【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、下部走行体と、該下部走行体に搭載された上部旋回体と、該上部旋回体の車両後部の機械室内に配設されたエンジンと、該機械室内に空気を取り込んで該エンジンを冷却させるファンとを備えた建設機械の冷却装置を対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0011】
すなわち、第1の発明は、前記機械室内に配設された第1の熱交換器と、
前記機械室内に取り込まれた空気を前記第1の熱交換器に向かって導くダクト本体と、該ダクト本体の側壁に形成された開口窓を開閉可能に塞ぐ開閉蓋とを有する吸気ダクトと、
前記吸気ダクトの内部に配設された第2の熱交換器と、
前記開閉蓋の開閉動作に連動して、前記第1の熱交換器寄りの格納位置と、該第1の熱交換器から離間したメンテナンス位置との間で、前記第2の熱交換器を移動可能に保持する保持部材とを備えたことを特徴とするものである。
【0012】
第1の発明では、吸気ダクト内部の第2の熱交換器を、開閉蓋の開閉動作に連動して、格納位置とメンテナンス位置との間で移動させるようにしている。ここで、格納位置とは、第2の熱交換器が第1の熱交換器のコア面に対向するように第1の熱交換器寄りに近付けられた位置であり、メンテナンス位置とは、第2の熱交換器と第1の熱交換器との間に清掃用の隙間が設けられるように第2の熱交換器を第1の熱交換器のコア面から離間させた位置である。
【0013】
これにより、第1の熱交換器や吸気ダクトの内部に配設された第2の熱交換器のメンテナンス作業を行い易くなる。
【0014】
具体的に、第1の熱交換器の上流側のコア面に異物が付着しており、第1の熱交換器の下流側のコア面からエアガンで空気を吹き付けて異物を吹き飛ばす際に、開閉蓋を開いて第2の熱交換器をメンテナンス位置まで移動させることで、第1の熱交換器と第2の熱交換器との間に清掃用の隙間を設けることができる。
【0015】
これにより、第1の熱交換器の下流側のコア面から空気を吹き付け、第1の熱交換器の上流側のコア面に付着していた異物が吹き飛ばされた場合でも、吹き飛ばされた異物が吸気ダクト内部の第2の熱交換器に付着するのを抑えることができる。また、第1の熱交換器の上流側のコア面から落下した異物を清掃用の隙間から容易に取り除くことができる。
【0016】
また、吸気ダクト内部の第2の熱交換器についても同様に、第1の熱交換器と第2の熱交換器との間に設けられた清掃用の隙間からエアガンを挿入して、第2の熱交換器の下流側のコア面から空気を吹き付け、第2の熱交換器の上流側のコア面に付着した異物を吹き飛ばして除去することができる。
【0017】
また、第1の熱交換器と第2の熱交換器との間の清掃用の隙間から、第1の熱交換器や第2の熱交換器を目視することで、第1の熱交換器や第2の熱交換器の損傷等を点検することができる。
【0018】
さらに、吸気ダクトの開口窓は、ダクト本体の側壁に形成されているので、作業者が上部旋回体の上に乗らなくても、地上からメンテナンス作業を行うことができ、安全性が高く、作業性も向上する。
【0019】
第2の発明は、第1の発明において、
前記保持部材は、
前記第2の熱交換器を保持する保持体と、
前記開閉蓋に連結され且つ前記保持体の幅方向の一端部を回動可能に支持する第1のリンク部材と、
前記保持体の幅方向の他端部を回動可能に支持する第2のリンク部材と、
前記ダクト本体に連結され且つ前記第2のリンク部材を回動可能に支持する支持部材とを有することを特徴とするものである。
【0020】
第2の発明では、第2の熱交換器を保持する保持体が、第1のリンク部材及び第2のリンク部材によって移動可能に支持されている。また、第2のリンク部材は、支持部材によって回動可能に支持されている。
【0021】
これにより、開閉蓋を開くと、第1のリンク部材によって保持体が開口窓に向かう方向に引っ張られるとともに、第2のリンク部材及び支持部材の回動支点を中心に保持体が移動して、保持体をメンテナンス位置に移動させることができる。
【0022】
また、開閉蓋を閉じると、第1のリンク部材によって保持体が開口窓から離れる方向に押されるとともに、第2のリンク部材及び支持部材の回動支点を中心に保持体が移動することで、保持体を格納位置に移動させることができる。
【0023】
第3の発明は、第2の発明において、
前記第2の熱交換器は、コア面が車両左右方向を向くように前記吸気ダクトの内部に配設され、
前記開口窓は、前記ダクト本体における車両後部の側壁に形成され、
前記開閉蓋は、上下方向に延びるヒンジ軸を中心に回動可能に支持され、
前記保持体における前記第1のリンク部材側の回動支点は、前記開閉蓋を閉じた状態において、平面視で前記ヒンジ軸と前後方向に並ぶように位置しており、
前記第2のリンク部材における前記支持部材側の回動支点は、平面視で前記ヒンジ軸よりも前記吸気ダクトの吸気口側に位置していることを特徴とするものである。
【0024】
第3の発明では、開閉蓋を閉じた状態において、平面視で保持体における前記第1のリンク部材側の回動支点とヒンジ軸とが前後方向に並ぶように位置している。また、平面視で第2のリンク部材における前記支持部材側の回動支点がヒンジ軸よりも吸気ダクトの吸気口側に位置している。
【0025】
このように、第1のリンク部材の支点位置と支持部材の支点位置とを離間させることで、開閉蓋を開いたときの第2の熱交換器の移動距離、つまり、第1の熱交換器と第2の熱交換器との間の隙間を大きく確保することができ、メンテナンス作業を行い易くなる。