(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記保持炉内に溶湯が有る場合であって、前記取鍋内の湯面レベルより前記保持炉内の湯面レベルが低い場合において、前記取鍋から前記保持炉に溶湯を補給することを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の溶湯補給方法。
前記保持炉内に溶湯が有る場合であって、前記取鍋内の湯面レベルと前記保持炉内の湯面レベルが同じ場合において、前記取鍋から前記保持炉に溶湯を補給することを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の溶湯補給方法。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として、例えば特許文献1の第1図に示す先行技術が開示されている。
【0003】
この技術における注湯炉の主要構成は貯湯容器(取鍋に相当する)とこの貯湯容器に隣接する受湯容器(保持炉に相当する)とこの両者を接続するサイフォンとからなる。
【0004】
貯湯容器は耐圧容器に収納される。この耐圧容器はガスケットを介してカバーで密閉され、このカバーに接続した弁と圧力配管を介して加圧装置が接続され、加圧されたり、大気に開放されたりできる。カバーを開いて溶湯の材料を投入したり、他のるつぼ形誘導炉から溶湯をチャージしたりする。
【0005】
このような貯湯容器に隣接して配置される受湯容器は、底部に出湯ノズル、上方に保温カバーを設けてタンディッシュを形成する。
【0006】
サイフォンを逆U字状に形成するため、両端を閉じた水平な管でサイフォンの上端空間を形成しこの上端空間に連通して一対の垂直な2本の管(1本は貯湯容器に連通し、他の1本は受湯容器に連通している)を前記水平な管の両端部にコ字状に接続する。このように形成されたサイフォンの一端である管(受湯容器に連通している)の下端を受湯容器の底部、他端である管(貯湯容器に連通している)の下端を貯湯容器の底部にそれぞれ開口する。そして上端空間は弁と真空配管を介して真空発生装置に接続され、真空力が加えられたり、大気に開放されたりできる。
【0007】
この先行技術のような構造の注湯炉の運転方法について説明する。
【0008】
始めに、受湯容器内に溶湯がなく、サイフォンが大気に開放されたりしていわゆるサイフォンが成立してないために真空力を利用することができない初期状態を考える。この時、最大許容圧力の範囲内の圧力を貯湯容器に印加すると、溶湯は管(貯湯容器に連通している)をサイフォンの峰(上端空間の下端)まで上昇し、管(受湯容器に連通している)を落下して受湯容器に流出する。そして、受湯容器内に管(受湯容器に連通している)の下端を閉じる以上で充分な溶湯を流出させればよい。
【0009】
次に受湯容器に充分な溶湯があって、サイフォンの一端、管(受湯容器に連通している)の下端が溶湯で大気から閉塞されているいわゆるサイフォンが成立している時に上端空間に真空力を作用させ、必要により貯湯容器に加圧力を加圧すれば、サイフォン作用で溶湯は貯湯容器から受湯容器へ流出する。溶湯の移送高さに対し、サイフォンを利用して加圧力のほかに真空力も利用できるのである。
【0010】
前記の運転方法の細部について説明する。
【0011】
まず、サイフォンが成立していないで加圧力のみで溶湯を移送してサイフォンを成立させ、その後に真空力を作用させると、受湯容器内の溶湯が管(受湯容器に連通している)で吸い上げられて上昇して受湯容器内の溶湯レベルが降下する。もし管(受湯容器に連通している)の下端まで降下するとサイフォンが切れるので、受湯容器内には予め、印加する真空力に応じた溶湯レベルが必要である。これは印加真空力に対し、受湯容器及び管(受湯容器に連通している)の水平断面とから容易に算出できる。また初期状態からサイフォンを成立させるために加圧力のみで溶湯を移送する時にも、受湯容器の出湯ノズルから溶湯の出湯がある時には、その分充分な溶湯の量の値は増加するし、運転は速かでなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上述した先行技術においては、貯湯容器(取鍋に相当する)が耐圧容器に収納されており、この耐圧容器はガスケットを介してカバーで密閉され、このカバーには圧力配管と弁を介して加圧装置が接続されている。そのため、一般的に使用される取鍋(貯湯容器)を利用する場合には、カバーや加圧装置等を取付けるといった、取鍋の改造が必要になる、という課題がある。
【0014】
また、上述した先行技術においては、貯湯容器(取鍋に相当する)に、溶湯の材料を投入したり、溶湯をチャージしたりする場合には、カバーを開く必要がある。そのため、取鍋への溶湯の材料の投入あるいは溶湯のチャージ、脱ガス及び精錬処理の工程において、カバーを開くための作業時間が必要になる、という課題がある。
【0015】
さらに、上述した先行技術においては、貯湯容器(取鍋に相当する)に接続された加圧装置と、サイフォン作用と、サイフォンの上端空間に接続された真空発生装置と、を利用している。したがって、受湯容器(保持炉に相当する)への溶湯の補給量の調整が困難である。そのため、保持炉に輸送する溶湯の補給量が安定しない、という課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
請求項1に記載の発明は、
取鍋から保持炉に溶湯を補給する溶湯補給装置において、
取鍋から溶湯保持容器に溶湯を輸送する吸引管と、
溶湯保持容器から保持炉に溶湯を輸送する注湯管と、
溶湯保持容器と吸引管の通路を開閉する吸引弁と、
溶湯保持容器と注湯管の通路を開閉する注湯弁と、
取鍋あるいは保持炉から溶湯保持容器に溶湯を吸引するための真空装置と、
を備え、
さらに、
溶湯保持容器から保持炉に溶湯を輸送するための加圧装置と、
溶湯保持容器の中に保持された溶湯のレベルを検知する第1の湯面センサと、
溶湯保持容器と吸引管の接続部に、吸引管内に残留した溶湯を取鍋に戻すために、フィルタを介して不活性ガスを溶湯保持容器と吸引管の接続部内に導入する第1の不活性ガス導入部と、
溶湯保持容器と注湯管の接続部に、注湯管内に残留した溶湯を保持炉に輸送するために、フィルタを介して不活性ガスを溶湯保持容器と注湯管の接続部内に導入する第2の不活性ガス導入部と、
保持炉内に補給される溶湯のレベルを検知する第2の湯面センサと、
を備え、
取鍋から保持炉に溶湯を補給することを特徴とする溶湯補給装置である。
【0018】
請求項
2に記載の発明は、
請求項
1に記載の発明において、
前記溶湯保持容器及び前記吸引管及び前記注湯管のそれぞれに、ヒータを備えたことを特徴とする溶湯補給装置である。
【0019】
請求項
3に記載の発明は、
請求項
1に記載の発明において、
前記取鍋が溶解炉であることを特徴とする溶湯補給装置である。
【0020】
請求項
4に記載の発明は、
取鍋から保持炉に溶湯を補給する溶湯補給装置を具備した溶湯補給方法において、
取鍋から溶湯保持容器に溶湯を輸送する吸引管と、
溶湯保持容器から保持炉に溶湯を輸送する注湯管と、
溶湯保持容器と吸引管の通路を開閉する吸引弁と、
溶湯保持容器と注湯管の通路を開閉する注湯弁と、
取鍋あるいは保持炉から溶湯保持容器に溶湯を吸引するための真空装置と、
を備え、
さらに、
溶湯保持容器から保持炉に溶湯を輸送するための加圧装置と、
溶湯保持容器の中に保持された溶湯のレベルを検知する第1の湯面センサと、
溶湯保持容器と吸引管の接続部に、吸引管内に残留した溶湯を取鍋に戻すために、フィルタを介して不活性ガスを溶湯保持容器と吸引管の接続部内に導入する第1の不活性ガス導入部と、
溶湯保持容器と注湯管の接続部に、注湯管内に残留した溶湯を保持炉に輸送するために、フィルタを介して不活性ガスを溶湯保持容器と注湯管の接続部内に導入する第2の不活性ガス導入部と、
保持炉内に補給される溶湯のレベルを検知する第2の湯面センサと、
を備え、
取鍋から保持炉に溶湯を補給することを特徴とする溶湯補給方法である。
【0022】
請求項
5に記載の発明は、
請求項
4に記載の発明において、
前記溶湯保持容器及び前記吸引管及び前記注湯管のそれぞれに、ヒータを備えたことを特徴とする溶湯補給方法である。
【0023】
請求項
6に記載の発明は、
請求項
4に記載の発明において、
前記取鍋が溶解炉であることを特徴とする溶湯補給方法である。
【0024】
請求項
7に記載の発明は、
請求項
4〜
6に記載の発明のいずれか1項の発明において、
前記保持炉内に溶湯が無い場合において、前記取鍋から前記保持炉に溶湯を補給することを特徴とする溶湯補給方法である。
【0025】
請求項
8に記載の発明は、
請求項
4〜
6に記載の発明のいずれか1項の発明において、
前記保持炉内に溶湯が有る場合であって、前記取鍋内の湯面レベルより前記保持炉内の湯面レベルが低い場合において、前記取鍋から前記保持炉に溶湯を補給することを特徴とする溶湯補給方法である。
【0026】
請求項
9に記載の発明は、
請求項
4〜
6に記載の発明のいずれか1項の発明において、
前記保持炉内に溶湯が有る場合であって、前記取鍋内の湯面レベルと前記保持炉内の湯面レベルが同じ場合において、前記取鍋から前記保持炉に溶湯を補給することを特徴とする溶湯補給方法である。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、溶湯補給装置を構成している真空装置や加圧装置等の各部品は、溶湯保持容器に取付けられており、溶湯保持容器からは、吸引管と注湯管の二つの部品のみが、それぞれ取鍋と保持炉に連通している。したがって、取鍋にカバーや加圧装置等を取付けるといった、取鍋の改造が不要であり、一般的に使用される取鍋を、改造せずに、そのまま容易に利用することが可能となる、という効果がある。
【0028】
また、本発明によれば、一般的に使用される取鍋を、改造せずに、そのまま容易に利用することができるため、取鍋への溶湯の材料の投入あるいは溶湯のチャージ、脱ガス及び精錬処理の工程において、カバーを開くための作業時間が不要になり、作業時間の短縮が可能となる、という効果がある。
【0029】
また、本発明によれば、保持炉内に補給される溶湯のレベルを検知する第2の湯面センサにより、保持炉内の湯面の高さを検知したら、注湯弁により溶湯保持容器と注湯管の通路を閉めるため、注湯管内に残留した溶湯だけが保持炉内に補給される。そのため、保持炉内への溶湯の補給量の調整が容易であり、溶湯の補給量が安定した輸送が可能となる、という効果がある。
【0030】
さらに、本発明によれば、
溶湯保持容器と吸引管の接続部に、吸引管内に残留した溶湯を取鍋に戻すために、フィルタを介して不活性ガスを溶湯保持容器と吸引管の接続部内に導入する第1の不活性ガス導入部と、
溶湯保持容器と注湯管の接続部に、注湯管内に残留した溶湯を保持炉に輸送するために、フィルタを介して不活性ガスを溶湯保持容器と注湯管の接続部内に導入する第2の不活性ガス導入部と、
を備えている。
したがって、吸引管内あるいは注湯管内に残留した溶湯を不活性ガスによって、取鍋あるいは保持炉に直ちに移送することができる。そのため、吸引管内あるいは注湯管内に残留した溶湯が凝固するのを防止することが可能となる、という効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明をより詳細に説明するために、以下、本発明を実施するための形態を、好適な例を挙げて、適宜図面を用いて説明する。
ここでは、例えばダイカストマシン(図示せず)において、取鍋と保持炉を設置した場合の、溶湯補給装置を備えた一態様について、
図1を用いて説明する。
【0033】
図1に示すように、溶湯補給装置1は、取鍋2と保持炉3の間を連通するように配置されており、取鍋2から保持炉3に溶湯4を輸送する装置である。
【0034】
溶湯補給装置1本体の構成は、
(1)取鍋2から溶湯保持容器11に溶湯4を輸送する吸引管12
(2)溶湯保持容器11から保持炉3に溶湯4を輸送する注湯管13
(3)溶湯保持容器11と吸引管12の通路を開閉する吸引弁14
(4)溶湯保持容器11と注湯管13の通路を開閉する注湯弁15
(5)取鍋2あるいは保持炉3から溶湯保持容器11に溶湯4を吸引するための真空装置16
(6)溶湯保持容器11から保持炉3に溶湯4を輸送するための加圧装置17
(7)溶湯保持容器11の中に保持された溶湯4のレベルを検知する第1の湯面センサ18
(8)溶湯保持容器11と吸引管12の接続部に、吸引管12内に残留した溶湯4を取鍋2に戻すために、フィルタを介して不活性ガスを溶湯保持容器11と吸引管12の接続部内に導入する第1の不活性ガス導入部19
(9)溶湯保持容器11と注湯管13の接続部に、注湯管13内に残留した溶湯4を保持炉3に輸送するために、フィルタを介して不活性ガスを溶湯保持容器11と注湯管13の接続部内に導入する第2の不活性ガス導入部20
(10)保持炉3内に補給される溶湯4のレベルを検知する第2の湯面センサ21
から成っている。
【0035】
吸引弁14と注湯弁15は、例えば、電磁弁の切換えを利用して、シリンダを駆動させ、上下方向に沿って進退可能となっており、それぞれ吸引管12と注湯管13の上側開口端を開閉させるようになっている。
なお、吸引弁14と注湯弁15の進退駆動については、それぞれ吸引管12と注湯管13の上側開口端を開閉させることが可能であれば、適宜、好適な機構を選定することができる。
【0036】
第1の不活性ガス導入部19と第2の不活性ガス導入部20には、溶湯4は通過させず、不活性ガスのみを通過させる、フィルタが備えられている。
フィルタとしては、例えば、セラミック又は対溶損性の高い金属から成る多孔質フィルタ、無数の穴が施された焼結フィルタ、等を使用する。フィルタの隙間、穴径等については、0.01〜0.1mm程度が好ましい。
なお、フィルタの種類については、溶湯4は通過させず、不活性ガスのみを通過させることが可能であれば、適宜、好適なものを選定することができる。
【0037】
溶湯保持容器11及び吸引管12及び注湯管13は、溶湯保持容器11内及び吸引管12内及び注湯管13内の溶湯4の温度の低下を抑制する目的で、
それぞれにヒータ(図示せず)を備えている。
なお、ヒータの種類については、溶湯保持容器11内の溶湯4の温度の低下を抑制することが可能であれば、適宜、好適なものを選定することができる。
また、溶湯保持容器11には、溶湯保持容器11内の溶湯4の温度を検知するために、温度センサを設置することが好ましい。
なお、温度センサの種類については、溶湯保持容器11内の溶湯4の温度を検知することが可能であれば、適宜、好適なものを選定することができる。
【0038】
取鍋2については、溶湯4の材料(インゴットなど)を加熱して溶かすための溶解炉を使用することも可能である。
なお、溶解炉の種類については、溶湯4の材料(インゴットなど)を加熱して溶かすことが可能であれば、適宜、好適なものを選定することができる。
【0039】
溶湯補給装置1によれば、溶湯補給装置1を構成している真空装置16や加圧装置17等の各部品は、溶湯保持容器11に取付けられており、溶湯保持容器11からは、吸引管12と注湯管13の二つの部品のみが、それぞれ取鍋2と保持炉3に連通している。したがって、取鍋2にカバーや加圧装置17等を取付けるといった、取鍋の改造が不要であり、一般的に使用される取鍋を、改造せずに、そのまま容易に利用することが可能となる、という作用効果がある。
【0040】
また、溶湯補給装置1によれば、一般的に使用される取鍋を、改造せずに、そのまま容易に利用することができるため、取鍋2への溶湯の材料の投入あるいは溶湯のチャージ、脱ガス及び精錬処理の工程において、カバーを開くための作業時間が不要になり、作業時間の短縮が可能となる、という作用効果がある。
【0041】
<第1の実施形態>
以下、本発明の第1の実施形態を図に基づいて説明する。
図2は、
図1にて説明した溶湯補給装置1を適用しており、保持炉3内に溶湯4が無い場合において、取鍋2から保持炉3に溶湯4を補給する際の溶湯補給方法の詳細を説明する図である。
【0042】
図2において、溶湯補給装置1により、取鍋2から保持炉3に溶湯4を補給する工程については、(a)、(b)、(c)、(d)、(e)の順番で、順に移行するようになっている。
【0043】
図2(a)は、溶湯補給装置1の初期状態の工程を示しており、吸引弁14は開き、注湯弁15は閉じ、の状態になっている。この工程では、取鍋2内の溶湯4を溶湯保持容器11内に輸送するための準備をする。
【0044】
次に、吸引弁14は開き、注湯弁15は閉じ、の状態を保持して、
図2(b)に示す真空吸引の工程に移行する。この工程では、真空装置16が駆動され、溶湯保持容器11内を真空吸引する。そのため、取鍋2内の溶湯4が、吸引管12を介して溶湯保持容器11内に輸送される。
【0045】
溶湯保持容器11内に輸送される溶湯4の湯面レベルは徐々に上昇し、第1の湯面センサ18によって、湯面が検知されると、
図2(c)に示す溶湯戻しの工程に移行する。この工程では、吸引弁14は閉じ、注湯弁15は閉じ、の状態になり、溶湯保持容器11内に一定量の溶湯4が保持される。
【0046】
図2(c)に示す溶湯戻しの工程では、第1の不活性ガス導入部19において、溶湯保持容器11と吸引管12の接続部内に不活性ガスが導入される。そのため、吸引管12内に残留した溶湯4は、取鍋2に戻される。
【0047】
次に、
図2(d)に示す加圧補給の工程に移行する。この工程では、吸引弁14は閉じ、注湯弁15は開き、の状態になり、加圧装置17が駆動され、溶湯保持容器11内を加圧する。そのため、溶湯保持容器11内の溶湯4が、注湯管13を介して保持炉3に輸送される。
ここでは、加圧装置17が駆動されることを例に挙げて説明しているが、溶湯保持容器11内を大気に開放することによって、溶湯保持容器11内の溶湯4を、注湯管13を介して保持炉3に輸送することも可能である。
【0048】
溶湯保持容器11内及び注湯管13内の溶湯4が、全て保持炉3に輸送されると、
図2(e)に示す補給完了の工程に移行する。この工程では、吸引弁14は開き、注湯弁15は閉じ、の状態になり、溶湯補給装置1は、次の溶湯補給動作の待機をする。
【0049】
<第2の実施形態>
以下、本発明の第2の実施形態を図に基づいて説明する。
図3は、
図1にて説明した溶湯補給装置1を適用しており、保持炉3内に溶湯4が有る場合であって、取鍋2内の湯面レベルより保持炉3内の湯面レベルが低い場合において、取鍋2から保持炉3に溶湯4を補給する際の溶湯補給方法の詳細を説明する図である。
【0050】
図3において、溶湯補給装置1により、取鍋2から保持炉3に溶湯4を補給する工程については、(a)、(b)、(c)、(d)の順番で、順に移行するようになっている。
【0051】
図3(a)は、溶湯補給装置1の初期状態の工程を示しており、吸引弁14は開き、注湯弁15は閉じ、の状態になっている。この工程では、取鍋2内の溶湯4を溶湯保持容器11内に輸送するための準備をする。
【0052】
次に、吸引弁14は開き、注湯弁15は開き、の状態になり、
図3(b)に示す真空吸引の工程に移行する。この工程では、真空装置16が駆動され、溶湯保持容器11内を真空吸引する。そのため、取鍋2内の溶湯4と保持炉3内の溶湯4が、それぞれ吸引管12と注湯管13を介して溶湯保持容器11内に輸送される。
【0053】
その結果として、取鍋2側と保持炉3側のそれぞれから溶湯保持容器11内に輸送される溶湯4は、溶湯保持容器11内で合流し、取鍋2内の溶湯4と保持炉3内の溶湯4が連通した状態になる。この状態になると、サイフォンの原理により、湯面レベルが高い取鍋2側から、湯面レベルが低い保持炉3側に、溶湯4が輸送される。
【0054】
なお、溶湯補給装置1は、サイフォンの原理による溶湯4の輸送の間、真空装置16の駆動によって、溶湯保持容器11内の湯面レベルは徐々に上昇するが、第1の湯面センサ18によって、湯面が検知されると、真空装置16の駆動を制御し、それ以上の湯面レベルの上昇を抑制するように構成されている。
【0055】
サイフォンの原理によって、保持炉3内に輸送される溶湯4の湯面レベルは徐々に上昇し、第2の湯面センサ21によって、湯面が検知されると、
図3(c)に示す給湯完了の工程に移行する。この工程では、吸引弁14は開き、注湯弁15は閉じ、の状態になる。
【0056】
次に、吸引弁14は開き、注湯弁15は閉じ、の状態を保持して、
図3(d)に示す溶湯戻しの工程に移行する。この工程では、加圧装置17が駆動され、溶湯保持容器11内を加圧する。そのため、溶湯保持容器11内の溶湯4が、吸引管12を介して取鍋2に輸送される。
ここでは、加圧装置17が駆動されることを例に挙げて説明しているが、溶湯保持容器11内を大気に開放することによって、溶湯保持容器11内の溶湯4を、吸引管12を介して取鍋2に輸送することも可能である。
【0057】
図3(d)に示す溶湯戻しの工程では、第2の不活性ガス導入部20において、溶湯保持容器11と注湯管13の接続部内に不活性ガスが導入される。そのため、注湯管13内に残留した溶湯4は、保持炉3に輸送される。
【0058】
不活性ガスによる保持炉3への、注湯管13内に残留した溶湯4の輸送を終えると、補給完了となり、溶湯補給装置1は、次の溶湯補給動作の待機をする。
【0059】
<第3の実施形態>
以下、本発明の第3の実施形態を図に基づいて説明する。
図4は、
図1にて説明した溶湯補給装置1を適用しており、保持炉3内に溶湯4が有る場合であって、取鍋2内の湯面レベルと保持炉3内の湯面レベルが同じ場合において、取鍋2から保持炉3に溶湯4を補給する際の溶湯補給方法の詳細を説明する図である。
【0060】
図4において、溶湯補給装置1により、取鍋2から保持炉3に溶湯4を補給する工程については、(a)、(b)、(c)、(d)、(e)の順番で、順に移行するようになっている。
【0061】
図4(a)は、溶湯補給装置1の初期状態の工程を示しており、吸引弁14は開き、注湯弁15は閉じ、の状態になっている。この工程では、取鍋2内の溶湯4を溶湯保持容器11内に輸送するための準備をする。
【0062】
次に、吸引弁14は開き、注湯弁15は閉じ、の状態を保持して、
図4(b)に示す真空吸引の工程に移行する。この工程では、真空装置16が駆動され、溶湯保持容器11内を真空吸引する。そのため、取鍋2内の溶湯4が、吸引管12を介して溶湯保持容器11内に輸送される。
【0063】
溶湯保持容器11内に輸送される溶湯4の湯面レベルは徐々に上昇し、第1の湯面センサ18によって、湯面が検知されると、
図4(c)に示す溶湯戻しの工程に移行する。この工程では、吸引弁14は閉じ、注湯弁15は閉じ、の状態になり、溶湯保持容器11内に一定量の溶湯4が保持される。
【0064】
図4(c)に示す溶湯戻しの工程では、第1の不活性ガス導入部19において、溶湯保持容器11と吸引管12の接続部内に不活性ガスが導入される。そのため、吸引管12内に残留した溶湯4は、取鍋2に戻される。
【0065】
次に、
図4(d)に示す加圧補給の工程に移行する。この工程では、吸引弁14は閉じ、注湯弁15は開き、の状態になり、加圧装置17が駆動され、溶湯保持容器11内を加圧する。そのため、溶湯保持容器11内の溶湯4が、注湯管13を介して保持炉3に輸送される。
ここでは、加圧装置17が駆動されることを例に挙げて説明しているが、溶湯保持容器11内を大気に開放することによって、溶湯保持容器11内の溶湯4を、注湯管13を介して保持炉3に輸送することも可能である。
【0066】
溶湯保持容器11内及び注湯管13内の溶湯4が、全て保持炉3に輸送されると、
図4(e)に示す補給完了の工程に移行する。この工程では、吸引弁14は開き、注湯弁15は閉じ、の状態になり、溶湯補給装置1は、次の溶湯補給動作の待機をする。
【0067】
以上、第1の実施形態、第2の実施形態、第3の実施形態について説明したが、取鍋2内の溶湯4の湯面レベルと保持炉3内の溶湯4の湯面レベルの高さの関係に応じて、第1の実施形態、第2の実施形態、第3の実施形態の中から、適宜、好適な溶湯補給方法を選択すれば良い。
【0068】
なお、第1の実施形態、第2の実施形態、第3の実施形態の、どの実施形態の場合においても、保持炉3内に輸送される溶湯4の湯面レベルが徐々に上昇し、第2の湯面センサ21によって、湯面が検知されると、給湯補給完了となる。
【0069】
ここでは、保持炉3内に溶湯4が有る場合であって、取鍋2内の湯面レベルより保持炉3内の湯面レベルが高い場合において、取鍋2から保持炉3に溶湯4を補給する際の溶湯補給方法の詳細な説明は省略した。この場合は、第3の実施形態による溶湯補給方法を選択すれば良い。
【0070】
第1の実施形態、第2の実施形態、第3の実施形態によれば、保持炉3内に補給される溶湯4のレベルを検知する第2の湯面センサ21により、保持炉3内の湯面の高さを検知したら、注湯弁15により溶湯保持容器11と注湯管13の通路を閉めるため、注湯管13内に残留した溶湯4だけが保持炉3内に補給される。そのため、保持炉3内への溶湯4の補給量の調整が容易であり、溶湯の補給量が安定した輸送が可能となる、という作用効果がある。
【0071】
また、第1の実施形態、第2の実施形態、第3の実施形態によれば、
溶湯保持容器11と吸引管12の接続部に、吸引管12内に残留した溶湯4を取鍋2に戻すために、フィルタを介して不活性ガスを溶湯保持容器11と吸引管12の接続部内に導入する第1の不活性ガス導入部19と、
溶湯保持容器11と注湯管13の接続部に、注湯管13内に残留した溶湯4を保持炉3に輸送するために、フィルタを介して不活性ガスを溶湯保持容器11と注湯管13の接続部内に導入する第2の不活性ガス導入部20と、
を備えている。
したがって、吸引管12内あるいは注湯管13内に残留した溶湯4を不活性ガスによって、取鍋2あるいは保持炉3に直ちに移送することができる。そのため、吸引管12内あるいは注湯管13内に残留した溶湯が凝固するのを防止することが可能となる、という作用効果がある。
【0072】
第1の実施形態、第3の実施形態によれば、
加圧装置17、あるいは、大気開放による溶湯保持容器11内の加圧力を調整することにより、溶湯4の輸送速度を制御し、保持炉3内での溶湯4の泡立ちを抑えて、酸化物の発生を抑制することが可能となる、という作用効果がある。
【0073】
第2の実施形態によれば、
大気に直接晒されることなく、取鍋2から保持炉3に溶湯4を補給できるため、酸化物の発生を抑制することが可能となる、という作用効果がある。