特許第6973114号(P6973114)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6973114
(24)【登録日】2021年11月8日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】建設機械の冷却装置
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/00 20060101AFI20211111BHJP
   F01P 11/10 20060101ALI20211111BHJP
   B60K 11/04 20060101ALI20211111BHJP
【FI】
   E02F9/00 M
   F01P11/10 D
   F01P11/10 K
   B60K11/04 B
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-10431(P2018-10431)
(22)【出願日】2018年1月25日
(65)【公開番号】特開2019-127774(P2019-127774A)
(43)【公開日】2019年8月1日
【審査請求日】2020年10月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村上 良昭
【審査官】 石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−282239(JP,A)
【文献】 特開2004−278379(JP,A)
【文献】 特開2000−318465(JP,A)
【文献】 特開平09−089488(JP,A)
【文献】 実開昭59−102933(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0219451(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/00
F01P 11/10
B60K 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部走行体と、該下部走行体に搭載された上部旋回体と、該上部旋回体の車両後部の機械室内に配設されたエンジンと、該機械室内に空気を取り込んで該エンジンを冷却させるファンとを備えた建設機械の冷却装置であって、
前記機械室内に配設された第1の熱交換器と、
前記機械室内に取り込まれた空気を前記第1の熱交換器に向かって導くダクト本体と、該ダクト本体の側壁に形成された開口窓を開閉可能に塞ぐ開閉蓋とを有する吸気ダクトと、
前記吸気ダクトの内部に配設された第2の熱交換器と、
前記開閉蓋の開閉動作に連動して、前記第1の熱交換器寄りの格納位置と、該第1の熱交換器から離間したメンテナンス位置との間で、前記第2の熱交換器を移動可能に保持する保持部材とを備えたことを特徴とする建設機械の冷却装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記保持部材は、
前記第2の熱交換器を保持する保持体と、
前記開閉蓋に連結され且つ前記保持体の幅方向の一端部を回動可能に支持する第1のリンク部材と、
前記保持体の幅方向の他端部を回動可能に支持する第2のリンク部材と、
前記ダクト本体に連結され且つ前記第2のリンク部材を回動可能に支持する支持部材とを有することを特徴とする建設機械の冷却装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記第2の熱交換器は、コア面が車両左右方向を向くように前記吸気ダクトの内部に配設され、
前記開口窓は、前記ダクト本体における車両後部の側壁に形成され、
前記開閉蓋は、上下方向に延びるヒンジ軸を中心に回動可能に支持され、
前記保持体における前記第1のリンク部材側の回動支点は、前記開閉蓋を閉じた状態において、平面視で前記ヒンジ軸と前後方向に並ぶように位置しており、
前記第2のリンク部材における前記支持部材側の回動支点は、平面視で前記ヒンジ軸よりも前記吸気ダクトの吸気口側に位置していることを特徴とする建設機械の冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械の冷却装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、上部旋回体の車両後部にエンジンルームが設けられ、エンジンルーム内にエンジンや第1の熱交換器(ラジエータ)等が配設された建設機械が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、第1の熱交換器の上流側に吸気ダクトが設けられ、吸気ダクトの内部に第2の熱交換器(エアコン用のコンデンサや燃料クーラ)が配置された構成が開示されている。ここで、第1の熱交換器や第2の熱交換器等の冷却装置の目詰まりを抑えるために、吸気ダクトの吸気口にエアフィルタを取り付け、空気中の異物を除去した後のクリーンな空気を各冷却装置に供給することが考えられる。
【0004】
しかしながら、産業廃棄現場や解体現場のように、微細粒子粉塵が浮遊する環境下では、エアフィルタを粉塵が通過して、各冷却装置の目詰まりが進行してしまう。そのため、例えば、1日2回以上、第1の熱交換器等の清掃を行う必要がある。
【0005】
具体的に、第1の熱交換器の清掃方法として、第1の熱交換器の下流側、つまり、エンジンファン側から第1の熱交換器のコア面に向かってエアガンで空気を吹き付け、第1の熱交換器の上流側のコア面に付着した粉塵を吹き飛ばすことが行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−81953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の発明のように、第1の熱交換器の上流側に第2の熱交換器が配置されている場合には、第1の熱交換器の上流側のコア面から吹き飛ばされた粉塵が、吸気ダクト内の第2の熱交換器に付着してしまい、粉塵をスムーズに除去できないという問題がある。
【0008】
また、第2の熱交換器に付着した粉塵を除去するために、吸気ダクトから第2の熱交換器を取り外そうとしても、第2の熱交換器は吸気ダクトの内部に配設されているため、取り外し作業が困難であるという問題がある。
【0009】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、第1の熱交換器や吸気ダクト内部の第2の熱交換器のメンテナンス作業を行い易くすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、下部走行体と、該下部走行体に搭載された上部旋回体と、該上部旋回体の車両後部の機械室内に配設されたエンジンと、該機械室内に空気を取り込んで該エンジンを冷却させるファンとを備えた建設機械の冷却装置を対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0011】
すなわち、第1の発明は、前記機械室内に配設された第1の熱交換器と、
前記機械室内に取り込まれた空気を前記第1の熱交換器に向かって導くダクト本体と、該ダクト本体の側壁に形成された開口窓を開閉可能に塞ぐ開閉蓋とを有する吸気ダクトと、
前記吸気ダクトの内部に配設された第2の熱交換器と、
前記開閉蓋の開閉動作に連動して、前記第1の熱交換器寄りの格納位置と、該第1の熱交換器から離間したメンテナンス位置との間で、前記第2の熱交換器を移動可能に保持する保持部材とを備えたことを特徴とするものである。
【0012】
第1の発明では、吸気ダクト内部の第2の熱交換器を、開閉蓋の開閉動作に連動して、格納位置とメンテナンス位置との間で移動させるようにしている。ここで、格納位置とは、第2の熱交換器が第1の熱交換器のコア面に対向するように第1の熱交換器寄りに近付けられた位置であり、メンテナンス位置とは、第2の熱交換器と第1の熱交換器との間に清掃用の隙間が設けられるように第2の熱交換器を第1の熱交換器のコア面から離間させた位置である。
【0013】
これにより、第1の熱交換器や吸気ダクトの内部に配設された第2の熱交換器のメンテナンス作業を行い易くなる。
【0014】
具体的に、第1の熱交換器の上流側のコア面に異物が付着しており、第1の熱交換器の下流側のコア面からエアガンで空気を吹き付けて異物を吹き飛ばす際に、開閉蓋を開いて第2の熱交換器をメンテナンス位置まで移動させることで、第1の熱交換器と第2の熱交換器との間に清掃用の隙間を設けることができる。
【0015】
これにより、第1の熱交換器の下流側のコア面から空気を吹き付け、第1の熱交換器の上流側のコア面に付着していた異物が吹き飛ばされた場合でも、吹き飛ばされた異物が吸気ダクト内部の第2の熱交換器に付着するのを抑えることができる。また、第1の熱交換器の上流側のコア面から落下した異物を清掃用の隙間から容易に取り除くことができる。
【0016】
また、吸気ダクト内部の第2の熱交換器についても同様に、第1の熱交換器と第2の熱交換器との間に設けられた清掃用の隙間からエアガンを挿入して、第2の熱交換器の下流側のコア面から空気を吹き付け、第2の熱交換器の上流側のコア面に付着した異物を吹き飛ばして除去することができる。
【0017】
また、第1の熱交換器と第2の熱交換器との間の清掃用の隙間から、第1の熱交換器や第2の熱交換器を目視することで、第1の熱交換器や第2の熱交換器の損傷等を点検することができる。
【0018】
さらに、吸気ダクトの開口窓は、ダクト本体の側壁に形成されているので、作業者が上部旋回体の上に乗らなくても、地上からメンテナンス作業を行うことができ、安全性が高く、作業性も向上する。
【0019】
第2の発明は、第1の発明において、
前記保持部材は、
前記第2の熱交換器を保持する保持体と、
前記開閉蓋に連結され且つ前記保持体の幅方向の一端部を回動可能に支持する第1のリンク部材と、
前記保持体の幅方向の他端部を回動可能に支持する第2のリンク部材と、
前記ダクト本体に連結され且つ前記第2のリンク部材を回動可能に支持する支持部材とを有することを特徴とするものである。
【0020】
第2の発明では、第2の熱交換器を保持する保持体が、第1のリンク部材及び第2のリンク部材によって移動可能に支持されている。また、第2のリンク部材は、支持部材によって回動可能に支持されている。
【0021】
これにより、開閉蓋を開くと、第1のリンク部材によって保持体が開口窓に向かう方向に引っ張られるとともに、第2のリンク部材及び支持部材の回動支点を中心に保持体が移動して、保持体をメンテナンス位置に移動させることができる。
【0022】
また、開閉蓋を閉じると、第1のリンク部材によって保持体が開口窓から離れる方向に押されるとともに、第2のリンク部材及び支持部材の回動支点を中心に保持体が移動することで、保持体を格納位置に移動させることができる。
【0023】
第3の発明は、第2の発明において、
前記第2の熱交換器は、コア面が車両左右方向を向くように前記吸気ダクトの内部に配設され、
前記開口窓は、前記ダクト本体における車両後部の側壁に形成され、
前記開閉蓋は、上下方向に延びるヒンジ軸を中心に回動可能に支持され、
前記保持体における前記第1のリンク部材側の回動支点は、前記開閉蓋を閉じた状態において、平面視で前記ヒンジ軸と前後方向に並ぶように位置しており、
前記第2のリンク部材における前記支持部材側の回動支点は、平面視で前記ヒンジ軸よりも前記吸気ダクトの吸気口側に位置していることを特徴とするものである。
【0024】
第3の発明では、開閉蓋を閉じた状態において、平面視で保持体における前記第1のリンク部材側の回動支点とヒンジ軸とが前後方向に並ぶように位置している。また、平面視で第2のリンク部材における前記支持部材側の回動支点がヒンジ軸よりも吸気ダクトの吸気口側に位置している。
【0025】
このように、第1のリンク部材の支点位置と支持部材の支点位置とを離間させることで、開閉蓋を開いたときの第2の熱交換器の移動距離、つまり、第1の熱交換器と第2の熱交換器との間の隙間を大きく確保することができ、メンテナンス作業を行い易くなる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、第1の熱交換器や吸気ダクトの内部に配設された第2の熱交換器のメンテナンス作業を行い易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本実施形態に係る建設機械の構成を示す側面図である。
図2】上部旋回体の内部構成を示す平面図である。
図3】上部旋回体の内部構成を示す背面図である。
図4】吸気ダクトの内部に第2の熱交換器を取り付ける状態を示す斜視図である。
図5】吸気ダクトの吸気口側から第2の熱交換器を見たときの側面断面図である。
図6】吸気ダクトの構成を示す背面図である。
図7】保持部材の構成を示す側面断面図である。
図8】開閉蓋を閉じた状態を示す平面断面図である。
図9】開閉蓋を開いた状態を示す平面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。各図には、上下や前後左右の方向を矢印で示してある。特に言及しない限り、上下等の方向についてはこれら矢印で示す方向に従って説明する。
【0029】
図1に示すように、建設機械10は、クローラ式の下部走行体11と、下部走行体11上に旋回自在に搭載された上部旋回体20とを備えている。上部旋回体20には、アタッチメント13、キャブ14、機械室15、アッパーフレーム21等が設けられている。
【0030】
なお、本実施形態の建設機械10は小旋回型であり、旋回半径が小さくなるように、上部旋回体20は相対的に小さく構成され、上部旋回体20の後部の外郭線は、上方から見て円弧状に形成されている。
【0031】
アタッチメント13は、上部旋回体20の前部に設置され、ブーム13a、アーム13b、及びバケット13c等で構成されている。ブーム13a等のそれぞれは、油圧制御された油圧シリンダ13dの伸縮に連動して動作し、掘削等の作業を行う。これらブーム13a等の操作は、キャブ14において行われる。
【0032】
キャブ14は、矩形箱形の運転室であり、アタッチメント13に隣接して上部旋回体20の左前部に設置されている。機械室15は、上部旋回体20の後部に設けられている。機械室15は、上部旋回体20の後部の外周縁に沿って搭載されたカウンタウエイト22と、カウンタウエイト22とともに機械室15の周囲を覆う機械室カバー16とによって区画されている。カウンタウエイト22は、アタッチメント13との間で前後のバランスを確保するためのものである。
【0033】
図2及び図3に示すように、機械室15の内部には、エンジン31、第1の熱交換器35、吸気ダクト40等が密集した状態で収容されている。カウンタウエイト22の左側後部及び右側後部には、メンテナンス開口23が形成されている。
【0034】
メンテナンス開口23は、機械室15内に配設された各種機器のメンテナンスを行うための開口である。左側のメンテナンス開口23は、車両後方から吸気ダクト40を視認可能な位置に開口しており、エアフィルタ44の交換作業等を行うことができる。右側のメンテナンス開口23は、車両後方からエンジン31や油圧ポンプ32を視認可能な位置に開口している。
【0035】
メンテナンス開口23は、後方カバー24によって開閉可能に塞がれている。後方カバー24は、メンテナンス開口23の周縁部における車両後側の位置で上下方向に延びる中心軸25によって回動可能に支持されている。後方カバー24は、中心軸25を中心に回動させることで、後方カバー24の車両前部を後方に移動させ、メンテナンス開口23を開放することができる。
【0036】
アッパーフレーム21は、上部旋回体20の下部に設置されており、キャブ14や機械室15等は、アッパーフレーム21の上に設けられている。
【0037】
機械室15内には、図示しないエンジンマウントを介してエンジン31が搭載されている。エンジン31は、その駆動軸が車両左右方向を向くように機械室15の内部に配設されている。機械室カバー16の左側上部には、吸気口16aが形成されている。機械室カバー16の右側上部には、排気口16bが形成されている。
【0038】
機械室15の内部には、エンジン31の他にも、油圧ポンプ32や、第1の熱交換器35、ファン33、及び吸気ダクト40等の冷却装置が収容されている。この建設機械10では、空気流通方向の上流側から順に、吸気ダクト40、第1の熱交換器35、ファン33、エンジン31、及び油圧ポンプ32が横並びに配設されている。
【0039】
機械室15の内部は、仕切壁17によって、第1の熱交換器35、ファン33、エンジン31が配設されたエンジンルーム15aと、吸気ダクト40が配設された吸気室15bとに仕切られている。
【0040】
第1の熱交換器35は、コア面が車両左右方向を向くように配設されている。第1の熱交換器35は、例えば、ラジエータで構成されている。ファン33は、エンジン31の駆動軸の左端部に接続され、エンジン31と第1の熱交換器35との間に配設されている。ファン33の周囲は、ファンシュラウド34によって覆われており、第1の熱交換器35を通過した空気がエンジン31に向かって導かれるようになっている。油圧ポンプ32は、エンジン31の駆動軸の右端部に接続されている。
【0041】
本実施形態の建設機械10では、エンジン31の駆動時に、機械室15の内部に左側から右側ヘ向かう空気の流れが形成され、第1の熱交換器35でその空気と熱交換する冷媒によってエンジン31等が冷却される。
【0042】
具体的には、ファン33の回転によって吸気口16aから空気が機械室15の内部に取り入れられる。取り入れられた空気は、第1の熱交換器35を通り抜け、第1の熱交換器35を流れる冷媒の熱を吸熱して熱気となり、排気口16bから機械室15の外に排出される。
【0043】
図4にも示すように、吸気ダクト40は、空気流通方向の上流側から下流側に向かって開口した箱状のダクト本体41と、ダクト本体41の車両後部の側壁に形成された開口窓42を開閉可能に塞ぐ開閉蓋45とを有する。吸気ダクト40の吸気口43には、エアフィルタ44が着脱可能に嵌め込まれている。吸気ダクト40は、第1の熱交換器35よりも空気流通方向の上流側に配設され、吸気室15b内に取り込まれた空気を第1の熱交換器35に向かって導く。
【0044】
開閉蓋45の右端部とダクト本体41とは、上下方向に間隔をあけて配設された2つのヒンジ部材46によって連結されている。ヒンジ部材46は、上下方向に延びるヒンジ軸47を有する。開閉蓋45は、ヒンジ軸47を中心に回動可能に支持されている。
【0045】
開閉蓋45の左端部には、上下方向に間隔をあけて2つのノブボルト48が取り付けられている。ダクト本体41には、開閉蓋45を閉じたときにノブボルト48に対応する位置にネジ孔(図示省略)が形成されている。作業者は、ノブボルト48を手動で締め付け又は緩めることで、開閉蓋45をダクト本体41に取り付け又はダクト本体41から取り外しできるようになっている。
【0046】
吸気ダクト40の内部には、コア面が車両左右方向を向くように第2の熱交換器36が配設されている。第2の熱交換器36は、例えば、エアコン用のコンデンサ37や燃料クーラ38で構成されている。第2の熱交換器36は、保持部材50によって保持されている。
【0047】
図4図7に示すように、保持部材50は、第2の熱交換器36を保持する保持体51と、開閉蓋45に連結され且つ保持体51の後端部を回動可能に支持する第1のリンク部材60と、保持体51の前端部を回動可能に支持する第2のリンク部材65と、ダクト本体41に連結され且つ第2のリンク部材65を回動可能に支持する支持部材68とを有する。
【0048】
保持体51は、第2の熱交換器36としてのコンデンサ37の周囲を覆う枠部52と、枠部52の前側壁寄りの位置で上下方向に延びる梁部53と、枠部52の後側壁から枠内に突出した上下一対の側部取付部54と、枠部52の下側壁から下方に突出した前後一対の下部取付部55とを有する。梁部53には、上下方向に間隔をあけて2つのネジ孔56が形成されている。また、側部取付部54及び下部取付部55にも、ネジ孔56が形成されている。
【0049】
コンデンサ37の車両前部には、上下方向に間隔をあけて2つの取付ブラケット37aが設けられている。また、コンデンサ37の車両後部にも同様に、上下方向に間隔をあけて2つの取付ブラケット37aが設けられている。これら4つの取付ブラケット37aは、梁部53の2つのネジ孔56と、2つの側部取付部54のネジ孔56に対応して設けられている。取付ブラケット37aには、貫通孔37bが形成されている。
【0050】
そして、コンデンサ37を保持体51の枠部52に収容して、締結ボルト58によって取付ブラケット37aと梁部53とを締結させることで、コンデンサ37が保持体51の枠部52内に着脱可能に取り付けられる。
【0051】
第2の熱交換器36としての燃料クーラ38の上部には、前後方向に間隔をあけて2つの取付ブラケット38aが設けられている。2つの取付ブラケット38aは、保持体51の下部取付部55のネジ孔56に対応して設けられている。取付ブラケット38aには、貫通孔38bが形成されている。
【0052】
そして、燃料クーラ38の取付ブラケット38aを、締結ボルト58によって下部取付部55と締結させることで、燃料クーラ38が保持体51に着脱可能に取り付けられる。
【0053】
第1のリンク部材60は、保持体51の後端部を上下で挟み込むように、上下方向に間隔をあけて2つ設けられている。第1のリンク部材60の基端部は、開閉蓋45の内面に連結されている。第1のリンク部材60の先端部には、ブッシュ61が嵌め込まれている。また、保持体51の枠部52の上下面における車両後部には、ネジ孔56が形成されている。
【0054】
第1のリンク部材60の先端部と、保持体51の後端部とは、段付きボルト62によって締結されている。これにより、保持体51は、回動支点である第1のリンク部材60の段付きボルト62を中心に、第1のリンク部材60に対して回動可能に支持されている。ここで、保持体51における第1のリンク部材60側の回動支点は、開閉蓋45を閉じた状態において、平面視でヒンジ軸47と前後方向に並ぶように位置している(図8参照)。
【0055】
第2のリンク部材65は、保持体51の前端部を上下で挟み込むように、上下方向に間隔をあけて設けられた2つのリンクバー66と、上下のリンクバー66同士を連結する連結軸67とを有する。
【0056】
リンクバー66の先端部には、ブッシュ61が嵌め込まれている。また、保持体51の枠部52の上下面における車両前部には、ネジ孔56が形成されている。連結軸67は、リンクバー66の基端部同士を連結している。リンクバー66の基端部の上下面には、ネジ孔56が形成されている。
【0057】
リンクバー66の先端部と、保持体51の前端部とは、段付きボルト62によって締結されている。これにより、保持体51は、回動支点である第2のリンク部材65の段付きボルト62を中心に、第2のリンク部材65に対して回動可能に支持されている。
【0058】
支持部材68は、第2のリンク部材65の基端部を上下で挟み込むように、上下方向に間隔をあけて2つ設けられている。支持部材68の先端部には、ブッシュ61が嵌め込まれている。支持部材68の基端部は、吸気ダクト40の内面に連結されている。
【0059】
支持部材68の先端部と、第2のリンク部材65の基端部とは、段付きボルト62によって締結されている。これにより、第2のリンク部材65は、回動支点である支持部材68の段付きボルト62を中心に、支持部材68に対して回動可能に支持されている。また、第2のリンク部材65における支持部材68側の回動支点は、平面視でヒンジ軸47よりも吸気ダクト40の吸気口43側に位置している(図8参照)。
【0060】
図8に示すように、開閉蓋45を閉じると、第1のリンク部材60によって保持体51が開口窓42から離れる方向に押されるとともに、第2のリンク部材65及び支持部材68の回動支点を中心に保持体51が移動することで、保持体51を格納位置に移動させることができる。ここで、格納位置とは、第2の熱交換器36が第1の熱交換器35のコア面に対向するように第1の熱交換器35寄りに近付けられた位置である。
【0061】
一方、図9に示すように、開閉蓋45を開くと、第1のリンク部材60によって保持体51が開口窓42に向かう方向に引っ張られるとともに、第2のリンク部材65及び支持部材68の回動支点を中心に保持体51が移動して、保持体51をメンテナンス位置に移動させることができる。ここで、メンテナンス位置とは、第2の熱交換器36と第1の熱交換器35との間に清掃用の隙間が設けられるように第2の熱交換器36を第1の熱交換器35のコア面から離間させた位置である。
【0062】
これにより、吸気ダクト40内部の第2の熱交換器36を、開閉蓋45の開閉動作に連動して、第1の熱交換器35寄りの格納位置(図8参照)と、第1の熱交換器35から離間したメンテナンス位置(図9参照)との間で移動させることができる。そのため、第1の熱交換器35や吸気ダクト40の内部に配設された第2の熱交換器36のメンテナンス作業を行い易くなる。
【0063】
具体的に、産業廃棄現場や解体現場のように、微細粒子粉塵が浮遊する環境下では、エアフィルタ44を粉塵が通過して、第1の熱交換器35や第2の熱交換器36の目詰まりが進行してしまう。そのため、例えば、1日2回以上、第1の熱交換器35や第2の熱交換器36の清掃を行う必要がある。
【0064】
そこで、第1の熱交換器35の上流側のコア面に付着した異物を除去するのにあたって、まず、開閉蓋45を開くことで、第2の熱交換器36を第1の熱交換器35から離間したメンテナンス位置に移動させる(図9参照)。
【0065】
その後、第1の熱交換器35の下流側のコア面からエアガン70で空気を吹き付けることで、第1の熱交換器35の上流側のコア面に付着した異物を吹き飛ばすようにする。このとき、第1の熱交換器35と第2の熱交換器36とを離間させているため、エアガン70によって第1の熱交換器35から吹き飛ばされた異物が、吸気ダクト40内部の第2の熱交換器36に付着するのを抑えることができる。
【0066】
また、吸気ダクト40内部の第2の熱交換器36についても同様に、第1の熱交換器35と第2の熱交換器36との間に設けられた清掃用の隙間からエアガン70を挿入して、第2の熱交換器36の下流側のコア面から空気を吹き付けることで、第2の熱交換器36の上流側のコア面に付着した異物を吹き飛ばして除去することができる。
【0067】
また、吸気ダクト40の開口窓42は、ダクト本体41の後側壁に形成されているので、作業者が上部旋回体20の上に乗らなくても、地上からメンテナンス作業を行うことができ、安全性が高く、作業性も向上する。
【産業上の利用可能性】
【0068】
以上説明したように、本発明は、第1の熱交換器や吸気ダクト内部の第2の熱交換器のメンテナンス作業を行い易くすることができるという実用性の高い効果が得られることから、きわめて有用で産業上の利用可能性は高い。
【符号の説明】
【0069】
10 建設機械
11 下部走行体
15 機械室
20 上部旋回体
31 エンジン
33 ファン
35 第1の熱交換器
36 第2の熱交換器
40 吸気ダクト
41 ダクト本体
42 開口窓
43 吸気口
45 開閉蓋
47 ヒンジ軸
50 保持部材
51 保持体
60 第1のリンク部材
65 第2のリンク部材
68 支持部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9