(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0026】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
本実施形態における車両1は、乗員が乗降する車室よりも車両前方の前部車体に、略環状となる環状車体骨格を備えた車両である。このような車両1の前部車体構造について、
図1から
図22を用いて説明する。
【0027】
なお、
図1は前部車体の車両前方上方視における外観斜視図を示し、
図2は前部車体の平面図を示し、
図3は前部車体の左側面図を示し、
図4は
図2中のA−A矢視断面図を示し、
図5は
図2中のB−B矢視断面図を示し、
図6は
図2中のC−C矢視断面図を示し、
図7はエプロンレインロア822の車両前方上方視における外観斜視図を示し、
図8は
図2中のD−D矢視断面図を示し、
図9はフロントサイドフレーム10の後端の車両前方下方視における外観斜視図を示し、
図10はフロントサイドフレーム10の前端近傍における車幅方向内側の外観斜視図を示している。
【0028】
さらに、
図11はフロントサイドフレーム10の前端近傍における車幅方向外側の外観斜視図を示し、
図12はフロントサイドフレーム10の前端近傍における内部構成の左側面図を示し、
図13はサスペンションハウジング12近傍におけるフロントサイドフレーム10の内部構成の左側面図を示し、
図14は
図3中のE−E矢視断面図を示し、
図15は
図3中のF−F矢視断面図を示し、
図16は車両右側のサスペンションハウジング12の外観斜視図を示している。
【0029】
さらにまた、
図17は
図13中のG−G矢視断面図を示し、
図18はサブフレーム14の車両前方上方視における外観斜視図を示し、
図19は第1環状車体骨格W1を説明する説明図を示し、
図20は第2環状車体骨格W2を説明する説明図を示し、
図21は第3環状車体骨格W3、第4環状車体骨格W4、及び第5環状車体骨格W5を説明する説明図を示し、
図22は第6環状車体骨格W6、及び第7環状車体骨格W7を説明する説明図を示している。
【0030】
また、図示を明確にするため、
図3及び
図22中においてロアアーム22の図示を省略し、
図4及び
図21中においてタワーバー13の図示を省略し、
図7中においてエプロンレインアッパ821の図示を省略している。さらに、
図12及び
図13中においてサイドフレームアウタ102の図示を省略し、
図18中においてフロントサスダンパ20の図示を省略している。
【0031】
また、図中において、矢印Fr及びRrは前後方向を示しており、矢印Frは前方を示し、矢印Rrは後方を示している。
さらに、矢印Rh及びLhは幅方向を示しており、矢印Rhは右方向を示し、矢印Lhは左方向を示している。加えて、矢印INは車幅方向内側を示し、矢印OUTは車幅方向外側を示している。
【0032】
本実施形態における車両1の前部車体は、
図1から
図4に示すように、車幅方向に所定間隔を隔てた位置で車両上下方向に延びる左右一対のヒンジピラー2と、ヒンジピラー2の上部を車幅方向に連結するカウルボックス3と、ヒンジピラー2の間に配設されたダッシュパネル4と、ヒンジピラー2の下部を車幅方向に連結するダッシュクロスメンバ5と、ダッシュクロスメンバ5の車両上方に配設された補強メンバ6と、ダッシュクロスメンバ5の車両下方に配設された左右一対のトルクボックス7とを備えている。
【0033】
さらに、車両1の前部車体は、
図1から
図3に示すように、ヒンジピラー2の上部から車両前方へ延びる左右一対のエプロンレインフォースメント8と、エプロンレインフォースメント8の前端を車幅方向に連結するシュラウドアッパ9と、エプロンレインフォースメント8よりも車幅方向内側、かつ車両下方を車両前後方向に延びる左右一対のフロントサイドフレーム10とを備えている。
【0034】
加えて、車両1の前部車体は、
図1及び
図3に示すように、シュラウドアッパ9、及びフロントサイドフレーム10の前端を車両上下方向に連結する左右一対のシュラウドメンバ11と、ヒンジピラー2、及びシュラウドメンバ11の間に配設された左右一対のサスペンションハウジング12と、左右のサスペンションハウジング12を連結するタワーバー13と、フロントサイドフレーム10の車両下方に配設されたサブフレーム14とを備えている。
【0035】
そして、車両1の前部車体は、
図1及び
図3に示すように、シュラウドメンバ11と略同じ車両前後方向の位置において、フロントサイドフレーム10、及びサブフレーム14を連結する左右一対の前方連結部材15と、サスペンションハウジング12と略同じ車両前後方向の位置において、フロントサイドフレーム10、及びサブフレーム14を連結する後方連結部材16とを備えている。
【0036】
引き続き、上述した車両1の前部車体を構成する各構成要素について、詳述すると、ヒンジピラー2は、
図1及び
図3に示すように、車室下部を構成するとともに、車両前後方向に延びる閉断面部材であるサイドシル17の前端と、サイドシル17の車両上方を車両前後方向に延びる閉断面部材であるフロントピラー18の前端とを、車両上下方向に連結している。
【0037】
このヒンジピラー2は、詳細な図示を省略するが、車両前後方向に沿った水平断面における断面形状が閉断面をなす閉断面部材であって、車幅方向内側に配設されたヒンジピラーインナと、ヒンジピラーインナに対して車幅方向外側に配設されたヒンジピラーアウタとで構成されている。
【0038】
また、カウルボックス3は、
図2に示すように、平面視において、車幅方向略中央が車両前方へ突出した平面視略円弧状に形成されている。このカウルボックス3は、
図5に示すように、車両前後方向に沿った縦断面における断面形状が閉断面をなす閉断面部材であって、車両下方に配設されたカウルロア31と、カウルロア31を車両上方から覆うカウルアッパ32とで構成されている。
【0039】
また、ダッシュパネル4は、
図1、
図4、及び
図5に示すように、車室の前壁をなすパネル部材であって、車幅方向の両端がそれぞれ左右のヒンジピラー2に接合されるとともに、上端がカウルボックス3のカウルロア31に接合されている。
【0040】
さらに、ダッシュパネル4における車幅方向略中央近傍の下端縁は、
図4に示すように、正面視において、車室内を車両前後方向に延びるフロアトンネル(図示省略)に沿うように、車両上方へ略逆U字状に突出した形状に形成されている。このフロアトンネルに沿った形状に形成された下端縁を、トンネル対応部分4aとする。
【0041】
また、ダッシュクロスメンバ5は、
図4に示すように、左右のヒンジピラー2の下部を、ダッシュパネル4の下端縁に沿って車幅方向に連結している。このダッシュクロスメンバ5は、詳細な図示を省略するが、車両前後方向に沿った縦断面において、ダッシュパネル4とで閉断面をなすように、車両前方へ突出した断面略ハット状に形成されている。
【0042】
より詳しくは、ダッシュクロスメンバ5は、
図4に示すように、正面視において、ダッシュパネル4のトンネル対応部分4aに沿うように車両上方へ突出した正面視略門型形状の門型形状部5aと、門型形状部5aの下端からそれぞれ左右のヒンジピラー2へ向けて車幅方向外側へ延設された水平延設部5bとで一体形成されている。
【0043】
また、補強メンバ6は、
図4に示すように、正面視において、ダッシュクロスメンバ5における門型形状部5aの車両上方において、ダッシュパネル4を補強する補強部材として配設されている。この補強メンバ6は、上端がカウルボックス3に接合され、下端がダッシュクロスメンバ5の門型形状部5aに接合されている。
【0044】
より詳しくは、補強メンバ6は、
図4に示すように、車両下方が開口した正面視略門型形状の補強メンバ本体6aと、補強メンバ本体6aで囲われた部分を覆う略平板状の平板部6bとで一体形成されている。
【0045】
補強メンバ本体6aは、
図5に示すように、車両前後方向に沿った縦断面において、カウルボックス3のカウルロア31、及びダッシュパネル4とで閉断面をなすように、車両前方へ突出した断面形状に形成されている。
平板部6bには、
図4及び
図5に示すように、車両前方へ突出するとともに、車幅方向に延びるリブ6cが、車両上下方向に所定間隔を隔てて2つ形成されている。
【0046】
また、トルクボックス7は、
図1及び
図4に示すように、ダッシュクロスメンバ5における水平延設部5bの車両下方に隣接するとともに、サイドシル17とフロントサイドフレーム10とを車幅方向に連結している。このトルクボックス7は、詳細な図示を省略するが、サイドシル17に対して車幅方向内側で隣接するダッシュパネル4とで、車両前後方向に沿った縦断面における断面形状が閉断面をなす略ボックス状に形成されている。
【0047】
また、エプロンレインフォースメント8は、
図2に示すように、平面視において、車両前後方向に略直線的に延びる形状に形成された閉断面部材であって、後端に対して前端が車幅方向内側に位置するように配設されている。
【0048】
なお、エプロンレインフォースメント8における車幅方向内側の縁端は、
図2に示すように、平面視において、後述するサスペンションハウジング12のダンパ取付け部121aと略同じ車両前後方向の位置に頂部が位置するように、車幅方向内側へ突出した平面視略円弧状に形成されている。
【0049】
より詳しくは、エプロンレインフォースメント8は、
図1及び
図3に示すように、ヒンジピラー2の上部に後端が接合されたエプロンレイン後部81と、エプロンレイン後部81に接合されたエプロンレイン前部82とで構成されている。
【0050】
エプロンレイン後部81は、
図2及び
図3に示すように、後述するサスペンションハウジング12の後端よりも僅かに車両後方の位置に前端が位置する車両前後方向の長さで形成されている。このエプロンレイン後部81は、
図5に示すように、車幅方向に沿った縦断面における断面形状が閉断面形状となるように形成されている。
【0051】
エプロンレイン前部82は、
図3に示すように、側面視において、略水平な上面に対して、下面がホイールアーチをなすように湾曲した形状に形成されている。このエプロンレイン前部82は、
図6及び
図7に示すように、車幅方向に沿った縦断面における断面形状が断面略矩形の閉断面形状であって、車両上方に配置されたエプロンレインアッパ821と、エプロンレインアッパ821に対して車両下方に配置されたエプロンレインロア822とで構成されている。
【0052】
具体的には、エプロンレインアッパ821は、
図6に示すように、車幅方向に沿った縦断面における断面形状が、車両上方に突出した断面略ハット状に形成されている。
一方、エプロンレインロア822は、
図6及び
図7に示すように、車幅方向に沿った縦断面における断面形状が、車両下方に突出した断面略ハット状に形成されている。
【0053】
このエプロンレインロア822は、
図7に示すように、サスペンションハウジング12に一体形成されたエプロンレイン構成部124と、エプロンレイン構成部124から連続する形状に形成された鉄鋼製のロアパネル823とを、車両後方からこの順番で接合して一体的に構成している。なお、エプロンレイン構成部124については、後ほど詳述する。
【0054】
また、シュラウドアッパ9は、
図8に示すように、車両前後方向に沿った縦断面における断面形状が閉断面となる閉断面部材であって、車両下方に突出した断面略ハット状のシュラウドロアパネル91と、車両上方に突出した断面略ハット状のシュラウドアッパパネル92とで構成されている。
【0055】
また、フロントサイドフレーム10は、
図3及び
図9に示すように、ダッシュパネル4の下部からエプロンレインフォースメント8の前端に至る車両前後方向の長さを有する閉断面部材である。
このフロントサイドフレーム10の後端は、
図9に示すように、フロアパネル(図示省略)とで車両前後方向に延びる閉断面をなすフロアフレーム19の前端から、ダッシュクロスメンバ5に至る範囲に接合されている。さらに、フロントサイドフレーム10における車幅方向外側の側面には、トルクボックス7の車幅方向内側が接合されている。
【0056】
より詳しくは、フロントサイドフレーム10は、
図6、
図10、及び
図11に示すように、車幅方向に沿った縦断面における断面形状が断面略矩形の閉断面形状であって、車幅方向内側に配設されたサイドフレームインナ101と、サイドフレームインナ101に対して車幅方向外側に配設されたサイドフレームアウタ102とで構成されている。
【0057】
サイドフレームインナ101は、
図10に示すように、車幅方向内側に突出した略ハット状の開断面を車両前後方向に延設した形状に形成されている。
一方、サイドフレームアウタ102は、
図11に示すように、サイドフレームインナ101における車幅方向の長さよりも長い車幅方向の長さで、車幅方向外側に突出した略ハット状の開断面を車両前後方向に延設した形状に形成されている。
【0058】
このようなフロントサイドフレーム10には、
図1に示すように、前端開口を閉塞するとともに、図示を省略したクラッシュカンが連結される略平板状のプレート部材103が接合されている。
【0059】
さらに、フロントサイドフレーム10の内部には、
図12及び
図13に示すように、車両前後方向に所定間隔を隔てた位置で内部空間を仕切るように、第1の節部材104、第2の節部材105、及び第3の節部材106が、車両前方からこの順番で配設されている。
【0060】
第1の節部材104は、
図12及び
図14に示すように、車両前後方向に所定の厚みを有する略平板状の平板部分と、平板部分の縁端からフランジ状に延設したフランジ部分とで一体形成されている。
【0061】
この第1の節部材104は、
図12及び
図14に示すように、後述するシュラウドメンバ11の下端後部と略同じ車両前後方向の位置に配設されるとともに、フロントサイドフレーム10の内面に接合されている。このため、フロントサイドフレーム10の内部には、プレート部材103と第1の節部材104とによって、後述するシュラウドメンバ11と連続する閉断面空間が形成されている。
【0062】
第2の節部材105は、
図12に示すように、車両前後方向に所定の厚みを有する略平板状の平板部分と、平板部分の縁端からフランジ状に延設したフランジ部分とで一体形成されている。この第2の節部材105は、第1の節部材104に対して所定間隔だけ車両後方に離間した位置に配設されている。
【0063】
第3の節部材106は、
図13に示すように、車両前後方向に所定の厚みを有する略平板状の平板部分と、平板部分の縁端からフランジ状に延設したフランジ部分とで一体形成されている。この第3の節部材106は、
図13に示すように、後述するサスペンションハウジング12の後方補強部123と、後述する後方連結部材16とを車両上下方向に連結するように、フロントサイドフレーム10の内面に接合されている。
【0064】
また、シュラウドメンバ11は、
図10、
図11、及び
図15に示すように、車両前後方向に沿った水平断面における断面形状が断面略矩形の閉断面をなす閉断面部材であって、車幅方向内側に配設された内側面構成部111と、内側面構成部111に対して車幅方向外側に配設された外側面構成部112と、内側面構成部111の車両前方側に配設された前面構成部113とで構成されている。
【0065】
具体的には、内側面構成部111は、
図10及び
図15に示すように、シュラウドメンバ11における車幅方向内側の側面となる内側面部分111aと、シュラウドメンバ11の後面となる後面部分111bと、内側面部分111aの前端から車幅方向外側へ延設した前側フランジ部分111cと、後面部分111bの車幅方向外側から車両後方へ延設した後側フランジ部分111dと、後面部分111bの下端から車両後方へ延設した下側フランジ部分111eとで一体形成されている。
【0066】
この内側面構成部111は、
図10及び
図12に示すように、内側面部分111aの下端が、サイドフレームアウタ102のフランジ部に接合され、下側フランジ部分111eが、サイドフレームアウタ102の上面を介して第1の節部材104に接合されている。
【0067】
外側面構成部112は、
図11及び
図15に示すように、サイドフレームアウタ102の車幅方向外側の側面よりも車幅方向外側に膨出した膨出部分112aと、膨出部分112aの下端縁、及び後端縁に沿って略フランジ状に設けた後側フランジ部分112bと、膨出部分112aの前端縁から車幅方向外側へ延設した前側フランジ部分112cで一体形成されている。
【0068】
この外側面構成部112の膨出部分112aは、上端からフロントサイドフレーム10の側面に至る車両上下方向の長さで形成されている。さらに、外側面構成部112は、後側フランジ部分112bの下部がサイドフレームアウタ102に接合され、後側フランジ部分112bの後部が内側面構成部111の後側フランジ部分111dに接合され、前側フランジ部分112cが前面構成部113に接合されている。
【0069】
前面構成部113は、
図10、
図11、
図14、及び
図15に示すように、車両前後方向に所定の厚みを有する略平板状であって、内側面構成部111と外側面構成部112とで構成された車両前方側の開口を閉塞する形状に形成されている。
【0070】
このため、シュラウドメンバ11は、
図14及び
図15に示すように、車両前後方向に沿った水平断面において、フロントサイドフレーム10の上面よりも車両上方では、内側面構成部111、外側面構成部112、及び前面構成部113で閉断面を形成し、フロントサイドフレーム10の上面よりも車両下方では、外側面構成部112、前面構成部113、及びフロントサイドフレーム10の側面で閉断面を形成している。
【0071】
つまり、シュラウドメンバ11は、外側面構成部112、及び前面構成部113が、フロントサイドフレーム10とで閉断面となる閉断面部を形成することで、プレート部材103と第1の節部材104とで仕切られたフロントサイドフレーム10の閉断面空間に隣接する閉断面空間を形成している。
【0072】
また、サスペンションハウジング12は、
図1及び
図3に示すように、ヒンジピラー2、及びダッシュパネル4よりも車両前方の所望位置に配設されたフロントサスダンパ20の上端、及びアッパアーム21を揺動自在に支持する高剛性部材であって、エプロンレインフォースメント8とフロントサイドフレーム10とに跨って架設されている。
【0073】
より詳しくは、サスペンションハウジング12は、
図3及び
図16に示すように、フロントサスダンパ20の上端が取付けられるサスタワー121と、サスタワー121の車両前方側に隣接する前方補強部122と、サスタワー121の車両後方側に隣接する後方補強部123と、上述したエプロンレインフォースメント8におけるエプロンレインロア822の一部となるエプロンレイン構成部124とで一体形成されている。
【0074】
このサスペンションハウジング12は、
図3に示すように、その下端がフロントサイドフレーム10におけるサイドフレームアウタ102のフランジ部に接合されている。なお、サスペンションハウジング12における後方補強部123の下端は、
図3に示すように、後述する後方連結部材16の上側基部163と略同じ車両前後方向の位置で、フロントサイドフレーム10におけるサイドフレームアウタ102のフランジ部に接合されている。
【0075】
サスタワー121は、
図13及び
図16に示すように、平面視略円形状の天板部分と、天板部分における車幅方向内側の縁端から車両下方へ延設されて、車幅方向内側の側面となる側面部分とで形成されている。このサスタワー121の天板部分には、フロントサスダンパ20の上端が取付けられる平面視略円形状のダンパ取付け部121aが形成されている。
【0076】
前方補強部122は、
図13及び
図16に示すように、サスタワー121の車両前方を補強する補強部として形成されている。この前方補強部122は、サスタワー121の天板部分と略同じ車両上下方向の位置からサスペンションハウジング12の下部に至る範囲を、車幅方向内側へ膨出させた形状に形成されている。
【0077】
後方補強部123は、
図13及び
図16に示すように、サスタワー121の車両後方を補強する補強部として形成されている。この後方補強部123は、サスタワー121の天板部分よりも車両上方の位置からサスペンションハウジング12の下部に至る範囲を、車幅方向内側へ膨出させた形状に形成されている。
【0078】
エプロンレイン構成部124は、
図7、
図16、
図17に示すように、サスタワー121、前方補強部122、及び後方補強部123の上端を一体的に車幅方向外側へ延設するとともに、エプロンレインフォースメント8のエプロンレインアッパ821とで車両前後方向に延びる閉断面をなす形状に形成されている。
【0079】
具体的には、エプロンレイン構成部124は、エプロンレインフォースメント8のロアパネル823に接合された状態において、車幅方向に沿った縦断面における断面形状が、ロアパネル823と連続する車両下方に突出した断面略ハット状になるように形成されている
このような構成のサスペンションハウジング12における車幅方向外側の面には、
図3、
図13、及び
図17に示すように、アッパアーム21における前側の連結部を揺動自在に支持する前側支持部125と、アッパアーム21における後側の連結部を揺動自在にする後側支持部126とが、サスタワー121を挟んだ車両前後方向の位置に形成されている。
【0080】
前側支持部125は、前方補強部122における車両前後方向の両端に沿って、車幅方向外側へ向けて立設された一対の壁面状に形成されている。
後側支持部126は、後方補強部123における車両前後方向の両端に沿って、車幅方向外側へ向けて立設された一対の壁面状に形成されている。
【0081】
また、タワーバー13は、
図2及び
図5に示すように、左右のサスペンションハウジング12における後方補強部123の上面を、カウルボックス3を介して連結している。
具体的には、タワーバー13は、
図2及び
図5に示すように、左右のサスペンションハウジング12の後方補強部123を連結するパイプ状のバー本体131と、バー本体131の後端を保持するとともに、カウルボックス3に連結される保持部材132とで構成されている。
【0082】
バー本体131は、
図2、
図5、及び
図7に示すように、サスペンションハウジング12の後方補強部123に連結される左右一対のフランジ部分131aと、カウルボックス3における車幅方向略中央近傍へ向けて、フランジ部分131aから車両後方、かつ車幅方向内側へ略直線的に延びる左右一対の長尺状部分131bと、長尺状部分131bの後端を連結する連結部分131cとで平面視略V字状に一体形成されている。
【0083】
保持部材132は、
図1、
図2、及び
図5に示すように、左右の長尺状部分131bにおける後端近傍と、連結部分131cとを一体的に保持する形状に形成されるとともに、補強メンバ6における門型形状部5aの上面に接合可能な形状に形成されている。
【0084】
このようなタワーバー13は、
図5に示すように、補強メンバ6における門型形状部5aの上面に保持部材132が接合されることで、ダッシュパネル4及びカウルボックス3とで閉断面をなす補強メンバ6を介して、閉断面部材であるカウルボックス3に連結されている。
【0085】
また、サブフレーム14は、
図18に示すように、車幅方向に所定間隔を隔てた位置で車両前後方向に延びる左右一対のサイドメンバ141と、左右のサイドメンバ141を車幅方向に連結する前側サスクロスメンバ142、中央サスクロスメンバ143、及び後側サスクロスメンバ144とで、平面視略梯子状に形成されている。
より詳しくは、サイドメンバ141は、
図2に示すように、平面視において、フロントサイドフレーム10よりも僅かに車幅方向内側に配設されている。
【0086】
このサイドメンバ141は、
図18に示すように、車幅方向に沿った縦断面における断面形状が断面略矩形の閉断面となる閉断面部材であって、フロントサイドフレーム10における車両前後方向の長さと略同じ車両前後方向の長さを有する形状に形成されている。
なお、サイドメンバ141の前端、及び後端は、
図18に示すように、それぞれ車幅方向外側へ向けて屈曲した形状に形成されている。
【0087】
さらに、サイドメンバ141には、
図18に示すように、ロアアーム22における車両前方側の連結部を揺動自在に支持する前側支持ブラケット145が、後述する後方連結部材16よりも車両前方の部分に接合され、ロアアーム22における車両後方側の連結部を揺動自在に支持する後側支持ブラケット146が、後方連結部材16よりも車両後方の部分に締結固定されている。
【0088】
加えて、サイドメンバ141の後端上面には、
図9及び
図18に示すように、フロントサイドフレーム10の後端下面に締結固定するための締結部材147が挿通する挿通孔(図示省略)が開口形成されている。
【0089】
前側サスクロスメンバ142は、
図18に示すように、サイドメンバ141の前端を車幅方向に連結している。この前側サスクロスメンバ142は、
図18に示すように、車両前後方向に沿った縦断面における断面形状が閉断面となる閉断面部材であって、車両上方に突出した断面略ハット状のメンバアッパと、略平板状のメンバロアとで構成されている。
【0090】
中央サスクロスメンバ143は、
図18に示すように、前側サスクロスメンバ142から車両後方に所定間隔だけ離間した位置で、左右のサイドメンバ141を車幅方向に連結している。この中央サスクロスメンバ143は、サスペンションハウジング12の後方補強部123と略同じ車両前後方向の位置で左右のサイドメンバ141を連結する閉断面部分である後方閉断面部143aと、後方閉断面部143aから車両前方に離間した位置で左右のサイドメンバ141を連結する閉断面部分である前方閉断面部143bとを有する形状に形成されている。
【0091】
具体的には、中央サスクロスメンバ143は、
図18に示すように、車両上方へ突出するとともに、車幅方向外側が開口した平面視略H字状のメンバアッパと、略平板状のメンバロアとを車両上下方向に接合することで、車両後方側で車幅方向に延びる閉断面部分である後方閉断面部143aと、車両前方側で車幅方向に延びる閉断面部分である前方閉断面部143bとを形成している。
【0092】
後側サスクロスメンバ144は、
図18に示すように、サイドメンバ141の後端を車幅方向に連結している。この後側サスクロスメンバ144は、
図18に示すように、車両前後方向に沿った縦断面における断面形状が閉断面をなす閉断面部材であって、車両上方に突出した断面略ハット状のメンバアッパと、略平板状のメンバロアとで構成されている。
【0093】
また、左右一対の前方連結部材15は、
図11、
図12、及び
図18に示すように、略矩形の閉断面を車両上方、かつ車幅方向外側へ延設したのち、車幅方向外側へ延設した形状に形成されている。この前方連結部材15は、
図12に示すように、シュラウドメンバ11の下端と略同じ車両前後方向の位置において、フロントサイドフレーム10におけるサイドフレームアウタ102の下面と、サブフレーム14の前側サスクロスメンバ142とを車両上下方向に連結している。
【0094】
より詳しくは、前方連結部材15は、
図11、
図12、及び
図18に示すように、車両前後方向に沿った縦断面における断面形状が断面略矩形の閉断面形状であって、車両下方が開口した断面略門型形状のメンバアッパと、車両上方が開口した断面略門型形状のメンバロアとを車両上下方向に接合して構成している。
【0095】
さらに、前方連結部材15には、
図12及び
図18に示すように、フロントサイドフレーム10に締結固定するための締結部材151が、車幅方向外側の上面に一体的に設けられている。
【0096】
そして、前方連結部材15は、
図12に示すように、車両前後方向におけるプレート部材103と第1の節部材104との間において、車幅方向外側の上面が、シュラウドメンバ11と車両上下方向で対向するように、サイドフレームアウタ102の下面に、締結部材151を介して締結固定されている。
【0097】
また、後方連結部材16は、
図3及び
図13に示すように、サスペンションハウジング12の後方補強部123と略同じ車両前後方向の位置において、フロントサイドフレーム10におけるサイドフレームアウタ102の下面と、サブフレーム14のサイドメンバ141とを、車両上下方向に連結している。
【0098】
換言すると、後方連結部材16は、
図13に示すように、フロントサイドフレーム10の内部に設けた第3の節部材106と略同じ車両前後方向の位置において、フロントサイドフレーム10におけるサイドフレームアウタ102の下面と、サブフレーム14のサイドメンバ141とを、車両上下方向に連結している。
【0099】
この後方連結部材16は、
図18に示すように、アルミダイキャスト製の高剛性部材であって、サイドメンバ141に締結固定される下側基部161と、エンジンマウントブッシュ(図示省略)が収容保持される収容保持部162と、フロントサイドフレーム10に締結固定するための締結部材164が設けられた上側基部163とで一体形成されている。
【0100】
収容保持部162は、
図18に示すように、下側基部161から車両上方、かつ車幅方向内側へ向けて延設された略円筒状に形成されている。詳細な図示を省略するが、この収容保持部162は、エンジン(図示省略)を弾性支持するエンジンマウントブッシュを、内部に収容可能に構成されている。
【0101】
上側基部163は、
図13に示すように、サブフレーム14に締結固定された状態において、第3の節部材106と略同じ車両前後方向の位置に位置するように、収容保持部162の車幅方向外側に一体的に形成されている。
【0102】
上述したような構成の車両1の前部車体には、
図19から
図22に示すように、上述した車体骨格をなす部材同士が連結されることによって、略環状となる複数の環状車体骨格が形成されるとともに、複数の環状車体骨格が互いに連結されることで、立体的に略環状な立体環状車体骨格が形成されている。
【0103】
具体的には、車両1の前部車体は、
図19から
図21に示すように、正面視において、シュラウドアッパ9をとおって略環状となる第1環状車体骨格W1と、サスペンションハウジング12をとおって略環状となる第2環状車体骨格W2と、ダッシュクロスメンバ5をとおって略環状となる第3環状車体骨格W3と、ダッシュクロスメンバ5、及びサブフレーム14をとおって略環状となる第4環状車体骨格W4と、トルクボックス7、及びサブフレーム14をとおって略環状となる第5環状車体骨格W5とが形成されている。
【0104】
さらに、車両1の前部車体には、
図22に示すように、側面視において、エプロンレインフォースメント8をとおって略環状となる第6環状車体骨格W6と、サブフレーム14をとおって略環状となる第7環状車体骨格W7とが形成されている。
【0105】
そして、車両1の前部車体は、正面視略環状となる第1環状車体骨格W1、第2環状車体骨格W2、第3環状車体骨格W3、第4環状車体骨格W4、及び第5環状車体骨格W5が、第6環状車体骨格W6、及び第7環状車体骨格W7を介して互いに接続されるように、左右のエプロンレインフォースメント8、左右のフロントサイドフレーム10、及びサブフレーム14の左右のサイドメンバ141によって連結されている。
【0106】
詳述すると、正面視略環状となる第1環状車体骨格W1は、
図19に示すように、閉断面部材であるシュラウドアッパ9と、プレート部材103、及び第1の節部材104で囲われた閉断面部材であるフロントサイドフレーム10と、閉断面部材である左右のシュラウドメンバ11と、閉断面部材であるサブフレーム14の前側サスクロスメンバ142と、閉断面部材である左右の前方連結部材15とで構成されている。
【0107】
また、正面視略環状となる第2環状車体骨格W2は、
図20に示すように、第3の節部材106を備えた閉断面部材である左右のフロントサイドフレーム10と、高剛性部材である左右のサスペンションハウジング12の後方補強部123と、閉断面部材であるタワーバー13と、閉断面部材であるサブフレーム14の中央サスクロスメンバ143における後方閉断面部143aと、高剛性部材である左右の後方連結部材16とで構成されている。
【0108】
また、正面視略環状となる第3環状車体骨格W3は、
図21に示すように、閉断面部材である左右のヒンジピラー2と、閉断面部材であるカウルボックス3と、ダッシュパネル4とで車幅方向に延びる閉断面をなすダッシュクロスメンバ5とで構成されている。
【0109】
また、正面視略環状となる第4環状車体骨格W4は、
図21に示すように、閉断面部材である左右のヒンジピラー2と、閉断面部材であるカウルボックス3と、ダッシュパネル4とで閉断面をなすダッシュクロスメンバ5の水平延設部5bと、閉断面部材である左右のフロントサイドフレーム10と、閉断面部材であるサブフレーム14のサイドメンバ141、及び後側サスクロスメンバ144とで構成されている。
【0110】
また、正面視略環状となる第5環状車体骨格W5は、
図21に示すように、閉断面部材である左右のヒンジピラー2と、閉断面部材であるカウルボックス3と、ダッシュパネル4とで閉断面をなすトルクボックス7と、閉断面部材である左右のフロントサイドフレーム10と、閉断面部材であるサブフレーム14のサイドメンバ141、及び後側サスクロスメンバ144とで構成されている。
【0111】
また、側面視略環状となる第6環状車体骨格W6は、
図22に示すように、閉断面部材であるヒンジピラー2と、ダッシュパネル4とで閉断面をなすダッシュクロスメンバ5と、閉断面部材であるエプロンレインフォースメント8と、閉断面部材であるフロントサイドフレーム10と、閉断面部材であるシュラウドメンバ11とで構成されている。
【0112】
また、側面視略環状となる第7環状車体骨格W7は、
図22に示すように、閉断面部材であるフロントサイドフレーム10と、閉断面部材であるサブフレーム14のサイドメンバ141と、閉断面部材である前方連結部材15とで構成されている。
【0113】
このように車両1の前部車体は、車両前後方向に所定間隔を隔てた位置に形成された正面視略環状となる第1環状車体骨格W1、第2環状車体骨格W2、第3環状車体骨格W3、第4環状車体骨格W4、及び第5環状車体骨格W5が、側面視略環状となる左右の第6環状車体骨格W6、及び左右の第7環状車体骨格W7によって車両前後方向に連結されている。
【0114】
このため、車両1の前部車体には、正面視略環状の第1環状車体骨格W1、第2環状車体骨格W2、第3環状車体骨格W3、第4環状車体骨格W4、及び第5環状車体骨格W5と、側面視略環状の第6環状車体骨格W6、及び第7環状車体骨格W7とで、略かご状の立体環状車体骨格が形成されている。
【0115】
以上のように、車両1のダッシュパネル4から車両前方に所定間隔を隔てた所望位置でフロントサスダンパ20の上端を支持する左右一対のサスペンションハウジング12と、サスペンションハウジング12の下端が連結されるとともに、車両前後方向に延びる閉断面部材である左右一対のフロントサイドフレーム10と、フロントサイドフレーム10の車両下方に配設されるとともに、ロアアーム22を揺動自在に支持するサブフレーム14とを備えた車両1の前部車体構造は、フロントサスダンパ20が取付けられるダンパ取付け部121aに近接して車両上下方向に延びるとともに、ダンパ取付け部121aを補強する後方補強部123を備え、サスペンションハウジング12の後方補強部123と略同じ車両前後方向の位置で、フロントサイドフレーム10、及びサブフレーム14を車両上下方向に連結するとともに、エンジンマウントブッシュの収容保持部162が一体形成された左右一対の後方連結部材16と、後方連結部材16の上端と略同じ車両前後方向の位置で、フロントサイドフレーム10の内部空間を車両前後方向に隔てる第3の節部材106と、サスペンションハウジング12よりも車両後方で車両1の車体を構成するカウルボックス3、及びサスペンションハウジング12の後方補強部123を連結する略長尺状の部材である左右一対のタワーバー13の長尺状部分131bとを備えたことにより、ダッシュパネル4に対して車両前方に離間した位置にサスペンションハウジング12が配設された場合であっても、サブフレーム14に作用する荷重や振動を、サスペンションハウジング12よりも車両後方の車体に伝達することができる。
【0116】
具体的には、フロントサイドフレーム10の内部空間に備えた第3の節部材106により、車両1の前部車体構造は、後方連結部材16とサスペンションハウジング12の後方補強部123との間におけるフロントサイドフレーム10の剛性を、第3の節部材106を備えていない場合に比べて向上することができる。
【0117】
さらに、サスペンションハウジング12のダンパ取付け部121a近傍に後方補強部123を備えたことにより、車両1の前部車体構造は、後方連結部材16と、第3の節部材106が配設されたフロントサイドフレーム10と、サスペンションハウジング12の後方補強部123と、タワーバー13の長尺状部分131bとで、車両1のカウルボックス3とサブフレーム14とを連結する車体骨格を構成することができる。
【0118】
これにより、車両1の前部車体構造は、後方連結部材16、第3の節部材106が配設されたフロントサイドフレーム10、サスペンションハウジング12の後方補強部123、及びタワーバー13の長尺状部分131bで構成された車体骨格を介して、ロアアーム22からサブフレーム14に作用した荷重や振動を、車両1のカウルボックス3に伝達することができる。
【0119】
さらに、後方連結部材16にエンジンマウントブッシュが装着されるため、車両1の前部車体構造は、後方連結部材16に作用するエンジンの振動を、後方連結部材16、第3の節部材106が配設されたフロントサイドフレーム10、サスペンションハウジング12の後方補強部123、及びタワーバー13の長尺状部分131bで構成された車体骨格を介して、車両1のカウルボックス3に伝達することができる。
【0120】
従って、車両1の前部車体構造は、ダッシュパネル4に対して車両前方に離間した位置にサスペンションハウジング12が配設された場合であっても、サブフレーム14に作用する荷重や振動を、サスペンションハウジング12よりも車両後方の車体に伝達することができる。
【0121】
また、サブフレーム14が、後方連結部材16の下端と略同じ車両前後方向の位置で、車幅方向に延びる閉断面部材である中央サスクロスメンバ143の後方閉断面部143aを備え、タワーバー13の長尺状部分131bが、左右の長尺状部分131bを一体的に連結する連結部分131cを介してカウルボックス3に連結され、第3の節部材106を備えた左右のフロントサイドフレーム10と、左右のサスペンションハウジング12の後方補強部123と、左右の後方連結部材16と、左右のタワーバー13の長尺状部分131bと、中央サスクロスメンバ143の後方閉断面部143aとで正面視略環状となる第2環状車体骨格W2が構成されたことにより、車両1の前部車体構造は、ロアアーム22を介してサブフレーム14に作用する荷重、及びフロントサスダンパ20を介してサスペンションハウジング12に作用する荷重に対する車体剛性を向上することができる。
【0122】
このため、車両1の前部車体構造は、ロアアーム22、フロントサスダンパ20、及びエンジンから伝達された振動を、正面視略環状となる第2環状車体骨格W2によってより抑制することができる。
【0123】
従って、車両1の前部車体構造は、サブフレーム14に伝達された振動の抑制と、サスペンションハウジング12よりも車両後方の車体への振動伝達とを両立することができる。
【0124】
また、正面視略環状となる第2環状車体骨格W2が、ダンパ取付け部121aの車両後方側に構成されたことにより、車両1の前部車体構造は、正面視略環状となる第2環状車体骨格W2を、サスペンションハウジング12よりも車両後方の車体に近づけて構成することができる。
【0125】
このため、車両1の前部車体構造は、正面視略環状となる第2環状車体骨格W2をダンパ取付け部121aの車両前方側に構成した場合に比べて、ロアアーム22を介してサブフレーム14に作用する荷重、及びフロントサスダンパ20を介してサスペンションハウジング12に作用する荷重に対する車体剛性をより向上することができる。
【0126】
従って、車両1の前部車体構造は、サスペンションハウジング12に伝達された振動、及びサブフレーム14に伝達された振動をより抑制できるとともに、サスペンションハウジング12よりも車両後方の車体により効率よく伝達することができる。
【0127】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明のサスペンションアームは、実施形態のロアアーム22に対応し、
以下同様に、
補強部は、後方補強部123に対応し、
装着部は、収容保持部162に対応し、
マウント一体連結部材は、後方連結部材16に対応し、
節部材は、第3の節部材106に対応し、
骨格部材は、カウルボックス3に対応し、
長尺状連結部材は、タワーバー13の長尺状部分131bに対応し、
サスクロスメンバは、中央サスクロスメンバ143に対応し、
環状車体骨格は、第2環状車体骨格W2に対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【0128】
例えば、上述した実施形態において、シュラウドメンバ11が、フロントサイドフレーム10の車幅方向外側の側面、及び上面に接合された構成としたが、これに限定せず、フロントサイドフレーム10の車幅方向における両側面、及び上面に接合されるシュラウドメンバとしてもよい。
【0129】
また、タワーバー13の後端がカウルボックス3に連結された構成としたが、これに限定せず、例えば、カウルボックス3に近接して左右のヒンジピラー2を車幅方向に連結するとともに、ダッシュパネル4とで閉断面をなすダッシュクロスメンバに、タワーバー13の後端が連結される構成としてもよい。
【0130】
また、タワーバー13の後端が、補強メンバ6を介してカウルボックス3に連結された構成としたが、これに限定せず、タワーバー13の後端がカウルボックス3に直接的に接合された構成としてもよい。
【0131】
また、タワーバー13のバー本体131における左右の長尺状部分131bが、連結部分131c、及び保持部材132を介して、カウルボックス3に連結される構成としたが、これに限定せず、フランジ部分131aと長尺状部分131bとで構成された左右一対の長尺状連結部材として、別体で構成された左右の長尺状連結部材の後端をカウルボックス3に連結する構成としてもよい。
【0132】
また、エンジンマウントブッシュを内部に収容保持する収容保持部162を備えた後方連結部材16としたが、これに限定せず、エンジンマウントブッシュが上面に装着固定される装着部を備えたマウント一体連結部材としてもよい。
【0133】
また、サスペンションハウジング12の前方補強部122、及び後方補強部123を、車幅方向内側へ膨出した形状の補強部としたが、これに限定せず、車両上下方向に延びるとともに、車幅方向内側へ向けて立設した複数のリブで構成された補強部としてもよい。
【0134】
また、サスペンションハウジング12は、アルミダイキャスト製のサスペンションハウジング、または、鉄鋼板をプレス成形して形成されたサスペンションハウジングとしてもよい。なお、鉄鋼板をプレス成形して形成されたサスペンションハウジングの場合、サスペンションハウジングの前方補強部、及び後方補強部を、サスタワーとで車両上下方向に延びる閉断面をなす開断面部材によって構成する。
【0135】
また、サスペンションハウジング12と後方連結部材16との間におけるフロントサイドフレーム10の内部空間に、第3の節部材106を1つ備えた構成としたが、これに限定せず、サスペンションハウジング12と後方連結部材16との間におけるフロントサイドフレーム10の内部空間に、車両前後方向に所定間隔を隔てて2つの節部材を配置した構成としてもよい。
【0136】
また、エプロンレインフォースメント8、フロントサイドフレーム10、及びサブフレーム14のサイドメンバ141を介して、第1環状車体骨格W1、及び第2環状車体骨格W2に連結される環状車体骨格を、第3環状車体骨格W3として説明したが、これに限定せず、第1環状車体骨格W1、及び第2環状車体骨格W2に連結される環状車体骨格を、第4環状車体骨格W4、または第5環状車体骨格W5としてもよい。あるいは、第1環状車体骨格W1、及び第2環状車体骨格W2に連結される環状車体骨格を、第3環状車体骨格W3、第4環状車体骨格W4、及び第5環状車体骨格W5としてもよい。