072】
<版かぶり性>
インキセットS1〜S15(実施例)、T1〜T8(比較例)について、版かぶり性評価を行った。なお、空転速度150m/分、空転60分後のグラビア版上の着色面積で評価を行った。なお、ドクターブレードはセラミック製のものを使用した。
A.版かぶりが認められない。(極めて良好)
B.版かぶり面積が0%以上5%未満である。(良好)
C.版かぶり面積が5%以上10%未満である。(実用範囲内)
D.版かぶり面積が10%以上30%未満である。(不良)
E.版かぶり面積が30%以上である。(極めて不良)
【0073】
<耐ブロッキング性>
印刷物G1〜G15(実施例)、H1〜H8(比較例)について、4cm×4cmの大きさに切り、同じ大きさに切った上記実施例17で用いた着色ポリプロピレン樹脂基材を重ね合わせ5kg/cm
2荷重をかけ、40℃、湿度80%RHの雰囲気下で24時間静置後、印刷面とフィルムを引きはがし、インキ被膜の取られ具合を目視で判定した。
A.インキ被膜が全く剥離しないもの。(極めて良好)
B.インキ被膜が0%以上5%未満剥離するもの。(良好)
C.インキ被膜が5%以上10%未満剥離するもの。(実用範囲内)
D.インキ被膜が10%以上30%未満剥離するもの。(不良)
E.インキ被膜が30%以上剥離する、あるいは全面密着して剥がせないもの。(極めて不良)
【0074】
<ラミネート強度>
ELラミネート積層体B1〜B16(実施例)およびD1〜D8(比較例)を、それぞれ巾15mmに裁断し、インキ被膜面と樹脂層で剥離させた後、剥離強度(ラミネート強度)をインテスコ製201万能引張り試験機にて測定した。なお、実用レベルは10N/15mm以上である。
【0075】
評価結果から、本発明は優れた耐湿熱性や耐候性を有し、良好なインキ経時安定性、版かぶりや耐ブロッキング性等の印刷適性、ラミネート強度を兼ね備えるインキセットであることがわかった。また、上記実施例で作成した積層体を使用して化粧材を作製したところ、いずれも良好な耐湿熱性および耐候性を有する化粧材であった。
【0076】
【表1】
【0077】
【表2】
【0078】
【表3】
【0079】
【表4】
【0080】
【表5】
【0081】
【表6】