特許第6973058号(P6973058)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6973058
(24)【登録日】2021年11月8日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】車両用表示装置
(51)【国際特許分類】
   G01D 11/28 20060101AFI20211111BHJP
   B60K 35/00 20060101ALI20211111BHJP
   G01D 13/04 20060101ALI20211111BHJP
【FI】
   G01D11/28 L
   B60K35/00 Z
   G01D13/04 Z
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-252191(P2017-252191)
(22)【出願日】2017年12月27日
(65)【公開番号】特開2019-117156(P2019-117156A)
(43)【公開日】2019年7月18日
【審査請求日】2020年11月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100106149
【弁理士】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】小野 浩三
(72)【発明者】
【氏名】藤田 克己
(72)【発明者】
【氏名】野尻 祥太
(72)【発明者】
【氏名】加古 智康
(72)【発明者】
【氏名】永田 静雄
【審査官】 榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−114423(JP,A)
【文献】 特開2014−163755(JP,A)
【文献】 特開平9−318399(JP,A)
【文献】 特開平6−18295(JP,A)
【文献】 特開2010−216879(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 11/00 − 13/28
G01D 7/00 − 7/12
B60K 35/00 − 37/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に用いられる車両用表示装置であって、
光源光を提供する光源部(50)と、
透光性の板状に形成され、入射部(32d,32e)を介して前記光源光を板内部に導入する透光板であって、前記板内部に導入された前記光源光を視認側に反射する反射素子(35)を有する透光板(30)と、
前記透光板の隣に配置され、情報を表示する情報表示部(16)と、
前記情報表示部から前記透光板側へ庇状に張り出し、前記透光板の外周部(32)における板端部(32a,32b)のうち少なくとも一部分を視認側から覆うように形成された庇部(19,219)と、を備える車両用表示装置。
【請求項2】
前記庇部は、前記情報表示部において、情報を表示する板状の表示板(17)の一部分として、形成されている請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項3】
前記庇部において、視認側の面(18a)及び視認側とは反対の背面側の面(18b)の少なくとも一方には、光吸収性を有する光吸収層(21)が形成されている請求項2に記載の車両用表示装置。
【請求項4】
前記光吸収層は、前記透光板の外周部における表板面(31a)と対向するように、前記背面側の面に形成されている請求項3に記載の車両用表示装置。
【請求項5】
前記透光板よりも背面側に配置され、前記透光板を通して視認される画像を、表示画面(25a)に表示する画像表示部(25)を、さらに備える請求項1から4のいずれか1項に記載の車両用表示装置。
【請求項6】
前記透光板は、前記庇部が前記表示画面よりも外側に位置するように、前記外周部が前記表示画面よりも外側に達する位置まで延設されている請求項5に記載の車両用表示装置。
【請求項7】
前記庇部は、前記透光板の外周部における表板面に圧接される圧接部(219a)を有する請求項1から6のいずれか1項に記載の車両用表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この明細書による開示は、車両に用いられる車両用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に用いられる車両用表示装置が知られている。特許文献1に開示の車両用表示装置は、光源部、透光板、情報表示部、及び見返し板を有している。光源部は、光源光を提供する。透光性の板状に形成され、入射部を介して光源光を板内部に導入する透光板は、板内部に導入された光源光を視認側に反射する反射素子を有している。情報表示部は、全て、透光板よりも視認側とは反対の背面側に配置され、透光板を通して情報を表示する。
【0003】
そして、見返し板は、透光板を含む装置全体の外周を視認側から覆うように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−121890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
表示内容の見易さから、上述のように、全ての情報表示部を透光板よりも背面側に配置するのではなく、透光板の背面方向と交差する方向において、その透光板と隣接して少なくとも一部の情報表示部を配置して、この情報表示部を、透過板を透過させることなく目視可能とした配置構成においては、光源部から透光板の板内部に光源光が導入されると、その一部が板端部から漏光し、その周辺である情報表示部が意図せずぼやっと照明されてしまう。したがって、車両用表示装置の見栄えが悪化することが懸念されている。
【0006】
開示されるひとつの目的は、見栄えが良好な車両用表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ここに開示された車両用表示装置は、車両に用いられる車両用表示装置であって、
光源光を提供する光源部(50)と、
透光性の板状に形成され、入射部(32d,32e)を介して光源光を板内部に導入する透光板であって、板内部に導入された光源光を視認側に反射する反射素子(35)を有する透光板(30)と、
透光板の隣に配置され、情報を表示する情報表示部(16)と、
情報表示部から透光板側へ庇状に張り出し、透光板の外周部(32)における板端部(32a,32b)のうち少なくとも一部分を視認側から覆うように形成された庇部(19,219)と、を備える。
【0008】
このような車両用表示装置によると、庇部は、情報表示部から透光板側へ庇状に張り出し、透光板の外周部における板端部のうち少なくとも一部分を視認側から覆うように形成されている。故に、透光板と情報表示部とが隣同士に並べられたレイアウトにおいても、透光板と情報表示部との隣接箇所において、板端部を視認側から塞ぐことを容易に実現することができる。したがって、光源部から透光板の板内部に光が導入され、その一部が板端部から漏光してしまったとしても、その漏光が視認側から視認可能となることが庇部での遮光によって規制される。このため、反射素子により反射された光源光の表示と、情報表示部による表示との両方を目立たせることができ、見栄えを良好なものとすることができる。
【0009】
なお、括弧内の符号は、後述する実施形態の部分との対応関係を例示的に示すものであって、技術的範囲を限定することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態における車両用表示装置の正面図である。
図2図1のII−II線断面図である。
図3図1のIII−III線断面図である。
図4図3のIV部を拡大して示す図である。
図5図1の反射表示部の複合反射素子が配列された領域を拡大した平面図である。
図6図5のVI−VI線断面図である。
図7図5のVII−VII線断面図である。
図8図2のVIII部を拡大して示す図である。
図9図2のIX部を拡大して示す図である。
図10】第1実施形態における庇部の詳細構成について説明するための模式図である。
図11】第2実施形態における庇部及び透光板を示す断面図である。
図12】変形例6において入射部を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、複数の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する場合がある。各実施形態において構成の一部分のみを説明している場合、当該構成の他の部分については、先行して説明した他の実施形態の構成を適用することができる。また、各実施形態の説明において明示している構成の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても複数の実施形態の構成同士を部分的に組み合せることができる。
【0012】
(第1実施形態)
図1に示すように、本開示の第1実施形態による車両用表示装置100は、車両に用いられ、当該装置100を視認する乗員が着座する座席と対向するインストルメントパネルに設置されている。車両用表示装置100は、乗員が位置することとなる視認側へ向けて車両の情報を表示可能となっている。インストルメントパネルにおいて上面部は、車両上方に凸となる緩やかな曲面状に形成されている。
【0013】
なお本実施形態において、上下、前後、左右が示す方向は、水平面上の車両を基準として記載される。
【0014】
このような車両用表示装置100は、図2,3にも示すように、ケース部10、メイン回路基板26、画像表示部25、透光板30、光源部50及び情報表示部16等により構成されている。
【0015】
ケース部10は、背面側ケース11、視認側ケース12、プレートウインド部材13、及びスモーク板14を有している。背面側ケース11は、例えば合成樹脂により遮光性に形成されており、メイン回路基板26を視認側とは反対の背面側から覆っている。
【0016】
背面側ケース11よりも視認側に配置された視認側ケース12は、例えば合成樹脂により遮光性に形成されており、画像表示部25、光源部50、透光板30及び情報表示部16等を外側から囲む外枠部12aを形成していると共に、ケース内部空間を区画する区画部12bを形成している。
【0017】
プレートウインド部材13は、例えば合成樹脂により遮光性に形成されており、透光板30及び情報表示部16よりも視認側に突出するように配置されている。プレートウインド部材13は、視認側及び背面側に開口部を有し、装置100の外周に沿った筒状に形成されている。
【0018】
スモーク板14は、例えば着色されたアクリル樹脂又はポリカーボネイト樹脂等の半透光性樹脂により、プレートウインド部材13の視認側開口部の全面を塞ぐ曲面板状に形成されている。これにより、画像表示部25、透光板30及び情報表示部16は、スモーク板14を通して乗員に視認されることとなる。本実施形態のスモーク板14は、スモーク調の着色により、光の透過率が30%程度に設定されているが、30%以上の任意の値に設定されていてもよい。
【0019】
メイン回路基板26は、例えば合成樹脂により平板状に形成されており、背面側ケース11と、視認側ケース12との間に挟まれている。メイン回路基板26には、画像表示部25、情報表示部16等を制御するための電子回路が実装されていると共に、情報表示部16の発光素子53、ステッピングモータ23等が実装及び保持されている。
【0020】
画像表示部25は、装置100の中央の領域に配置されている。画像表示部25は、メイン回路基板26よりも視認側に配置されている。本実施形態の画像表示部25は、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor、TFT)を用いた液晶表示器が採用されている。なお、画像表示部25としては、有機ELディスプレイ等の他の表示器を採用することができる。
【0021】
こうした画像表示部25は、視認側に画像を表示する輪郭矩形状かつ平面状の表示画面25aと、当該表示画面25aを囲む矩形状の枠部25bとを有している。画像表示部25の視認側には、透光板30が配置されている。例えば、透光板30と枠部25bとがスペーサを介して当接していることにより、表示画面25aと透光板30との間には僅かな隙間が形成されている。こうして表示画面25aに表示された画像の光は、透光板30を透過する。こうして画像が透光板30を通して乗員に視認される。
【0022】
透光板30は、画像表示部25と重なるように、装置100の中央に配置されている。透光板30は、例えばアクリル樹脂又はポリカーボネイト樹脂等の合成樹脂により透光性に形成され、視認側に露出する表板面31a及び背面側の裏板面31bを有する平板状を呈している。
【0023】
本実施形態において、透光板30の外周部32の板端部32a,32b,32c,32d,32eにより形成される外輪郭は、図1に示すように、五角形状をなしている。各板端部32a,32b,32c,32d,32eは、板厚と一致する幅を有する細長い平面状かつ鏡面状の面を有している。具体的に、車両左側の板端部32a及び車両右側の板端部32bは、車両上側から車両下側の方向へ向かって直線的に、かつ、互いに実質平行となるように延伸していると共に、画像表示部25の枠部25bの端面と位置合わせされている。すなわち、透光板30の外周部32は、表示画面25aの外側に達する位置まで、延設されている。車両下側の板端部32cは、板端部32a,32bとは実質垂直に、車両左側から車両右側の方向に沿って直線的に延伸している。
【0024】
一方、車両上側では、透光板30は、車両上側に突出するように、車両上側へ向かう程先細るテーパ構造を構成している。こうしたテーパ構造を有する外周部32では、互いに接続され、透光板30の内部側にて互いに鈍角をなしている一対の板端部32d,32eが形成されている。各板端部32d,32eは、直線的に延伸している。こうした各板端部32d,32eと対向するように、光源部50が設けられている。
【0025】
光源部50は、図3,4に示すように、透光板30に光源光を提供する。具体的に光源部50は、保持部材51、一対の光源用基板52、複数の発光素子53、一対の光学シート部材54等により構成され、ケース部10に対して容易に着脱可能な光源ユニットを形成している。
【0026】
保持部材51は、例えば合成樹脂からなる遮光性の基材により、透光板30の板端部32d,32eと対向して配置されている。保持部材51は、視認側ケース12に対して、例えばビス55により締結されて保持されている。保持部材51は、一対の板端部32d,32eに合わせるように、互いに鈍角をなして細長く沿設された一対の細長板51aを有している。各細長板51aは、当該細長板51aを貫通する貫通穴51bを、対向する板端部32d,32eの延伸方向に沿って複数配列している。
【0027】
一対の光源用基板52は、対応する細長板51aにおいて透光板30とは反対側に保持されている。各光源用基板52は、貫通穴51bと同数の発光素子53を実装している。各発光素子53には、発光ダイオードが採用されており、各発光素子53は光源用基板52上の導通パターンを通じて電源と接続されることで発光する。複数の発光素子53は、同時に点灯又は消灯を切り替え可能に設けられ、互いに同じ色で光源光を発するようになっている。特に本実施形態の各発光素子53は、白色の光源光を発するようになっている。
【0028】
一対の光学シート部材54は、対応する細長板51aにおいて透光板30側に保持されている。各光学シート部材54は、半透光性の例えば青色に着色されており、各発光素子53が発光した光源光の色調を変換するカラーフィルタとなっている。
【0029】
また、視認側ケース12とプレートウインド部材13との間に、光源部50を囲む空間SP1が形成されており、光源光の透光板30以外への漏光が規制されている。すなわち、透光板30の裏板面31bに視認側ケース12が当接すると共に、後述する溝部40を挟んで光源部50よりも反対側において、透光板30の表板面31aにプレートウインド部材13の背面側開口部が当接することにより、光源部50が配置された空間SP1は閉塞されている。
【0030】
各発光素子53から発せられた光源光は、光学シート部材54を透過した後、板端部32d,32eを介して透光板30の板内部に導入される(図4の矢印参照)。すなわち、光源部50と対向する車両上側の板端部32d,32eは、透光板30において光源光が入射する入射部として機能している。透光板30の板内部に導入された光源光は、車両上側から車両下側へ向かう方向を進行方向PDとして、当該板内部を進むようになっている。なお、板内部を進む光源光には、各発光素子53から様々な方向に進むものが含まれるが、ここでいう進行方向PDとは、当該様々な方向を、強度を加味しつつ平均化した方向を意味する。
【0031】
こうした光源光の板内部への導入に対応して、透光板30は、溝部40及び反射表示部33を有している。溝部40は、光源光が導入される車両上側の板端部32d,32eと、反射表示部33との間に配置されている。溝部40は、各板端部32d,32eとは一定間隔をあけて、各板端部32d,32eに対して実質平行に延伸している溝状に形成されている。溝部40は、後述する反射表示部33の反射素子35とは逆に、表板面31aから裏板面31b側に凹む有底溝状を有している。
【0032】
したがって、板端部32d,32eから板内部に導入された光源光の一部は、溝部40を経由して、反射表示部33に到達する。溝部40に入射した光源光は、当該溝部40により所定の程度の拡散作用を受けることで、各発光素子53が配列されていることに起因する照明ムラを調整する(より詳細には照明ムラを低減する)。
【0033】
反射表示部33は、透光板30の中央部に配置されている。反射表示部33は、図5〜7に示すように、裏板面31bから表板面31a側へ凹んで形成された素子であって、凹み深さ5〜20μm程度の微細なサイズの複数の反射素子35を有している。図1に示すように、反射表示部33は、複数の反射素子35を適宜配置することにより、巨視的に乗員から視認可能な図柄34を形成している。特に本実施形態では、複数の反射素子35が裏板面31bに沿って2次元に配置されることにより、図柄34が形成されている。各反射素子35が板内部に導入された光源光を視認側に反射する反射面37を有することにより、図柄34が面光源状に光輝して、表示されるようになっている。
【0034】
具体的に本実施形態では、図柄34は、画像表示部25を加飾する加飾図柄である。本実施形態の反射表示部33が、画像表示部25よりも視認側において、表示画面25aと重畳することで、図柄34と画像とが重畳表示可能となっている。
【0035】
図5〜7に示すように、複数の反射素子35には、複合反射素子36が含まれている。特に本実施形態では、反射表示部33を構成する全ての反射素子35が、複合反射素子36となっている。
【0036】
各複合反射素子36は、裏板面31bから表板面31a側へ三角錐状に凹んで形成されている。特に図5に示すように、各複合反射素子36は、裏板面31bに垂直な透光板30の板厚方向TDに沿ってみた平面図上では、二等辺三角形状をなしている。各複合反射素子36は、2つの傾斜面37a,37bで構成された複合反射面37、及び素子裏面38を有している。
【0037】
2つの傾斜面37a,37bは、平面図上の二等辺三角形状において等辺に対応する位置にそれぞれ配置されている。2つの傾斜面37a,37bは、三角錐状の複合反射素子36による各面のうち、光源光が導入される板端部32d,32e側(すなわち車両上側)を向く2面として、外輪郭が三角形の平面状にそれぞれ形成されている。
【0038】
各複合反射素子36は、平面図上の二等辺三角形状の頂角(又は底辺)を二等分する断面に沿って、2つの傾斜面37a,37b同士を接続する直線状の接続辺36bを有している。接続辺36bは、裏板面31b側から表板面31a側へ向かう程、光源光が導入される車両上側の板端部32d,32eに対してより離間するように傾斜しており、特に図6に示すように、板厚方向TDに対して例えば45度の傾斜角をなしている。各傾斜面37a,37bも、接続辺36bと同様に、裏板面31b側から表板面31a側へ向かう程、光源光が導入される車両上側の板端部32d,32eに対してより離間するように傾斜している。各傾斜面37a,37bも、上述の頂角を二等分する断面に平行な断面上では、板厚方向TDに対して例えば45度の傾斜角をなしている。
【0039】
さらに、2つの傾斜面37a,37b同士は、互いに向きが相異なるように設定されている。具体的に、2つの傾斜面37a,37bは、平面図上の二等辺三角形状の等辺の傾斜に沿うかたちで、互いに斜め側方を向いている。車両左側の傾斜面37aは、僅かに車両左側を向き、車両右側の傾斜面37bは、僅かに車両右側を向いている。具体的に本実施形態では、三角錐状の複合反射素子36において、最も凹み深さが深い凹底部36aを含み、上述の頂角を二等分する断面に垂直な垂直断面上では、特に図7に示すように、2つの傾斜面37a,37bは、裏板面31bに対して例えば10度の傾斜角をなして、互いに反対向きに傾いている。
【0040】
素子裏面38は、特に図5,6に示すように、平面図上の二等辺三角形状において底辺に対応する位置に配置され、光源光が導入される板端部32d,32eとは反対側(すなわち車両下側)を向いて形成されている。素子裏面38は、外輪郭が三角形の平面状に形成されている。素子裏面38は、裏板面31b側から表板面31a側へ向かう程、光源光が導入される車両上側の板端部32d,32eに近づくように傾斜しており、板厚方向TDに対して例えば5度の傾斜角をなしている。
【0041】
本実施形態では、各複合反射素子36は、裏板面31bにおいて平坦に形成された平坦部39を介することで、配列方向D1,D2にそれぞれ設定された配列ピッチPT1,PT2だけ互いに離間し、1つずつ孤立して配置されている。なお、配列方向D2は、光源光の主な進行方向PDである車両上側から車両下側の方向に沿っており、配列方向D1は、配列方向D2に実質的に垂直な方向となっている。
【0042】
そして、複数の複合反射素子36は、その凹底部36aの位置を、1列毎に配列ピッチPT1,PT2の半値分ずらした、所謂千鳥状に配置されている。ここで、複合反射素子36の配列ピッチPT1,PT2は、光源部50の発光素子53の配列ピッチに対して、極めて小さな値に設定されている。
【0043】
溝部40を経由する光源光により、反射表示部33は、比較的均一な輝度で図柄34を面光源状に発光表示させる。さらに、溝部40を経由しない光源光が存在することで、反射表示部33は、面光源状の発光表示に重畳させて、点光源状の複数の発光素子53による光源像を、図柄34内の複合反射素子36が配列された領域に写し込んで表示することが可能となっている。
【0044】
より詳細に、複合反射素子36は、2つの傾斜面37a,37bにより構成された複合反射面37によって光源光を反射しているため、視認者が反射表示部33の図柄34を視認する角度によって、光源像の見え方が変化する。
【0045】
例えば、視認者が車両上側から少し見下ろすように図柄34を視認すると、直線状に延びた複数の光源像が、発光素子53の配列間隔に応じて映り込み、反射表示部33の図柄34に縞状の輝度ムラを生じさせる。視認者が透光板30の板厚方向TDに沿って正面から図柄34を視認すると、直線状に延びた光源像が、上述の場合に比べて2倍映り込み、図柄34に複雑な縞状の輝度ムラを生じさせる。視認者が車両下側から少し見上げるように図柄34を視認すると、光源像の数が最初の場合に戻る。
【0046】
視認者としての乗員が例えば運転者であれば、車両の運転動作に伴う眼の位置の移動によって、図柄34がキラキラと輝くように視認される。そして、各複合反射素子36が千鳥状に配列されているので、図柄34において、キラキラ感が表現されつつも、比較的穏やかな印象も付与することができる。
【0047】
一方、光源部50が消灯され、光源光が透光板30の板内部に導入されないときには、各複合反射素子36が微細なサイズかつ平坦部39を介して形成されていることによって、図柄34が殆ど視認されないようになっている。
【0048】
情報表示部16は、図1に示すように、透光板30及び画像表示部25の隣に配置され、より詳細には透光板30及び画像表示部25を左右に挟むように一対設けられている。各情報表示部16は、表示板17及び指針部22を有している。表示板17は、一般的に文字板とも呼ばれており、例えばアクリル樹脂又はポリカーボネイト樹脂等の透光性を有する基材18の表面に、印刷又は塗装が全体的又は部分的に施されて、平板状に形成されている。こうした表示板17は、メイン回路基板26が視認側から視認されないように、視認側ケース12の開口部を視認側から覆っている。
【0049】
図2に示すように、メイン回路基板26に配置された発光素子16aからの光が表示板17を照明することで、表示板17において当該光を透過可能に形成された表示灯及び指標(図示は省略)が発光するようになっており、情報が表示される。
【0050】
指針部22は、ステッピングモータ23及び指針24を有している。ステッピングモータ23は、メイン回路基板26の背面側に保持されている。
【0051】
指針24は、連結部24a及び指示部24bを一体的に有している。連結部24aは、表示板17に開けられた貫通穴を通して配置されており、ステッピングモータ23の回転軸と連結されている。指示部24bは、表示板17よりも視認側に配置されており、針状を呈している。指針24は、ステッピングモータ23の出力に応じて回動するようになっており、表示板17上の指標を指示する。こうして情報表示部16は、指示部24bの指示位置に応じて、例えば車両の速度、エンジン回転数等の何らかの車両の情報を表示するようになっている。
【0052】
さて、図8,9にも示すように、各情報表示部16において表示板17は、透光板30の表板面31aよりも僅かに視認側に配置されている。各表示板17は、情報表示部16側から透光板30側へそのまま延長されて設けられていることで、透光板30の車両右側及び車両左側の外周部32にオーバーラップしている。こうして延設された表示板17の一部分により、情報表示部16から透光板30側へ庇状に張り出し、透光板30の板端部32a,32bのうち少なくとも一部分を視認側から覆うように、庇部19が形成されている。
【0053】
ここで、庇部19の透光板30へのオーバーラップ代OL(換言すると沿面距離、図10参照)は、画像表示部25の枠部25bの幅以下に設定され、例えば2〜3mmに設定されている。こうしたオーバーラップ代OLの設定により、庇部19が表示画面25aよりも外側に位置している。庇部19が表示画面25aを遮ってしまうことが抑制され、表示画面25aによる画像の表示を十分に活用することができる。
【0054】
また、透光板30と庇部19の間には、0.5mm以下の隙間GP(図10参照)が設けられている。このようにして、庇部19は、透光板30の外周部32における表板面31aと対向する対向部19aを有している。
【0055】
図10に示すように、表示板17の庇部19では、基材18の両面18a,18bに印刷又は塗装により層が形成されている。基材18において視認側を向く視認側の面18aには、表示板17の他の部分と共通のアンチグレア透光層20が形成されている。アンチグレア透光層20は、例えばアクリル樹脂を主成分として透光性を有する透光材がビーズ等の光拡散粒子20aを含むことにより構成されている。こうしたアンチグレア透光層20により、装置100に入射する例えば太陽光等の外光が表示板17に入射したとき、光拡散粒子20aが外光を拡散する。したがって、互いに並んだ透光板30と表示板17とで外光に対する表情が相違することとなり、装置100の見栄えに変化をつけることができる。
【0056】
基材18において背面側を向く背面側の面18bには、表示板17の他の大半の部分と共通の光吸収層21が形成されている。光吸収層21は、例えばカーボンブラック等を含む黒色のインクを面18bに印刷することにより形成されている。
【0057】
光源部50から光源光が透光板30の板内部に導入されると、その一部が左右の板端部32a,32bに達する。この結果、板端部32a,32bから光源光が漏光してしまう。なお、図8,9に矢印で光源光の進み方の例が示されている。
【0058】
ここで仮に、庇部19が無ければ、板端部32a,32bから透光板30と情報表示部16との間の空間SP2に射出された光が情報表示部16をぼやっと照明してしまい、情報表示部16の視認性及び見栄えが悪化する。
【0059】
しかしながら、本実施形態では、当該空間SP2を庇部19が覆っているため、当該空間SP2を視認側から視認することができない。さらには、空間SP2に射出された光源光が透光板30と庇部19の隙間GPから漏れようとしても、対向部19aにおいて光吸収層21が当該光源光を吸収するので、当該隙間GPからも漏光が視認され難い。
【0060】
また、車両下側における透光板30の外周部32では、裏板面31bに視認側ケース12が当接すると共に、表板面31aにプレートウインド部材13が当接している。視認側ケース12とプレートウインド部材13との間に閉塞された空間SP3が構成されており、車両下側の板端部32cからの光源光は、当該空間SP3に射出されるので、漏光が視認され難い。
【0061】
(作用効果)
以上説明した第1実施形態の作用効果を以下に改めて説明する。
【0062】
第1実施形態によると、庇部19は、情報表示部16から透光板30側へ庇状に張り出し、透光板30の外周部32における板端部32a,32bのうち少なくとも一部分を視認側から覆うように形成されている。故に、透光板30と情報表示部16とが隣同士に並べられたレイアウトにおいても、透光板30と情報表示部16との隣接箇所において、板端部32a,32bを視認側から塞ぐことを容易に実現することができる。したがって、光源部50から透光板30の板内部に光が導入され、その一部が板端部32a,32bから漏光してしまったとしても、その漏光が視認側から視認可能となることが庇部19での遮光によって規制される。このため、反射素子35により反射された光源光の表示と、情報表示部16による表示との両方を目立たせることができ、見栄えを良好なものとすることができる。
【0063】
また、第1実施形態によると、庇部19は、情報表示部16において、情報を表示する板状の表示板17の一部分として、形成されている。庇部19に表示板17を利用することにより、漏光が表示板17を視認側に回り込むことは困難となり、情報表示部16の視認側に露出する部分が照明されることが抑制されるので、情報表示部16への漏光の遮光効果は一層高まり、見栄えを良好なものとすることができる。
【0064】
また、第1実施形態によると、庇部19において、視認側の面18a及び背面側の面18bの少なくとも一方には、光吸収性を有する光吸収層21が形成されている。こうした光吸収層21が板端部32a,32bから漏光した光を吸収するので、庇部19による遮光効果は、より高くなる。
【0065】
また、第1実施形態によると、光吸収層21が透光板30の外周部32と対向するように、背面側の面18bに形成されている。このため、板端部32a,32bの漏光が透光板30と庇部19の間からさらに視認側に漏れようとしても、当該漏光が光吸収層21により効率よく吸収される。したがって、庇部19による遮光効果は、顕著なものとなる。
【0066】
また、第1実施形態によると、画像表示部25は、透光板30よりも背面側に配置され、透光板30を通して視認される画像を、表示画面25aに表示する。このような構成では、漏光が視認側から視認可能となることが庇部19での遮光によって規制されることにより、反射素子35により反射された光源光の表示と、情報表示部16による表示とだけでなく、表示画面25aでの画像の表示も同時に見栄え良く表示させることができる。したがって、車両用表示装置100全体の見栄えも、極めて良好なものとなる。
【0067】
また、第1実施形態によると、透光板30は、外周部32が表示画面25aよりも外側に達する位置まで延設されている。したがって、庇部19が外周部32とオーバーラップしても、当該庇部19が表示画面25aよりも外側に位置させる構成は容易に実現される。これにより、画像表示部25による画像の表示を庇部19が遮ってしまうことは、抑制されているので、車両用表示装置100の見栄えは、極めて良好なものとなる。
【0068】
(第2実施形態)
図11に示すように、第2実施形態は第1実施形態の変形例である。第2実施形態について、第1実施形態とは異なる点を中心に説明する。
【0069】
第2実施形態の庇部219も、第1実施形態と同様に、透光板30の外周部32における表板面31aと対向する対向部219aを有している。ただし、第2実施形態の対向部219aには、例えばプレス加工等により、表板面31a側へ突出する突出部219bが設けられている。
【0070】
各突出部219bは、対応する板端部32a,32bと実質平行に延伸して設けられ、丸みを帯びた曲面状に突出し、透光板30と庇部219との間に隙間が生じないよう、透光板30と庇部219との間を閉塞している。こうして突出部219bは、透光板30の外周部32における表板面31aに圧接される圧接部として、機能している。
【0071】
以上説明した第2実施形態によると、庇部219は、表板面31aに圧接される圧接部として機能する突出部219bを有する。このようにすると、例えば車両の振動や部品の熱膨張等によっても、透光板30の表板面31aと庇部219との間に隙間が発生し難くなるので、板端部32a,32bの漏光が透光板30と庇部219の間からさらに視認側に漏れることは、より困難となる。
【0072】
(他の実施形態)
以上、複数の実施形態について説明したが、本開示は、それらの実施形態に限定して解釈されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。
【0073】
具体的に変形例1としては、庇部19は、表示板17の一部分として形成されていなくてもよい。例えば、情報表示部16において、指針24を囲むようにリング状の加飾部材を設け、当該加飾部材の一部分が透光板30側へ庇状に張り出すようにして、庇部19が形成されていてもよい。
【0074】
変形例2としては、透光板30の背面側に画像表示部25が配置されていなくてもよい。例えば、画像表示部25の代わりに、指針を配置してもよく、又は、図柄34の表示が引き立つように黒色の板を配置してもよい。
【0075】
変形例3としては、表示板17の基材18の面18a,18bに形成される層の構成として、様々な構成が採用され得る。例えば、基材18の背面側の面18a,18bに、遮光性を有する白色の層を形成してもよい。また例えば、基材18の背面側の面18bに、遮光性を有する層を形成しないで、視認側の面18aに、光吸収層21等の遮光性を有する層を形成してもよい。また、各面18a,18bに、半透光性の層を形成してもよい。
【0076】
変形例4としては、表示板17は、透光性の基材18の面18a,18bに層を形成したものでなくてもよく、例えば基材18自体を遮光性の黒色にして光吸収機能を付加してもよい。
【0077】
変形例5としては、情報表示部16は、指針部22と共に又は指針部22に代えて、画像を表示する表示器を有していてもよい。
【0078】
変形例6としては、入射部として、透光板30に別途導光部60を設けてもよい。図12の例では、透光板30の車両上側の外周部32に、背面側のメイン回路基板26へ向かって延びる導光部60が設けられている。光源部50は、導光部60の先端部60aに板厚方向TDに対向するように、メイン回路基板26上に配置された複数の発光素子53を有している。導光部60の基端部60bには、発光素子53から先端部60aを介して導光部60の内部に入射した光源光を、溝部40及び反射表示部33側へ反射する導光反射面61が設けられている。なお、図12の例において、溝部40が導光部60に配置されていてもよい。
【符号の説明】
【0079】
100 車両用表示装置、16 情報表示部、19,219 庇部、30 透光板、32 外周部、32a,32b 板端部、32d,32e 板端部(入射部)、35 反射素子、50 光源部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12