【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、この開示の継電器状態判定装置は、
継電器が劣化したか否かを判定する、継電器状態判定装置であって、
上記継電器は、
1次側電源に対して直列に接続された1次側スイッチと、操作コイルと、シャント抵抗とを含み、
上記操作コイルと上記シャント抵抗との直列接続に対して並列に、上記1次側スイッチがオフする時に上記操作コイルの逆起電力による電流を上記シャント抵抗に流す向きに接続されたダイオードを含み、さらに、
上記1次側スイッチのオンオフに応じて少なくとも1対の2次側接点を開閉するアーマチュアを含み、このアーマチュアは、上記1次側スイッチのオンする時に上記操作コイルが発生する電磁力によって上記操作コイルに対して相対的に変位して、或る押し込み量だけ撓みながら、一方の2次側接点を他方の2次側接点に対して接触させるようになっており、
上記継電器状態判定装置は、
上記シャント抵抗の両端から検出された検出電圧を、刻々、測定する、電圧値取得部と、
上記1次側スイッチがオフしてから、上記アーマチュアが変位を開始することによって上記検出電圧が極小となる時の第1電圧値と、上記2次側接点が開いた時の第2電圧値との間の電圧値差を算出する、電圧値差算出部と、
上記電圧値差が、予め定められた閾値を下回ったとき、上記継電器が劣化したと判定する、状態判定部とを、備える、
ことを特徴とする。
【0007】
この開示の継電器状態判定装置では、電圧値取得部は、シャント抵抗の両端から検出された検出電圧を、刻々、測定する。電圧値差算出部は、1次側スイッチがオフしてから、上記アーマチュアが変位を開始することによって検出電圧が極小となる時の第1電圧値と、2次側接点が開いた時の第2電圧値との間の電圧値差を算出する。状態判定部は、電圧値差が、予め定められた閾値を下回ったとき、継電器が劣化したと判定する。このように、上記継電器の2次側接点毎、すなわち極毎に劣化を判定することができる。したがって、継電器における各極個別の劣化を判定することができる。
【0008】
一実施形態の継電器状態判定装置では、上記状態判定部は、上記電圧値差を上記シャント抵抗の値で除した電流値が、予め定められた閾値を下回ったとき劣化したと判定する、
ことを特徴とする。
【0009】
本明細書で、「1次側スイッチがオフしてから、アーマチュアが変位を開始することによって検出電圧が極小となる時の第1電圧値と、2次側接点が開いた時の第2電圧値との間の電圧値差を算出し、電圧値差をシャント抵抗の値で除した電流値」(これを「RUS(Reset Undershoot)」と称する。)とは、2次側可動接点を押している圧力が或る値からゼロになるまでの期間での操作コイルを流れる電流値である。これはアーマチュアの押し込み量に対応し、押し込み量が少なくなるとアーマチュアが劣化していることを表している。
【0010】
この一実施形態の継電器状態判定装置では、状態判定部は、電圧値差をシャント抵抗の値で除した電流値が、予め定められた閾値を下回ったとき、継電器が劣化したと判定する。したがって、電流値(すなわち、RUS)に基づいて継電器の劣化を判定することができる。
【0011】
一実施形態の継電器状態判定装置では、上記電圧値差または上記電圧値差を上記シャント抵抗の値で除した電流値が、予め定められた閾値を下回ったと判定されたとき、上記継電器が劣化している旨を報知する、報知部を、さらに備えている、
ことを特徴とする。
【0012】
この一実施形態の継電器状態判定装置では、ユーザは、上記報知を受けることにより、継電器が劣化したことを認識することができる。よって、ユーザは、継電器を交換する等の対策を迅速にとることができる。
【0013】
別の局面では、この開示の継電器状態判定システムは、
1次側電源に対して直列に接続された1次側スイッチと、操作コイルと、シャント抵抗とを含み、
上記操作コイルと上記シャント抵抗との直列接続に対して並列に、上記1次側スイッチがオフする時に上記操作コイルの逆起電力による電流を上記シャント抵抗に流す向きに接続されたダイオードを含み、さらに、
上記1次側スイッチのオンオフに応じて少なくとも1対の2次側接点を開閉するアーマチュアを含み、このアーマチュアは、上記1次側スイッチのオンする時に上記操作コイルが発生する電磁力によって上記操作コイルに対して相対的に変位して、或る押し込み量だけ撓みながら、一方の2次側接点を他方の2次側接点に対して接触させるようになっている、継電器と、
上記シャント抵抗の両端から検出された検出電圧を測定する、第1電圧計と、
上記継電器の上記1対の2次側接点間の電圧を測定する、第2電圧計と
上記第1および第2電圧計と通信可能に接続された、継電器状態判定装置とを、備え、
上記継電器状態判定装置は、
上記シャント抵抗の両端から検出された検出電圧を、刻々、測定する、電圧値取得部と、
上記1次側スイッチがオフしてから、上記アーマチュアが変位を開始することによって上記検出電圧が極小となる時の第1電圧値と、上記2次側接点が開いた時の第2電圧値との間の電圧値差を算出する、電圧値差算出部と、
上記電圧値差が、予め定められた閾値を下回ったとき、上記継電器が劣化したと判定する、状態判定部とを、備える、
ことを特徴とする。
【0014】
この開示の継電器状態判定システムでは、継電器における各極個別の劣化を判定することができる。
【0015】
別の局面では、この開示の継電器状態判定方法は、
1次側電源に対して直列に接続された1次側スイッチと、操作コイルと、シャント抵抗とを含み、
上記操作コイルと上記シャント抵抗との直列接続に対して並列に、上記1次側スイッチがオフする時に上記操作コイルの逆起電力による電流を上記シャント抵抗に流す向きに接続されたダイオードを含み、さらに、
上記1次側スイッチのオンオフに応じて少なくとも1対の2次側接点を開閉するアーマチュアを含み、このアーマチュアは、上記1次側スイッチのオンする時に上記操作コイルが発生する電磁力によって上記操作コイルに対して相対的に変位して、或る押し込み量だけ撓みながら、一方の2次側接点を他方の2次側接点に対して接触させるようになっている、継電器が劣化したか否かを判定する、継電器状態判定方法であって、
上記シャント抵抗の両端から検出された検出電圧を、刻々、測定し、
上記1次側スイッチがオフしてから、上記アーマチュアが変位を開始することによって上記検出電圧が極小となる時の第1電圧値と、上記2次側接点が開いた時の第2電圧値との間の電圧値差を算出し、
上記電圧値差が、予め定められた閾値を下回ったとき、上記継電器が劣化したと判定する、
ことを特徴とする。
【0016】
この開示の継電器状態判定方法では、継電器における各極個別の劣化を判定することができる。
【0017】
さらに別の局面では、この開示のプログラムは、上記継電器状態判定方法を、コンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0018】
この開示のプログラムをコンピュータに実行させることによって、上記継電器状態判定方法を実施することができる。