特許第6973099号(P6973099)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6973099監視装置、監視方法及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6973099
(24)【登録日】2021年11月8日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】監視装置、監視方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/48 20060101AFI20211111BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20211111BHJP
   H02J 7/02 20160101ALN20211111BHJP
【FI】
   H01M10/48 P
   H01M10/44 P
   H01M10/48 301
   !H02J7/02 H
【請求項の数】12
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-5045(P2018-5045)
(22)【出願日】2018年1月16日
(65)【公開番号】特開2019-125482(P2019-125482A)
(43)【公開日】2019年7月25日
【審査請求日】2020年11月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】松島 均
(72)【発明者】
【氏名】井上 達也
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 佳代
【審査官】 田中 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2008/053969(WO,A1)
【文献】 特開平09−281203(JP,A)
【文献】 特表2010−519691(JP,A)
【文献】 特開2014−110692(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/198631(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/165629(WO,A1)
【文献】 特開2006−101699(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/48
H01M 10/44
H02J 7/00−7/12
7/34−7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電素子の監視装置であって、
前記蓄電素子の状態を検知する学習モデルが学習モード又は検知モードのいずれのモードかの情報を取得する取得部と、
前記学習モデルが前記学習モードである場合、前記蓄電素子の電圧を均衡化する均衡回路の動作を所定状態から変更する変更部と
を備える監視装置。
【請求項2】
前記変更部は、
前記学習モデルが前記学習モードである場合、前記均衡回路が電圧の均衡化を行う際の閾値電圧を大きい値に変更する請求項1に記載の監視装置。
【請求項3】
前記変更部は、
前記学習モデルが前記学習モードである場合、前記均衡回路の動作を停止状態に変更する請求項1に記載の監視装置。
【請求項4】
前記変更部は、
前記学習モデルが前記学習モードである場合、複数の蓄電セルのうち一の蓄電セルを放電して前記複数の蓄電セルの間の電圧差を大きくする請求項1に記載の監視装置。
【請求項5】
前記変更部は、
前記学習モデルが前記検知モードである場合、前記均衡回路を前記所定状態で動作させる請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の監視装置。
【請求項6】
前記変更部は、
前記学習モデルが前記検知モードである場合、前記均衡回路の動作を前記所定状態から変更する請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の監視装置。
【請求項7】
前記取得部は、
前記学習モデルが学習モード又は検知モードのいずれのモードかの情報をサーバから取得する請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の監視装置。
【請求項8】
前記蓄電素子の電圧及び温度を含む入力データに基づいて、前記蓄電素子の状態を出力する学習モデルを備える請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の監視装置。
【請求項9】
蓄電素子の監視方法であって、
前記蓄電素子の状態を検知する学習モデルが学習モード又は検知モードのいずれのモードかの情報を取得し、
前記学習モデルが前記学習モードである場合、前記蓄電素子の電圧を均衡化する均衡回路の動作を所定状態から変更する監視方法。
【請求項10】
コンピュータに蓄電素子のための学習モデルを学習させるコンピュータプログラムであって、
コンピュータに、
前記学習モデルが学習モード又は検知モードのいずれのモードかの情報を取得させるステップと、
前記学習モデルが前記学習モードである場合、前記蓄電素子の電圧を均衡化する均衡回路の動作を所定状態から変更させるステップと、
前記蓄電素子の電圧、電流、温度及びSOCの少なくともいずれかを含む入力データを取得させ前記学習モデルに提供させるステップと
を実行させるコンピュータプログラム。
【請求項11】
前記学習モデルが前記学習モードである場合、前記均衡回路の動作を所定状態としたまま、前記入力データを取得させ前記学習モデルに提供させるステップを前記コンピュータに更に実行させる請求項10に記載のコンピュータプログラム。
【請求項12】
コンピュータに蓄電素子の状態を検知させるコンピュータプログラムであって、
コンピュータに、
前記蓄電素子の電圧、電流、温度及びSOCの少なくともいずれかを含む入力データを、請求項10又は11に記載のコンピュータプログラムによって学習済みの学習モデルに対して入力させるステップと、
前記蓄電素子の状態を検知させるステップと
を実行させるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視装置、監視方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
蓄電素子(Energy Storage Device)は、無停電電源装置、安定化電源に含まれる直流又は交流電源装置等に広く使用されている。また、再生可能エネルギー又は既存の発電システムにて発電された電力を蓄電しておく大規模なシステムでの蓄電素子の利用が拡大している。
【0003】
蓄電モジュールは、蓄電セルが直列に接続された構成となっている。蓄電セルは、充放電を繰り返すことで劣化が進行することが知られている。特許文献1には、蓄電池の複数の使用条件に対応する劣化率予測値を記憶したデータベースと、実際に稼働している蓄電池から得られた使用条件と劣化率のデータを用いて、蓄電池の寿命予測を行う技術が開示されている。
【0004】
蓄電セルを直列接続した蓄電モジュールでは、充電時や使用時等において個々の蓄電セル間で自己放電の差又は劣化速度の差があるため、蓄電セル間で電圧のばらつき、あるいは充電状態のばらつきが生じる。特許文献2には、このような蓄電セル間の電圧のばらつき又は充電状態のばらつきを均等化する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015−121520号公報
【特許文献2】特許第5573075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
移動体や施設に設置されている蓄電セル(蓄電モジュール)の劣化進行又は異常を早期に把握することが望まれており、そのために人工知能(以下、「AI」という)を用いることが検討されている。
【0007】
本発明は、AIを用いた監視装置、監視方法及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
蓄電素子の監視装置は、前記蓄電素子の状態を検知する学習モデルが第一モード又は第二モードのいずれのモードかの情報を取得する取得部と、前記学習モデルが前記第一モードである場合、前記蓄電素子の電圧を均衡化する均衡回路の動作を所定状態から変更する変更部とを備える。
【0009】
蓄電素子の監視方法は、前記蓄電素子の状態を検知する学習モデルが第一モード又は第二モードのいずれのモードかの情報を取得し、前記学習モデルが前記第一モードである場合、前記蓄電素子の電圧を均衡化する均衡回路の動作を所定状態から変更する。
【0010】
取得部は、蓄電素子の状態を検知する学習モデルが第一モード又は第二モードのいずれのモードかの情報を取得する。第一モードは、教師データ作成モード、正解データ作成モード、又は学習モードであってもよい。第二モードは、学習モード又は検知モード(学習済の学習モデルを用いて、蓄電素子の状態を実際に検知するモード)であってもよい。変更部は、学習モデルが第一モードである場合、蓄電素子の電圧を均衡化する均衡回路(バランサー)の動作を所定状態から変更する。
【0011】
所定状態は、均衡回路の通常の動作状態であってもよい。例えば、複数の蓄電セル間の電圧差(例えば、各蓄電セルの電圧のうち最大電圧と最小電圧との差)が閾値電圧以上になった場合に均衡化を行う状態とすることができる。所定状態から変更するとは、均衡回路の動作を制限することであってもよい。例えば、(1)均衡回路が動作を開始する閾値電圧を大きくして、複数の蓄電セル間の電圧差が通常状態よりもさらに大きくならないと均衡化を行わないようにすること、(2)均衡回路の動作を停止して均衡化を行わないようにすることが含まれる。
【0012】
上述の構成により、蓄電素子の状態を検知する学習モデルを学習させる場合、均衡回路の動作によって、蓄電素子の電圧又は充電状態が自動的に調整される度合いを変更することができる。これにより、劣化が進行した蓄電素子又は異常状態になりつつある蓄電素子の実態を反映したデータを取得することが可能となる。
【0013】
AIに学習(特に機械学習)させるためには、正常な蓄電素子のデータ及び劣化した蓄電素子のデータを含む、多くのデータを収集することが望ましい。しかし、劣化した蓄電素子のデータを得ることは容易ではない。劣化した蓄電素子を試験的に作るには、コストと時間がかかる。移動体や施設に設置され実際に使用されている蓄電素子からデータを収集する場合、蓄電モジュールに備えられている均衡回路の動作により、劣化した蓄電素子が正常な蓄電素子と同様な挙動(例えば、センサで検知される電圧挙動、温度挙動)を示す。上述の変更部が、均衡回路の動作を所定状態から変更することにより、劣化が進行した蓄電素子又は異常状態になりつつある蓄電素子のデータを効率良く収集することができる。
【0014】
変更部は、学習モデルが第一モードである場合、均衡回路が電圧の均衡化を行う際の閾値電圧を大きい値に変更してもよい。これにより、劣化が進行した蓄電素子又は異常状態になりつつある蓄電素子が正常な蓄電素子と異なる挙動を示しやすくなる。
【0015】
変更部は、学習モデルが第一モードである場合、均衡回路の動作を停止状態に変更してもよい。これにより、劣化が進行した蓄電素子又は異常状態になりつつある蓄電素子が正常な蓄電素子と異なる挙動を示しやすくなる。
【0016】
変更部は、学習モデルが第一モードである場合、複数の蓄電セルのうち一の蓄電セルを放電して複数の蓄電セルの間の電圧差を大きくしてもよい。例えば、複数の蓄電セルのうち最小電圧を示す蓄電セルを放電することにより、当該蓄電セルの電圧が低下し充電状態が低下する。これにより、劣化が進行した蓄電セル又は異常状態になりつつある蓄電セルを模擬することができる。
【0017】
変更部は、学習モデルが第二モードである場合、均衡回路を所定状態で動作させてもよい。例えば、学習済の学習モデルによって蓄電素子の状態を実際に検知する検知モードでは、均衡回路を所定状態(例えば、通常の動作状態)で動作させることができる。
【0018】
これにより、移動体や施設に設置された蓄電素子の実際の使用条件でのデータに基づいて、蓄電素子(蓄電セル、蓄電モジュール)の劣化進行又は異常などを正確に把握することができる。学習モデルは、正常な蓄電素子と異なる挙動を示す、劣化が進行した蓄電素子又は異常状態になりつつある蓄電素子に係るデータを学習済であるので、蓄電素子の劣化状態又は異常状態をいち早く検知することができる。
【0019】
変更部は、学習モデルが第二モードである場合、均衡回路の動作を所定状態から変更してもよい。例えば、学習済の学習モデルによって蓄電素子の状態を実際に検知する検知モードで、均衡回路を所定状態から変更し(例えば、均衡回路の動作を制限し)、学習モデルの出力を確認することにより、学習モデルの妥当性を検証できる。
【0020】
移動体や施設に設置された蓄電素子の実際の使用条件下において、さらに、劣化が進行した蓄電素子又は異常状態になりつつある蓄電素子を顕在化させた状態で蓄電素子の状態を検知することができる。
【0021】
取得部は、学習モデルが第一モード又は第二モードのいずれのモードかの情報をサーバから取得してもよい。これにより、監視装置を多数備える大規模なシステム等において、個々の監視装置の動作を遠隔、かつ一括して管理することができる。
【0022】
監視装置は、学習モデルを備えてもよい。学習モデルは、蓄電素子の電圧及び温度を含む入力データに基づいて、蓄電素子の状態を出力してもよい。学習モデルは、例えば、深層学習などを含む機械学習のためのアルゴリズムを含む。これにより、監視装置は、自身が監視する蓄電素子(蓄電セル、蓄電モジュール)の劣化状態又は異常状態をいち早く検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本実施の形態の遠隔監視システムの概要を示す図である。
図2】遠隔監視システムの構成の一例を示すブロック図である。
図3】通信デバイスの接続形態の一例を示す図である。
図4】制御基板及び電池管理装置の構成の一例を示すブロック図である。
図5】蓄電モジュールにおける蓄電セルの状態の遷移の一例を示す図である。
図6】電池管理装置の制御動作の一例を示す図である。
図7】電池管理装置の他の構成の一例を示すブロック図である。
図8】電池管理装置が行う処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本実施の形態に係る監視装置を図面に基づいて説明する。図1は本実施の形態の遠隔監視システム100の概要を示す図である。図1に示すように、公衆通信網(例えば、インターネットなど)N1及び移動通信規格による無線通信を実現するキャリアネットワークN2などを含むネットワークNには、火力発電システムF、メガソーラー発電システムS、風力発電システムW、無停電電源装置(UPS:Uninterruptible Power Supply)U及び鉄道用の安定化電源システム等に配設される整流器(直流電源装置、又は交流電源装置)Dなどが接続されている。また、ネットワークNには、後述の通信デバイス1、通信デバイス1から情報を収集するサーバ装置2、及び収集された情報を取得するクライアント装置3などが接続されている。
【0025】
より具体的には、キャリアネットワークN2には基地局BSが含まれ、クライアント装置3は、基地局BSからネットワークNを経由してサーバ装置2と通信することができる。また、公衆通信網N1にはアクセスポイントAPが接続されており、クライアント装置3は、アクセスポイントAPからネットワークNを経由してサーバ装置2との間で情報を送受信することができる。
【0026】
メガソーラー発電システムS、火力発電システムF及び風力発電システムWには、パワーコンディショナ(PCS:Power Conditioning System)P、及び蓄電システム101が併設されている。蓄電システム101は、蓄電モジュール群Lを収容したコンテナCを複数並設して構成されている。蓄電モジュール群Lは、例えば、蓄電セル(セルとも称する)を複数直列に接続した蓄電モジュール(モジュールとも称する)と、蓄電モジュールを複数直列に接続したバンクと、バンクを複数並列に接続したドメインとの階層構造にて構成されている。蓄電素子は、鉛蓄電池及びリチウムイオン電池のような二次電池や、キャパシタのような、再充電可能なものであることが好ましい。蓄電素子の一部が、再充電不可能な一次電池であってもよい。
【0027】
図2は遠隔監視システム100の構成の一例を示すブロック図である。遠隔監視システム100は、通信デバイス1、サーバ装置2、クライアント装置3、及び後述する監視装置としての電池管理装置50(図3参照)などを備える。
【0028】
図2に示すように、通信デバイス1は、ネットワークNに接続されるとともに、対象装置P、U、D、Mにも接続されている。対象装置P、U、D、Mは、パワーコンディショナP、無停電電源装置U、整流器D、後述する管理装置Mを含む。なお、遠隔監視対象という観点では、電池管理装置50は管理装置Mに含めることができる。
【0029】
遠隔監視システム100では、各対象装置P、U、D、Mに接続した通信デバイス1を用いて、蓄電システム101における蓄電モジュール(蓄電セル)の状態(例えば、電圧、電流、温度、充電状態(SOC)を監視する。遠隔監視システム100は、検知された蓄電セルの状態(劣化状態、異常状態などを含む)をユーザ又はオペレータ(保守担当者)が確認できるように提示する。
【0030】
通信デバイス1は、制御部10、記憶部11、第1通信部12及び第2通信部13を備える。制御部10は、CPU(Central Processing Unit)などで構成され、内蔵するROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等のメモリを用い、通信デバイス1全体を制御する。
【0031】
記憶部11は、例えば、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリを用いることができる。記憶部11には、制御部10が読み出して実行するデバイスプログラム1Pが記憶されている。記憶部11には、制御部10の処理によって収集された情報、イベントログ等の情報が記憶される。
【0032】
第1通信部12は、対象装置P、U、D、Mとの通信を実現する通信インタフェースであり、例えば、RS−232C又はRS−485等のシリアル通信インタフェースを用いることができる。
【0033】
第2通信部13は、ネットワークNを経由して通信を実現するインタフェースであり、例えば、Ethernet(登録商標)、又は無線通信用アンテナ等の通信インタフェースを用いる。制御部10は、第2通信部13を介してサーバ装置2と通信が可能である。
【0034】
サーバ装置2は、制御部20、記憶部21、通信部22、及び学習モデル23などを備える。サーバ装置2は、1台のサーバコンピュータでもよいが、これに限定されるものではなく、複数台のサーバコンピュータで構成してもよい。
【0035】
制御部20は、例えば、CPUで構成することができ、内蔵するROM及びRAM等のメモリを用い、サーバ装置2全体を制御する。また、制御部20は、CPU及びGPU(Graphics Processing Unit)、マルチコアCPU、あるいはTPU(Tensor Processing Unit)で構成することもできる。制御部20は、記憶部21に記憶されているサーバプログラム2Pに基づく情報処理を実行する。サーバプログラム2PにはWebサーバプログラムが含まれ、制御部20は、クライアント装置3へのWebページの提供、Webサービスへのログインの受け付け等を実行するWebサーバとして機能する。制御部20は、サーバプログラム2Pに基づき、SNMP(Simple Network Management Protocol)用サーバとして通信デバイス1から情報を収集することも可能である。
【0036】
記憶部21は、例えばハードディスク又はフラッシュメモリ等の不揮発性メモリを用いることができる。記憶部21には、制御部20の処理によって収集される監視対象となる対象装置P、U、D、Mの状態を含むデータを記憶する。
【0037】
通信部22は、ネットワークNを介した通信接続及びデータの送受信を実現する通信デバイスである。具体的には、通信部22は、ネットワークNに対応したネットワークカードである。
【0038】
学習モデル23は、通信デバイス1を経由して対象装置P、U、D、Mから収集された、蓄電セルの電圧及び温度を含む入力データに基づいて、蓄電セルの劣化又は異常を含む状態を出力することができる。学習モデル23は、例えば、深層学習などを含む機械学習のためのアルゴリズムを含む。学習モデル23は、量子コンピュータを用いてもよい。
【0039】
クライアント装置3は、発電システムS、Fの蓄電システム101の管理者、対象装置P、U、D、Mの保守担当者等のオペレータが使用するコンピュータであってもよい。クライアント装置3は、デスクトップ型又はラップトップ型のパーソナルコンピュータであってもよいし、スマートフォン又はタブレット型の通信端末であってもよい。クライアント装置3は、制御部30、記憶部31、通信部32、表示部33、及び操作部34を備える。
【0040】
制御部30は、CPUを用いたプロセッサである。制御部30は、記憶部31に記憶されているWebブラウザプログラムに基づき、サーバ装置2又は通信デバイス1により提供されるWebページを表示部33に表示させる。
【0041】
記憶部31は、例えばハードディスク又はフラッシュメモリ等の不揮発性メモリを用いる。記憶部31には、Webブラウザプログラムを含む各種プログラムが記憶されている。
【0042】
通信部32は、有線通信用のネットワークカード等の通信デバイス、基地局BS(図1参照)に接続する移動通信用の無線通信デバイス、又はアクセスポイントAPへの接続に対応する無線通信デバイスを用いることができる。制御部30は、通信部32により、ネットワークNを介してサーバ装置2又は通信デバイス1との間で通信接続又は情報の送受信が可能である。
【0043】
表示部33は、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等のディスプレイを用いることができる。表示部33は、制御部30のWebブラウザプログラムに基づく処理により、サーバ装置2で提供されるWebページのイメージを表示することができる。
【0044】
操作部34は、制御部30との間で入出力が可能なキーボード及びポインティングデバイス、若しくは音声入力部等のユーザインタフェースである。操作部34は、表示部33のタッチパネル、又は筐体に設けられた物理ボタンを用いてもよい。操作部34は、ユーザによる操作情報を制御部20へ通知する。
【0045】
図3は通信デバイス1の接続形態の一例を示す図である。図3に示すように、通信デバイス1は、管理装置Mに接続される。管理装置Mには、バンク#1〜#Nそれぞれに設けられた監視装置としての電池管理装置(BMU:Battery Management Unit)50が接続されている。なお、通信デバイス1は、電池管理装置50と通信して蓄電素子の情報を受信する端末装置(計測モニタ)であってもよいし、電源関連装置に接続可能なネットワークカード型の通信デバイスであってもよい。
【0046】
各バンク#1〜#Nは、複数の蓄電モジュール60を備え、各蓄電モジュール60は、制御基板(CMU:Cell Monitoring Unit)70を備える。バンク毎に設けられている電池管理装置50は、蓄電モジュール60に夫々内蔵されている通信機能付きの制御基板70とシリアル通信によって通信を行うことができるとともに、管理装置Mとの間で情報の送受信を行うことができる。管理装置Mは、ドメインに所属するバンクの電池管理装置50からの情報を集約し、通信デバイス1へ出力する。
【0047】
図4は制御基板70及び電池管理装置50の構成の一例を示すブロック図である。制御基板70は、均衡回路71、駆動部73、電圧取得部74、制御部75、記憶部76、通信部77などを備える。蓄電モジュール60は、複数の蓄電セル61a〜61eが直列に接続されている。図4では、便宜上、直列接続された5個の蓄電セルを図示するが、蓄電モジュール60を構成する蓄電セルの数は5に限定されるものではない。
【0048】
均衡回路71は、蓄電セル61aに並列に接続される、抵抗71aとスイッチ72aとの直列回路、蓄電セル61bに並列に接続される、抵抗71bとスイッチ72bとの直列回路、蓄電セル61cに並列に接続される、抵抗71cとスイッチ72cとの直列回路、蓄電セル61dに並列に接続される、抵抗71dとスイッチ72dとの直列回路、及び蓄電セル61eに並列に接続される、抵抗71eとスイッチ72eとの直列回路を備える。スイッチ72a〜72eは、例えば、FET(Field Effect Transistor)などを用いることができるが、リレーなどを用いてもよい。
【0049】
駆動部73は、スイッチ72a〜72eがオン又はオフするように駆動する。駆動部73は、スイッチ72a〜72eがFETである場合、FETのゲートにゲート信号を出力して、FETをオン・オフすることができる。
【0050】
電圧取得部74は、蓄電セル61a〜61eそれぞれの電圧を取得する。
【0051】
記憶部76は、所定の閾値電圧を記憶する。
【0052】
制御部75は、電圧取得部74で取得した各蓄電セル61a〜61eそれぞれの電圧から最大電圧と最小電圧とを特定する。制御部75は、最大電圧と最小電圧との電圧差が閾値電圧以上となった場合、最大電圧が取得された蓄電セルに並列に接続されたスイッチをオンにすることにより、抵抗を介して当該蓄電セルを放電させる。これにより、当該蓄電セルの電圧(充電状態)を下げて、蓄電セル61a〜61eの間の電圧(充電状態)を均衡化する。
【0053】
通信部77は、電池管理装置50の第1通信部52との間で、例えば、シリアル通信を行う機能を有する。
【0054】
電池管理装置50は、制御部51、第1通信部52、及び第2通信部53などを備える。
【0055】
第1通信部52は、制御基板70の通信部77との間で、例えば、シリアル通信を行う機能を有する。
【0056】
第2通信部53は、通信デバイス1との間で情報の送受信を行う機能を有する。より具体的には、第2通信部53は、取得部としての機能を有し、蓄電セルの状態を検知する学習モデル23が学習モード又は検知モードのいずれに移行するかの情報をサーバ装置2から取得する。これにより、電池管理装置50を多数備える大規模なシステム等において、個々の電池管理装置50の動作を遠隔管理、かつ一括して管理することができる。
【0057】
検知モード(運用モードとも称する)は、学習済の学習モデル23を用いて、蓄電セルの状態を実際に検知するモードである。本実施の形態では、サーバ装置2が学習モデル23を備える構成であるが、これに限定されるものではなく、他の装置が学習モデル23を備える構成でもよい。
【0058】
制御部51は、CPU等で構成することができる。制御部51は、変更部としての機能を有し、サーバ装置2の学習モデル23が学習モードに移行する場合、複数の蓄電セルの電圧を均衡化する均衡回路71の動作を所定状態から変更するような制御動作を行う。
【0059】
所定状態は、均衡回路71の通常の動作状態を意味してもよく、例えば、複数の蓄電セル61a〜61e間の電圧差(例えば、各蓄電セルの電圧のうち最大電圧と最小電圧との差)が閾値電圧以上になった場合、均衡化を行う状態とすることができる。所定状態から変更するとは、均衡回路71の動作を制限することを意味してもよく、例えば、(1)均衡回路71が動作を開始する閾値電圧を大きくして、複数の蓄電セル間の電圧差が通常状態よりもさらに大きくならないと均衡化を行わないようにすること、(2)均衡回路71の動作を停止して均衡化を行わないようにすることが含まれる。制御部51が行う均衡回路71に対する制御動作の詳細は後述する。
【0060】
上述の構成により、蓄電セルの状態を検知する学習モデル23を学習させる場合、均衡回路71の動作によって、蓄電セルの電圧又は充電状態が自動的に調整される度合いを変更することができる。これにより、劣化が進行した蓄電セル又は異常状態になりつつある蓄電セルの実態を反映したデータを取得することが可能となる。
【0061】
図5は蓄電モジュールにおける蓄電セルの状態の遷移の一例を示す図である。蓄電セルを符号a〜eで表す。図中、蓄電セルの電圧(充電状態)は斜線を付して表している。蓄電セルの電圧差は、図5では誇張して表しており、実際の電圧差はもっと小さい(例えば、数十mV程度)。上段に示す状態Aから状態Cまでは、均衡回路71の通常の動作状態における蓄電セルの状態の遷移を示す。状態Aでは、蓄電セルa、c、d、eの電圧はほぼ同じであるが、蓄電セルbの電圧は他の蓄電セルの電圧よりも小さい。この場合、蓄電セルbは、他の蓄電セルと比べて、劣化が進行、あるいは異常の予兆が潜在的に発生している。
【0062】
さらに使用状態が続き、状態Bになると、蓄電セル間の電圧差(図では蓄電セルbの電圧と他の蓄電セルの電圧との差)が閾値電圧Vth以上になったとする。そうすると、均衡回路71の動作が開始され、蓄電セルb以外の蓄電セルの放電が行われる。これにより、蓄電セルの電圧が均衡化される。
【0063】
その後、例えば、各蓄電セルに対して充電が行われると、各蓄電セルの電圧は均衡化した状態で上昇し、状態Cのようになる。
【0064】
次に、本実施の形態の電池管理装置50による均衡回路71に対する制御動作について説明する。電池管理装置50は、均衡回路71が動作(均衡化)を開始する閾値電圧を通常状態での閾値電圧Vthよりも大きい値Vth2に変更することができる。下段に示す状態Dから状態Eまでは、均衡回路71の動作が通常状態から変更された場合における蓄電セルの状態の遷移を示す。状態Dは、状態Aと同様である。
【0065】
さらに使用状態が続き、状態Eになり、蓄電セル間の電圧差(図では蓄電セルbの電圧と他の蓄電セルの電圧との差)ΔVが閾値電圧Vth以上になったとする(電圧差ΔVは閾値電圧Vth2よりも小さい)。均衡回路71は、通常の動作状態のように均衡化を開始しない。例えば、状態Eにおいて、電池管理装置50は、蓄電セル(蓄電モジュール)の電圧、電流、温度、SOCなどのデータを収集して、学習モデル23の学習用データとして、通信デバイス1を介して、サーバ装置2に提供することができる。第2通信部53は、収集した蓄電セル(蓄電モジュール)の状態を示す各種データをサーバ装置2に送信することができる。
【0066】
これにより、劣化が進行した蓄電セル又は異常状態になりつつある蓄電セルの実態を反映したデータを取得することが可能となる。
【0067】
次に、学習モデル23のモードと電池管理装置50の均衡回路71に対する制御動作との関係について説明する。
【0068】
図6は電池管理装置50の制御動作の一例を示す図である。ここでは、ケース1からケース5について説明する。
【0069】
ケース1では、学習モデル23が学習モードに移行する場合を示す。制御部51は、均衡回路71が電圧の均衡化を行う際の閾値電圧を大きい値に変更する。制御部51は、蓄電セルの電圧、温度を含むデータを取得し、学習モデル23に提供する。これにより、劣化が進行した蓄電セル又は異常状態になりつつある蓄電セルが正常な蓄電セルと異なる挙動を示しやすくなる。
【0070】
ケース2では、学習モデル23が学習モードに移行する場合を示す。制御部51は、均衡回路71の動作を停止状態に変更する。制御部51は、蓄電セルの電圧、温度を含むデータを取得し、学習モデル23に提供する。これにより、劣化が進行した蓄電セル又は異常状態になりつつある蓄電セルが正常な蓄電セルと異なる挙動を示しやすくなる。
【0071】
ケース3では、学習モデル23が学習モードに移行する場合を示す。制御部51は、複数の蓄電セルのうち一の蓄電セルを放電して複数の蓄電セルの間の電圧差を大きくする。例えば、複数の蓄電セルのうち最小電圧を示す蓄電セルを放電することにより、当該蓄電セルの電圧が低下しSOCが低下するので、複数の蓄電セルの間の電圧差(例えば、最大電圧と最小電圧との差)を大きくすることができる。制御部51は、蓄電セルの電圧、温度を含むデータを取得し、学習モデル23に提供する。これにより、劣化が進行した蓄電セル又は異常状態になりつつある蓄電セルを模擬することができる。
【0072】
ケース4では、学習モデル23が検知モードに移行する場合を示す。制御部51は、均衡回路71を通常の動作状態(所定状態)で動作させる。すなわち、学習済の学習モデル23によって蓄電セルの状態を実際に検知する検知モードでは、均衡回路71を通常の動作状態で動作させることができる。制御部51は、蓄電セルの電圧、温度を含むデータを取得し、学習モデル23に提供する。
【0073】
これにより、移動体や施設に設置された蓄電セルの実際の使用条件でのデータに基づいて、蓄電セル(蓄電モジュール)の劣化進行又は異常などを正確に把握することができる。学習モデル23は、正常な蓄電セルと異なる挙動を示す、劣化が進行した蓄電セル又は異常状態になりつつある蓄電セルに係るデータを学習済であるので、蓄電セルの劣化状態又は異常状態をいち早く検知することができる。
【0074】
ケース5では、学習モデル23が検知モードに移行する場合を示す。制御部51は、均衡回路71の状態を、前述のケース1、2、3のいずれかの状態にする。すなわち、学習済の学習モデル23によって蓄電セルの状態を実際に検知する検知モードで、均衡回路71を通常の動作状態から変更する。制御部51は、蓄電セルの電圧、温度を含むデータを取得し、学習モデル23に提供する。
【0075】
これにより、学習モデル23の妥当性を検証することができる。学習済みの学習モデル23が、均衡回路71を通常の動作状態から変更した蓄電モジュール又はその蓄電モジュールに含まれる特定の蓄電セルをいち早く検知できれば、学習モデル23は妥当性が高いと判断できる。このような学習済みの学習モデル23により、劣化した蓄電セルの検知のみならず、正常に動作していない均衡回路71又は制御基板70を有する蓄電モジュールや、正常に動作していない電池管理装置50を有するバンクを検知することもできる。
【0076】
図7は電池管理装置50の他の構成の一例を示すブロック図である。図7に示すように、電池管理装置50は、学習モデル54を備えることができる。学習モデル54は、上述の学習モデル23と同様の構成、機能を備えることができる。電池管理装置50は、サーバ装置2と同様の機能を備えてもよく、学習モデル54のモード(検知モード又は学習モード)を判別することができる。これにより、電池管理装置50は、自身が監視する蓄電モジュール(蓄電セル)の劣化状態又は異常状態をいち早く検知することができる。
【0077】
図8は電池管理装置50が行う処理手順の一例を示すフローチャートである。以下では便宜上、処理の主体を制御部51として説明する。制御部51は、学習モデルのモードを取得し(S11)、学習モードであるか否かを判定する(S12)。学習モードである場合(S12でYES)、制御部51は、均衡回路の状態を通常状態から変更する(S13)。通常状態からの変更は、例えば、図6で例示したケース1、2、3のいずれかとすることができる。
【0078】
制御部51は、蓄電セルの電圧、温度を含む学習用データを取得し(S14)、取得した学習用データをサーバ装置2へ送信することにより、学習モデルに提供する(S15)。学習用データは、所要の期間に亘って、所定のサンプリング周期で検出したデータを収集することにより、取得することができる。
【0079】
制御部51は、学習用データの取得を終了するか否かを判定し(S16)、学習用データの取得を終了しない場合(S16でNO)、ステップS14以降の処理を続ける。学習用データの取得を終了する場合(S16でYES)、制御部51は、均衡回路を通常状態に戻し(S17)、後述のステップS23の処理を行う。
【0080】
学習モードでない場合(S12でNO)、すなわち、検知モードである場合、制御部51は、均衡回路の状態を通常状態から変更するか否かを判定する(S18)。通常状態からの変更は、例えば、図6で例示したケース1、2、3のいずれかとすることができる。すなわち、検知モードでは、均衡回路の状態を通常の動作状態と、通常の動作状態を制限した状態とのいずれかを選択することができる。
【0081】
均衡回路の状態を通常状態から変更する場合(S18でYES)、制御部51は、均衡回路の状態を通常状態から変更し(S19)、後述のステップS20の処理を行う。均衡回路の状態を通常状態から変更しない場合(S18でNO)、制御部51は、ステップS19の処理を行うことなく、後述のステップS20の処理を行う。
【0082】
制御部51は、蓄電セルの電圧、温度を含む入力データを取得し(S20)、取得した入力データをサーバ装置2へ送信することにより、学習モデルに提供する(S21)。なお、検知モードにおける入力データは、所要の期間に亘って、所定のサンプリング周期で検出したデータを収集することにより、取得することができる。
【0083】
制御部51は、検知モードを終了するか否かを判定し(S22)、検知モードを終了しない場合(S22でNO)、ステップS20以降の処理を続ける。検知モードを終了する場合(S22でYES)、制御部51は、処理を終了するか否かを判定する(S23)。処理を終了しない場合(S23でNO)、制御部51は、ステップS11以降の処理を続け、処理を終了する場合(S23でYES)、処理を終了する。
【0084】
本実施の形態の制御部51は、CPU(プロセッサ)、RAM(メモリ)などを備えた汎用コンピュータを用いて実現することもできる。すなわち、図8に示すような、各処理の手順を定めたコンピュータプログラムをコンピュータに備えられたRAM(メモリ)にロードし、コンピュータプログラムをCPU(プロセッサ)で実行することにより、コンピュータ上で制御部51を実現することができる。コンピュータプログラムは記録媒体に記録され流通されてもよい。サーバ装置2で学習させた学習モデル23及びそれに基づくコンピュータプログラムが、ネットワークN及び通信デバイス1経由で遠隔監視の対象装置P、U、D、Mや電池管理装置50、端末装置に配信されインストールされてもよい。
【0085】
コンピュータプログラムは、コンピュータに蓄電素子のための学習モデルを学習させるため、コンピュータに、学習モデルが第一モード又は第二モードのいずれのモードかの情報を取得させるステップと、学習モデルが第一モードである場合、蓄電素子の電圧を均衡化する均衡回路の動作を所定状態から変更させるステップと、蓄電素子の電圧、電流、温度及びSOCの少なくともいずれかを含む入力データを取得させ学習モデルに提供させるステップとを実行させる。
【0086】
コンピュータプログラムは、学習モデルが第一モードである場合、均衡回路の動作を所定状態としたまま、入力データを取得させ学習モデルに提供させるステップを更にコンピュータに実行させてもよい。
【0087】
コンピュータプログラムは、コンピュータに蓄電素子の状態を検知させるため、コンピュータに、蓄電素子の電圧、電流、温度及びSOCの少なくともいずれかを含む入力データを、前述のコンピュータプログラムによって学習済みの学習モデルに対して入力させるステップと、蓄電素子の状態を検知させるステップとを実行させる。
【0088】
上述のように、本実施の形態の電池管理装置によれば、蓄電セルの状態を検知する学習モデルを学習させる場合、均衡回路の動作によって、蓄電セルの電圧又はSOCが自動的に調整される度合いを変更することができる。これにより、劣化が進行した蓄電セル又は異常状態になりつつある蓄電セルの実態を反映したデータを取得することが可能となり、蓄電セルの劣化状態又は異常状態をいち早く検知することができる。
【0089】
以下の形態で技術的思想が実現されてもよい。学習モデルの学習方法であって、蓄電素子の電圧を均衡化する均衡回路の動作を所定状態から変更してから、蓄電素子の電圧、電流、温度及びSOCの少なくともいずれかを含む入力データを取得して学習モデルに提供する、方法。一又は複数の蓄電モジュールについて、均衡回路の動作を所定状態から種々変更して(電圧均衡化を行う閾値電圧を大きい値又は小さい値に変更したり、均衡回路の動作を停止状態に変更したりして)、入力データを取得し学習モデルに提供してもよい。一又は複数の蓄電モジュールについて、均衡回路の状態を所定状態から変更せずに(すなわち、均衡回路を通常の動作状態としたまま)、入力データを学習モデルに提供してもよい。サーバの学習モデルに対して入力データを提供してもよい。こうしたアプローチにより、限られた数の蓄電モジュールから、学習モデルに対して倍数的に入力データを提供できる。すなわち、学習のためのビッグデータを効率良く用意できる。
【0090】
実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0091】
50 電池管理装置
51 制御部
52 第1通信部
53 第2通信部
23、54 学習モデル
60 蓄電モジュール
61a、61b、61c、61d、61e 蓄電セル
70 制御基板
71 均衡回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8