【文献】
野▲瀬▼ 裕昭 Hiroaki NOSE,社会を支えるユビキタスセンサネットワークとその運用,電子情報通信学会誌 第95巻 第9号 THE JOURNAL OF THE INSTITUTE OF ELECTRONICS,INFORMATION AND COMMUNICATION ENGINEERS,日本,一般社団法人電子情報通信学会 DENSHI-JOHO-TSUSHIN-GAKKAI,2012年09月01日,第95巻,第797-802頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、一実施形態について、
図1〜
図11に基づいて詳細に説明する。
【0011】
図1には、電波使用状況確認システム100の構成が概略的に示されている。電波使用状況確認システム100は、
図1に示すように、屋外に固定された複数の街路灯ポール10と、街路灯ポール10が取得したデータを取得し、取得したデータを処理する電波使用状況出力装置としての処理装置70と、を備える。街路灯ポール10と処理装置70は、インターネットなどのネットワーク80に接続されている。ただし、これに限らず、例えば、処理装置70がノートPC(Personal Computer)等の可搬型の情報処理装置であり、処理装置70と街路灯ポール10とがケーブル等を介して接続されてもよい。このように接続された状態で、街路灯ポール10が蓄積したデータが処理装置70に送信されてもよい。
【0012】
街路灯ポール10は、屋外(例えば路肩など)に立てられ、夜間に周囲を照らす街路灯を有している。また、街路灯ポール10は、各種装置(例えば無線機)を内部に保持する。さらに、街路灯ポール10は、周辺の電波使用状況を検出する受信装置40(
図2(a)参照)を有する。
【0013】
ここで、
図2(a)には、街路灯ポール10が備える受信装置40のハードウェア構成が示されている。
図2(a)に示すように、受信装置40は、CPU(Central Processing Unit)90、ROM(Read Only Memory)92、RAM(Random Access Memory)94、記憶部(例えばHDD(Hard Disk Drive))96、ネットワークインタフェース97、電波測定装置93、及び位置測定部としての位置検出装置95等を備えている。受信装置40の構成各部は、バス98に接続されている。
【0014】
電波測定装置93は、アンテナを有し、例えば、920MHz帯、2.4GHz帯、5GHz帯などのアンライセンスバンド(免許不要周波数帯)を用いた通信を行うセンサなどの装置(以下、「センサ」と呼ぶ)から発せられる電波を受信し、各周波数帯の受信強度として各周波数帯の受信電力を測定する。なお、電波測定装置93のアンテナは、オムニアンテナ(無指向性アンテナ)であり、街路灯ポール10の周囲360°に存在するセンサから発せられる電波を受信することができるものとする。なお、各周波数帯の受信強度としては、各周波数帯の受信電圧を測定してもよい。
【0015】
電波測定装置93による各周波数帯の受信電力の測定方法としては、種々の方法を用いることができる。例えば、既存の技術である整合フィルタを用いることができる。また、例えば、スペクトログラム解析により信号の存在する周波数・時刻の推定と、プリアンブル参照信号との相互相関演算による信号の無線規格の推定を行うことで、複数の周波数帯を同時に解析する方法(例えば、和田章宏、外3名、“電波環境可視化のための重畳信号の分離手法”2016年、一般社団法人電子情報通信学会)を用いることもできる。
【0016】
位置検出装置95は、街路灯ポール10の設置時や、街路灯ポール10へ受信装置40を設置する際に測定した位置情報を記憶しておく記憶部であって、例えば工事者が設定する位置情報を汎用的なインターフェースを介して受信して記憶する。工事者が設定する位置情報は、設計書に基づいて指定される緯度経度で表される座標であってもよく、工事者が保持する位置測位装置により検出される緯度経度で表される座標であってもよい。また、記憶させる情報は、緯度経度で表される座標に限るものではない。例えば、処理装置70で利用するマップ情報に対応させた座標と、その座標に変換可能な街路灯ポール10を識別する識別情報との対応関係を処理装置70に用意しておき、街路灯ポール10を識別する識別情報を記憶させてもよい。また、位置検出装置95は、GPS(Global Positioning System)であってもよく、GPS信号を受信するアンテナを有する。位置検出装置95は、人工衛星から例えば1.2GHz帯の電波を受信し、街路灯ポール10の位置を検出する。位置検出装置95は、GPSにより繰り返し位置を検出し、複数検出された緯度経度の重心を記憶部に記憶してもよい。また、GPSの測位誤差が十分に小さく、街路灯ポール10の設置間隔やセンサの受信電力から推定する距離の平均誤差に比べて無視できる程度であれば、位置を記憶しておく記憶部を用いなくてもよい。例えば、電波測定装置93による測定結果を送信するタイミングに合わせて、GPSを用いて位置を検出してもよい。その場合には、受信装置40の設置時に位置の設定を行う必要がなく、設置作業の簡素化が図れ、または、設置時の設定ミスを防止することができる。
【0017】
CPU90は、ROM92や記憶部96に格納されているプログラムを実行することにより、
図3に示す、電波使用状況取得部12、位置情報取得部14、及び送信部16として機能する。
【0018】
電波使用状況取得部12は、所定時間ごと(例えば1時間ごと)に電波測定装置93に指示を出して、電波測定装置93に検出対象の各周波数帯の受信電力を測定させ、電波測定装置93から測定結果を取得する。電波使用状況取得部12は、取得した受信電力のデータを送信部16に受け渡す。なお、受信電力のデータには、測定した時刻の情報も含まれている。
【0019】
位置情報取得部14は、送信部16からの指示に応じて、位置検出装置95において検出された位置の情報を取得し、取得した位置情報を送信部16に受け渡す。
【0020】
送信部16は、所定のタイミングで、位置情報取得部14に対して位置情報の取得指示を出し、位置情報取得部14から受け取った位置情報と、電波使用状況取得部12において取得された受信電力の情報と、を処理装置70に対して送信する。
【0021】
図1に戻り、処理装置70は、PCやサーバ等であり、
図2(b)に示すようなハードウェア構成を有する。
図2(b)に示すように、処理装置70は、CPU190、ROM192、RAM194、記憶部(ここではHDD)196、ネットワークインタフェース197、及び可搬型記憶媒体用ドライブ199、表示部193、入力部195等を備えている。表示部193は、液晶ディスプレイ等を含み、入力部195は、キーボードやマウス、タッチパネル等を含む。これら処理装置70の構成各部は、バス198に接続されている。処理装置70では、ROM192あるいはHDD196に格納されているプログラム(電波使用状況確認プログラムを含む)、或いは可搬型記憶媒体用ドライブ199が可搬型記憶媒体191から読み取ったプログラム(電波使用状況確認プログラムを含む)をCPU190が実行することにより、
図3に示す、取得部としての受信部72、推定部としての解析部76、及び出力部78、としての機能が実現される。なお、
図3には、処理装置70のHDD196等に格納されている取得情報DB(database)74も図示されている。
【0022】
受信部72は、受信装置40の送信部16から所定のタイミングで送信されてきた情報(各周波数帯の受信電力の情報と、街路灯ポール10の位置情報)を受信し、取得情報DB74に格納する。
【0023】
ここで、取得情報DB74には、街路灯ポール10の位置情報と、街路灯ポール10が有する受信装置40において測定された各周波数帯の受信電力とが、測定された時刻の情報とともに格納される。
【0024】
解析部76は、取得情報DB74に蓄積された情報に基づいて、各周波数帯の電波を発するセンサがどの範囲に存在しているかや、どの位置に集中して存在しているかを推定する。なお、解析部76の具体的な処理の詳細については、後述する。解析部76による処理結果は、出力部78に受け渡される。
【0025】
出力部78は、解析部76の処理結果を出力(表示部193に表示)する。出力部78が出力する情報の詳細については、後述する。
【0026】
(受信装置40及び処理装置70の処理について)
次に、受信装置40及び処理装置70の処理について、
図5、
図7のフローチャートに沿って、その他図面を適宜参照しつつ説明する。
【0027】
(受信装置40の処理)
図5は、受信装置40の処理を示すフローチャートである。
図5の処理では、まず、ステップS10において、電波使用状況取得部12が、所定時刻であるか否かを判断する。この場合、電波使用状況取得部12は、あらかじめ定められた所定時刻(例えば、1時間おきの時刻)であるか否かを判断する。このステップS10の判断が肯定された場合には、ステップS12に移行するが、否定された場合には、ステップS10の判断を繰り返す。
【0028】
ステップS10の判断が肯定され、ステップS12に移行すると、電波使用状況取得部12は、電波測定装置93に指示を出し、電波測定装置93に各周波数帯についての受信電力を測定させ、測定結果を取得する。ここで、街路灯ポール10の周辺には、
図6(a)に示すように、様々なセンサ(
図6(a)では、センサ1〜3)が存在しており、各センサと街路灯ポール10からの距離は様々である。本実施形態では、上述したような整合フィルタを用いる方法や複数の周波数帯を同時に解析する方法などを用いることで、各周波数帯(各センサ)についての受信電力を測定する。なお、
図6(b)は、各センサ1〜3の受信電力の一例を示す図である。ここで、街路灯ポール10の近傍に同一の周波数帯を利用する複数のセンサが存在する場合、通信の際に混信を起こさないようにするため時間分割等により多重化を行っている。したがって、電波測定装置93は、多重化の方式に合わせて測定を行うことで、同一の周波数帯を利用する複数のセンサからの電波の受信電力を別々に測定することとしている。電波使用状況取得部12は、取得した測定結果を送信部16に受け渡す。送信部16は、電波使用状況取得部12から受信した情報を不図示の記憶領域に記憶する。
【0029】
次いで、送信部16は、
図5のステップS14において、送信タイミングとなったか否かを判断する。送信タイミングは、例えば1日に1回、深夜の所定時刻であるものとする。このステップS14の判断が否定された場合には、ステップS10に戻るが、肯定された場合には、ステップS16に移行する。
【0030】
ステップS16に移行すると、送信部16は、位置情報取得部14に指示を出し、位置情報取得部14に街路灯ポール10の位置情報を取得させる。そして、送信部16は、位置情報取得部14から受け取った位置情報と、記憶領域に記憶している受信電力の測定結果と、を処理装置70に送信する。なお、ステップS16の処理が終了した後は、ステップS10に戻り、上記処理を繰り返し実行する。
【0031】
以上のように、
図5の処理を繰り返し実行することにより、受信装置40では、所定時間間隔で各周波数帯の受信電力を測定し、送信タイミングごとに、測定された受信電力を処理装置70に送信することができる。
【0032】
(処理装置70の処理)
次に、処理装置70の処理について、
図7のフローチャートに沿って、その他図面を適宜参照しつつ詳細に説明する。
【0033】
図7の処理が開始されると、受信部72は、まずステップS20において、受信装置40から情報を受信したか否かを判断する。このステップS20の判断が肯定された場合には、ステップS22に移行し、受信部72は、受信した情報を取得情報DB74に格納する。なお、取得情報DB74には、各位置(各街路灯ポール10)において取得された、各時刻における各周波数帯の受信電力が格納される(
図4参照)。ステップS22の後は、ステップS24に移行する。一方、ステップS20の判断が否定された場合には、ステップS22を経ずに、ステップS24に移行する。
【0034】
ステップS24に移行すると、受信部72は、処理タイミングが到来したか否かを判断する。ここでは、受信部72は、所定時刻となった場合や、入力部195を介してユーザから処理開始指示の入力があった場合に、処理タイミングが到来したと判断する。ステップS24の判断が否定された場合には、ステップS20に戻るが、判断が肯定された場合には、ステップS26に移行する。
【0035】
ステップS26に移行した場合、解析部76は、取得情報DB74に格納されている情報に基づいて処理を実行する。具体的には、解析部76は、以下の処理を実行する。
【0036】
まず、解析部76は、1つの街路灯ポール10の1つの周波数帯に着目する。ここでは、ある街路灯ポール10、及びセンサ2の周波数帯に着目したものとする。そして、解析部76は、着目したセンサ2の周波数帯に関し、一定期間(例えば1か月)以内に得られた受信電力をヒストグラム化する。例えば、解析部76は、
図8(a)や
図8(b)に示すように、横軸を受信電力、縦軸を発生回数とするグラフ上に、各受信電力の発生回数をプロットする。
【0037】
次いで、解析部76は、
図8(a)、
図8(b)のグラフに基づいて、受信電力の中央値を特定する。すなわち、解析部76は、発生回数のデータを小さい順(又は大きい順)に並べたときに中央に位置する値を特定する。次いで、解析部76は、発生回数の中央値に対応する受信電力の値を特定し、特定した受信電力から、着目している周波数帯を利用するセンサが存在している範囲(街路灯ポール10からの距離)Rを推定するとともに、着目している周波数帯を利用するセンサが集中して存在している位置(街路灯ポール10からの距離)R’を推定する。なお、R’は、半径Rの円の1/2の面積の円の半径であるものと定義する。すなわち、R’は、R’=(1/2)
1/2×R≒0.707×Rとなる。
【0038】
この場合、各センサからの出力電力はほぼ決まっており、一例として、1[mW](=0[dBm])とする。このとき、発生回数の中央値に対応する受信電力が−100[dBm]であったとすると、伝搬損失は、100[dB]となる。したがって、電波が自由空間伝搬損失すると仮定すると、伝搬損失式は、次式(1)で表される。
伝搬損失=92.5+20×log(周波数[GHz])+20×log(距離[Km]) …(1)
【0039】
上記例の場合において、センサ2の周波数を5[GHz]とすると、上式(1)は、
100=106.5+20×log(R’)
=106.5+20×log(0.707×R)
となるため、
R≒0.67[km]となる。
【0040】
以上より、センサ2は、街路灯ポール10からR(≒0.67km)の範囲内(
図9の破線円参照)に存在すると推定される。また、センサ2が集中して存在する箇所が、街路灯ポール10から約0.47km(=0.707×0.67)の位置(
図9の実線円参照)であると推定される。
【0041】
なお、解析部76は、すべての街路灯ポール10、すべての周波数帯(すべてのセンサ)に着目して、上記と同様の処理(解析)を実行し、処理結果を出力部78に受け渡す。
【0042】
図7に戻り、次のステップS28では、出力部78が、解析部76の処理結果を出力する。この場合、出力部78は、各街路灯ポール10の位置情報と、解析部76の解析結果に基づいて、例えば、
図10に示すようなマップ情報を作成し、出力してもよい。
図10に示すマップ情報の形式で解析部76の処理結果を出力する場合の手順を説明する。入力部195を介してユーザから解析を行う地区の指定と処理開始指示の入力があった場合、出力部78は、指定された地区のマップ情報を読みだす。さらに、指定された地区に存在する街路灯ポール10を検索し、解析部76の処理結果から、該当する街路灯ポール10の処理結果を取得する。出力部78は、取得した処理結果を、
図10のマップ情報で示すように、センサ2の存在エリアがマップ上に破線円で表示され、センサ2が集中して存在するエリアを実線円で表示する。これにより、ユーザは、センサがどのエリアに存在し、どこに集中しているかを視認することが可能となる。なお、街路灯ポール10が設置された初期の段階では、すべての街路灯ポール10を機能させなくてもよい。例えば、初期の段階では、数本飛ばしで街路灯ポール10を機能させ、マップ情報には、機能させていない街路灯ポール10も表示させてもよい。機能させていない街路灯ポール10も表示することで、測定されるセンサの数やセンサが集中しているエリアに存在する街路灯ポール10が認識しやすくなる。そして、センサが集中しているエリアに存在し、機能させていない街路灯ポール10をユーザが認識することにより、認識した街路灯ポール10を機能させるようユーザへ促すことが可能となる。このように、選択的に街路灯ポール10を機能させ、機能させる必要のある街路灯ポール10をユーザに認識しやすくすることにより、検出するセンサの数に応じて最適化された測定が可能となる。そして、同じマップ情報に表示される複数の街路灯ポール10の電波使用状況取得部12に対して、電波測定装置93を起動させる時間を同期させるように設定することにより、測定する範囲に対して有効な測定を可能とする。このように、市街地のある範囲に対して、適度に分散し、かつ、ある程度規則的な間隔で配置される複数の街路灯ポール10を利用して、電波使用状況出力装置を実現することで、効率的かつ効果的な電波使用状況の測定が可能となる。なお、
図10では、実線円と破線円の両方を表示しているが、これに限らず、実線円と破線円のいずれか一方を表示することとしてもよい。また、マップ情報を表示した段階では、街路灯ポール10の位置のみを表示しておき、ユーザが街路灯ポール10の位置のいずれかを選択したときに、選択した街路灯ポール10を中心とする実線円と破線円の少なくとも一方を表示するようにしてもよい。また、指定した地区と、マップ情報を完全に一致させる必要はない。例えば、街路灯ポール10はマップ情報の外側に位置するが、実線円や破線円がマップ情報の範囲内に重畳する場合が存在しても構わない。その場合、指定する地区は、マップ情報よりも、実線円や破線円で表される半径程度広い領域を設定してもよい。
【0043】
なお、出力部78は、
図10のような表示以外に、例えば
図11(a)、
図11(b)に示すような表示を行ってもよい。
図11(a)は、ある街路灯ポール10を中心としたあるセンサの集中エリアの半径(
図10の実線円の半径)がどのように時間変化しているかを示すグラフである。このような表示を行うことで、ユーザは、集中エリアの時間変化を確認することができる。また、
図11(b)は、ある街路灯ポール10近傍における月ごとの各センサの受信電力(平均値又は発生回数の中央値に対応する受信電力)を示すグラフである。このような表示を行うことで、ユーザは、各センサの使用状況の変化を確認することができる。
【0044】
以上、詳細に説明したように、本実施形態によると、処理装置70では、受信部72が、屋外に固定された街路灯ポール10(受信装置40)が有する電波測定装置93にて受信した検出対象の各周波数帯の電波の受信電力と、街路灯ポール10(受信装置40)の位置情報とを取得する。また、解析部76が、受信装置40において所定時間内に受信した各周波数帯の電波の受信電力に基づいて、各周波数帯の電波を使用する装置(センサ)が存在する範囲を推定する処理を実行する。そして、出力部78が、解析部76の処理結果と街路灯ポール10の位置情報とに基づいて特定されるエリアを表示するマップ情報を出力(表示)する。これにより、本実施形態では、屋外に設置された受信装置40により所定期間内に測定された各周波数帯の受信電力を統計的に処理して、各周波数帯の電波を使用する装置(センサ)の存在範囲を特定し、存在エリアをマップ情報として表示することができる。したがって、ユーザが認識しやすい状態で各装置の存在エリアを表示することができる。
【0045】
また、本実施形態では、解析部76は、各周波数帯の電波を使用するセンサが集中して存在する範囲を推定する。これにより、各センサが集中して存在する範囲をマップ情報として出力することで、ユーザは各センサが集中する範囲を容易に把握することが可能となる。
【0046】
なお、上記実施形態では、受信装置40が位置検出装置95を有する場合について説明したが、これに限られるものではない。例えば、受信装置40が位置検出装置95を有さない場合には、送信部16が街路灯ポール10の位置を予め保持しておき、受信電力を処理装置70に送信する際に、保持している位置情報を併せて送信するようにしてもよい。また、取得情報DB74において街路灯ポール10の識別情報と位置情報とを予め管理している場合には、送信部16が受信電力を処理装置70に送信する際に、街路灯ポール10の識別情報を併せて送信するようにしてもよい。
【0047】
なお、上記実施形態では、処理装置70の解析部76が上述した解析処理を行う場合について説明したが、これに限られるものではない。例えば、受信装置40に解析部76と同様の機能を持たせ、該機能により解析を行い、解析結果を送信部16が処理装置70に対して送信するようにしてもよい。逆に、受信装置40の構成を簡略化し、処理装置70に電波使用状況取得部12、位置情報取得部14、送信部16で説明した機能を設けてもよい。その場合、受信装置40は、アンテナに接続された受信アンプと、受信アンプで増幅した電気信号を光信号に変調する電気/光変調器を有し、光ファイバを用いてアンテナで受信した信号を処理装置70へ送信してもよい。
【0048】
なお、上記実施形態では、処理装置70がマップ情報等を表示する場合について説明したが、これに限らず、処理装置70は、マップ情報等を他の端末に出力(送信)するのみであってもよい。この場合、他の端末が有する表示部にマップ情報等が表示されることになる。
【0049】
なお、上記実施形態では、受信電力の発生回数の中央値に対応する受信電力を特定し、特定した受信電力に基づいて、上式(1)から半径R、R’を算出する場合について説明したが、これに限られるものではない。例えば、受信電力の平均値を特定し、特定した受信電力に基づいて、上式(1)から半径R、R’を算出することとしてもよい。
【0050】
(変形例1)
なお、上記実施形態では、受信装置40の電波測定装置93が、周囲360°に存在するセンサからの電波を受信できるアンテナ(オムニアンテナ:無指向性アンテナ)を有する場合について説明したが、これに限られるものではない。例えば、
図12(a)に模式的に示すように、電波測定装置93は、受信範囲が所定角度範囲(破線で囲まれた範囲)とされた指向性アンテナ51を複数(
図12(a)では、3本)有していてもよい。
【0051】
本変形例では、例えば、初期の段階では、3本の指向性アンテナ51を1つのオムニアンテナとみなして、指向性アンテナ51それぞれで測定した値は合計する(1つのセルとして扱う)。この場合、上記実施形態と同様の解析結果が得られ、同様の表示を行うことができる。一方、センサが集中しているエリアを詳細に確認したい場合には、指向性アンテナ51それぞれで各周波数帯の受信電力を測定し、測定結果に基づいて、センサが集中しているエリアを特定するようにする。
【0052】
この場合、
図12(b)において太実線で示すように、各指向性アンテナ51の測定範囲ごとに集中しているエリアを特定し、表示することが可能となる。
【0053】
なお、
図12(a)では、指向性アンテナ51を3本設けた例について図示しているが、これに限られるものではない。例えば、指向性アンテナ51の測定範囲が街路灯ポール10の周囲360°をカバーできるように、指向性アンテナ51それぞれが測定できる角度範囲に基づいて、指向性アンテナ51の本数を決定するようにしてもよい。例えば、
図12(a)の例であれば、指向性アンテナ51を等間隔で6本設けてもよい。
【0054】
(変形例2)
なお、街路灯ポール10が屋外(街中)に設置された初期の段階では、すべての街路灯ポール10を機能させなくてもよい。例えば、初期の段階では、1本飛ばしで街路灯ポール10を機能させ、測定されるセンサの数やセンサが集中しているエリアの大きさに応じて、機能させる街路灯ポール10を増やすようにしてもよい。
【0055】
(変形例3)
なお、既存の街路灯ポール10の近傍に新規の街路灯ポール10’が設置されることがある(
図13参照)。この場合、既存の街路灯ポール10と新規の街路灯ポール10’の距離dが所定値よりも小さい(距離が近い)場合には、出力部78は、新規の街路灯ポール10’の周囲のセンサが集中するエリアを表示しないようにしてもよい。このようにすることで、センサが集中するエリアが重複して見づらくなるのを抑制することができる。この場合、新規の街路灯ポール10’の位置のみを表示し、新規の街路灯ポール10’の位置がユーザによって選択された場合に新規の街路灯ポール10’周辺のエリアを表示するようにしてもよい。なお、距離dは、各街路灯ポールの位置情報から算出することができる。
【0056】
また、距離dが所定値よりも小さい場合であっても、
図13に示すように、既存の街路灯ポール10の周囲のセンサが集中する範囲(半径0.707×R1)が、新規の街路灯ポール10’の周囲のセンサが集中する範囲(半径0.707×R2)の中に全て包含される場合がある。このような場合には、既存の街路灯ポール10側のエリアを表示せずに、新規の街路灯ポール10’側のエリアのみを表示するようにしてもよい。すなわち、次式(2)を満たす場合には、新規の街路灯ポール10’側のエリアを表示するようにしてもよい。
0.707×R2≧d+0.707×R1 …(2)
【0057】
このようにすることで、センサが集中するエリアが重複して見づらくなるのを抑制することができる。
【0058】
なお、上記の処理機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、処理装置が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体(ただし、搬送波は除く)に記録しておくことができる。
【0059】
プログラムを流通させる場合には、例えば、そのプログラムが記録されたDVD(Digital Versatile Disc)、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)などの可搬型記録媒体の形態で販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0060】
プログラムを実行するコンピュータは、例えば、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。また、コンピュータは、サーバコンピュータからプログラムが転送されるごとに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。
【0061】
上述した実施形態は本発明の好適な実施の例である。但し、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施可能である。
【0062】
なお、以上の実施形態及び変形例の説明に関して、更に以下の付記を開示する。
(付記1) 屋外に固定された受信装置にて受信した検出対象の各周波数帯の電波の受信強度と、前記受信装置の位置情報とを取得する取得部と、
前記受信装置において所定時間内に受信した、前記各周波数帯の電波の受信強度に基づいて、前記各周波数帯の電波を使用する装置が存在する範囲を推定する推定部と、
前記推定部の推定結果と、前記受信装置の位置情報、とに基づいて特定されるエリアの情報を出力する出力部と、を備える電波使用状況出力装置。
(付記2) 前記受信装置は、街路灯が設置されるポールに設置されたアンテナに接続され、
前記出力部は、前記エリアの情報を地図情報に重畳して出力し、
前記エリアの情報は、前記地図情報にて表される範囲に位置する前記ポールに設置された複数の受信装置から取得した情報によって推定された推定結果を用いることを特徴とする付記1に記載の電波使用状況出力装置。
(付記3) 前記検出対象の各周波数帯の電波の受信強度を受信するタイミングは、前記複数の受信装置で同期させることを特徴とする付記2に記載の電波使用状況出力装置。
(付記4) 前記推定部は、前記各周波数帯の電波を使用する装置が所定以上集中する範囲を推定することを特徴とする付記1〜3のいずれかに記載の電波使用状況出力装置。
(付記5) 前記受信装置は、位置測定部を有し、
前記取得部は、前記位置測定部が測定した位置情報を取得することを特徴とする付記1〜4のいずれかに記載の電波使用状況出力装置。
(付記6) 前記受信装置は、電波受信範囲が所定角度範囲の指向性アンテナを複数有し、
前記取得部は、複数の前記指向性アンテナによる前記各周波数帯の電波の受信強度を取得し、
前記推定部は、複数の前記指向性アンテナそれぞれに対応する角度範囲ごとに、前記各周波数帯の電波を使用する装置が存在する範囲を推定する、ことを特徴とする付記1〜5のいずれかに記載の電波使用状況出力装置。
(付記7) 前記出力部は、前記推定部の推定結果と、前記受信装置の位置情報、とに基づいて特定されるエリアの情報を、隣接する受信装置との距離に基づいて、出力するか否かを決定する、ことを特徴とする付記1〜6のいずれかに記載の電波使用状況出力装置。
(付記8) 屋外に固定された受信装置にて受信した検出対象の各周波数帯の電波の受信強度と、前記受信装置の位置情報とを取得し、
前記受信装置において所定時間内に受信した、前記各周波数帯の電波の受信強度に基づいて、前記各周波数帯の電波を使用する装置が存在する範囲を推定し、
前記推定する処理の推定結果と、取得した前記受信装置の位置情報、とに基づいて特定されるエリアの情報を出力する、
処理をコンピュータが実行することを特徴とする電波使用状況出力方法。
(付記9) 前記受信装置は、街路灯が設置されるポールに設置されたアンテナに接続され、
前記出力する処理では、前記エリアの情報を地図情報に重畳して出力し、
前記エリアの情報は、前記地図情報にて表される範囲に位置する前記ポールに設置された複数の受信装置から取得した情報によって推定された推定結果を用いることを特徴とする付記8に記載の電波使用状況出力方法。
(付記10) 前記検出対象の各周波数帯の電波の受信強度を受信するタイミングは、前記複数の受信装置で同期させることを特徴とする付記9に記載の電波使用状況出力方法。
(付記11) 前記推定する処理は、前記各周波数帯の電波を使用する装置が所定以上集中する範囲を推定することを特徴とする付記8〜10のいずれかに記載の電波使用状況出力方法。
(付記12) 前記受信装置は、位置測定部を有し、
前記取得する処理では、前記位置測定部が測定した位置情報を取得することを特徴とする付記8〜11のいずれかに記載の電波使用状況出力方法。
(付記13) 前記受信装置は、電波受信範囲が所定角度範囲の指向性アンテナを複数有し、
前記取得する処理では、複数の前記指向性アンテナによる前記各周波数帯の電波の受信強度を取得し、
前記推定する処理では、複数の前記指向性アンテナそれぞれに対応する角度範囲ごとに、前記各周波数帯の電波を使用する装置が存在する範囲を推定する、ことを特徴とする付記8〜12のいずれかに記載の電波使用状況出力方法。
(付記14) 前記出力する処理では、前記推定する処理の推定結果と、前記受信装置の位置情報、とに基づいて特定されるエリアの情報を、隣接する受信装置との距離に基づいて、出力するか否かを決定する、ことを特徴とする付記8〜13のいずれかに記載の電波使用状況出力方法。
(付記15) 屋外に固定された受信装置にて受信した検出対象の各周波数帯の電波の受信強度と、前記受信装置の位置情報とを取得し、
前記受信装置において所定時間内に受信した、前記各周波数帯の電波の受信強度に基づいて、前記各周波数帯の電波を使用する装置が存在する範囲を推定し、
前記推定する処理の推定結果と、取得した前記受信装置の位置情報、とに基づいて特定されるエリアの情報を出力する、
処理をコンピュータに実行させるための電波使用状況出力プログラム。