(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記冷却用モジュールは、上記接続機器との間で熱伝導可能な冷却バスバ(35)と、上記冷却器に放熱するための放熱部(32)と、上記冷却バスバと上記放熱部とを接続する接続端子(34)と、を有する、請求項1に記載の電力変換装置。
上記冷却用モジュールは、上記接続端子と上記冷却バスバとの接続構造が上記半導体モジュールのパワー端子(12)と上記バスバとの接続構造と同一である、請求項2〜5のいずれか一項に記載の電力変換装置。
上記冷却器は、いずれも冷媒が流れる複数の冷却管(23)を有し、上記複数の冷却管の互いに隣り合う2つの冷却管(23)が対向空間(S)を隔てて積層配置された積層型冷却器であり、
上記半導体モジュール及び上記冷却用モジュールは、上記対向空間に配置されて上記2つの冷却管によって挟み込まれるように構成されている、請求項1〜6のいずれか一項に記載の電力変換装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この種の電力変換装置では、通電時にバスバで生じた熱がこのバスバに接続されている接続機器に伝わるため、この接続機器が熱による影響を受け易い。とりわけ、耐熱性の低い接続機器が受ける影響が大きくなる。このため、接続機器がバスバで生じた熱による影響を受けるのを抑制するための冷却構造が必要になる。
【0005】
この冷却構造について、特許文献1に開示のパワーコントロールユニットは、外壁の内面に冷却器が接する一方で外壁の外面にバスバが接しており、バスバが外壁の内側から冷却器で冷却されるように構成されている。
【0006】
本構成の場合、バスバを筐体の外側に配策することでバスバが長くなり抵抗が増えるため発熱が大きくなる。また、発熱体であるバスバと冷却器との間に外壁が介在するため、バスバで生じた熱が外壁を介して冷却器側へ移動しにくい。従って、バスバに接続されている接続機器について高い冷却効果を得るのが難しい。
特に、電力変換装置における大電流化に伴ってバスバの発熱が大きくなると、接続機器を所望のレベルで冷却することができないという問題が生じ得る。かといって、接続機器に専用の冷却器を設けると、今度はユニット全体が大型になり車両搭載性が低下する。
【0007】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、半導体モジュールにバスバを介して電気的に接続された接続機器の冷却性能を装置の大型化を伴うことなく向上させることができ電力変換装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、
電源(3)とモータ(4)との間の通電経路に設けられる半導体モジュール(10)と、
上記半導体モジュールを冷却する冷却器(20)と、
上記半導体モジュールにバスバ(16,17,18)を介して電気的に接続された接続機器(5,6,9)と、
上記接続機器を上記冷却器に熱伝導可能に接続する冷却用モジュール(30,130)と、
を備える、電力変換装置(1,101)、
にある。
【発明の効果】
【0009】
上記の電力変換装置において、冷却器は、電源とモータとの間の通電経路に設けられる半導体モジュールを冷却する機能を有する。また、冷却用モジュールは、半導体モジュールにバスバを介して電気的に接続された接続機器を冷却器に熱伝導可能に接続する。このとき、接続機器は、冷却源である冷却器によって冷却された冷却用モジュールを用いて間接的に冷却される。即ち、接続機器の熱は、冷却用モジュールから冷却器に伝わって放熱される。従って、通電時にバスバが発熱したときでもこのバスバに電気的に接続されている接続機器が高温になるのを防ぐことができる。とりわけ、接続機器の耐熱性が低い場合には、冷却用モジュールを使用することによって、この接続機器が受ける熱による影響を小さくできる。
【0010】
また、冷却器による冷却機能は、半導体モジュールの冷却のみならず、冷却用モジュールを介して接続機器の冷却にも使用される。即ち、冷却器が接続機器のための冷却に兼用されている。このため、接続機器に専用の冷却器を設ける必要がなく、装置全体が大型になり車両搭載性が低下するのを防ぐことができる。
【0011】
以上のごとく、上記態様によれば、半導体モジュールにバスバを介して電気的に接続された接続機器の冷却性能を装置の大型化を伴うことなく向上させることができる電力変換装置を提供できる。
【0012】
なお、特許請求の範囲及び課題を解決する手段に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、電力変換装置に係る実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0015】
なお、本明細書の図面では、特に断わらない限り、電力変換装置を構成する複数の半導体モジュール及び複数の冷却管の積層方向である第1方向を矢印Xで示し、その第1方向Xと直交する第2方向を矢印Yで示し、第1方向X及び第2方向Yの両方に直交する第3方向を矢印Zで示すものとする。
【0016】
(実施形態1)
図1,2に示されるように、実施形態1の電力変換装置1は、ケース2内にいずれも収容された、複数(
図1では3つ)の半導体モジュール10と、冷却器20と、複数(
図1では2つ)の冷却用モジュール30と、を備えている。ケース2は、熱伝導の良い材料、所謂「熱引き」の良い金属材料によって構成されている。
【0017】
この電力変換装置1は、例えば、電気自動車やハイブリッド自動車等に搭載され、直流の電源電力を駆動用モータの駆動に必要な交流電力に変換するインバータとして用いられる。従って、この電力変換装置1は、「インバータ1」或いは「インバータ装置1」とも称呼される。
【0018】
半導体モジュール10は、直流電源である電源3と交流モータであるモータ4との間の通電経路に設けられている。また、この通電経路には、半導体モジュール10の他に、コンデンサ素子を内蔵したコンデンサ5と、電源3に電気的に接続されたPNコネクタ6と、モータ4に電気的に接続された三相コネクタ7と、電流センサ9と、制御回路基板19(
図2参照)が設けられている。
【0019】
半導体モジュール10は、スイッチング素子14(
図2参照)を内蔵した本体部11と、3つのパワー端子12と、制御回路基板19に電気的に接続された複数の制御端子13(
図2参照)と、放熱部15(
図2参照)と、を有する。3つのパワー端子12は、本体部11から第3方向Zの一方向に互いに平行に突出しており、複数の制御端子13は、本体部11からパワー端子12とは逆方向に互いに平行に突出している。
【0020】
半導体モジュール10の3つのパワー端子12は、正極端子12Pと、負極端子12Nと、出力端子12Aと、に分類される。正極端子12P及び負極端子12Nは、金属製のバスバ16を介して接続機器であるコンデンサ5のコンデンサ素子(図示省略)に電気的に接続されている。バスバ16は、正極バスバ16Pと、負極バスバ16Nと、に分類される。このため、コンデンサ5は、バスバ16を介して半導体モジュール10に電気的に接続されており、その接続については、正極バスバ16Pを介して正極端子12Pに接続され、且つ負極バスバ16Nを介して負極端子12Nに接続されている。正極バスバ16Pと正極端子12Pとの接続、負極バスバ16Nと負極端子12Nとの接続については、ともに溶接が使用されている。
【0021】
なお、
図1では、コンデンサ5から3つの正極バスバ16P及び3つの負極バスバ16Nが突出した構造が記載されているが、3つの正極バスバ16P同士は同電位であり、3つの負極バスバ16N同士も同電位である。このため、3つの正極バスバ16Pが一体化された1つのバスバとして構成され、また3つの負極バスバ16Nが一体化された1つのバスバとして構成されてもよい。
【0022】
3つの半導体モジュール10の3つの出力端子12Aのそれぞれは、金属製のバスバ18を介して三相コネクタ7に電気的に接続されている。出力端子12Aとバスバ18との接続については溶接が使用されている。
【0023】
3つのバスバ18のそれぞれを流れる電流は、配線保持体8によって保持された3つの電流センサ9のそれぞれによって検出されるようになっている。この場合、電流センサ9は、半導体モジュール10にバスバ18を介して電気的に接続された接続機器として構成されている。
図2に示されるように、電流センサ9は、制御回路基板19に接続されており、その検出情報が制御回路基板19に伝送されるようになっている。
【0024】
制御回路基板19は、半導体モジュール10に供給された直流電力を交流電力に変換するために、この半導体モジュール10の本体部11に内蔵されているスイッチング素子14のスイッチング動作(オンオフ動作)を制御するように構成されている。スイッチング素子14として典型的には、IGBT(すなわち、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)、MOSFET(すなわち、MOS型電界効果トランジスタ)等の任意のスイッチング素子が使用される。
【0025】
コンデンサ5は、金属製のバスバ17を介してPNコネクタ6に電気的に接続されている。バスバ17は、正極バスバ17Pと、負極バスバ17Nと、に分類される。このため、コンデンサ5は、PNコネクタ6との接続については、正極バスバ17Pを介して正極端子(図示省略)に電気的に接続され、且つ負極バスバ17Nを介して負極端子(図示省略)に電気的に接続されている。また、PNコネクタ6は、2つのバスバ16,17及びコンデンサ5を介して半導体モジュール10に電気的に接続された接続機器として構成されている。
【0026】
冷却器20は、いずれも冷媒wが流れる複数(
図1では6つ)の冷却管23を有し、これら複数の冷却管23がその積層方向である第1方向X(「積層方向X」ともいう。)に積層配置された積層型冷却器として構成されている。複数の冷却管23のうちの互いに隣り合う2つの冷却管23が対向空間Sを隔てて配置されている。この冷却器20において、流入管21を通じて流入した冷媒wは、複数の冷却管23を第2方向Yに並列的に流れた後に合流し、流出管22を通じて流出する。
【0027】
冷却用モジュール30は、コンデンサ5及びPNコネクタ6のそれぞれを冷却器20に熱伝導可能に接続する機能を有する。本実施形態では、第1接続機器であるコンデンサ5及び第2接続機器であるPNコネクタ6のそれぞれが冷却器20を挟んでその両側のそれぞれに配置されている。また、冷却用モジュール30は、コンデンサ5とPNコネクタ6との間に配置されている。
【0028】
図3及び
図4に示されるように、この冷却用モジュール30は、本体部31と、コンデンサ5及びPNコネクタ6のそれぞれとの間で熱伝導可能な金属製の冷却バスバ35と、冷却器20に放熱するための放熱部32と、電気絶縁体33と、冷却バスバ35と放熱部32とを接続する接続端子34と、を有する。
【0029】
本体部31は、樹脂材料31aによって放熱部32及び接続端子34の一部が埋設された樹脂モールド部として構成されている。放熱部32は、第1方向Xの両面が本体部31から露出しており、この露出面が電気絶縁体33によって被覆されている。このため、放熱部32は、電気絶縁体33を介して冷却器20の冷却管23に接するように構成されている。
【0030】
図1,
図3に示されるように、冷却バスバ35は、第1冷却バスバ35Pと、第2冷却バスバ35Nと、に分類される。一方で、接続端子34は、本体部31から半導体モジュール10の2つのパワー端子12と同方向に突出している。接続端子34は、コンデンサ5寄りに配置され且つ第1冷却バスバ35Pの一端部に接続された第1接続端子34Pと、PNコネクタ6寄りに配置され且つ第2冷却バスバ35Nの一端部に接続された第2接続端子34Nと、に分類される。
【0031】
なお、接続端子34と冷却バスバ35との接続構造として、半導体モジュール10のパワー端子12とバスバ16,18との接続構造と同一である溶接が使用されている。従って、第1接続端子34Pが第1冷却バスバ35Pの一端部に溶接によって接続され、第2接続端子34Nが第2冷却バスバ35Nの一端部に溶接によって接続されている。
【0032】
第1接続端子34Pは、第1冷却バスバ35Pを介してコンデンサ5に接続され、また第2接続端子34Nは、第2冷却バスバ35Nを介してPNコネクタ6に接続されている。この場合、第1冷却バスバ35P及び第2冷却バスバ35Nは、熱伝導経路を形成するとともに、コンデンサ5とPNコネクタ6との間の直流電流の通電経路を形成している。
【0033】
冷却用モジュール30は、半導体モジュール10の本体部11と同一寸法の本体部31を有する。この場合、冷却用モジュール30は、複数の冷却管23の積層方向である第1方向X(「積層方向X」ともいう。)について、半導体モジュール10の本体部11と同一厚み(対向空間Sの第1方向Xの寸法に相当する厚み)の本体部31を有する。このため、互いに隣り合う2つの冷却管23の対向空間Sを、冷却用モジュール30を両側から挟み込むための空間に利用できる。
【0034】
図5に示されるように、半導体モジュール10と、冷却用モジュール30と、冷却器20と、によって半導体積層ユニットが形成されている。この半導体積層ユニットにおいて、3つの半導体モジュール10と複数の冷却管23とが第1方向Xに交互に積層配置されている。また、特に図示しないものの、半導体モジュール10は、本体部11の放熱部15(
図2参照)が
図4中の電気絶縁体33と同様の電気絶縁体を介して冷却管23に接するように構成されている。同様に、2つの冷却用モジュール30と複数の冷却管23とが第1方向Xに交互に積層配置されている。
【0035】
従って、各半導体モジュール10は、対応する対向空間Sに配置されて2つの冷却管23によって第1方向Xの両側面から挟み込まれている。この場合、5つの対向空間Sのうち第1方向Xに連続して配置された3つの対向空間Sのそれぞれに3つの半導体モジュール10のそれぞれが配置されている。また、半導体モジュール10と同様に、各冷却用モジュール30も、対応する対向空間Sに配置されて2つの冷却管23によって第1方向Xの両側面から挟み込まれている。この場合、5つの対向空間Sのうち半導体モジュール10が配置される対向空間Sとは別に第1方向Xに連続して配置された2つの対向空間Sのそれぞれに2つの冷却用モジュール30のそれぞれが配置されている。これにより、冷却器20の冷却管23は、半導体モジュール10を冷却する本来の機能に加えて、冷却用モジュール30を冷却する機能を有する。
【0036】
図6に示されるように、電力変換装置1のインバータ回路は、3相のレグを備える。すなわち、3相のレグは、電源3の正極側と負極側に互いに並列に接続されている。
【0037】
各レグは、互いに直列接続された上アームスイッチング素子14uと下アームスイッチング素子14dとによって形成されている。これらの上アームスイッチング素子14u及び下アームスイッチング素子14dが、一つの半導体モジュール10の本体部11に内蔵されている。
【0038】
そして、各レグにおける、上アームスイッチング素子14uと下アームスイッチング素子14dとの接続点が、バスバ18及び三相コネクタ7(
図1参照)を介してモータ4の3つの電極に接続されている。また、各スイッチング素子14には、フライホイールダイオードが逆並列接続されている。
【0039】
また、2つの冷却用モジュール30の2つの放熱部32は、電源3の正極側と負極側に互いに並列に接続されている。
【0040】
次に、上述の実施形態1の作用効果について説明する。
【0041】
上記の電力変換装置1において、冷却器20は、電源3とモータ4との間の通電経路に設けられる半導体モジュール10を冷却する機能を有する。また、冷却用モジュール30は、半導体モジュール10にバスバ16,17を介して電気的に接続されたコンデンサ5及びPNコネクタ6のそれぞれを冷却器20に熱伝導可能に接続する。このとき、コンデンサ5及びPNコネクタ6はいずれも、冷却源である冷却器20によって冷却された冷却用モジュール30を用いて間接的に冷却される。即ち、コンデンサ5及びPNコネクタ6の熱は、冷却用モジュール30の放熱部32から冷却器20に伝わって放熱される。従って、通電時にバスバ16,17が発熱したときでもこのバスバ16,17に電気的に接続されているコンデンサ5及びPNコネクタ6のそれぞれが高温になるのを防ぐことができる。とりわけ、接続機器であるコンデンサ5やPNコネクタ6の耐熱性が低い場合には、冷却用モジュール30を使用することによって、これらの接続機器が受ける熱による影響を小さくできる。
【0042】
また、冷却器20による冷却機能は、半導体モジュール10の冷却のみならず、冷却用モジュール30を介してコンデンサ5及びPNコネクタ6の冷却にも使用される。即ち、冷却器20がコンデンサ5及びPNコネクタ6のための冷却に兼用されている。このため、コンデンサ5及びPNコネクタ6に専用の冷却器を設ける必要がなく、装置全体が大型になり車両搭載性が低下するのを防ぐことができる。
【0043】
従って、実施形態1によれば、半導体モジュール10にバスバ16,17を介して電気的に接続されたコンデンサ5及びPNコネクタ6の冷却性能を装置の大型化を伴うことなく向上させることができる電力変換装置1を提供できる。
【0044】
上記の電力変換装置1において、冷却用モジュール30の放熱部32から冷却器20の冷却管23に熱が移動することによって放熱される。これにより、冷却用モジュール30の第1冷却バスバ35Pに接続されているコンデンサ5と、第2冷却バスバ35Nに接続されているPNコネクタ6がともに冷却される。このような電力変換装置1によれば、コンデンサ5及びPNコネクタ6を冷却するための冷却用モジュール30の構造を簡素化できる。
【0045】
上記の電力変換装置1によれば、PNコネクタ6とコンデンサ5との間の直流電流の通電経路を形成するためのバスバを利用して、コンデンサ5及びPNコネクタ6を冷却するための冷却用モジュール30の第1冷却バスバ35P及び第2冷却バスバ35Nを構築することができる。
【0046】
上記の電力変換装置1によれば、半導体モジュール10のための冷却器20を利用してコンデンサ5及びPNコネクタ6を冷却する冷却用モジュール30を、コンデンサ5とPNコネクタ6との間に配置することによって、第1接続端子34Pとコンデンサ5との間に延在する第1冷却バスバ35Pのバスバ長さ、及び第2接続端子34NとPNコネクタ6との間に延在する第2冷却バスバ35Nのバスバ長さを短く抑えることが可能になる。
【0047】
上記の電力変換装置1によれば、冷却用モジュール30の接続端子34と冷却バスバ35との接続構造を半導体モジュール10のパワー端子12とバスバ16,18との接続構造と同一にして合わせることによって、接続に関する製造設備が増えてコストが高くなるのを防ぐことができる。この接続構造として、特に溶接を使用することによって、接続に要する部品点数を少なくできる。
【0048】
上記の電力変換装置1によれば、積層型冷却器である冷却器20の2つの冷却管23で冷却用モジュール30を挟み込む構造を採用することによって、冷却用モジュール30の設置のために冷却器20の冷却管23の積層数を増やすことによって対応できる。この場合、冷却器20の寸法を大幅に増やすことなく冷却用モジュール30の設置に要するスペースを確保することが可能になる。
【0049】
上記の電力変換装置1によれば、冷却用モジュール30の本体部31を半導体モジュール10の本体部11と同一厚みに設定することによって、冷却器20の複数の冷却管23の対向空間Sの寸法を一定にすることができる。これにより、冷却器20の構造が複雑になるのを防ぐことができる。
【0050】
以下、上記の実施形態1に関連する他の実施形態について図面を参照しつつ説明する。他の実施形態において、実施形態1の要素と同一の要素には同一の符号を付しており、当該同一の要素についての説明を省略する。
【0051】
(実施形態2)
図7及び
図8に示されるように、実施形態2の電力変換装置101は、冷却用モジュール130の構造が実施形態1の電力変換装置1の冷却用モジュール30と相違している。
その他の構成は、実施形態1と同様である。
【0052】
冷却用モジュール130は、冷却用モジュール30と比較した場合、第1接続端子34P及び第2接続端子34Nを有する点、放熱部32(
図8参照)を有する点で構造が一致しており、第1冷却バスバ35Pに相当するバスバを有していない点で構造が相違している。
【0053】
冷却用モジュール130の接続端子34の一方である第2接続端子34Nは、冷却バスバ35の一端部に溶接によって接続されている。また、この冷却バスバ35は、金属製のバスバ18Aによって半導体モジュール10の出力側のバスバである3つのバスバ18に接続されている。この場合、冷却用モジュール130は、冷却バスバ35がバスバ18,18Aに熱伝導可能に接続されており、従ってこれらのバスバ18,18Aを介して接続機器としての電流センサ9に熱伝導可能に接続されるように構成されている。本構成の場合、冷却バスバ35は通電経路を形成するものではなく、熱伝導経路のみを形成している。
【0054】
なお、この冷却用モジュール130では、実質的に第2接続端子34Nのみが使用されるため、第1接続端子34Pを省略することもできる。一方で、冷却用モジュール130と種々の接続機器との接続についての汎用性を考慮する必要がある場合には、第1接続端子34Pと第2接続端子34Nを有する冷却用モジュール130を使用するのが好ましい。
【0055】
実施形態2の電力変換装置101において、冷却用モジュール130は、冷却バスバ35及びバスバ18,18Aを介して電流センサ9との間で熱伝導可能である。これにより、半導体モジュール10にバスバ18を介して電気的に接続された電流センサ9の冷却性能を装置の大型化を伴うことなく向上させることができる電力変換装置101を提供できる。
その他、実施形態1と同様の作用効果を奏する。
【0056】
なお、この実施形態2に特に関連する変更例として、バスバ18Aを3つのバスバ18のうちの少なくとも1つに接続する構造や、冷却バスバ35をバスバ18に代えて或いは加えてバスバ16及びバスバ17の少なくとも一方に接続する構造を採用することもできる。
【0057】
本発明は、上述の典型的な実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の応用や変更が考えられる。例えば、上述の実施形態を応用した次の各形態を実施することもできる。
【0058】
上述の実施形態では、3つの半導体モジュール10と2つの冷却用モジュール30とを有する電力変換装置1,101について例示したが、半導体モジュール10及び冷却用モジュール30のそれぞれの数は例示的なものであり、必要に応じて適宜に変更可能である。この場合、半導体モジュール10と冷却用モジュール30の数に応じて、冷却器20の冷却管23の数を定めることができる。
【0059】
上述の実施形態では、冷却用モジュール30の接続端子34と冷却バスバ35とを溶接によって接続する場合について例示したが、これに代えて、接続端子34と冷却バスバ35とをボルト締結によって接続する構造を採用することもできる。この場合、接続構造を合わせるために、半導体モジュール10のパワー端子12とバスバ16,18とをボルト締結によって接続する構造を採用するのが好ましい。
【0060】
上述の実施形態では、冷却器20の2つの冷却管23で冷却用モジュール30を挟み込む構造について例示したが、これに代えて、冷却用モジュール30を冷却器20の外部に配置する構造を採用することもできる。
【0061】
冷却器20の2つの冷却管23で冷却用モジュール30を挟み込む構造の場合、冷却用モジュール30の本体部31が第1方向Xについて半導体モジュール10の本体部11と同一厚みであれば、本体部31の第2方向Yの寸法や第3方向Zの寸法が本体部11のものと相違していてもよい。或いは、冷却用モジュール30の本体部31の第1方向Xの厚みが本体部11の第1方向Xの厚みと異なる構造を採用することもできる。
【0062】
上述の実施形態では、半導体モジュール10にバスバ16,17,18を介して電気的に接続された接続機器としてコンデンサ5、PNコネクタ6、電流センサ9について例示したが、この接続機器として、リアクトルなどの機器を採用することもできる。
【0063】
上述の実施形態では、半導体モジュール10の両側面を2つの冷却管23で挟み込んで冷却する積層型の冷却器20について例示したが、冷却器はこの冷却器20のみに限定されるものではない。例えば、この冷却器20に代えて、半導体モジュール10の片面を冷却する構造の冷却器を採用することもできる。
【0064】
上述の実施形態では、冷却器20の5つの対向空間Sのうち連続した3つの対向空間Sのそれぞれに半導体モジュール10が配置され、且つ連続した2つの対向空間Sのそれぞれに冷却用モジュール30が配置される場合について例示したが、半導体モジュール10及び冷却用モジュール30が配置される対向空間Sはこれに限定されるものではなく、必要に応じて適宜に選択が可能である。
【0065】
例えば、半導体モジュール10及び冷却用モジュール30を5つの対向空間Sに交互に配置したり、5つの対向空間Sにランダムに配置したりすることもできる。また、1つの対向空間Sに半導体モジュール10及び冷却用モジュール30を横並びで配置することもできる。更には、半導体モジュール10及び冷却用モジュール30のいずれも配置されない空の対向空間Sを設けるようにしてもよい。
【0066】
上述の実施形態では、接続機器であるコンデンサ5とPNコネクタ6との間に冷却器20及び冷却用モジュール30が配置される場合について例示したが、これらの接続機器に対する冷却器20及び冷却用モジュール30のそれぞれの配置についてはこれに限定されるものではなく必要に応じて変更が可能である。