特許第6973170号(P6973170)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6973170方位変化処理装置、方位変化処理システム、及び方位変化処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6973170
(24)【登録日】2021年11月8日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】方位変化処理装置、方位変化処理システム、及び方位変化処理方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 3/808 20060101AFI20211111BHJP
   G01S 3/82 20060101ALI20211111BHJP
【FI】
   G01S3/808
   G01S3/82
【請求項の数】10
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-31777(P2018-31777)
(22)【出願日】2018年2月26日
(65)【公開番号】特開2019-148439(P2019-148439A)
(43)【公開日】2019年9月5日
【審査請求日】2020年11月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】特許業務法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤本 治
【審査官】 藤田 都志行
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭58−139084(JP,A)
【文献】 特開平09−218254(JP,A)
【文献】 特開2014−038028(JP,A)
【文献】 米国特許第6980486(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 1/72− 1/82
G01S 3/80− 3/86
G01S 5/18− 5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発信源からの信号を含む受波信号への複数の方位についての整相による整相データに対し、少なくとも1つの前記方位につき、複数の方位変化率での方位変化に沿って信号レベルの積分を行うことで複数の積分値を求める積分処理部と、
前記積分処理部において求められた複数の前記積分値をもとに、前記発信源の前記方位及び前記方位変化率を示す方位情報を生成して出力する出力制御部と、を有する、方位変化処理装置。
【請求項2】
前記出力制御部は、
同時刻における複数の前記積分値の中の最大値である最大積分値を求める方位変化取得処理部を有し、
前記方位変化取得処理部は、
前記最大積分値がピーク判定閾値よりも大きい場合、前記最大積分値に対応する前記方位及び前記方位変化率を前記方位情報として外部へ出力するものである、請求項1に記載の方位変化処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方位変化処理装置と、
前記積分処理部において求められた複数の前記積分値について、前記出力制御部から出力される前記方位情報をもとに、前記方位及び前記方位変化率ごとの信号強度を示すB−BR表示を行う表示装置と、を有する、方位変化処理システム。
【請求項4】
時刻を指定する操作を受け付ける入力装置を有し、
前記出力制御部は、
前記入力装置を介して指定された時刻に応じて、表示装置上の前記B−BR表示を変化させるB−BR制御部を有する、請求項3に記載の方位変化処理システム。
【請求項5】
前記出力制御部は、
前記整相データの複数の前記方位の信号レベルを前記表示装置にBTR表示させると共に、前記BTR表示上に時刻指定用の時刻カーソルを表示させるBTR制御部を有し、
前記BTR制御部は、
前記入力装置への操作に応じて前記時刻カーソルを移動させる機能を有し、
前記B−BR制御部は、
前記時刻カーソルの指す時刻に応じたB−BR表示を前記表示装置上に表示させるものである、請求項4に記載の方位変化処理システム。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の方位変化処理装置と、
前記積分処理部において求められた複数の前記積分値について、前記出力制御部から出力される前記方位情報をもとに、特定の前記方位における前記方位変化率ごとの前記積分値の信号レベルを示すBR−L表示を行う表示装置と、を有する、方位変化処理システム。
【請求項7】
時刻を指定する操作を受け付ける入力装置を有し、
前記出力制御部は、
前記入力装置を介して指定された時刻に応じて、表示装置上のBR−L表示を変化させるBR−L制御部を有する、請求項6に記載の方位変化処理システム。
【請求項8】
前記出力制御部は、
前記整相データの複数の前記方位の信号レベルを前記表示装置にBTR表示させると共に、前記BTR表示上に時刻指定用の時刻カーソルを表示させるBTR制御部を有し、
前記BTR制御部は、
前記入力装置への操作に応じて前記時刻カーソルを移動させる機能を有し、
前記BR−L制御部は、
前記時刻カーソルの指す時刻に応じたBR−L表示を前記表示装置上に表示させるものである、請求項7に記載の方位変化処理システム。
【請求項9】
前記BTR制御部は、
前記BTR表示上に、前記時刻カーソルに連動して動作する方位カーソルを表示させるものである、請求項5又は8に記載の方位変化処理システム。
【請求項10】
発信源からの信号を含む受波信号への複数の方位についての整相による整相データに対し、少なくとも1つの前記方位につき、複数の方位変化率での方位変化に沿って信号レベルの積分を行うことで複数の積分値を求める積分処理ステップと、
前記積分処理ステップで求めた複数の前記積分値をもとに、前記発信源の前記方位及び前記方位変化率を示す方位情報を生成して出力する出力制御ステップと、を有する、方位変化処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソナー装置等で受信した信号の方位変化に関するデータ処理を行う方位変化処理装置、方位変化処理システム、及び方位変化処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、方位変化処理システムは、音響センサで受信した信号から信号源の方位及び方位変化を把握するために、任意の方位に関して整相処理を行い、その結果を利用している(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の方位変化処理システムは、整相処理で得られた信号につき、各時刻における方位ごとの強度をBTR表示によって出力する。そして、操作員は、2つの時刻について、信号強度がピークとなる方位をBTR表示から読み取ることにより、信号源の方位変化を示す情報を取得する。ここで、BTR表示とは、横軸を方位とし、縦軸を時間として、時間及び方位ごとの信号強度を濃淡表示したものである。
【0003】
例えば、BTR表示から、時刻tで信号強度がピークになっている方位θと、時刻tで信号強度がピークになっている方位θとを読み取ったとする。この場合、信号源の方位の変化率である方位変化率は、方位の変化量(θ−θ)を経過時間(t−t)で除算することにより求めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−38028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、SN比の大きな信号であれば、BTR表示において、信号強度の濃淡が明瞭に表れるため、2つの時刻のそれぞれに応じた方位を読み取ることができる。しかしながら、SN比の小さい信号の場合、BTR表示では、信号強度の濃淡が不明瞭になるため、信号の方位を測定することが困難となる。また、SN比の大きな信号の場合も、従来の方位変化処理システムでは、信号源の方位変化を取得するために、操作員は、2つの時刻に応じた方位を読み取った上で方位変化率を求める必要がある。そのため、方位変化率を求めるための作業が煩雑となる。よって、信号源の方位及び方位変化を示す情報を精度よく且つ容易に求める方位変化処理装置、方位変化処理システム、及び方位変化処理方法が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る方位変化処理装置は、発信源からの信号を含む受波信号への複数の方位についての整相による整相データに対し、少なくとも1つの方位につき、複数の方位変化率での方位変化に沿って信号レベルの積分を行うことで複数の積分値を求める積分処理部と、積分処理部において求められた複数の積分値をもとに、発信源の方位及び方位変化率を示す方位情報を生成して出力する出力制御部と、を有するものである。
【0007】
本発明に係る方位変化処理システムは、上記の方位変化処理装置と、積分処理部において求められた複数の積分値について、出力制御部から出力される方位情報をもとに、方位及び方位変化率ごとの信号強度を示すB−BR表示を行う表示装置と、を有するものである。
【0008】
本発明に係る方位変化処理方法は、発信源からの信号を含む受波信号への複数の方位についての整相による整相データに対し、少なくとも1つの方位につき、複数の方位変化率での方位変化に沿って信号レベルの積分を行うことで複数の積分値を求める積分処理ステップと、積分処理ステップで求めた複数の積分値をもとに、発信源の方位及び方位変化率を示す方位情報を生成して出力する出力制御ステップと、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、整相データに対する信号レベルの積分で求めた複数の積分値をもとに方位情報を生成して出力する。ここで、各積分値には、信号源の方位変化との一致度合いが反映されることから、積分値に基づく方位情報には、発信源の方位及び方位変化率が精度よく現れる。そのため、信号源の方位及び方位変化を示す情報を精度よく且つ容易に求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態1に係る方位変化処理装置及び方位変化処理システムの構成を示すブロック図である。
図2図1の積分処理部による積分値の演算手法を説明するための説明図である。
図3図1の表示装置にBTR表示とB−BR表示とが出力された状態を示す説明図である。
図4図1の方位変化処理システムの動作のうち、BTR表示及びB−BR表示を行うまでの処理を例示したフローチャートである。
図5図1の方位変化処理システムの動作のうち、BTR表示上での時刻カーソルTの移動に伴う処理を例示したフローチャートである。
図6】本発明の実施の形態1の変形例に係る方位変化処理装置及び方位変化処理システムの構成を示すブロック図である。
図7図6の表示装置にBTR表示とBR−L表示とが出力された状態を示す説明図である。
図8】本発明の実施の形態2に係る方位変化処理装置及び方位変化処理システムの構成を示すブロック図である。
図9図8の方位変化処理システムの動作のうち、BTR表示及びB−BR表示を行うまでの処理を例示したフローチャートである。
図10図8の方位変化処理システムの動作のうち、ピーク判定閾値よりも大きな最大積分値に対応する方位及び方位変化率を取得して出力する処理を例示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る方位変化処理装置及び方位変化処理システムの構成を示すブロック図である。図2は、図1の積分処理部による積分値の演算手法を説明するための説明図である。図3は、図1の表示装置にBTR表示とB−BR表示とが出力された状態を示す説明図である。
【0012】
図1に示すように、方位変化処理システム100は、方位変化処理装置10と、表示装置80と、入力装置90と、により構成されている。表示装置80は、例えば液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)からなり、種々のデータを表示する。例えば、表示装置80は、BTR表示及びB−BR表示を行うことができる。ここで、BTR表示の「BTR」は、「Bearing Time Recording」の略である。また、B−BR表示の「B」は「方位:Bearing」の略であり、「BR」は「方位変化率:Bearing Rate」の略である。
【0013】
BTR表示は、横軸を方位とし、縦軸を時刻として、時刻及び方位ごとの信号強度を濃淡表示あるいはカラー表示するものである。よって、BTR表示には、方位ごとの信号強度の経時変化が表れる。B−BR表示は、方位と方位変化率との組ごとの信号強度を濃淡表示あるいはカラー表示するものである。BTR表示及びBTR表示では、表示される色彩が濃いほど、信号の強度が大きいことを示す。
【0014】
入力装置90は、マウス又はトラックボールなどのポインティングデバイスと、複数の物理ボタンを含むキーボードなどにより構成される。入力装置90は、ユーザによる入力操作を受け付ける。例えば、入力装置90は、時刻を指定する操作を受け付ける。本実施の形態1において、入力装置90は、時刻を指定する操作として、後述する時刻カーソルTを移動させる操作を受け付ける。入力装置90は、ユーザによる入力操作に応じた操作信号を出力制御部40へ出力する。
【0015】
ここで、入力装置90は、ユーザによってタッチされた位置を検出し、検出した位置の情報を出力制御部40へ出力するタッチパネルであってもよい。この場合、表示装置80と入力装置90とは、積層されて一体的に形成される。
【0016】
方位変化処理装置10は、信号入力端子11と、表示出力端子12と、操作入力端子13と、を有している。また、方位変化処理装置10は、整相処理部20と、積分処理部30と、出力制御部40と、記憶部50と、を有している。
【0017】
信号入力端子11は、受波器アレイなどの音響センサから出力される受波信号が入力される端子である。ここで、音響センサは、信号源から放射される信号を含む受波信号を逐次受信し、受信した受波信号を、信号入力端子11を介して方位変化処理装置10へ出力するようになっている。表示出力端子12は、出力制御部40から表示装置80に送信される制御信号を中継する端子である。操作入力端子13は、操作員などのユーザによる入力操作に応じて入力装置90から送信される操作信号を出力制御部40に受け渡す端子である。
【0018】
整相処理部20は、信号入力端子11を介して入力される受波信号に対し、任意の複数の方位についての整相を行うものである。ここで、任意の複数の方位をθ〜θ(Mは2以上の自然数)とする。この場合、整相処理部20は、発信源からの信号を含む受波信号に対し、方位θ〜θについての整相を行い、各方位の信号レベルを示す整相データを生成する。整相処理部20は、生成した整相データを出力制御部40及び積分処理部30へ出力する。
【0019】
積分処理部30は、整相処理部20から出力される整相データに対し、少なくとも1つの方位につき、複数の方位変化率での方位変化に沿って信号レベルの積分を行うことで、方位と方位変化率とに対応する複数の積分値を求める。ここで、複数の方位変化率をD〜D(Kは2以上の自然数)とする。この場合、積分処理部30は、方位θ…θ…θ(1<m<M)ごとに、各方位変化率D…D…D(1<k<K)での方位変化に沿って信号レベルの積分を行い、方位ごとにM個の積分値を求める。つまり、積分処理部30は、方位と方位変化率との組ごとの積分値を求めるようになっている。
【0020】
ここで、時刻tにおけるθ方位への整相データの信号レベルをL(θ,t)とする。すると、図2に示すような、任意の時刻tの方位θについて、方位変化率Dに対する積分値L(θ,D)の計算は、例えば下記の式(1)により行うことができる。なお、式(1)の左辺のL上のバーは、積分値であることを示す記号である。
【0021】
【数1】
【0022】
整相データの積分間隔をΔtとすると、tr−nは、下記の式(2)のようになる。
【0023】
【数2】
【0024】
積分処理部30は、複数の時刻tのそれぞれについて、方位θと方位変化率Dとに対応する積分値L(θ,D)を求める。ここで、mは1〜Mまでの値をとり、kは1〜Kまでの値をとる。すなわち、積分処理部30は、方位θ〜θと方位変化率D〜Dとの組み合わせのそれぞれに対応する積分値L(θ,D)を求める。そして、積分処理部30は、求めた複数の積分値である積分値L(θ,D)を出力制御部40へ出力する。
【0025】
ここで、各積分値には、信号源の方位変化との一致度合いが反映される。すなわち、実際の信号源の方位変化と一致する積分値は、積分処理部30による積分により信号レベルが向上する。一方、実際の信号源の方位変化と一致しない積分値は、積分処理部30による積分により信号レベルが低下する。したがって、方位と方位変化率との組ごとの積分値は、信号源を探知するための受波信号のSN比を向上させた高精度のデータとして用いることができる。
【0026】
出力制御部40は、積分処理部30において求められた積分値L(θ,D)をもとに、発信源の方位及び方位変化率を示す方位情報を生成して出力する。本実施の形態1において、出力制御部40は、BTR制御部41と、B−BR制御部42と、を有している。
【0027】
BTR制御部41は、整相処理部20から出力される整相データの各方位の信号レベルを表示装置80にBTR表示させる。また、BTR制御部41は、図3に示すように、時刻指定用の時刻カーソルTと、時刻カーソルTに連動して動作する方位カーソルNとを、表示装置80のBTR表示上に表示させる。つまり、BTR制御部41は、時刻カーソルTの指す時刻において積分値が最大となる方位に対応づけて、方位カーソルNを表示させる。
【0028】
BTR制御部41は、入力装置90からの操作信号に応じて、BTR表示上の時刻カーソルTを移動させる。また、BTR制御部41は、時刻カーソルTを移動させるとき、時刻カーソルTの時刻で積分値が最大となる方位を指すよう、方位カーソルNを、時刻カーソルTに連動させて移動させる。
【0029】
BTR制御部41は、時刻カーソルTを表示させるとき、時刻カーソルTの指す時刻を示す時刻情報をB−BR制御部42へ出力する。また、BTR制御部41は、時刻カーソルTをBTR表示上で移動させているとき、時刻カーソルTの指す時刻を示す時刻情報を継続的にB−BR制御部42へ出力する。
【0030】
B−BR制御部42は、図3のB−BR表示部分に示すように、積分処理部30から入力された積分値L(θ,D)を濃淡あるいはカラーで表示装置80に表示させる。つまり、B−BR制御部42は、積分処理部30から入力された積分値L(θ,D)をもとに、発信源の方位及び方位変化率を示す方位情報を生成し、表示装置80へ出力する。表示装置80は、B−BR制御部42から出力される方位情報をもとに、横軸を方位、縦軸を方位変化率としたB−BR表示を行う。なお、図3のB−BR表示では、方位の目盛りに「θ…θ…θ」を例示し、方位変化率の目盛りに「D…D…D」を例示している。
【0031】
また、B−BR制御部42は、表示装置80上のB−BR表示を経時的に変化させる。つまり、B−BR制御部42は、整相処理部20に受波信号が入力され、積分処理部30から新たな積分値L(θ,D)が入力される度に、表示装置80上のB−BR表示を更新する。ここで、B−BR表示において、積分値L(θ,D)を濃淡あるいはカラーで表示した情報を積分値出力データOという。
【0032】
B−BR制御部42は、BTR制御部41からの時刻情報が示す時刻での積分値L(θ,D)に応じた積分値出力データOを、B−BR表示として表示装置80に表示させる。そして、B−BR制御部42は、BTR制御部41からの時刻情報の変化に応じて積分値出力データOを変化させる。すなわち、B−BR制御部42は、入力装置90を介してユーザがBTR表示上の時刻カーソルTを移動させると、時刻カーソルTの指す時刻に応じた積分値出力データOをB−BR表示部分に表示させる。これにより、B−BR表示上の積分値出力データOは、BTR表示上の時刻カーソルTの移動に連動して変化する。
【0033】
図3では、BTR表示上で時刻カーソルTを合わせた時刻tにおける積分値L(θ,D)の表示イメージとして、積分値出力データOを示している。なお、図3では、便宜上、相対的に濃く表示された積分値出力データOを破線で囲っている。
【0034】
記憶部50には、方位変化処理装置10に上記の各機能を実現させるための動作プログラムなど、整相処理部20、積分処理部30、及び出力制御部40が演算処理に用いる種々のデータが記憶されている。
【0035】
整相処理部20、積分処理部30、及び出力制御部40は、例えばCPU(Central Processing Unit)等の演算装置と、こうした演算装置と協働して上記の各種機能を実現させるソフトウェアとによって構成することができる。記憶部50は、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等のPROM(Programmable ROM)、又はHDD(Hard Disk Drive)等により構成することができる。もっとも、方位変化処理装置10は、上記の各機能を実現する回路デバイスのようなハードウェアにより構成してもよい。
【0036】
図4は、図1の方位変化処理システムの動作のうち、BTR表示及びB−BR表示を行うまでの処理を例示したフローチャートである。図5は、図1の方位変化処理システムの動作のうち、BTR表示上での時刻カーソルTの移動に伴う処理を例示したフローチャートである。図4及び図5を参照して、本実施の形態1における方位変化処理方法について説明する。
【0037】
整相処理部20は、信号入力端子11を介して受波信号を入力する(ステップS101)。次いで、整相処理部20は、取得した受波信号に対して複数の方位に整相を行い、各方位の信号レベルを示す整相データを生成する。そして、整相処理部20は、生成した整相データを積分処理部30及びBTR制御部41へ出力する(ステップS102)。
【0038】
BTR制御部41は、整相処理部20から出力される整相データの各方位の信号レベルを表示装置80にBTR表示させる。このとき、BTR制御部41は、図3に示すように、BTR表示上に、時刻カーソルTと方位カーソルNとを表示させる(ステップS103)。
【0039】
また、積分処理部30は、整相処理部20から出力される整相データに対し、複数の方位につき、複数の方位変化率での方位変化に沿って信号レベルの積分を行うことにより複数の積分値を求める。本実施の形態1において、積分処理部30は、各積分値の算出に式(1)を用いる。そして、積分処理部30は、求めた積分値をB−BR制御部42へ出力する(ステップS104)。
【0040】
B−BR制御部42は、積分処理部30から入力された積分値を表示装置80にB−BR表示させる。すなわち、B−BR制御部42は、図3に示すように、積分処理部30から入力された積分値に基づく積分値出力データOを、B−BR表示として表示装置80に表示させる(ステップS105)。
【0041】
ここで、音響センサからの受波信号は、信号入力端子11を介して経時的に方位変化処理装置10へ入力される。そして、方位変化処理装置10は、上記のステップS101〜S105の一連の処理を、受波信号を入力する度に実行する。なお、ステップS103と、ステップS104及びS105とは、並行して行うことができる。
【0042】
続いて、図5を参照して、B−BR表示上の積分値出力データOを変化させる処理について説明する。BTR制御部41及びB−BR制御部42は、入力装置90から時刻カーソルTの移動を指示する操作信号が入力されるまで待機する。この間、出力制御部40は、表示装置80のBTR表示及びB−BR表示を、受波信号が入力される度に更新し、経時的に変化させる(ステップS106/No)。
【0043】
そして、BTR制御部41は、ユーザによるマウスの操作などに応じて、時刻カーソルTの移動を指示する操作信号が入力されると(ステップS106/Yes)、時刻カーソルTを移動させる。また、BTR制御部41は、時刻カーソルTの移動に連動させて、方位カーソルNを移動させる。その際、BTR制御部41は、時刻カーソルTの指す時刻を示す時刻情報をB−BR制御部42へ出力する。B−BR制御部42は、時刻情報が示す時刻の変化に応じて、表示装置80の積分値出力データOを変化させる(ステップS107)。
【0044】
以上のように、方位変化処理装置10は、時刻ごとの各方位の整相データに対し、各方位につき、各方位変化率での方位変化に沿った信号レベルの積分値を求める。そして、方位変化処理装置10は、求めた複数の積分値をもとに、発信源の方位及び方位変化率を示す方位情報を生成し、表示装置80に積分値出力データOを表示させる。ここで、各積分値には、信号源の方位変化との一致度合いが反映されることから、積分値に基づく積分値出力データOには、発信源の方位及び方位変化率が精度よく現れる。そのため、方位変化処理装置10によれば、信号源の方位及び方位変化を示す情報を精度よく且つ容易に求めることができる。
【0045】
また、表示装置80は、積分処理部30において求められた複数の積分値について、方位及び方位変化率ごとの信号強度を示すB−BR表示を行う。つまり、方位変化処理システム100は、方位と方位変化率との組ごとに求められた積分値の信号レベルを、B−BR表示により濃淡あるいはカラーで表示する。そのため、ユーザは、表示装置80を視認することにより、信号源の方位変化率を容易に取得することができる。
【0046】
さらに、B−BR制御部42は、入力装置90を介して指定された時刻に応じて、表示装置80上のB−BR表示を変化させる。そのため、ユーザは入力装置90を介して時刻を指定する操作を行うことにより、時刻ごとの積分値出力データOを表示装置80に表示させることができる。よって、ユーザは、表示装置80を視認することにより、時刻ごとの積分値出力データOから、信号源の方位及び方位変化率を取得することができる。
【0047】
また、BTR制御部41は、整相データの各方位の信号レベルを表示装置80にBTR表示させると共に、BTR表示上に時刻カーソルTを表示させる。加えて、BTR制御部41は、入力装置90への操作に応じて時刻カーソルTを移動させる機能を有している。そして、B−BR制御部42は、時刻カーソルTの指す時刻に応じたB−BR表示を表示装置80上に表示させる。そのため、ユーザは、入力装置90を介して時刻カーソルTを移動させることにより、時刻カーソルTの指す時刻に対応する積分値出力データOを連続的に表示させることができる。よって、ユーザは、信号源の方位及び方位変化率をさらに容易に取得することができる。加えて、BTR制御部41は、BTR表示上に、時刻カーソルTに連動して動作する方位カーソルNを表示させる。そのため、ユーザは、方位カーソルNの指す方位を、積分値出力データOに対応する方位として容易に読み取ることができる。
【0048】
<変形例>
図6は、本発明の実施の形態1の変形例に係る方位変化処理装置及び方位変化処理システムの構成を示すブロック図である。図7は、図6の表示装置にBTR表示とBR−L表示とが出力された状態を示す説明図である。図6及び図7を参照して、本変形例における方位変化処理システム100の構成について説明する。図1と同等の構成部材については同一の符号を用いて説明は省略する。
【0049】
ここで、図1における積分処理部30は、上述したように、方位(θ…θ…θ)ごとに、各方位変化率(D…D…D)での方位変化に沿って信号レベルの積分を行うようになっている。一方、本変形例1の積分処理部130は、全ての方位のそれぞれに対してではなく、特定の1方位のみに対して、各方位変化率(D…D…D)での方位変化に沿った信号レベルの積分を行うようになっている。
【0050】
すなわち、積分処理部130は、整相処理部20から出力される整相データに対し、1つの方位につき、複数の方位変化率での方位変化に沿って信号レベルの積分を行うことにより、方位と方位変化率とに対応する複数の積分値を求める。ここで、複数の方位変化率をD〜D(Kは2以上の自然数)とする。この場合、積分処理部130は、式(1)により、1つの方位θについて、各方位変化率D…D…D(1<k<K)での方位変化に沿って信号レベルの積分を行うことにより、方位変化率ごとの積分値L(θ,D)を求める。
【0051】
また、本変形例の出力制御部40は、図6に示すように、図1におけるB−BR制御部42の代わりに、BR−L制御部142を有している。BR−L制御部142は、積分処理部130が求めた積分値L(θ,D)に基づくBR−L表示を表示装置80に行わせる。BR−L表示の「BR」は「方位変化率:Bearing Rate」の略であり、「L」は「信号レベル:Level」の略である。
【0052】
すなわち、BR−L制御部142は、積分処理部30から入力された積分値L(θ,D)をもとに、発信源の方位及び方位変化率を示す方位情報を生成し、表示装置80へ出力する。表示装置80は、BR−L制御部142から出力される方位情報をもとに、図7に示すような、方位変化率と信号レベルとを対応づけたBR−L表示を行う。
【0053】
また、BR−L制御部142は、表示装置80上のBR−L表示を経時的に変化させる。つまり、BR−L制御部142は、整相処理部20に受波信号が入力され、積分処理部30から新たな積分値L(θ,D)が入力される度に、表示装置80上のBR−L表示を更新する。本変形例において、BR−L制御部142は、表示装置80のBR−L表示部分に、複数の方位変化率ごとの信号レベルを示すグラフであるレベルデータSを表示させる。
【0054】
図7では、BTR表示上において、時刻カーソルTを合わせた時刻、及び方位カーソルNを合わせた方位に対応するレベルデータSの表示イメージを示している。ここで、時刻カーソルTを合わせた時刻は、式(1)及び式(2)のtに相当する。
【0055】
また、BR−L制御部142は、BTR制御部41からの時刻情報の変化に応じてレベルデータSを変化させる。すなわち、BR−L制御部142は、入力装置90を介してユーザがBTR表示上の時刻カーソルTを移動させると、時刻カーソルTの指す時刻に応じたレベルデータSをBR−L表示部分に表示させる。これにより、BR−L表示上のレベルデータSは、BTR表示上の時刻カーソルTの移動に連動して変化する。本変形例における方位変化処理システム100の動作は、図4及び図5の場合と同様であるため説明は省略する。
【0056】
以上のように、本変形例の方位変化処理装置10は、時刻ごとの各方位の整相データに対し、1つの方位につき、各方位変化率での方位変化に沿った信号レベルの積分値を求める。そして、方位変化処理装置10は、求めた複数の積分値をもとに、発信源の方位及び方位変化率を示す方位情報を生成し、表示装置80にレベルデータSを表示させる。ここで、各積分値には、信号源の方位変化との一致度合いが反映されるため、積分値に基づくレベルデータSには、発信源の方位及び方位変化率が精度よく現れる。つまり、方位変化処理装置10によれば、信号源の方位及び方位変化を示す情報を精度よく且つ容易に求めることができる。
【0057】
また、表示装置80は、積分処理部130において求められた複数の積分値について、特定の方位における方位変化率ごとの積分値の信号レベルを示すBR−L表示を行う。つまり、本変形例の方位変化処理システム100は、方位変化率ごとに求められた積分値の信号レベルを、BR−L表示によりグラフ化する。そのため、ユーザは、表示装置80を視認することにより、指定した方位に対する信号源の方位変化率を容易に取得することができる。つまり、ユーザは、1つの方向から来ている信号の方位変化率を容易に把握することができる。
【0058】
さらに、BR−L制御部142は、入力装置90を介して指定された時刻に応じて、表示装置80上のBR−L表示を変化させる。そのため、ユーザは入力装置90を介して時刻を指定する操作を行うことにより、時刻ごとのレベルデータSを表示装置80に表示させることができる。よって、ユーザは、表示装置80を視認することにより、時刻ごとのレベルデータSから、信号源の方位及び方位変化率を取得することができる。
【0059】
また、BR−L制御部142は、時刻カーソルTの指す時刻に応じたBR−L表示を表示装置80上に表示させる。そのため、ユーザは、入力装置90を介して時刻カーソルTを移動させることにより、時刻カーソルTの指す時刻に対応するレベルデータSを連続的に表示させることができる。よって、ユーザは、信号源の方位及び方位変化率をさらに容易に取得することができる。加えて、BTR制御部41は、BTR表示上に、時刻カーソルTに連動して動作する方位カーソルNを表示させる。そのため、ユーザは、現在のBR−L表示に対応する方位を、方位カーソルNの位置を確認することで容易に把握することができる。
【0060】
実施の形態2.
図8は、本発明の実施の形態2に係る方位変化処理装置及び方位変化処理システムの構成を示すブロック図である。図8に示すように、本実施の形態2の方位変化処理システム100Aにおいて、方位変化処理装置10Aは、方位変化取得処理部43を有する出力制御部40Aを備えている。また、方位変化処理装置10Aは、方位変化取得処理部43において抽出された方位及び方位変化率の情報を目標運動解析装置200へ出力する方位情報出力端子14を有している。前述した実施の形態1と同等の構成部材については同一の符号を用いて説明は省略する。
【0061】
積分処理部30は、上述したように、受波信号が入力される各時刻において、複数の方位ごとに、複数の方位変化率のそれぞれに応じた積分値を求める。方位変化取得処理部43は、予め設定された取得周期ごとに、現時刻における複数の積分値のうちの最大値である最大積分値LMAXを求める。つまり、最大積分値LMAXとは、同時刻における複数の積分値の中の最大値である。最大積分値LMAXは、方位方向及び方位変化率方向にみて、両隣の積分値よりも大きな積分値を抽出することにより特定することができる。なお、取得周期は、方位変化処理装置10Aが受波信号を入力する周期と同じであってもよく、受波信号を入力する周囲より長くてもよい。
【0062】
また、方位変化取得処理部43は、最大積分値LMAXとピーク判定閾値Vthとを比較し、最大積分値LMAXがピーク判定閾値Vthよりも大きいか否かを判定する。方位変化取得処理部43は、最大積分値LMAXがピーク判定閾値Vthよりも大きければ、最大積分値LMAXに対応する方位及び方位変化率を取得して、目標運動解析装置200へ出力する。ここで、方位変化取得処理部43が出力する最大積分値LMAXに対応する方位及び方位変化率の情報は、発信源の方位及び方位変化率を示す方位情報に相当する。
【0063】
本実施の形態2において、方位変化取得処理部43は、入力装置90を介してピーク判定閾値Vthの設定を受け付ける。つまり、ユーザが入力装置90を操作してピーク判定閾値Vthを設定すると、方位変化取得処理部43は、ピーク判定閾値Vthの情報を記憶部50に記憶させる。もっとも、ピーク判定閾値Vthの情報は、ユーザの設定によらず、予め記憶部50に記憶されていてもよい。なお、ピーク判定閾値Vthは、適宜変更することができる。
【0064】
目標運動解析装置200は、方位変化取得処理部43から送信された方位及び方位変化率をもとに、信号源の位置、針路、及び速力を推定し、推定の結果を外部の機器へ出力する。信号源の位置、針路、及び速力の推定方法としては、公知の技術を用いることができる(例えば、[1] J. H¨orst, M. Oispuu, “Target Localization and Course Change Detection Using Bearing and Bearing Rate Measurements”, in Proc. ISIF 14th International Conference on Information Fusion,July, 2011, pp.865-872参照)。
【0065】
図9は、図8の方位変化処理システムの動作のうち、BTR表示及びB−BR表示を行うまでの処理を例示したフローチャートである。図10は、図8の方位変化処理システムの動作のうち、ピーク判定閾値よりも大きな最大積分値に対応する方位及び方位変化率を取得して出力する処理を例示したフローチャートである。図9及び図10を参照して、本実施の形態2における方位変化処理方法について説明する。なお、方位変化処理システム100Aの動作のうち、BTR表示上での時刻カーソルTの移動に伴う処理は図5の場合と同様であるため、説明は省略する。
【0066】
方位変化処理装置10Aは、ステップS101〜S103の処理を図4の場合と同様に実行する。また、積分処理部30は、ステップS104と同様に求めた積分値を、B−BR制御部42と共に、方位変化取得処理部43へ出力する(ステップS201)。B−BR制御部42は、図4の場合と同様に、ステップS105の処理を実行する。
【0067】
続いて、図10を参照して、方位変化処理装置10Aが方位及び方位変化率を出力する処理について説明する。方位変化取得処理部43は、積分処理部30から、複数の方位ごとに、複数の方位変化率に対応づけられた複数の積分値を取得する(ステップS202)。次いで、方位変化取得処理部43は、複数の積分値の中から最大積分値LMAXを求める(ステップS203)。
【0068】
次に、方位変化取得処理部43は、記憶部50からピーク判定閾値Vthを読み出し、最大積分値LMAXがピーク判定閾値Vthよりも大きいか否かを判定する(ステップS204)。方位変化取得処理部43は、最大積分値LMAXがピーク判定閾値Vthよりも大きければ(ステップS204/Yes)、最大積分値LMAXに対応する方位及び方位変化率を目標運動解析装置200へ出力する。一方、方位変化取得処理部43は、最大積分値LMAXがピーク判定閾値Vth以下であれば(ステップS204/No)、方位及び方位変化率を出力せずに、ステップS202の処理へ戻る。
【0069】
図10では、方位変化処理装置10Aが受波信号を入力する度に、方位変化取得処理部43がステップS202〜S205の一連の処理を実行する場合を例示しているが、これに限定されない。上述したように、方位変化取得処理部43は、取得周期ごとに、ステップS202〜S205の一連の処理を実行してもよい。
【0070】
以上のように、方位変化取得処理部43は、同時刻における複数の積分値の中の最大値である最大積分値LMAXを求める。そして、方位変化取得処理部43は、最大積分値LMAXがピーク判定閾値Vthよりも大きい場合、その最大積分値LMAXに対応する方位及び方位変化率を外部へ出力する。すなわち、方位変化取得処理部43は、積分処理部30から入力した積分値L(θ,D)から、最大積分値LMAXのうちでピーク判定閾値Vthよりも大きいピーク値を自動的に検出することができる。そして、方位変化取得処理部43は、検出したピーク値の方位及び方位変化率を取得して外部に出力することができる。
【0071】
したがって、本実施の形態2における方位変化処理装置10Aは、信号源の位置、針路、及び速力を推定する目標運動解析装置200に方位及び方位変化率を出力する装置として適用することができる。そして、目標運動解析装置200の上位装置として方位変化処理装置10Aを用いることにより、目標運動解析装置200による推定精度の向上を図ることができる。他の効果については、前述した実施の形態1と同様である。
【0072】
また、本実施の形態2の方位変化処理システム100Aにも、実施の形態1の変形例の構成を適用することができる。つまり、方位変化処理装置10Aは、積分処理部30の代わりに積分処理部130を設け、B−BR制御部42の代わりにBR−L制御部142を設けてもよい。このようにすれば、上記の効果に加え、実施の形態1の変形例と同様の効果を得ることができる。さらに、本実施の形態2の方位変化処理システム100Aは、BTR制御部41及びB−BR制御部42を設けずに構成してもよい。このようにしても、上記の効果を得ることができる。
【0073】
上述した各実施の形態は、目標運動解析システム及び目標運動解析方法における好適な具体例であり、本発明の技術的範囲は、これらの態様に限定されるものではない。例えば、上記の各実施の形態では、積分処理部30及び130による積分処理として、式(1)に示すブロック型の処理を例示したが、これに限定されない。すなわち、積分処理部30及び130は、例えば指数型積分のように、方位変化に沿って行う種々の積分処理により積分値を求めるようにしてもよい。
【0074】
また、上記の各実施の形態では、BTR制御部41が、BTR表示上に時刻カーソルTを表示させ、入力装置90への操作に応じて時刻カーソルTを移動させる場合を例示したが、これに限定されない。すなわち、BTR制御部41は、BTR表示上に時刻カーソルTを表示させなくてもよい。この場合、入力装置90は、時刻を指定する操作を、ユーザのキー入力などを介して受け付け、指定された時刻を示す時刻情報を、B−BR制御部42又はBR−L制御部142へ出力してもよい。加えて、上記各実施の形態の出力制御部40及び40Aは、BTR制御部41を設けずに構成してもよい。
【符号の説明】
【0075】
10、10A 方位変化処理装置、11 信号入力端子、12 表示出力端子、13 操作入力端子、14 方位情報出力端子、20 整相処理部、21 信号入力端子、30、130 積分処理部、40、40A 出力制御部、41 BTR制御部、42 B−BR制御部、43 方位変化取得処理部、50 記憶部、80 表示装置、90 入力装置、100、100A 方位変化処理システム、142 BR−L制御部、200 目標運動解析装置、LMAX 最大積分値、N 方位カーソル、O 積分値出力データ、S レベルデータ、T 時刻カーソル、Vth ピーク判定閾値。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10