(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御装置は、前記塗工液が溜められる塗工液タンクの位置、前記循環用洗浄液が溜められる循環用洗浄液タンクの位置、及び前記端部洗浄装置の位置に前記端部を変位させる、
請求項4記載のドクターチャンバーコーター。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。
実施の形態
図1は、本発明の実施の形態によるドクターチャンバーコーターの全体構成を示すブロック図である。
【0011】
図1に示すように、ドクターチャンバーコーターには、塗工液タンク1、主流路2、循環用洗浄液タンク3、新液洗浄系4及び制御装置5が含まれている。
【0012】
塗工液タンク1は、塗工液1aが溜められた容器である。塗工液1aとしては、例えばインク、塗料及び化成処理液等を挙げることができる。
【0013】
主流路2は、塗工液タンク1の塗工液1aを被塗工物に塗工するために塗工液1aが通される構成である。被塗工物としては、例えば紙、プラスチック又は金属等の素材からなる帯状部材を挙げることができる。
【0014】
主流路2は、ノズルユニット20、供給路21、排出路22、塗工ユニット23、第1ポンプ24及び閉塞器25を有している。
【0015】
ノズルユニット20は、吸上ノズル20a及び排出ノズル20bが一体化されたユニットである。吸上ノズル20aは、塗工液タンク1の塗工液1aを吸い上げるためのノズルであり、供給路21に接続されている。排出ノズル20bは、塗工液1aを塗工液タンク1に戻すためのノズルであり、排出路22に接続されている。本実施の形態では、吸上ノズル20aが供給路21の端部を構成し、排出ノズル20bが排出路22の端部を構成し、これら供給路21及び排出路22の端部が互いに一体に変位可能とされている。吸上ノズル20aの先端は排出ノズル20bの先端よりも下方に位置されており、吸上ノズル20aの先端が塗工液タンク1内の塗工液1aに浸漬されているときに排出ノズル20bの先端が液面よりも上方に位置できるように構成されている。
【0016】
供給路21は、吸上ノズル20aから吸い上げられた塗工液1aを塗工ユニット23に供給するための管である。排出路22は、塗工ユニット23内で一定の量を超えた塗工液1aを塗工ユニット23から排出するための管である。排出路22及び排出ノズル20bを通される塗工液1aは塗工液タンク1に戻される。すなわち、塗工液1aは、塗工液タンク1、供給路21、塗工ユニット23及び排出路22で循環される。
【0017】
塗工ユニット23は、塗工液1aを被塗工物に塗工するためのユニットである。第1ポンプ24は、供給路21に設けられて、吸上ノズル20aから塗工液1aを吸い上げるための負圧を発生するためのポンプである。閉塞器25は、排出路22に設けられて、排出路22を閉塞するための機器である。これら塗工ユニット23、第1ポンプ24及び閉塞器25の構成については、後に図を用いて説明する。
【0018】
本実施の形態のドクターチャンバーコーターでは、例えば色の異なる塗料に交換する等、塗工液1aの交換が想定されている。塗工液1aが交換される場合、新しい塗工液1aが主流路2に通される前に、既存の塗工液1aが主流路2から排出されるとともに、主流路2等の洗浄が行われる。循環用洗浄液タンク3、端部洗浄装置45及び新液洗浄系4は、主流路2の洗浄に関わる構成である。
【0019】
循環用洗浄液タンク3は、主流路2の洗浄のために主流路2を循環される循環用洗浄液3aが溜められた容器である。循環用洗浄液3aとしては、シンナー等を用いることができる。後に詳しく説明するように、主流路2の洗浄が行われるとき、制御装置5の制御により、ノズルユニット20が循環用洗浄液タンク3の位置に変位されて、ノズルユニット20を通して循環用洗浄液タンク3の循環用洗浄液3aが主流路2を循環される。
【0020】
新液洗浄系4は、洗浄液の新液40aを用いて主流路2等の洗浄を行うためのものである。新液洗浄系4は、新液タンク40、第2ポンプ41、流路制御機構42、洗浄ノズル群43、一対のサイドノズル44及び端部洗浄装置45を含んでいる。
【0021】
新液タンク40は、洗浄液の新液40aが溜められた容器である。洗浄液の新液40aとしては、循環用洗浄液3aと同様にシンナー等を用いることができる。循環用洗浄液3aは洗浄に複数回使用されるか又はされたものであるが、洗浄液の新液40aは未使用のものである。新液タンク40から送り出された洗浄液の新液40aは、新液タンク40に戻されず、廃棄されるか又は循環用洗浄液タンク3に送られる。
【0022】
第2ポンプ41は、新液タンク40から洗浄液の新液40aを送り出すための負圧を発生するものである。第2ポンプ41としては、ダイヤフラムポンプ等の任意のポンプを用いることができる。
【0023】
流路制御機構42は、複数の弁体等によって構成されるものであり、洗浄液の新液40aの流路を制御するためのものである。流路制御機構42の制御により、洗浄液の新液40aが洗浄ノズル群43、一対のサイドノズル44及び端部洗浄装置45のいずれかに供給される。
【0024】
洗浄ノズル群43は、塗工ユニット23のドクターチャンバー230内で洗浄液の新液40aを噴射する複数のノズルからなるものである。洗浄ノズル群43については、後に図を用いて説明する。
【0025】
サイドノズル44は、塗工ユニット23のロール体231(
図2等参照)の両側部に向けて洗浄液の新液40aを噴射するノズルである。サイドノズル44についても、後に図を用いて説明する。
【0026】
端部洗浄装置45は、供給路21及び排出路22の端部、すなわち吸上ノズル20a及び排出ノズル20bの洗浄を行う装置である。後に詳しく説明するように、制御装置5の制御により、循環用洗浄液3aの循環後に、端部洗浄装置45による吸上ノズル20a及び排出ノズル20bの洗浄が行われる。端部洗浄装置45の構成についても、後に図を用いて説明する。
【0027】
制御装置5は、ドクターチャンバーコーターの各構成の動作を制御するものである。制御装置5としては、例えば記憶装置に記憶されているプログラムに従って制御指令を発する演算処理装置等を用いることができる。制御装置5による各構成の動作制御については、後に図を用いて説明する。
【0028】
次に、
図2〜
図7を用いて
図1の塗工ユニット23及び洗浄ノズル群43について説明する。
図2は、
図1の塗工ユニット23を示す構成図であり、
図3の線A−Aに沿うドクターチャンバー230の断面図である。
図3は、
図2のドクターチャンバー230を示す背面図である。
図4は、
図2のチャンバー内洗浄ノズル430を示す側面図であり、チャンバー内洗浄ノズル430から洗浄液が吹き出されている状態を示している。
図5は、
図4のチャンバー内洗浄ノズル430を示す正面図である。
図6は、
図2のロール洗浄ノズル431を示す側面図であり、ロール洗浄ノズル431から洗浄液が吹き出されている状態を示している。
図7は、
図6のロール洗浄ノズル431を示す正面図である。
【0029】
図2に特に表れているように、塗工ユニット23は、ドクターチャンバー230と、ロール体231とを有している。
【0030】
ドクターチャンバー230は、内部に塗工液1aが溜められる容器体である。ドクターチャンバー230の前部には、開口部230aが形成されている。ロール体231は、周面が開口部230aを通してドクターチャンバー230の内部に臨むように配置されている。ロール体231が回転駆動されることで、ドクターチャンバー230内の塗工液1aがロール体231の周面に順次付着する。ロール体231の周面に付着した塗工液1aが被塗工物に塗工される。ロール体231と被塗工物との間に他のロールが介在されてもよいし、ロール体231から被塗工物に直接的に塗工液1aの塗工が行われてもよい。
【0031】
ドクターチャンバー230には、チャンバー本体232、上流側ドクターブレード233及び下流側ドクターブレード234が含まれている。
【0032】
チャンバー本体232は、断面略C字状の部材である。上流側ドクターブレード233は、ロール体231の回転方向に係る開口部230aの上流側に配置された長手状部材である。同様に、下流側ドクターブレード234は、ロール体231の回転方向に係る開口部230aの下流側に配置された長手状部材である。ドクターチャンバー230の開口部230aは、上流側ドクターブレード233及び下流側ドクターブレード234の先端間の空隙によって定義できる。
【0033】
上流側ドクターブレード233及び下流側ドクターブレード234の先端は、ロール体231の周面に突き当てられている。各ブレード233,234の先端がロール体231の周面に突き当てられていることで、チャンバー本体232の内部は周囲が全体として囲われた空間とされている。図示しないが、ロール体231の周面には凹部が形成されている。下流側ドクターブレード234は、凹部内の塗工液1aを残すように、ロール体231の周面に付着した塗工液1aを掻きとる。これにより、一定量の塗工液1aがロール体231の周面に残るようにされている。
【0034】
チャンバー本体232には、供給路21、排出路22、洗浄ノズル群43が取り付けられている。
【0035】
図3に特に表れているように、本実施の形態の供給路21は、チャンバー本体232の幅方向232w(ロール体231の軸方向)に係る一端下部に配置されている。また、本実施の形態の排出路22は、チャンバー本体232の幅方向232wに係る他端上部に配置されている。供給路21からドクターチャンバー230の内部に塗工液1aが供給され、ドクターチャンバー230の内部で排出路22の高さまで溜まった塗工液1aが排出路22から排出される。すなわち、本実施の形態の供給路21及び排出路22は、チャンバー本体232の幅方向232wに係る一端下部から他端上部に向かう塗工液1aの襷掛け流路(斜めの流れ)をチャンバー本体232の内部に形成する。この塗工液1aの流れは、ドクターチャンバー230の内部における循環用洗浄液3aの流れと同様である。
図3において二点鎖線で示すように、チャンバー本体232の幅方向232wに係る供給路21及び排出路22の位置が逆転されていてもよい。また、
図3において実線(又は二点鎖線)で示す供給路21と、二点鎖線(又は実線)で示す排出路22とを組み合わせて使用してもよい。
【0036】
上述のように、洗浄ノズル群43は、ドクターチャンバー230内で洗浄液の新液40aを噴射するためのものである。洗浄ノズル群43は、複数のチャンバー内洗浄ノズル430及び複数のロール洗浄ノズル431を含んでいる。
【0037】
図3に加えて
図4及び
図5を用い、チャンバー内洗浄ノズル430について説明する。
図3に示すように、複数のチャンバー内洗浄ノズル430は、ドクターチャンバー230の幅方向232wに互いに間隔を置いてドクターチャンバー230(チャンバー本体232)の上部に取り付けられている。各チャンバー内洗浄ノズル430は、ドクターチャンバー230の上部から下部に向けてドクターチャンバー230の内部に洗浄液を吹き付けるように設けられている。各チャンバー内洗浄ノズル430からドクターチャンバー230の内部に洗浄液の新液40aが噴射されることで、ドクターチャンバー230の内部が洗浄される。
【0038】
各チャンバー内洗浄ノズル430の洗浄液の噴射角は、例えば40°等、各チャンバー内洗浄ノズル430からの洗浄液の新液40aがドクターチャンバー230の上部で互いに重ならず、かつ各チャンバー内洗浄ノズル430からの洗浄液の新液40aがドクターチャンバー230の下部で互いに重なるように設定される。各チャンバー内洗浄ノズル430からの洗浄液の新液40aの噴射流量は、例えば0.2L/min以上かつ0.6L/min以下等、ドクターチャンバー230の内部の洗浄に必要かつ十分な量に設定される。
【0039】
次に、
図3に加えて
図6及び
図7を用い、ロール洗浄ノズル431について説明する。
図3に示すように、複数のロール洗浄ノズル431は、ドクターチャンバー230の幅方向232wに互いに間隔を置いてドクターチャンバー230(チャンバー本体232)の上部に取り付けられている。各ロール洗浄ノズル431は、ドクターチャンバー230の上部から斜め下方に向けてロール体231に洗浄液の新液40aを噴射するように設けられている。各ロール洗浄ノズル431からロール体231に洗浄液の新液40aを噴射することで、ロール体231の周面が洗浄される。
【0040】
各ロール洗浄ノズル431の洗浄液の噴射角は、例えば80°等、各ロール洗浄ノズル431からの洗浄液の新液40aがそれらロール洗浄ノズル431の近傍で互いに重ならず、かつ各ロール洗浄ノズル431からの洗浄液の新液40aがロール体231の周面で互いに重なるように設定される。各ロール洗浄ノズル431からの洗浄液の新液40aの噴射流量は、例えば0.2L/min以上かつ0.6L/min以下等、ロール体231の周面の洗浄に必要かつ十分な量に設定される。
【0041】
図3に特に表れているように、チャンバー内洗浄ノズル430及びロール洗浄ノズル431は、ドクターチャンバー230の上部に取り付けられているとともに、ドクターチャンバー230の幅方向232wに互いにずらして配置されている。これにより、チャンバー内洗浄ノズル430及びロール洗浄ノズル431から同時に洗浄液の新液40aを噴射させても、それらチャンバー内洗浄ノズル430及びロール洗浄ノズル431からの洗浄液の新液40aが互いに干渉することを回避することができる。
【0042】
次に、
図8を用いて第1ポンプ24について説明する。
図8は
図1の第1ポンプ24を示す正面図である。
図8のうち、(a)は可動ハウジング243が回転体241に近づけられている状態を示し、(b)は可動ハウジング243が回転体241から遠ざけられている状態を示している。
【0043】
図8の(a)に示すように、第1ポンプ24は、チューブポンプによって構成されており、ポンプ本体240、回転体241、アクチュエータ242及び可動ハウジング243を有している。
【0044】
ポンプ本体240は、図示しない支持部材に固定されている。ポンプ本体240には、回転軸240aを有するモータ等の駆動装置が内蔵されている。
【0045】
回転体241は、支持部材241a及び一対のローラ241bを有している。支持部材241aは、回転軸240aの径方向に延在する部材であり、回転軸240aに固定されている。この支持部材241aは、駆動装置の駆動力により回転軸240aとともに回転される。ローラ241bは、支持部材241aの両端部に回転自在に支持されている。
【0046】
アクチュエータ242は、例えばソレノイドアクチュエータ等により構成されるものである。アクチュエータ242は、固定部242a及び可動部242bを有している。固定部242aは、ポンプ本体240に固定されている。可動部242bは、固定部242aから離れる方向及び固定部242aに近づく方向に進退可能に設けられている。
【0047】
可動ハウジング243は、U字状側面243aを有する部材であり、回転体241の側方に配置されている。可動ハウジング243には、アクチュエータ242の可動部242bの進退方向に延びる長孔243bが設けられている。長孔243bの内側には、ポンプ本体240に固定されたピン240bが配設されている。
図8の(a)及び(b)に示すように、可動ハウジング243は、可動部242bの進退方向に所定幅243wだけ変位可能にピン240bによって支持されている。
【0048】
供給路21は、第1ポンプ24に導入される導入部210、第1ポンプ24から導出される導出部211、及びこれら導入部210と導出部211との間に設けられた折返部212を有している。
【0049】
折返部212は、回転体241のローラ241bの外縁軌道と可動ハウジング243のU字状側面243aとの間を通るようにU字状側面243aに沿って配設されている。
図8の(a)に示すように可動ハウジング243が回転体241に近づけられているとき、ローラ241bは、U字状側面243aとの間で折返部212を狭窄している。回転体241の回転により折返部212の狭窄部分が移動されることで、吸上ノズル20aから塗工液1aを吸い上げるための負圧が発生される。また、回転体241を逆回転させることにより、塗工液1aを逆流させて、ドクターチャンバー230から塗工液1aを排出することができる。
【0050】
図8の(b)に示すように可動ハウジング243が回転体241から遠ざけられているとき、ローラ241bとU字状側面243aとの間の折返部212が開放される。折返部212が開放されることで、折返部212の狭窄部分に洗浄液等が残ることが回避される。
【0051】
供給路21の導入部210は、第1ポンプ24から離れるにつれて下がるように水平に対して傾斜して設けられている。また、供給路21の導出部211は、第1ポンプ24から離れるにつれて上るように水平に対して傾斜して設けられている。このように導入部210及び導出部211が水平に対して傾斜して設けられていることで、
図8の(b)に示すように折返部212が開放された際に、洗浄液等が自重により第1ポンプ24から抜け落ちるようにされている。
【0052】
次に、
図9を用いて閉塞器25について説明する。
図9は
図1の閉塞器25を示す説明図である。
図9のうち、(a)は閉塞器25の非閉塞状態を示し、(b)は閉塞器25の閉塞状態を示している。
【0053】
図9の(a)に示すように、閉塞器25は、閉塞器本体250及び一対の閉塞体251を有している。閉塞器本体250は、図示しない支持部材に固定されている。一対の閉塞体251は、それら一対の閉塞体251の間に排出路22が位置するように閉塞器本体250内に配置されている。
図9の(b)に示すように、一対の閉塞体251は、図示しないアクチュエータの駆動力により互いに近づく方向に変位されて排出路22を閉塞できるように構成されている。閉塞体251は、排出路22の屈曲部220の下流側に配置されている。
【0054】
図9の(a)に示すように、排出路22が屈曲部220を有するとき、排出路22に循環用洗浄液3a又は洗浄液の新液40aが通されても、屈曲部220の内壁上部に塗工液1aが残る虞がある。
図9の(b)に示すように排出路22の屈曲部220の下流側で閉塞体251が排出路22を閉塞することにより、屈曲部220の上部にも循環用洗浄液3a又は洗浄液の新液40aが満たされて、屈曲部220の内壁上部に塗工液1aが残る虞が低減される。なお、
図9では一対の閉塞体251の両方が互いに近づく方向に変位されるように示しているが、一対の閉塞体251の一方のみが他方に向けて変位されて、一対の閉塞体251が互いに近づけられてもよい。
【0055】
次に、サイドノズル44について説明する。
図10は、
図1のサイドノズル44を示す斜視図である。サイドノズル44は、塗工ユニット23のロール体231の両側部に向けて洗浄液の新液40aを噴射するノズルである。洗浄液の新液40aが噴射されるロール体231の両側部には、周面側端部231aと軸端面231bとが含まれ得る。上述のように循環用洗浄液3aが主流路2で循環されても、ロール体231の両側部に塗工液1aが残る場合がある。サイドノズル44からロール体231の両側部に洗浄液の新液40aが噴射されることで、ロール体231の両側部に塗工液1aが残る虞を低減できる。
【0056】
次に、端部洗浄装置45について説明する。
図11は、
図1の端部洗浄装置45を示す説明図である。
図11に示すように、端部洗浄装置45は、筐体450及び複数の噴射ノズル451を有している。筐体450には、洗浄される吸上ノズル20a及び排出ノズル20bが進入される。複数の噴射ノズル451は、筐体450の内部に進入した吸上ノズル20a及び排出ノズル20bの外周に位置するように筐体450の内部に配置されている。筐体450の内部に進入した吸上ノズル20a及び排出ノズル20bの外面に向けて各噴射ノズル451から洗浄液の新液40aが噴射されることで、吸上ノズル20a及び排出ノズル20bの洗浄が行われる。このとき、噴射ノズル451か、又は吸上ノズル20a及び排出ノズル20bを上下動させることで、吸上ノズル20a及び排出ノズル20bの全体を洗浄し得る。各噴射ノズル451から噴射されて筐体450内に落ちた洗浄液の新液40aは、廃棄されるか又は循環用洗浄液タンク3に送られる。
【0057】
次に、制御装置5の制御動作について説明する。
図12は、
図1の制御装置5による動作モード決定動作を示すフローチャートである。
図12に示すように、制御装置5の電源が投入されると、制御装置5は、外部からの洗浄指令が入力されているか否を判定する(ステップS1)。制御装置5は、洗浄指令が入力されていなければ動作モードを塗工モードとし(ステップS2)、洗浄指令が入力されていれば動作モードを洗浄モードとする(ステップS3)。洗浄指令は、オペレータによって操作される操作スイッチ又は上位システムから制御装置5に入力され得る。この動作モード決定動作は、制御装置5の電源が投入されているときに繰り返し行われる。
【0058】
次に、
図13は、
図12の塗工モードにおける制御装置5の動作制御を示すフローチャートである。
図13に示すように、制御装置5は、塗工モードの動作制御を開始すると、塗工液タンク1の位置にノズルユニット20を変位し(ステップS20)、吸上ノズル20aの先端が塗工液タンク1内の塗工液1aに浸漬するようにノズルユニット20を降下させる(ステップS21)。その次に、制御装置5は、第1ポンプ24を駆動して(ステップS22)、主流路2及び塗工液タンク1で塗工液1aを循環させるとともに、ロール体231を回転駆動させて(ステップS23)、ロール体231を介する被塗工物への塗工液1aの塗工を行う。塗工液1aの循環を開始させてから所定時間が経過するまでは第1ポンプ24を第1速度(高速度)で駆動し、その所定時間が経過した後は第1ポンプ24を第1速度よりも遅い第2速度(低速度)で駆動することができる。この塗工モードにおける制御装置5の動作制御は、
図12の動作モード決定動作で動作モードが塗工モードとされているときに繰り返し行われる。
【0059】
次に、
図14は、
図12の洗浄モードにおける制御装置5の動作制御を示すフローチャートである。
図14に示すように、制御装置5は、洗浄モードの動作制御を開始すると、ドクターチャンバー230からの塗工液1aの排出を行う(ステップS30)。塗工液1aは、第1ポンプ24が逆駆動されることで供給路21を通してドクターチャンバー230から排出されるとともに、吸上ノズル20aを通して塗工液タンク1に戻される。また、排出路22内の塗工液1aは自重により排出ノズル20bから塗工液タンク1に落ちる。この排出動作では、第1ポンプ24が高速度で逆駆動されるとともに、吸上ノズル20aの先端が塗工液タンク1内の塗工液1aの液面よりも上方に位置するように、ノズルユニット20(吸上ノズル20a及び排出ノズル20b)が上昇される。
【0060】
塗工液1aの排出を開始してから所定時間が経過すると、制御装置5は、循環用洗浄液タンク3の位置にノズルユニット20を変位させるとともに(ステップS31)、循環用洗浄液3aの循環及びサイドノズル44からの洗浄液の新液40aの噴射を行う(ステップS32)。循環用洗浄液3aの循環は、循環用洗浄液タンク3内の循環用洗浄液3aに吸上ノズル20aの先端が浸漬されるようにノズルユニット20を降下させた後に、第1ポンプ24を駆動することで行われる。サイドノズル44からの洗浄液の新液40aの噴射は、流路制御機構42の動作制御により新液タンク40からの流路をサイドノズル44に連通させた後に第2ポンプ41が駆動されることで行われる。制御装置5は、循環用洗浄液3aの循環時に閉塞器25(
図9参照)による排出路22の閉塞及び開放を行い、排出路22の屈曲部220を洗浄する。
【0061】
循環用洗浄液3aの循環を開始してから所定時間が経過すると、制御装置5は、ドクターチャンバー230からの循環用洗浄液3aの排出を行う(ステップS33)。循環用洗浄液3aは、第1ポンプ24が逆駆動されることで供給路21を通してドクターチャンバー230から排出され、吸上ノズル20aを通して循環用洗浄液タンク3に戻される。また、排出路22内の循環用洗浄液3aは自重により排出ノズル20bから循環用洗浄液タンク3に落ちる。この排出動作では、吸上ノズル20aの先端が循環用洗浄液タンク3内の循環用洗浄液3aの液面よりも上方に位置するように、ノズルユニット20が上昇されるとともに、第1ポンプ24が高速度で逆駆動される。
【0062】
循環用洗浄液3aの排出を開始してから所定時間が経過すると、制御装置5は、洗浄ノズル群43(複数のチャンバー内洗浄ノズル430及び複数のロール洗浄ノズル431:
図2〜
図7参照)からの洗浄液の新液40aの噴射を行う(ステップS34)。洗浄ノズル群43からの洗浄液の新液40aの噴射は、流路制御機構42の動作制御により新液タンク40からの流路を洗浄ノズル群43に連通させた後に第2ポンプ41が駆動されることで行われる。チャンバー内洗浄ノズル430からの噴射及びロール洗浄ノズル431からの噴射は同時に実施され得る。
【0063】
洗浄ノズル群43からの噴射を開始してから所定時間が経過すると、制御装置5は、ドクターチャンバー230からの洗浄液の新液40aの排出を行う(ステップS35)。洗浄液の新液40aは、第1ポンプ24が逆駆動されることで供給路21を通してドクターチャンバー230から排出されて、吸上ノズル20aを通して循環用洗浄液タンク3に送られる。また、排出路22内の洗浄液の新液40aは自重により排出ノズル20bから循環用洗浄液タンク3に落ちる。
【0064】
洗浄液の新液40aの排出を開始してから所定時間が経過すると、制御装置5は、供給路21の開放を実施する(ステップS36)。すなわち、
図8の(b)に示すように、可動ハウジング243を回転体241から遠ざけて、供給路21の折返部212の狭窄を解除する。このとき、供給路21内の洗浄液の新液40aが自重により吸上ノズル20aから循環用洗浄液タンク3に落ち、折返部212の狭窄部分に洗浄液の新液40aが残ることが回避される。
【0065】
供給路21の開放を開始してから所定時間が経過すると、制御装置5は、端部洗浄装置45(
図11)の位置にノズルユニット20を変位させるとともに(ステップS37)、端部洗浄装置45による吸上ノズル20a及び排出ノズル20b(供給路21及び排出路22の端部)の洗浄を実施する(ステップS38)。すなわち、制御装置5は、筐体450内に吸上ノズル20a及び排出ノズル20bを進入させるとともに、噴射ノズル451か又は吸上ノズル20a及び排出ノズル20bを上下動させながら各噴射ノズル451から洗浄液を噴射させて、吸上ノズル20a及び排出ノズル20bの洗浄を実施する。この吸上ノズル20a及び排出ノズル20bの洗浄が所定時間実施された後に、洗浄モードにおける制御装置5の動作制御が終了される。
【0066】
このようなドクターチャンバーコーターでは、主流路2から既存の塗工液1aを排出し、主流路2に洗浄液を供給するとともに、端部洗浄装置45により吸上ノズル20a(供給路21の端部)の外面を洗浄するので、交換の前後で塗工液1aが混ざる虞を低減できるとともに、塗工液1aの交換に要する時間を短縮できる。
【0067】
また、主流路2に洗浄液を供給することには、主流路2に循環用洗浄液3aを循環させた後に、主流路2に洗浄液の新液40aを供給することが含まれているので、洗浄液の新液40aの使用量を抑えることができ、塗工材の製造コストを低減できる。また、端部洗浄装置45による吸上ノズル20a(供給路21の端部)の洗浄は循環用洗浄液3aの循環後に行われるので、洗浄後に吸上ノズル20aの外面に循環用洗浄液3aが残ることを回避でき、より確実に交換の前後で塗工液1aが混ざる虞を低減できる。
【0068】
さらに、制御装置5は、塗工液1aが溜められる塗工液タンク1の位置、循環用洗浄液3aが溜められる循環用洗浄液タンク3の位置、及び端部洗浄装置45の位置に吸上ノズル20a(供給路21の端部)を変位させるので、より確実に交換の前後で塗工液1aが混ざる虞を低減できるとともに、より確実に塗工液1aの交換に要する時間を短縮できる。
【0069】
さらにまた、排出ノズル20b(排出路22の端部)が吸上ノズル20a(供給路21の端部)と一体に変位可能に設けられており、端部洗浄装置45が排出ノズル20bをさらに洗浄するので、より確実に交換の前後で塗工液1aが混ざる虞を低減できるとともに、より確実に塗工液1aの交換に要する時間を短縮できる。
【0070】
また、端部洗浄装置45は、筐体450と、筐体450の内部に配置され、筐体450の内部に進入された吸上ノズル20a(供給路21の端部)及び排出ノズル20b(排出路22の端部)の外面に洗浄液を噴射する噴射ノズル451とを含むので、吸上ノズル20a(供給路21の端部)及び排出ノズル20b(排出路22の端部)の外面をより確実に洗浄できる。