(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態を具体的に説明する前に、概要を述べる。実施の形態は、複数の端末装置、複数のカメラ、基地局装置を備える業務用無線システムに関する。1組の端末装置とカメラは、無線または有線で互いに接続され、ペアリングされている。ペアリングされた端末装置とカメラは、主に警察官や警備員等のユーザが携帯する。カメラは、ウェアラブルカメラとも呼ばれ、ユーザに装着される。カメラは、ペアリングされた端末装置によって録画の開始および停止が制御される。
【0012】
業務用無線システムでは、複数の端末装置が含まれたグループが複数形成される。基地局装置は、グループに対して、上りチャネルと下りチャネルを割り当てる。このような状況下において、グループ中の1つの端末装置が、上りチャネルにて通常信号を送信し、当該グループ中の残りの端末装置が、下りチャネルにて通常信号を受信する。通常信号は、通話データなどを含む。さらに、別のグループに対しても同様の処理がなされるが、異なったグループ間での通常信号の通信はなされない。
【0013】
業務用無線システムには、緊急通報(エマージェンシー)機能が備えられている。これは、緊急に連絡が必要である場合に、端末装置が基地局装置を介して他の端末装置に緊急通報を実行する機能である。緊急通報は、データとして送信されるので短時間で送信終了し、通信回線を占有することはない。端末装置は、緊急通報用のボタンがユーザによって押し下げられると、緊急信号を送信するとともにペアリングされたカメラに録画を開始させる。また、緊急通報用のボタンの代わりに、ユーザが倒れたとき、端末装置に内蔵しているセンサによって倒れたことを検知し、緊急信号を送信するとともにペアリングされたカメラに録画を開始させてもよい。ユーザは、追跡対象者を追跡する場合などに、緊急通報用のボタンを押し下げる。録画された映像は、証拠などとして利用できる。緊急信号送信中の端末装置を除く待ち受け状態の端末装置は、緊急信号を受信した場合、音や表示で緊急事態の発生を知らせる。緊急事態の発生を知らされたユーザは、緊急通報を行ったユーザの応援に向かうことができる。
【0014】
ここで、複数のユーザが緊急通報を実行する状況が考えられる。この場合、他のユーザは、緊急通報を行ったユーザまでの距離や、緊急通報を行ったユーザの端末装置のグループに応じて、どのユーザの応援に向かうか、または、応援に向かわないか判断することが好ましい。つまり、既述のように、複数の端末装置が緊急通報を受信した場合に、緊急事態の発生を適切に通知することが望まれる。そこで、実施の形態では、複数の緊急信号の送信元である複数の他の端末装置に対する優先順位を設定し、設定された優先順位に基づいて、緊急信号を送信した複数の他の端末装置の情報を通知する。
【0015】
図1は、実施の形態に係る通信システム200の構成を示す図である。通信システム200は、カメラシステム100と総称される第1カメラシステム100a、第2カメラシステム100b、第3カメラシステム100c、第4カメラシステム100d、第5カメラシステム100e、第6カメラシステム100fを備える。カメラシステム100の数は、「6」に限定されない。また、通信システム200は、基地局装置80を備える。
【0016】
第1カメラシステム100aは、第1端末装置10a、第1カメラ20aを備える。第2カメラシステム100bは、第2端末装置10b、第2カメラ20bを備える。第3カメラシステム100cは、第3端末装置10c、第3カメラ20cを備える。第4カメラシステム100dは、第4端末装置10d、第4カメラ20dを備える。第5カメラシステム100eは、第5端末装置10e、第5カメラ20eを備える。第6カメラシステム100fは、第6端末装置10f、第6カメラ20fを備える。
【0017】
第1端末装置10a、第2端末装置10b、第3端末装置10c、第4端末装置10d、第5端末装置10e、第6端末装置10fは、端末装置10と総称される。第1カメラ20a、第2カメラ20b、第3カメラ20c、第4カメラ20d、第5カメラ20e、第6カメラ20fは、カメラ20と総称される。
【0018】
第1端末装置10aと第1カメラ20aは、ペアリングされており、第1のユーザに携帯される。第2端末装置10bと第2カメラ20bは、ペアリングされており、第2のユーザに携帯される。第3端末装置10cと第3カメラ20cは、ペアリングされており、第3のユーザに携帯される。第4端末装置10dと第4カメラ20dは、ペアリングされており、第4のユーザに携帯される。第5端末装置10eと第5カメラ20eは、ペアリングされており、第5のユーザに携帯される。第6端末装置10fと第6カメラ20fは、ペアリングされており、第6のユーザに携帯される。このように、同一のユーザに携帯される端末装置10とカメラ20は、ペアリングされており、無線で接続されている。ペアリングされた端末装置10とカメラ20は、有線で接続されてもよい。
【0019】
カメラ20は、録画を行うことが可能である。カメラ20では、ユーザによって、または、ペアリングされた端末装置10によって、録画の開始および停止が制御される。
【0020】
図1は、複数の端末装置10の位置関係も示している。例えば、第1端末装置10aと第2端末装置10bの直線距離は、第1端末装置10aと第3端末装置10cの直線距離より短い。第1端末装置10aと第3端末装置10cの直線距離は、第1端末装置10aと第4端末装置10dの直線距離より短い。
【0021】
第1端末装置10a、第2端末装置10b、第3端末装置10cは、グループを形成する。このグループをグループAと呼ぶ。第4端末装置10d、第5端末装置10e、第6端末装置10fは、グループを形成する。このグループをグループBと呼ぶ。1つのグループに含まれる端末装置10の数は、「3」に限定されない。グループの数は、「2」に限定されない。このように、複数のグループは、複数の端末装置10をそれぞれ含む。
【0022】
複数のグループのうちの1つのグループに含まれた1つの端末装置10は、基地局装置80を介して、当該グループに含まれた残りの端末装置10と業務用無線による通信を実行可能な無線端末である。この通信は、通話であったり、データ通信であったりする。業務用無線については公知の技術が使用されればよいので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0023】
基地局装置80は複数の端末装置10を管理する。基地局装置80は、各グループに対して、上りチャネルと下りチャネルを割り当てる。このような状況下において、グループ中の1つの端末装置10が、上りチャネルにて通常信号を送信し、グループ中の残りの端末装置10が、下りチャネルにて通常信号を受信する。
【0024】
図2は、
図1の基地局装置80の構成を示すブロック図である。基地局装置80は、通信部84と、制御部90とを備える。通信部84は、受信部86、送信部88を含み、複数の端末装置10との間で業務用無線による通信を実行する。制御部90は、通信部84を制御する。
【0025】
受信部86は、複数のグループのうちの1つのグループに含まれた1つの端末装置10から、当該グループに割り当てられた上りチャネルにて通常信号を受信する。制御部90は、受信部86が通常信号を受信した場合、送信部88に通常信号を送信させる。送信部88は、受信部86で受信された通常信号を、当該グループに割り当てられた下りチャネルにて当該グループに含まれた残りの端末装置10に送信する。
【0026】
図3(a)は、
図1の端末装置10の正面図であり、
図3(b)は、
図1の端末装置10の側面図である。端末装置10は、正面において、表示部12と、スピーカ14とを備え、側面において、緊急通報のための緊急ボタン16を備える。表示部12は、各種情報を表示する。スピーカ14は、音声や報知音等を出力する。緊急ボタン16は、エマージェンシーボタンとも称され、緊急事態が発生した場合にユーザにより押し下げられ、緊急事態が終了した場合に再度押し下げられる。また、緊急ボタン16の代わりに、ユーザが倒れたとき、端末装置10に内蔵しているセンサによって倒れたことを検知し、緊急信号を送信するとともにペアリングされたカメラ20の録画を開始させてもよい。端末装置10の外観は、
図3の例に限定されない。
【0027】
図4は、
図1のカメラ20の正面図である。カメラ20は、正面において、レンズ22と、録画ボタン24とを備える。レンズ22は、後述する撮像部に映像光を入射させる。録画ボタン24は、手動操作に用いられ、録画を開始するときにユーザにより押し下げられ、録画を停止するときに再度押し下げられる。カメラ20の外観は、
図4の例に限定されない。
【0028】
図5は、
図1のカメラシステム100の構成を示すブロック図である。端末装置10は、第1通信部30、位置判定部32、通知部34、第1操作部36、制御部38、測位部40、第2通信部44、緊急信号判定部48、グループ判定部49を含む。第1通信部30は、送信部42、受信部46を含み、業務用無線による通信を実行する。位置判定部32は、演算部50、しきい値記憶部52、設定部54を含む。通知部34は、表示部12、地図情報記憶部56、通知生成部58を含む。説明を明瞭にするために、端末装置10において通話に関する構成は図示を省略している。カメラ20は、第3通信部70、撮像部72、画像記憶部74、第2操作部76を含む。
図1に示された第1端末装置10aから第6端末装置10fの構成は共通であり、第1カメラ20aから第6カメラ20fの構成は共通である。
【0029】
ここでは、説明を明瞭にするために、緊急通報時の処理の順番にしたがって、(1)緊急信号を送信する端末装置10の処理、(3)基地局装置80の処理、(3)緊急信号を受信する端末装置10の処理の順に説明する。
【0030】
(1)緊急信号を送信する端末装置10の処理
図1の第1端末装置10aと第4端末装置10dのそれぞれが緊急信号を送信する一例について説明する。1つの端末装置10が緊急信号を送信してもよいし、3つ以上の端末装置10のそれぞれが緊急信号を送信してもよい。
図5において、第1操作部36は、
図3の緊急ボタン16を備えており、当該緊急ボタン16が押し下げられると、緊急通報の指示を制御部38に出力する。この緊急通報の指示は、当該緊急ボタン16が次に押し下げられるまで有効である。
【0031】
測位部40は、GPS(Global Positioning System)の測位機能を有し、本端末装置10の位置を測位し、測位した結果である位置情報を定期的に取得する。位置情報は、緯度と経度によって示される。位置情報は、高度の情報を含んでもよい。測位部40は、位置情報を制御部38、演算部50、通知生成部58に出力する。
【0032】
第1操作部36から緊急通報の指示が出力された場合、制御部38は、基地局装置80へ、緊急信号と、本端末装置10の位置情報と、本端末装置10の個別IDと、本端末装置10のグループIDとを送信部42に送信させる。つまり、本端末装置10は、基地局装置80へ、緊急信号、位置情報、個別IDおよびグループIDを送信する。個別IDは、緊急信号の送信元である端末装置10を識別するための識別情報に相当する。グループIDは、緊急信号の送信元である端末装置10が属するグループを示すグループ単位の情報に相当する。緊急信号等は、本端末装置10のグループに割り当てられた上りチャネルにて送信される。緊急信号等は、通話に用いられる上りチャネルと同じチャネルで送信されてもよいし、異なるチャネルで送信されてもよい。
【0033】
第1操作部36からの緊急通報の指示の出力が停止された場合、制御部38は、緊急信号、位置情報、個別IDおよびグループIDの送信を送信部42に停止させる。緊急ボタン16が押し下げられてから、緊急ボタン16が再度押し下げられるまで、緊急信号、個別IDおよびグループIDは継続して送信され、位置情報は定期的に送信される。なお、位置情報は、緊急ボタン16の操作とは無関係に、定期的に送信され続けてもよい。
【0034】
また、第1操作部36から緊急通報の指示が出力された場合、制御部38は、ペアリングされたカメラ20に録画を開始させる。具体的には、制御部38は、録画開始指示を第2通信部44に出力する。第2通信部44は、カメラ20の第3通信部70に録画開始指示を送信する。第2通信部44と第3通信部70は、近距離無線通信、例えば、Bluetooth(登録商標)による通信を実行する。第3通信部70は、撮像部72に録画指示を出力する。撮像部72は、録画指示に応じて動画の撮像を行い、撮像データを画像記憶部74に出力する。画像記憶部74は、撮像データを記憶する。第1操作部36からの緊急通報の指示の出力が停止された場合、制御部38は、録画指示の出力を停止して、ペアリングされたカメラ20に録画を停止させる。
【0035】
(2)基地局装置80の処理
図2の基地局装置80において、受信部86は、端末装置10、すなわち
図1の第1端末装置10aと第4端末装置10dのそれぞれから、緊急信号、位置情報、個別IDおよびグループIDを受信する。制御部90は、受信部86が緊急信号等を受信した場合、送信部88に緊急信号等を送信させる。
【0036】
送信部88は、受信部86が1つのグループに含まれた1つの端末装置10から緊急信号、位置情報、個別IDおよびグループIDを受信した場合、受信部86で受信された緊急信号、位置情報、個別IDおよびグループIDを、当該グループに含まれた残りの端末装置10および当該グループ以外の端末装置10に、グループを維持したまま送信する。つまり、送信部88は、既存のグループを変更することなく、基地局装置80のカバーエリア内の複数の端末装置10のうち、緊急信号の送信元の端末装置10以外の端末装置10に、緊急信号等を送信する。
図1の例では、送信部88は、グループAとグループBを維持したまま、第2端末装置10b、第3端末装置10c、第5端末装置10e、第6端末装置10fに、第1端末装置10aから受信した緊急信号等、および、第4端末装置10dから受信した緊急信号等を送信する。緊急信号等は、各グループに割り当てられた下りチャネルにて送信される。緊急信号等は、通話に用いられる下りチャネルと同じチャネルで送信されてもよいし、異なるチャネルで送信されてもよい。
【0037】
なお、グループが維持されているため、端末装置10が緊急信号を送信中に受信部86が1つのグループに含まれた1つの端末装置10から通常信号を受信した場合にも、送信部88は、受信部86で受信された通常信号を、当該グループに含まれた残りの端末装置10に送信することができる。そのため、端末装置10が緊急信号を送信中にも、緊急信号の送信前と同じグループでグループ通信を実行できる。
【0038】
(3)緊急信号を受信する端末装置10の処理
端末装置10は、
図1の第2端末装置10b、第3端末装置10c、第5端末装置10e、第6端末装置10fのそれぞれに対応し、カメラ20は、第2カメラ20b、第3カメラ20c、第5カメラ20e、第6カメラ20fのそれぞれに対応する。
【0039】
図5において、受信部46は、他の端末装置10から、基地局装置80を介して、本端末装置10のグループに割り当てられた下りチャネルにて受信信号を受信する。ここでは「他の端末装置」とは、緊急信号の送信元である第1端末装置10aおよび第4端末装置10dを表す。受信信号は、緊急信号と、当該他の端末装置10の位置情報と、当該他の端末装置10の個別IDと、当該他の端末装置10のグループIDとを含む。つまり、受信部46は、複数の他の端末装置10から複数の緊急信号を受信する。受信部46は、受信信号を緊急信号判定部48に出力する。
【0040】
緊急信号判定部48は、受信信号に基づいて、緊急信号が受信されたか否か判定する。緊急信号判定部48は、緊急信号が受信された場合、緊急信号が受信されたことを示す情報と、受信信号に含まれる他の端末装置10の位置情報および個別IDとを演算部50と通知生成部58に出力する。緊急信号判定部48は、緊急信号が受信された場合、受信信号に含まれる他の端末装置10のグループIDをグループ判定部49に出力する。緊急信号判定部48は、緊急信号が受信された場合、緊急信号が受信された時刻の情報を設定部54に出力する。緊急信号判定部48は、緊急信号が受信されていない場合、これらの情報を出力しない。
【0041】
グループ判定部49は、緊急信号判定部48から出力されたグループIDに基づいて、他の端末装置10のグループが本端末装置10のグループと同一であるか否か判定する。グループ判定部49は、判定結果およびグループIDを設定部54に出力する。
【0042】
測位部40は、本端末装置10の位置を測位し、測位した結果である位置情報を定期的に取得する。測位部40は、位置情報を制御部38、演算部50、通知生成部58に出力する。
【0043】
演算部50は、受信部46が緊急信号を受信した場合、本端末装置10の位置情報と、他の端末装置10の位置情報とに基づいて、本端末装置10と他の端末装置10との距離dを演算する。演算部50は、他の端末装置10の個別IDと距離dを設定部54に出力する。距離dは、直線距離であり、例えば、三平方の定理などを用いて演算できる。三平方の定理を用いる場合、他の端末装置10の位置情報から位置座標(a,b)を導出し、本端末装置10の位置情報から位置座標(c,d)を導出し、d=√((c−a)
2+(d−b)
2)により演算する。
【0044】
しきい値記憶部52は、メモリなどから構成され、
図1の所定の録画開始しきい値Th11,Th12と、所定の通知しきい値Th21,Th22とを記憶している。録画開始しきい値Th11と通知しきい値Th21は、グループAの端末装置10から送信された緊急信号に対して用いられる。録画開始しきい値Th12と通知しきい値Th22は、グループBの端末装置10から送信された緊急信号に対して用いられる。通知しきい値Th21は、録画開始しきい値Th11より大きい。通知しきい値Th22は、録画開始しきい値Th12より大きい。録画開始しきい値Th11,Th12と、通知しきい値Th21,Th22は、計算機シミュレーションまたは実験等により予め設定される。緊急信号の送信元である端末装置10のグループによらず、共通の録画開始しきい値と共通の通知しきい値が用いられてもよい。
【0045】
図1の例では、第1端末装置10aと第2端末装置10bの距離dおよび第1端末装置10aと第6端末装置10fの距離dは、録画開始しきい値Th11より小さい。第1端末装置10aと第3端末装置10cの距離dは、録画開始しきい値Th11より大きく、通知しきい値Th21より小さい。第1端末装置10aと第5端末装置10eの距離dは、通知しきい値Th21より大きい。
【0046】
第4端末装置10dと第5端末装置10eの距離dは、録画開始しきい値Th12より小さい。第4端末装置10dと第3端末装置10cの距離dは、録画開始しきい値Th12より大きく、通知しきい値Th22より小さい。第4端末装置10dと第2端末装置10bの距離dおよび第4端末装置10dと第6端末装置10fの距離dは、通知しきい値Th22より大きい。
【0047】
設定部54は、グループAの他の端末装置10からの緊急信号の受信に関しては、演算部50で演算された本端末装置10と他の端末装置10との距離dと、録画開始しきい値Th11と、通知しきい値Th21とを比較する。
【0048】
設定部54は、グループBの他の端末装置10からの緊急信号の受信に関しては、演算部50で演算された本端末装置10と他の端末装置10との距離dと、録画開始しきい値Th12と、通知しきい値Th22とを比較する。
【0049】
本端末装置10は、
図6と
図7に示すように、設定部54による比較結果、および、他の端末装置10のグループが本端末装置10のグループと同一であるか否かに応じた動作を行う。
【0050】
図6は、
図1の第1端末装置10aが緊急信号を送信した場合の第2端末装置10b、第3端末装置10c、第5端末装置10e、第6端末装置10fの動作を示す図である。
図7は、
図1の第4端末装置10dが緊急信号を送信した場合の第2端末装置10b、第3端末装置10c、第5端末装置10e、第6端末装置10fの動作を示す図である。以下では、
図6と
図7も適宜参照しながら説明する。
【0051】
設定部54は、受信部46が1つまたは複数の他の端末装置10から緊急信号を受信した場合、他の端末装置10のそれぞれに関して以下の設定を行う。
【0052】
他の端末装置10のグループが本端末装置10のグループと同一であり、距離dが通知しきい値より大きい場合、設定部54は、緊急信号の受信の通知設定、個別IDの通知設定、他の端末装置10の位置に関する情報の非通知設定、録画の非実行設定を行う。
【0053】
他の端末装置10のグループが本端末装置10のグループと同一であり、距離dが、録画開始しきい値より大きく、通知しきい値以下の場合、設定部54は、緊急信号の受信の通知設定、個別IDの通知設定、他の端末装置10の位置に関する情報の通知設定、録画の非実行設定を行う。
【0054】
他の端末装置10のグループが本端末装置10のグループと同一であり、距離dが録画開始しきい値以下の場合、設定部54は、緊急信号の受信の通知設定、個別IDの通知設定、他の端末装置10の位置に関する情報の通知設定、録画の開始設定を行う。
【0055】
他の端末装置10のグループが本端末装置10のグループと異なり、距離dが通知しきい値より大きい場合、設定部54は、緊急信号の受信の非通知設定、個別IDとグループIDの非通知設定、他の端末装置10の位置に関する情報の非通知設定、録画の非実行設定を行う。
【0056】
他の端末装置10のグループが本端末装置10のグループと異なり、距離dが、録画開始しきい値より大きく、通知しきい値以下の場合、設定部54は、緊急信号の受信の通知設定、個別IDとグループIDの通知設定、他の端末装置10の位置に関する情報の通知設定、録画の非実行設定を行う。
【0057】
他の端末装置10のグループが本端末装置10のグループと異なり、距離dが録画開始しきい値以下の場合、設定部54は、緊急信号の受信の通知設定、個別IDとグループIDの通知設定、他の端末装置10の位置に関する情報の通知設定、録画の開始設定を行う。
【0058】
つまり、設定部54は、受信部46が1つまたは複数の他の端末装置10から緊急信号を受信した場合、本端末装置10との関係が所定の通知条件を満たす1つまたは複数の他の端末装置10に関する緊急信号の受信の通知設定、個別IDの通知設定を行う。通知条件は、(1)他の端末装置10のグループが本端末装置10のグループと同じであること、または、(2)他の端末装置10のグループが本端末装置10のグループと異なり、且つ、他の端末装置10と本端末装置10との距離dが通知しきい値以下であることである。
【0059】
設定部54は、緊急信号の受信の通知設定を行った場合、他の端末装置10のグループが本端末装置10のグループと異なれば、他の端末装置10のグループの通知設定を行う。設定部54は、受信部46が緊急信号を受信し、且つ、距離dが通知しきい値以下の場合に、他の端末装置10のグループによらず、他の端末装置10の位置に関する情報の通知設定を行う。設定部54は、受信部46が緊急信号を受信し、且つ、距離dが録画開始しきい値以下の場合に、他の端末装置10のグループによらず、録画の開始設定を行う。
【0060】
設定部54は、他の端末装置10毎に、当該他の端末装置10に関する各情報の通知設定または非通知設定、録画の開始設定または非実行設定を保持する。
【0061】
設定部54は、受信部46が複数の緊急信号を受信した際に、緊急信号の送信元である複数の他の端末装置10に対する優先順位を設定する。設定部54は、受信部46が1つの他の端末装置10から緊急信号を受信した場合、当該他の端末装置10に対する優先順位を最も高く設定する。
【0062】
端末装置10は、グループ優先モードと距離優先モードのいずれかに設定可能である。グループ優先モードと距離優先モードでは、それぞれ優先順位の設定方法が異なる。同一グループの端末装置10には同一のモードが設定されてもよいし、グループによらず任意のモードが設定されてもよい。
【0063】
(グループ優先モード)
グループ優先モードの場合、設定部54は、受信部46で受信されたグループ単位の情報に基づいて、本端末装置10と同じグループの他の端末装置10に対する優先順位を、本端末装置10と異なるグループの他の端末装置10に対する優先順位よりも高く設定する。
【0064】
設定部54は、本端末装置10と同じグループに複数の他の端末装置10が含まれる場合、演算部50で演算された距離に基づいて、本端末装置10と同じグループの複数の他の端末装置10に対する優先順位を設定する。設定部54は、本端末装置10と異なるグループに複数の他の端末装置10が含まれる場合、距離に基づいて、本端末装置10と異なるグループの複数の他の端末装置10に対する優先順位を設定する。
【0065】
設定部54は、本端末装置10と同じグループの複数の他の端末装置10のうち、距離が所定の第1距離範囲内にある他の端末装置10に対する優先順位を、距離が第1距離範囲より遠い第2距離範囲内にある他の端末装置10に対する優先順位よりも高く設定する。
【0066】
設定部54は、本端末装置10と同じグループの複数の他の端末装置10のうち、距離が第2距離範囲内にある他の端末装置10に対する優先順位を、距離が第2距離範囲より遠い第3距離範囲内にある他の端末装置10対する優先順位よりも高く設定する。本端末装置10と異なるグループの複数の他の端末装置10に対する優先順位も同様に設定される。
【0067】
第1距離範囲は、録画開始しきい値以下の範囲である。第2距離範囲は、録画開始しきい値より大きく、通知しきい値以下の範囲である。第3距離範囲は、通知しきい値より大きい範囲である。第1距離範囲、第2距離範囲、第3距離範囲は、他の端末装置10のグループに応じて異なる。グループによらず共通の録画開始しきい値と共通の通知しきい値が用いられる場合には、第1距離範囲、第2距離範囲、第3距離範囲のそれぞれも共通である。
【0068】
設定部54は、1つのグループにおける1つの距離範囲に複数の他の端末装置10が含まれる場合、受信部46が当該複数の他の端末装置10から複数の緊急信号を受信した時刻に基づいて、当該複数の他の端末装置10に対する優先順位を設定する。設定部54は、受信部46が緊急信号を受信した時刻が新しいほど、高い優先順位を設定する。
【0069】
(距離優先モード)
距離優先モードでは、設定部54は、演算部50で演算された距離に基づいて、複数の他の端末装置10に対する優先順位を設定する。具体的には、設定部54は、距離が第1距離範囲内にある他の端末装置10に対する優先順位を、距離が第2距離範囲内にある他の端末装置10に対する優先順位よりも高く設定する。設定部54は、距離が第2距離範囲内にある他の端末装置10に対する優先順位を、距離が第3距離範囲内にある他の端末装置10に対する優先順位よりも高く設定する。
【0070】
設定部54は、同一距離範囲に複数の他の端末装置10が含まれる場合、距離が当該同一距離範囲内にある当該複数の他の端末装置10に対する優先順位を、グループ単位の情報に基づいて設定する。具体的には、設定部54は、距離が1つの距離範囲内にある複数の他の端末装置10のうち、本端末装置10と同じグループの他の端末装置10に対する優先順位を、本端末装置10と異なるグループの他の端末装置10に対する優先順位よりも高く設定する。
【0071】
設定部54は、1つの距離範囲における1つのグループに複数の他の端末装置10が含まれる場合、受信部46が当該複数の他の端末装置10から複数の緊急信号を受信した時刻に基づいて、当該複数の他の端末装置10に対する優先順位を設定する。設定部54は、受信部46が緊急信号を受信した時刻が新しいほど、高い優先順位を設定する。
【0072】
設定部54は、優先順位を設定すると、通知設定がなされた情報の通知指示を優先順位とともに通知部34に供給する。通知部34は、設定部54から通知指示が供給された場合、設定部54で設定された優先順位に基づいて、緊急信号を送信した複数の他の端末装置10に優先順位を付けて、通知指示に応じた情報をユーザに通知する。
【0073】
通知部34は、設定部54から緊急信号の受信および個別IDの通知指示が供給された場合、設定部54で設定された優先順位を付けて、1つまたは複数の他の端末装置10を識別する情報、および、1つまたは複数の緊急信号の受信をユーザに通知する。他の端末装置10を識別する情報は、他の端末装置10の情報とも呼べる。
図6と
図7に示すように、第2端末装置10bでは、第1端末装置10aに関する緊急信号の受信が通知される。第3端末装置10cと第6端末装置10fでは、第1端末装置10aと第4端末装置10dの両者に関する緊急信号の受信が通知される。第5端末装置10eでは、第4端末装置10dに関する緊急信号の受信が通知される。
【0074】
通知部34は、設定部54からグループIDの通知設定が供給された場合、設定部54で設定された優先順位を付けて、1つまたは複数の他の端末装置10のグループIDをユーザに通知する。つまり、通知部34は、緊急信号の受信を通知する場合、他の端末装置10のグループが本端末装置10のグループと異なれば、他の端末装置10のグループを通知する。
図7に示すように、第3端末装置10cでは第4端末装置10dに関してグループが通知され、
図6に示すように、第6端末装置10fでは第1端末装置10aに関してグループが通知される。
【0075】
通知部34は、設定部54から他の端末装置10の位置に関する情報の通知設定が供給された場合、設定部54で設定された優先順位を付けて、1つまたは複数の他の端末装置10の位置に関する情報をユーザに通知する。通知部34は、本端末装置10の位置情報と、他の端末装置10の位置情報とに基づいて、他の端末装置10の位置に関する情報を生成する。他の端末装置10の位置に関する情報は、例えば、他の端末装置10の緯度と経度、距離d、他の端末装置10の方向、他の端末装置10との高度差、他の端末装置10までの経路を含む。
図6に示すように、第1端末装置10aの位置に関する情報の通知は、第2端末装置10b、第3端末装置10c、第6端末装置10fで行われる。
図7に示すように、第4端末装置10dの位置に関する情報の通知は、第3端末装置10c、第5端末装置10eで行われる。
【0076】
設定部54は、最も高い優先順位の他の端末装置10に関する録画の開始設定がなされている場合、録画指示を第2通信部44に出力する。設定部54は、最も高い優先順位以外の他の端末装置10に関する録画の開始設定がなされている場合、この開始設定を非実行とし、録画指示を出力しない。
【0077】
第2通信部44は、設定部54から供給された録画指示を、カメラ20の第3通信部70に送信する。第3通信部70は、撮像部72に録画指示を出力する。撮像部72は、録画指示に応じて動画の撮像を行い、撮像データを画像記憶部74に出力する。画像記憶部74は、撮像データを記憶する。このような動作は、
図6に示すように、第2端末装置10b、第2カメラ20bで行われ、
図7に示すように、第5端末装置10e、第5カメラ20eで行われる。
図6に示す第6端末装置10f、第6カメラ20fでは、第1端末装置10aの優先順位が最も高く設定された場合に、このような動作が行われる。
【0078】
設定部54は、カメラ20に録画を開始させた場合、受信部46が新たな緊急信号を受信しても、録画開始の契機となった他の端末装置10に対する優先順位を最も高く維持する。
【0079】
通知部34は、例えば、次のように緊急信号の受信を通知する。地図情報記憶部56は、地図情報を記憶している。通知生成部58は、地図情報記憶部56に記憶された地図情報と、本端末装置10の位置情報と、最も高い優先順位の他の端末装置10の位置情報とに基づいて、地図データを作成する。地図データは、本端末装置10の位置から、最も高い優先順位の他の端末装置10の位置までの経路を含む。地図データは、他の端末装置10のそれぞれに関して、優先順位、距離、他の端末装置10の方向、他の端末装置10との高度差、他の端末装置10を識別する情報、他の端末装置10のグループの情報も含む。通知生成部58は、個別IDに基づいて他の端末装置10を識別する情報を作成し、グループIDに基づいて他の端末装置10のグループの情報を作成する。他の端末装置10を識別する情報は、個別IDと同じでもよい。他の端末装置10のグループの情報は、グループIDと同じでもよい。通知生成部58は、作成された地図データを表示部12に出力する。表示部12は、地図データに基づいて、各種情報が含まれた地図を表示する。
【0080】
通知部34は、地図の表示に代えて、他の端末装置10毎に、他の端末装置10の方向を矢印と文字で表示部12に表示させ、他の端末装置10の優先順位、位置、距離、他の端末装置10を識別する情報、および、他の端末装置10のグループの情報を文字で表示部12に表示させてもよい。また、通知部34は、これらの情報をスピーカ14に音声で出力させてもよい。
【0081】
図8は、第1端末装置10aと第4端末装置10dから緊急信号を受信した場合に、グループ優先モードの第2端末装置10bの表示部12に表示された情報の例を示す図である。表示部12は、優先順位である「1」という文字、第1端末装置10aを識別する情報である「LMR11」という文字、第1端末装置10aの方向(方角)を示す「NW」という文字、第1端末装置10aの方向を示す矢印、および、距離を示す「300m」という文字を表示している。表示部12は、第1端末装置10aの位置、即ち緯度と経度を示す「North "xx.xxx", East "xx.xxx"」という文字も表示している。
【0082】
図9は、第1端末装置10aと第4端末装置10dから緊急信号を受信した場合に、距離優先モードの第3端末装置10cの表示部12に表示された情報の例を示す図である。表示部12は、第1端末装置10aに関して、優先順位である「1」という文字、第1端末装置10aを識別する情報である「LMR11」という文字、第1端末装置10aの方向(方角)を示す「NNW」という文字、第1端末装置10aの方向を示す矢印、および、距離を示す「1800m」という文字を表示している。表示部12は、第1端末装置10aの緯度と経度を示す文字も表示している。
【0083】
表示部12は、第4端末装置10dに関して、優先順位である「2」という文字、第4端末装置10dを識別する情報である「LMR21」という文字、第4端末装置10dのグループの情報である「Gr_B」という文字、第4端末装置10dの方向(方角)を示す「ESE」という文字、第4端末装置10dの方向を示す矢印、および、距離を示す「2500m」という文字を表示している。表示部12は、第4端末装置10dの緯度と経度を示す文字も表示している。
【0084】
図5に戻る。通知部34は、受信部46が緊急信号を受信していない場合、他の端末装置10を識別する情報、他の端末装置10のグループの情報、および、緊急信号の受信を非通知とする。また、設定部54は、受信部46が緊急信号を受信していない場合、録画指示の出力を停止して、カメラ20に録画を非実行とさせ、位置通知指示の出力を停止して、通知部34に他の端末装置10の位置に関する情報を非通知とさせる。
【0085】
なお、端末装置10が緊急信号を送信も受信もしていない場合に、カメラ20の第2操作部76に含まれる
図4の録画ボタン24がユーザにより押し下げられると、撮像部72は動画の撮像を行い、画像記憶部74は、撮像データを記憶する。つまり、手動で録画を行うこともできる。
【0086】
この構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウエア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0087】
図10は、
図1の端末装置10の緊急信号の送信処理を示すフローチャートである。緊急ボタン16が操作された場合(S10のY)、送信部42は、緊急信号、個別ID、グループIDおよび位置情報を送信する(S12)。制御部38は、ペアリングされたカメラ20に録画を開始させる(S14)。緊急ボタン16が操作されない場合(S10のN)、待機する。
【0088】
図11は、
図1の基地局装置80の緊急信号の受信および送信処理を示すフローチャートである。この処理は、定期的に行われる。受信部86が緊急信号を受信した場合(S20のY)、受信部86は、個別ID、グループIDおよび位置情報を受信する(S22)。送信部88は、通信システム200の残りの端末装置10に、緊急信号、個別ID、グループIDおよび位置情報を送信する(S24)。受信部86が緊急信号を受信しない場合(S20のN)、処理を終了する。
【0089】
図12は、
図1の端末装置10の緊急信号の受信処理を示すフローチャートである。
図12は、一例として、グループAの端末装置10の処理を示す。この処理は、定期的に行われる。受信部46が緊急信号を受信していない場合(S30のN)、設定部54は通知設定と録画設定を解除して(S32)、処理を終了する。受信部46が緊急信号を受信した場合(S30のY)、受信部46は、緊急信号の送信元である他の端末装置10の個別ID、他の端末装置10のグループID、および、他の端末装置10の位置情報を受信する(S34)。
【0090】
測位部40は、本端末装置10の位置情報を取得する(S36)。演算部50は、他の端末装置10と本端末装置10との距離dを演算する(S38)。他の端末装置10と本端末装置10が同じグループである場合(S40のY)、設定部54は、距離d、録画開始しきい値Th11、通知しきい値Th21を比較する(S42)。
【0091】
距離dが通知しきい値Th21より大きい場合、設定部54は、緊急信号の受信の通知設定、個別IDの通知設定、他の端末装置10の位置に関する情報の非通知設定、録画の非実行設定を行う(S44)。
【0092】
距離dが、録画開始しきい値Th11より大きく、通知しきい値Th21以下の場合、設定部54は、緊急信号の受信の通知設定、個別IDの通知設定、他の端末装置10の位置に関する情報の通知設定、録画の非実行設定を行い(S46)、
図13のステップS58に移る。
【0093】
距離dが録画開始しきい値Th11以下の場合、設定部54は、緊急信号の受信の通知設定、個別IDの通知設定、他の端末装置10の位置に関する情報の通知設定、録画の開始設定を行い(S48)、
図13のステップS58に移る。
【0094】
一方、他の端末装置10と本端末装置10が同じグループでない場合(S40のN)、
図13のステップS50の処理に移る。
【0095】
図13は、
図12に続く、
図1の端末装置10の緊急信号の受信処理を示すフローチャートである。設定部54は、距離d、録画開始しきい値Th12、通知しきい値Th22を比較する(S50)。
【0096】
距離dが通知しきい値Th22より大きい場合、設定部54は、緊急信号の受信の非通知設定、個別IDとグループIDの非通知設定、他の端末装置10の位置に関する情報の非通知設定、録画の非実行設定を行い(S52)、ステップS58に移る。
【0097】
距離dが、録画開始しきい値Th12より大きく、通知しきい値Th22以下の場合、設定部54は、緊急信号の受信の通知設定、個別IDとグループIDの通知設定、他の端末装置10の位置に関する情報の通知設定、録画の非実行設定を行い(S54)、ステップS58に移る。
【0098】
距離dが録画開始しきい値Th12以下の場合、設定部54は、緊急信号の受信の通知設定、個別IDとグループIDの通知設定、他の端末装置10の位置に関する情報の通知設定、録画の開始設定を行い(S56)、ステップS58に移る。
【0099】
グループ優先モードに設定されている場合(S58のY)、
図14のステップS60に移る。グループ優先モードに設定されていない場合(S58のN)、即ち距離優先モードに設定されている場合、
図15のステップS80に移る。
【0100】
図14は、
図13に続く、
図1の端末装置10の緊急信号の受信処理を示すフローチャートである。最も高い優先順位に関して録画中でない場合(S60のN)、設定部54は、グループ単位の情報に基づいて、他の端末装置10に対する優先順位を設定する(S62)。
【0101】
設定部54は、グループ毎に、距離に基づいて優先順位を設定し、同じ距離範囲内に複数の他の端末装置10がある場合には緊急信号の受信時刻に基づいて優先順位を設定する(S64)。設定部54は、通知設定を実行し、最も高い優先順位の録画の開始設定のみを実行し(S66)、処理を終了する。
【0102】
最も高い優先順位に関して録画中の場合(S60のY)、設定部54は、最も高い優先順位を維持し、録画状態を維持する(S68)。設定部54は、最も高い優先順位を除き、グループ単位の情報に基づいて、他の端末装置10に対する優先順位を設定する(S70)。設定部54は、グループ毎に、距離に基づいて優先順位を設定し、同じ距離範囲内に複数の他の端末装置10がある場合には緊急信号の受信時刻に基づいて優先順位を設定する(S72)。設定部54は、通知設定を実行し(S74)、処理を終了する。
【0103】
図15は、
図13に続く、
図1の端末装置10の緊急信号の受信処理を示すフローチャートである。最も高い優先順位に関して録画中でない場合(S80のN)、設定部54は、距離に基づいて、他の端末装置10に対する優先順位を設定する(S82)。
【0104】
同一距離範囲の複数の他の端末装置10がある場合(S84のY)、設定部54は、距離範囲毎に、グループに基づいて優先順位を設定し、同一グループの複数の他の端末装置10がある場合には緊急信号の受信時刻に基づいて優先順位を設定する(S86)。設定部54は、通知設定と録画の開始設定を実行し(S88)、処理を終了する。ステップS84で同一距離範囲の複数の他の端末装置10がない場合(S84のN)、ステップS88に移る。
【0105】
最も高い優先順位に関して録画中の場合(S80のY)、設定部54は、最も高い優先順位を維持し、録画状態を維持する(S90)。設定部54は、最も高い優先順位を除き、距離に基づいて、他の端末装置10に対する優先順位を設定する(S92)。
【0106】
同一距離範囲の複数の他の端末装置10がある場合(S94のY)、設定部54は、距離範囲毎に、グループに基づいて優先順位を設定し、同一グループの複数の他の端末装置10がある場合には緊急信号の受信時刻に基づいて優先順位を設定する(S96)。設定部54は、通知設定を実行し(S98)、処理を終了する。ステップS94で同一距離範囲の複数の他の端末装置10がない場合(S94のN)、ステップS98に移る。
【0107】
本実施の形態によれば、設定された優先順位に基づいて複数の他の端末装置10の情報および複数の緊急信号の受信を通知するので、どの緊急信号の受信に対応するかを優先順位に基づいてユーザに容易に判断させることができる。したがって、複数の端末装置10が緊急通報を受信した場合に、緊急事態の発生を適切に通知できる。
【0108】
グループ優先モードでは、本端末装置10と同じグループの他の端末装置10に対する優先順位をより高く設定するので、同じグループの他の端末装置10による緊急通報をユーザに容易に認識させることができる。また、本端末装置10と同じグループの複数の他の端末装置10に対する優先順位を距離に基づいて設定するので、同じグループであって最も近い位置の他の端末装置10による緊急通報をユーザに容易に認識させることができる。また、1つのグループにおける1つの距離範囲の複数の他の端末装置10から複数の緊急信号を受信した時刻に基づいて、当該複数の他の端末装置10に対する優先順位を設定するので、これらの中でより新しい緊急通報をユーザに容易に認識させることができる。
【0109】
距離優先モードでは、距離に基づいて複数の他の端末装置10に対する優先順位を設定するので、グループによらず、より近い位置の他の端末装置10による緊急通報をユーザに容易に認識させることができる。また、距離が同一距離範囲内にある複数の他の端末装置10に対する優先順位を、グループ単位の情報に基づいて設定するので、同一距離範囲内にある同じグループの他の端末装置10による緊急通報をユーザに容易に認識させることができる。また、1つの距離範囲における1つのグループの複数の他の端末装置10から緊急信号を受信した時刻に基づいて、当該複数の他の端末装置10に対する優先順位を設定するので、これらの中でより新しい緊急通報をユーザに容易に認識させることができる。
【0110】
グループ優先モードと距離優先モードにおいて、カメラ20に録画を開始させた場合、新たな緊急信号を受信しても、録画開始の契機となった他の端末装置10に対する優先順位を最も高く維持するので、当該他の端末装置10による緊急通報をユーザに優先的に認識させ続けることができる。
【0111】
基地局装置80は、1つのグループに含まれた1つの端末装置10から緊急信号を受信した場合、受信された緊急信号を、当該グループに含まれた残りの端末装置10および当該グループ以外の端末装置10に送信するので、グループによらず端末装置10に緊急通報を実行できる。このとき、グループを維持したまま緊急信号を送信するので、緊急信号を送信した場合にもグループ内で通信を実行できる。したがって、緊急時において、グループによらず端末装置10に緊急通報を実行できるとともに、グループ内で通信を実行できる。
【0112】
基地局装置80は、緊急信号を送信するときに、グループを変更する処理や、新たなグループを形成する処理を行う必要がないため、簡素な処理で緊急通報を実行できる。
【0113】
基地局装置80は、1つの端末装置10から緊急信号に加えて当該端末装置10の位置を示す位置情報を受信した場合、この位置情報も、グループに含まれた残りの端末装置10および当該グループ以外の端末装置10に送信するので、緊急信号を受信した端末装置10は、緊急信号の送信元である端末装置10までの距離dを演算できる。よって、緊急信号を受信した端末装置10は、緊急時において、距離dに応じた適切な処理を行うことができる。
【0114】
基地局装置80は、1つの端末装置10から緊急信号に加えて当該端末装置10のグループ単位の情報を受信した場合、このグループ単位の情報も、グループに含まれた残りの端末装置10および当該グループ以外の端末装置10に送信するので、緊急信号を受信した端末装置10は、緊急時において、グループに応じた適切な処理を行うことができる。
【0115】
基地局装置80は、1つの端末装置10から緊急信号に加えて当該端末装置10の識別情報を受信した場合、この識別情報も、グループに含まれた残りの端末装置10および当該グループ以外の端末装置10に送信するので、緊急信号を受信した端末装置10は、緊急時において、緊急信号の送信元である端末装置10を識別する情報を通知できる。
【0116】
本端末装置10は、他の端末装置10から緊急信号を受信し、且つ、距離dが録画開始しきい値以下の場合に、他の端末装置10のグループによらず、カメラ20に録画を開始させるので、撮影対象に接近したカメラ20のみが録画を開始する。これにより、撮像範囲に追跡対象者が入らないカメラ20による不必要な録画を防ぐことができる。
【0117】
撮影対象から離れており、緊急通報を行ったユーザとは異なる指令に基づいて異なる業務を行っており応援に向かうことができないユーザのカメラ20で録画が開始されてしまうと、このユーザの行動に支障をきたす恐れがある。このようなユーザのカメラ20に録画を開始させないようにできるので、ユーザの行動を妨げないようにできる。よって、緊急時において、適切にカメラ20に録画を開始させることができる。
【0118】
本端末装置10は、他の端末装置10から緊急信号を受信し、且つ、距離dが通知しきい値以下の場合に、他の端末装置10のグループによらず、他の端末装置10の位置に関する情報を本端末装置10のユーザに通知するので、ユーザが進むべき方向や撮影対象の方向を示すことができる。よって、ユーザに緊急通報に対する的確な行動を行わせることができる。また、撮影対象から離れており、異なる指令に基づいて異なる業務を行っており応援に向かうことができないユーザに他の端末装置10の位置に関する情報を通知しないようにできるので、不必要な通知を抑制できる。
【0119】
本端末装置10は、他の端末装置10から緊急信号を受信した場合、(1)他の端末装置10のグループが本端末装置10のグループと同じであるか、(2)他の端末装置10のグループが本端末装置10のグループと異なり、且つ、距離dが通知しきい値以下であれば、他の端末装置10を識別する情報および緊急信号の受信を通知する。そのため、緊急時において、通知の必要性の高い端末装置10では緊急信号の受信等を通知し、通知の必要性の低い端末装置10では緊急信号の受信等を非通知にできる。
【0120】
本端末装置10は、緊急信号の受信を通知する場合、他の端末装置10のグループが本端末装置10のグループと異なれば、他の端末装置10のグループも通知するので、緊急信号の受信を通知された本端末装置10のユーザに、緊急信号の送信元である他の端末装置10のグループを認識させることができる。よって、緊急信号の受信を通知された本端末装置10のユーザは、グループ内の残りの端末装置10に対して、緊急事態が発生しているユーザのグループをグループ通信によって知らせることができる。また、他の端末装置10を識別する情報が、本端末装置10のグループ中のいずれかの端末装置10を識別する情報と同じ場合にも、他の端末装置10が異なるグループのものであることをユーザに認識させることができる。
【0121】
他の端末装置10は、緊急信号を送信中、定期的に自身の位置情報も送信するので、他の端末装置10のユーザと本端末装置10のユーザの双方が移動中の場合でも、本端末装置10のユーザは他の端末装置10のユーザに対して的確に近づくことができる。
【0122】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0123】
例えば、通知部34は、受信部46が緊急信号を受信した場合、他の端末装置10のグループが本端末装置10のグループと異なり、且つ、距離dが録画開始しきい値以下であれば、緊急信号を受信したこと、他の端末装置10を識別する情報、および、他の端末装置10のグループを通知してもよい。通知部34は、受信部46が緊急信号を受信した場合、他の端末装置10のグループが本端末装置10のグループと異なり、且つ、距離dが録画開始しきい値より大きい場合に、緊急信号を受信したこと、他の端末装置10を識別する情報、および、他の端末装置10のグループを非通知にしてもよい。この処理も、通知部34が、緊急信号の受信を通知する場合、他の端末装置10のグループが本端末装置10のグループと異なれば、他の端末装置10のグループも通知することに相当する。この変形例によれば、他の端末装置10のグループとは異なるグループのユーザに対しては、実施の形態と比較して通知を抑制できる。
【0124】
演算部50は、直線距離の演算に代えて、本端末装置10の位置情報と、他の端末装置10の位置情報と、地図情報記憶部56の地図情報とに基づいて、本端末装置10から他の端末装置10までの経路の距離を演算してもよい。この変形例では、ユーザが実際に移動する経路の距離に基づいてカメラ20の動作を制御できる。
【0125】
端末装置10が測位部40を備える一例について説明したが、カメラ20が測位部を備え、この測位部が位置情報を端末装置10に供給してもよい。また、他の端末装置10の位置に関する情報が端末装置10の表示部12に表示される一例について説明したが、カメラ20が表示部を備え、通知部34は、他の端末装置10の位置に関する情報をカメラ20の表示部に表示させ、この表示部を介して情報をユーザに通知してもよい。これらの変形例によれば、構成の自由度を向上できる。