【実施例】
【0025】
上記した本発明の一実施の形態についてさらに詳細に説明すべく、本発明の一実施例に係る制御装置、色材量制限方法及び色材量制限プログラムについて、
図7乃至
図17を参照して説明する。
図7及び
図8は、本実施例の印刷システムの構成を示す模式図であり、
図9乃至
図11は、各々、クライアント端末、コントローラ、プリンタの構成を示すブロック図である。また、
図12及び
図13は、本実施例のコントローラの処理を示すフローチャート図であり、
図14乃至
図17は、色材削減量の白への分配比を定義する色彩値の範囲を説明する模式図である。
【0026】
なお、以下の説明において、着色成分とは、例えばCMYKであり、白色を含まない。また、カラー成分とは、例えばCMYであり、相対的に光を透過しない白色(W)や、相対的に光を透過・反射しない黒色(K)は含まない。これらの着色成分やカラー成分の画素値は、%や8bit等の多値である。この%は、例えば、8bitの入力データの画素値0-255に対応し、0%は画素値0に対応し、50%は画素値127に対応し、100%は画素値255に対応する。また、一次色ベタとは、C100%、M100%、Y100%のようにCMYの内の1色の画素値が最大となる色であり、二次色ベタとは、R=M100%+Y100%、G=C100%+Y100%、B=C100%+M100%のようにCMYの内の2色の画素値が最大となる色である。
【0027】
図7に示すように、本実施例の印刷システムは、イントラネット上に、通信ネットワーク40で接続可能なクライアント端末10とコントローラ20とプリンタ30とがそれぞれ配置される。この通信ネットワーク40の規格としてEthernet(登録商標)などを用いることができるが、コントローラ20からプリンタ30へのデータ転送は、Ethernet(登録商標)以外にIEEE1394、Parallelなどを用いることも可能である。
【0028】
なお、
図7では、コントローラ20とプリンタ30とを別々の装置としているが、
図8に示すように、プリンタ30がコントローラ20を内包する構成としてもよい。以下、
図7の構成を前提にして、各装置について詳細に説明する。
【0029】
[クライアント端末]
クライアント端末10は、パーソナルコンピュータなどのコンピュータ装置であり、印刷ジョブを作成してコントローラ20に送信する。このクライアント端末10は、
図9(a)に示すように、制御部11と記憶部12とネットワークI/F部13と表示部14と操作部15などで構成される。
【0030】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)11aとROM(Read Only Memory)11bやRAM(Random Access Memory)11cなどのメモリとで構成され、CPU11aは、ROM11bや記憶部12に記憶した制御プログラムをRAM11cに展開して実行することにより、クライアント端末10全体の動作を制御する。また、
図9(b)に示すように、上記制御部11(CPU11a)により、OS(Operating System)16、文書作成アプリケーション17、プリンタドライバ18などが実行される。
【0031】
OS16は、Windows(登録商標)やmacOS(登録商標)、Android(登録商標)、iOS(登録商標)などであり、クライアント端末10で文書作成アプリケーション17やプリンタドライバ18を動作可能にする。
【0032】
文書作成アプリケーション17は、文章作成や表計算、画像加工などを行うソフトウェアであり、着色成分からなる入力画像(好ましくはカラーの入力画像)の作成、白下地を付与すべき位置の指定などを可能にする。そして、印刷指示の際にプリンタドライバ18を読み出し、文書作成アプリケーション17で作成したデータをプリンタドライバ18に転送する。
【0033】
プリンタドライバ18は、文書作成アプリケーション17で作成したデータを、コントローラ20が解釈可能な言語の印刷ジョブ(PJL(Printer Job Language)やPS(PostScript)、PCL(Printer Control Language)等のページ記述言語で記述されたPDL(Page Description Language)データ、または、PDF(Portable Document Format)データ)に変換する。この印刷ジョブには、入力画像及び白下地を付与すべき位置の情報が含まれる。
【0034】
記憶部12は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などで構成され、CPU11aが各部を制御するためのプログラム、自装置の処理機能に関する情報、文書作成アプリケーション17が作成したデータ、プリンタドライバ18が作成した印刷ジョブなどを記憶する。
【0035】
ネットワークI/F部13は、NIC(Network Interface Card)やモデムなどで構成され、クライアント端末10を通信ネットワーク40に接続し、コントローラ20に印刷ジョブを送信する。
【0036】
表示部14は、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)や有機EL(electroluminescence)表示装置などで構成され、文書作成アプリケーション17の文書作成画面やプリンタドライバ18の印刷設定画面などを表示する。
【0037】
操作部15は、マウスやキーボードなどで構成され、文書作成アプリケーション17による入力画像の作成、白下地を付与すべき位置の指定、プリンタドライバ18による印刷設定や印刷指示などの操作を可能にする。
【0038】
[コントローラ]
コントローラ20は、プリンタ30を制御する制御装置である。このコントローラ20は、
図10(a)に示すように、制御部21と記憶部22とRIP処理部23とネットワークI/F部24とプリンタI/F部25と必要に応じて表示部及び操作部などで構成される。
【0039】
制御部21は、CPU21aと、ROM21bやRAM21cなどのメモリとで構成され、CPU21aは、ROM21bや記憶部22に記憶した制御プログラムをRAM21cに展開して実行することにより、コントローラ20全体の動作を制御する。
【0040】
記憶部22は、HDDやSSDなどで構成され、CPU21aが各部を制御するためのプログラム、クライアント端末10から受信した印刷ジョブ、印刷ジョブに基づいて生成した印刷画像データ、色変換テーブル(プリンタプロファイル)、プリンタ30の色材量制限値、後述するデバイス値と分配比とを対応付けるリストなどを記憶する。
【0041】
RIP処理部23は、画像処理ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などで構成され、クライアント端末10から受信した印刷ジョブを解析し、入力画像及び白下地を付与すべき位置の情報を受け付け、入力画像及び白下地を多値ビットマップ化して多値の画素を生成する。そして、出力物を所望の色に合わせるための色変換処理(例えばICCプロファイルを用いた色変換処理)を行って、制御部21に出力する。
【0042】
ネットワークI/F部24は、NICやモデムなどで構成され、コントローラ20を通信ネットワーク40に接続し、クライアント端末10から印刷ジョブなどを受信する。プリンタI/F部25は、コントローラ20をプリンタ30に接続するための専用インターフェイスであり、プリンタ30に印刷画像データなどを送信し、出力方法を指示する。
【0043】
また、上記制御部21は、
図10(b)に示すように、分配比決定部26、色材量制限処理部27などとして機能する。
【0044】
分配比決定部26は、カラーと白色とに対する色材量の削減比率を規定する分配比を決定する。具体的には、予め作成された色変換テーブル(プリンタプロファイル)や数式を参照して、選択されたデバイス値に対応する色彩値(明度、彩度)を取得し、取得した色彩値に基づいて、下記に示す色材削減量の白/カラーへの分配比を決定し、デバイス値と分配比とを対応付けてリストに登録する。その際、入力画素の色彩値(明度、彩度)が高くなるほど、色材削減量の白への分配比が小さくなるように分配比を決定する。また、色材削減量の白への分配比を変化させる色彩値の好ましい範囲を定義する。例えば、デバイス値のカラー成分の明度が二次色ベタの明度以下では、白画素値を削減しても明度の変化は目視ではほとんど分からず、一次色ベタの明度以上では、白画素値の削減による明度の低下が目立って目視で認識されやすくなることから、二次色ベタの明度と一次色ベタの明度とで好ましい明度範囲を定義することができる。また、プリンタ30が使用する色材(トナー)によって色域が変化することから、カラー成分の色材の色空間で規定される最大明度及び最小明度に基づいて、好ましい明度範囲を定義することもできる。また、デバイス値のカラー成分の明度が好ましい明度範囲内の場合において、デバイス値のカラー成分の彩度がいわゆる低彩度((当業者の慣例として)文字には用いられず背景色として用いられる程度の彩度、言い換えると、(一般人が)容易に色名と結び付けられない程度の彩度)以下では、白画素値を削減しても彩度の変化は目視ではほとんど分からず、二次色ベタの彩度以上では、白画素値の削減による彩度の低下が目視で認識されやすくなることから、二次色ベタの彩度(又は、いわゆる低彩度となる彩度と二次色ベタの彩度と)で好ましい彩度範囲を定義することができる。また、明度と同様に、カラー成分の色材の色空間で規定される最大彩度及び最小彩度に基づいて、好ましい彩度範囲を定義することもできる。そして、デバイス値のカラー成分の色彩値が定義した範囲内の場合は、高明度(又は高彩度)になるほど、色材削減量の白への分配比が小さくなるようにし、色彩値が定義した範囲を超える場合は色材削減量の白への分配比がほぼ0になるようにし、色彩値が定義した範囲未満の場合は色材削減量の白への分配比がほぼ1(100%)になるようにする。
【0045】
色材量制限処理部27は、所定画素におけるカラーの色材量と白色の色材量との合計値が予め定められた色材量制限値以下となるように色材量を削減して、プリンタ30に印刷を指示する。その際、画像情報の色情報に応じて、カラーの色材量の削減量と白色の色材量の削減量との削減の比率を変更する。具体的には、入力画像を構成する各々の入力画素に対して、入力画素の画素値と白下地の画素値との合計値から色材量制限値を減算して色材削減量を算出し、上記リストを参照して、各々の入力画素の画素値に対応するデバイス値に対応付けられた分配比を取得し、取得した分配比に基づいて、算出した色材削減量を入力画素と白下地とに分配して、カラー及び白色の色材量を制限する。
【0046】
なお、上記分配比決定部26、色材量制限処理部27はハードウェアとして構成してもよいし、制御部21を分配比決定部26、色材量制限処理部27(特に、色材量制限処理部27)として機能させる色材量制限プログラムとして構成し、当該色材量制限プログラムをCPU21aに実行させるようにしてもよい。
【0047】
[プリンタ]
プリンタ30は、カラー(CMYK)と白(下地)の色材を用いた画像形成が可能な電子写真プリンタなどの印刷装置であり、コントローラ20の指示に基づいて印刷を行う。このプリンタ30は、
図11に示すように、制御部31とコントローラI/F部32とパネル操作部33と印刷処理部34などで構成される。
【0048】
制御部31は、CPU31aと、ROM31bやRAM31cなどのメモリとで構成され、CPU31aは、ROM31bに記憶した制御プログラムをRAM31cに展開して実行することにより、プリンタ30全体の動作を制御する。
【0049】
コントローラI/F部32は、プリンタ30をコントローラ20に接続するための専用インターフェイスであり、コントローラ20から印刷画像データなどを受信する。
【0050】
パネル操作部33は、LCDなどの表示部上に格子状の透明電極からなるタッチセンサが形成されたタッチパネルなどであり、印刷に関する各種画面を表示すると共に、印刷に関する各種操作を可能にする。
【0051】
印刷処理部34は、コントローラ20から受信した印刷画像データに基づき、用紙上に画像形成を行う印刷エンジンである。具体的には、帯電装置により帯電された感光体ドラムに露光装置から画像に応じた光を照射して静電潜像を形成し、現像装置で帯電した各色のトナーを付着させて現像し、そのトナー像を転写ベルトに1次転写し、転写ベルトから用紙に2次転写し、更に定着装置で用紙上のトナー像を定着させる処理を行う。この印刷処理部34は、画像形成を安定化させるために別途任意の補正を行ってもよい。
【0052】
なお、
図7乃至
図11は、本実施例の印刷システムの一例であり、各装置の構成や制御は適宜変更可能である。例えば、
図10では、制御部21に分配比決定部26、色材量制限処理部27の機能を持たせたが、RIP処理部23に分配比決定部26、色材量制限処理部27の機能を持たせるようにしても良い。
【0053】
以下、上記構成のコントローラ20の動作について説明する。CPU21aは、ROM21b又は記憶部22に記憶した色材量制限プログラムをRAM21cに展開して実行することにより、
図12及び
図13のフローチャート図に示す各ステップの処理を実行する。なお、何らかの方法で入力画像(CMYK)の任意の位置に対して白下地を付与すべきことが指定されているものとする。また、入力画像は、着色成分(例えば、CMYK)からなる画像(好ましくはカラーの入力画像)とする。また、白下地の情報の形式は任意であり、例えば、一般的なDTP(Desktop publishing)アプリケーションの特色版としてもよいし、専用のフォーマットとしてもよい。
【0054】
まず、色材削減量の分配比決定処理について、
図12を参照して説明する。この色材削減量の分配比決定処理は、入力画像に対する色材量制限処理の前に一度行えばよい。
【0055】
コントローラ20の制御部21(分配比決定部26)は、予め作成された色彩値取得用のプリンタプロファイルを記憶部22などから取得する(S101)。ここでは、白下地を用いないCMYKトナーのみによるICC(International Color Consortium)プロファイルを用いる。なお、白下地を除いた着色成分(CMYK)の組み合わせ(補間計算により実質的に全ての組み合わせを網羅できるような、例えば各色9点(0、10、20、30、40、55、70、85、100%)の組み合わせ)に対して、白紙上に印刷した際の色彩値が取得可能であれば、ICCプロファイル形式でなくてもよい。また、ICCプロファイルは、白下地を使用した場合の色彩値の情報を含んでいてもよい。
【0056】
次に、制御部21(分配比決定部26)は、カラーのデバイス値(CMYK値)を1つ選択する(S102)。その際、デバイス値と分配比とを対応付けるリストが、補間計算により実質的に全ての組み合わせを網羅できるように、例えば各色9点(0、10、20、30、40、55、70、85、100%)の組み合わせを設定する。そして、それらの中から選択したデバイス値に対して、順次、以下の計算を行う。
【0057】
まず、制御部21(分配比決定部26)は、色彩値(L*a*b*)を取得する(S103)。ICCプロファイルを用いる場合は、いわゆるA2Bテーブル(CMYK→L*a*b*の色変換テーブル)を参照することによって、デバイス値に対応する色彩値を取得することができる。例えば、デバイス値C、M、Y、K=10、10、10、40の場合は、L*=60となる。なお、ここでは色変換テーブルを用いたが、デバイス値に対応する色彩値を取得できる情報を用いればよく、例えば、数式を用いて色彩値を取得してもよい。
【0058】
次に、制御部21(分配比決定部26)は、取得した色彩値から色材削減量の分配比を決定する(S104)。以下、具体的に説明する。
【0059】
例えば、
図14に示すように、カラー成分の画素値に対応する色彩値が高明度になる(L*が大きくなる)ほど、色材削減量の白への分配比が小さくなる(白を相対的に多く残し、カラーを相対的に多く減らす)ように分配比を決定する。その際、高明度になるに従って色材削減量の白への分配比を小さくする明度の範囲を定義し、カラー成分の画素値に対応する明度がその範囲内であるか否かに応じて、色材削減量の白への分配比を決定する。この範囲の下限(低明度側)のp点は0〜50、好ましくは、二次色ベタの明度の35〜45(例えばBベタの明度)とすることができ、範囲の上限(高明度側)のq点は60〜85、好ましくは一次色ベタの明度の70〜80(例えばYベタの明度)とすることができる。
【0060】
また、プリンタ30が使用する色材(トナー)によって色域が変化することから、
図15に示すように、p点、q点の好ましい値は、カラー成分の色材の色空間で規定される明度範囲(最大明度、最小明度)に対する比率で定義することもできる。例えば、p点の明度の比率は(p点の明度−最小明度)/(最大明度−最小明度)となり、0.3から0.4とすることができ、q点の明度の比率は0.7から0.8とすることができる。
【0061】
更に、カラー成分の画素値に対応する明度が上記範囲内の場合において、
図16に示すように、カラー成分の画素値に対応する色彩値が高彩度になる(C*が大きくなる)ほど、色材削減量の白への分配比が小さくなる(白を相対的に多く残し、カラーを相対的に多く減らす)ように分配比を決定する。その際、高彩度になるに従って色材削減量の白への分配比を小さくする彩度の範囲を定義し、カラー成分の画素値に対応する彩度がその範囲内であるか否かに応じて、色材削減量の白への分配比を決定する。この範囲の下限(低彩度側)のr点は0〜20、好ましくは、いわゆる低彩度と呼ばれる5〜15とすることができ、範囲の上限(高彩度側)のs点は30〜60、好ましくは二次色ベタの彩度の40〜50(例えばBベタの彩度)とすることができる。なお、彩度に関しては明度よりも目視評価上の影響度が低いことから、彩度単独で分配比を決定するのではなく明度と併用することが好ましい。また、彩度に関しては上限のみを用いて彩度の範囲を定義してもよい。
【0062】
また、明度と同様に、プリンタ30が使用する色材(トナー)によって色域が変化することから、
図17に示すように、r点、s点の好ましい値は、当該明度及び色相角におけるカラー成分の彩度範囲(最大彩度、最小彩度)に対する比率で定義することもできる。例えば、r点の彩度の比率は(r点の彩度−0)/(最大彩度−0)となり、0から0.2とすることができ、s点の彩度の比率は0.4から0.6とすることができる。
【0063】
また、上記彩度の代用として、デバイス値の補色の量や無彩色(K)の量で好ましい範囲を定義することもできる。例えば、デバイス値の補色の量が少ない(有彩色=C、M、Yの、min(C、M、Y)/sum(C、M、Y)の値が小さい)ほど、色材削減量の白への分配比が小さくなるように分配比を決定することができ、好ましくは、s点の代用として0.15以下とすることができる。また、デバイス値の無彩色(K)の量が少ない(K/sum(C、M、Y、K)の値が小さい)ほど、色材削減量の白への分配比が小さくなるように分配比を決定することができ、好ましくは、s点の代用として0.15以下とすることができる。
【0064】
図12のフローチャートに戻って、制御部21(分配比決定部26)は、S102で選択したデバイス値とS104で決定した分配比とを対応付けてリストに格納する(S105)。例えば、デバイス値C、M、Y、K=10、10、10、40の場合は、白への分配比=0.5となることから、これらを対応付けてリストに格納する。このリストは、使用したプリンタプロファイル、又は、プリンタ30を識別できる情報と関連付けて記憶することが好ましい。
【0065】
次に、制御部21(分配比決定部26)は、予定したデバイス値の全てに対して処理が終了したかを判断し(S106)、未処理のデバイス値がある場合は(S106のNo)、S102に戻って同様の処理を繰り返す。
【0066】
次に、入力画像に対する色材量制限処理について、
図13を参照して説明する。
【0067】
コントローラ20の制御部21(色材量制限処理部27)は、記憶部22などからプリンタ30の色材量制限値、及び、デバイス値と色材削減量の分配比とを対応付けるリストを取得する(S201)。
【0068】
次に、制御部21(色材量制限処理部27)は、色材量制限処理の対象となる入力画像から画素値(白+CMYK値)を1つ取得する(S202)。なお、全体の処理速度向上のために、例えば、CMYK値が同じ画素に対して色材量制限処理を同時に行うなど、任意の技術を用いて色材量制限処理を実施することができる。
【0069】
次に、制御部21(色材量制限処理部27)は、画素値(白+CMYK値)と色材量制限値から、下記のように色材削減量を算出する(S203)。
色材削減量=画素値(白+CMYK値)−色材量制限値
【0070】
次に、制御部21(色材量制限処理部27)は、S202で取得した画素値(白+CMYK値)の内のCMYK値のみを用いて、デバイス値と色材削減量の分配比とを対応付けるリストから、色材削減量の白への分配比を取得する(S204)。
【0071】
次に、制御部21(色材量制限処理部27)は、取得した白への分配比に基づいて、下記のように色材削減量を白/カラーに分配する(S205)。
白の削減量=色材削減量の白への分配比×色材削減量
カラーの削減量=(1−色材削減量の白への分配比)×色材削減量
【0072】
次に、制御部21(色材量制限処理部27)は、白/カラーのそれぞれに対して、下記のように色材削減処理を実施する(S206)。なお、色材削減量を達成するためのカラーの削減方法(CMYK内の分配)は任意であり、公知の技術を使用することができる。
色材削減処理実施後の白の画素値=白の入力画素値−白の削減量
色材削減処理実施後のカラー(CMYK)の画素値=カラーの入力画素値−カラーの削減量
【0073】
次に、制御部21(色材量制限処理部27)は、予定した入力画像の全画素の処理が終了したかを判断し(S207)、未処理の画素がある場合は(S207のNo)、S202に戻って同様の処理を繰り返す。その後、コントローラ20は、色材量制限処理後の画像データをプリンタ30に転送し、プリンタ30は転送された画像データに基づいて印刷処理を実施する。なお、画像データの具体的なフォーマット、転送方法、その他の制御は任意の公知技術を使用することができる。
【0074】
このように、カラー(CMYK)と白(下地)の色材を用いて画像形成する際に、入力画素値の合計に対して出力画素値が所定の制限値以下となるような色材量制限を行う場合に、カラー成分の画素値に対応する色彩値(明度や彩度)に応じて色材削減量の白/カラーへの分配比を決定することにより、色材量制限(特に300%未満のような厳しい条件)において、白とカラーの双方の色材量を最適なバランスで減らす(削減量を分配する)ことができ、色再現の劣化を抑制することができる。
【0075】
なお、本発明は、上記実施例の記載に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、その構成や制御は適宜変更可能である。
【0076】
例えば、上記実施例では、好ましい明度範囲や彩度範囲内で、明度や彩度の増加に対して色材削減量の白への分配比が一定の割合で減少(一次関数で相関)し、上記範囲外で色材削減量の白への分配比が一定となる場合を例示したが、全体として明度や彩度が高くなるに従って白への分配比が小さくなる傾向を有していればよく、例えば範囲内における分配比の変化の割合や範囲外における分配比の値は適宜設定することができる。
【0077】
また、上記実施例では、プリンタ30として電子写真プリンタを例示したが、UV(ultraviolet)硬化型インクなどを用いるインクジェットプリンタに対しても、本発明の色材量制限処理方法を同様に適用することができる。