特許第6973243号(P6973243)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6973243静電荷像現像用白色トナー及び画像形成方法
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  • 特許6973243-静電荷像現像用白色トナー及び画像形成方法 図000005
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6973243
(24)【登録日】2021年11月8日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】静電荷像現像用白色トナー及び画像形成方法
(51)【国際特許分類】
   G03G 9/09 20060101AFI20211111BHJP
   G03G 9/097 20060101ALI20211111BHJP
【FI】
   G03G9/09
   G03G9/097 372
   G03G9/097 365
【請求項の数】6
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2018-66858(P2018-66858)
(22)【出願日】2018年3月30日
(65)【公開番号】特開2018-185507(P2018-185507A)
(43)【公開日】2018年11月22日
【審査請求日】2020年12月17日
(31)【優先権主張番号】特願2017-87114(P2017-87114)
(32)【優先日】2017年4月26日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石川 美知昭
(72)【発明者】
【氏名】小鶴 浩之
【審査官】 川村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−045418(JP,A)
【文献】 特開2005−031223(JP,A)
【文献】 特開2010−060645(JP,A)
【文献】 特開2001−166659(JP,A)
【文献】 特開2010−054772(JP,A)
【文献】 特開2015−163950(JP,A)
【文献】 特開2008−292819(JP,A)
【文献】 特開2016−126132(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/055647(WO,A1)
【文献】 特開2017−90734(JP,A)
【文献】 特開2017−125928(JP,A)
【文献】 特開2005−258131(JP,A)
【文献】 特開2014−228763(JP,A)
【文献】 特開2009−134259(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 9/08−9/097
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
結着樹脂、白色着色剤及び離型剤を含むトナー母体粒子と、外添剤とからなるトナー粒子を含有する静電荷像現像用白色トナーであって、
前記外添剤として、体積基準のメジアン径が0.5〜1.5μmの範囲内である脂肪酸金属塩粒子を含有し、
前記トナー粒子の平均円形度が、0.870〜0.950の範囲内であることを特徴とする静電荷像現像用白色トナー。
【請求項2】
前記脂肪酸金属塩が、ステアリン酸亜鉛であることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用白色トナー。
【請求項3】
白色以外の有色の着色剤を含む静電荷像現像用有色トナーとともに、転写材上に中間転写体により一括転写され、更に一括定着される画像形成方法に使用されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の静電荷像現像用白色トナー。
【請求項4】
少なくとも帯電工程、潜像形成工程、現像工程、転写工程、定着工程及びクリーニング工程を有する画像形成方法であって、
前記転写工程は、
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用白色トナーと、白色以外の有色の着色剤を含む静電荷像現像用有色トナーとを中間転写体に1次転写する工程と、
前記中間転写体上に形成されたトナー像を転写材上に2次転写する工程と、
を有することを特徴とする画像形成方法。
【請求項5】
前記静電荷像現像用有色トナーに含有されるトナー母体粒子の平均円形度が、0.951〜0.990の範囲内であることを特徴とする請求項4に記載の画像形成方法。
【請求項6】
連続して搬送される前記転写材間の非画像形成領域に対応する前記中間転写体部分に前記静電荷像現像用白色トナーを転写し、
前記クリーニング工程において、前記静電荷像現像用白色トナーを回収するとともに、前記静電荷像現像用白色トナーを用いて前記中間転写体をクリーニングすることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の画像形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電荷像現像用白色トナー及び画像形成方法に関し、より詳しくは、高ストレスな状況下においても、長期にわたって極めて安定した高画質なフルカラー画像を提供可能とする静電荷像現像用白色トナー及び画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複写機やプリンターなど電子写真方式を使った装置で出力される画像の更なる高画質化、高安定化を目的として、小径の滑剤(脂肪酸金属塩粒子)を添加したトナーが知られるようになってきた(例えば、特許文献1及び2参照。)。
しかしながら、それら装置の更なる小型化に伴い、特に現像機はより小型化が進み、現像剤量も従来のものより少ない量で画像品質を満足させる必要がある。
【0003】
このような現像剤量が少ないプロセスでは、供給されるトナーを短時間に帯電させる必要があるため、従来よりも高ストレスでキャリアと混合させる必要があった。
この混合ストレス下では、上記特許文献に記載された現像剤ですら、トナー粒子表面から滑剤が外れてしまい、例えば、現像スリーブの長手方向に対し、奥側から現像剤が供給されるような現像機である場合、本来なら感光体表面の隅々まで均一にトナー粒子に保持された滑剤が供給されなければいけないが、トナー粒子から外れた滑剤が奥側ですぐに感光体上に転移してしまい、現像スリーブの手前側に現像剤が移動してくるときには滑剤が枯渇し、それが原因でクリーニング不良(スジ画像欠陥)となる種々の画像問題が発生していた。
【0004】
その一方で、多岐にわたる転写材への画像形成方法として、静電荷像現像用白色トナー(以下、単に白色トナーともいう。)の需要がある。
白色トナーにおいては、古くから結着樹脂に対し無機微粒子である酸化チタン粒子を用いた白色化が行われてきたが、平均円形度の小さい(平均円形度が0.950以下)トナー粒子を含有する白色トナーは、トナー粒子表面に白色着色剤が露出しやすく、トナーの流動性が悪化するという問題があった。
【0005】
また、他方で、従来のY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、Bk(ブラック)4色トナーに、更に白色トナーを加えた一括定着においては、そのトナー層がより厚くなることから、定着温度を上げることが余儀なくされるが、単純な定着温度上昇では、トナー層と定着ローラーとの界面だけの溶融が進むため、定着分離性の悪化を招く結果となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第5335330号公報
【特許文献2】特許第5335332号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、高ストレスな状況下においても、長期にわたって極めて安定した高画質なフルカラー画像を提供可能とする静電荷像現像用白色トナー及び画像形成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、外添剤として、体積基準のメジアン径が特定範囲内である脂肪酸金属塩粒子を含有し、トナー粒子の平均円形度が特定範囲内である静電荷像現像用白色トナーを用いることにより、高ストレスな状況下においても、長期にわたって極めて安定した高画質なフルカラー画像を提供可能とする静電荷像現像用白色トナー及び画像形成方法を提供できることを見出し、本発明に至った。
【0009】
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
【0010】
1.結着樹脂、白色着色剤及び離型剤を含むトナー母体粒子と、外添剤とからなるトナー粒子を含有する静電荷像現像用白色トナーであって、
前記外添剤として、体積基準のメジアン径が0.5〜1.5μmの範囲内である脂肪酸金属塩粒子を含有し、
前記トナー粒子の平均円形度が、0.870〜0.950の範囲内であることを特徴とする静電荷像現像用白色トナー。
【0011】
2.前記脂肪酸金属塩が、ステアリン酸亜鉛であることを特徴とする第1項に記載の静電荷像現像用白色トナー。
【0012】
3.白色以外の有色の着色剤を含む静電荷像現像用有色トナーとともに、転写材上に中間転写体により一括転写され、更に一括定着される画像形成方法に使用されることを特徴とする第1項又は第2項に記載の静電荷像現像用白色トナー。
【0013】
4.少なくとも帯電工程、潜像形成工程、現像工程、転写工程、定着工程及びクリーニング工程を有する画像形成方法であって、
前記転写工程は、
第1項から第3項までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用白色トナーと、白色以外の有色の着色剤を含む静電荷像現像用有色トナーとを中間転写体に1次転写する工程と、
前記中間転写体上に形成されたトナー像を転写材上に2次転写する工程と、
を有することを特徴とする画像形成方法。
【0014】
5.前記静電荷像現像用有色トナーに含有されるトナー母体粒子の平均円形度が、0.951〜0.990の範囲内であることを特徴とする第4項に記載の画像形成方法。
【0015】
6.連続して搬送される前記転写材間に対応する前記中間転写体の非画像形成領域に前記静電荷像現像用白色トナーを転写し、
前記クリーニング工程において、前記静電荷像現像用白色トナーを回収するとともに、前記静電荷像現像用白色トナーを用いて前記中間転写体をクリーニングすることを特徴とする第4項又は第5項に記載の画像形成方法。
【発明の効果】
【0016】
本発明の上記手段により、高ストレスな状況下においても、長期にわたって極めて安定した高画質なフルカラー画像を提供可能とする静電荷像現像用白色トナー及び画像形成方法を提供することができる。
【0017】
本発明の効果の発現機構・作用機構については明確になっていないが、以下のように推察している。
【0018】
本発明の静電荷像現像用白色トナーにおいては、トナー母体粒子表面の結着樹脂とワックス(離型剤)ドメインとの仕事関数差に起因する表面近傍の電界による滑剤捕獲効果に加え、滑剤の粒径が特定範囲内であることにより、滑剤が静電的にトナー粒子から脱離せず、現像スリーブの長手方向に対しより均一に滑剤を供給し、中間転写体や定着機までより安定に運ばれる。
これにより、高ストレス状況下の白色トナーでも、現像機で滑剤が脱離せず、中間転写体のクリーニングに絶大な効果を及ぼし、中間転写体上に生じたトナースペント起因の画像欠陥をなくすことができるものと考えられる。
【0019】
また、本発明においては、白色トナー特有の白色着色剤が露出して流動性が悪化するといった問題に対しても、小径滑剤を導入することで白色トナー母体粒子表面に小径滑剤が付着し、流動性悪化の原因となっていた白色着色剤を小径滑剤が被覆することによって、流動性が良好となり、現像剤が中間転写体、更には定着プロセスまで行きわたり、白色トナーの定着画像の分離性も向上させるものである。
すなわち、定着機まで小径滑剤が持ち込まれることで、白色を加えたトナー量の多い定着においても、溶融トナー母体粒子表面と定着ローラー(ベルト)との界面に小径滑剤が存在することにより、定着分離性を向上させることができるものと考えている。
【0020】
さらには、本発明の静電荷像現像用白色トナーは、安定したクリーニング手段として使用することができる。
これは、本発明の静電荷像現像用白色トナーが、滑剤が小径であることに加え、トナー粒子の平均円形度が小さいため、通常のクリーニング手段(ブレード)とともに、当該クリーニング手段に捕捉されたトナー粒子のエッジ部分で中間転写体上のトナースペント成分を削り取ることができ、これにより安定したクリーニングが行えるものと考えている。
【0021】
以上にように、本発明の静電荷像現像用白色トナーを採用することにより、白色の画像形成に加え、長期にわたって極めて安定した高画質を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】画像形成装置の一例としての構成を示す概略図
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の静電荷像現像用白色トナーは、外添剤として、体積基準のメジアン径が0.5〜1.5μmの範囲内である脂肪酸金属塩粒子を含有し、トナー粒子の平均円形度が0.870〜0.950の範囲内であることを特徴とする。この特徴は、下記各実施形態に係る発明に共通する技術的特徴である。
【0024】
本発明の実施態様としては、滑剤としての性能や静電的なトナー保持性の観点から、脂肪酸金属塩がステアリン酸亜鉛であることが好ましい。
【0025】
また、本発明の静電荷像現像用白色トナーは、白色以外の有色の着色剤を含む静電荷像現像用有色トナーとともに、転写材上に中間転写体により一括転写され、更に一括定着される画像形成方法に使用されることが好ましい。
【0026】
本発明は、少なくとも帯電工程、潜像形成工程、現像工程、転写工程、定着工程及びクリーニング工程を有する画像形成方法であって、転写工程は、上記静電荷像現像用白色トナーと、白色以外の有色の着色剤を含む静電荷像現像用有色トナーとを中間転写体に1次転写する工程と、中間転写体上に形成されたトナー像を転写材上に2次転写する工程と、を有する画像形成方法を提供することができる。
【0027】
また、静電荷像現像用有色トナーに含有されるトナー母体粒子の平均円形度は、帯電性の安定性、低温定着性の観点から、0.951〜0.990の範囲内であることが好ましい。
【0028】
また、長期にわたるクリーニングの安定性の観点から、連続して搬送される転写材間に対応する中間転写体の非画像形成領域に静電荷像現像用白色トナーを転写し、クリーニング工程において、静電荷像現像用白色トナーを回収するとともに、静電荷像現像用白色トナーを用いて中間転写体をクリーニングすることが好ましい。
【0029】
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、数値範囲を表す「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用している。
【0030】
《静電荷像現像用白色トナー》
本発明の静電荷像現像用白色トナーは、結着樹脂、白色着色剤及び離型剤を含むトナー母体粒子と、外添剤とからなるトナー粒子を含有し、外添剤として、体積基準のメジアン径が0.5〜1.5μmの範囲内である脂肪酸金属塩粒子を含有し、トナー粒子の平均円形度が0.870〜0.950の範囲内であることを特徴とする。
【0031】
なお、本発明において、トナーとはトナー粒子の集合体のことをいう。
【0032】
また、白色とは、白色トナーのみを転写材上に転写した場合において、その表面をJIS Z 8781−4:2013に準拠して測定した、CIEL表色系における明度Lが80以上であり、かつ、a、bがそれぞれ−10≦a≦10、−10≦b≦10の条件を満たす色である。
【0033】
(静電荷像現像用白色トナーにおけるトナー粒子の平均円形度)
静電荷像現像用白色トナーにおけるトナー粒子の平均円形度は、0.870〜0.950の範囲内である。平均円形度が0.870未満の異形レベルでは、滑剤の十分な保持性を得ることできず、簡単にトナー粒子から離脱してしまうため、偏りをともなった画像不良が生じてしまう。0.950より大きいと、トナー粒子がより球形に近くなるため、中間転写体などでのクリーニング効果が期待できなくなってしまう。
【0034】
以下に、トナー粒子(又はトナー母体粒子)の平均円形度の測定方法を示す。
まず、容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水10mLを用意する。その中に分散剤として界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸塩)を加えた後、更に測定試料を0.02g加え、均一に分散させる。
分散させる手段としては、超音波分散機「Tetora150型」(日科機バイオス社製)を用い、2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、該分散液の温度が40℃以上とならないように適宜冷却する。
【0035】
また、円形度のバラツキを抑えるため、フロー式粒子像分析装置FPIA−2100(シスメックス社製)の機内温度が26〜27℃の範囲内となるよう装置の設置環境を23℃±0.5℃にコントロールし、一定時間おきに、好ましくは2時間おきに2μmラテックス粒子を用いて自動焦点調整を行う。
トナー粒子の円形度測定には、上記フロー式粒子像分析装置を用い、測定時のトナー粒子濃度が3000〜1万個/μLとなるように該分散液濃度を再調整し、トナー粒子を1000個以上計測する。計測後、このデータを用いて、円相当径2μm未満のデータをカットして、トナー粒子の平均円形度を求める。
【0036】
白色トナーの円形度の制御は、結着樹脂の脆性の制御、及び、混練粉砕方式、特に粉砕方法の選択により、制御が可能である。
粉砕方法としては、衝突版型気流粉砕機(I式粉砕機)、高速回転ローター型粉砕機(ターボミル、クリプトロン)等が挙げられ、衝突板型気流粉砕機は円形度が低い方向、高速回転ローター型粉砕機は円形度が高くなる方向である。また、特に高速回転ローター型粉砕機では、粉砕部の温度の制御で円形度が変わり、温度が高いほど高い円形度となる。
【0037】
〈トナー母体粒子〉
本発明に係るトナー母体粒子は、結着樹脂、白色着色剤及び離型剤を含んでいる。
【0038】
(結着樹脂)
本発明に係る結着樹脂としては、例えば、ポリスチレン、ポリ−p−スチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン及びその置換体の単重合体、スチレン・p−クロルスチレン共重合体、スチレン・プロピレン共重合体、スチレン・ビニルトルエン共重合体、スチレン・アクリル酸メチル重合体、スチレン・アクリル酸エチル共重合体、スチレン・アクリル酸ブチル共重合体、スチレン・メタクリル酸メチル共重合体、スチレン・メタクリル酸エチル共重合体、スチレン・メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン・α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン・アクリロニトリル共重合体、スチレン・ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン・ビニルメチルケトン共重合体、スチレン・ブタジエン共重合体、スチレン・イソプレン共重合体、スチレン・マレイン酸共重合体、スチレン・マレイン酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられ、これらを単独あるいは混合して使用することができる。
【0039】
(白色着色剤)
本発明に係る白色着色剤としては、公知のものを適宜採用することができるが、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、アルミナ、炭酸カルシウム等が挙げられる。
また、市販のものも使用することができ、例えば、酸化チタンとして、石原産業(株)のET−500W、ET−300Wが挙げられる。
【0040】
(離型剤)
本発明に係るトナー母体粒子には、必須成分として離型剤が含有されている。
【0041】
離型剤としては、ワックスが好ましく用いられる。ワックスとしては、例えば、低分子量ポリエチレンワックス、低分子量ポリプロピレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックスのような炭化水素系ワックス類、カルナウバワックス、ペンタエリスリトールベヘン酸エステル、ベヘン酸ベヘニル、クエン酸ベヘニルなどのエステルワックス類、脂肪酸アミドなどが挙げられる。これらは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0042】
炭化水素系ワックスの好ましい市販品としては、例えば、「ビスコール660P」、「ビスコール550P」(以上、三洋化成工業社製)、「ポリエチレン6A」(アライドケミカル社製)、「ハイワックス400P」、「ハイワックス100P」、「ハイワックス200P」、「ハイワックス320P」、「ハイワックス220P」、「ハイワックス2203A」、「ハイワックス4202E」(以上、三井石油化学社製)、「ヘキストワックスPE520」、「へキストワックスPE130」、「ヘキストワックスPE190」(以上、ヘキストジャパン社製)等を挙げることができる。
【0043】
脂肪酸アミドとしては、アルキレンビス脂肪酸アミドが好ましく、特に融点が約100〜180℃の範囲内であるアルキレンビス脂肪酸アミドが好ましい。
このようなアルキレンビス脂肪酸アミドの好ましい市販品としては、例えば「ビスアマイド」、「ダイヤミツド200ビス」、「ルブロンO」(以上、日本水素工業社製)、「プラストフロー」(日東化学社製)、「アルフローH3O5」、「アルフローV−60」(以上、日本油脂社製)、「ヘキストワックスC」(ヘキストジャバン社製)、「ノブコワックス−22DS」(ノブコケミカル社製)、「アドバワックス−28Q」(アドバンス社製)、「カオーワックス−EB」(花王社製)、「バリシン−285」(ベーカーカスターオイル社製)等を挙げることができる。特に、「ヘキストワックスC」が好ましい。
【0044】
また、エステルワックス類としては、約30〜130℃の融点を有する脂肪酸エステル又はその部分ケン化物が好ましく、例えば、脂肪酸の多価アルコールエステル、脂肪酸の高級アルコールエステル、脂肪酸と多価アルコールとの部分エステル混合系エステル等を挙げることができる。特に、脂肪酸の高級アルコールエステルが好ましい。
【0045】
ワックスとしては、トナーの低温定着性及び離型性を確実に得る観点から、その融点が50〜150℃であるものを用いることが好ましい。ワックスの含有割合は、結着樹脂全量に対して2〜20質量%の範囲内であることが好ましく、より好ましくは3〜18質量%の範囲内、更に好ましくは4〜15質量%の範囲内である。
また、トナー粒子中におけるワックスの存在状態として、ドメインを形成することが離形性効果を発揮する上で好ましい。結着樹脂中にドメインを形成することで、それぞれの機能を発揮しやすくなる。
ワックスのドメイン径としては300nm〜2μmの範囲内が好ましい。この範囲であれば、十分に離形性の効果が得られ、小径滑剤を保持する能力も確保できる。
【0046】
〈外添剤〉
トナーとしての帯電性能や流動性、あるいはクリーニング性を向上させる観点から、トナー母体粒子の表面に公知の無機微粒子や有機微粒子などの粒子、滑剤を外添剤として添加することができる。これらの外添剤としては、種々のものを組み合わせて使用してもよい。
【0047】
滑剤は、クリーニング性や転写性を更に向上させる目的で使用されるものであって、滑剤としては、例えば、ステアリン酸の亜鉛、アルミニウム、銅、マグネシウム、カルシウムなどの塩、オレイン酸の亜鉛、マンガン、鉄、銅、マグネシウムなどの塩、パルミチン酸の亜鉛、銅、マグネシウム、カルシウムなどの塩、リノール酸の亜鉛、カルシウムなどの塩、リシノール酸の亜鉛、カルシウムなどの塩などの(高級)脂肪酸金属塩粒子が挙げられる。
【0048】
本発明においては、外添剤として、体積基準のメジアン径が0.5〜1.5μmの範囲内である脂肪酸金属塩粒子(滑剤)を含有することを特徴とする。これは、上記トナー母体粒子との物理的、静電的な保持性との関係から、上記した粒径範囲の滑剤を用いることで、本発明の効果を有効に発現し得るためである。脂肪酸金属塩粒子の体積基準のメジアン径が0.5μm未満の場合には、現像機の混合ストレスにより変形、融着し、キャリアや他の部材の表面を汚染してしまう。一方、脂肪酸金属塩粒子の体積基準のメジアン径が1.5μmよりも大きいと、トナー母体粒子との保持性が低下し、すぐに離れてしまい、偏りを伴った画像不良が生じてしまう。
脂肪酸金属塩粒子(滑剤)の体積基準のメジアン径(体積平均粒径)は、レーザー回折粒度測定装置SALD−2100(株式会社島津製作所製)を使用して測定することができる。
【0049】
上記体積基準のメジアン径を有する脂肪酸金属塩(粒子)としては、上記した各種(高級)脂肪酸金属塩(粒子)を用いることができるが、中でもステアリン酸金属塩が好ましく、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛等が挙げられるが、滑剤としての性能や、静電的なトナー保持性の観点から、ステアリン酸亜鉛が特に好ましい。
【0050】
上記体積基準のメジアン径の脂肪酸金属塩粒子(滑剤)の含有量としては、トナー全量に対して、0.05〜0.60質量%の範囲内であることが好ましい。脂肪酸金属塩粒子(滑剤)の含有量が0.05質量%以上であれば、本発明の効果を有効に発現することができる。脂肪酸金属塩粒子(滑剤)の含有量が0.60質量%以下であれば、過剰添加に伴うトナー、キャリア間の帯電阻害が抑制されるほか、本発明の効果を有効に発現することができる。
【0051】
本発明では、外添剤として、上記した粒径範囲の滑剤(上記体積基準のメジアン径の脂肪酸金属塩粒子)を用いていればよく、この他にも、公知の無機微粒子や有機微粒子などの粒子を併用してもよい。
【0052】
無機微粒子としては、シリカ、チタニア、アルミナなどの無機酸化物微粒子、ステアリン酸アルミニウム微粒子、ステアリン酸亜鉛微粒子などの無機ステアリン酸化合物微粒子、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸亜鉛などの無機チタン酸化合物微粒子などの無機微粒子が挙げられる。このうち、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウムなどの無機チタン酸化合物微粒子(金属酸化物微粒子)は、研磨効果が高い特徴を有するものである。また、シリカ粒子としては、例えば、コロイダルシリカ、アルコキシシランの加水分解物(ゾルゲル法により調製されたシリカ)、沈殿シリカ等の湿式法で製造されたシリカ、フュームドシリカ、溶融シリカ等の乾式法で製造されたシリカ等が用いられる。
【0053】
これらの無機微粒子は、必要に応じて、耐熱保管性の向上、環境安定性の向上等のために、シランカップリング剤やチタンカップリング剤、高級脂肪酸、シリコーンオイル等によって、光沢処理、疎水化処理等が行われていてもよい。外添剤の流動性が向上するという観点から、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)等で疎水化処理(表面処理)したシリカ粒子を用いると好ましい。
【0054】
これらの無機微粒子は、個数平均1次粒子径が5nm〜2μm程度の球形の疎水化処理有り又は無しの無機微粒子を用いるのが好ましい。なお、無機微粒子の個数平均1次粒子径は、電子顕微鏡写真を用いて算出することができ、具体的には、走査型電子顕微鏡にてトナー試料の3万倍写真を撮影し、この写真画像をスキャナーにより取り込む。画像処理解析装置LUZEX(登録商標) AP(株式会社ニレコ製)にて、当該写真画像のトナー表面に存在する外添剤について2値化処理し、外添剤1種につき100個についての水平方向フェレ径を算出、その平均値を個数平均1次粒子径とする。
【0055】
無機微粒子は、個数平均1次粒子径が異なる2種の粒子(例えば、シリカ粒子)を用いてもよい。例えば、粒径が大きいほうの個数平均1次粒子径が60〜250nmの範囲内であると好ましく、80〜200nmの範囲内であるとより好ましい。このような範囲であれば、トナー母体粒子への粒径の大きいほうの粒子の付着を促進し、帯電量の安定性及びクリーニング性を向上させることができる。また、粒径が小さいほうの個数平均1次粒子径は、5〜45nmの範囲内であると好ましく、12〜40nmの範囲内であるとより好ましい。このような範囲であれば、小径シリカ粒子の良好な帯電性を十分に得ることができ、また、トナー母体粒子表面において均一に付着しやすくすることで、高温高湿環境下における初期帯電量及び帯電量の安定性を向上させることができる。
【0056】
有機微粒子としては、個数平均1次粒子径が10nm〜2μm程度の球形の有機微粒子を使用することができる。具体的には、スチレンやメチルメタクリレートなどの単独重合体やこれらの共重合体による有機微粒子を使用することができる。なお、有機微粒子の個数平均1次粒子径は、無機微粒子の個数平均1次粒子径と同様に電子顕微鏡写真を用いて算出することができる。
【0057】
外添剤の添加量は、トナー母体粒子100質量部に対して0.1〜10.0質量部の範囲内であることが好ましい。
【0058】
外添剤の添加方法としては、タービュラーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、V型混合機などの公知の種々の混合装置を使用して添加する方法が挙げられる。
【0059】
〈荷電制御剤〉
本発明に係るトナー粒子中には、必要に応じて種々の添加剤、例えば、荷電制御剤が含有されていてもよい。荷電制御剤としては、特に限定されず、公知の種々の化合物を用いることができる。
【0060】
〈トナー粒子の粒径〉
白色トナーを構成するトナー粒子の粒径は、例えば体積基準のメジアン径で4〜12μmの範囲内であることが好ましく、更に好ましくは5〜9μmの範囲内とされる。
体積基準のメジアン径が上記の範囲にあることにより、転写効率が高くなってハーフトーンの画質が向上し、細線やドットなどの画質が向上する。
【0061】
トナー粒子の体積基準のメジアン径は、「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)にデータ処理用のコンピューターシステム(ベックマン・コールター社製)を接続した測定装置を用いて測定・算出される。
具体的には、トナー0.02gを、界面活性剤溶液20mL(トナー粒子の分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)に添加してなじませた後、超音波分散処理を1分間行い、トナー粒子の分散液を調製し、このトナー粒子の分散液を、サンプルスタンド内の「ISOTONII」(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定装置の表示濃度が5〜10質量%になるまでピペットにて注入する。ここで、この濃度範囲にすることにより、再現性のある測定値を得ることができる。そして、測定装置において、測定粒子カウント数を25000個、アパチャー径を50μmにし、測定範囲である1〜30μmの範囲を256分割しての頻度値を算出し、体積積算分率の大きいほうから50%の粒径を体積基準のメジアン径とする。
【0062】
〈静電荷像現像用現像剤〉
本発明の静電荷像現像用白色トナーは、非磁性の1成分現像剤として使用することもできるが、キャリアと混合して2成分現像剤として使用してもよい。白色トナーを2成分現像剤として使用する場合において、キャリアとしては、鉄、フェライト、マグネタイトなどの金属、それらの金属とアルミニウム、鉛などの金属との合金などの従来公知の材料からなる磁性粒子を用いることができ、特にフェライト粒子が好ましい。また、キャリアとしては、磁性粒子の表面を樹脂などの被覆剤で被覆したコートキャリアや、バインダー樹脂中に磁性体微粉末を分散してなる分散型キャリアなど用いてもよい。
【0063】
キャリアの体積基準のメジアン径としては15〜100μmの範囲内であることが好ましく、25〜60μmの範囲内であることがより好ましい。キャリアの体積基準のメジアン径は、代表的には湿式分散機を備えたレーザー回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック社製)により測定することができる。
【0064】
〈静電荷像現像用白色トナーの製造方法〉
本発明の静電荷像現像用白色トナーの製造方法は、特に限定されず、粉砕法、乳化重合凝集法や乳化凝集法が挙げられるが、トナー粒子の平均円形度を0.870〜0.950の範囲内とする観点から、粉砕法により製造することが好ましい。
【0065】
白色トナーの製造方法として、粉砕法を用いる場合の一例を以下に示す。
(1)結着樹脂、白色着色剤及び離型剤、並びに必要に応じて内添剤をヘンシェルミキサーなどにより混合する工程
(2)得られた混合物を押出混練機などにより加熱しながら混練する工程
(3)得られた混練物をハンマーミルなどにより粗粉砕処理した後、更にターボミル粉砕機などにより粉砕処理を行う工程
(4)得られた粉砕物を、例えばコアンダ効果を利用した気流分級機を用いて微粉分級処理し、トナー母体粒子を形成する工程
(5)トナー母体粒子に外添剤を添加する工程
【0066】
乳化重合凝集法は、乳化重合法によって製造された結着樹脂の微粒子(以下、「結着樹脂微粒子」ともいう。)の分散液を、着色剤の微粒子(以下、「着色剤微粒子」ともいう。)分散液及びワックスなどの離型剤の分散液と混合し、トナー粒子が所望の粒径となるまで凝集させ、更に結着樹脂微粒子間の融着を行うことにより形状制御を行って、トナー粒子を製造する方法である。
【0067】
また、乳化凝集法は、溶媒に溶解した結着樹脂溶液を貧溶媒に滴下して樹脂粒子分散液とし、この樹脂粒子分散液と着色剤分散液及びワックスなどの離型剤分散液とを混合し、所望のトナー粒子の径となるまで凝集させ、更に結着樹脂微粒子間の融着を行うことにより形状制御を行って、トナー粒子を製造する方法である。
【0068】
白色トナーの製造方法として、乳化重合凝集法を用いる場合の一例を以下に示す。
(1)水系媒体中に白色着色剤の微粒子が分散されてなる分散液及び離型剤が分散されてなる分散液を調製する工程
(2)水系媒体中に、必要に応じて内添剤を含有した結着樹脂微粒子が分散されてなる分散液を調製する工程
(3)乳化重合により、結着樹脂微粒子の分散液を調製する工程
(4)白色着色剤の微粒子の分散液と、結着樹脂微粒子の分散液とを混合して、白色着色剤の微粒子と結着樹脂微粒子とを凝集、会合、融着させてトナー母体粒子を形成する工程
(5)トナー母体粒子の分散系(水系媒体)からトナー母体粒子を濾別し、界面活性剤などを除去する工程
(6)トナー母体粒子を乾燥する工程
(7)トナー母体粒子に外添剤を添加する工程
【0069】
乳化重合凝集法によって白色トナーを製造する場合においては、乳化重合法によって得られる結着樹脂微粒子は、組成の異なる結着樹脂よりなる2層以上の多層構造を有するものであってもよく、このような構成の結着樹脂微粒子は、例えば2層構造を有するものは、常法に従った乳化重合処理(第1段重合)によって樹脂粒子の分散液を調製し、この分散液に重合開始剤と重合性単量体とを添加し、この系を重合処理(第2段重合)する手法によって得ることができる。
【0070】
また、乳化重合凝集法によってはコア・シェル構造を有するトナー粒子を得ることもでき、具体的にコア・シェル構造を有するトナー粒子は、まず、コア粒子用の結着樹脂微粒子と白色着色剤の微粒子を凝集、会合、融着させてコア粒子を調製し、次いで、コア粒子の分散液中にシェル層用の結着樹脂微粒子を添加してコア粒子表面にシェル層用の結着樹脂微粒子を凝集、融着させてコア粒子表面を被覆するシェル層を形成することにより得ることができる。
【0071】
《画像形成方法》
本発明の画像形成方法は、少なくとも帯電工程、潜像形成工程、現像工程、転写工程、定着工程及びクリーニング工程を有し、本発明の静電荷像現像用白色トナーと、白色以外の有色の着色剤を含む静電荷像現像用有色トナー(以下、単に有色トナーともいう。)とを用いることが好ましい。これにより、プロダクションプリント市場の要求に応え得る隠蔽性、色相、転写性を有する画像を形成できる。
【0072】
〈白色以外の有色の着色剤を含有する静電荷像現像用有色トナー〉
白色以外の有色(例えば、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、Bk(ブラック))の着色剤を含有する静電荷像現像用有色トナーとしては、特に限定されず、一般的な有色着色剤を含有するトナーなど公知のトナーを使用できる。
静電荷像現像用有色トナーにおけるトナー母体粒子の平均円形度は、0.951〜0.990の範囲内であることが好ましい。有色トナーにおけるトナー母体粒子の平均円形度は、静電荷像現像用白色トナーにおけるトナー粒子の平均円形度と同様にして求めることができる。
有色トナーの製造方法としては、特に限定されないが、上記平均円形度を実現するため、乳化重合法により製造することが好ましい。
【0073】
(帯電工程)
本工程では、電子写真感光体を帯電させる。帯電させる方法は、特に限定されず、例えば、後述の帯電手段を好適に用いることができる。
【0074】
(潜像形成工程)
本工程では、電子写真感光体(静電潜像担持体)上に静電潜像を形成する。
電子写真感光体としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリシラン又はフタロポリメチンなどの有機感光体よりなるドラム状のものが挙げられる。
静電潜像の形成は、後述するように、電子写真感光体の表面を帯電手段により一様に帯電させ、露光手段により電子写真感光体の表面を像様に露光することにより行われる。
露光手段としては、特に限定されず、後述のものを用いることができる。
【0075】
(現像工程)
現像工程は、静電潜像をトナーを含む乾式現像剤により現像してトナー像を形成する工程である。
トナー像の形成は、トナーを含む乾式現像剤を用いて、例えば、後述の現像手段を用いて行われる。
具体的には、現像手段においては、例えば、トナーとキャリアとが混合撹拌され、その際の摩擦によりトナーが帯電し、回転するマグネットローラーの表面に保持され、磁気ブラシが形成される。マグネットローラーは、電子写真感光体近傍に配置されているため、マグネットローラーの表面に形成された磁気ブラシを構成するトナーの一部は、電気的な吸引力によって電子写真感光体の表面に移動する。その結果、静電潜像がトナーにより現像されて電子写真感光体の表面にトナー像が形成される。
【0076】
(転写工程)
本工程では、トナー像を転写材に転写する。
トナー像の転写材への転写は、トナー像を転写材に剥離帯電することにより行われる。
転写手段としては、例えば、コロナ放電によるコロナ転写器、転写ベルト、転写ローラーなどを用いることができる。
また、転写工程は、例えば、中間転写体(中間転写体)を用い、中間転写体上にトナー像を1次転写した後、このトナー像を転写材上に2次転写する態様の他、電子写真感光体上に形成されたトナー像を直接転写材に転写する態様などによって行うこともできる。
転写材としては、特に限定されず、薄紙から厚紙までの普通紙、上質紙、アート紙又はコート紙などの塗工された印刷用紙、市販されている和紙やはがき用紙、OHP用のプラスチックフィルム、布などの各種を挙げることができる。
【0077】
(定着工程)
定着工程では、転写材に転写されたトナー像を、当該転写材に定着する。定着の方法は、特に限定されず、後述するような公知の定着手段を用いることができる。具体的には、例えば、内部に加熱源を備えた加熱ローラーと、この加熱ローラーに定着ニップ部が形成されるよう圧接された状態で設けられた加圧ローラーとにより構成されてなる熱ローラー定着方式のものが挙げられる。
【0078】
(クリーニング工程)
本工程では、現像ローラー、感光体、中間転写体などの現像剤担持体上には、画像形成に使用されなかった又は転写されずに残った液体現像剤を現像剤担持体上から除去する。
クリーニングの方法は、特に限定されないが、先端が感光体に当接して設けられた、感光体表面を擦過するブレードが用いられる方法であることが好ましく、例えば、後述するようなクリーニング手段を用いることができる。
また、クリーニング工程では、連続して搬送される転写材間に対応する中間転写体の非画像形成領域に静電荷像現像用白色トナーを転写し、ブレード等のクリーニング手段により当該静電荷像現像用白色トナーを回収するとともに、静電荷像現像用白色トナーを用いて中間転写体をクリーニングすることが好ましい。
【0079】
《画像形成装置》
図1には、一例として、本発明の静電荷像現像用白色トナーを使用可能な画像形成装置を示している。
画像形成装置は、帯電手段と、静電荷像形成手段と、現像手段と、転写手段と、定着手段と、クリーニング手段と、を有し、現像手段が、本発明の静電荷像現像用白色トナーを含有する静電荷像現像用現像剤により、静電荷像を現像してトナー像を形成する態様であることが好ましい。
また、画像形成装置は、静電荷像形成手段と現像手段とをそれぞれ五つ以上有すること、例えば、白色(W)、イエロー色(Y)、マゼンタ色(M)、シアン色(C)及び黒色(Bk)の5色に対応する静電荷像形成手段及び現像手段をそれぞれの色ごとに有することが、プロダクションプリント市場の要求に応え得る隠蔽性、色相、転写性を有する白色を実現したフルカラー画像を形成できるため好ましい。
【0080】
この画像形成装置100は、タンデム型カラー画像形成装置と称せられるもので、5組の画像形成部(画像形成ユニット)10W、10Y、10M、10C、10Bkと、無端ベルト状中間転写体ユニット7と、給紙手段21と、定着手段24とからなる。画像形成装置100の本体Aの上部には、原稿画像読み取り装置SCが配置されている。
【0081】
白色画像を形成する画像形成部10Wは、ドラム状の感光体1W、帯電手段2W、露光手段3W、現像手段4W、1次転写手段としての1次転写ローラー5W、クリーニング手段6Wを有する。
イエロー色の画像を形成する画像形成部10Yは、ドラム状の感光体1Yの周囲に配置された帯電手段2Y、露光手段3Y、現像手段4Y、1次転写手段としての1次転写ローラー5Y、クリーニング手段6Yを有する。
マゼンタ色の画像を形成する画像形成部10Mは、ドラム状の感光体1M、帯電手段2M、露光手段3M、現像手段4M、1次転写手段としての1次転写ローラー5M、クリーニング手段6Mを有する。
シアン色の画像を形成する画像形成部10Cは、ドラム状の感光体1C、帯電手段2C、露光手段3C、現像手段4C、1次転写手段としての1次転写ローラー5C、クリーニング手段6Cを有する。
黒色画像を形成する画像形成部10Bkは、ドラム状の感光体1Bk、帯電手段2Bk、露光手段3Bk、現像手段4Bk、1次転写手段としての1次転写ローラー5Bk、クリーニング手段6Bkを有する。
【0082】
5組の画像形成ユニット(10W、10Y、10M、10C及び10Bk)は、それぞれ、感光体1W、1Y、1M、1C及び1Bkを中心に、帯電手段2W、2Y、2M、2C及び2Bkと静電荷像形成手段である露光手段3W、3Y、3M、3C及び3Bkと、回転する現像手段4W、4Y、4M、4C及び4Bk、並びに感光体1W、1Y、1M、1C及び1Bkをクリーニングするクリーニング手段6W、6Y、6M、6C及び6Bkより構成されている。
【0083】
画像形成ユニット10W、10Y、10M、10C及び10Bkは、感光体1W、1Y、1M、1C及び1Bkにそれぞれ形成するトナー画像の色が異なるだけで、同じ構成であり、以下画像形成ユニット10Wを例にして詳細に説明する。
【0084】
画像形成ユニット10Wは、像形成体である感光体1Wの周囲に、帯電手段2W、露光手段3W、現像手段4W及びクリーニング手段6Wを配置し、感光体1W上に白色(W)のトナー画像を形成する。また、本実施の形態においては、この画像形成ユニット10Wのうち、少なくとも感光体1W、帯電手段2W、現像手段4W及びクリーニング手段6Wを一体化するように設けている。
【0085】
帯電手段2Wは、感光体1Wに対して一様な電位を与える手段である。本発明においては、帯電手段としては、接触又は非接触のローラー帯電方式のものなどが挙げられる。
【0086】
露光手段3Wは、帯電手段2Wによって一様な電位を与えられた感光体1W上に、画像信号(白色)に基づいて露光を行い、白色の画像に対応する静電潜像を形成する静電荷像形成手段であって、この露光手段3Wとしては、感光体1Wの軸方向にアレイ状に発光素子を配列したLEDと結像素子とから構成されるもの又はレーザー光学系などが用いられる。
【0087】
現像手段4Wは、例えばマグネットを内蔵し現像剤を保持して回転する現像スリーブ及び当該現像スリーブと感光体との間に直流及び/又は交流バイアス電圧を印加する電圧印加装置よりなる。なお、特に、現像手段4Wは、本発明の静電荷像現像用白色トナーを含有する静電荷像現像用現像剤により、静電荷像を現像してトナー像を形成することが好ましい。
【0088】
定着手段24は、例えば、内部に加熱源を備えた加熱ローラーと、この加熱ローラーに定着ニップ部が形成されるよう圧接された状態で設けられた加圧ローラーとにより構成されてなる熱ローラー定着方式のものが挙げられる。
【0089】
クリーニング手段6Wは、クリーニングブレードと、このクリーニングブレードより上流側に設けられたブラシローラーとにより構成される。
【0090】
画像形成装置100としては、感光体と、現像手段、クリーニング手段などの構成要素をプロセスカートリッジ(画像形成ユニット)として一体に結合して構成し、この画像形成ユニットを装置本体に対して着脱自在に構成してもよい。また、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段及びクリーニング手段の少なくとも一つを感光体とともに一体に支持してプロセスカートリッジ(画像形成ユニット)を形成し、装置本体に着脱自在の単一画像形成ユニットとし、装置本体のレールなどの案内手段を用いて着脱自在の構成としてもよい。
【0091】
無端ベルト状中間転写体ユニット7は、複数のローラーにより巻回され、回動可能に支持された半導電性エンドレスベルト状の第2の像担持体としての無端ベルト状中間転写体70を有する。
【0092】
画像形成ユニット10W、10Y、10M、10C及び10Bkより形成された各色の画像は、1次転写手段としての1次転写ローラー5W、5Y、5M、5C及び5Bkにより、回動する無端ベルト状中間転写体70上に逐次転写されて、合成されたカラー画像が形成される。給紙カセット20内に収容された転写材(定着された最終画像を担持する画像支持体:例えば普通紙、透明シートなど)Pは、給紙手段21により給紙され、複数の中間ローラー22A、22B、22C、22D及びレジストローラー23を経て、2次転写手段としての2次転写ローラー5bに搬送され、転写材P上に2次転写してカラー画像が一括転写される。カラー画像が転写された転写材Pは、定着手段24により定着処理され、排紙ローラー25に挟持されて機外の排紙トレイ26上に載置される。ここで、中間転写体や転写材などの感光体上に形成されたトナー画像の転写支持体を総称して転写媒体という。
【0093】
一方、2次転写手段としての2次転写ローラー5bにより転写材Pにカラー画像を転写した後、転写材Pを曲率分離した無端ベルト状中間転写体70は、クリーニング手段6bにより残留トナーが除去される。
【0094】
画像形成処理中、1次転写ローラー5Bkは常時、感光体1Bkに当接している。他の1次転写ローラー5W、5Y、5M及び5Cはカラー画像形成時にのみ、それぞれ対応する感光体1W、1Y、1M及び1Cに当接する。
【0095】
また、1次転写ローラー5Wを画像形成時以外においても、感光体1Wに当接させ、中間転写体70に本発明の静電荷像現像用白色トナーを現像・転写してもよい。
通常、連続して搬送される転写材P間においては画像形成されないため、転写材P間に対応する中間転写体70の非画像形成領域には、各色のトナー像は転写されないが、この中間転写体70の非画像形成領域に、本発明の静電荷像現像用白色トナーを現像・転写するものである。この白色トナーは、当然に転写材Pに転写されることはないため、2次転写ローラー5bにより転写されることなく中間転写体70に保持され、その後クリーニング手段6bにより除去される。ここで、白色トナーにおけるトナー粒子の平均円形度は0.870〜0.950の範囲内であることから、クリーニング手段6bにより回収されたトナー粒子のエッジ部分において中間転写体70上の微細なトナースペント成分を削り取ることができ、クリーニング手段6bに加えて、白色トナーをクリーニング手段として機能させることができる。
【0096】
2次転写ローラー5bは、ここを転写材Pが通過して2次転写が行われる時にのみ、無端ベルト状中間転写体70に当接する。
【0097】
また、装置本体Aから筐体8を支持レール82L、82Rを介して引き出し可能にしてある。
【0098】
筐体8は、画像形成部10W、10Y、10M、10C及び10Bkと、無端ベルト状中間転写体ユニット7とからなる。
【0099】
画像形成部10W、10Y、10M、10C及び10Bkは、垂直方向に縦列配置されている。感光体1W、1Y、1M、1C及び1Bkの図示左側方には無端ベルト状中間転写体ユニット7が配置されている。無端ベルト状中間転写体ユニット7は、ローラー71、72、73及び74を巻回して回動可能な無端ベルト状中間転写体70、1次転写ローラー5W、5Y、5M、5C及び5Bk、並びにクリーニング手段6bとからなる。
【0100】
なお、図1に示す画像形成装置100では、カラーのレーザープリンタを示したが、モノクロのレーザープリンタやコピーにも同様に適用可能である。また、露光光源もレーザー以外の光源、例えばLED光源を用いてもよい。
また、上述のように、画像形成装置100は、静電荷像形成手段と、現像手段と、をそれぞれ五つ以上有することが、プロダクションプリント市場の要求に応え得る隠蔽性、色相、転写性の優れた白色を実現したフルカラー画像を形成できるため好ましい。
【実施例】
【0101】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0102】
《脂肪酸金属塩の調製》
以下のようにして、脂肪酸金属塩S1〜S8を調製した。
【0103】
〈脂肪酸金属塩S1の調製〉
ステアリン酸140質量部をエタノール1000質量部に投入し、75℃で混合したものに対して、水酸化亜鉛50質量部をゆっくり加え、1時間混合した。その後、20℃まで冷却して生成物を取り出し、150℃で乾燥させてエタノールを除去した。得られたステアリン酸亜鉛の固形物をハンマーミルで粗粉砕し、次いで、ジェット気流式粉砕機「I−20ジェットミル」(日本ニューマチック社製)で微粉砕し、風力式分級機「DS−20/DS−10分級機」(日本ニューマチック社製)によりカットポイント1.1μmで分級して、体積平均粒径が0.72μmのステアリン酸亜鉛よりなる脂肪酸金属塩S1を調製した。
なお、本実施例において、脂肪酸金属塩粒子の体積基準のメジアン径(体積平均粒径)は、レーザー回折粒度測定装置SALD−2100(株式会社島津製作所製)を使用して測定した。
【0104】
〈脂肪酸金属塩S2の調製〉
脂肪酸金属塩S1の調製において、カットポイントを0.8μmに変更した以外は同様にして、体積平均粒径が0.51μmのステアリン酸亜鉛よりなる脂肪酸金属塩S2を調製した。
【0105】
〈脂肪酸金属塩S3の調製〉
脂肪酸金属塩S1の調製において、カットポイントを1.9μmに変更した以外は同様にして、体積平均粒径が1.48μmのステアリン酸亜鉛よりなる脂肪酸金属塩S3を調製した。
【0106】
〈脂肪酸金属塩S4の調製〉
脂肪酸金属塩S1の調製において、水酸化亜鉛を水酸化カルシウムに変更した以外は同様にして、体積平均粒径が0.78μmのステアリン酸カルシウムよりなる脂肪酸金属塩S4を調製した。
【0107】
〈脂肪酸金属塩S5の調製〉
脂肪酸金属塩S2の調製において、水酸化亜鉛を水酸化カルシウムに変更した以外は同様にして、体積平均粒径が0.52μmのステアリン酸カルシウムよりなる脂肪酸金属塩S5を調製した。
【0108】
〈脂肪酸金属塩S6の調製〉
脂肪酸金属塩S3の調製において、水酸化亜鉛を水酸化カルシウムに変更した以外は同様にして、体積平均粒径が1.49μmのステアリン酸カルシウムよりなる脂肪酸金属塩S6を調製した。
【0109】
〈脂肪酸金属塩S7の調製〉
脂肪酸金属塩S1の調製において、カットポイントを0.5μmに変更した以外は同様にして、体積平均粒径が0.42μmのステアリン酸亜鉛よりなる脂肪酸金属塩S7を調製した。
【0110】
〈脂肪酸金属塩S8の調製〉
脂肪酸金属塩S1の調製において、カットポイントを2.0μmに変更した以外は同様にして、体積平均粒径が1.67μmのステアリン酸亜鉛よりなる脂肪酸金属塩S8を調製した。
【0111】
《トナーの作製》
以下のようにして、トナーTW1〜TW5及びT1〜T8を作製した。
【0112】
〈トナーTW1の作製〉
(1)トナー母体粒子TW1の調製
結着樹脂:スチレン・n−ブチルアクリレート共重合体(Mw:111000、Mn:4000、Mw/Mn:26) 100質量部
白色着色剤:酸化チタンET−500W(石原産業(株)社製) 50質量部
離型剤:ポリオレフィン(ビスコール660P、三洋化成工業社製) 5質量部
離型剤:アルキレンビス脂肪酸アミド(へキストワックスC1、ヘキスト社製)
5質量部を混合し、溶融混練し、冷却した後、粗粉砕し、更にターボミル(冷却水温度:5℃)を用いて微粉砕し、次いで分級して、体積平均粒径が7.1μm、平均円形度が0.878である白色トナー母体粒子TW1を調製した。
【0113】
なお、本実施例において、トナー母体粒子の体積平均粒径は、以下のようにして測定した。
トナー母体粒子の体積平均粒径は、「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)にデータ処理用のコンピューターシステム(ベックマン・コールター社製)を接続した測定装置を用いて測定・算出した。
具体的には、トナー母体粒子0.02gを、界面活性剤溶液20mL(トナー母体粒子の分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)に添加してなじませた後、超音波分散処理を1分間行い、トナー母体粒子の分散液を調製し、このトナー母体粒子の分散液を、サンプルスタンド内の「ISOTONII」(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定装置の表示濃度が5〜10質量%になるまでピペットにて注入した。測定装置において、測定粒子カウント数を25000個、アパチャー径を50μmにし、測定範囲である1〜30μmの範囲を256分割しての頻度値を算出し、体積積算分率の大きいほうから50%の粒径を体積平均粒径とした。
【0114】
また、本実施例において、トナー母体粒子(及びトナー粒子)の平均円形度は、以下のようにして測定した。
まず、容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水10mLを用意する。その中に分散剤として界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸塩)を加えた後、更に測定試料を0.02g加え、均一に分散させた。
分散させる手段としては、超音波分散機「Tetora150型」(日科機バイオス社製)を用い、2分間分散処理を行い、測定用の分散液とした。その際、該分散液の温度が40℃以上とならないように適宜冷却した。
また、円形度のバラツキを抑えるため、フロー式粒子像分析装置FPIA−2100(シスメックス社製)の機内温度が26〜27℃の範囲内となるよう装置の設置環境を23℃±0.5℃にコントロールし、2時間おきに2μmラテックス粒子を用いて自動焦点調整を行った。
トナー母体粒子の円形度測定には、上記フロー式粒子像分析装置を用い、測定時のトナー母体粒子濃度が3000〜1万個/μLとなるように該分散液濃度を再調整し、トナー母体粒子を1000個以上計測した。計測後、このデータを用いて、円相当径2μm未満のデータをカットして、トナー母体粒子の平均円形度を求めた。
【0115】
(2)トナー粒子TW1の作製
乾燥されたトナー母体粒子TW1 100質量部に、小径シリカ微粒子(「RX−200」ヒュームドシリカ HMDS処理 個数平均粒径12nm:日本アエロジル社製)を0.75質量部、球状シリカ微粒子(「X−24 9600」ゾルゲル製法によるシリカ HMDS処理 個数平均粒径80nm:信越化学社製)を1.50質量部、脂肪酸金属塩S1(ステアリン酸亜鉛粒子)を0.30質量部、研磨効果の高い金属酸化物微粒子としてチタン酸カルシウム粒子(「TC−110」、シリコーンオイル処理 個数平均粒径300nm:チタン工業社製)を0.5質量部添加し、ヘンシェルミキサー「FM10B」(三井三池化工業社製)を用いて、撹拌羽根周速を40m/秒、処理温度30℃で12分間混合し、平均円形度が0.877である白色トナーTW1を作製した。
【0116】
〈トナーTW2〜TW5の作製〉
トナーTW1の作製において、トナー母体粒子の調製における粉砕方法及び冷却水温度を表Iに記載のとおりに変更した以外は同様にして、白色トナーTW2〜TW5を作製した。
【0117】
【表1】
【0118】
〈トナーT1の作製〉
(1)トナー母体粒子T1の調製
結着樹脂:スチレン・n−ブチルアクリレート共重合体(Mw:111000、Mn:4000、Mw/Mn:26) 100質量部
着色剤:C.I.Pig.Yellow 74 10質量部
離型剤:ポリオレフィン(ビスコール660P、三洋化成工業社製) 5質量部
離型剤:アルキレンビス脂肪酸アミド(へキストワックスC1、ヘキスト社製)
5質量部を混合し、溶融混練し、冷却した後、粗粉砕し、更にターボミル(冷却水温度:10℃)を用いて微粉砕し、次いで分級して、体積平均粒径が7.1μm、平均円形度が0.891である有色トナー母体粒子T1を調製した。
【0119】
(2)トナーT1の作製
乾燥されたトナー母体粒子T1 100質量部に、n−ブチルトリメトキシシラン処理したシリカ(個数平均1次粒子径30nm)2.0質量部を添加し、ヘンシェルミキサー「FM10B」(日本コークス工業(株)製)の撹拌羽根周速を60m/秒、処理温度30℃、処理時間20分に設定して外添処理を行った。外添処理後、目開き90μmのふるいを用いて粗大粒子を除去することにより、有色トナーT1を作製した。
【0120】
〈トナーT2〜T4の作製〉
トナーT1の作製において、着色剤をそれぞれC.I.Pig.Red 57:1、C.I.Pig.Blue 15:3、カーボンブラック(BPL、キャボット社製)に変更した以外は同様にして、有色トナーT2〜T4を作製した。
【0121】
〈トナーT5の作製〉
(1)樹脂微粒子の調製
(コア部用樹脂微粒子〔1〕の分散液の調製工程)
下記に示す第1段重合、第2段重合及び第3段重合を経て多層構造を有するコア部用樹脂微粒子〔1〕を調製した。
【0122】
(a)第1段重合(樹脂微粒子〔A1〕の分散液の調製)
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、ポリオキシエチレン−2−ドデシルエーテル硫酸ナトリウム4質量部をイオン交換水3040質量部に溶解させた界面活性剤溶液を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。この界面活性剤溶液に、重合開始剤(過硫酸カリウム:KPS)10質量部をイオン交換水400質量部に溶解させた重合開始剤溶液を添加し、温度を75℃とした後、スチレン532質量部、n−ブチルアクリレート200質量部、メタクリル酸68質量部、n−オクチルメルカプタン16.4質量部からなる単量体混合液を1時間かけて滴下し、この系を75℃にて2時間にわたり加熱、撹拌することによって重合(第1段重合)を行い、樹脂微粒子〔A1〕の分散液を調製した。
なお、第1段重合で調製した樹脂微粒子〔A1〕の重量平均分子量(Mw)は、16500であった。
【0123】
なお、本実施例において、重量平均分子量(Mw)の測定は、「HLC−8220」(東ソー社製)及びカラム「TSKguardcolumn+TSKgelSuperHZM−M3連」(東ソー社製)を用い、カラム温度を40℃に保持しながら、キャリア溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を流速0.2ml/minで流し、測定試料を室温において超音波分散機を用いて5分間処理を行う溶解条件で濃度1mg/mLになるようにテトラヒドロフランに溶解させ、次いで、ポアサイズ0.2μmのメンブランフィルターで処理して試料溶液を得、この試料溶液10μLを上記のキャリア溶媒とともに装置内に注入し、屈折率検出器(RI検出器)を用いて検出し、測定試料の有する分子量分布を単分散のポリスチレン標準粒子を用いて測定した検量線を用いて算出した。検量線測定用の標準ポリスチレン試料としては、Pressure Chemical社製の分子量が6×10、2.1×10、4×10、1.75×10、5.1×10、1.1×10、3.9×10、8.6×10、2×10、4.48×10のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を測定し、検量線を作成した。また、検出器には屈折率検出器を用いた。
【0124】
(b)第2段重合(樹脂微粒子〔A2〕の分散液の調製:中間層の形成)
撹拌装置を取り付けたフラスコ内において、スチレン101.1質量部、n−ブチルアクリレート62.2質量部、メタクリル酸12.3質量部、n−オクチルメルカプタン1.75質量部からなる単量体混合液に、離型剤として、パラフィンワックス「HNP−57」(日本精蝋社製)93.8質量部を添加し、90℃に加温して溶解させた。
一方、ポリオキシエチレン−2−ドデシルエーテル硫酸ナトリウム3質量部をイオン交換水1560質量部に溶解させた界面活性剤溶液を98℃に加熱し、この界面活性剤溶液に、前述の樹脂微粒子〔A1〕の分散液32.8質量部(固形分換算)添加し、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス」(エム・テクニック社製)により、パラフィンワックスを含有する単量体溶液を8時間混合分散させ、分散粒径340nmを有する乳化粒子を含む分散液を調製した。次いで、この乳化粒子分散液に、過硫酸カリウム6質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた重合開始剤溶液を添加し、この系を98℃にて12時間にわたり加熱撹拌することにより重合(第2段重合)を行い、樹脂微粒子〔A2〕の分散液を調製した。
なお、第2段重合で調製した樹脂微粒子〔A2〕の重量平均分子量(Mw)は、23000であった。
【0125】
(c)第3段重合(コア部用樹脂微粒子〔1〕の分散液の調製:外層の形成)
上記樹脂粒子〔A2〕に、過硫酸カリウム5.45質量部をイオン交換水220質量部に溶解させた重合開始剤溶液を添加し、80℃の温度条件下で、スチレン293.8質量部、n−ブチルアクリレート154.1質量部、n−オクチルメルカプタン7.08質量部からなる単量体混合液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間にわたり加熱撹拌することにより重合(第3段重合)を行った後、28℃まで冷却しコア部用樹脂微粒子〔1〕の分散液を得た。
なお、コア部用樹脂微粒子〔1〕の重量平均分子量(Mw)は、26800であった。
また、コア部用樹脂微粒子〔1〕の体積平均粒径は、125nmであった。この体積平均粒径は、粒度分布測定装置「コールターマルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)を用いて測定した値を採用した。
さらに、このコア部用樹脂微粒子〔1〕のガラス転移温度(Tg)は、30.5℃であった。
【0126】
なお、本実施例において、ガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量測定装置「ダイヤモンドDSC」(パーキンエルマー社製)を用いて測定した。
まず、試料3.0mgをアルミニウム製パンに封入してホルダーにセットした。リファレンスとして空のアルミニウム製パンをセットした。昇降速度10℃/minで0℃から200℃まで昇温する第1昇温過程、冷却速度10℃/minで200℃から0℃まで冷却する冷却過程、及び昇降速度10℃/minで0℃から200℃まで昇温する第2昇温過程をこの順に経る測定条件(昇温・冷却条件)によって、樹脂(コア用樹脂微粒子)について、DSC曲線を得た。当該DSC曲線に基づいて、その第2昇温過程における第1の吸熱ピークの立ち上がり前のベースラインの延長線と、第1の吸熱ピークの立ち上がり部分からピーク頂点までの間で最大傾斜を示す接線を引き、その交点をガラス転移温度(Tg)とした。
【0127】
(シェル層用樹脂微粒子〔1〕の分散液の調製工程)
上記コア部用樹脂粒子〔1〕の第1段重合において、スチレンを548質量部、2−エチルヘキシルアクリレートを156質量部、メタクリル酸を96質量部、n−オクチルメルカプタンを16.5質量部に変更した単量体混合液を用いた以外は同様にして、重合反応及び反応後の処理を行い、シェル層用樹脂微粒子〔1〕の分散液を調製した。
なお、シェル層用樹脂粒子〔1〕の重量平均分子量(Mw)は、26800であった。
また、シェル層用樹脂粒子〔1〕のガラス転移温度(Tg)は、49.8℃であった。
【0128】
(2)着色剤微粒子分散液〔1〕の調製
ドデシル硫酸ナトリウム90質量部をイオン交換水1600質量部に添加し、この溶液を撹拌しながら、C.I.Pig.Yellow 74を420質量部徐々に添加し、次いで、撹拌装置「クレアミックス」(エム・テクニック社製)を用いて分散処理することにより、着色剤微粒子が分散されてなる着色剤微粒子分散液〔1〕を調製した。
この着色剤微粒子分散液〔1〕における着色剤微粒子の粒径を電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子杜製)を用いて測定したところ、体積平均粒径で110nmであった。
【0129】
(3)トナー母体粒子T5の調製
(a)コア部(コア粒子)の形成
コア部用樹脂微粒子〔1〕の分散液420質量部(固形分換算)と、イオン交換水900質量部と、着色剤微粒子分散液〔1〕100質量部とを、温度センサー、冷却管、窒素導入装置、撹拌装置を取り付けた反応容器に入れて撹拌した。反応容器内の温度を30℃に調整した後、この溶液に5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを8〜11に調整した。
【0130】
次いで、Mg元素含有の凝集剤として塩化マグネシウム・6水和物60質量部をイオン交換水60質量部に溶解した水溶液を、撹拌下、30℃にて10分間かけて添加した。3分間放置した後に昇温を開始し、この系を80分間かけて80℃(コア部形成温度)まで昇温した。その状態でフロー式粒子像分析装置「FPIA2100」(シスメックス社製)にて粒子の粒径を測定し、粒子の体積基準平均粒径(「コア粒子の狙い粒径」ともいう)が5.8μmになった時点で、塩化ナトリウム40.2質量部をイオン交換水1000質量部に溶解した水溶液を添加して粒径成長を停止させ、更に、熟成処理として液温度80℃(コア部熟成温度)にて1時間にわたり加熱撹拌することにより融着を継続させ、コア部(コア粒子)〔1〕を形成した。
なお、コア部(コア粒子)〔1〕の円形度をフロー式粒子像分析装置「FPIA2100」(シスメックス社製)にて測定したところ、平均円形度は0.930であった。
【0131】
(b)シェル層の形成
次いで、65℃においてシェル層用樹脂微粒子〔1〕の分散液46.8質量部(固形分換算)を添加し、更にMg元素含有の凝集剤として塩化マグネシウム・6水和物2質量部をイオン交換水60質量部に溶解した水溶液を、10分間かけて添加した後、80℃(シェル化温度)まで昇温し、1時間にわたり撹拌を継続し、コア部(コア粒子)〔1〕の表面に、シェル層用樹脂微粒子〔1〕の微粒子を融着させた後、80℃(シェル熟成温度)で所定の円形度まで熟成処理を行い、シェル層を形成させた。ここで、塩化ナトリウム40.2質量部をイオン交換水1000質量部に溶解した水溶液を加え、8℃/分の条件で30℃まで冷却し、生成した融着粒子を濾過し、45℃のイオン交換水で繰り返し洗浄し、その後、40℃の温風で乾燥することにより、コア部(コア粒子)表面にシェル層を有する、体積平均粒径が7.1μm、平均円形度が0.951である有色トナー母体粒子T5を調製した。
【0132】
(4)トナーT5の作製
乾燥されたトナー母体粒子T5 100質量部に、n−ブチルトリメトキシシラン処理したシリカ(個数平均1次粒子径30nm)2.0質量部を添加し、ヘンシェルミキサー「FM10B」(日本コークス工業(株)製)の撹拌羽根周速を60m/秒、処理温度30℃、処理時間20分に設定して外添処理を行った。外添処理後、目開き90μmのふるいを用いて粗大粒子を除去することにより、有色トナーT5を作製した。
【0133】
〈トナーT6〜T8の作製〉
トナーT5の作製において、有色着色剤をそれぞれC.I.Pig.Red 57:1、C.I.Pig.Blue 15:3、カーボンブラック(BPL、キャボット社製)に変更した以外は同様にして、トナーT6〜T8を作製した。
【0134】
【表2】
【0135】
《評価》
評価機として、市販のデジタル印刷システム「bizhub PRESS C1100 5現像機 改造機(中間転写体による一括転写+一括定着、コニカミノルタ株式会社製)」を用いた。本評価機は、スタート時の現像剤量が本来なら1100gであるところ、1000gを投入して実写を行った。
上記にようにして得られた白色トナー及び有色トナーを表IIIに記載のように適宜組み合わせて投入し(実験No.J1〜J16)、20℃/50%RHの環境下で10万枚の印刷を行い、初期状態、並びに5万枚及び10万枚印刷後の状態において、下記評価を行った。
評価結果を表IIIに示す。
【0136】
〈画像濃度〉
初期状態、並びに5万枚及び10万枚印刷後のベタ画像部の画像濃度を、反射濃度計「RD−918」(マクベス社製)を用いて測定し、下記評価基準に従って評価した。
白色画像濃度の測定は、まず画像濃度約1.35の上質黒紙(64g/m)を準備し、これに白色トナーによる白色ベタ画像部を出力し、マクベス反射濃度計「RD−918」を用いて各々20か所の絶対画像濃度を測定し、以下の計算式から白色画像濃度とした。
【0137】
白色画像濃度
=上質黒紙濃度(1.35上質黒紙20か所における画像濃度の平均値)
−白色ベタ画像部測定濃度(白色ベタ画像部20か所における画像濃度の平均値)
【0138】
白色画像濃度が1.20以上であれば実用上問題ないが、0.80未満であれば実用は厳しい。
【0139】
A:1.30以上
B:1.20以上、1.30未満
C:0.80以上、1.20未満
D:0.80未満
【0140】
〈カブリ濃度〉
初期状態、並びに5万枚及び10万枚印刷後のカブリ濃度を、反射濃度計「RD−918」(マクベス社製)を用いて測定し、下記評価基準に従って評価した。カブリ濃度は、上述の白色画像濃度測定と同様の測定方法ではあるが、印刷後の非画像部の濃度を計測する。
【0141】
カブリ濃度
=上質黒紙濃度(1.35上質黒紙20か所における画像濃度の平均値)
−非画像部濃度(非画像部20か所における画像濃度の平均値)
【0142】
カブリ濃度が、0.010未満であれば実用上問題ないが、0.015以上であれば実用は厳しい。
【0143】
A:0.005未満
B:0.005以上、0.010未満
C:0.010以上、0.015未満
D:0.015以上
【0144】
〈中間転写体のクリーニング性〉
初期状態、並びに5万枚及び10万枚印字後の中間転写体のクリーニング性を目視にて観察し、下記評価基準に従って評価した。
【0145】
A:クリーニング性が良好
B:トナーのすり抜けにより、トナーによる軽微な斑点やスジが発生するものの画像には出ず、実用上問題がない
C:トナーのすり抜けにより、トナー起因の明確な斑点や、スジが発生し、画像上にも現れ、実用上問題がある
【0146】
〈定着分離性〉
初期状態、並びに5万枚及び10万枚印字後、ペーパー上からW、Y、M、C、Bkの順でベタ画像を5色重ねて画像形成し、定着機からの分離性を目視にて観察し、下記評価基準に従って評価した。
【0147】
A:定着処理も良好で、定着域全域にわたって均一定着できた
B:全面ベタ画像中に、軽微な定着機の分離ヅメあとが見られるものの実用上問題がない
C:全面ベタ出力中に、分離ヅメが画像に食い込み、実用上問題がある
【0148】
【表3】
【0149】
〈まとめ〉
表IIIから明らかなように、本発明の静電荷像現像用白色トナーを用いた画像形成は、比較例の静電荷像現像用白色トナーを用いた画像形成と比べて、画像濃度、カブリ濃度、中間転写体のクリーニング性及び定着分離性に優れていることが確認された。
以上から、結着樹脂、白色着色剤及び離型剤を含むトナー母体粒子と、外添剤とからなるトナー粒子を含有し、外添剤として、体積基準のメジアン径が0.5〜1.5μmの範囲内である脂肪酸金属塩粒子を含有し、トナー粒子の平均円形度が0.870〜0.950の範囲内である静電荷像現像用白色トナーを用いることが、高ストレスな状況下においても、長期にわたって極めて安定した高画質なフルカラー画像を提供可能とすることに有用であることがわかる。
【符号の説明】
【0150】
1W、1Y、1M、1C、1Bk 感光体
2W、2Y、2M、2C、2Bk 帯電手段
3W、3Y、3M、3C、3Bk 露光手段
4W、4Y、4M、4C、4Bk 現像手段
5W、5Y、5M、5C、5Bk 1次転写ローラー
6W、6Y、6M、6C、6Bk クリーニング手段
10W、10Y、10M、10C、10Bk 画像形成ユニット
70 中間転写体
100 画像形成装置
図1