(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0012】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.香り提供装置
2.香料保持部材
2−1.第1の例
2−2.第2の例
2−3.効果
3.変形例
3−1.第1の変形例
3−2.第2の変形例
3−3.第3の変形例
3−4.第4の変形例
3−5.第5の変形例
4.まとめ
【0013】
<1.香り提供装置>
まず、
図1〜
図5を参照して本実施形態に係る香り提供装置1について説明する。
図1は、本実施形態に係る香り提供装置1の一例を示す斜視図である。
図2は、本実施形態に係る香り提供装置1の一例を示す断面斜視図である。
図3は、本実施形態に係る香り提供装置1の一例を示す分解斜視図である。なお、以下では、香り提供装置1において蓋100の吐出口110が配置される側を先端側と呼ぶ。
【0014】
図1〜
図3に示したように、本実施形態に係る香り提供装置1は、蓋100と、香料保持部材200と、エアポンプ300と、バッテリ400と、回転機構500と、シャーシ600と、スイッチ700と、基板800と、を備える。
【0015】
蓋100は、香料保持部材200を外部から離隔する部材である。蓋100は、例えば、
図1〜
図3に示したように、後端側が開口する円筒形状を有する。蓋100の先端側には、香料保持部材200から送られる気化した香料を含む空気が吐出される吐出口110が設けられる。吐出口110は、香料保持部材200に設けられる複数の通風通路220のうち空気が供給される通風通路220の先端部と連通するように設けられる。吐出口110の内径は、通風通路220の内径より大きくてもよい。
【0016】
香料保持部材200は、香料を保持する部材である。香料保持部材200は、例えば、
図2及び
図3に示したように、中空円筒形状を有する。香料保持部材200には、
図2に示したように、本開示に係る風力源の一例であるエアポンプ300から供給される空気が通過する通風通路220が貫通して設けられる。また、香料保持部材200には、通風通路220から分岐し香料を保持する保持空間が設けられる。香料は通風通路220に保持されてもよく、その場合、通風通路220の内表面に付着した状態で保持される。また、保持空間内において、香料は、保持空間の内表面に付着した状態で保持されてもよく、保持空間に充填された状態で保持されてもよい。香料は、具体的には、精油又はエタノールで希釈された精油等であってもよい。通風通路220及び保持空間のペアは1又は複数設けられてもよい。以下では、一例として、通風通路220及び保持空間のペアが複数設けられる例について説明する。また、以下では、通風通路220に香料が保持される例について主として説明する。
【0017】
複数の通風通路220は、例えば、香料保持部材200の中心軸まわりの円周上に均等間隔で設けられ、後端側から先端側に直線状に設けられる。エアポンプ300から供給される空気は、シャーシ600の流路610を介して通風通路220の後端部から流入し、先端部から放出される。それにより、通風通路220の後端側から先端側への空気の流れが生じる。通風通路220に保持された香料の気化した成分は、通風通路220に生じる空気の流れによって、通風通路220の先端側へ送られる。また、保持空間に保持された香料の気化していない部分は、保持空間から通風通路220へ流出しないが、当該香料の気化した成分は、通風通路220に生じる空気の流れによって、保持空間と通風通路220との分岐部を介して通風通路220へ流出し、通風通路220の先端側へ送られる。そして、通風通路220の先端側へ送られた香料の気化した成分は、蓋100の吐出口110から吐出される。
【0018】
通風通路220及び保持空間を構成する材料として、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ABS樹脂、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、POM(ポリアセタール)、シリコン樹脂、フッ素樹脂、オレフィンポリマー樹脂若しくはポリイミド樹脂等の樹脂、ステンレス等の金属、又はガラスが挙げられる。通風通路220及び保持空間を構成する材料は、具体的には、耐薬品性、耐候性及び強度等を考慮して選択され得る。通風通路220及び保持空間の内径は、一例として、1mmより小さい値に設定され得る。このような微小な内径を有するマイクロ流路である通風通路220及び保持空間は、例えば、3Dプリンタを用いて積層造形法によって製造され得る。
【0019】
通風通路220の内径が小さいほど、通風通路220内における流体の乱流の発生が抑制されやすくなり、流体の流れは層流になりやすくなる。また、エアポンプ300の出力が一定である場合において、通風通路220の内径が小さいほど、通風通路220内での空気の流速は速くなる。それにより、本実施形態に係る香り提供装置1では、吐出口110から吐出される香料の気化した成分を含む空気の直進性が向上される。ゆえに、香り提供装置1のユーザに向けて香料の気化した成分を含む空気を吐出させることによって、ユーザの周囲へ影響を与えることなくユーザは香りの提供を受けることができる。
【0020】
また、通風通路220の内径が小さいほど、通風通路220内の横断面において、空気が通過する領域に対する香料が保持される領域の割合が大きくなる。ゆえに、通風通路220に生じる空気の流れによって吐出口110から吐出される空気に含まれる香料の割合が大きくなる。それにより、より確実にユーザへ香りを提供することができる。また、通風通路220又は保持空間の内径を小さくすることによって、装置全体の寸法を小さくすることができるので、装置全体の重量を軽くすることができる。ゆえに、香り提供装置1の持ち運びを容易にすることができる。なお、香料保持部材200の通風通路220及び保持空間の構成の詳細については後述する。
【0021】
エアポンプ300は、本開示に係る風力源の一例である。エアポンプ300は、例えば、流路610を介して、香料保持部材200の複数の通風通路220のうちの一部の通風通路220へ空気を供給する。エアポンプ300は、例えば、基板800を介してバッテリ400と電気的に接続されており、バッテリ400から供給される電力によって駆動される。エアポンプ300は、具体的には、圧電素子が貼り付けられたダイヤフラムを備え、圧電素子への交流電流の印加によりダイヤフラムを変形させることによって送風を行う。なお、エアポンプ300の送風の形式は係る例に限定されず、例えば、フィン式又はシリンダ式等であってもよい。また、エアポンプ300は手動式であってもよく、その場合には、香り提供装置1の構成からバッテリ400、スイッチ700及び基板800は省略され得る。
【0022】
バッテリ400は、エアポンプ300を動作させるための電力を蓄える。バッテリ400は、放電のみが可能な一次電池であってもよく、充電も可能な二次電池であってもよい。
【0023】
回転機構500は、香料保持部材200の複数の通風通路220のうち空気が供給される通風通路220を切り替え可能とする機能を有する。具体的には、回転機構500は、複数の通風通路220のうちの一部の通風通路220と連通し、一部の通風通路220へエアポンプ300から供給される空気を導入する流路が設けられる部材と香料保持部材200とを、当該流路と連通する通風通路220が切り替わるように、相対的に回転可能である。より具体的には、回転機構500は、シャーシ600と香料保持部材200とを、シャーシ600の流路610と連通する通風通路220が切り替わるように、相対的に回転可能である。なお、
図2では、エアポンプ300と通風通路220との間の空気の流路として、シャーシ600の流路610が示されているが、シャーシ600の流路610と通風通路220の間には他の流路が介在し得る。その場合には、当該他の流路が設けられる部材と香料保持部材200とが、回転機構500によって、相対的に回転可能に構成され得る。
【0024】
シャーシ600には、エアポンプ300、バッテリ400、回転機構500及び基板800が配設される。また、シャーシ600には、必要に応じて、各部品間を電気的に接続する配線が設けられ得る。
【0025】
スイッチ700は、エアポンプ300の駆動状態を切り替えるために基板800に設けられる。基板800はバッテリ400と電気的に接続されており、例えば、スイッチ700がユーザに押下されることによって、基板800に実装されたエアポンプ300を駆動するための駆動回路への通電が行われる。それにより、ユーザによるスイッチ700の押下状態に応じて、エアポンプ300の駆動状態が切り替わる。
【0026】
図4は、本実施形態に係る香り提供装置1の一例を示すシステムブロック図である。
図4に示したように、バッテリ400及び基板800は電気的に接続されている。そして、スイッチ700が押下されると、基板800に実装されたエアポンプ300を駆動するための駆動回路への通電が行われ、エアポンプ300が駆動される。それにより、エアポンプ300が送風を開始し、エアポンプ300から供給された空気が、香料保持部材200の通風通路220へ送られる。そして、香料保持部材200の通風通路220及び保持空間に保持される香料の気化した成分が蓋100の吐出口110から外部へ吐出される。香料保持部材200の複数の通風通路220のうち空気が導入される通風通路220の回転機構500による切り替えは、手動で行われる。
【0027】
本明細書では、
図4を用いて説明したように、空気が導入される通風通路220の回転機構500による切り替えが手動で行われる香り提供装置1を主として説明するが、回転機構500による切り替えの形式は係る例に限定されず、例えば、回転機構500は、モータによって駆動されてもよい。このような他の実施形態に係る香り提供装置1aには回転機構500を駆動させるモータ310と、基板800に実装されるモータ310を駆動させるための駆動回路への通電の切り替えを行うスイッチ710と、が備えられる。香り提供装置1aによれば、例えば、
図5に示したように、スイッチ710が押下されると、基板800に実装されるモータ310を駆動させるための駆動回路への通電が行われ、モータ310が駆動される。それにより、モータ310により回転機構500が駆動され、香料保持部材200の複数の通風通路220のうち空気が導入される通風通路220の回転機構500による切り替えが行われる。
【0028】
<2.香料保持部材>
[2−1.第1の例]
続いて、
図6〜
図8を参照して、第1の例に係る香料保持部材201について説明する。
図6は、第1の例に係る香料保持部材201の構成の一例を示す斜視図である。
図7は、第1の例に係る香料保持部材201の構成の一例を示す平面図及び側面図である。
図6及び
図7に示したように、香料保持部材201は、通風通路220と、保持空間230と、係止溝250と、を備える。
【0029】
通風通路220は、香料保持部材201に貫通して設けられ、通風通路220内をエアポンプ300から供給される空気が通過する。エアポンプ300から供給される空気は通風通路220の一端である入口222から流入し、通風通路220の他端である出口224から放出される。また、通風通路220には、香料が保持されてもよい。通風通路220は、例えば、
図6及び
図7に示したように、香料保持部材200の軸方向に直線状に複数設けられ、入口222及び出口224は、それぞれ香料保持部材200の後端面及び先端面に形成される。また、通風通路220は、香料保持部材200の中心軸まわりの円周上に設けられてもよい。その場合には、回転機構500は、香料保持部材200の中心軸まわりに、香料保持部材200をシャーシ600に対して回転可能となるように構成される。それにより、香料保持部材200を回転させることによって、香料保持部材200の後端側に位置するシャーシ600の流路610と連通する通風通路220を切り替えることができる。
【0030】
なお、通風通路220の経路は、直線状でなくともよく、例えば、曲線形状を有していてもよい。また、入口222又は出口224は、香料保持部材200の外周面に形成されてもよい。その場合、シャーシ600の流路610の位置又は蓋100の吐出口110の位置は、入口222又は出口224とそれぞれ連通可能な位置に設定される。
【0031】
保持空間230は、通風通路220から分岐し、香料を保持する。保持空間230は、例えば、
図6及び
図7に示したように、複数の通風通路220の各々について設けられる。通風通路220に香料が保持される場合には、保持空間230には、当該保持空間230と連通する通風通路220に保持される香料と同一の種類の香料が保持される。なお、1つの通風通路220に対して2以上の保持空間230が設けられてもよい。保持空間230は、例えば、
図6及び
図7に示したように、通風通路220の出口224側に位置する分岐部240から分岐し、分岐部240から入口222側へ向かって延設される。保持空間230は、分岐部240において、通風通路220と連通している。また、保持空間230の入口222側の端部は、香料保持部材200の後端面に設けられる封止部材232によって外部から離隔されている。
【0032】
保持空間230は、例えば、香料保持部材200の後端面から分岐部240にかけて貫通路を形成した後に、当該貫通路の香料保持部材200の後端面側の開口部を封止部材232によって封止することによって、形成される。それにより、通風通路220と連通し、外部から離隔された保持空間230が形成される。封止部材232は、例えば、
図6及び
図7に示したように保持空間230の各々について設けられてもよい。なお、封止部材232は保持空間230を外部から離隔する機能を実現するための構成の一例に過ぎない。例えば、当該機能は、通風通路220の各入口222の位置に対応する位置に開口部を有するシートにより香料保持部材200の後端面を覆い、当該シートにより保持空間230の形成過程において形成される貫通路の開口部を封止することによっても実現し得る。
【0033】
通風通路220へ空気が送られると、通風通路220の後端側から先端側への空気の流れが生じる。通風通路220に保持された香料の気化した成分は、通風通路220に生じる空気の流れによって、通風通路220の先端側へ送られる。また、保持空間230に保持された香料の気化した成分は、通風通路220に生じる空気の流れによって、保持空間230と通風通路220との分岐部240を介して通風通路220へ流出し、通風通路220の先端側へ送られる。そして、通風通路220の先端側へ送られた香料の気化した成分は、蓋100の吐出口110から吐出される。
【0034】
ここで、通風通路220及び保持空間230の複数のペアの各々には互いに異なる種類の香料を保持させてもよく、その場合には、シャーシ600の流路610と連通する通風通路220を切り替えることによって、香り提供装置1によって提供される香りを切り替えることができる。なお、通風通路220及び保持空間230の複数のペアの各々には互いに同一の種類の香料を保持させてもよい。例えば、使用頻度の高い香料ほど多くの通風通路220及び保持空間230のペアに保持させることによって、各香料の使用頻度に応じて適切に各香料の持続時間を設定することができる。
【0035】
仮に、通風通路220から分岐し香料を保持する保持空間230が香料保持部材に設けられない場合には、通風通路220にのみ香料が保持されることになり得る。一方、本実施形態に係る香り提供装置1では、香料から気化した成分を外部へ吐出するための空気の流れが生ずる通風通路220に加えて、通風通路220とは異なる空間である保持空間230にも香料を保持させることができる。それにより、香料保持部材201全体として保持可能な香料の量を多くすることができる。ゆえに、香料保持部材201に保持空間230を設けることによって、装置の大型化を回避しつつ、香料の持続性を向上させることができる。
【0036】
香料は、例えば、通風通路220及び保持空間230の内表面に付着した状態で保持される。ゆえに、通風通路220又は保持空間230の内表面積が大きいほど、通風通路220又は保持空間230が保持可能な香料の量は多くなる。よって、通風通路220と比較して保持空間230の内表面積を大きくすることによって、通風通路220と比較して保持空間230に保持可能な香料の量を多くすることができる。係る場合には、通風通路220に香料を保持させなくとも、香料保持部材201全体として保持可能な香料の量を多くすることができる。
【0037】
保持空間230は、曲線形状を有してもよい。それにより、保持空間230が直線状に設けられる場合と比較して、保持空間230の経路長を長くすることができる。ゆえに、保持空間230が保持可能な香料の量を多くすることができるので、香料の持続性をより向上させることができる。
図8は、第1の例に係る香料保持部材201の構成の一例について説明するための概念図である。
図8に示したように、第1の例では、入口222から出口224にかけて直線状に設けられる通風通路220の分岐部240から保持空間230が分岐して設けられる。
【0038】
第1の例に係る保持空間230は、具体的には、
図8に示したように、螺旋形状を有する。例えば、保持空間230は、螺旋を描きながら、通風通路220が延設される方向に沿って、分岐部240から入口222側へ向かって延設される。第1の例では、保持空間230は螺旋形状を有するので、応力の集中しやすい屈曲した部分を有しない。ゆえに、香料保持部材200の強度を向上させつつ、香料の持続性を向上させることができる。
【0039】
第1の例では、保持空間230の螺旋形状のねじれ軸は、
図6及び
図7に示したように、香料保持部材201の内周部より外側かつ外周部より内側に位置する。また、保持空間230は、例えば、互いに隣接する通風通路220の間に位置する。このように、ねじれ軸が香料保持部材201の内周部より外側かつ外周部より内側に位置するように螺旋形状の保持空間230を設けることによって、各通風通路220の間の空間を有効に活用しつつ、保持可能な香料の量を増大させることができる。
【0040】
係止溝250は、回転機構500においてシャーシ600と香料保持部材201との相対的な回転を可能とするために、
図6及び
図7に示したように、香料保持部材201の後端側の外周部に香料保持部材201の軸方向に沿って延設される。シャーシ600と香料保持部材201との相対的な回転において、香料保持部材201を保持し、香料保持部材201と一体となって回転する保持部材が用いられる場合に、当該保持部材には係止凸部が設けられる。香料保持部材201が当該保持部材に保持された状態において、当該保持部座の係止凸部が香料保持部材201の係止溝250に勘合されることによって、香料保持部材201が当該保持部材に対して回転することを防止することができる。
【0041】
[2−2.第2の例]
以上では、螺旋形状の保持空間が設けられた香料保持部材の一例について説明したが、香料保持部材における保持空間の配置は係る例に限定されない。以下、第1の例と比較して、香料保持部材における保持空間の配置が異なる第2の例について、
図9及び
図10を参照して説明する。
【0042】
図9は、第2の例に係る香料保持部材202の構成の一例を示す斜視図である。
図10は、第2の例に係る香料保持部材202の構成の一例を示す断面図及び側面図である。具体的には、
図10には、香料保持部材202の中心軸を通る断面における香料保持部材202の断面図及び香料保持部材202を当該中心軸方向に見た側面図が示されている。
図9及び
図10に示したように、香料保持部材202は、通風通路220と、保持空間230aと、係止溝250と、を備える。第2の例に係る保持空間230aは、第1の例と同様に、螺旋形状を有し、螺旋を描きながら、通風通路220が延設される方向に沿って、分岐部240から入口222側へ向かって延設される。一方、第2の例では、第1の例と比較して、保持空間230aの螺旋形状のねじれ軸の香料保持部材202における位置が異なる。
【0043】
第2の例では、保持空間230aの螺旋形状のねじれ軸は、
図9及び
図10に示したように、香料保持部材202の内周部より内側に位置する。具体的には、保持空間230aの螺旋形状のねじれ軸は、香料保持部材202の中心軸と略一致する。ゆえに、保持空間230aは、香料保持部材202の周方向に螺旋を描きながら、通風通路220が延設される方向に沿って延設される。例えば、各通風通路220と連通する保持空間230aは、互いに隣接した状態で螺旋を描くように構成され得る。このように、ねじれ軸が香料保持部材202の内周部より内側に位置するように螺旋形状の保持空間230aを設けることによって、中空円筒形状の香料保持部材200の内周部又は外周部の近傍の空間を有効に活用しつつ、保持可能な香料の量を増大させることができる。
【0044】
以上では、保持空間が曲線形状を有する例について説明したが、保持空間の形状は係る例に限定されない。例えば、保持空間は、直線状に設けられてもよい。
図11は、他の実施形態に係る香料保持部材の構成の一例について説明するための概念図である。
図11に示す例では、入口222から出口224にかけて直線状に設けられる通風通路220の分岐部240から保持空間230bが分岐して直線状に設けられる。また、係る例における保持空間230bは、
図11に示したように、分岐部240より入口222側において拡径する。それにより、保持空間230bが分岐部240において分岐した後拡径しない形状である場合と比較して、保持空間230bの内表面積を大きくすることができる。それにより、保持空間230bが保持可能な香料の量を多くすることができるので、香料の持続性をより向上させることができる。
【0045】
[2−3.効果]
続いて、本実施形態による香料の持続性の向上の効果について説明する。
図12は、本実施形態における香料の持続性について説明するための説明図である。
図12における比較例は、上述した第1の例及び第2の例と異なり、通風通路から分岐する保持空間を備えず、通風通路にのみ香料を保持する香料保持部材を用いた例を示す。
図12では、第1の例、第2の例及び比較例についての、香料保持部材の使用を開始した後の各時刻における、香り提供装置によって装置の外部へ提供される香りの強度の試験結果が示されている。
図12に示したように、第1の例及び第2の例における各時刻での装置の外部へ提供される香りの強度は、比較例と比較して、高い。換言すると、第1の例及び第2の例における単位時間あたりの香りの強度の低下量は、比較例と比較して、小さい。当該結果により、本実施形態によれば香料の持続性を向上させることができることが確認された。
【0046】
<3.変形例>
続いて、本開示に係る各種変形例について説明する。
【0047】
[3−1.第1の変形例]
まず、
図13を参照して、香料の気化した成分を含む装置の外部へ吐出される空気の直進性をより向上させることができる第1の変形例について説明する。
【0048】
図13は、第1の変形例に係る通風通路220aの構成の一例を示す説明図である。
図13に示すように、第1の変形例に係る通風通路220aの出口224側には、出口224へ向かうにつれて縮径するテーパ部221が設けられる。それにより、通風通路220aから出口224へ送られた空気を絞ることができる。ゆえに、出口224から放出される空気の拡散を抑制することができる。よって、香料の気化した成分を含む装置の外部へ吐出される空気の直進性をより向上させることができる。なお、テーパ部221により通風通路220aの縮径が開始される位置やテーパ部221のテーパ角は、通風通路220aの寸法や通風通路220aへ供給される空気の圧力等に応じて適宜設定され得る。また、出口224と連通する蓋100の吐出口110に先端側へ向かうにつれて縮径するテーパ部を設けることによっても、同様の効果を得ることができる。
【0049】
[3−2.第2の変形例]
続いて、
図14を参照して、第1の変形例と同様の効果を得るための他の構成を有する第2の変形例について説明する。
図14は、第2の変形例に係る通風通路220bの構成の一例を示す説明図である。
図14に示すように、第2の変形例に係る通風通路220b内の表面には、螺旋形状の溝223が設けられる。それにより、出口224から放出される空気に旋回運動を与え、ジャイロ効果により直進性を向上させることができる。よって、香料の気化した成分を含む装置の外部へ吐出される空気の直進性をより向上させることができる。なお、溝223の数又は横断面形状は、
図14に示した例に限定されず、他の数又は他の横断面形状であってもよい。
【0050】
[3−3.第3の変形例]
次に、
図15を参照して、香料保持部材200によって保持可能な香料の量を増大させることができる第3の変形例について説明する。
図15は、第3の変形例に係る通風通路220cの構成の一例を示す説明図である。
図15に示すように、第3の変形例に係る通風通路220c内には、通風通路220c内の表面を増加させる表面増加部225が設けられる。表面増加部225は、例えば、通風通路220cの中心軸まわりに回転対称な形状を有してもよい。具体的には、表面増加部225は、
図15に示すように、通風通路220cの中心軸に交差し互いに直交する2つの円柱から構成されてもよい。それにより、表面増加部225の表面に香料を付着させた状態で保持させることによって、香料保持部材200によって保持可能な香料の量を多くすることができる。なお、表面増加部225が通風通路220c内の表面を増加させる機能を有していれば、表面増加部225の形状及び構造は特に限定されず、例えば、表面増加部225は通風通路220cの内表面から通風通路220cの内側へ突出する突起であってもよい。また、通風通路220cにおける表面増加部225の位置は、適宜設定され得る。
【0051】
[3−4.第4の変形例]
次に、
図16及び
図17を参照して、香料保持部材200の保管時又は輸送時等の未使用時において、香料保持部材200内へ空気が侵入することによる香料の酸化を抑制することができる第4の変形例について説明する。
図16は、第4の変形例に係る封止部材260の構成の一例を示す説明図である。第4の変形例では、香料保持部材200の通風通路220の入口222及び出口224は封止部材260によって封止される。封止部材260は、香料保持部材200の使用時において、香料保持部材200から取り外される。それにより、香料保持部材200の未使用時において、香料保持部材200内へ外部から空気が侵入することを抑制することができる。ゆえに、香料の酸化を抑制することができる。
【0052】
封止部材260は、例えば、熱融着フィルムであってもよい。また、封止部材260は、複数の入口222又は出口224の全部又は一部を封止可能であってもよい。例えば、
図17に示したように、1つの入口222又は出口224を封止可能な封止部材260aが入口222又は出口224の各々について設けられてもよい。それにより、香料保持部材200の使用時において、ユーザの選択した香料に対応する封止部材260aを優先的に香料保持部材200から取り外し、他の香料に対応する封止部材260aを取り外すことなく、香り提供装置を利用することができる。
【0053】
[3−5.第5の変形例]
続いて、
図18を参照して、香料保持部材200の保管時又は輸送時等の未使用時において、香料へ光が照射されることによる香料の酸化を抑制することができる第5の変形例について説明する。
図18は、第5の変形例に係る遮光部材270の構成の一例を示す説明図である。第5の変形例では、光を遮る部材である遮光部材270によって、香料保持部材200の一部又は全部が覆われる。例えば、
図18に示したように、遮光部材270は、香料保持部材200の未使用時において、香料保持部材200の外周面を覆うように設けられる。それにより、香料保持部材200の未使用時において、香料保持部材200内に保持される香料へ太陽光や照明器具が発する光等の光が照射されることを抑制することができる。ゆえに、香料の酸化を抑制することができる。
【0054】
<4.まとめ>
以上説明したように、本開示の実施形態によれば、エアポンプ300から供給される空気が通過する通風通路220が貫通して設けられる。保持空間230は、通風通路220から分岐し、香料を保持する。それにより、香料から気化した成分を外部へ吐出するための空気の流れが生ずる通風通路220に加えて、通風通路220とは異なる空間である保持空間230にも香料を保持させることができる。よって、香料保持部材201全体として保持可能な香料の量を多くすることができる。ゆえに、香料保持部材201に保持空間230を設けることによって、装置の大型化を回避しつつ、香料の持続性を向上させることができる。
【0055】
以上では、複数の通風通路220のうちの1つの通風通路220が、通風通路220へエアポンプ300から供給される空気を導入するシャーシ600の流路610と連通する例について説明したが、本開示の技術的範囲は係る例に限定されない。例えば、流路610は、2以上の通風通路220と同時に連通してもよい。
【0056】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲は係る例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0057】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【0058】
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)
風力源から供給される空気が通過し、貫通して設けられた通風通路と、
前記通風通路から分岐し、香料を保持する保持空間と、
を備える香料保持部材。
(2)
前記保持空間は、曲線形状を有する、前記(1)に記載の香料保持部材。
(3)
前記曲線形状は、螺旋形状である、前記(2)に記載の香料保持部材。
(4)
前記香料保持部材は、中空円筒形状を有し、
前記螺旋形状のねじれ軸は、前記香料保持部材の内周部より外側かつ外周部より内側に位置する、
前記(3)に記載の香料保持部材。
(5)
前記香料保持部材は、中空円筒形状を有し、
前記螺旋形状のねじれ軸は、前記香料保持部材の内周部より内側に位置する、
前記(3)に記載の香料保持部材。
(6)
前記空気が放出される前記通風通路の出口側には、前記出口へ向かうにつれて縮径するテーパ部が設けられる、前記(1)〜(5)のいずれか一項に記載の香料保持部材。
(7)
前記通風通路内の表面には、螺旋形状の溝が設けられる、前記(1)〜(6)のいずれか一項に記載の香料保持部材。
(8)
前記通風通路内には、前記通風通路内の表面を増加させる表面増加部が設けられる、前記(1)〜(7)のいずれか一項に記載の香料保持部材。
(9)
風力源から供給される空気が通過し、貫通して設けられた通風通路と、
前記通風通路から分岐し、香料を保持する保持空間と、
を備える香料保持部材と、
前記通風通路へ空気を供給する前記風力源と、
を備える香り提供装置。