(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記連通孔が、前記中央側結合部位と前記パネル側結合部位との間に配置される両側の内周縁を、相互に略平行とした直線状として、構成されていることを特徴とする請求項5に記載のエアバッグ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のエアバッグでは、展開膨張時に、隔壁テザーにテンションが発生すると、各連通孔の角部付近に、応力集中が生じやすく、このような応力集中による連通孔の開口形状の変化を抑制するために、隔壁テザーを複数枚の基材を重ねて強度を向上させて対処しており、製造コストの低減や、折畳収納時のコンパクト化の点で改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、簡便な構成として、展開膨張時に、隔壁テザーに形成される連通孔の開口形状を安定させることが可能なエアバッグを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るエアバッグは、可撓性を有したシート体から構成されて、
内部に膨張用ガスを流入させて膨張する袋状のバッグ本体と、バッグ本体の内部を区画するように配置されるとともにバッグ本体の内部を相互に連通させる連通孔を有する隔壁テザーと、を備える構成のエアバッグであって、
隔壁テザーが、対向する両端縁を、それぞれ、バッグ本体を構成する第1パネル若しくは第2パネルに、結合させて、膨張完了時に、第1パネルと第2パネルとの離隔距離を規制する構成とされ、
連通孔が、略長方形状に開口して形成され、
連通孔において隔壁テザーの両端縁側に配置されるコーナ部が、第1パネル若しくは第2パネルに結合させる結合部位よりも、端縁側に配置されることを特徴とする。
【0007】
本発明のエアバッグでは、隔壁テザーに配設されてバッグ本体の内部を相互に連通させる連通孔が、略長方形状に開口して形成されており、この連通孔において、隔壁テザーの両端縁側に配置されるコーナ部が、隔壁テザーを第1パネル若しくは第2パネルに結合させる結合部位よりも、内周側となる位置に配置させないように構成されている。換言すれば、本発明のエアバッグでは、連通孔のコーナ部は、エアバッグの展開膨張時に、テンションの発生する結合部位間の領域から、外れた位置に、配設される構成である。そのため、展開膨張時に、連通孔のコーナ部に、応力集中が生じ難く、隔壁テザー自体に補強を施さなくとも、連通孔の開口形状を安定して維持させることができて、エアバッグを安定して迅速に膨張させることができる。
【0008】
したがって、本発明のエアバッグでは、簡便な構成として、展開膨張時に、隔壁テザーに形成される連通孔の開口形状を安定させることができる。
【0009】
また、本発明のエアバッグにおいて、連通孔において、結合部位間に配置される両側の内周縁を、相互に略平行とした直線状として構成すれば、コーナ部以外にも、連通孔の内周縁の略全周にわたって、応力集中が生じることを、的確に抑制できて、好ましい。
【0010】
さらに、上記構成のエアバッグにおいて、結合部位を、縫合糸を用いた縫合作業により、形成すれば、テザー構成体を、接着剤等の接着手段を用いて、バッグ本体を構成する第1パネル,第2パネルに接着させて結合する場合と比較して、結合作業が容易となり、エアバッグを簡便に製造することができて、好ましい。
【0011】
さらにまた、上記構成のエアバッグにおいて、連通孔を、第1パネルと第2パネルとの対向方向と略直交する方向側において、複数個、形成する場合、結合部位を、連通孔を含めて隔壁テザーの端縁に略沿うように、連続的に形成する構成とすれば、連通孔を複数個備える場合であっても、隔壁テザーの長さ方向に応じた連続的な直線縫いにより、隔壁テザーを、第1パネル及び第2パネルに、簡便に結合することができて、好ましい。
【0012】
さらにまた、本発明のエアバッグにおいて、隔壁テザーを、一方側の端縁相互を、中央側結合部位によって結合させ、他方側の端縁を、それぞれ、パネル側結合部位によって、バッグ本体を構成する第1パネル若しくは第2パネルに、結合させる2枚のテザー用基布から構成することもでき、このような構成とする場合、連通孔が、各テザー用基布において、それぞれ、相互の結合方向側で重ならず、端縁に沿った方向側でずれた位置に、略長方形状に開口して形成され、
連通孔において中央側結合部位側若しくはパネル側結合部位側に配置されるコーナ部が、中央側結合部位若しくはパネル側結合部位よりも、端縁側に配置されることとなる。
【0013】
このような構成としたエアバッグにおいても、隔壁テザーに配設されてバッグ本体の内部を相互に連通させる連通孔が、略長方形状に開口して形成されており、この連通孔において、中央側結合部位側若しくはパネル側結合部位側に配置されるコーナ部が、中央側結合部位若しくはパネル側結合部位よりも、テザー用基布の内周側となる位置に配置させないように構成されている。換言すれば、上記構成のエアバッグにおいても、連通孔のコーナ部は、エアバッグの展開膨張時に、テンションの発生する中央側結合部位とパネル側結合部位との間の領域から、外れた位置に、配設される構成である。そのため、展開膨張時に、連通孔のコーナ部に、応力集中が生じ難く、隔壁テザー自体に補強を施さなくとも、連通孔の開口形状を安定して維持させることができて、エアバッグを安定して迅速に膨張させることができる。
【0014】
したがって、上記構成のエアバッグにおいても、簡便な構成として、展開膨張時に、隔壁テザーに形成される連通孔の開口形状を安定させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。実施形態では、膝保護用エアバッグ装置Sに使用されるエアバッグ20を例に採り、説明をする。エアバッグ装置Sは、
図1に示すように、運転者Dの車両前方側であるステアリングコラム1の下方に配設されている。また、エアバッグ装置Sの周囲には、内装材であるインストルメントパネル3やアンダーカバー4が、配設されている。なお、本明細書における上下、左右、及び、前後の方向は、特に断らない限り、エアバッグ装置Sを車両に搭載させた際の車両の上下・左右・前後の方向と一致するものである。
【0017】
エアバッグ装置Sは、
図1,2に示すように、折り畳まれたエアバッグ20と、エアバッグ20に膨張用ガスを供給するインフレーター15と、折り畳まれたエアバッグ20とインフレーター15とを収納するケース12と、折り畳まれたエアバッグ20の車両後方側を覆うエアバッグカバー10と、を備えて構成されている。
【0018】
エアバッグカバー10は、ポリオレフィン系の熱可塑性エラストマーから形成されて、ケース12の車両後方側を覆い可能に、構成されている。このエアバッグカバー10は、
図2に示すように、ケース12の開口を覆う扉部10aと、扉部10aの周縁から前方に向かって延びてエアバッグカバー10をケース12に取り付けるための周壁部10bと、を備えている。扉部10aは、実施形態の場合、開き時に、上下両側に開くように2枚配設されている。
【0019】
ケース12は、板金製として、
図2に示すように、車両前方側に配置される略四角形状の底壁部12aと、底壁部12aの周縁から前後方向に略沿って後方に延びる略四角筒形状の周壁部12bと、を有して、周壁部12bの後端側を、エアバッグを突出可能に開口させて構成されている。ケース12は、詳細な図示を省略するが、ブラケット等を利用して、ボディ側のインパネリインフォースメントに、連結されている。
【0020】
インフレーター15は、
図2に示すように、外形形状を略円柱状としたインフレーター本体16と、インフレーター本体16を保持するリテーナ17と、を備えている。インフレーター本体16は、軸方向を左右方向に略沿わせて配置される略円柱状とされて、詳細な図示を省略するが、一端側に、膨張用ガスを吐出可能なガス吐出口を、配設させ、他端側に、作動信号入力用のリード線を、結線させている。リテーナ17は、インフレーター本体16の外周側を覆う略円筒状の保持部17aと、保持部17aの軸方向と略直交するように突設されるボルト17bと、を備える。ボルト17bは、詳細な図示を省略するが、保持部17aの軸方向に沿って2箇所に、配設されている。そして、実施形態では、インフレーター本体16を、折り畳まれたエアバッグ20内に配置されるリテーナ17の保持部17aに収納させて、エアバッグ20とインフレーター15とをケース12内に収納させ、ケース12の底壁部12aから突出しているリテーナ17のボルト17bにナット18を締結させることにより、インフレーター15とエアバッグ20とをケース12に取り付けている。
【0021】
エアバッグ20は、
図3,4に示すように、袋状のバッグ本体21と、バッグ本体21の内部を区画する隔壁テザー30(30U,30D)と、を備えている。
【0022】
バッグ本体21は、膨張完了時の形状を、
図1の二点鎖線に示すように、略長方形板状として、運転者Dの左右の膝Kを保護可能に構成されている。バッグ本体21は、
図3に示すように、外形形状を略同一として、膨張完了時にステアリングコラム1側に配置される車体側壁部21a(第1パネル)と、膨張完了時に運転者D側に配置される乗員側壁部21b(第2パネル)と、の、周縁相互を結合させて、袋状とされている。また、バッグ本体21は、膨張完了時の下端側においてケース12内に配置される取付部22と、膨張完了時の上端側において取付部22より左右に幅広とされるとともに膨張完了時に運転者Dの左右の膝Kを保護する保護膨張部27と、を備えている。
【0023】
車体側壁部21aにおける取付部22の領域には、
図3に示すように、2つの挿通孔23,23と、開口スリット24と、貫通穴25と、が、形成されている。挿通孔23は、リテーナ17の各ボルト17bを挿通させるためのものである。開口スリット24は、リテーナ17とインフレーター本体16とをエアバッグ20の内部に挿入させるためのものである。貫通穴25は、ケース12の底壁部12aに形成される図示しない支持突起を挿通させるためのものである。
【0024】
隔壁テザー30は、実施形態のエアバッグ20では、上下で2箇所に、配設されている。具体的には、下側に配設される隔壁テザー30Dは、取付部22と保護膨張部27とを区画するように配設され、上側に配設される隔壁テザー30Uは、保護膨張部27を上下で2つに区画するように配設されている。各隔壁テザー30U,30Dは、それぞれ、外周縁を、略全周にわたって、バッグ本体21を構成する車体側壁部21a若しくは乗員側壁部21bに結合させて、バッグ本体21の膨張完了時に、車体側壁部21aと乗員側壁部21bとの離隔距離を規制する構成とされている。実施形態の場合、各隔壁テザー30U,30Dは、短手方向側で対向する端縁(幅方向側の端縁30a,30b)を、それぞれ、車体側壁部21a若しくは乗員側壁部21bに、全長にわたって、連続的に形成される直線状の結合部位(縫合部位)33U,33D,34U,34Dによって、縫着(結合)されている(
図3参照)。また、各隔壁テザー30U,30Dは、長手方向側で対向する端縁(長さ方向側の端縁30c,30d)を、車体側壁部21aと乗員側壁部21bとの外周縁相互を縫合糸を用いて縫着させる際に、周縁結合部位36の部位で共縫いされて、車体側壁部21a及び乗員側壁部21bに縫着される構成である。
【0025】
各隔壁テザー30U,30Dには、内部を相互に連通させるように、それぞれ、複数の連通孔31U,31Dが、形成されている。実施形態では、上側の隔壁テザー30Uには、連通孔31Uは、左右方向に沿って5個形成され、下側の隔壁テザー30Dには、連通孔31Dは、左右方向に沿って4個形成されている。
【0026】
各連通孔31U,31Dは、外形形状を略同一として、
図6に示すように、略長方形状に開口して形成されるもので、実施形態の場合、長手方向を、各隔壁テザー30U,30Dにおける幅方向側に沿わせるように、開口して形成される。各連通孔31U,31Dは、コーナ部31a,31bを、隔壁テザー30U,30Dの各端縁30a,30bを車体側壁部21a若しくは乗員側壁部21bに結合させる結合部位33U,33D,34U,34Dよりも、端縁30a,30b側に配置させるように、構成されている(
図5,6参照)。詳細に説明すれば、実施形態では、隔壁テザー30U,30Dの端縁30a,30bを車体側壁部21a若しくは乗員側壁部21bに結合させる結合部位33U,33D,34U,34Dは、連通孔31U,31Dを含めて、隔壁テザー30U,30Dの端縁30a,30bに略沿うように、連続的に形成されている(
図3参照)。すなわち、各連通孔31U,31Dは、バッグ本体21の膨張完了時に、隔壁テザー30U,30Dにおける乗員側壁部21bと車体側壁部21aとの間の領域を全域にわたって切りぬくようにして配置され、隔壁テザー30U,30Dをバッグ本体21側に結合させる結合部位33U,33D,34U,34Dは、連通孔31U,31D以外の部位では、隔壁テザー30U,30D自体と車体側壁部21a若しくは乗員側壁部21bを結合させるように配置され、連通孔31U,31Dの配置部位では、車体側壁部21a若しくは乗員側壁部21bのみに、配置されている。そして、各連通孔31U,31Dは、コーナ部31a,31bの内周側に、結合部位33U,33D,34U,34Dを配置させるとともに、結合部位33U,33D,34U,34D間に配置される内周縁31c,31dを、相互に平行とし、かつ、結合部位33U,33D,34U,34Dに対して略直交させるような直線状として、構成されている(
図6参照)。すなわち、実施形態では、連通孔31U,31Dにおいて、結合部位33U,33D,34U,34D間で露出される領域に配置される内周縁31bには、バッグ本体21の膨張時に応力集中を生じさせるような湾曲部位は、形成されていない。
【0027】
実施形態では、エアバッグ20は、ポリエステル糸やポリアミド糸等の織布からなる基材を、所定形状に裁断し、縫合糸を用いて縫着させて、袋状に形成されている。エアバッグ20は、実施形態の場合、
図7,8に示すように、バッグ本体21の車体側壁部21a及び乗員側壁部21bを構成する3枚の本体用基布40,41,42と、隔壁テザー30U,30Dを構成する2枚のテザー用基布45,46と、から構成されている。
【0028】
本体用基布40,41は、それぞれ、外形形状を略台形状とされて、車体側壁部21a,乗員側壁部21bにおいて、取付部22から上側の隔壁テザー30Uの配置領域まで(隔壁テザー30Uより下方の領域)を、構成している(
図3,4,7参照)。本体用基布42は、外形形状を略長方形状とされて、隔壁テザー30Uより上方の車体側壁部21aと乗員側壁部21bとを構成している(
図3,4,7参照)。各テザー用基布45,46は、それぞれ、二つ折りされて隔壁テザー30U,30Dを構成するもので、連通孔31U,31Dを構成する開口45a,46aを、備えている(
図8参照)。
【0029】
実施形態のエアバッグ20において、上側に配置される隔壁テザー30Uは、
図3に示すように、本体用基布42の上前縁42aと本体用基布40の後縁40bとを結合させる際に、短手方向側の一方の端縁30aを、内周側で重ねられて、縫合糸を用いて結合部位33Uを形成するように、縫着させ、同様に、本体用基布42の下前縁42bと本体用基布41の後縁41bとを結合させる際に、短手方向側の他方の端縁30bを、内周側で重ねられて、縫合糸を用いて結合部位34Uを形成するように縫着させることにより、車体側壁部21a,乗員側壁部21bに、端縁を結合されることとなる。下側に配置される隔壁テザー30Dは、短手方向側の端縁30a,30bを、それぞれ、本体用基布40,41の前後の中央付近となる位置の内周側に重ねられて、縫合糸を用いて結合部位33D,34Dを形成するように縫着させることにより、端縁30a,30bを車体側壁部21a,乗員側壁部21bに、結合されることとなる(
図3参照)。また、バッグ本体21は、隔壁テザー30U,30Dを結合させ、本体用基布40,41,42を直列的に連結させた後に、本体用基布42の左縁42c相互、右縁42d相互、本体用基布40,41の左縁40c,41cから前縁40a,41aを経て右縁40d,41dにかけて、を、連続的に、縫合糸を用いて周縁結合部位36を形成するように縫着させてることにより、袋状とされるもので、この周縁結合部位36bの形成時に、各隔壁テザー30U,30Dにおける長手方向側の端縁30c,30dが、バッグ本体21側に結合されることとなる。
【0030】
実施形態のエアバッグ20は、以下のようにして、車両に搭載することができる、まず、エアバッグ20を、内部にリテーナ17を収納させた状態で、ケース12内に収納可能に折り畳んだ後に、内部にインフレーター本体16を挿入させる。そして、折り畳まれたエアバッグ20を、インフレーター15とともに、ケース12内に収納させ、ケース12にエアバッグカバー10を組み付けた後に、ケース12を車両のボディ側に取り付ければ、エアバッグ装置Sを、車両に搭載することができる。
【0031】
エアバッグ装置Sの車両への搭載後、インフレーター15に作動信号が入力されれば、インフレーター本体16から膨張用ガスが吐出されて、エアバッグ20内に流入することとなる。そして、エアバッグ20が、内部に膨張用ガスを流入させて膨張し、エアバッグカバー10の扉部10aを押し開きつつ、ケース12から車両後方側に向かって突出して、
図1の二点鎖線に示すように膨張を完了させることとなる。
【0032】
そして、実施形態のエアバッグ20では、隔壁テザー30U,30Dに配設されてバッグ本体21の内部を相互に連通させる連通孔31U,31Dが、略長方形状に開口して形成されており、この連通孔31U,31Dにおいて、隔壁テザー30U,30Dの端縁30a,30b側に配置されるコーナ部31a,31bが、隔壁テザー30U,30Dを第1パネルとしての車体側壁部21a若しくは第2パネルとしての乗員側壁部21bに結合させる結合部位33U,33D,34U,34Dよりも、内周側となる位置に配置させないように構成されている。換言すれば、実施形態のエアバッグ20では、連通孔31U,31Dのコーナ部31a,31bは、エアバッグ20の展開膨張時に、テンションの発生する結合部位33U,33D,34U,34D間の領域から、外れた位置に、配設される構成である。そのため、展開膨張時に、連通孔31U,31Dのコーナ部31a,31bに、応力集中が生じ難く、隔壁テザー30U,30D自体に補強を施さなくとも、連通孔31U,31Dの開口形状を安定して維持させることができて、エアバッグ20を安定して迅速に膨張させることができる。
【0033】
したがって、実施形態のエアバッグ20では、簡便な構成として、展開膨張時に、隔壁テザー30U,30Dに形成される連通孔31U,31Dの開口形状を安定させることができる。
【0034】
また、実施形態のエアバッグ20では、連通孔31U,31Dにおいて、結合部位33U,33D,34U,34D間に配置される両側の内周縁31c,31dが、相互に略平行とした直線状として構成されていることから、コーナ部以外にも、連通孔31U,31Dの内周縁の略全周にわたって、応力集中が生じることを、的確に抑制できる。なお、連通孔において、結合部位間に配置される内周縁を、直線状としなくとも、応力集中が生じ難い程度に、僅かに湾曲させるように、構成してもよい。
【0035】
さらに、実施形態のエアバッグ20では、結合部位33U,33D,34U,34Dは、縫合糸を用いた縫合作業により、形成されていることから、テザー構成体(テザー用基布45,46)を、接着剤等の接着手段を用いて、バッグ本体21を構成する車体側壁部21a,乗員側壁部21bに接着させて結合する場合と比較して、結合作業が容易となり、エアバッグ20を簡便に製造することができる。なお、このような点を考慮しなければ、接着剤等の接着手段を用いて、テザーをバッグ本体に結合させる構成としてもよい。
【0036】
さらにまた、実施形態のエアバッグ20では、連通孔31U,31Dが、車体側壁部21aと乗員側壁部21bとの対向方向と略直交する方向側(すなわち、実施形態の場合、隔壁テザー30U,30Dの長手方向側において、複数個、形成されているが、結合部位33U,33D,34U,34Dが、連通孔31U,31Dを含めて隔壁テザー30U,30Dの端縁30a,30bに略沿うように、連続的に形成される構成であることから、連通孔31U,31Dを複数個備える場合であっても、隔壁テザー30U,30Dの長さ方向に応じた連続的な直線縫いにより、隔壁テザー30U,30Dを、車体側壁部21a及び乗員側壁部21bに、簡便に結合することができる。なお、このような点を考慮しなければ、結合部位を、連通孔の部位を除くように、断続的に設ける構成としてもよい。
【0037】
実施形態のエアバッグ20では、隔壁テザー30U,30Dは、対向する端縁30a,30bを、それぞれ、バッグ本体21を構成する車体側壁部21a,乗員側壁部21bに結合させる構成としているが、エアバッグ50のバッグ本体51内に、
図9に示すような構成の隔壁テザー53を配設させる構成としてもよい。バッグ本体51内に配置される隔壁テザー53は、
図10に示すように、2枚のテザー用基布55,57から、構成されている。具体的には、隔壁テザー53は、各テザー用基布55,57における一方側の端縁55a,57a相互を、中央側結合部位60によって結合させ、他方側の端縁55b,57bを、それぞれ、パネル側結合部位61,61によって、バッグ本体51を構成する第1パネル51a若しくは第2パネル51bに結合させるようにして、構成されている。各テザー用基布55,57には、2個ずつ、略長方形状に開口した連通孔56,58が、形成されており、これらの連通孔56,58は、相互の結合方向側(すなわち、隔壁テザー53の幅方向側)で重ならず、かつ、端縁55a,55b,57a,57bに沿った方向側(隔壁テザー53の長手方向側)において、ずれた位置に、形成されている(
図9参照)。実施形態の場合、各連通孔56,58は、外形形状を略同一として構成されている。実施形態の場合、各連通孔56,58は、長手方向を、各テザー用基布55,57における幅方向側に沿わせるように、開口して形成されるとともに、コーナ部56a,56b,58a,58bを、中央側結合部位60若しくはパネル側結合部位61よりも、端縁55a,55b,57a,57b側に配置させるように、構成されている(
図10参照)。この隔壁テザー53においても、各テザー用基布55,57の端縁55a,57aを相互に結合させている中央側結合部位60と、各テザー用基布55,57の端縁55b,57bを第1パネル51a若しくは第2パネル51bに結合させているパネル側結合部位61,61と、は、連通孔56,58を含めて、各テザー用基布55,57の端縁55a,55b,57a,57bに略沿うように、連続的に形成されている。そして、各連通孔56,58は、コーナ部56a,56b,58a,58bの内周側に、中央側結合部位60若しくはパネル側結合部位61を配置させるとともに、中央側結合部位60,パネル側結合部位61間に配置される内周縁56c,56d,58c,58dを、相互に平行とし、かつ、中央側結合部位60,パネル側結合部位61に対して略直交させるような直線状として、構成されている。すなわち、このような構成の隔壁テザー53においても、連通孔56,58において、中央側結合部位60,パネル側結合部位61間で露出される領域に配置される内周縁56c,56d,58c,58dには、バッグ本体51の膨張時に応力集中を生じさせるような湾曲部位は、形成されていない。
【0038】
このような構成としたエアバッグ50においても、隔壁テザー53に配設されてバッグ本体51の内部を相互に連通させる連通孔56,58が、略長方形状に開口して形成されており、この連通孔56,58において、中央側結合部位60側若しくはパネル側結合部位61側に配置されるコーナ部56a,56b,58a,58bが、中央側結合部位60若しくはパネル側結合部位61よりも、テザー用基布55,57の内周側となる位置に配置させないように構成されている。換言すれば、このような構成のエアバッグ50においても、連通孔56,58のコーナ部56a,56b,58a,58bは、エアバッグ50の展開膨張時に、テンションの発生する中央側結合部位60とパネル側結合部位61との間の領域から、外れた位置に、配設される構成である。そのため、展開膨張時に、連通孔56,58のコーナ部56a,56b,58a,58bに、応力集中が生じ難く、隔壁テザー53自体に補強を施さなくとも、連通孔56,58の開口形状を安定して維持させることができて、エアバッグ50を安定して迅速に膨張させることができる。
【0039】
したがって、このような構成のエアバッグ50においても、簡便な構成として、展開膨張時に、隔壁テザー53に形成される連通孔56,58の開口形状を安定させることができる。
【0040】
また、このような構成のエアバッグ50においても、各連通孔56,58において、中央側結合部位60とパネル側結合部位61との間に配置される両側の内周縁56c,56d,58c,58dが、相互に略平行とした直線状として構成されていることから、コーナ部以外にも、連通孔56,58の内周縁の略全周にわたって、応力集中が生じることを、的確に抑制できる。さらに、エアバッグ50においても、中央側結合部位60及びパネル側結合部位61が、縫合糸を用いた縫合作業により形成されるとともに、また、これらの中央側結合部位60及びパネル側結合部位61は、連通孔56,58を含めてテザー用基布55,57の端縁55a,55b,57a,57bに略沿うように連続的に形成されていることから、エアバッグ50を簡便に製造することができる。
【0041】
実施形態では、膝保護用のエアバッグ装置に使用されるエアバッグ20を、例に採り説明したが、本発明を適用可能なエアバッグは、実施形態に限られるものではない。本発明のエアバッグは、膨張完了形状を板状として構成されるエアバッグに好適であり、例えば、側突用のエアバッグや、歩行者用のエアバッグにも、適用可能である。